以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施例1)
図1は、本願実施例1に係る無線通信装置を用いた無線通信システムの概要の一例を示す説明図である。図1中1は、例えば携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)、パーソナルコンピュータ等の利用者が携帯することが可能な無線通信装置である。さらには、自動車等の移動体に搭載された車載型の通信装置を本願に係る無線通信装置1として用いることも可能である。無線通信装置1は、無線網のアクセスポイントとして機能する無線基地局2(2a,2b,…)により形成される無線通信圏3(3a,3b,…)の通信圏内で無線通信を行うことができる。また各無線基地局2a,2b,…は、無線又は有線の通信網4に接続している。なお全ての無線基地局2a,2b,…が一の通信網4に接続されている必要はなく、一部の無線基地局2によりLAN(Local Area Network)等の閉鎖された通信網4を形成していても良い。
無線通信装置1は、無線基地局2により形成される無線通信圏3の通信圏内に位置する場合に、予め記憶している無線接続の確立に用いる通信設定を含むプロファイル情報に基づいて、無線通信圏3を形成する無線基地局2との無線接続を確立することができる。すなわち、無線通信装置1は、プロファイル情報に基づいて、無線基地局2に係る無線網との接続を確立する。
図1の例では、無線通信装置1が、無線基地局2aにて形成される無線通信圏3aの通信圏内に位置するため、無線基地局2aに対応するプロファイル情報に基づいて、無線網との接続を確立することできる。また無線通信装置1が移動して、無線基地局2b〜2dが形成する無線通信圏3b〜3dのいずれかの通信圏内に移動することにより、移動先の無線通信圏3に対応するプロファイル情報に基づいて無線接続を確立することができるようになる。
図2は、本願実施例1に係る無線通信装置1のハードウェア構成例を示すブロック図である。無線通信装置1は、制御部10、記憶部11、RF送受信部12、入力部13、出力部14等の各種機構を備えている。
制御部10は、装置全体を制御するCPU(Central Processing Unit )等の演算機構である。制御部10は、内部通信線を介して無線通信装置1のハードウェア各部と接続されており、無線通信プログラム5等の各種プログラムの手順に従って所定の処理を実行する。制御部10は、命令レジスタ(Instruction Register)、命令解読回路(Instruction Decoder)、演算回路(Arithmetic Logic Unit)、アキュムレータ(Accumulator)、番地レジスタ(Address Register)、プログラムカウンタ(Program Counter)等の各種回路を備えている。命令レジスタは、記憶部11から読み込んだ命令を一時的に格納する。命令解読回路は、命令レジスタに格納されている機械語命令(2進数)を解読し、その命令に応じて無線通信装置1が有するハードウェア各部を制御する。演算回路は、命令解読回路からの制御に従って加算、減算、数値の比較等の演算を行う。アキュムレータは、演算対象のデータ、演算の結果等の情報を一時的に格納する。番地レジスタは、制御部10が読み書きする記憶部11が有する記憶領域の番地を格納する。プログラムカウンタは、次に実行すべき命令が格納されている記憶部11が有する記憶領域の番地を示す。
記憶部11は、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)等の主記憶機構である。また記憶部11は、更にHDD(Hard Disk Drive)等の磁気記録機構、SSD(Solid State Disk)等の不揮発性半導体記憶機構等の記憶機構を補助記憶機構として備えていても良い。記憶部11には、本願に係る無線通信プログラム5が記憶されており、記憶部11に記憶されている無線通信プログラム5を制御部10の制御に基づき実行することで、無線通信装置1は、本願に係る各種機能を実現する。
RF送受信部12は、無線信号を用いて無線基地局2との無線通信を実行する通信機構である。RF送受信部12は、制御部10からの制御命令に応じた情報を、無線信号を用いて、無線基地局2送信する。またRF送受信部12は、無線基地局2から受信した無線信号に対応する情報を、内部通信線を介して、制御部10へ通知する。
入力部13は、利用者の操作を受け付けるインターフェース機構である。入力部13は、利用者の操作に応じた信号を、内部通信線を介して制御部10へ出力する。入力部13は、例えばキーボード、タッチパネル等の機構として構成される。
出力部14は、映像及び/又は音声を出力するインターフェース機構である。出力部14は、制御部10からの制御命令に基づいて映像を出力する液晶ディスプレイ、音声を出力するスピーカ等の機構、又はそれらの機構に映像信号、音声信号等の出力信号を出力する機構である。
図3は、本願実施例1に係る無線通信装置1のソフトウェア構成例を示す機能ブロック図である。無線通信装置1は、記憶部11に記憶している本願の無線通信プログラム5を制御部10の制御に基づき実行することにより、走査開始判定部100、移動量測定部101、走査対象取得部102、走査実行部103、設定情報更新部104等の機能を作動させる。なお制御部10に走査開始判定部100、移動量測定部101、走査対象取得部102、走査実行部103、設定情報更新部104等の機能を実現する回路を組み込んでいても良い。
走査開始判定部100は、移動元となる無線網からの無線信号の受信強度が所定値以下となったか否かを判定すべく制御部10を動作させるプログラムモジュール、回路等の構成要素である。
移動量測定部101は、走査開始判定部100により、移動元となる無線網からの無線信号の受信強度が所定値以下となった場合に、移動に要した数量を示す移動量を測定すべく制御部10を動作させるプログラムモジュール、回路等の構成要素である。
走査対象取得部102は、移動元となる無線網との無線接続に用いられるプロファイル情報が有するプロファイル識別情報を後述する第1のプロファイル識別情報に有するプロファイル間設定情報を参照する。そして後述するプロファイル間設定情報が有する前記移動量と測定される移動量とを比較し、その比較結果に基づいて走査対象とする第2のプロファイル識別情報により識別されるプロファイル情報を選択して取得する構成要素である。走査対象取得部102は、上記構成要素を実現すべく比較部102a及び取得部102bを含んでいる。比較部102aは、測定した移動量を、閾値と比較させるべく制御部10を動作させるプログラムモジュール、回路等の構成要素である。取得部102bは、比較した結果に基づいて、後述する第2のプロファイル識別情報を選択し、選択した第2のプロファイル識別情報を含むプロファイル情報を取得すべく制御部10を動作させるプログラムモジュール、回路等の構成要素である。
走査実行部103は、走査対象取得部102により選択されたプロファイル情報に基づいて移動先と想定される無線網の走査処理を実行すべく制御部10を動作させるプログラムモジュール、回路等の構成要素である。
設定情報更新部104は、移動先となる無線網との無線接続の確立に成功した場合、移動量測定部101により測定された移動量に基づいて、プロファイル間設定情報が有する移動量を設定すべく制御部10を動作させるプログラムモジュール、回路等の構成要素である。
また無線通信装置1は、記憶部11に記憶している本願の無線通信プログラム5を制御部10の制御に基づき実行することにより、記憶部11の記憶領域の一部を、プロファイル記憶部110、プロファイル間設定情報記憶部111、走査対象用プロファイル情報記憶部112等の情報記憶領域として使用可能にする。
図4は、本願実施例1に係る無線通信装置1が備えるプロファイル記憶部110の記憶内容の一例を概念的に示す説明図である。プロファイル記憶部110には、プロファイル識別情報、無線網識別情報及びチャネル情報を含むプロファイル情報が通信設定として記憶されている。図4に示す例では、少なくとも5つのプロファイル情報がプロファイル記憶部11に記憶されている状況を示している。
プロファイル識別情報は、無線網との無線接続の確立に用いる通信設定としてのプロファイル情報を識別する情報を含んでいる。
無線網識別情報は、無線網を識別するための情報を含んでいる。例えばIEEE802.11にて規定される無線LAN等の無線網の識別情報であるSSID(Service Set Identifier)、ESSID(Extended Service Set Identifier )、BSSID(Basic Service Set Identifier)等の情報が無線網識別情報となる。
チャネル情報は、無線基地局2との無線通信に用いられるチャネルの設定情報を含んでいる。例えば、IEEE802.11bでは、14ch利用可能で、同時使用チャネルは4ch、利用可能チャネル数は14chである。
チャネル情報は、無線基地局2との無線通信に用いられるチャネルの設定情報を含んでいる。例えば、IEEE802.11bでは、14ch利用可能であり、単独ch、並びに1、6、11、14chの中からの自動切り替え、1、5、9、13chの中からの自動切り換え、及び1から14chまでの中からの自動切り換え等の選択が可能となっている。
図5は、本願実施例1に係る無線通信装置1が備えるプロファイル間設定情報記憶部111の記憶内容の一例を概念的に示す説明図である。プロファイル間設定情報記憶部111には、第1のプロファイル識別情報、第2のプロファイル識別情報及び閾値を含むプロファイル間設定情報が記憶されている。図5に示す例では、少なくとも4つのプロファイル間設定情報がプロファイル間設定情報記憶部111に記憶されている状況を示している。
第1のプロファイル識別情報及び第2のプロファイル識別情報は、プロファイル記憶部110に記憶されているプロファイル情報を識別するプロファイル識別情報を含んでいる。例えば、無線通信装置1が無線網間を移動した場合、移動元の無線網との無線通信の確立に用いられるプロファイル情報を識別するプロファイル識別情報が第1のプロファイル識別情報であり、移動先として想定される無線網との無線通信の確立に用いられるプロファイル情報を識別するプロファイル識別情報が第2のプロファイル識別情報である。
閾値は、第2のプロファイル識別情報により識別されるプロファイル情報に基づく無線網の走査処理を開始する条件として用いられる数値を含んでいる。すなわち、移動量測定部101の処理により取得される移動量が、閾値との関係で走査処理を開始する条件を満たすと判定された場合に、閾値に対応する第2のプロファイル識別情報のプロファイル情報に基づく走査処理が実行される。例えば、第1のプロファイル識別情報に対応する無線網との無線通信の確立が困難であることを検知してから、第2のプロファイル識別情報に対応する無線網の走査処理を開始するまでの経過時間が閾値として格納される。
走査対象用プロファイル情報記憶部112には、走査対象となる無線網に係るプロファイル情報が記憶される。無線通信装置1は、走査対象用プロファイル情報記憶部112に記憶されたプロファイル情報に基づいて無線網の走査を実行する。
次に本願実施例1に係る無線通信装置1の処理について説明する。図6及び図7は、本願実施例1に係る無線通信装置1の走査処理の一例を示すフローチャートである。図6及び図7に示す走査処理は、無線通信装置1の利用者からの入力操作を受けて実行を開始しても良いし、任意の条件下において周期的に実行してもよい。本実施例では、無線通信装置1が無線網との無線通信を確立している状態において、周期的に実行されることを前提として説明する。
まず、無線通信装置1の制御部10は、RF送受信部12を用いて受信される無線基地局2からの無線信号の受信強度を取得し(S101)、取得した受信強度に基づいて走査開始条件を満たすか否かを判定する(S102)。ステップS102の判定は、例えば受信強度が予め設定されている所定値未満であることを走査開始条件として実行される。
制御部10は、例えば、ステップS101で取得した受信強度が予め設定されている所定値未満であり、走査開始条件を満たすと判定した場合(S102でYES)、後述するステップS103以降の処理を実行する。現段階で無線接続を確立している無線基地局2に係る無線網との無線通信が困難となるため、受信強度の高い他の無線基地局2に係る無線網との接続に切り替えた方が良好な通信環境を維持できるからである。
また、制御部10は、例えば、ステップS101で取得した受信強度が予め設定されている所定値以上であり、走査開始条件を満たさないと判定した場合(S102でNO)、走査処理を終了する。現段階で無線接続を確立している無線通信を維持するために十分な受信強度を確保できているからである。
走査開始条件を満たすと判定した場合、制御部10は、移動量測定部101による移動量の測定を開始する(S103)。ステップS103にて測定を開始する移動量とは、無線通信装置1が備える内部タイマ(図示せず)により計測される経過時間、無線通信装置1が備える歩数計センサ(図示せず)により計測される歩数等の数量を用いることができる。以降の説明では、移動量として経過時間を用いた場合の例を説明する。
制御部10は、現在確立している無線通信に係るプロファイル情報を識別するプロファイル識別情報(以下、現在のプロファイル識別情報と称する)を取得する(S104)。現在のプロファイル識別情報は、例えば無線通信の確立時に記憶部11に記憶させておくことにより、ステップS104にて取得することが可能となる。またRF送受信部12のレジスタ(図示せず)に格納させておき、ステップS104にて取得するようにしても良い。
制御部10は、ステップS103において移動量測定部101により測定を開始した移動量の現在値を取得する(S105)。ステップS105において、制御部10は、例えば、移動量としてステップS103にて測定を開始してからの経過時間を取得する。
制御部10は、ステップS104において取得した現在のプロファイル識別情報と対応する第1のプロファイル識別情報を有するプロファイル間設定情報を記憶部11のプロファイル間設定情報記憶部111から取得する(S106)。プロファイル間設定情報記憶部111から取得したプロファイル間設定情報により、全てのプロファイル情報のうちから走査の対象とするプロファイル情報を選択することが可能となる。これにより走査対象の候補として多数のプロファイル情報がプロファイル情報記憶部110に記憶されている場合でも、走査対象となるプロファイル情報を効率的に削減することができる。すなわち、現在のプロファイル情報の次に使用される可能性が高いプロファイル情報を対応付けてプロファイル間設定情報として記憶部11に記憶しておくことにより、無線接続の確立が成功する可能性の高いプロファイル情報を効果的に選択することができる。
制御部10は、ステップS106において取得したプロファイル間設定情報を参照し、走査対象条件を満たすプロファイル間設定情報が存在するか否かを判定する(S107)。ステップS107において、制御部10は、ステップS105にて取得した移動量の現在値と、ステップS106にて取得したプロファイル間設定情報に含まれる閾値とを比較する。そして制御部10は、例えば移動量の現在値よりも小さい閾値を含むプロファイル間設定情報が、取得したプロファイル間設定情報に存在する場合、走査対象条件を満たすプロファイル間設定情報が存在すると判定する。
制御部10は、走査対象条件を満たすプロファイル間設定情報が存在すると判定した場合(S107でYES)、走査対象条件を満たすと判定したプロファイル間設定情報に含まれる第2のプロファイル識別情報を選択する。そして制御部10は、選択した第2のプロファイル識別情報を含むプロファイル情報をプロファイル記憶部110から取得し、走査対象に追加する(S108)。ステップS108では、取得したプロファイル情報を走査対象用プロファイル情報記憶部112に追加記憶する。移動量を測定開始後、移動に従って移動量が増加する。そして増加した移動量が、プロファイル間設定情報の閾値を超える都度、該当する閾値に対応するプロファイル情報が追加されるのである。閾値は、到達に要すると想定される移動量に基づいて設定されているので、移動量が増加するに従い到達する可能性のある無線網を走査の対象に追加していくことになる。
制御部10は、走査対象用プロファイル情報記憶部112に記憶したプロファイル情報に基づいて無線網の走査処理を実行する(S109)。このようにしてプロファイル情報の中から、ステップS108にてプロファイル情報を選択し、走査対象とすることにより、再接続の可能性に応じて、走査対象とするプロファイル情報をより効果的に削減することができる。すなわち、現在のプロファイル情報に対応するプロファイル間設定情報が多数記憶されている場合でも、プロファイル間設定情報の閾値と移動量との比較結果に基づいて、接続確立が成功する度合がより高いプロファイル情報を効果的に特定することができる。
一方、ステップS107において、制御部10は、走査対象条件を満たすプロファイル間設定情報が存在しないと判定した場合(S107でNO)、ステップS108を実行せずに、走査処理を実行する(S109)。この場合、制御部10は、ステップS104において取得した現在のプロファイル識別情報により識別されるプロファイル情報を走査対象として、走査処理を実行する(S109)。ステップS109において、制御部10は、走査対象のプロファイル情報に基づいた問合せ要求(Probe Request)を示す無線信号を、RF送受信部12を用いて送信する。なお、問合せ要求を示す無線信号のフレームフォーマット及びそれ以降の接続確立の手順は、例えばIEEE802.11に規定されている内容に従って実行される。
制御部10は、ステップS109の走査処理において、走査対象となる無線通信の接続確立に成功したか否かを、走査対象ごとに判定する(S110)。制御部10は、走査対象となる無線通信の接続確立に成功した場合(S110でYES)、後述するステップS111以降の処理を実行する。一方、制御部10は、走査対象となる全ての無線網に係る無線通信の接続確立に失敗した場合(S110でNO)、ステップS105へ戻り、以降の処理を再び実行する。
ステップS111において、制御部10は、ステップS103において測定を開始した移動量の現在値を取得する(S111)。ステップS111において、制御部10は、例えば、測定を開始した時点から接続確立に成功するまでの経過時間を移動量の現在値として取得する。
制御部10は、プロファイル間設定情報を更新する(S112)。ステップS112では、ステップS104において取得した現在のプロファイル識別情報と対応する第1プロファイル識別情報を有するプロファイル間設定情報であって、ステップS110において接続確立に成功したと判定された走査対象のプロファイル情報を識別するプロファイル識別情報と対応する第2プロファイル識別情報を有するプロファイル間設定情報の閾値を更新する。ステップS112において、制御部10は、ステップS111で取得した移動量の測定値を用いて、プロファイル間設定情報の閾値を更新する。なお、ステップS112において、ステップS111において取得された経過時間を閾値として記憶するようにしても良く、ステップS111において取得した経過時間から所定時間を減算した値を閾値として記憶するようにしてもよい。
制御部10は、ステップS103において開始した測定処理を終了し(S113)、本実施例における走査処理を終了する。
図8は、本願実施例1に係る無線通信装置1の走査処理において走査対象となるプロファイル情報数の経時変化を示すグラフである。図8は、図5に示したプロファイル間設定情報の例に基づいて、実施例1に係る走査処理を実行した場合における無線通信装置1の走査の対象となるプロファイル情報数を示したグラフである。図8の横軸はステップS103にて測定を開始後の経過時間を示し、縦軸はステップS108にて追加され、ステップS109にて走査対象とされたプロファイル情報の数を示している。
図8において、経過時間0分の時点が、ステップS103の測定の開始を示している。経過時間が0〜5分30秒の期間では、走査対象プロファイル数が1となっている。これは図5の例において、閾値として5分30秒未満の設定がなされたプロファイル情報に係るデータが存在しないため、ステップS104にて取得した現在のプロファイル識別情報に係るプロファイル情報のみを走査対象として走査がなされるからである。
また図8において、経過時間5分30秒から10分20秒の期間では、走査対象プロファイル数が1つ追加され、合計で2つとなっている。これは図5に例示すように閾値として5分30秒が設定されたプロファイル間設定情報に対応付けられた第2プロファイル識別情報にて識別されるプロファイル情報が走査対象に追加されるためである。図5の例では、閾値として5分30秒が設定されたプロファイル間設定情報に対応付けて第2プロファイル識別情報「HQ−A−10F」が記憶されている。
さらに図8において、経過時間10分20秒から53分15秒の期間では、走査対象プロファイル数がさらに1つ追加され、合計で3つとなっている。これは図5に例示するように閾値として10分20秒が設定されたプロファイル間設定情報に対応付けられた第2プロファイル識別情報にて識別されるプロファイル情報が走査対象に追加されるためである。図5の例では、閾値として10分20秒が設定されたプロファイル間設定情報に対応付けて第2プロファイル識別情報「HQ−B−5F」が記憶されている。
さらに図8において、経過時間53分15秒から4時間25分20秒の期間では、走査対象プロファイル数がさらに1つ追加され、合計で4つとなっている。これは図5に例示するように閾値として53分15秒が設定されたプロファイル間設定情報に対応付けられた第2プロファイル識別情報にて識別されるプロファイル情報が走査対象に追加されるためである。図5の例では、閾値として53分15秒が設定されたプロファイル間設定情報に対応付けて第2プロファイル識別情報「BO−01−A−3F」が記憶されている。
さらに図8において、経過時間4時間25分20秒以降の期間では、走査対象プロファイル数がさらに1つ追加され、合計で5つとなっている。これは図5に例示するように閾値として4時間25分20秒が設定されたプロファイル間設定情報に対応付けられた第2プロファイル識別情報にて識別されるプロファイル情報が走査対象に追加されるためである。図5の例では、閾値として4時間25分20秒が設定されたプロファイル間設定情報に対応付けて第2プロファイル識別情報「BO−02−A−5F」が記憶されている。
以上のように、本願では、移動先として想定される無線網に係るプロファイル識別情報毎に、移動元の無線網からの移動量の基準値を、例えば経過時間の閾値として対応付けて記憶しておく。この場合、移動元から移動に時間を要する無線網ほど、大きい値の閾値が設定される。そして移動に関する数量を示す移動量、例えば経過時間に応じてプロファイル情報を選択する。すなわち、移動量が大きくなるにしたがって、より大きい閾値が設定された無線網が選択され、走査の対象として加えられることになる。
このように測定値に応じてプロファイル情報を選択することにより、走査の対象とするプロファイル情報を制限しながらも、無線接続が確立される可能性が高いプロファイル情報を走査対象として優先的に選択し、走査することが可能となる。またプロファイル情報の中で、無線接続が確立される可能性が引くプロファイル情報に基づく走査を制限することにより、走査に係る無駄な消費電力を抑制することが可能となる。
なお前記実施例1では、無線網の走査処理としてアクティブ方式を用いる例を用いて説明したが、本発明はこの形態に限定されるものではなく、パッシブ方式等の他の方式を用いるようにしても良いなど、様々な方法に展開することが可能である。
(実施例2)
実施例2は、実施例1において、プロファイル間設定情報の閾値を動的に更新する例である。以下の説明では、実施例1に適用した例として実施例2を説明するが、他の実施例に適用しても良いし、複数の他の実施例を組み合わせたものに適用しても良い。なお実施例1と同様の構成については、実施例1と同様の符号を付し、実施例1を参照するものとし、その詳細な説明を省略する。実施例2に係る無線通信装置1の概要、ハードウェア構成及びソフトウェア構成は、実施例1と同様であるので、実施例1を参照するものとし、その説明を省略する。
本願実施例2に係る無線通信装置1の処理について説明する。図9は、本願実施例2に係る無線通信装置1の走査処理の一例を示すフローチャートである。実施例2に係る無線通信装置1の走査処理は、図6及び図7を用いて説明した実施例1に係る処理に対し、ステップS111より後の処理が異なる。無線通信装置1は、図6及び図7を用いて説明した実施例1に係る走査処理のステップS101〜S111の処理を実行する。
無線通信装置1の制御部10は、更新対象となるプロファイル間設定情報の閾値を参照し(S1121)、ステップS111にて取得した移動量である経過時間と閾値とを比較し、経過時間が閾値未満であるか否かを判定する(S1122)。
ステップS1122において、制御部10は、経過時間が閾値未満であると判定した場合(S1122でYES)、ステップS111にて取得した経過時間を用いてプロファイル間設定情報を更新する(S112)。
一方、制御部10は、経過時間が閾値未満でないと判定した場合(S1122でNO)、ステップS112を実行せずに、ステップS113の処理後、本実施例における走査処理を終了する。
以上のように、接続確立に成功するまでの経過時間等の測定値が閾値に既に格納されている値未満である場合にのみ、閾値を更新することにより、所定の無線網間において最も小さい測定値を閾値とすることができる。例えば、接続確立に成功するまでの経過時間を閾値とする場合、所定の無線網間において接続確立が成功するまでの最短時間となる経過時間を閾値とすることになる。最短時間となる経過時間を閾値として設定することにより、移動先の無線網の通信圏内に移動したにも関わらず、移動先の無線網に対する走査が開始されないといった問題の発生を防止することが可能である。
(実施例3)
実施例3は、実施例1において、プロファイル情報に基づく無線網の走査を間欠的に実行する場合に、その走査の間隔を考慮した例である。以下の説明では、実施例1に適用した例として実施例3を説明するが、他の実施例に適用しても良いし、複数の他の実施例を組み合わせたものに適用しても良い。なお実施例1と同様の構成については、実施例1と同様の符号を付し、実施例1を参照するものとし、その詳細な説明を省略する。実施例3に係る無線通信装置1の概要及びハードウェア構成は、実施例1と同様であるので、実施例1を参照するものとし、その説明を省略する。
本願実施例3に係る無線通信装置1のソフトウェア構成について説明する。図10は、本願実施例3に係る無線通信装置1のソフトウェア構成例を示す機能ブロック図である。無線通信装置1は、記憶部11に記憶している本願の無線通信プログラム5を制御部10の制御に基づき実行することにより、走査開始判定部100、移動量測定部101、走査対象取得部102、走査実行部103、設定情報更新部104、走査間隔取得部105等の機能を作動させる。なお制御部10に走査開始判定部100、移動量測定部101、走査対象取得部102、走査実行部103、設定情報更新部104、走査間隔取得部105等の機能を実現する回路を組み込んでいても良い。図10に示すように実施例3は、実施例1に係る無線通信装置1と、走査間隔取得部105を備える点が相違する。
走査間隔取得部105は、間欠的に実行される走査実行部103による走査処理の実行間隔である走査間隔を取得すべく制御部10を動作させるプログラムモジュール、回路等の構成要素である。実施例3に係る無線通信装置1の他の構成は、実施例1と同様であるので、実施例1を参照するものとし、その説明を省略する。
次に本願実施例3に係る無線通信装置1の処理について説明する。図11は、本願実施例3に係る無線通信装置1の走査処理の一例を示すフローチャートである。実施例3に係る無線通信装置1の走査処理は、図6及び図7を用いて説明した実施例1に係る処理に対し、ステップS105より後の処理が異なる。無線通信装置1は、図6及び図7を用いて説明した実施例1に係る走査処理のステップS101〜S105の処理を実行する。
無線通信装置1の制御部10は、前回のステップS105の実行時に取得した経過時間と、今回のステップS105の実行時に取得した経過時間との差分を走査時間間隔として算出する(S1051)。ステップS1051において、前回のステップS105の実行時とは、ステップS110の判定処理において、全ての無線網との接続確立に失敗したと判定されたことにより、ステップS105が繰り返し実行される場合の前回を意味する。前回と今回とのステップS105の経過時間を取得する処理としては、例えば、前回の実行時に取得した経過時間を格納するための変数Aと、今回の実行時に取得した経過時間を格納するための変数Bとを設けておく。そして今回のステップS105の実行時に取得した経過時間を格納する前に既に変数Bに格納されている値を変数Aに代入する処理を、ステップS105を実行する都度、繰り返すようにすることで実現可能である。なお、ステップS1051の初回の実行時には、所定の初期値を走査時間間隔として出力すればよい。
制御部10は、ステップS1051にて算出した走査時間間隔を、ステップS105にて移動量として取得した経過時間に加算する(S1052)。ステップS1052では、経過時間に走査時間間隔を加算することにより、次回のステップS105の実行時刻の予測値を、経過時間の予測値として算出することができる。
制御部10は、ステップS104において取得した現在のプロファイル識別情報と対応する第1のプロファイル識別情報を有するプロファイル間設定情報を記憶部11のプロファイル間設定情報記憶部111から取得する(S1053)。ステップS1053の処理は、実施例1にて説明したステップS106と同様の処理である。
制御部10は、ステップS1053において取得したプロファイル間設定情報を参照し、経過時間の予測値を閾値と比較することにより、走査対象条件を満たすプロファイル間設定情報が存在するか否かを判定する(S1054)。ステップS1054は、実施例1にて説明したステップS107に準じた処理である。ステップS107では、移動量を示す経過時間の現在値とプロファイル間設定情報に含まれる閾値とを比較したが、ステップS1054では、ステップS1052にて算出した経過時間の予測値と閾値とを比較する。即ち移動量の予測値を移動量の代替値として用いる。
制御部10は、走査対象条件を満たすプロファイル間設定情報が存在すると判定した場合(S1054でYES)、実施例1にて説明したステップS108以降の処理を実行する。
また制御部10は、走査対象条件を満たすプロファイル間設定情報が存在しないと判定した場合(S1054でNO)、実施例1にて説明したステップS109以降の処理を実行する。
以上のように、走査時間間隔を考慮して走査対象条件を満たすか否かを判定することにより、今回の走査を実行後、次回に走査を実行するまでの間に、移動量が走査対象条件を満たすと予測される場合、次回の走査を待つこと無く、プロファイル情報を追加して走査を実行する。これにより走査を間欠的に実行する場合、移動量が走査条件を満たしてから走査を実行するまでのタイムラグを解消することができるので、より適切なタイミングで該当するプロファイル情報を走査対象とすることができる。
なお、上述のステップS1052において、ステップS1051で取得した走査時間間隔を、ステップS105にて取得した経過時間に加算する構成を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ステップS1051で取得した走査時間間隔を、ステップS1053にて参照するプロファイル間設定情報に含まれる閾値から減算するようにしても良い。すなわち、ステップS1054の判定処理において、ステップS105にて取得した経過時間とステップS1053にて参照する閾値との差分がステップS1051で取得した走査時間間隔以下となる閾値に対応するプロファイル情報を、走査対象条件を満たすプロファイル情報として判定することができればよい。
また、ステップS1051で取得した走査時間間隔に所定値を乗じた値を、ステップS1052における加算値等に用いても良い。例えば、走査時間間隔に2を乗じて得た値、すなわち、走査時間間隔を2倍した値を、ステップS1052における加算値に用いることができる。これにより走査を開始するタイミングを適宜設定することが可能となる。
また、ステップS1051において、前回のステップS105の実行時に取得した経過時間と、今回のステップS105の実行時に取得した経過時間との差分を、走査時間間隔として算出する構成を示したが、本発明はこれに限定しない。例えば、前回のステップS105の実行時に取得した経過時間を格納する変数の他に、前回のステップS1051の実行時に取得した走査時間間隔を格納する変数を設け、今回のステップS1051の実行時に取得した走査時間間隔と前回の走査時間間隔を比較した結果に基づいて、走査時間間隔を決定する構成としても良い。この場合、例えば、値が大きい方を走査時間間隔として採用しても良いし、値が小さい方を走査時間間隔として採用しても良いし、前回の値と今回の値との平均値を走査時間間隔として採用しても良い。例えば走査間隔を変化させる場合に有効である。
また、走査時間間隔を予め設定しておく構成とするようにしても良い。この場合、ステップS1051の処理を省略することができる。
(実施例4)
実施例4は、実施例1において、ステップS102の受信強度に基づく判定の基準値を2段階に設定し、無線通信装置が通信圏外に移動した場合と、無線接続を確立している状態を維持しながらも無線通信の品質が低下した場合とで、異なる処理を実行する例である。以下の説明では、実施例1に適用した例として実施例4を説明するが、他の実施例に適用しても良いし、複数の他の実施例を組み合わせたものに適用しても良い。実施例4に係る無線通信装置の概要、ハードウェア構成及びソフトウェア構成は、実施例1と同様であるので、実施例1を参照するものとし、その説明を省略する。なお実施例1と同様の構成については、実施例1と同様の符号を付し、実施例1を参照するものとし、その詳細な説明を省略する。
図12は、本願実施例4に係る無線通信装置1の走査処理の一例を示すフローチャートである。無線通信装置1の制御部10は、実施例1と同様の処理により、RF送受信部12を用いて受信する無線基地局2からの無線信号の受信強度を取得する(S101)。そして制御部10は、取得した受信強度に基づいて第1の走査開始条件を満たすか否かを判定する(S1021)。ステップS1021における第1の走査開始条件とは、例えば、無線網との無線接続の確立を維持させた状態で無線通信の品質が低下したか否かを判定するのに十分な受信強度を示す第2の設定値未満となることである。第2の設定値は、例えば実施例1等にて示した設定値より大きい値が設定される。
制御部10は、ステップS101で取得した受信強度が第2の設定値未満であり、第1の走査開始条件を満たすと判定した場合(S1021でYES)、後述するステップS1022以降の処理を実行する。無線通信の品質が低下していると判定したので、通信圏内か圏外かを判定するのである。
また、制御部10は、ステップS101で取得した受信強度が第2の設定値以上であり、第1の走査開始条件を満たさないと判定した場合(S1021でNO)、走査処理を終了する。現段階では無線通信の品質は、十分に高い品質を確保できているからである。
第1の走査開始条件を満たすと判定した場合、制御部10は、ステップS101にて取得した受信強度に基づいて第2の走査開始条件を満たすか否かを判定する(S1022)。ステップS1022における第2の走査開始条件とは、例えば、無線通信装置1が、無線接続を確立中の無線網との通信圏外に移動した否かを判定する設定値未満となることである。例えば実施例1のステップS102の判定に用いた設定値、又はそれに準じる値が設定される。
制御部10は、ステップS101で取得した受信強度が設定値未満であり、第2の走査開始条件を満たすと判定した場合(S1022でYES)、実施例1にて説明したステップS103以降の処理を実行する。現段階で無線接続を確立している無線基地局2に係る無線網との無線通信が困難となるため、受信強度の高い他の無線基地局2に係る無線網との接続に切り替えた方が良好な通信環境を維持できるからである。
また、制御部10は、ステップS101で取得した受信強度が設定値以上であり、第2の走査開始条件を満たさないと判定した場合(S1022でNO)、後述するステップS201以降の処理を実行する。通信圏内ではあるが、通信品質が低下している状態であると判定し、ステップS201以降の処理を実行する。
以下に説明するステップS201以降の処理は、実施例1のステップS103以降の処理のうち経過時間等の移動量の測定を省略した処理である。制御部10は、実施例1のステップS104と同様の処理により、現在のプロファイル識別情報を取得する(S201)。
制御部10は、ステップS201にて取得した現在のプロファイル識別情報と対応する第1のプロファイル識別情報を有するプロファイル間設定情報を記憶部11のプロファイル間設定情報記憶部111から取得する(S202)。
制御部10は、ステップS202において取得したプロファイル間設定情報を参照し、走査対象条件を満たすプロファイル間設定情報が存在するか否かを判定する(S203)。ステップS203において、制御部10は、ステップS202において取得したプロファイル間設定情報に含まれる閾値と、例えば10分として予め設定されている所定の基準値とを比較する。ステップS203において、10分等の基準値より小さい閾値が設定されたプロファイル間設定情報が、ステップS202において取得したプロファイル間設定情報に存在する場合、走査対象条件を満たすプロファイル間設定情報が存在すると判定する。
制御部10は、走査対象条件を満たすプロファイル間設定情報が存在すると判定した場合(S203でYES)、走査対象条件を満たすと判定されたプロファイル間設定情報の第2プロファイル識別情報を選択する。そして制御部10は、選択した第2のプロファイル識別情報を含むプロファイル情報をプロファイル記憶部110から取得し、走査対象に追加する(S204)。そして制御部10は、実施例1のステップ109と同様にして走査処理を実行する(S205)。
また、制御部10は、ステップS203において、走査対象条件を満たすプロファイル間設定情報が存在しないと判定した場合(S203でNO)、ステップS204の処理を実行せず、ステップS205へ進み、以降の処理を実行する。この場合、制御部10は、ステップS201にて取得した現在のプロファイル識別情報により識別されるプロファイル情報を走査対象として、ステップS205の走査処理を実行することになる。
ステップS205の走査処理後、制御部10は、ステップS205の走査処理において、走査対象となる無線網との無線接続の確立に成功したか否かを、走査対象ごとに判定する(S206)。
制御部10は、走査対象となる無線網との無線接続の確立に成功した場合(S206でYES)、走査処理を終了する。また制御部10は、全ての走査対象となる無線網との無線接続の確立に失敗した場合(S206でNO)、ステップS205へ戻り、以降の処理を実行する。
以上のように、無線通信装置1が無線接続を確立中の無線網の通信圏外に移動した場合には、経過時間等の移動量の測定値に応じて走査対象の追加を行う。一方、無線網との無線接続の確立を維持した状態で無線通信の品質が低下した場合、経過時間等の移動量の測定を行わずに、走査対象を選択して走査する。すなわち、この場合には、例えば経過時間等の移動量が増加しても、選択される走査対象は変化しない。無線網との接続確立を維持させた状態であることは、無線網の通信圏内に存在し続けていることを意味するからである。すなわち、ステップS1022で第2の走査開始条件を満たさないと判定した場合は、経過時間等の移動量が増加したとしても、元の無線網の通信圏内に位置しており、他の無線網の通信圏へは移動していないと判定する。したがって、無線通信装置1が無線接続を確立中の無線網の通信圏外に移動した場合と、無線網との接続確立を維持させた状態で無線通信の品質が低下した場合とで、走査処理を異ならせることにより、走査処理における無駄な電力消費をより効果的に抑止することが可能となる。
(実施例5)
実施例5は、実施例1において、プロファイル間設定情報の閾値を自動的に設定する例である。以下の説明では、実施例1に適用した例として実施例5を説明するが、他の実施例に適用しても良いし、複数の他の実施例を組み合わせたものに適用しても良い。なお実施例1と同様の構成については、実施例1と同様の符号を付し、実施例1を参照するものとし、その詳細な説明を省略する。実施例5に係る無線通信装置1の概要及びハードウェア構成は、実施例1と同様であるので、実施例1を参照するものとし、その説明を省略する。
本願実施例5に係る無線通信装置1のソフトウェア構成について説明する。図13は、本願実施例5に係る無線通信装置1のソフトウェア構成例を示す機能ブロック図である。無線通信装置1は、記憶部11に記憶している本願の無線通信プログラム5を制御部10の制御に基づき実行することにより、走査開始判定部100、移動量測定部101、走査対象取得部102、走査実行部103、設定情報更新部104、プロファイル識別情報取得部106、地点情報取得部107、移動量取得部108、移動量設定部109等の機能を作動させる。なお制御部10に走査開始判定部100、移動量測定部101、走査対象取得部102、走査実行部103、設定情報更新部104、プロファイル識別情報取得部106、地点情報取得部107、移動量取得部108、移動量設定部109等の機能を実現する回路を組み込んでいても良い。図13に示すように実施例5は、実施例1に係る無線通信装置1と、プロファイル識別情報取得部106、地点情報取得部107、移動量取得部108及び移動量設定部109を備える点が相違する。
プロファイル識別情報取得部106は、移動元となる一の無線網に係るプロファイル識別情報を第1のプロファイル識別情報として取得し、移動先の候補となる他の無線網に係るプロファイル識別情報を第2のプロファイル識別情報として取得すべく制御部10を動作させるプログラムモジュール、回路等の構成要素である。
地点情報取得部107は、取得した第1のプロファイル識別情報及び第2のプロファイル識別情報の夫々に対応する地点名を、後述するように予め記憶している地点情報から取得すべく制御部10を動作させるプログラムモジュール、回路等の構成要素である。
移動量取得部108は、取得した第1のプロファイル識別情報に対応する地点名にて示される地点又は領域と、取得した第2のプロファイル識別情報に対応する地点名にて示される地点又は領域との間の移動に係る移動量の基準値を取得すべく制御部10を動作させるプログラムモジュール、回路等の構成要素である。
移動量設定部109は、取得した移動量の基準値を、取得した第1のプロファイル識別情報及び第2のプロファイル識別情報に対応付ける閾値として設定すべく制御部10を動作させるプログラムモジュール、回路等の構成要素である。
また無線通信装置1は、記憶部11に記憶している本願の無線通信プログラム5を制御部10の制御に基づき実行することにより、記憶部11の記憶領域の一部を各種情報記憶領域として使用可能にする。例えば記憶部11を、プロファイル記憶部110、プロファイル間設定情報記憶部111、走査対象用プロファイル情報記憶部112、地点情報記憶部113、地点間移動量情報記憶部114等の情報記憶領域として記憶可能にする。図13に示すように実施例5は、実施例1に係る無線通信装置1と、地点情報記憶部113及び地点間移動量情報記憶部114を備える点が相違する。
図14は、本願実施例5に係る無線通信装置1が備える地点情報記憶部113の記憶内容の一例を概念的に示す説明図である。地点情報記憶部113には、無線網との無線接続の確立が可能な地点又は領域を示す地点名と、無線網を識別する無線網識別情報とを含む地点情報が記憶されている。
地点名は、無線網を利用することが可能な場所に対応する情報が格納される。例えば、無線網の無線基地局2が設置されている場所の地名、無線網の無線基地局2が設置されている場所の最寄の駅名、無線網の無線基地局2が設置されている場所の郵便番号等の地点又は領域を示す情報が地点名として用いられる。
無線網識別情報は、無線網を識別する情報であり、例えばプロファイル識別情報が無線網識別情報として用いられる。図14に示す例では、地点名である「地点名A」と、無線網識別情報である「ESSID−01」及び「ESSID−02」とを含む地点情報がレコードとして記憶されている。また地点名である「地点名B」と、無線網識別情報である「ESSID−03」とを含む地点情報がレコードとして記憶されている。さらに地点名である「地点名C」と、無線網識別情報である「ESSID−04」とを含む地点情報がレコードとして記憶されている。
地点情報記憶部113には、例えば、無線通信装置1の利用者により、入力部13を介して入力された設定内容に基づく地点情報が記憶される。例えば利用者が無線通信装置1を操作して、プロファイル情報の設定画面を出力部14に表示させる。そして設定画面において、利用者は、入力部13から、無線網が存在する地点等の地点名と、その無線網を識別するための無線網識別情報とを対応付けて入力する。そして無線通信装置1は、入力を受け付けた地点名及び無線網識別情報を対応付けた地点情報として地点情報記憶部113に記憶する。
図15は、本願実施例5に係る無線通信装置1が備える地点間移動量情報記憶部114の記憶内容の一例を概念的に示す説明図である。地点間移動量情報記憶部114には、地点情報記憶部113に記憶させた地点情報に含まれる地点名により示される地点又は領域の間の移動に要する数量の基準を示す移動量の基準値が地点間移動量情報として記憶される。図15に示す例では、第1地点、第2地点、及び移動量基準値が対応付けて記憶されている。移動量基準値は、第1地点と第2地点との間で移動した場合の移動時間、移動距離等の移動の数量を示す基準値である。
図15に示す例では、第1地点及び第2地点である「地点A」及び「地点A」と、移動量基準値である「30分」とを含む地点間移動量情報、同じく「地点A」及び「地点B」と、「60分」とを含む地点間移動量情報等の様々な地点間移動量情報が示されている。図15に示す例では、他にも地点間移動量情報の内容例を示しているが、それらについては図15を参照するものとし、その説明を省略する。なお、地点間移動量情報は、無線通信装置1の記憶部11に予め記憶しておいても良いし、無線通信装置1と通信可能な外部装置から取得するようにしても良い。
実施例5に係る無線通信装置1の他の構成は、実施例1と同様であるので、実施例1を参照するものとし、その説明を省略する。
次に本願実施例5に係る無線通信装置1の処理について説明する。図16は、本願実施例5に係る無線通信装置1の閾値設定処理の一例を示すフローチャートである。無線通信装置1の制御部10は、出力部14から、プロファイル間設定情報の設定内容の入力を受け付ける設定画面を出力する(S301)。ステップS301で表示する設定画面は、プロファイル情報に含まれるプロファイル識別情報を入力させる項目として、第1プロファイル識別情報の入力項目と、第2プロファイル識別情報の入力項目とを少なくとも有する。
制御部10は、設定画面において設定内容が入力されたか否かを判定する(S302)。入力部13から設定内容の入力を示す信号を受け付けられた場合、制御部10は、設定内容が入力されたと判定し(S302でYES)、後述するステップS303以降の処理を実行する。一方、制御部10は、入力部13から設定内容の入力を示す信号が受け付けられていない場合、設定内容が入力されていないと判定し(S302でNO)、ステップS302へ戻り、以降の処理を再度実行する。すなわち、設定内容が入力されたと判定されるまで、本実施例における閾値設定処理を中断する。
ステップS302において設定内容が入力されたと判定した場合(S302でYES)、制御部10は、入力を受け付けた第1プロファイル識別情報及び第2プロファイル識別情報を取得し(S303)、取得した第1プロファイル識別情報に対応する地点名と、取得した第2プロファイル識別情報に対応する地点名とを地点情報から取得する(S304)。
さらに、制御部10は、ステップS304において取得した地点名に対応する移動量基準値を、地点間移動量情報から取得する(S305)。
制御部10は、ステップS303において取得した第1プロファイル識別情報及び第2プロファイル識別情報に対応するプロファイル間設定情報の閾値を、ステップS305において取得した移動量基準値を用いて設定する(S306)。
以上により、プロファイル間設定情報の閾値を、無線網を利用することができる場所に対応する情報に基づいて、自動的に設定することが可能となる。なお、ステップS304及びS305は、無線通信装置1とは別の外部装置により実行するようにしてもよい。この場合、無線通信装置1は、ステップS303において取得した第1プロファイル識別情報及び第2プロファイル識別情報を、外部装置へ送信する。外部装置は、受信した第1プロファイル識別情報及び第2プロファイル識別情報を用いてステップS304及びS305を実行し、ステップS305において取得した移動量基準値を無線通信装置1へ送信する。無線通信装置1は、ステップS305において取得された移動量基準値を、外部装置から受信する。ここで、外部装置との送受信には、RF送受信部12を用いてもよいし、その他の図示しない通信部を用いても良い。また、無線通信の他に、USBインターフェース等を介した有線通信でも良い。
前記実施例1乃至5は、本願の無数にある実施例の一部を例示したに過ぎず、各種ハードウェア及びソフトウェア等の構成は、目的、用途等に応じて適宜設計することが可能である。