JP5273668B2 - 光治療器 - Google Patents
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Description
さらに、季節性感情障害を患っている患者は、往々にして摂食障害をも伴っている場合が多く、これにともなって季節性感情障害患者の診察には、精神科医と連携のうえ、内科医が血糖値測定など内科的観点からも検査・診察を行ってきた。そうした中、発明者らは、季節性感情障害同様、糖尿病に季節性を示す患者に、糖尿病の重要な指標であるグリコヘモグロビン(=HbA1c)値が、秋から冬に高値になる患者がいることに気づいた。そこで、医学界では認知されていないが、上述のように、糖尿病患者の中で、冬期に血糖コントロールが悪化する(グリコヘモグロビン含有%が高くなる)といった、季節性を示すような糖尿病を、本願明細書では、季節性糖尿病と定義する。
上述のような季節性感情障害や季節性糖尿病を改善するための治療装置に関する発明がいくつか開示されている。
特許文献1に開示される発明は、光治療器を用いた擬似夜明け療法において、患者である使用者と光治療器の距離が変わっても、患者に治療上必要とされる光度の光を照射することができるよう構成されるものである。
このような特許文献1に開示される発明によれば、患者のいる位置から離れた場所に光治療器を設置した場合でも、治療に必要な照度の光を患者に確実に照射することができ、光の照射時の光度の不足により治療効果が低減するのを防止することができるという効果を有する。
特許文献2に開示される発明は、被験者に対して、そのノンレム睡眠の検出時に第1の刺激(例えば、光等)を与え、その後、先の第1の刺激よりも刺激強度の強い第2の刺激を被験者に与えることができるよう構成されるものである。
このような特許文献2に開示される発明によれば、被験者を快適に目覚めることのできるタイミングで目覚めさせることができるという効果を有する。
特許文献3に開示される発明は、照明装置及びその照明装置を備えたベッドにおいて、就寝者が快適に覚醒するための照明開始時刻、照度や波長などは、その就寝者の状況によって異なるとし、覚醒用照明手段の照明開始時刻、就寝者の眼の付近に対応した位置の照度及び波長の少なくとも一つを、就寝者の個人差、好み、体調及び環境などに応じて適宜設定できるよう構成したことを特徴とするものである。
このような特許文献3に開示される発明によれば、就寝者が覚醒する際の快適性を向上させることができる。
上記構成の発明において、照明部は使用者に光を照射して擬似的に夜明けを体験させるという作用を有する。
また、本体部は照明部を支持固定するとともに、照明部の点灯及び消灯,並びに,照明部の照度に関する各種設定を可能にするという作用を有する。より具体的には、現在時刻設定部は、制御部に設けられる記憶領域に現在時刻を登録させるという作用を有する。また、自動点灯設定部は、照明部の点灯開始時刻及び消灯時刻を設定するとともに,照明部の経時照度を設定し、制御部へ設定値を送信するという作用を有する。
さらに、照度上昇速度設定部は照明部の点灯時の最終照度(最高照度)をその点灯時開始時毎に点灯回数に応じて段階的に上昇させる際の照度ピッチを設定し、制御部へ設定値を送信するという作用を有する。そして、点灯開始時間繰上速度設定部は、照明部の点灯開始時刻を点灯回数に応じて段階的に繰り上げる際の時刻ピッチを設定し、制御部へ設定値を送信するという作用を有する。
上述のような請求項1記載の発明は、予め設定され時刻から一定時間の間、照明部から使用者に光を照射して擬似的に夜明けを体験させるとともに、その際、照明部の点灯開始時刻を予め設定された時刻ピッチに従って段階的に自動で繰り上げると同時に、点灯開始時の照度を予め設定された照度ピッチに従って段階的に自動で上昇させるという作用を有する。
上記構成の発明は、請求項1記載の発明と同じ作用に加えて、制御部は記憶領域に照明部の制御履歴データを読み出し可能に格納するという作用を有する。
上記構成の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明と同じ作用に加えて、外部メモリ部は、照明部の点灯開始時刻,消灯時刻及び経時照度の設定値及び、照度ピッチの設定値、及び時刻ピッチの設定値を読み出し可能に格納すると作用を有する。この結果、請求項3記載の発明は、上述のような様々な設定値を本体部に着脱可能に取設される外部メモリ部に格納にすることで、請求項3記載の光治療器以外の外部機器(例えば、パーソナルコンピュータなど)においてこれらの設定値の変更を可能にするという作用を有する。
上記構成の発明は、請求項3記載の発明と同じ作用に加えて、外部メモリ部は照明部の制御履歴データを格納する作動状況記憶領域を備え、この作動状況記憶領域に照明部の制御履歴データを読み出し可能に格納するという作用を有する。
つまり、請求項4記載の発明においては、外部機器による各種設定値(照明部の点灯時刻,消灯時刻及び経時照度の設定値、照度ピッチの設定値、時刻ピッチの設定値)を変更可能にするとともに、照明部の制御履歴データを読み出して確認することを可能にするという作用を有する。
この結果、患者(使用者)が主に請求項1記載の光治療器の使用開始時に感じる違和感やストレスを、より具体的には、起床前に感じる眩しさ等による不快感を軽減するとともに、十分な治療効果が期待できる照明部の照射開始時刻や照度に対して徐々に体を慣らすことができるという効果を有する。
すなわち、請求項1記載の光治療器を用いて患者(使用者)の生体リズムの位相の矯正を、使用者のペースに合わせてゆっくりと行うことができるという効果を有する。
これにより、請求項1記載の光治療器の使用開始時に感じる違和感やストレスによる治療そのものに対する拒否感を低減することができ、患者(使用者)は苦痛を感じることなく請求項1に記載の光治療器を用いた治療を継続することができる。この結果、季節性感情障害や季節性糖尿病等の症状を改善することができるという効果を有する。
また、請求項1記載の発明によれば、照明部の点灯時の最終照度(最高照度)をその点灯時開始時毎に点灯回数に応じて段階的に上昇させたり、照明部の点灯開始時刻を段階的に繰り上げるために患者(使用者)が毎日設定値を変更する必要がないので、請求項1記載の光治療器を用いる際の患者(使用者)の負担を大幅に軽減することができる。
この結果、特に季節性感情障害を患う患者が著しい意欲減退の症状をかかえる場合でも、労せず請求項1記載の光治療器を用いた治療を実施及び継続することができるという効果を有する。
この結果、現時点の請求項2記載の光治療器の点灯開始時刻やその際の照度が、季節性感情障害や季節性糖尿病の症状改善に十分な効果を発揮しているか否か、又は、患者(使用者)の負担になっていないか否かを確認できるようにするとともに、以後、請求項2記載の光治療器を用いた治療計画を立てる際の参考資料とすることができるという効果を有する。
従って、請求項2記載の発明によれば、患者(使用者)の症状に応じてきめ細かな治療計画を立てることが可能となり、治療効果として症状が改善される可能性を一層高めることができるという効果を有する。
この場合、例えば、医師(治療者)の診察の際に患者(使用者)が外部メモリを持参することで、医師は外部機器(例えばパーソナルコンピュータ等)を用いて請求項3記載の光治療器の設定値を、その患者の症状に適した設定値に変更して外部メモリに再度格納することができる。
そして、患者(使用者)は医師(治療者)が処方した設定値に基づいて請求項3記載の光治療器を作動させて治療を行うことも可能になる。この場合、請求項3記載の光治療器の設定値の変更を患者ではなく医師が直接行うことができるようになるので、医師が患者に対して最適な治療を施すことができるだけでなく、使用者の入力ミス等により請求項3記載の光治療器が医師の意図しない作動(治療に寄与しない時刻の点灯や、患者が違和感を覚える照度設定など)をするおそれがなく治療効果の向上が期待できる。
この場合、例えば、使用者(患者)が、医師の監督のもとに請求項4記載の光治療器を用いて治療を行う場合に、医師は使用者(患者)が自宅に設置している請求項4記載の光治療器を直接操作することなくその作動状況を確認することが可能になる。
この結果、請求項4記載の光治療器を用いた治療計画の変更や検討をより効果的かつスムースに行うことができるとともに、使用者(患者)は治療者に対して請求項4記載の光治療器の使用状況を口頭で説明する必要がないので、診察時の使用者(患者)側の負担も大幅に軽減することができる。
図1は本発明の実施例1に係る光治療器のシステム構成図であり、図2は本発明の実施例1に係る光治療器の概念図である。
実施例1に係る光治療器1aは、生体リズムが位相後退することにより起こるとされる季節性感情障害やうつ病、睡眠覚醒障害等の病気や障害、あるいは季節性糖尿病を持つ患者(使用者)に対して、生体リズムの位相前進作用のある時間帯、例えば、明け方,夜の後半,に光を照射して生体リズムの位相を前進,同調させる(矯正する)光療法と呼ばれる治療法に用いられる光照射装置であり、図1に示すように、光を発する照明部3と、この照明部3の点灯と消灯,並びに、照明部3の照度を制御する制御部4を備える本体部2により構成される。
さらに、この本体部2は、図1に示すように、照明部3を制御する際の中枢部として機能しかつ記憶領域(図示せず)をも備える制御部4と、この制御部4に接続される電源スイッチ5、現在時刻設定部6、自動点灯スイッチ7、自動点灯設定部8、照度上昇速度設定部9、点灯開始時刻繰上速度設定部10、制御用電源12及び、制御部4からの信号を受けて光源部11に電力を供給する際に、電圧の設定を行う電圧設定部13及びそのための電流の制限を行う電流制限設定部14を備えるものである。
なお、実施例1に係る光治療器1aは、上述のような構成に加えて、照明部3を構成する光源部11を発光させるための電力を供給する光源用電源15を備えている。
さらに、実施例1に係る光治療器1aにおいて、自動点灯設定部8は、照明部3を自動で点灯,消灯させる際の、点灯開始時刻及び消灯時刻、及び、照明部3から照射される光の最終照度(最高照度)の設定を点灯開始時刻から消灯時刻まで時間に合わせて可能としその設定値を制御部4に送信するという作用を有する。
そして、照度上昇速度設定部9は、照明部3の最高照度をその点灯時開始時毎に点灯回数に応じて段階的に上昇させる際の照度ピッチを設定するとともに、この設定値を制御部4に送信するという作用を有する。
さらに、点灯開始時刻繰上速度設定部10は、照明部3の点灯開始時刻を点灯回数に応じて段階的に繰り上げる際の時刻ピッチを設定し、この設定値を制御部4に送信するという作用を有する。
加えて、照度上昇速度設定部9を備えることで、照明部3の点灯時の最高照度をその点灯時開始時毎に点灯回数に応じて段階的に上昇させることができるという効果を有する。また、点灯開始時刻繰上速度設定部10を備えることで、照明部の点灯開始時刻を点灯回数に応じて段階的に繰り上げる(早める)ことができるという効果も有する。
その一方で、体の生体リズムが位相後退を起こしている患者に、日の出前の早朝にいきなり高照度の光の照射を開始すると、急激な環境の変化がストレスになり、患者の治療(光治療器の使用)に対する意欲が失われてしまったり、最悪の場合、治療が拒否される場合もあり症状の改善が期待できなくなってしまう場合があった。
このような課題への対策としては、光治療器の使用開始時(なかでも特に光治療導入時)の最高照度を患者(使用者)が違和感やストレスを感じない程度の弱いものとして段階的に照度を高めていき、かつ、照明部3の点灯時刻をそれまでの患者(使用者)の起床時間に近い時刻から段階的に早めて行くことが望ましい。
しかしながらこの場合、従来の光治療器やそれに類する装置では、患者(使用者)が毎日、光治療器の点灯開始時刻や点灯時の最高照度の設定を変更する必要があり極めて煩雑であった。特に、意欲減退の症状が認められる患者(使用者)にとってはその設定作業を行うこと自体が困難なため、治療が中断してしまい症状の改善が期待できなくなるケースもあった。
従って、実施例1に係る光治療器1aにおいては、光治療器1aを目的とする経時照度(症状の改善効果が期待できる経時照度)で所定の時刻に自動点灯させるという基本的な機能に加えて、照度上昇速度設定部9及び点灯開始時刻繰上速度設定部10を備えることで、患者(使用者)にストレスや違和感を与えることなく、無理なく光治療器1aの使用を継続させることができるという効果を有する。
この結果、位相後退した状態にある患者(使用者)の生体リズムを少しずつ適正な状態(夏型)に徐々に移行させることができ、季節性感情障害やうつ、季節性糖尿病等の症状を緩和することができる。また、強い光が苦手な人や、早起きが苦手な人であっても、実施例1に係る光治療器1aによる治療が可能になるので、実施例1に係る光治療器1aを利用可能な患者(利用者)の数を増やすとともに、個々の患者(利用者)に対して薬物によらないか又は薬物が効果を示さない患者に対しても安全性の高い治療方法を提供することができるという効果を有する。
図3は実施例1に係る光治療器の操作部の拡大図である。また、図4は操作部の処理キーを押した際の設定モードの切替え順序を示すフローチャートである。なお、図1又は図2に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図3に示すように、実施例1に係る光治療器1aの操作部16は、主に表示部17及び操作ボタン22、さらに、自動点灯モードが選択されていることを示す自動点灯モード表示灯23a、手動点灯モードが選択されていることを示す手動点灯モード表示灯23b、そして、電源スイッチ18及び自動点灯スイッチ19により構成されている。
また、操作ボタン22は、処理キー24,決定キー25,取消又は戻るキー26,プラスキー27,マイナスキー28により構成されており、処理キー24は一回押されるごとに、図4に示すように、表示部17の表示を通常モード35,現在時刻設定モード36,自動設定モード37,照度上昇速度設定モード38,点灯開始時刻繰上速度設定モード39の順で順次切り替えるという作用を有する。
また、決定キー25は、現在処理中の項目の処理から次の項目の処理に移る際にそれを指示する信号、又は、確認メッセージに対して「OK」を回答する信号を発するという作用を有する。
さらに、取消又は戻るキー26は、現在処理中の項目の処理を中断して前の項目の処理に戻る際にそれを指示する信号、又は、確認メッセージに対して「NO」を回答する信号を発するという作用を有する。
そして、プラスキー27は現在処理中の項目に対しカウントアップを指示する信号を、マイナスキー28は現在処理中の項目に対しカウントダウンを指示する信号をそれぞれ発信するという作用を有する。
なお手動点灯モードは、照明部3に設けられる図示しない点灯スイッチを患者(使用者)が直接操作して照明部3の点灯と消灯を切り替える作動状態を示している。
図5は実施例1に係る光治療器の通常モードにおける表示部の画面表示の一例を示す図である。なお、図1乃至図4に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図5に示すように、通常モード35の場合、表示部17の上段左上の現在時刻表示部29に現在時刻が表示され、その隣に照度上昇速度設及び点灯開始時刻繰上設定の設定状況が簡潔に表示され、さらに、表示部17の下段左側の照度レベル表示部30には照明部3の点灯時の最高照度レベルが表示され、さらに、その隣の点灯開始時刻表示部31及び消灯時刻表示部32には現時点において設定されている照明部3の点灯開始時刻及び消灯時刻が表示されている。
なお、実施例1に係る光治療器1aにおいては、例えば、照明部3の点灯時の最高照度をレベル1〜4の4段階に変更できるよう構成されている。
ここで図6を参照しながら実施例1に係る光治療器1aにおいて照明部の最高照度を複数段階に設定した際の照度の経時変化について説明する。
図6は実施例1に係る光治療器において照明部の最高照度を複数段階に設定した際の照度の経時変化示すグラフである。なお、図3に示すグラフにおいて、Y軸は照度(ルクス)を、X軸は照射時間(h)を示している。
図6に示すように、実施例1に係る光治療器1aにおいては、照明部3の最高照度をレベル1〜4のいずれに設定した場合でも、照射開始直後から2時間を経過するまでの照度上昇速度は同じであり、照射開始から4時間経過した時点で各レベルの最高照度に到達するよう設定されている。
また、実施例1に係る光治療器1aにおいては、季節性の各種障害に対する治療効果が期待できる照度として5000ルクスの光を照射することができる状態が最高のレベル4として設定され、以下、1000ルクスずつ最高照度を低下させたものがそれぞれ照度レベル3、照度レベル2、照度レベル1として設定されている。なお、図6では照明部3の最高照度が1000ルクスずつ上昇する毎に照度レベルが1ずつ上昇する場合を例に挙げて説明しているが、これ以外にも、500ルクスずつあるいはもっと少ない単位で照度が上昇する毎に照度レベルが1ずつ上昇するよう設定してもよい。
また、実施例1に係る光治療器1aは、夜明けの光環境を人工的に再現するための装置であるため、図6からも明らかなように、照明部3の照度は点灯開始直後は微弱であり時間の経過とともに徐々に照明部3の照度が上昇し予め設定された最高照度に達した後は照度が一定に保たれるよう設計されており、照明部3の点灯時の照度は必ずしも一定ではない。このため、本願においては、このように時間の経過とともに変化する照度を「経時照度」と記載して、照度の経時変化を伴わない一般的な「照度」と区別している。以下、他の実施の形態においても同様である。
表示部17に、図5に示すような通常モード35が表示されている状態で、操作部16の処理キー24を1回押すと、現在時刻表示部29が点滅を開始し、現在時刻設定モード36に切り替わる。次いで、決定キー25を1回押すと、現在時刻表示部29の「時」の表示が点滅を開始するので、操作部16のプラスキー27及びマイナスキー28を押して所望の数値を呼び出した後、決定キー25を1回押すと現在時刻表示部29の「時」の設定が完了する。
この操作が完了すると同時に今度は、現在時刻表示部29の「分」の表示が点滅を開始するので、操作部16のプラスキー27及びマイナスキー28を押して所望の数値を呼び出した後、再び決定キー25を1回押すと現在時刻表示部29の「分」の設定が完了する。そして、現在時刻表示部29の「時」及び「分」の設定が完了すると、現在時刻表示部29の点滅が止まるので作業が完了したことを確認することができる。
そして、この状態でプラスキー27を押すと、表示部17に表示される最高照度レベル値が1段階ごとに上昇し、マイナスキー28を押すと1段階ごとに最高照度レベル値が降下するので、これらを操作して所望の最高照度レベル値を呼び出す。この操作により目的とする最高照度レベルを選択した後、決定キー25を1回押すことで照度レベルの設定は完了する。
これと同時に、次は点灯開始時刻表示部31が点滅を開始するので、現在時刻表示部29と同じ手順で照明部3の点灯開始時刻を設定する。この後、同様の手順で消灯時刻表示部32についても設定する。
このように、それぞれの設定モードで数値等を設定した場合、その設定値は制御部4に送信されて、制御部4に設けられる記憶領域に登録されて照明部3の制御に用いられる。なお、以下に示す他の項目の設定モードにおいても同様である。
点灯開始時刻繰上速度設定モード39において照明部3の照度上昇速度を設定するには、まず、図5に示す通常モード35が表示される状態で、処理キー24を3回押す。この操作により、表示部17には図7に示すような画面が表示される。なお、図7において符合「X」で示される部分には、実際には数字やアルファベットなどが表示される。
図7に示すような画面が表示された状態で、決定キー25を1回押すと、画面上段左側の点灯モード表示部40が点滅を開始するので、プラスキー27又はマイナスキー28を利用して目的とする点灯モードを選択する。
実施例1に係る光治療器1aにおいては、例えば、光治療器1aの使用開始時も予め設定された通りの経時照度で照明部3から光の照射を行う「固定モード」と、光治療器1aの使用開始時には照明部3の経時照度を自動設定モード37において設定された照度レベルよりも小さく設定しておき、以後、照明部3の点灯回数に応じて段階的に経時照度を上昇させる「自動モード」の2種類が点灯モードとして設定されており、患者(使用者)はこの2種類の点灯モードからいずれかを選択する。そして、2種類の点灯モードのうちの、「固定モード」を選択した場合には、図5に示す通常モード35の表示画面上において照度上昇速度設定表示部33の項目には「OFF」が表示され、「自動モード」を選択した場合には、図5に示す通常モード35の表示画面上の照度上昇速度設定表示部33の項目に「ON」が表示されるよう構成してもよい。
より具体的には、点灯モードとして「自動モード」を選択した後、決定キー25を1回押すことで、表示部17下段の開始照度レベル表示部42の項目が点滅を開始するので、プラスキー27又はマイナスキー28を操作して照明部3の点灯時の最高照度レベルを選択してから、決定キー25を1回押して確定する。この操作の完了と同時に、今度は照度アップサイクル表示部43の項目が点滅を開始するので、プラスキー27又はマイナスキー28を用いて所望の数値の入力を行った後、再度決定キー25を1回押して選択した数値を確定する。
なお、実施例1に係る光治療器1aでは、図7に示す設定画面において設定照度レベル表示部41に自動設定モード37において予め設定された照度レベルが自動的に表示され、開始照度レベル表示部42には、自動設定モード37において予め設定された照度レベルを超える照度レベルが設定できないよう構成されている。
また、照度アップサイクル表示部43に入力される数値の単位は「日」であり、例えば、この照度アップサイクル表示部43に数値の「1」を入力した場合には、1日ごと照明部3における照度が自動設定モード37において予め設定された照度レベルに達するまで1段階ずつレベルアップすることを意味している。また、照度アップサイクル表示部43に数値の「3」を入力した場合には、3日ごと照明部3における照度が自動設定モード37において予め設定された照度レベルに達するまで1段階ずつレベルアップすることを意味している。
そして、経過日数44には、照度上昇速度の設定を完了してから経過した日数が自動的に表示されることで、患者(使用者)が照明部3の経時照度の上昇の度合いを確認できるようになっている。
なお、点灯モード表示部40において「固定モード」を選択した場合、開始照度レベル表示部42や照度アップサイクル表示部43を設定を行う必要がないので、固定モードを選択した後に決定キー25を1回押すことで照度上昇速度設定モード38の設定が完了する。
照明部3の点灯開始時刻繰上速度を設定するための点灯開始時刻繰上速度設定モード39を呼び出すには、表示部17に図5に示す通常モード35が表示される状態で、処理キー24を4回押せばよい。
この操作により、表示部17には図8に示すような画面が表示される。この状態で、決定キー25を1回押すと、点灯モード表示部45が点滅を開始するので、プラスキー27又はマイナスキー28を利用して目的とする点灯モードを選択する。
実施例1に係る光治療器1aにおいては、例えば、光治療器1aの使用開始時に、自動設定モード37で予め設定された点灯開始時刻通りに照明部3の点灯を開始させる「固定モード」と、光治療器1aの使用開始時の照明部3の点灯開始時刻を自動設定モード37で予め設定された点灯開始時刻よりも遅い時刻とし、以後照明部3の点灯回数に応じて段階的に照明部3の点灯開始時刻を繰り上げていき、自動設定モード37において設定された点灯開始時刻に達した後は予め設定された点灯開始時刻に照明部3を点灯させる「自動モード」のいずれかを選択できるように構成されている。なお、通常使用においては、点灯回数は1日に1回カウントアップする。また、本願明細書に記載される「経過日数」と「点灯回数」は同意である。
そして、点灯モードにおいて「固定モード」を選択した場合、図5に示す通常モード35の表示画面上において点灯速度開始時刻繰上速度設定表示部34の項目には「OFF」が表示され、自動モードを選択した場合にはこの項目に「ON」が表示されるよう構成してもよい。
より具体的には、設定画面上において「自動モード」を選択した後、決定キー25を1回押すと、表示部17下段の点灯開始時刻表示部47が点滅を開始するので、先に述べた手順と同じ要領で、決定キー25やプラスキー27及びマイナスキー28を操作して所望の点灯開始時刻を入力した後、決定キー25を1回押して入力した数値を確定する。この操作の完了と同時に、今度は繰上時間表示部48が点滅を開始するので、プラスキー27やマイナスキー28を用いて、点灯開始時刻を繰り上げる際の具体的な繰上時間を分単位で入力する。(なお、繰上時間表示部48における数値の入力は5分単位ごとあるいは10分単位ごとに入力可能としてもよい。)
例えば、自動設定モード37において照明部3の点灯開始時刻を午前4:30分に設定した後、点灯開始時刻繰上速度設定モード39において「自動モード」を選択し、さらに、点灯開始時刻表示部47において光治療器1aの使用開始時(光治療器1aの導入時)における照明部3の点灯開始時刻を午前6:00と設定し、繰上時間表示部48において10(分)と設定し、繰上サイクル表示部49の設定を1(日)とした場合、まず実施例1に係る光治療器1aは、午前6:00に照明部3の点灯を開始し、その後、1日を経過する毎に、午前5:50、午前5:40、午前5:30・・・、のように10分ずつ照明部3の点灯開始時刻を午前4:30分になるまで繰り上げてゆく。
なお、図8に示す点灯開始時刻繰上速度の設定画面においては、設定済点灯開始時刻表示部46に自動設定モード37において予め設定された点灯開始時刻が自動的に表示され、点灯開始時刻表示部47には、自動設定モード37において予め設定された点灯時刻よりも早い時刻を入力できないよう構成されている。
繰上時間表示部48の入力の完了と同時に、繰上サイクル表示部49が点滅を開始するので、プラスキー27やマイナスキー28を操作して所望の数値を入力した後、決定キー25を1回押して入力した数値を確定する。なお、繰上サイクル表示部49に入力される数値の単位は「日」である。
そして、例えば、この点灯開始時刻繰上速度設定モード39において、繰上時間表示部48に10(分)、繰上サイクル表示部49に2(日)と入力した場合には、は2日を経過するごとに10分ずつ早く照明部3の点灯が開始されることを意味している。
さらに、表示部17の上段右側に表示される経過日数表示部50には、点灯開始時間繰上速度の設定を完了してから経過した日数が自動で表示されるよう設定されているので、患者(使用者)は照明部3の点灯開始時刻の繰上がり状況を確認することができる。
なお、この点灯開始時刻繰上速度設定モード39の点灯モード表示部45の項目において「固定モード」を選択した場合、点灯開始時刻表示部47や繰上時間表示部48そして繰上サイクル表示部49の設定を行う必要はないので、「固定モード」を選択した後に決定キー25を1回押すことで点灯開始時刻繰上速度設定モード39の設定が完了する。
なお、制御部4に格納される照明部3の制御履歴データは、表示部17に表示することで確認可能に構成してもよいし、図2に示すように、本体部2の胴部に外部メモリ部差込口20を形成しておき、この外部メモリ部差込口20に外部メモリ部(図示せず)を取設して、外部メモリ部の記憶領域に書き出して例えばパーソナルコンピュータ等の外部機器により読込んで確認可能としてもよい。
図9は本発明の実施例2に係る光治療器のシステム構成図である。なお、図1乃至図8に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
実施例2に係る光治療器1bは、図9に示すように、実施例1に係る光治療器1aと同じ構成に加えて、本体部2とは別に本体部2に取外し可能に設けられる外部メモリ部51を備え、この外部メモリ部51に記憶領域52を設け、この記憶領域52に自動点灯設定部8及び照度上昇速度設定部9及び点灯開始時刻繰上速度設定部10において設定され制御部4に送信された設定値を読み出し可能に格納するよう構成したものである。
この場合、例えば、外部機器であるパーソナルコンピュータなどに実施例2に係る光治療器1bの各種設定値を変更可能にするソフトを予めインストールしておくことで、外部メモリ部51を本体部2から取外して、上記ソフトがインストールされた外部機器に外部メモリ部51を接続し、この外部機器を利用して自動点灯に関する設定値及び照度上昇速度及び点灯開始時刻繰上速度の設定及び変更を行うことが可能になる。つまり、自動点灯に関する設定値及び照度上昇速度及び点灯開始時刻繰上速度の設定及び変更作業を本体部2以外でも行うことが可能になる。
つまり、外部メモリ部51を活用することで、光治療器1bの設定値のインストールを可能にしたり、逆に、光治療器1bに設定されている設定値を、外部メモリ51にダウンロードすることが可能になる。さらには、外部メモリ部51の記憶領域52にダウンロードされた設定値に上記機能を有する外部機器を利用して変更修正を加え、再び、外部メモリ51を通じて、光治療器1bに変更修正後設定値をアップロードすることができるのである。
図10は本発明の実施例3に係る光治療器のシステム構成図である。なお、図1乃至図9に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
実施例3に係る光治療器1cは、実施例2に係る光治療器1bと同じ構成に加えて、外部メモリ部51に照明部3の制御履歴データを読み出し可能に格納するための制御履歴データ記憶領域53を設け、制御部4から外部メモリ部51の制御履歴データ記憶領域53に、照明部3の制御履歴データ、例えば、照明部3に供給された制御電流の経時変化に関するデータ等を送信して格納するよう構成したものである。
なお、制御履歴データ記憶領域53への照明部3の制御履歴データの書き込みは、本体部2に外部メモリ部51を取設した状態で随時行っても良いし、制御部4に設けられる記憶領域に照明部3の制御履歴データを一旦格納しておき、必要に応じて外部メモリ部51の制御履歴データ記憶領域53にこのデータを転送できるよう構成してもよい。
この場合、例えば、患者(使用者)が医師の診察を受ける際に、外部メモリ部51を持参することで、医師は外部機器(例えば、パーソナルコンピュータ等)を用いて実施例3に係る光治療器1cの作動状況確認することができる。このため、医師は患者(使用者)の光治療器1cの作動状況と、患者(使用者)症状の両方を確認した上で必要に応じて実施例3に係る光治療器1cの各種設定値を変更し、変更の内容を実施例3に係る光治療器1cに直ちに反映させることが可能になる。
この場合、患者(使用者)は、実施例3に係る光治療器1cの各種設定値を自ら変更する必要がないので患者(使用者)の負担を大幅に軽減するとともに、実施例3に係る光治療器1cを用いた治療をより効果の高いものにすることができる。
また、図10に示すように、実施例3に係る光治療器1cは照度計54を備えてもよい。この照度計54は、本体部2の表面に設けられ、光源部11からの照度を本体部2で経時的に(例えば、1分毎に)測定し(制御部4の記憶領域や外部メモリ部51の記憶領域に)記録(読み出し可能に保存;転送可能含む)を可能とするものである。このような照度計54を備えることで、実際の光源部11からの光治療のための光照射がどの程度であったかを確認可能となっている。
すなわち、たとえば患者(使用者)によって照明部3の支持アーム部21の傾斜が不十分であったり、過度であったりすることで適切な照度が得られていないような場合において、その支持アーム部21の傾斜の修正を医師がアドバイスすることができる。また、この照度計54における測定データを制御部4の記憶領域の他にも外部メモリ部51に読み出し可能に格納できるようにしたり、互いに転送可能にしておくことで、外部メモリ部51のみを持ち出して医療機関へ出向いて医師からのアドバイスを受けたり、あるいは外部機関で治療を受けた際の照度の測定データを自宅の光治療器の制御部4へ治療履歴として転送することも可能である。
さらに、万一、他の光治療器の光源部11との照度に関する性能に差があるような場合には、その照度測定データを用いて性能比較を行うことも可能と考えられる。
また、さらには、照明部3に供給された制御電流の経時変化(制御履歴データ)と照度計54による計測データとを照合・解析することで、光源部11に用いる個々の発光ダイオード(LED)の不具合(例えば、所定の電流は流れているが対応する所定の照度発光がなされていないという事態等)の有無の確認にも用いることができるというメリットもある。
なお、図10においては照度計54を本体部2の表面に備える形態としたが、照度計設置の変形例として、例えば3メートル程度の接続ケーブルの先に小さな照度センサーをつけたものを本体部2に接続する形態としてもよいし(この場合、照度センサーで者睡眠時の顔当り(いわゆる枕元)の照度値を(すなわち患者が実際にうける光の照度を直接的に)計れ、治療により有効に寄与するだろう)、照明部3(光源部11であってもよい)の内部あるいは表面の光が当たっている部分等に設置しても良い(経時照度値の記録や読み出し方法については上述したものと同様である)。
Claims (4)
- 発光ダイオード(LED)を備えた照明部と、この照明部の点灯開始時刻及び消灯時刻,及び,照度を制御する制御部を備えた本体部とを有し、
前記本体部は、前記制御部に設けられる記憶領域に現在時刻を登録するための現在時刻設定部と、
前記照明部の点灯開始時刻及び消灯時刻を設定するとともに,前記照明部の経時照度を設定し、前記制御部へ設定値を送信する自動点灯設定部と、
前記照明部の点灯時の最終照度(最高照度)をその点灯時開始時毎に点灯回数に応じて段階的に上昇させる際の照度ピッチを設定し、前記制御部へ設定値を送信する照度上昇速度設定部と、
前記照明部の点灯開始時刻を点灯回数に応じて段階的に繰り上げる際の時刻ピッチを設定し、前記制御部へ設定値を送信する点灯開始時間繰上速度設定部と、を備えることを特徴とする光治療器。 - 前記制御部は、前記記憶領域に、前記照明部の制御履歴データを読み出し可能に格納することを特徴とする請求項1に記載の光治療器。
- 前記本体部に着脱可能に取設される外部メモリ部を有し、前記自動点灯設定部は、前記照明部の点灯開始時刻,消灯時刻及び経時照度の設定値を、前記照度上昇速度設定部は、前記照度ピッチの設定値を、前記点灯開始時間繰上速度設定部は、前記時刻ピッチの設定値を、前記外部メモリに読み出し可能に格納することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光治療器。
- 前記外部メモリ部は、前記照明部の制御履歴データを格納する作動状況記憶領域を備え、前記制御部は、前記作動状況記憶領域に、前記照明部の制御履歴データを読み出し可能に格納することを特徴とする請求項3記載の光治療器。
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