以下、実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
(実施の形態)
[照明システムの概要]
まず、実施の形態に係る照明システムの全体構成について説明する。図1は、実施の形態に係る照明システムの概要を示す図である。図2は、実施の形態に係る照明システムの機能構成を示すブロック図である。
図1及び図2に示される照明システム10は、老人福祉施設などにおける空間50において、光療法を行うためのシステムである。照明システム10は、健康状態取得装置20と、情報端末30と、照明装置40とを備える。
照明システム10において、健康状態取得装置20は、例えば、空間50に配置され、対象者Aの健康状態を示す健康状態情報を取得する。空間50は、例えば、対象者Aの個室内の空間である。取得された対象者Aの健康状態情報は、照明装置40に送信される。照明装置40は、対象者Aの健康状態情報を取得する。
また、施設のスタッフSは、情報端末30に対象者Aへの施療内容を入力する。施療内容には、例えば、対象者が服用している薬の種類、服薬量、及び、服薬時刻などが含まれる。施療内容は、対象者Aの主治医などによって入力されてもよい。情報端末30は、スタッフSによって入力された対象者Aの施療内容を受け付け、当該施療内容を示すケア情報を照明装置40に送信する。照明装置40は、対象者Aのケア情報を取得する。
照明装置40は、取得された対象者Aの健康状態情報、及び、取得された対象者Aのケア情報の少なくとも一方に基づいて、光療法用の光を発する。照明装置40は、例えば、取得された対象者Aの健康状態情報、及び、取得された対象者Aのケア情報の少なくとも一方に基づいて照射スケジュールを決定し、決定した照射スケジュールにしたがって発光する。
このように、照明システム10によれば、スタッフSに光療法に関する専門的な知識がなくても、対象者は、当該対象者の健康状態または当該対象者への施療内容に応じた光療法を受けることができる。
なお、光療法は、対象者Aが青色成分(波長460nm以上490nm以下の成分)の光を日中にどの程度浴びるかに応じて基づいて効果の度合いが変化するといわれている。光療法用の光は、白色(色温度は問わない)であってもよいし、白色光(例えば、黒体軌跡上に位置する色温度を有する白色光)よりも青色成分が多い光であってもよい。光療法用の光は、生活活性光などと呼ばれる場合もある。
以下、照明システム10が備える各装置の詳細な構成について、引き続き図1及び図2を参照しながら説明する。
[健康状態取得装置]
まず、健康状態取得装置20について説明する。健康状態取得装置20は、例えば、施設内の対象者Aの個室内の空間50に配置され、対象者Aの健康状態を示す健康状態情報を取得する装置である。健康状態取得装置20は、健康状態取得部21と、通信部22とを備える。
健康状態取得部21は、対象者Aの健康状態を示す健康状態情報を取得する。健康状態情報は、例えば、対象者Aの睡眠状態を示す情報、対象者Aの認知症の程度を示す情報、または、対象者Aの活動量を示す情報などであるが、特に限定されない。
健康状態情報が対象者Aの睡眠状態を示す場合、健康状態取得部21は、例えば、マット(シート)型のセンサを含む睡眠計であり、睡眠計は、当該センサの上に対象者Aがいるかどうかを検知する。健康状態取得部21は、センサの上に対象者Aがいる期間、つまり、対象者Aが睡眠中の期間を検知する。言い換えれば、健康状態取得部21は、対象者Aが睡眠中の期間を、睡眠状態を示す情報(健康状態情報)として取得する。また、健康状態取得部21がマット型のセンサを含む睡眠計である場合、対象者Aの体動量が所定量よりも少ない期間を対象者Aが睡眠中の期間であると判定してもよい。健康状態取得部21によって取得された健康状態情報(検知された睡眠中の期間)は、通信部22によって照明装置40に送信される。
なお、健康状態情報が対象者Aの睡眠状態を示す場合、健康状態取得部21は、カメラ等の撮像部及び画像処理部であってもよい。この場合の健康状態取得部21は、撮像部によって撮像されたベッド上の画像を画像処理部が画像処理することにより、ベッドに対象者Aがいると判定した期間を、対象者Aが睡眠中の期間として検知(取得)する。また、健康状態情報が対象者Aの睡眠状態を示す場合、健康状態取得部21は、対象者Aの深部体温を計測する体温計であってもよい。この場合の健康状態取得部21は、体温が所定値よりも低いと判定した期間を、対象者Aが睡眠中の期間として検知(取得)する。
なお、健康状態取得部21によって取得された健康状態情報は、健康状態取得装置20が備える記憶部(図示せず)に記憶されてもよい。
通信部22は、健康状態情報を照明装置40に送信する。健康状態情報は、例えば、定期的に送信されるが、照明装置40から送信される健康状態情報の要求に応じて送信されてもよい。通信部22は、具体的には、健康状態取得装置20が照明装置40と通信を行うための通信モジュール(通信回路)である。なお、健康状態取得装置20及び照明装置40の間で行われる通信は、有線通信であってもよいし、無線通信であってもよい。通信に用いられる通信規格についても特に限定されない。
[情報端末]
次に、情報端末30について説明する。情報端末30は、スタッフSが対象者Aへの施療内容を入力するためのユーザインターフェースである。また、情報端末30は、照明装置40のコントローラとしても機能する。情報端末30は、例えば、スマートフォンまたはタブレット端末などの携帯型の情報端末であるが、パーソナルコンピュータなどの据え置き型の情報端末であってもよい。また、情報端末30は、照明システム10に含まれる専用の情報端末であって、施設内に設置されてもよい。情報端末30は、操作受付部31と、端末制御部32と、通信部33と、表示部34と、記憶部35とを備える。
操作受付部31は、対象者Aへの施療内容の入力操作を受け付ける。操作受付部31は、例えば、タッチパネル、及び、ハードウェアボタンなどによって実現される。なお、入力される施療内容には、対象者Aへ既に施療された内容(実績)、及び、今後対象者Aに施療される内容(予定)の少なくとも一方が含まれる。つまり、ケア情報は、対象者Aへの施療実績、及び、対象者Aへの施療予定(ケアプラン)の少なくとも一方を示す。以下の実施の形態において、特に断りの無い場合、ケア情報は、対象者Aへの施療実績を示す情報であってもよいし、対象者Aへの施療予定を示す情報であってもよい。
端末制御部32は、操作受付部31によって受け付けられた操作に基づいて対象者Aへの施療内容を示すケア情報を生成し、生成したケア情報を通信部33に送信させる。また、端末制御部32は、表示制御部の一例であって、表示部34への画像の表示制御を行う。端末制御部32は、具体的には、プロセッサ、マイクロコンピュータ、または専用回路などによって実現される。端末制御部32は、プロセッサ、マイクロコンピュータ、および専用回路のうち2つ以上の組み合わせによって実現されてもよい。
通信部33は、端末制御部32の制御に基づいて、ケア情報を照明装置40に送信する。ケア情報は、例えば、定期的に送信されるが、照明装置40から送信されるケア情報の要求に応じて送信されてもよい。通信部33は、具体的には、情報端末30が照明装置40と通信を行うための通信モジュール(通信回路)である。
なお、情報端末30及び照明装置40の間で行われる通信は、有線通信であってもよいし、無線通信であってもよい。通信に用いられる通信規格についても特に限定されない。
表示部34は、端末制御部32の制御に基づいて施療内容を入力するための画像(入力画面)などを表示する。表示部34は、具体的には、例えば、液晶パネルまたは有機ELパネルなどを表示デバイスとして含むディスプレイである。
記憶部35は、端末制御部32の制御プログラム等が記憶される記憶装置である。記憶部35は、具体的には、半導体メモリなどにより実現される。記憶部35には、端末制御部32によって生成されたケア情報が記憶されてもよい。
[照明装置]
照明装置40は、空間50内を照明する装置であり、光療法用の光を発する装置である。照明装置40は、通信部41と、制御部42と、光源部43と、計時部44と、記憶部45とを備える。
通信部41は、取得部の一例であって、健康状態取得装置20によって送信される健康状態情報、及び、情報端末30によって送信されるケア情報を受信(取得)する。
通信部41は、具体的には、照明装置40が健康状態取得装置20及び情報端末30のそれぞれと通信を行うための通信モジュール(通信回路)である。照明装置40及び健康状態取得装置20の間で行われる通信は、例えば、無線通信であるが、有線通信であってもよい。通信に用いられる通信規格についても特に限定されない。照明装置40及び情報端末30の間で行われる通信は、例えば、無線通信であるが、有線通信であってもよい。通信に用いられる通信規格についても特に限定されない。なお、照明装置40及び健康状態取得装置20の間の通信規格と、照明装置40及び情報端末30の間の通信規格とが異なるような場合、通信部41は、複数種類の通信モジュール(通信回路)によって構成されてもよい。
制御部42は、通信部41によって取得された健康状態情報、及び、通信部41によって取得されたケア情報を記憶部45に記憶する。また、制御部42は、記憶部45に記憶された健康状態情報、及び、記憶部45に記憶されたケア情報の少なくとも一方に基づいて光源部43を発光させる。言い換えれば、制御部42は、取得された健康状態情報、及び、取得されたケア情報の少なくとも一方に基づいて光源部43を発光させる。
制御部42は、具体的には、プロセッサ、マイクロコンピュータ、または専用回路などによって実現される。制御部42は、プロセッサ、マイクロコンピュータ、および専用回路のうち2つ以上の組み合わせによって実現されてもよい。
光源部43は、制御部42によって制御される光源である。光源部43は、例えば、平面視形状が円形のシーリングライトであるが、長尺状のシーリングライトであってもよいし、ダウンライトまたはスポットライトなどであってもよい。光源部43は、具体的には、第一光源43a、及び、第二光源43bを備える。
第一光源43aは、白色光を発する光源である。第一光源43aは、調光(照度(明るさ)の調整)に対応した光源であり、制御部42によって明るさが調整される。
第二光源43bは、青色の単色光を発する光源である。第二光源43bには、例えば、発光ピーク波長が460nm以上490nm以下の青色の単色光を発する発光素子(LEDまたはレーザ)が用いられる。第二光源43bは、調光(照度(明るさ)の調整)に対応した光源である。制御部42によって明るさが調整される。
このように、光源部43が第一光源43a及び第二光源43bを備えれば、制御部42は、第一光源43aが発する光の明るさ、及び、第二光源43bが発する光の明るさを調整することにより、光源部43から出射される光に含まれる青色成分(例えば、波長が460nm以上490nm以下の成分)の量を変更することができる。
なお、光源部43の具体的態様は、特に限定されない。光源部43は、第一色温度の白色光を発する第一光源43a、及び、第一色温度と異なる第二色温度の白色光を発する第二光源43bを備えてもよい。この場合、制御部42は、第一光源43aが発する光の明るさ、及び、第二光源43bが発する光の明るさを調整することにより、光源部43から出射される白色光の色温度が変更される。つまり、光源部43から出射される光に含まれる青色成分の量を調整することができる。また、光源部43の発光色が変更されることは必須ではなく、光源部43は、1種類の光源のみを備えてもよい。
計時部44は、現在時刻を計測する計時装置であり、計測した時刻を制御部42に通知する。計時部44は、制御部42が光源部43を光療法用の照射スケジュールにしたがって発光させるために用いられる。計時部44は、具体的には、リアルタイムクロックICなどであるが、どのような態様であってもよい。
記憶部45は、通信部41によって取得された健康状態情報、及び、通信部41によって取得されたケア情報が記憶される記憶装置である。記憶部45には、後述する各種判定に用いられる判定基準、光源部43の発光に用いられる設定(パラメータ)、光療法用の照射スケジュールなども記憶される。記憶部45には、制御部42がプログラムを実行可能な構成である場合に、当該プログラムが記憶されてもよい。記憶部45は、具体的には、半導体メモリなどによって実現される。
[動作]
次に、照明システム10の動作について説明する。図3は、照明システム10の動作例のシーケンス図である。なお、照明システム10は、空間50内を照明する通常モードの動作と、対象者Aへ光療法用途の光を照射する光療法モードの動作とを選択的に実行することができ、図3のフローチャートは、通常モードで動作中に光療法モードに移行する例を示している。
まず、健康状態取得装置20は、健康状態情報の取得を行う。健康状態取得装置20の健康状態取得部21は、対象者Aの健康状態を示す健康状態情報を取得し(S11)、通信部22は、健康状態情報を照明装置40に送信する(S12)。
照明装置40の通信部41は、通信部22によって送信された健康状態情報を取得(受信)し、制御部42は、通信部41によって受信された健康状態情報を記憶部45に記憶する(S31)。
次に、情報端末30は、対象者Aへの施療内容の入力を受け付ける。情報端末30の操作受付部31は、スタッフSの施療内容の入力操作を受け付ける(S21)。端末制御部32は、入力操作に応じてケア情報を生成し、通信部33は、端末制御部32の制御に基づいて、生成されたケア情報を照明装置40に送信する(S22)。
照明装置40の通信部41は、通信部33によって送信されたケア情報を取得(受信)し、制御部42は、通信部33によって受信された健康状態情報を記憶部45に記憶する(S32)。
続いて、情報端末30の操作受付部31がスタッフSの光療法モードの動作を指示する操作を受け付けると(S23)、通信部33は、端末制御部32の制御に基づいて、光療法モードの動作を指示するための指示信号を送信する(S24)。
照明装置40の通信部41が指示信号を取得すると(S33)、制御部42は、取得された指示信号をトリガとして光療法モードの動作を開始する(S34)。なお、照明システム10が光療法専用のシステムであり、空間50の照明に用いられない場合、通常モードから光療法モードに移行する処理は不要となる。
[ケア情報に基づく光療法]
光療法モードの動作において、照明装置40の制御部42は、例えば、取得されたケア情報に基づいて光源部43の光の照射を制御する。例えば、ケア情報が対象者Aの直近1週間の服薬情報(薬の種類、平均服薬量、及び、平均服薬時刻など)を含む場合、制御部42は、ケア情報に基づいて設定を切り替える。図4は、ケア情報に基づく設定の切替動作のフローチャートである。
まず、制御部42は、記憶部45に記憶されたケア情報を参照する。制御部42は、具体的には、ケア情報に含まれる服薬量を参照する(S41)。
次に、制御部42は、参照した服薬量(例えば、平均服薬量)が所定値以上であるか否かを判定する(S42)。制御部42は、具体的には、例えば、睡眠薬の服薬量が所定値以上であるか否かを判定する。
制御部42は、服薬量が所定量未満であると判定した場合(S42でNo)、第1の設定で光を照射する(S43)。一方、制御部42は、服薬量が所定量以上であると判定した場合(S42でYes)、第1の設定と異なる第2の設定で光を照射する(S44)。
第2の設定は、光療法において光の青色成分の積算照射量が第1の設定よりも多くなる設定である。第2の設定は、第1の設定よりも光療法の効果が大きいと考えられる設定である。
例えば、第2の設定は、出射光量、及び、出射光に含まれる青色成分の量が第1の設定と同一であり、光の照射時間が、第1の設定よりも長い設定である。また、第2の設定は、出射光に含まれる青色成分及び光の照射時間が第1の設定と同一であり、出射光量が、第1の設定よりも多い設定であってもよい。第2の設定は、光の照射時間及び出射光量が第1の設定と同一であり、出射光に含まれる青色成分の量が、第1の設定よりも多い設定であってもよい。青色成分の量は、例えば、制御部42が第二光源43bの明るさを調整することにより変更可能である。なお、第2の設定は、出射光量、光の照射時間、及び、出射光に含まれる青色成分の量の2つ以上が第1の設定と異なる設定であってもよい。
このように、制御部42は、取得されたケア情報に基づいて、光源部43が対象者に照射する光の光量、対象者Aへの光の照射時間、及び、光源部43が対象者に照射する光に含まれる青色成分の量の少なくとも1つを制御する。例えば、対象者Aの服薬量が多いときに、青色成分の積算照射量が増えるように光が照射されることで、光療法の効果を高めることができる。
[健康状態情報に基づく光療法]
光療法モードの動作において、照明装置40の制御部42は、取得された健康状態情報に基づいて光源部43の光の照射を制御してもよい。例えば、制御部42は、取得された健康状態情報に基づいて設定を切り替えてもよい。図5は、健康状態情報に基づく設定の切り替えの判定基準を説明するための図である。なお、図5は、上述の第2の設定が用いられる場合の判定基準を示しており、図5に示される判定基準が満たされない場合は、第1の設定が用いられる。
まず、健康状態情報が対象者の認知症の程度を示す場合について説明する。健康状態情報が対象者Aの認知症の程度を示す場合、制御部42は、認知症テストのスコアが閾値以上である場合に第1の設定で光を照射し、認知症テストのスコアが閾値未満である場合に第2の設定で光を照射する。なお、ここでは、認知症テストのスコアが低いほど、認知症の程度が重いことを示す。
健康状態情報が対象者Aの認知症の程度を示す場合、健康状態取得装置20は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、またはパーソナルコンピュータであり、健康状態取得部21は、タッチパネルまたはキーボードなどのユーザインターフェースである。健康状態取得部21には、対象者Aが受検した、MMSE(Mini−Mental State Examination)、または、長谷川式簡易知能評価スケールなどの認知症のテストの受検結果(スコア)が入力される。なお、健康状態取得装置20(情報端末)を通じて直接認知症のテストが行われてもよい。
認知症の程度が重い対象者に、認知症の程度が軽い対象者よりも青色成分の積算照射量が増えるように光が照射されることで、光療法の効果を高めることができる。
次に、健康状態情報が対象者の活動量を示す場合について説明する。健康状態情報が対象者Aの活動量を示す場合、制御部42は、活動量が所定量よりも多い場合に第1の設定で光を照射し、活動量が所定量未満である場合に第2の設定で光を照射する。
健康状態情報が対象者の活動量を示す場合、健康状態取得装置20(健康状態取得部21)は、例えば、対象者の体に装着される活動量計、または、スマートフォンなどの活動量計と同等の機能を有する携帯端末である。
活動量が少ないときには、活動量が多いときよりも青色成分の積算照射量が増えるように光が照射されることで、光療法の効果を高めることができる。
[ケア情報に基づく光の照射開始時刻の変更]
健康状態情報が対象者Aの睡眠状態を示す場合、制御部42は、対象者Aの睡眠相が前進傾向であるか否かを判定することができる。光療法モードの動作において、制御部42は、対象者Aの睡眠相が前進傾向でない(後退傾向である)場合、図6に示されるような第1のスケジュールで光の照射を行い、対象者Aの睡眠相が前進傾向である場合、図7に示されるような第2のスケジュールで光の照射を行ってもよい。図6は、対象者Aの睡眠相が前進傾向でない場合に用いられる第1のスケジュールの一例を示す図である。図7は、対象者Aの睡眠相が前進傾向である場合に用いられる第2のスケジュールの一例を示す図である。
なお、第1スケジュール及び第2スケジュールは、光療法用の照射スケジュールであり、光療法モードの動作における、時刻と光の照度との関係を示している。制御部42は、計時部44が計測する現在時刻に基づいてこのようなスケジュールに応じた光の照射を行うことができる。
このように、対象者Aは、睡眠相が前進傾向でない場合に、図6に示される第1のスケジュールに基づいて午後よりも午前中に明るい光を浴びることで、生活リズムを維持して快適に過ごすことができる。また、対象者Aは、睡眠相が前進傾向である場合に、図7に示される第2のスケジュールに基づいて午後の早い時間帯に明るい光を浴びることで、睡眠相を通常状態(睡眠相が前進傾向でない状態)に近づけることができる。対象者Aの生活リズムの改善が図られる。
ここで、対象者Aの睡眠相が前進傾向でない場合には、さらに、睡眠薬の服薬情報を含むケア情報に基づいて対象者Aの眠気の強い時間帯を避けるように光の照射開始時刻が変更されてもよい。図8は、このような制御部42の照射開始時刻の変更動作のフローチャートである。なお、ここでの照射開始時刻は、光療法モードの動作における光の照射開始時刻を意味する。
まず、制御部42は、記憶部45に記憶された健康状態情報(対象者Aの睡眠状態を示す健康状態情報)を参照する(S51)。次に、制御部42は、参照した健康状態情報に基づいて、対象者Aの睡眠相が前進傾向であるか否かを判定する(S52)。制御部42は、例えば、全睡眠時間に対して夜間に属する睡眠時間が所定の割合未満である場合に、対象者Aの睡眠相が前進傾向であると判定し(S52でYes)、第2のスケジュールで光の照射を行う(S53)。
一方、制御部42は、全睡眠時間に対して夜間に属する睡眠時間が所定の割合以上である場合に、対象者Aの睡眠相が前進傾向でないと判定する(S52でNo)。この場合、制御部42は、記憶部45に記憶されたケア情報(対象者Aの睡眠薬の服薬情報)を参照し(S54)、対象者Aの眠気が強い時間帯を推定する(S55)。図9は、対象者Aの眠気が強い時間帯を推定する例を説明するための図である。
図9に示されるように、ケア情報において、対象者Aが20:00に睡眠薬Aを20mg服薬することが示されているとする。この場合、睡眠薬Aを含む複数種類の睡眠薬について、当該睡眠薬の効果が半減する期間(半減期)が推定基準情報として記憶部45に記憶されていれば、制御部42は、ケア情報及び推定基準情報に基づいて対象者Aの眠気が強い時間帯を推定することができる。なお、睡眠薬は、超短時間作用型、短時間作用型、中間作用型、及び、長時間作用型などの種類があり、種類に応じて半減期の長さが異なる。
図9の例では、制御部42は、服薬後18時間が経過するまでの時間帯は、眠気が強いと推定する。そうすると、制御部42は、14:00以前は眠気が強い時間帯であると推定し、眠気が強い時間帯が経過した後(14:00以降)、光の照射を開始する(S56)。つまり、制御部42は、第1のスケジュールで光の照射が行われるケースにおいて、眠気が強いと推定される時間帯を避けるために光の照射の開始を遅らせる。
このように、制御部42は、ケア情報に基づいて対象者Aの眠気が強くなる時間帯を推定し、推定された時間帯の後の時刻を光の照射開始時刻とする。眠気が強い時間帯を避けて光の照射が行われることにより、光療法によって対象者Aに不快感を与えることを抑制することができる。
なお、このように照射開始時刻が変更される場合も、図6に示される第1のスケジュールと同様に、制御部42は、照射開始時刻から所定の期間をかけて光源部43を徐々に明るくする制御を行うとよい。これにより、対象者Aが光療法に順応しやすくなる効果が得られる。
ところで、睡眠相の改善を重視するのであれば、制御部42は、第1のスケジュールに近いスケジュールで光の照射を開始したほうがよい。つまり、光の照射開始時刻を早めたほうがよい。そこで、制御部42は、眠気が強い時間帯の終期に光の照射を開始してもよい。例えば、上記の例において、14:00以降が対象者Aの眠気が弱くなる時間帯であると推定されるが、制御部42は、14:00の30分前(所定時間前)の13:30に光の照射を開始してもよい。このように、制御部42は、推定された眠気が強い時間帯の終期に光の照射を開始してもよい。つまり、制御部42は、眠気が強くなると推定された時間帯に属する時刻を光の照射開始時刻としてもよい。この場合も、制御部42は、照射開始時刻から所定の期間をかけて光源部43を徐々に明るくする制御を行うとよい。
[ケア情報に基づく光の照射開始時刻の決定]
なお、眠気の強い時間帯は、ケア情報によって示される他の施療内容に基づいて推定されてもよい。図10は、対象者Aの眠気が強い時間帯を推定する別の例を説明するための図である。
図10の例では、ケア情報において、対象者Aが13:00〜14:00の間に運動療法として平行棒歩行を行うことが示されている。この場合、運動療法が終了した後、1時間経過後から2時間経過前の期間(具体的には、15:00〜16:00)に眠気が強くなることが推定基準情報として記憶部45に記憶されていれば、制御部42は、ケア情報及び推定基準情報に基づいて対象者Aの眠気が強い時間帯を推定することができる。
なお、このような場合、運動療法の結果、対象者Aが仮眠をとってしまうことで対象者Aの睡眠のリズムが崩れてしまう場合がある。そこで、制御部42は、眠気が強い時間帯に光の照射を開始してもよい。上記の例では、制御部42は、15:00に光の照射を開始し、16:00に光の照射を終了してもよい。
このように、制御部42は、眠気が強くなると推定された時間帯に属する時刻を光の照射開始時刻としてもよい。これにより、対象者Aが仮眠をとってしまうことが抑制され、対象者Aの睡眠のリズムが崩れてしまうことを抑制することができる。
[健康状態情報に基づく光の照射開始時刻の決定]
制御部42は、目覚まし用途で対象者Aへの光の照射を行ってもよい。この場合、制御部42は、睡眠状態を示す健康状態情報に基づいて平均的な起床時刻を特定し、特定した平均的な起床時刻の所定時間前を照射開始時刻としてもよい。この場合、制御部42が照射開始時刻から所定の期間をかけて光源部43を徐々に明るくする制御を行うことにより、対象者Aを心地よく目覚めさせることができる。
[施療内容の変化に基づく光療法1]
光療法モードの動作において、制御部42は、ケア情報が示す施療内容の変化に基づいて光源部43の光の照射を制御してもよい。例えば、制御部42は、ケア情報が示す施療内容の変化に基づいて設定を変更してもよい。図11は、施療内容の変化に基づく設定の変更動作の第1フローチャートである。
制御部42は、過去の1週間の間に第1の設定で光の照射を行っている場合に(S61)、記憶部45に記憶された、服薬情報を含むケア情報を参照する。制御部42は、具体的には、ケア情報に含まれる服薬量を参照する(S62)。ここで、服薬量には、過去1週間の服薬量の実績(例えば、1日あたりの平均服薬量)と、翌1週間の服薬予定量(例えば、1日あたりの平均服薬予定量)が含まれるものとする。
次に、制御部42は、翌1週間の服薬予定量が過去1週間の服薬量の実績よりも少ないか否かを判定する(S63)。制御部42は、翌1週間の服薬予定量が過去1週間の服薬量の実績よりも少なくないと判定した場合(S63でNo)、動作を終了する。つまりこの場合、制御部42は、過去1週間と同じ第1の設定で光を照射する。
一方、制御部42は、翌1週間の服薬予定量が過去1週間の服薬量の実績よりも少ないと判定した場合(S63でYes)、第1の設定を第2の設定に変更して光を照射する(S64)。
この場合の第2の設定は、光療法において光の青色成分の積算照射量が第1の設定よりも多くなる設定である。つまり、この場合の第2の設定は、第1の設定よりも光療法の効果が大きいと考えられる設定である。
例えば、第2の設定は、出射光量、及び、出射光に含まれる青色成分の量が第1の設定と同一であり、光の照射時間が、第1の設定よりも長い設定である。また、第2の設定は、出射光に含まれる青色成分及び光の照射時間が第1の設定と同一であり、出射光量が、第1の設定よりも多い設定であってもよい。第2の設定は、光の照射時間及び出射光量が第1の設定と同一であり、出射光に含まれる青色成分の量が、第1の設定よりも多い設定であってもよい。青色成分の量は、例えば、制御部42が第二光源43bの明るさを調整することにより変更可能である。なお、第2の設定は、出射光量、光の照射時間、及び、出射光に含まれる青色成分の量の2つ以上が第1の設定と異なる設定であってもよい。
このように、制御部42は、取得されたケア情報の変化に基づいて、光源部43が対象者に照射する光の光量、対象者Aへの光の照射時間、及び、光源部43が対象者に照射する光に含まれる青色成分の量の少なくとも1つを制御する。例えば、対象者Aへの服薬量が減少したときに、青色成分の積算照射量が増えるように光が照射されることで、服薬量の減少を光療法によって補うことができる。
なお、制御部42は、対象者Aの健康状態に変化が無いことを設定変更の要件の1つとしてもよい。制御部42は、具体的には、健康状態情報に基づいて対象者Aの睡眠状態及び認知症レベルの少なくとも一方(または両方)に変化が無いと判定され、かつ、ケア情報に基づいて翌1週間の服薬予定量が過去1週間の服薬量の実績よりも少ないと判定された場合に、第1の設定を第2の設定に変更して光を照射してもよい。
[施療内容の変化に基づく光療法2]
図11に示される動作の例は、対象者Aの服薬量が少なくなる時期とほぼ同時期に光の照射の設定を変更することを想定した動作の例である。ここで、制御部42は、ケア情報において服薬量が少なくなる予定があることが示されている場合に、実際に服薬量が少なくなる前に試験的に光の照射の設定を変更してもよい。図12は、施療内容の変化に基づく設定の変更動作の第2フローチャートである。
制御部42は、第1の設定で光の照射を行っている場合に(S71)、記憶部45に記憶された、服薬情報を含むケア情報を参照する。制御部42は、具体的には、ケア情報に含まれる服薬量(服薬予定量を含む)を参照する(S72)。
次に、制御部42は、服薬予定量が減少する予定があるか否かを判定する(S73)。制御部42は、服薬予定量が減少する予定がないと判定した場合には(S73でNo)、動作を終了する。つまり、第1の設定での光の照射が継続される。
一方、制御部42は、服薬予定量が減少する予定があると判定した場合(S73でYes)、第1の設定を第2の設定に変更して光を照射する(S74)。ここで、図11の場合と異なり、図12では、第2の設定は、光療法において光の青色成分の積算照射量が第1の設定よりも少なくなる設定である。つまり、この場合の第2の設定は、第1の設定よりも光療法の効果が小さいと考えられる設定である。
例えば、第2の設定は、出射光量、及び、出射光に含まれる青色成分の量が第1の設定と同一であり、光の照射時間が、第1の設定よりも短い設定である。また、第2の設定は、出射光に含まれる青色成分及び光の照射時間が第1の設定と同一であり、出射光量が、第1の設定よりも少ない設定であってもよい。第2の設定は、光の照射時間及び出射光量が第1の設定と同一であり、出射光に含まれる青色成分の量が、第1の設定よりも少ない多い設定であってもよい。青色成分の量は、例えば、制御部42が第二光源43bの明るさを調整することにより変更可能である。なお、第2の設定は、出射光量、光の照射時間、及び、出射光に含まれる青色成分の量の2つ以上が第1の設定と異なる設定であってもよい。
このように、試験的に第1の設定よりも光療法の効果が小さい第2の設定で光の照射が行われても対象者Aの健康状態に変化が無い場合には、医師等の判断により、対象者Aの服薬量が減らされる。このような服薬量の減少は、ケア情報として情報端末30を介して入力され、照明装置40に送信される。
制御部42は、このようにして送信され、かつ、通信部41によって取得された(記憶部45に記憶された)ケア情報に基づいて、服薬量が実際に減ったか否かを判定する(S75)。この判定は、例えば、服薬量が実際に減るまで継続される(S75でNo)。
制御部42は、服薬量が実際に減ったと判定すると(S75でYes)、第2の設定を第1の設定に変更して(戻して)光を照射する。
以上のような動作例によれば、医師等は、光療法を試験的に弱めた期間の対象者Aの健康状態に基づいて、服薬量を実際に減らしてよいかを判断することができる。また、服薬量が実際に減ると、第2の設定が第1の設定に戻されるため、服薬量の減少を光療法によって補うことができる。このような動作の繰り返しにより、対象者Aの服薬量をスムーズに減らすことができる。言い換えれば、服薬療法(投薬療法)の副作用(人格崩壊または認知機能の低下)の発生、または、服薬の長期化が抑制される。
[表示部に表示される画像の例]
上述の動作例によれば、制御部42は、対象者Aの眠気が強くなる時間帯を推定し、光療法モードの動作における光の照射開始時刻を変更または決定することができる。ここで、制御部42は、対象者Aの眠気が強くなると推定される時間帯を示す情報を生成し、生成した情報を通信部41に送信させてもよい。同様に、制御部42は、光療法モードの動作における光の照射開始時刻を示す情報を生成し、生成した情報を通信部41に送信させてもよい。
これらの情報が情報端末30の通信部33によって受信されれば、端末制御部32は、対象者Aの眠気が強くなると推定される時間帯、及び、光療法モードの動作における光の照射開始時刻を示す画像を表示部34に表示させることができる。図13は、対象者Aの眠気が強くなると推定される時間帯、及び、光療法モードの動作における光の照射開始時刻を示す画像の一例を示す図である。
図13に示される画像においては、対象者Aの眠気が強くなると推定される時間帯、及び、光療法モードの動作における光の照射開始時刻(図13中で「光療法に適した時間」と記載)に加えて、推奨される対象者Aへの施療内容が示されている。
推奨される対象者Aへの施療内容は、具体的には、服薬量を減らすことである。制御部42は、睡眠状態を示す健康状態情報に基づいて、対象者Aの睡眠相が前進傾向でも後退傾向でもない中間状態であるか否かを判定することができる。制御部42は、対象者Aの睡眠相が中間状態である期間が所定期間(例えば、1カ月以上)続くと、服薬量を減らすことを提案するメッセージ(提案メッセージ)を表示するための情報を通信部41に送信させる。通信部33によってこのような情報が受信されると、端末制御部32は、提案メッセージを含む画像を表示する。
このように、端末制御部32は、表示部34に、対象者Aの眠気が強くなると推定される時間帯、光療法モードの動作における光の照射開始時刻、及び、推奨される対象者Aへの施療内容の少なくとも1つを表示させてもよい。これにより、情報端末30を操作するスタッフS等は、対象者Aの眠気が強くなると推定される時間帯、光療法モードの動作における光の照射開始時刻、及び、推奨される対象者Aへの施療内容の少なくとも1つを認識することができる。
[効果等]
以上説明したように、照明システム10は、対象者Aに光を照射する光源部43と、対象者Aへの施療内容を示すケア情報を取得する通信部41と、取得されたケア情報に基づいて光源部43の光の照射を制御する制御部42とを備える。通信部41は、取得部の一例である。
これにより、照明システム10は、光療法の対象者に、当該対象者の施療内容に応じた光療法を行うことができる。つまり、光療法の対象者に、当該対象者の状態に応じた光療法を行うことができる照明システム10が実現される。
また、制御部42は、取得されたケア情報に基づいて、光源部43が対象者Aに照射する光の光量、対象者Aへの光の照射時間、及び、光源部43が対象者Aに照射する光に含まれる青色成分の量の少なくとも1つを制御してもよい。
これにより、照明システム10は、対象者の施療内容に応じて、光源部43が対象者Aに照射する光の光量、対象者Aへの光の照射時間、及び、光源部43が対象者Aに照射する光に含まれる青色成分の量の少なくとも1つを変更することができる。
また、制御部42は、取得されたケア情報に基づいて、光源部43の対象者Aへの光の照射開始時刻を制御してもよい。
これにより、照明システム10は、対象者の施療内容に応じて、対象者Aへの光の照射開始時刻を変更することができる。
また、制御部42は、取得されたケア情報に基づいて対象者Aの眠気が強くなる時間帯を推定し、推定された時間帯の後の時刻を照射開始時刻としてもよい。
これにより、照明システム10は、対象者Aの眠気が強くなると推定される時間帯を避けて対象者Aに光を照射することができる。
また、制御部42は、取得されたケア情報に基づいて対象者Aの眠気が強くなる時間帯を推定し、推定された時間帯に属する時刻を照射開始時刻としてもよい。
これにより、照明システム10は、対象者Aの眠気が強くなると推定される時間帯に、対象者Aへ光を照射することができる。例えば、照明システム10は、対象者Aを覚醒させることができる。
また、制御部42は、照射開始時刻から所定の期間をかけて光源部43を徐々に明るくする制御を行ってもよい。
これにより、対象者Aが光の照射に順応しやすくなる効果が得られる。
また、照明システム10は、さらに、表示部34と、表示部34に、対象者Aの眠気が強くなると推定される時間帯、上記照射開始時刻、及び、推奨される対象者Aへの施療内容の少なくとも1つを表示させる端末制御部32とを備えてもよい。端末制御部32は、表示制御部の一例である。
これにより、表示部34を視認するスタッフS等は、対象者Aの眠気が強くなると推定される時間帯、光療法モードの動作における光の照射開始時刻、及び、推奨される対象者Aへの施療内容の少なくとも1つを認識することができる。
また、制御部42は、取得されたケア情報が示す施療内容の変化に基づいて光源部43の光の照射を制御してもよい。
これにより、照明システム10は、対象者Aの施療内容の変化を光療法によって補う制御ができる。
また、取得されたケア情報には、対象者Aの服薬量が含まれ、制御部42は、第1の設定で光源部43の光の照射を受けていた対象者の服薬量が減少する場合に、第1の設定を第1の設定と異なる第2の設定に変更して対象者Aへの光の照射を行ってもよい。
これにより、照明システム10は、対象者Aの服薬量の減少を光療法によって補う制御ができる。
また、通信部33は、さらに、対象者Aの健康状態を示す健康状態情報を取得してもよい。制御部42は、取得されたケア情報、及び、取得された健康状態情報に基づいて光源部43の光の照射を制御してもよい。
これにより、照明システム10は、例えば、図8に示されるような、健康状態情報及びケア情報の両方を用いた光源部43の光の照射の制御を行うことができる。
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態に係る照明システムについて説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施の形態では、睡眠薬の服薬量または服薬予定量に基づく光の照射制御について説明されたが、睡眠薬以外の薬の服薬量または服薬予定量に基づいて光の照射制御が行われてもよい。つまり、ケア情報には、睡眠薬以外の薬の服薬情報が含まれてもよい。
また、上記実施の形態で説明した装置間の通信方法については特に限定されるものではない。装置間で無線通信が行われる場合、無線通信の方式(通信規格)は、例えば、920MHz帯の周波数を利用した特定小電力無線であるが、Zigbee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)または、無線LAN(Local Area Network)などである。また、装置間においては、無線通信に代えて、有線通信が行われてもよい。有線通信は、具体的には、電力線搬送通信(PLC:Power Line Communication)または有線LANを用いた通信などである。
また、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよいし、複数の処理が並行して実行されてもよい。また、照明システムが備える構成要素の複数の装置への振り分けは、一例である。例えば、一の装置が備える構成要素を他の装置が備えてもよい。また、照明システムは、単一の装置として実現されてもよい。
また、照明システムは、クライアントサーバシステムとして実現されてもよい。例えば、上記実施の形態の情報端末が、施設内または施設外に配置されたサーバ装置とされ、照明装置がクライアント装置とされてもよい。この場合、情報端末は、例えば、健康状態取得装置から健康状態情報を取得し、上記実施の形態において照明装置が備える制御部が行った情報処理(モード切替、設定切替、光療法モードの動作における光の照射開始時刻の変更、対象者の眠気が強くなる時間帯の推定など)を行う。照明装置は、例えば、情報端末から送信される制御信号に基づいて受動的に動作する。
また、上記実施の形態において、制御部などの構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
また、制御部などの構成要素は、回路(または集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
また、本発明の全般的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD−ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。例えば、上記実施の形態の情報端末としてスマートフォンまたはタブレット端末などの汎用の携帯端末が利用される場合、本発明は、携帯端末(コンピュータ)を上記実施の形態の情報端末として機能させるためのアプリケーションプログラムとして実現されてもよい。また、本発明は、照明システムが実行する光の照射方法(光療法の実行方法)として実現されてもよい。また、本発明は、照明システムが備える照明装置として実現されてもよい。
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。