JP2019069084A - 光施療器 - Google Patents

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Abstract

【課題】光施療器として、生体リズム調整と覚醒度の向上とを1台で行うことである。【解決手段】光施療器20は、第1生体活性モードの光、第1生体活性モードよりも青色成分が大きい第2生体活性モードの光、及び、第1生体活性モードよりも光の青色成分が小さい第3生体活性モードの光の内の1つを照射する照射部22を備える。さらに、ユーザ8の光施療の要求を取得する施療用操作子と、ユーザ8の覚醒用光の照射要求を取得する覚醒用操作子と、照射部22の動作を制御する制御部40とを備える。制御部40は、施療要求信号を受信した場合は、照射部22の動作状態を第1活性状態に移行させ、覚醒要求信号を受信した場合は、覚醒要求信号の受信時刻に応じて、第1生体活性モードまたは不点灯状態から、第2生体活性モードまたは第3生体活性モードのいずれかに照射部22の動作状態を移行させる。【選択図】図2

Description

本開示は、生体リズムを調整する光施療を行う光施療器に関する。
生体は体内に計時機構を持ち、生体機能に関する周期現象を制御していることが知られているが、周期現象の一つとして、24時間から25時間周期のサーカディアンリズムと呼ばれるものがある。このような生体リズムとして代表的なものである睡眠と覚醒のリズムは、メラトニンの分泌量が深く関係しており、覚醒時にはメラトニン分泌量は抑えられている。
特許文献1では、室内照明として用いられる発光装置に生体リズム調整機能を持たせると、その点灯中は常に生体リズムに影響を与えることを指摘している。そして、光の波長とメラトニン分泌量との関係について、波長470nm近傍の青色光が最も高い分泌量抑制効果を示すと述べている。そこで、波長470nmを含む青色光を発する第1発光体と、これとは異なる発光ピーク波長を有する青色光を発する第2発光体とを選択的に点灯させる点灯制御部を備える発光装置及び表示装置を開示している。
特許文献2では、青色(皮膚の炎症を抑える効果)、黄色(ビタミン類の吸収を促進する効果)、赤色(皮膚の保湿効果)、近赤外光(肌の活性化を促進する効果)の4色のLEDを配置した光照射装置を述べている。ここでは、発光強度の強弱を制御するスイッチ、照射時間の長短を制御するスイッチ、電源スイッチ、タイマ機能を設定するスイッチを有する。例えば、発光開始時間を午前6時、発光パターンを白色に設定すると、午前6時に全部のLEDが点灯し太陽光に近い白色で発光するので健康的な目覚めが可能になると述べている。また、発光パターンの選択によって発光色を時間経過に従って変化させることで、精神的なリラックス効果を得ること、元気が出ること、覚醒すること等ができると述べている。
本開示に関連する参考情報として、生体リズムの24時間から25時間の周期の位相について、位相を前進させると睡眠に対し良い影響を与え、位相を後退させると睡眠に悪い影響を与えることが知られている。また、光照射の時期について、最低体温出現時間からの相対時間が12時間までの場合は位相を前進させる効果があり、12時間から24時間の間は位相を後退させる効果があることも報告されている。
また、赤色の光暴露を行うことで覚醒度が高くなることが報告されており、他の報告では、赤色光の心理的印象として活動度が高くなる結果が示されている。
また、非視覚的生理作用を引き起こすメラノプシン細胞の刺激感度は、それまでの光の順応状態によってその刺激感度が変わることが報告されている。例えば、暗い状態に順応しているメラノプシン細胞は、明るい状態に順応しているメラノプシンン細胞に比べて、光に対する感度が強くなる。
特開2005−063687号公報 特開2007−324026号公報
従来の光施療器は、生体リズム調整のために比較的強い光を照射するものが一般的である。一方で、生体リズム調整とは別に、生体リズム調整で必要とされている光量と比較して強い光を照射することで、覚醒度を享受できることが知られている。そこで、光施療器の照度を高めて、生体リズム調整と覚醒度の向上を1台に兼用させることが考えられる。
しかし、覚醒度を向上させる光を生体リズム調整に必要な光として使用すると、覚醒用の強い光がまぶしく感じ、生体リズム調整に必要な暴露時間の間、例えば2時間の間、まぶしい光を受け続けることが困難である。
本開示の目的は、生体リズム調整と覚醒度の向上とを1台で行うことを可能にする光施療器を提供することである。
本開示に係る光施療器は、生体リズムを調整する光施療を行う第1生体活性モード、光施療の光よりも高い照度で睡眠に影響を与える光を照射して一時的覚醒を生じさせる第2生体活性モード、及び、光施療の光よりも睡眠に影響を与えないが覚醒効果を有する光を照射して一時的覚醒を生じさせる第3生体活性モードの照射モードを有する光施療器であって、第1生体活性モードの光、第1生体活性モードよりも青色成分が大きい第2生体活性モードの光、及び、第1生体活性モードよりも光の青色成分が小さい第3生体活性モードの光の内の1つを照射する照射部と、ユーザの光施療の要求を取得し施療要求信号を出力する施療用操作子と、ユーザの覚醒用光の照射要求を取得し覚醒要求信号を出力する覚醒用操作子と、照射部の動作を制御する制御部と、時間情報を制御部に送信する計時部と、を備え、制御部は、施療要求信号を受信した場合は、照射部の動作状態を第1生体活性モードに移行させ、覚醒要求信号を受信した場合は、覚醒要求信号の受信時刻に応じて、第1生体活性モードまたは不点灯状態から、第2生体活性モードまたは第3生体活性モードのいずれかに照射部の動作状態を移行させることを特徴とする。
上記構成の光施療器によれば、生体リズム調整と覚醒度の向上とを1台で行うことが可能となる。
実施の形態に係る光施療器のブロック図である。 実施の形態に係る光施療器の使用状態における構成図である。 実施の形態に係る光施療器に用いられる据置型の照射部の例を示す図である。 実施の形態に係る光施療器に用いられるウェアラブル型の照射部の例を示す図である。 実施の形態に係る光施療器において、生体リズムの調整と覚醒度の向上とを使い分ける手順を示すフローチャートである。 図5において、第2生体活性モードと第3生体活性モードの使い分けに関する部分を示すブロック図である。 図5において、第2生体活性モードに関する手順の部分を抜き出して示す図である。 図5において、第1生体活性モードに関する手順の部分を抜き出して示す図である。 実施の形態に係る光施療器において、第1生体活性モードの光の照射と第2生体活性モードの光の照射とがある場合の総照射時間を示す図である。 実施の形態に係る光施療器において、第1生体活性モードから第2生体活性モードに移行する方法を示す図である。 第2生体活性モードの光の照射のまぶしさによる不快度について、正面からの照射と斜めからの照射とを比較する図である。 実施の形態に係る光施療器において、図11の結果を反映させて、第1生体活性モードから第2生体活性モードに移行する方法を示す図である。
本開示の実施の形態における光施療器は、コンピュータを備えている。このコンピュータがプログラムを実行することによって、本開示における光施療器の機能が実現される。コンピュータは、プログラムにしたがって動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、プログラムを実行することによって機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、半導体集積回路(IC)、またはLSI(large scale integration)を含む1つまたは複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集積されてもよいし、複数のチップに設けられてもよい。複数のチップは1つの装置に集約されてもよいし、複数の装置に備えられてもよい。プログラムは、コンピュータが読み取り可能なROM、光ディスク、ハードディスクドライブなどの非一時的記録媒体に記憶される。プログラムは、記録媒体に予め格納されてもよいし、インターネット等を含む広域通信網を介して記録媒体に供給されてもよい。
以下に図面を用いて、本開示の実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる光の波長、光の色、照度、照射時間等は、説明のための例示であって、光施療器の仕様等に応じて適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、光施療器20のブロック図であり、図2は、光施療器20の使用状態における構成図である。図2では、光施療器20の構成要素ではないが、光施療器20のユーザ8が示される。
光施療器20は、ユーザ8に光を照射する照射部22と、ユーザ8の照射に関する要求を取得する入力部24と、照射部22の動作を制御する制御部40とを備える。
光施療器20は、ユーザ8に所定の照射モード42の光を照射する。所定の照射モード42は、第1生体活性モード44、第2生体活性モード46、及び、第3生体活性モード48である。第1生体活性モード44は、ユーザ8の生体リズムを調整する光施療を行う光を照射する照射モード42である。第2生体活性モード46と第3生体活性モード48は、ユーザ8に一時的覚醒を生じさせる光を照射する照射モード42である。第2生体活性モード46は、光施療の光よりも高い照度で睡眠に影響を与える光を照射して一時的覚醒を生じさせる照射モード42である。これに対し、第3生体活性モード48は、光施療の光よりも睡眠に影響を与えないが、覚醒効果を有する光を照射して一時的覚醒を生じさせる照射モード42である。このように、光施療器20は、1台で、ユーザ8の生体リズムを調整する光施療機能と、ユーザ8に一時的覚醒を与える覚醒機能とを併せ持つ。
第1生体活性モード44の光は、生体リズムの調整を行う光で、照射部22の発光部23から照射され、ユーザ8の顔面上で1000〜2000lxの照度に設定された光である。照度の設定に代えて、照度と同様の生体リズム調整作用が働くメラトニン作用量を用いて照射量の設定をしてもよい。
また、生体リズムを調整するためにユーザ8が受ける受光量は、照度と照射時間の積算累積値であるので、照度をユーザ8の顔面上で100〜200lxの一般的な住宅照明の照度として、必要な受光量を満たす照射時間を設定してもよい。例えば、光施療に必要な受光量を一般的な2500lx・hourとすると、2000lxの照度で照射する場合は、1.25hour=75分の照射が必要である。これに代えて、200lxの一般的な住宅照明で、750分=12時間30分の照射を行っても同じ光施療の効果を有する。
第2生体活性モード46の光は、一時的覚醒用の光であるので、照射部22の発光部23から照射され、ユーザ8の顔面上で3000〜5000lxの照度に設定された光である。さらに、発光部23の平均輝度(単位:nt)を、第1生体活性モード44の照射における発光部23の輝度より高くする。光の波長としては、覚醒効果を高めるために、第1生体活性モード44の光よりも青色成分が大きい光とする。ここでの青色とは、380nm〜500nmの範囲の波長の光の色である。第1生体活性モード44の光を空色とすると、第2生体活性モード46の光は、青白い光である。
第3生体活性モード48の光は、第1生体活性モード44の光と第2生体活性モード46の光がともに生体の時計細胞に作用して生体リズムを変化させるのに対し、生体の時計細胞に作用せず、心理的に活動的あるいは興奮的となって覚醒効果を有する光である。光の波長としては、第1生体活性モード44の光よりも青色成分が小さい光とする。極限的には、青色成分を極端に少なくし、あるいは青色成分を全く有しない光としてもよい。参考情報で述べたように、赤色の光は、心理的印象を与えて覚醒効果がある。以下では、第3生体活性モード48の光を赤色の光とする。第3生体活性モード48の光の照度は低くてもよい。
光施療器20は、上記3つの照射モード42以外の照射モード42を有してもよい。例えば、精神的なリラックス効果を有する光の照射モード42、朝の太陽光とほぼ同じ白色の光の照射モード42等を有してもよい。
照射部22は、略矩形の発光部23を有し、ユーザ8の顔面の正面に向かって光を照射する照明装置である。照射部22は、制御部40の制御の下で、第1生体活性モード44の空色の光、第2生体活性モード46の青白い光、第3生体活性モード48の赤色の光の内の1つを発光部23から放射する。照射部22の動作状態は、第1生体活性モード44、第2生体活性モード46、第3生体活性モード48、及び不点灯状態の4つである。
図2に示す発光部23の略矩形の部分は、光を均一に放射させるための拡散板等で、その背面に、発光体である複数のLED(Light Emission Device)が配置される。発光体は、異なる波長のLEDをマトリクス状に配置し、各LEDの発光制御によって、第1生体活性モード44の光の照射、第2生体活性モード46の光の照射、第3生体活性モード48の光の照射を切り替える。これに代えて、第1生体活性モード44の空色を発光するLED、第2生体活性モード46の青白い色を発光するLED、第3生体活性モード48の赤色を発光するLEDをそれぞれ独立に設け、制御部40の指令に応じて、いずれか1つを発光させてもよい。
図2の照射部22の形態は、説明のための例示であって、発光部23の形状は略矩形以外でもよく、照射方向はユーザ8の顔面の正面以外でもよい。他の例として、図3に据置型、図4にウェアラブル型を示す。図3(a)は、矩形以外の形状としての楕円形の発光部50の例である。略矩形、略楕円形の他、円形、多角形の形状の発光部23であってもよい。
図3(b)は、机面に設置され下方照射型の発光部51の例で、ユーザ8は顔面を机面の方に向けて照射を受ける。(c)は、上方照射型の発光部52の例で、ユーザ8は顔面を上向きとして光照射を受ける。(d)は、両側面照射型の発光部53の例で、ユーザ8は、顔面を左右に回すことなく、側面から光の照射を受ける。図4は、発光部54が眼鏡の枠に沿って配置されたウェアラブル型の例である。(a)は、発光部54を有する眼鏡を示す図で、(b)はユーザ8が装着した図である。
図1、図2に戻り、入力部24は、光施療に関するユーザ8の要求を受け取るユーザ操作子である。図2の例では、照射部22の下方側に設けられた3つの押しボタンが入力部24である。3つの押しボタンは、施療用操作子26と、覚醒用操作子28と、手動オフボタン30である。
施療用操作子26は、ユーザ8の光施療の要求を取得し施療要求信号を出力する操作子である。ユーザ8が施療用操作子26をオンすると、制御部40が施療要求信号を受け取り、照射部22に対し、不点灯状態から第1生体活性モード44へ移行させる制御を行う。
覚醒用操作子28は、ユーザ8の覚醒用光の照射要求を取得し覚醒要求信号を出力する操作子である。ユーザ8が覚醒用操作子28を押してオンさせると、制御部40が覚醒要求信号を受け取り、照射部22に対し、既に第1生体活性モード44の状態にある場合は第2生体活性モード46または第3生体活性モード48の状態に移行させる制御を行う。照射部22が不点灯状態の場合にユーザ8が覚醒用操作子28を押してオンさせた場合には、制御部40は、直接的に、第2生体活性モード46または第3生体活性モード48の状態に移行させる制御を行う。これらの移行に関する内容は後述する。
手動オフボタン30は、ユーザ8の照射停止要求を取得し手動オフ信号を出力する操作子である。ユーザ8が手動オフボタン30を押してオンさせると、制御部40が手動オフ信号を受け取り、照射部22に対し、既に照射中の光の照射を強制的に停止させ、不点灯状態に移行させる制御を行う。
ユーザ操作子は、押しボタン型の操作子以外に、左右倒れスイッチ型の操作子、スライドバー型の操作子でもよく、タッチパネル型の操作子でもよい。タッチパネル型の操作子を照射部22の発光部23に組み込むタイプでもよい。また、上記では施療用操作子26と覚醒用操作子28とは別に手動オフボタン30を設けたが、施療用操作子26と覚醒用操作子28をオンオフボタンとし、押し操作毎にオンとオフとが繰り返すタイプとして、手動オフボタン30を省略してもよい。これらに代えて、図2に示すユーザ8の携帯端末16を用いて無線通信を用いて光施療器20と交信し、ユーザ8の光施療の要求、覚醒用光の照射要求、照射停止要求を送信してもよい。
表示部32は、照射モード42の種別、照射時間等を表示するデバイスである。これらの表示には、液晶ディスプレイを用いてもよい。照射モード42の種類の表示は、インジケータを用いてもよい。
表示部32は、さらに、第3生体活性モード48の光の照度が第1生体活性モード44の光の照度よりも低く設定される場合に、照射部22が第3生体活性モード48の光の照射を行う際に、ユーザ8に対しその旨を知らせる機能を有する。第3生体活性モード48の光の照射について表示するのは、高い照度の青白い光の第1生体活性モード44から、低い照度で赤色の光の第3生体活性モード48に変わると、故障ではないか、とユーザ8が不安に感じる可能性があるためである。そこで、表示部32に、例えば、「赤い光に変わります。赤い光は、睡眠に影響が少なく覚醒効果があります。」等のメッセージを表示する。表示は、ディスプレイに文字表示してもよく、音声を流してもよい。音声の場合は、照射開始時等のみでよいが、ディスプレイの場合は、照射開始時及び照射中に表示することがよい。音声表示とディスプレイ表示とを併用してもよい。
表示部32に代えて、ユーザ8の携帯端末16の表示機能部を用いてもよい。あるいは、光施療器20とは別の端末の表示機能部を用いてもよい。これらの場合には、携帯端末16の表示機能部、光施療器20とは別の端末の表示機能部が表示部32となる。
通信部34は、受信回路と送信回路等を有し、光施療器20の外部の装置等と制御部40との間で信号のやり取りを行う回路である。無線通信方法としては、例えば、WiFi、ZigBee、Bluetooth(登録商標) Low Energy等を用いてよい。外部の装置等として、図1に、ユーザ照度検出部10と、生体リズム関連情報部12を示し、図2に、ユーザ8の携帯端末16を示す。携帯端末16は、スマートフォン等の携帯電話、タブレット端末等である。
ユーザ照度検出部10は、ユーザ8が受ける光の照度(単位:lx)を検出し、検出した照度データを、無線通信によって通信部34を介して制御部40に送る機器である。ユーザ照度検出部10は、フォトダイオード等の光検出素子と、送信回路等を含んで1つのパッケージにまとめたデバイスで、ユーザ8の目の近傍の着衣に装着される。図2の例では、ユーザ8の右肩に配置される。
生体リズム関連情報部12は、ユーザ8の生体リズムの観点に立った夕刻時間に関連する情報を取得し、生体リズム関連情報として、無線通信によって通信部34を介して制御部40に送るデバイスである。生体リズムの観点に立った夕刻時間とは、人間の体が夜になったと感じる時間で、夕刻時間以後に強い光を照射すると睡眠と覚醒のリズムで代表される生体リズムが乱される。
参考情報で述べたように、睡眠に関連するメラトニンの再分泌は、ユーザ8が起床した時間から12〜14時間後に始まり、メラトニンの再分泌によって人間の体は、「夜になった」と認識すると言われている。そこで、生体リズム関連情報として、ユーザ8の当日の起床時間を用い、起床時間の12〜14時間後をユーザ8の夕刻時間とできる。一例を挙げると、ユーザ8の起床時間が午前5時であれば、そのユーザ8についての夕刻時間を起床時間の14時間後の19時とできる。
ユーザ8の起床時間を自動的に検出する方法としては、ユーザ8に加速度センサや心拍センサ等を装着してユーザ8の活動量を検出する方法がある。あるいは、ユーザ8のベッドや個室内にセンサマット等を配置してユーザ8の活動量を検出してもよい。これらの方法によって、ユーザ8の活動量が大きく変化する時を起床時間とできる。これらの場合には、加速度センサ、心拍センサ、センサマットによって検出されたデータ等が、生体リズム関連情報部12に相当する。
ユーザ8の起床時間は、ユーザ8が自己申告してもよい。例えば、図2に示すユーザ8の携帯端末16を用いて、予め定めた送信フォーマットに従い、当日の起床時間を生体リズム関連情報として、通信部34を介して制御部40に送信する。この場合には、携帯端末16に入力された自己申告の起床時間データが、生体リズム関連情報部12に相当する。
他の方法として、参考情報で述べたように、ユーザ8の最低体温出現時間から12時間以後の光照射は、位相を後退させる働きがあると言われているので、ユーザ8の最低体温出現時間を生体リズム関連情報としてもよい。最低体温出現時間はユーザ8によって異なると考えられるが、一般的に、人の体温の最低時間は午前4時と言われているので、この場合には、午前4時の12時間後の午後4時を生体リズムの観点に立った夕刻時間とできる。
ユーザ8に体温検出センサを装着し、そのデータに基づいてユーザ8の最低体温出現時間を生体リズム関連情報として、制御部40に送信し、制御部40において、送信されてきた最低体温出現時間に基づいて夕刻時間を算出してもよい。また、生体リズムの位相が分かればよいので、例えば、メラトニンの分泌終了時間、メラトニンの分泌周期等を、生体リズム関連情報としてもよい。これらの場合は、体温検出センサ、メラトニン分泌検出センサによって検出されたデータ等が、生体リズム関連情報部12に相当する。
図1、図2の計時部36は、時間情報を制御部40に送信するデバイスである。計時部36は、時計機能とタイマ計時機能とを有する。時計機能は、現在時間を制御部40に送信する。タイマ計時機能は、制御部40の指示によって、計時の開始と計時の終了を行い、開始時間から終了時間との間の計時時間を制御部40に送信する。タイマ計時機能によって、例えば、照射時間の計時等を制御部40の指示の下で行う。
記憶部38は、制御部40が実行するプログラムを格納し、各種設定値及び各種データ等を記憶するメモリである。各種設定値には、夕刻時間の設定値が含まれる。各種データには、制御部40の指示で計時部36が計時した照射時間のデータが含まれる。
制御部40は、入力部24から送信される施療要求信号、覚醒要求信号、手動オフ信号に基づき、ユーザ照度検出部10及び生体リズム関連情報部12から通信部34を介して送信されてくるデータ等を用いて、照射部22の動作を制御するコンピュータである。
通信部34、計時部36、記憶部38、制御部40は、回路部分であるので、照射部22とは別の筐体21にまとめて配置される。図2では、照射部22と筐体21とが分離可能に示されているが、照射部22と筐体21とを一体化した光施療器20としてもよい。
上記構成の光施療器20の作用、特に制御部40による照射部22の動作制御について、図5から図12を用いて詳細に説明する。初めに、図5を用いて、光施療器20における動作制御の手順の全体を述べ、その後に、主な手順の詳細な内容について、図6〜図12を用いて述べる。
図5は、光施療器20において、生体リズムの調整と覚醒度の向上とを使い分ける手順を示すフローチャートである。図5において、ユーザ8によって行われる手順は破線枠で囲み、制御部40が実行する手順は実線枠で囲んで示す。
光施療器20において、図2に図示しない電源スイッチがオンされると、制御部40等の回路部分の初期化が行われる。照射部22の初期の動作状態は、図5で「S」と示す不点灯状態である(S10)。なお、計時部36の時計機能は光施療器20が内部に有する電池によってバックアップされているので、現在時間は常時計時されている。
制御部40は、入力部24の状態について、ユーザ操作子が押されたかどうかを常に見る(S12)。ユーザ操作子の操作は、ユーザ8によって行われるので、S12の手順は破線枠で示される。ユーザ8が施療用操作子26を押すと、施療要求信号が制御部40に出力され、覚醒用操作子28を押すと、覚醒要求信号が制御部40に出力される。
制御部40が施療要求信号を取得する(S14)と、制御部40は、照射部22の動作状態を不点灯状態(S10)から第1生体活性モード(S20)へ移行させる。一方、制御部40が覚醒要求信号を取得する(S16)と、S26の手順に進む。
第1生体活性モード(S20)において、照射部22は、発光部23から第1生体活性モード44の光を放射し、ユーザ8に照射する。その第1生体活性モード44の状態において、制御部40は、手動オフボタン30が操作されていないか否かを見る(S22)。ユーザ8が手動オフボタン30を押すと、S22の判断は否定され、制御部40は手動オフ信号を受け取り、照射部22の動作状態を、第1生体活性モード44から不点灯状態に移行させる。これによって、照射部22は照射を停止して、不点灯状態(S10)に戻る。手動オフボタン30の操作はユーザ8によって行われるので、S22の手順は破線枠で示される。
ユーザ8が手動オフボタン30を押していない場合は、S22の判定が肯定され、次に、制御部40は、覚醒用操作子28が操作されたか否かを見る(S24)。ユーザ8が覚醒用操作子28を押すと、S24が肯定される。ユーザ8が覚醒用操作子28を押す場合とは、ユーザ8が、生体リズムの調整のために第1生体活性モード44の光の照射を受けているが、眠いので覚醒したいと考え、照射モード42の切替(モード切替)を要求する場合である。覚醒用操作子28の操作はユーザ8によって行われるので、S24の手順は破線枠で示される。
ユーザ8が覚醒用操作子28を押すと、制御部40は、入力部24から覚醒要求信号を受信する。すでに述べたS16も、ユーザ8が覚醒用操作子28を押した場合で、制御部40は、入力部24から覚醒要求信号を受け取る。この2つの場合のいずれにおいても、制御部40は、覚醒要求信号を受信した時点である受信時刻に応じて、照射部22の動作状態を移行させる。具体的には、受信時刻が、予め定めた夕刻時間より前か否かを判定する(S26)。一方、ユーザ8が覚醒用操作子28を押さない場合には、S24の判定が否定され、第1生体活性モード44の状態がそのまま維持され、S36へ進む。
S26において、覚醒要求信号の受信時刻と、予め定めた夕刻時間とを比較するのは、受信時刻において、ユーザ8の生体リズムが「夜」になっているか否かを判定するためである。覚醒要求信号の受信時刻が夕刻時間より前であれば、ユーザ8の生体リズムは「夜」より前の状態であるので、睡眠に影響を与える第2生体活性モード46の光を照射してもよい。覚醒要求信号の受信時刻が夕刻時間以後であると、睡眠に影響を与える第2生体活性モード46の光を照射しないことがよい。ここで、ユーザ8は覚醒要求をしているので、夕刻時間以後の時間においては、睡眠に影響を与えないが覚醒効果がある第3生体活性モード48の光をユーザ8に照射する。
予め定めた夕刻時間は、生体リズム関連情報部12から送信されてくるユーザ8の起床時間に基づいて算出され、記憶部38に記憶される。制御部40は、(予め定めた夕刻時間)={(起床時間)+14時間}の関係式を用いて算出された時間をユーザ8の夕刻時間に設定して、記憶部38に記憶する。光施療器20を複数のユーザ8で利用する場合は、予めユーザ8の識別情報を定め、その識別情報に関連づけて夕刻時間を記憶し、光施療器20の電源をオンした直後等に、初期設定として、利用するユーザ8の識別情報を入力することがよい。
S26において、制御部40は、覚醒要求信号の受信時刻を計時部36から取得し、さらに記憶部38を検索してユーザ8の夕刻時間を取得し、その比較を行う。一例を挙げると、生体リズム関連情報部12から送信されてくるユーザ8の起床時間を午前5時とすると、ユーザ8の夕刻時間は、{(5時+14時間)=19時}に設定される。
例えば、覚醒要求信号の受信時刻が午後2時である場合は、午後2時は19時より前であるので、S26の判定が肯定される。他の例として、覚醒要求信号の受信時刻が午後8時である場合は、午後8時は19時以後であるので、S26の判定が否定される。
S26の判定が肯定される場合は、制御部40は、照射部22の動作状態を第2生体活性モード46に移行させる(S30)。S26において、覚醒要求信号の受信がS16に基づく場合は、照射部22の動作状態を、不点灯状態から第2生体活性モード46に移行させる。覚醒要求信号の受信がS24に基づく場合は、照射部22の動作状態を、第1生体活性モード44から第2生体活性モード46に移行させる。S26の判定が否定される場合は、第3生体活性モード48に移行させる(S40)。
第2生体活性モード(S30)において、照射部22は、発光部23から第2生体活性モード46の光を放射し、ユーザ8に照射する。第2生体活性モード46は、覚醒のために3000〜5000lxの高い照度の光の照射モード42であるので、長時間の照射でなくても予め定めた照射時間で十分覚醒できる。一例を挙げると、約30分の照射で十分である。したがって、制御部40は、S30に移行した時間を第2生体活性モード46の照射開始時間とし、予め定めた照射時間が満了した時点である照射満了時刻を照射開始時間から30分後として、計時部36に照射時間の計時と、照射満了時刻になった時に満了信号を送信させる指示を行う。
そして、制御部40は、手動オフボタン30が操作されていないか否か(S32)を見る。S32の内容は、S22の内容と同様であるので、詳細な説明を省略する。S32の判定が肯定され、手動オフボタン30が押されていない場合は、所定照射時間が満了したか否かを判定する(S34)。S32,S34の判定は、制御部40が計時部36から満了信号を受信するまで継続される。
S34の判定が肯定される場合には、次に、所定照射時間が満了した満了時刻が夕刻時間より前か否かが判定される(S36)。満了時刻が夕刻時間より前の場合は、S36の判定が肯定され、S38に進む。満了時刻が夕刻時間以後の場合は、S36の判定が否定され、制御部40は、第2生体活性モード46から不点灯状態に照射部22の動作状態を移行させる。これによって、照射部22は照射を停止して、不点灯状態(S10)に戻る。上記では、満了時刻に到達してからS36の判定を行うものとしたが、S36の判定をS34と並列的に実行するものとし、満了時刻と夕刻時間のいずれかが到達した場合に、第2生体活性モード46から不点灯状態に照射部22の動作状態を移行させてもよい。
S36の判定が肯定されるのは、満了時刻が夕刻時間より前の場合である。この場合、ユーザ8について、光施療のための照射がまだ不十分か否かが判定される(S38)。光施療のための照射が十分か不十分かの判定の詳細については後述する。
S38の判定が肯定される場合は、S34の満了時刻において、覚醒のための光照射は十分であるが、光施療のための光照射がまだ不十分な場合である。制御部40は、照射部22の動作状態を、第2生体活性モード46から第1生体活性モード44に移行させる。図5のフローチャートでは、S20に戻す。S38の判定が否定される場合は、S34の満了時刻において、光施療のための照射が十分な場合であるので、これ以上の光の照射は不要となり、照射部22の動作状態を、第2生体活性モード46から不点灯状態に移行させる。
すでに述べたS24の判定が否定された場合、すなわち、覚醒用操作子28が押されず、モード切替が行われず、そのまま第1生体活性モード44の状態が継続している場合においても、上記S36,S38と同様な処理手順が行われる。すなわち、S24の判定が否定されて第1生体活性モード44が継続している場合は、現在時間が夕刻時間より前か否かが判定される。上記S36では、満了時刻が夕刻時間より前か否かが判定されているので、異なるのは、夕刻時間と比較される対象が、第2生体活性モード46の所定照射時間の満了時刻でなく、継続している第1生体活性モード44の現在時間であることである。そこで、図5では、その相違について「満了時刻」を「現在時間」と読み替えることとして、夕刻時間より前か否かの判定の手順を、共にS36と扱う。
現在時間が夕刻時間より前の場合は、S36の判定が肯定され、S38に進む。現在時間が夕刻時間以後の場合は、S36の判定が否定され、制御部40は、第1生体活性モード44から不点灯状態に照射部22の動作状態を移行させる。これによって、照射部22は照射を停止して、不点灯状態(S10)に戻る。
S36の判定が肯定されるのは、満了時刻が夕刻時間より前の場合である。この場合、ユーザ8について、光施療のための照射がまだ不十分か否かが判定される(S38)。光施療のための照射が十分か不十分かの判定の詳細については後述する。
S38の判定が肯定される場合は、現在時間において、光施療のための光照射がまだ不十分な場合である。制御部40は、照射部22の動作状態を第1生体活性モード44のままとして継続させる。図5のフローチャートでは、S20に戻す。S38の判定が否定される場合は、現在時間において、光施療のための照射が十分な場合であるので、これ以上の光の照射は不要となり、照射部22の動作状態を、第1生体活性モード44から不点灯状態に移行させる。
すでに述べたように、S26において判定が否定されると、制御部40は照射部22の動作状態を第3生体活性モード48に移行させる(S40)。第3生体活性モード(S40)においては、既に夕刻時間以後であるので、覚醒のために赤色の光の照射が行われる。この赤色の光の照射も、第2生体活性モード46の光と同様に、長時間の照射でなくても、予め定めた照射時間で十分覚醒できる。一例を挙げると、約30分の照射で十分である。したがって、制御部40は、S40に移行した時間を第3生体活性モード48の照射開始時間とし、予め定めた照射時間が満了した時点である照射満了時刻を照射開始時間から30分後として、計時部36に照射時間の計時と、照射満了時刻になった時に満了信号を送信させる指示を行う。そして、制御部40は、手動オフボタン30が操作されていないか否か(S42)を見る。S42の内容は、S22,S32の内容と同様であるので、詳細な説明を省略する。S42の判定が肯定され、手動オフボタン30が押されていない場合は、所定照射時間が満了したか否かを判定する(S44)。S42,S44の判定は、制御部40が計時部36から満了信号を受信するまで継続される。制御部40は、満了信号を受信すると、第3生体活性モード(S40)から不点灯状態(S10)に照射部22の動作状態を移行させる。
以上で、光施療器20における動作制御の手順の全体を示す図5の説明が終わったので、次に、主な手順の詳細な内容について、図6〜図12を用いて述べる。
図6は、第2生体活性モード46と第3生体活性モード48とを使い分けるS26に関する部分を図5等から抜き出して書き替えたブロック図である。制御部40は、不点灯状態(S10)から覚醒用操作子28がオンされた場合(S16)、及び、第1生体活性モード44から覚醒用操作子28がオンされた場合(S24の判定が肯定)の場合に、覚醒要求信号の受信時刻を取得する。また、生体リズム関連情報部12から送信されてくるユーザ8の起床時間に基づいて算出し設定された夕刻時間を記憶部38から読み出す。そして、受信時刻を夕刻時間と比較(S26)し、受信時刻が夕刻時間より前の場合(S30)は、第2生体活性モード46に移行させ、受信時刻が夕刻時間以後の場合(S40)は、第3生体活性モード48に移行させる。このようにして、ユーザ8の生体リズムに合わせて、覚醒要求を満たすための適切な光を照射できる。
図7は、図5における第2生体活性モード46についての処理手順の部分を抜き出し、第2生体活性モード(S30)、第1生体活性モード(S20)、不点灯状態(S10)の間で照射部22の動作状態が移行される関係をまとめた図である。
制御部40は、第2生体活性モード46が照射開始から予め定めた所定照射時間を満了し(S34が肯定)、満了時刻が夕刻時間以後の場合(S36が否定)は、第2生体活性モード(S30)から不点灯状態(S10)に移行させる。満了時刻が夕刻時間より前の場合(S36が肯定)は、当日における照射が適切か否かに応じて、第2生体活性モード(S30)からの移行に関する移行判断を行う。当日の照射が不十分の場合(S38が肯定)は、第2生体活性モード(S30)から第1生体活性モード(S20)に移行させる。当日の照射が十分な場合(S38が否定)は、第2生体活性モード(S30)から不点灯状態(S10)に移行させる。S36の判定をS34と並列的に実行してもよい。これらの手順によって、生体リズム調整のための第1生体活性モード(S20)への移行がスムーズに行われ、また、照射が不要な場合に自動的に不点灯状態に移行する。
図8は、図5における第1生体活性モード44についての処理手順の部分を抜き出し、照射部22の動作状態について、第1生体活性モード(S20)の継続、第1生体活性モード(S20)から不点灯状態(S10)への移行の関係をまとめた図である。
制御部40は、第1生体活性モード(S20)の状態において、現在時間が夕刻時間以後の場合(S36が否定)は、照射部22の動作状態を第1生体活性モード(S20)から不点灯状態(S10)に移行させる。現在時間が夕刻時間より前の場合(S36が肯定)は、当日における照射が十分か否かを判定する。当日の照射が不十分の場合(S38が肯定)は、第1生体活性モード(S20)を継続する。当日の照射が十分な場合(S38が否定)は、第1生体活性モード(S20)から不点灯状態(S10)に移行させる。これらの手順によって、照射が不要な場合に自動的に不点灯状態に移行するので、最低限の光施療時間にできる。
図9は、図5のS38において、光施療のための照射が十分か不十分かの判定を行う場合に用いられる照射時間の算出方法を示す図である。以下に述べる照度、照射時間は、説明のための例示であって、光施療器20の仕様等によって適宜変更が可能である。光施療器20において、ユーザ8の生体リズムに影響する光の照射として、第1生体活性モード44の光の照射と第2生体活性モード46の光の照射とがある。
ユーザ8が当日において第1生体活性モード44の光の照射のみを受けている場合は、第1生体活性モード44の光の照射時間を、光施療に必要な照射時間として予め定めた閾値照射時間Tth以上か未満かを判定すればよい。光施療に必要な受光量は、一般的な2500lx・hourであるので、第1生体活性モード44の光の照度を2000lxとして、{(2500lx・hour)/2000lx}=1.25時間を閾値照射時間Tthとできる。
ユーザ8が、第1生体活性モード44の光の照射と第2生体活性モード46の光の照射とを受けている場合は、第1生体活性モード44の照射時間T1と、第2生体活性モード46の照射時間T2とを用いて、光施療に用いられた総照射時間TAを算出する。図5のS38において、光施療のための照射が十分か不十分かの判定は、総照射時間TAと閾値照射時間Tthとを比較し、TA<Tthの場合は、照射はまだ不十分な未達状態とし、TA≧Tthの場合に、照射は十分で適切に達成されたとする。
総照射時間TAの算出の第1の方法を図9(a)に示す。図9(a)は、{(第1生体活性モード44の照射時間T1)+(第2生体活性モード46の照射時間T2)}=(総照射時間TA)とする方法を示す。光施療に十分な照射か否かは、照度と照射時間の積算累積値である受光量で評価されるが、光施療器20においては、第1生体活性モード44も第2生体活性モード46も、光の照度は予め設定され、時間に対し変化しない。さらに、第2生体活性モード46の照射時間は第1生体活性モード44の照射時間に対し短時間である。これらのことから、ユーザ8が当日に受けた全受光量の多寡は、照射時間の単純総和である総照射時間TAでおおよそ評価できる。
制御部40は、第1生体活性モード44の光、及び第2生体活性モード46の光の照射を照射部22に指示する毎に、その照射時間の計時を計時部36に指示する。そして、計時された各照射毎の照射時間を、第1生体活性モード44の照射時間T1と第2生体活性モード46の照射時間T2とを区別せずに、記憶部38に記憶する。制御部40は、S38の判定において、記憶部38から記憶されている各照射時間を読み出し、全部を合計して総照射時間TAとし、これを閾値照射時間Tthと比較する。
図9(a)の縦軸は、総照射時間TAで、閾値照射時間Tthが示されている。横軸には、照射例として、C1,C2を示す。C1は、照度が2000lxに設定された第1生体活性モード44の光のみを1.1hour照射した例である。C2は、2000lxの第1生体活性モード44の光を1.0hour照射し、照度が5000lxに設定された第2生体活性モード46の光を0.1hour照射した例である。C1においては、第1生体活性モード44の照射のみであるので、総照射時間TA=1.1hourである。C2においては、(第1生体活性モード44の照射時間T1)=1.0hourで、(第2生体活性モード46の照射時間T2)=0.1hourであるので、総照射時間TA=(1.0hour+0.1hour)=1.1hourである。C1もC2も総照射時間TAは、閾値照射時間Tth=1.25hour未満であるので、C1もC2も、光施療のための照射がまだ不十分と判定される。
総照射時間TAの算出の第2の方法を図9(b)に示す。図9(b)は、総照射時間TAの算出に、照度に関する重み付けを行って、ユーザ8が受けた総受光量に近づける方法を示す図である。ここでは、記憶部38は、計時部36が計時した第1生体活性モード44の照射時間T1と、第2生体活性モード46の照射時間T2とを区別して記憶する。制御部40は、記憶部38から記憶されている第2生体活性モード46の照射時間T2を読み出し、第1生体活性モード44の光の照度L1に対する第2生体活性モード46の光の照度L2の比である照度比(L2/L1)をT2に乗算し、T2(L2/L1)を求める。T2(L2/L1)は、第2生体活性モード46の照射時間T2を増大させた重み付け照射時間T3である。そして、[(第1生体活性モード44の照射時間T1)+{(第2生体活性モード46の重み付け照射時間T3=T2(L2/L1)}=重み付け総照射時間TBを求める。制御部40は、S38の判定において、重み付け総照射時間TBと閾値照射時間Tthと比較する。
図9(b)の縦軸は、重み付け総照射時間TBで、閾値照射時間Tthが示されている。横軸には、照射例として、C1,C3を示す。C1は、図9(a)のC1と同じで、2000lxの第1生体活性モード44の光のみを1.1hour照射した例である。この場合には、第2生体活性モード46の光の照射がないので、重み付けが行われず、TB=TA=1.1hourである。C3は、図9(a)のC2と同じ照射状態であり、2000lxの第1生体活性モード44の光を1.0hour照射し、5000lxの第2生体活性モード46の光を0.1hour照射した例である。この場合は重み付けが行われる。照度比は、(L2/L1)=(5000lx/2000lx)=2.5である。第2生体活性モード46の(重み付け照射時間T3)=T2(L2/L1)}=(0.1hour)×2.5=0.25hourとなる。したがって、重み付け総照射時間TB={(第1生体活性モード44の照射時間T1)+(第2生体活性モード46の重み付け照射時間T3)}=(1.0hour+0.25hour)=1.25hourである。(閾値照射時間Tth=1.25hour)であるので、C3は、光施療のための照射が十分で適切に達成されたと判定される。重み付け総照射時間TBは、ユーザ8についての推定総受光量である照度と照射時間の積算累積値とほぼ同じ値と考えられるので、これを用いることで、S38の判定の精度が向上する。
総照射時間TAの算出の第3の方法は、第1生体活性モード44の設定照度=2000lxと第2生体活性モード46の設定照度=5000lxの数値を用いずに、ユーザ8が着装するユーザ照度検出部10が検出する照度データを用いる。ユーザ照度検出部10が検出する照度データは、無線通信によって通信部34を介して制御部40に送信されるので、制御部40はこれを取得して重み付け総照射時間TBを算出し、S38の判定に用いる。
これに代えて、ユーザ照度検出部10から取得した照度データ、及び、第1生体活性モード44の照射時間T1と第2生体活性モード46の照射時間T2とに基づき、照度と照射時間の積算累積値を受光量として、ユーザ8の受光量を算出してもよい。制御部40は、S38の判定において、算出された受光量を総照射時間TAに代えて用いる。
ユーザ照度検出部10を用いる方法は、ユーザ8が受けた光の実際の照度に基づく重み付け総照射時間TB、または算出された受光量を用いるので、例えば、照射部22の性能の経時変化等の影響を受けず、第2の方法よりもさらにS38の判定の精度が向上する。また、場合によっては、光施療器20を照度可変型とすることも可能になる。
図10は、S26の判定が肯定されて第1生体活性モード44の2000lxの光照射から、第2生体活性モード46の5000lxの光照射に移る場合において、照度急変に応じてユーザ8が受けるまぶしさを抑制する方法を示す図である。
まぶしさの抑制の第1の方法を図10(a)に示す。図10(a)の縦軸は照度で、第1生体活性モード44の光の照度L1と第2生体活性モード46の光の照度L2が示されている。横軸は、照射部22に対する制御に関する時間である。制御部40は、第1生体活性モード44から第2の生体活性モード46へ移行する際に、第1生体活性モード44の光が有する低い照度L1から第2生体活性モード46が有する高い照度L2に向かって、照度を時間経過と共に漸増させる照度変化制御を行う。照度漸増関数の例は、時間経過に対し照度が対数的に増加する対数的増加関数である。照度漸増期間の長さは、例えば、ユーザ8の生体リズム関連情報等に合わせて、任意に設定してよい。
まぶしさの抑制の第2の方法を図10(b)に示す。図10(b)の縦軸、横軸は、図10(a)と同じである。参考情報として述べたように、非視覚的生理作用を引き起こすメラノプシン細胞において、例えば、暗い状態に順応しているメラノプシン細胞は、明るい状態に順応しているメラノプシンン細胞に比べて、光に対する感度が強くなる。この特性を利用し、制御部40は、第1生体活性モード44から第2生体活性モード46へ移行する際に、第1生体活性モード44の光が有する低い照度L1を、さらに低い照度L0に一時的に低下させる。低下させたときの照度L0は、ゼロであってもよい。この場合は、制御部40の制御によって、照射部22の光照射を一時的に不点灯とする。一時的な低照度の期間は、瞬時であってもよく、適当な短時間としてもよい。そして、照度L0から、図10(a)で述べた照度を時間経過と共に漸増させる照度変化制御を実行する。第2の方法によれば、まぶしさを抑制しながら、第2生体活性モード46の覚醒に対する感度が高まり、第2生体活性モード46の照射時間T2を短くしても適切な覚醒効果が得られる。
上記では、図2で述べたように、照射部22の光の方向は、ユーザ8の顔面の正面に向かう方向とした。ユーザ8のまぶしさを抑える手法を検討するため、光の照射方向別のユーザ8のまぶしさによる不快感を検証する実験を行った。ここでは、3000lxの高照度照射をユーザ8の顔面の正面から照射した場合と、左45度方向から照射した場合のユーザ8の主観的な不快感を、20才代〜50才代の健康な9名のユーザ8を対象に評価した。その結果を図11に示す。図11の縦軸には、各ユーザ8の主観的な不快感の評価を取り、横軸には、左45度方向からの照射の場合と、正面からの照射の場合を取った。図11に示すように、まぶしさによる不快感は、正面からの照射と比較して、左側からの照射の方が、有意に低い値を示す。このように、正面からの照射よりも、周辺方向からの照射とすることで、まぶしさによる不快感が軽減される。
図12は、図11の結果を反映させた照度変化制御を示す図である。図12(a)は、光施療器20の正面図で、照射部22の発光部23が示される。(b)は、図10(b)に対応する図である。制御部40は、照度を時間経過と共に漸増させる際に、照射部22における発光部23の発光領域の外周側60から中央部62に向かって、照度を時間経過と共に漸増させる照度変化制御を行う。図12(a)における矢印は、発光部23の発光領域において照度が漸増する方向を示し、外周側60においてまず照度が漸増し、時間経過とともに、中央部62に向って照度漸増の位置が移動する。(b)における白抜矢印は、図10(b)で述べた照度漸増の関数形が、時間経過とともに移動する方向を示す。図12に示す照度変化制御によれば、ユーザ8のまぶしさに対する不快感を軽減しながら、第2生体活性モード46の覚醒に対する感度が高められる。
上記構成によれば、ユーザ8の目的に合わせて、照射モード42を選択できる。照射モード42として、生体リズムを調整する第1生体活性モード44と、即時的な覚醒をもたらす第2生体活性モード46及び第3生体活性モード48を有することで、生体リズム調整と即時的な覚醒の2つの効果を1つの光施療器20で実現できる。
第2生体活性モード46では、覚醒効果を得るために、一般的な照明器具と異なり、強い強度で照射するため、第1生体活性モード44からの移行の際には注意が必要である。上記構成によれば、第1生体活性モード44からの移行の際に、まぶしさを抑制しながら、覚醒効果が得られる。
8 ユーザ、10 ユーザ照度検出部、12 生体リズム関連情報部、16 携帯端末、20 光施療器、21 筐体、22 照射部、23,50,51,52,53,54 発光部、24 入力部、26 施療用操作子、28 覚醒用操作子、30 手動オフボタン、32 表示部、34 通信部、36 計時部、38 記憶部、40 制御部、42 照射モード、44 第1生体活性モード、46 第2生体活性モード、48 第3生体活性モード、60 外周側、62 中央部。

Claims (12)

  1. 生体リズムを調整する光施療を行う第1生体活性モード、前記光施療の光よりも高い照度で睡眠に影響を与える光を照射して一時的覚醒を生じさせる第2生体活性モード、及び、前記光施療の光よりも睡眠に影響を与えないが覚醒効果を有する光を照射して前記一時的覚醒を生じさせる第3生体活性モードの照射モードを有する光施療器であって、
    前記第1生体活性モードの光、前記第1生体活性モードよりも青色成分が大きい前記第2生体活性モードの光、及び、前記第1生体活性モードよりも光の青色成分が小さい前記第3生体活性モードの光の内の1つを照射する照射部と、
    ユーザの光施療の要求を取得し施療要求信号を出力する施療用操作子と、
    前記ユーザの覚醒用光の照射要求を取得し覚醒要求信号を出力する覚醒用操作子と、
    前記照射部の動作を制御する制御部と、
    時間情報を前記制御部に送信する計時部と、
    を備え、
    前記制御部は、
    前記施療要求信号を受信した場合は、前記照射部の動作状態を前記第1生体活性モードに移行させ、
    前記覚醒要求信号を受信した場合は、前記覚醒要求信号の受信時刻に応じて、
    前記第1生体活性モードまたは不点灯状態から、前記第2生体活性モードまたは前記第3生体活性モードのいずれかに前記照射部の動作状態を移行させることを特徴とする光施療器。
  2. 請求項1に記載の光施療器において、
    前記制御部は、
    前記覚醒要求信号の前記受信時刻が前記生体リズムの一周期の中で照射が睡眠に影響を与えるとして予め定めた夕刻時間より前か以後かに応じて、
    前記受信時刻が前記夕刻時間より前の場合は、前記照射部の動作状態を、前記第1生体活性モードまたは前記不点灯状態から前記第2生体活性モードへ移行させ、
    前記受信時刻が前記夕刻時間以後の場合は、前記照射部の動作状態を、前記第1生体活性モードまたは前記不点灯状態から前記第3生体活性モードへ移行させることを特徴とする光施療器。
  3. 請求項2に記載の光施療器において、
    前記制御部は、
    前記第2生体活性モードが照射開始から予め定めた所定照射時間を満了した満了時刻が前記夕刻時間以後の場合は、前記第2生体活性モードから前記不点灯状態に移行させ、
    前記満了時刻が前記夕刻時間より前の場合は、当日の照射量が適切か否かに応じて、前記第2生体活性モードからの移行に関する移行判断を行うことを特徴とする光施療器。
  4. 請求項3に記載の光施療器において、
    前記制御部に接続され、各生体活性モードの照射時間を記憶する記憶部を有し、
    前記制御部は、
    前記第2生体活性モードにおいて、当日の前記第1生体活性モードの照射時間と前記第2生体活性モードの照射時間の合計時間である総照射時間を予め定めた閾値照射時間との比較に基づいて前記移行判断を行い、
    前記総照射時間が前記閾値照射時間未満の場合は、当日の前記照射量が未達として、前記照射部の動作状態を前記第2生体活性モードから前記第1生体活性モードに移行させ、
    前記総照射時間が前記閾値照射時間以上の場合は、当日の前記照射量が適切に達成されたとして、前記照射部の動作状態を前記不点灯状態に移行させることを特徴とする光施療器。
  5. 請求項1に記載の光施療器において、
    前記制御部に接続され、各生体活性モードの照射時間を記憶する記憶部を有し、
    前記第1生体活性モードの状態において、
    現在時間が前記生体リズムの一周期の中で照射が睡眠に影響を与えるとして予め定めた夕刻時間以後である場合は、前記照射部の動作状態を前記第1生体活性モードから前記不点灯状態に移行させ、前記現在時間が前記夕刻時間より前である場合は、当日の前記第1生体活性モードの照射時間と前記第2生体活性モードの照射時間の合計時間である総照射時間を予め定めた閾値照射時間と比較し、
    前記総照射時間が前記閾値照射時間未満の場合は、当日の照射量が未達として、前記照射部の動作状態を前記第1生体活性モードのまま継続させ、
    前記総照射時間が前記閾値照射時間以上の場合は、当日の前記照射量が適切に達成されたとして、前記照射部の動作状態を前記不点灯状態に移行させることを特徴とする光施療器。
  6. 請求項4または5に記載の光施療器において、
    前記記憶部は、前記第1生体活性モードの照射時間と前記第2生体活性モードの照射時間とを区別して記憶し、
    前記制御部は、
    前記第1生体活性モードの光の照度に対する前記第2生体活性モードの光の照度の比である照度比に応じて前記第2生体活性モードの照射時間を増大させた重み付け照射時間と、前記第1生体活性モードの照射時間とを足し合わせた時間を、重み付け総照射時間として、前記閾値照射時間との比較に前記重み付け総照射時間を用いることを特徴とする光施療器。
  7. 請求項6に記載の光施療器において、
    前記制御部は、
    前記ユーザが装着する照度検出部から取得した照度データ、及び、前記第1生体活性モードの照射時間と前記第2生体活性モードの照射時間に基づき、照度と照射時間の積算累積値を受光量として、前記ユーザの前記受光量を算出し、算出された前記受光量を、前記重み付け総照射時間に代えて用いることを特徴とする光施療器。
  8. 請求項2に記載の光施療器において、
    前記制御部は、
    前記ユーザの前記生体リズムに関する関連情報を取得し、取得した前記関連情報に基づいて、前記夕刻時間を設定することを特徴とする光施療器。
  9. 請求項1に記載の光施療器において、
    前記第3生体活性モードの照度が前記第1生体活性モードの光の照度よりも低く設定される場合は、前記第3生体活性モードに移行する際に、前記第3生体活性モードの光の照射開始時、及び、前記第3生体活性モードの光の照射中において、前記第3生体活性モードの動作状態であることを表示する表示部を備えることを特徴とする光施療器。
  10. 請求項1に記載の光施療器において、
    前記制御部は、
    前記第1生体活性モードから前記第2の生体活性モードへ移行させる際に、前記第1生体活性モードの光が有する低い照度から前記第2生体活性モードが有する高い照度に向かって、照度を時間経過と共に漸増させる照度変化制御を行うことを特徴とする光施療器。
  11. 請求項1に記載の光施療器において、
    前記制御部は、
    前記第1生体活性モードから前記第2の生体活性モードへ移行させる際に、前記第1生体活性モードの光が有する低い照度を、さらに低い照度に一時的に低下させた後、前記第2生体活性モードが有する高い照度に向かって、照度を時間経過と共に漸増させる照度変化制御を行うことを特徴とする光施療器。
  12. 請求項10または11に記載の光施療器において、
    前記制御部は、
    照度を時間経過と共に漸増させる際に、前記照射部における発光領域の外周側から中央部に向かって、前記照度を時間経過と共に漸増させる前記照度変化制御を行うことを特徴とする光施療器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022242247A1 (zh) * 2021-05-19 2022-11-24 林纪良 可调整照光参数的人因照光方法

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