JP5272930B2 - 流量測定装置 - Google Patents

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Description

本発明は流量測定装置に関し、具体的には気体の流量を測定するための流量測定装置に関する。
一般的な直管型流量測定装置は、図1(a)又は(b)に示すように、流量検出素子11によって流路12内を流れる気体の流速Vを測定し、測定した流速Vと流路断面積などに基づいて流路12内における気体流量を測定するものである。
このような構造の流量測定装置では、流路12内に一定流量の気体が流れる場合、図1(a)のように流路断面積が小さいと気体の流速Vが大きくなり、図1(b)のように流路断面積が大きいと気体の流速Vが小さくなる。一方、流量検出素子11は所定の測定可能レンジを有しており、気体の流速Vが測定可能レンジより外れると流速Vの計測精度が低下したり、計測不能になったりする。そのため、たとえば200liters/min(以下、liters/minをL/minと略記する。)といった大流量の気体を直接測定する直管型流量測定装置では、流量検出素子11の測定可能レンジまで流速Vを低くするために流路12の直径を大きくする必要があり、装置の小型化に限界があった。
そこで、大流量測定用の流量測定装置を小型化するため、図2に示すようなバイパス流路構造の流量測定装置が提案されている。バイパス流路構造の流量測定装置では、主流路13から副流路14を分岐させてあり、主流路13内にオリフィス25を設けている。主流路13内を流れる気体は、オリフィス25の前後で発生した差圧によって一部が副流路14に分流され、副流路14に流れる気体の流速Vpが流量検出素子11で測定される。そして、主流路13と副流路14に流れる気体の分流比、副流路14における流速Vp及び副流路14の流路断面積などから総流量を求める方式となっている。
(特許文献1について)
バイパス流路構造の流量測定装置としては、特許文献1に開示されたものが公知となっている。図3に示すように、この流量測定装置21では、主流管22内に主流路13を形成すると共に主流管22の外側に副流路14を形成してあり、主流路13内に開口した導入口23と排出口24がそれぞれ副流路14の両端に連通している。また、主流路13内には、導入口23と排出口24との中間にオリフィス25が設けられており、オリフィス25の開口径や形状によって主流路13と副流路14の分流比を調整している。
しかし、この流量測定装置21では、部品点数を削減し、分流比の製造ばらつきを低減するため、オリフィス25を主流管22に一体成形している。そのため、オリフィス25の開口径や形状の変更ができず、オリフィス25の開口径等を変更しようとすれば主流管22の全体を新たに設計し直して製造する必要があり、用途に応じた流量レンジの流量測定装置を品揃えするためにコストが高くつき、また大きな在庫スペースも必要になる問題があった。
一方、オリフィス25を交換可能にして主流管22を共用化しようとすれば、図4に示すように、オリフィス25を主流管22と別々に形成することが考えられる。この場合には、図4に示すように、オリフィス25を主流路13内に納め、接着剤26でオリフィス25の全周を主流路13の壁面に接着すればよい。
しかし、この方法では、接着剤26の塗布工程や接着剤の加熱硬化処理などにより流量測定装置の組立工数が増加する。また、接着剤26を塗布されたオリフィス25を主流路13内に納入する方法では、接着剤26が主流路13の壁面(特に、導入口23の付近)に付着するために測定精度の低下を招く恐れがある。あるいは、あらかじめ主流路13の壁面に接着剤26を塗布しておいて後からオリフィス25を納入する方法でも、接着剤26がオリフィス25と主流路13の壁面の間からはみ出したりするので、測定精度の低下を招き、接着剤の管理も必要となる。
(特許文献2について)
オリフィスを主流管と別々に形成し、接着剤を用いないでオリフィスを主流路内に固定できるようにしたバイパス流路構造の流量測定装置としては、特許文献2に開示されたものがある。特許文献2に開示された流量測定装置31では、図5に示すように、主流路13内にオリフィス25と円筒状をしたカラー32を納入し、主流路13内に形成された当止め部34とカラー32の間にオリフィス25を挟み込んで保持している。カラー32の端面と当止め部34にはそれぞれ嵌合孔35、37が形成されており、カラー32の嵌合孔35に圧入した支持ピン38をオリフィス25の通孔36に挿通させるとともに、当止め部34の嵌合孔37に挿入している。これによってカラー32が回り止めされ、カラー32に開口された通気孔33が導入口23に合わせて位置決めされる。さらに、カラー32の後方には、ガス整流板39と補助スペーサ40が交互に納められている。
また、特許文献2のような構造では、主流路13の奥で支持ピン38を当止め部34の嵌合孔37に挿入しなければならないので、その作業を行いにくい。そのため、図6(b)に示すように、カラー32の後端部外周に突部42を突出させ、この突部42を図6(a)のように主流路13の壁面に設けた窪み41に嵌合させることでカラー32の回り止めを行う方法も考えられる。
特許第3870969号公報 特願2004−355045号公報
しかしながら、図5に示した特許文献2のような構造や図6(a)(b)に示したような構造では、部品の製造ばらつきによってカラー32の通気孔33と導入口23との間に位置ずれの生じることがある。たとえば図5のような構造では、カラー32における通気孔33の位置ばらつきや嵌合孔35の位置ばらつき、当止め部34における嵌合孔37の位置ばらつきなどにより通気孔33と導入口23の位置がずれる。図6のような構造でも、カラー32における通気孔33の位置ばらつきや突部42の位置ばらつき、主流路13の窪み41の位置ばらつきにより通気孔33と導入口23の位置がずれる。
こうして通気孔33と導入口23の位置がずれると、主流路13から副流路14へ流れ込む気体の流れに影響が生じるので、主流路13と副流路14の間における分流比がばらつき、流量測定装置の測定精度が低下する原因となる。
カラー32の位置ずれが起きると分流比にばらつきが生じる現象を確認するため、本発明の発明者らは、つぎのような実験を行った。まず、実験を行うため2種類の流量測定装置(標準モデル1、2)を用意した。これらの流量測定装置は、主流路13の流路断面積が0.00031m、オリフィス25の断面積(開口面積)が0.00018m、副流路14の流路断面積が5.00×10−5となっており、外径24mm、内径22mmのカラー32には直径5mmの通気孔33が開口されている。標準モデル1は流量の大きなタイプ(設定流量500L/min)であり、標準モデル2は流量の小さなタイプ(設定流量300L/min)である。
これらの流量測定装置を用い、通気孔33が導入口23と一致した位置からカラー32の軸方向あるいは円周方向にずれた場合の分流比の変化率や、主流路13、副流路14及びオリフィス25における平均流速及び流量を測定した。この結果を図7に示す。
図7におけるサンプルNo.1、No.4はそれぞれ、標準モデル1、2を用いて、図8(a)(b)のように通気孔33がカラー32の長さ方向でも円周方向でも導入口23と一致するように調整したものである。サンプルNo.2、No.5はそれぞれ、標準モデル1、2を用いて、図9(a)のように通気孔33がカラー32の軸方向において導入口23から0.25mm(通気孔33の直径の5%)ずれるように調整したものである。サンプルNo.3、No.6はそれぞれ、標準モデル1、2を用いて、図9(b)のように通気孔33がその円周方向において導入口23と一致する位置から1.2度だけずれるように調整したものである。
また、各サンプルNo.1〜6の分流比変化率とは、通気孔33の位置ずれがないときの分流比を主流路の流量:副流路の流量=A:B、位置ずれが生じたときの分流比を主流路の流量:副流路の流量=a:bとしたとき、次式で表されるものである。なお、主流路の流量とは、副流路に流れる気体の流量を含まないものである。
Figure 0005272930
図7によれば、標準モデル1、2では、通気孔33がその直径の5%だけカラー32の軸方向にずれると、分流比変化率が約6〜15%程度変化する。また、通気孔33がカラー32の円周方向に1.2度ずれると、分流比変化率が約10〜18%程度変化することが分かる。しかも、分流比の変化は、大流量用の流量測定装置ほど顕著になることが分かる。
よって、流量測定装置(特に、大流量用の流量測定装置)の測定精度を向上させるためには、カラーの通気孔と導入口との位置ずれをなくし、分流比のばらつきを小さくすることが望まれる。
なお、図9(a)(b)に示したように導入口23が通気孔33の縁で部分的に塞がれないようにするためには、通気孔33の直径を導入口23の直径よりも大きくする方法が考えられる。しかし、この方法でも、通気孔33と導入口23の間に段差部分が生じるので、この段差部分によって副流路14側へ分流される気体の流れに乱れが生じ、結局分流比のばらつきを小さくすることはできなかった。
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、オリフィスを保持させるための部材(オリフィス保持部材)を用いてオリフィスを保持させるようにしたバイパス流路構造の流量測定装置において、オリフィス保持部材の製造ばらつきや位置ずれ等による分流比の変化を小さくすることにある。
本発明に係る流量測定装置は、両端が開口した主流路および前記主流路から分岐した副流路を有する流路ブロックと、前記副流路に設けられた流量測定素子と、前記主流路の壁面で開口し、かつ、前記副流路に連通した分流口及び回収口とを備え、前記主流路に流れる気体の一部を前記分流口から前記副流路へ分流させ、前記副流路を通過した気体を前記回収口から前記主流路へ戻すようにした流量測定装置において、前記流路ブロックの前記主流路となる空間の周面にて、前記分流口を含む領域と前記回収口を含む領域とを除く領域に保持部材収納部が凹設され、前記主流路内にオリフィスが納入され、前記保持部材収納部に嵌め込まれたオリフィス保持部材が、前記オリフィスに当接することによって前記オリフィスを保持し、前記主流路のうち前記保持部材収納部を形成された領域以外の壁面と前記オリフィス保持部材の内面とによって前記主流路の壁面が構成されていることを特徴としている。
本発明の流量測定装置にあっては、オリフィスを保持させるためのオリフィス保持部材が、主流路となる空間の周面のうち分流口を含む領域と回収口を含む領域とを除く領域に凹設された保持部材収納部に嵌め込まれているので、オリフィス保持部材や保持部材収納部にばらつき(誤差)があっても、オリフィス保持部材が分流口や回収口に重なる恐れがない。また、オリフィス保持部材が主流路内で回って分流口や回収口に干渉する恐れもない。そのため、オリフィスを流路ブロックと別体にして交換可能としたバイパス流路構造の流量測定装置において、部品のばらつきによる分流比のばらつきを小さくすることができる。また、主流路のうち保持部材収納部を形成された領域以外の壁面と保持部材収納部に嵌め込まれたオリフィス保持部材の内面とによって、主流路の壁面をほぼ滑らかに形成することができるので、主流路における気体の流れもスムーズにできる。これらの結果、本発明によれば、分流比を安定させて流量測定装置の測定精度を向上させることができる。
本発明に係る流量測定装置のある実施態様では、前記流路ブロックの前記主流路となる空間の周面に当止め部を突設し、前記オリフィスを前記当止め部に当接させることによって位置決めし、前記オリフィス保持部材の端面と前記当止め部の間に前記オリフィスを挟み込んで保持させている。かかる実施態様によれば、オリフィスを主流路内に突設された当止め部に当接させて位置決めしているので、オリフィスの位置決め精度が高くなり、分流比のばらつきを低減できる。
さらに、この実施態様においては、前記流路ブロックの前記主流路となる空間の周面に、前記当止め部から前記流路ブロックの一方端面にかけて、均一な断面形状の保持部材収納部を凹設し、前記オリフィス保持部材にその長さ方向全長にわたって切欠き部を形成し、前記オリフィス保持部材の切欠き部に前記主流路のうち前記保持部材収納部を形成された領域以外の壁面を納めるようにして、前記オリフィス保持部材を前記保持部材収納部に挿入していてもよい。かかる実施態様によれば、硬質ないし剛性のあるオリフィス保持部材でも保持部材収納部に容易に挿入することができるので、硬質ないし剛性のあるオリフィス保持部材を用いてオリフィスをしっかりと固定することができる。
また、前記実施態様においては、前記流路ブロックの前記主流路となる空間の周面に、前記当止め部から前記流路ブロックの一方端面に向けて、均一な断面形状の保持部材収納部を凹設し、前記オリフィス保持部材にその長さ方向の一部に切欠き部を形成し、前記オリフィス保持部材の切欠き部に前記主流路のうち前記保持部材収納部を形成された領域以外の壁面を納めるようにして、前記オリフィス保持部材を前記保持部材収納部に挿入していてもよい。かかる実施態様によれば、硬質ないし剛性のあるオリフィス保持部材でも保持部材収納部に容易に挿入することができるので、硬質ないし剛性のあるオリフィス保持部材を用いてオリフィスをしっかりと固定することができる。
本発明に係る流量測定装置の別な実施態様では、前記流路ブロックの前記主流路となる空間の周面に溝状の保持部材収納部を設け、前記オリフィスの外周面に突起を設け、前記保持部材収納部に前記突起を嵌め込んで前記オリフィスを前記主流路内に納入し、前記保持部材収納部に挿入した棒状の前記オリフィス保持部材によって前記オリフィスを保持させている。かかる実施態様によれば、小さな断面積のオリフィス保持部によってオリフィスを保持できるので、気体の流れを安定させることができる。
本発明に係る流量測定装置のさらに別な実施態様では、前記主流路内に納入されたオリフィスを、前記主流路の一方開口から前記保持部材収納部に嵌め込まれた前記オリフィス保持部材と前記主流路の他方開口から前記保持部材収納部に嵌め込まれた別な前記オリフィス保持部材とで挟み込んで保持している。かかる実施態様では、両側のオリフィス保持部材で挟み込むことによってオリフィスを固定しているので、主流路内にオリフィスを位置決めするための当止め部が必要なくなり、両側のオリフィス保持部材の長さを調整することによりオリフィスを任意の位置で保持させることができ、それによって分流比を調節することが可能になる。
本発明に係る流量測定装置のさらに別な実施態様では、前記オリフィス保持部材が、複数個のオリフィス保持部材によって構成されている。かかる実施態様では、オリフィス保持部材が複数個に分割されているので、オリフィスの厚みに応じてオリフィス保持部材の個数を調整することができる。オリフィスの前後にそれぞれ複数個のオリフィス保持部材が用いられている場合には、両側のオリフィス保持部材の個数を調整することでオリフィスの位置を変えることができる。よって、分流比を容易に調整することができる。
本発明に係る流量測定装置のさらに別な実施態様では、前記流路ブロックの端面に取り付けたエンドキャップによって前記オリフィス保持部材の端面を押さえている。かかる実施態様では、エンドキャップによってオリフィス保持部材の端面を押さえているので、エンドキャップによってオリフィス保持部材の脱落を防止することができる。
また、このように実施態様では、前記オリフィス保持部材の端面と前記エンドキャップとの間に弾性部材を挟み込んでもよい。オリフィス保持部材の端面とエンドキャップとの間に弾性部材を挟み込めば、弾性部材の弾性反発力によってオリフィス保持部材をオリフィスに押圧させることができ、オリフィスを確実に保持することができる。
本発明に係る流量測定装置のさらに別な実施態様では、前記流路ブロックが、互いに別体となった主流路部と副流路部を組み立てて構成されており、前記主流路部に前記主流路が形成され、前記副流路部に前記副流路が形成されている。かかる実施態様によれば、用途に応じて副流路部を取り換えることができる。また、1本の流路に流量検出素子を備えた市販もしくは既存の流量測定装置を副流路部として利用することができる。
なお、本発明における前記課題を解決するための手段は、以上説明した構成要素を適宜組み合せた特徴を有するものであり、本発明はかかる構成要素の組合せによる多くのバリエーションを可能とするものである。
図1(a)及び(b)は、直管型流量測定装置の測定原理を説明するための概略断面図である。 図2は、バイパス流路構造の流量測定装置の測定原理を説明するための概略断面図である。 図3は、特許文献1に開示された流量測定装置の一部破断した断面図である。 図4は、特許文献1に開示された流量測定装置の改良案を説明する断面図である。 図5は、特許文献2に開示された流量測定装置の概略断面図である。 図6(a)は、特許文献2に開示された流量測定装置の改良案を説明する概略断面図である。図6(b)は、図6(a)の流量測定装置に用いるカラーを示す斜視図である。 図7は、流量測定装置の6つのサンプルを用い、カラーの通気孔の位置ずれと分流比変化率との関係を調べた結果を表したものである。 図8(a)及び(b)は、図7に表したサンプルNo.1とNo.4の構造を示す概略図である。 図9(a)は、図7に表したサンプルNo.2とNo.5の構造を示す概略図である。図9(b)は、図7に表したサンプルNo.3とNo.6の構造を示す概略図である。 図10は、本発明の実施形態1による流量測定装置の外観斜視図である。 図11(a)は、実施形態1の流量測定装置の平面図である。図11(b)は、図11(a)のX−X線断面図である。図11(c)は、図11(b)のY−Y線断面図である。 図12は、実施形態1の流量測定装置の分解斜視図である。 図13(a)及び(b)は、図12中に表されている流路ブロックの正面図及び背面図である。 図14(a)は、図13(a)のZ−Z線断面図である。図14(b)は、同上の流路ブロックの一部破断した斜視図である。 図15(a)、(b)及び(c)は、互いに開口面積の異なるオリフィスを示す正面図である。図15(d)は、オリフィス保持スペーサの正面図である。 図16(a)及び(b)は、オリフィス、オリフィス保持スペーサ及びシールリングを装着された流路ブロックの斜視図及び正面図である。 図17(a)及び(b)は、流量検出素子による流量検出の原理を説明するための概略断面図である。 図18は、実施形態1による流量測定装置の変形例を示す断面図である。 図19は、実施形態1による流量測定装置の別な変形例であって、エンドキャップを除いた状態の正面図である。 図20(a)は、実施形態1による流量測定装置のさらに別な変形例であって、エンドキャップを除いた状態の正面図である。図20(b)は、当該変形例に用いられるオリフィスとオリフィス保持スペーサの正面図である。 図21(a)は、実施形態1による流量測定装置のさらに別な変形例を示す断面図である。図21(b)は、図21(a)のW−W線断面図である。 図22は、同上の流量測定装置に用いられている流路ブロックの斜視図である。 図23は、本発明の実施形態2による流量測定装置を示す断面図である。 図24は、実施形態2の流量測定装置に用いられる流路ブロックの一部破断した斜視図である。 図25(a)は、実施形態2の流量測定装置に用いられるオリフィス保持スペーサの斜視図である。図25(b)は、実施形態2の流量測定装置に用いられる別なオリフィス保持スペーサを示す斜視図である。 図26は、本発明の実施形態3による流量測定装置であって、エンドキャップを除いて中央で破断した状態の斜視図である。 図27は、実施形態3による流量測定装置の変形例であって、エンドキャップを除いて中央で破断した状態の斜視図である。 図28は、本発明の実施形態4による流量測定装置であって、エンドキャップを除いて中央で破断した状態の斜視図である。 図29は、本発明の実施形態5による流量測定装置の斜視図である。 図30は、実施形態5による流量測定装置の一部分解した斜視図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々設計変更することができる。
(第1の実施形態)
以下、図10〜図17を参照して本発明の実施形態1による流量測定装置を説明する。図10は実施形態1の流量測定装置51を示す斜視図である。図11(a)は流量測定装置51の平面図、図11(b)は図11(a)のX−X線断面図、図11(c)は図11(b)のY−Y線断面図である。図12は流量測定装置51の分解斜視図である。
図12に示すように、流量測定装置51は、主として、主流路53と副流路56を有する流路ブロック52、流量検出素子61を有する回路基板60、カバー62、オリフィス63、オリフィス保持スペーサ65(オリフィス保持部材)、一対のシールリング67及び一対のエンドキャップ68によって構成されている。
まず、図12の流量測定装置51に用いられている流路ブロック52の構造を説明する。図13(a)、(b)は流路ブロック52の正面図及び背面図である。図14(a)は図13(a)のZ−Z線断面図である。図14(b)は分流導入路72を通過する箇所で破断した流路ブロック52の斜視図である。流路ブロック52は、主流路53を形成された主流路部55aと、副流路56を形成された副流路部55bとを一体成形したものであって、合成樹脂成形品となっている。
図14(a)に示すように、主流路部55aは前後方向に貫通した主流路53を有しており、主流路53の軸方向におけるほぼ中央部では、オリフィス63を当接させるための環状をした当止め部75が主流路53の壁面から突出している。図13(a)及び図14(b)に示すように、当止め部75よりも前方では、主流路53の内面のうち上面を除く領域が、主流路53の壁面となるべき面から一定の深さだけ除去されていて断面C字状のスペーサ収納部74(保持部材収納部)が凹設されている。この結果、スペーサ収納部74は当止め部75から主流路部55aの前端面まで均一な断面で軸方向に延びている。また、主流路53の上部に残った流路壁部54も、当止め部75から主流路部55aの前端面まで均一な断面で軸方向に延びている。図13(a)及び(b)に示すように、主流路部55aの前端面及び後端面には、主流路53の端面開口を囲むようにして環状のリング保持溝58が形成されている。リング保持溝58の外側において、主流路部55aの前端面及び後端面の四隅には、それぞれネジ孔59が形成されている。
副流路部55bは主流路部55aの上面に設けられている。図12及び図14(a)(b)に示すように、副流路部55bのほぼ全体には、上面が開口した浅いボックス状の外観を呈する副流路形成室57が形成されている。副流路形成室57の底部には、前後方向に延びた副流路56が形成され、流路ブロック52内には、副流路56の両端から主流路53に向けてそれぞれ垂直な分流導入路72と分流回収路73が延びている。分流導入路72の下端の分流口72aは当止め部75よりも前方において(つまり、後述のオリフィス63よりも前方に位置するように)流路壁部54の壁面53aで開口している。同様に、分流回収路73の下端の回収口73aは当止め部75よりも後方において主流路53の天面で開口している。
つぎに、図12の流量測定装置51に用いられているオリフィス63とオリフィス保持スペーサ65について説明する。オリフィス63は外周の一部にフランジ64を有し、中央部には、気体の流れを制御するための開口部76を有している。オリフィス63は、主流路53と副流路56との分流比に応じて例えば図15(a)、(b)及び(c)のように開口部76の面積(開口面積)の異なる複数種類のものが用意されている。ここに示したオリフィス63はいずれも中央部に円形の開口部76があいたものであるが、オリフィス63としては、これ以外にもハニカム状に多数の孔があいたものや、微細な多数の孔を有する多孔質体であってもよい。ただし、以下においては、円形の開口部76を有するオリフィス63を用いた場合について説明する。
いずれのオリフィス63も、開口部76の中心からフランジ64のない部分の縁までの半径は、流路ブロック52の主流路53の中心から流路壁部54の壁面53aまでの半径に等しくなっている。また、フランジ64は、流路ブロック52におけるスペーサ収納部74の断面形状と同じ形状で同じサイズとなっており、オリフィス63の開口部76の中心からフランジ64の縁までの半径は、流路ブロック52における主流路53の中心からスペーサ収納部74までの半径に等しくなっている。なお、気体の通過をスムーズにするため、開口部76の縁にはテーパーを施している。
したがって、いずれのオリフィス63も、フランジ64をスペーサ収納部74に合わせることによって主流路53内に納入することができ、流路ブロック52の前端面から主流路53に納入されたオリフィス63は当止め部75に当接して位置決めされる。
オリフィス保持スペーサ65は、円筒形の一部を長さ方向全長にわたって切欠された形状となっていて、全長にわたるスリット状の切欠き部66を有している。オリフィス保持スペーサ65の外径はスペーサ収納部74の直径に等しく、オリフィス保持スペーサ65の厚みはスペーサ収納部74の深さに等しくなっている。切欠き部66の幅は流路壁部54の幅に等しくなっている。また、オリフィス63の厚みとオリフィス保持スペーサ65の長さを合わせたものは、当止め部75の前面から流路ブロック52の前端面までの距離と等しくなっている。
オリフィス保持スペーサ65は、切欠き部66を流路壁部54に合わせることによってスペーサ収納部74に挿入することができる。オリフィス保持スペーサ65の略C字状をした断面形状は、オリフィス63のフランジ64の形状と一致するので、オリフィス63の後からスペーサ収納部74へオリフィス保持スペーサ65を挿入すると、図15(d)に示すように、オリフィス保持スペーサ65の端面がオリフィス63のフランジ64に当接してオリフィス63が押さえられる。図16(a)及び(b)は、このようにして主流路53内にオリフィス63とオリフィス保持スペーサ65を挿入した状態を表している。
こうしてオリフィス63とオリフィス保持スペーサ65を主流路53内に装着した状態では、当止め部34よりも前方では、流路壁部54の壁面53aとオリフィス保持スペーサ65の内面53cによって主流路53の壁面が形成されている。前方における主流路53の内径(壁面53a及び内面53cの直径)は、当止め部34よりも後方における主流路53の壁面53bの内径と等しくなっている。なお、図示例では、オリフィス保持スペーサ65を装着した後の主流路53は断面円形状となっているが、主流路53は多角形状(たとえば、四角形状、五角形状、六角形状、八角形状など)の断面を有していてもよい。
つぎに、副流路部55bについて説明する。図12に示すように、流量検出素子61は、回路基板60の下面に実装されている。一方、副流路56は、副流路形成室57の底面において上面が開口している。図11(b)に示すように、回路基板60は、流量検出素子61を下にした状態で、副流路56の開口領域を囲むように配置された環状のゴムパッキン(図示せず)を介して副流路形成室57の底面に重ねられ、熱かしめやネジ止めなどの手段で回路基板60を副流路形成室57に固定される。回路基板60は、少なくとも副流路56の開口領域に面する部分には孔があいていないので、副流路56の上面は回路基板60によって気密的に密閉される。また、流量検出素子61は、副流路56のうち部分的に幅の広くなった部分に納まり、副流路56内の所定位置に位置決めされる。ついで、副流路部55bの上面は、カバー62によって塞がれる。
流量検出素子61は、気体の流速を測定できるものであれば、特にその種類は問わない。流量検出素子61としては、例えばヒータとサーモパイルを有するフローセンサを用いることができる。この流量検出素子61にあっては、図17(a)に示すように、エッチングによって基板77の上面にキャビティ78を形成し、キャビティ78の上に絶縁性薄膜79を張って絶縁性薄膜79の縁を基板77で保持している。絶縁性薄膜79の中央部には、ポリシリコンによってヒータ80を形成し、ヒータ80の上流側と下流側にそれぞれサーモパイル81a、81bを設けている。サーモパイル81a、81bは、Alの線素とポリシリコンの線素を交互につないでジグザグに配置したものである。サーモパイル81a、81bはヒータ80に関して対称に配置してあり、ヒータ80の両側の対称な位置の温度を計測する。なお、符号82a、82bは、ヒータ80やサーモパイル81a、81bの電極パッドである。
測定時には、ヒータ80は所定温度で発熱しており、ヒータ80の周囲には所定の温度分布α(温度勾配)が生じている。サーモパイル81a、81bは対称な配置となっているから、図17(a)のようにヒータ80の上を気体が流れない場合には、両サーモパイル81a、81bの検知温度は等しく、温度差はゼロになる。これに対し、図17(b)のようにヒータ80の上に気体の流れ(矢印で示す)が生じると、ヒータ80の熱が下流側へ輸送され温度分布αが下流側へシフトするので、下流側のサーモパイル81bの検知温度が上昇し、上流側のサーモパイル81aの検知温度が下降し、両サーモパイル81a、81bの検知温度の温度差から気体の流速を算出することができる。
ついで、図16(a)及び(b)に示すように、リング保持溝58にシールリング67を嵌め込んだ後、流路ブロック52の両端面にそれぞれエンドキャップ68を取り付け、四隅の通孔70に通したネジ71を流路ブロック52のネジ孔59に締め付けてエンドキャップ68を流路ブロック52に固定する。この結果、シールリング67がエンドキャップ68の背面と流路ブロック52の端面との間で押圧され、流路ブロック52の端面とエンドキャップ68の間の気密が保たれる。また、エンドキャップ68でオリフィス保持スペーサ65の端を押さえることでオリフィス保持スペーサ65の他端をオリフィス63に押圧させることができる。エンドキャップ68の接続ポート69は、気体の搬送されるパイプ等を接続する部分であって、主流路53と連通している。こうして組み立てられた流量測定装置51は、図10及び図11に表されている。流量測定装置51のサイズは、たとえば長さ80mm、幅30mm、高さ35mmである。
このようにして構成された流量測定装置51にあっては、図11(b)に矢印で示すように接続ポート69から主流路53内に気体が流入すると、この気体がオリフィス63を通過する際の抵抗によってオリフィス63の前後で圧力差を生じる。この圧力差のため、主流路53を流れる気体の一部が分流導入路72を通って副流路56へ分流され、副流路56を通過した気体が分流回収路73を通って再び主流路53へ回収される。そして、分流された気体が副流路56を流れる際に、流量検出素子61によって副流路56を流れる気体の流量が測定され、主流路53を流れる気体の流量と副流路56を流れる気体の流量との分流比に基づいて全流量が算出される。なお、この流量測定装置51では、前面側から気体を導入してもよく、背面側から気体を導入してもよく、双方向で使用することができる。
このようなバイパス構造によれば、大流量測定用の流量測定装置51の場合でも、主流路53の流路断面積を小さくでき、流量測定装置51を小型化することができる。また、この流量測定装置51では、測定しようとする流量レンジに応じて、たとえば図15(a)〜(c)のような開口面積の異なるオリフィス63に変更することで主流路53と副流路56との分流比を変更することができ、副流路56に気体の流速が流量検出素子61の測定可能レンジ(出力のリニアな範囲)に納まるよう調整できる。よって、顧客要求や用途に応じて種々の流量レンジの流量測定装置を提供することができるとともに、オリフィス63以外の部品、すなわち流路ブロック52などの部品を共用化することができ、流量測定装置51の製造コストも下げることができる。
また、このような構造の流量測定装置51では、副流路56へつながる分流口72aにオリフィス保持スペーサ65が重なったり、分流口72aとオリフィス保持スペーサ65が干渉したりすることがない。しかも、主流路53の壁面は、流路壁部54の壁面53aとオリフィス保持スペーサ65の内面53cによって、凹凸のない滑らかな面(図示例では、円筒面)となっている。そのため、主流路53内を流れる気体の流れの安定性が維持され、主流路53を流れる流量と副流路56を流れる流量との分流比を一定に保ちやすくなり、流量測定装置51による流量の測定精度を向上させることができる。
(第1の実施形態の変形例)
図18は実施形態1の変形例を示す断面図である。この流量測定装置91では、実施形態1の場合よりも、オリフィス保持スペーサ65と流路壁部54の長さを若干短くし、オリフィス保持スペーサ65の端面と流路壁部54の端面を主流路部55aの前端面よりも若干引っ込めている。そして、オリフィス保持スペーサ65の端面及び流路壁部54の端面とエンドキャップ68の背面との間にOリング等の弾性部材92を挟み込み、弾性部材92を圧締している。このような変形例によれば、弾性部材92の弾性反発力によってオリフィス保持スペーサ65をオリフィス63に押圧させることができるので、確実にオリフィス63を保持させることができる。
また、オリフィス保持スペーサ65及び流路壁部54の各端面とエンドキャップ68の背面との間には、弾性部材92とともに塵埃除去用のネット(図示せず)などを挟み込んでもよい。
図19に示すものは実施形態1の別な変形例であって、エンドキャップ68を外した状態の正面図である。この変形例の流量測定装置93では、オリフィス保持スペーサ65を断面半円状に形成してあり、それに対応してオリフィス63のフランジ64やスペーサ収納部74も半円状に形成している。オリフィス63が金属などで作製されていて剛性を有している場合には、オリフィス保持スペーサ65でオリフィス63の一部を押さえることができればよいので、オリフィス保持スペーサ65の断面が小さくなっても差し支えない。
図20(a)、(b)に示す変形例(流量測定装置94)は、オリフィス保持スペーサ65の断面積とフランジ64をさらに小さくしたものである。すなわち、図20(b)に示すように、オリフィス63の両側に突起状のフランジ64(突起)を設けてあり、2本のオリフィス保持スペーサ65は断面形状がフランジ64の形状と等しい棒状となるように形成されている。また、主流路53の両側面にはフランジ64の形状と同じ断面のスペーサ収納部74を溝状に形成している。そして、図20(a)に示すように、フランジ64をスペーサ収納部74に嵌めてオリフィス63を主流路53内に納入した後、左右のスペーサ収納部74にそれぞれオリフィス保持スペーサ65を挿入してオリフィス63を保持させている。なお、オリフィス保持スペーサ65やスペーサ収納部74の断面形状は、オリフィス保持スペーサ65がスペーサ収納部74から主流路53内へ抜けて脱落しないような形状としている。
図19や図20に示したような変形例では、オリフィス保持スペーサ65の断面積を小さくしているので、オリフィス保持スペーサ65と流路壁部54の縁どうしの境目と分流口72aとの距離を大きくすることができる。そのため、オリフィス保持スペーサ65と流路壁部54の縁どうしの境目で気体の流れに乱れが生じたとしても、分流口72aに流れ込む気体に影響が及びにくくなり、分流比を安定させることができる。
図21(a)は、実施形態1のさらに別な変形例による流量測定装置95を示す断面図、図21(b)は、図21(a)のW−W線断面図である。また。図22は、流量測定装置95の流路ブロック52を示す斜視図である。この変形例では、下端の分流口72aが流路壁部54の壁面53aで開口するようにして、2つの分流導入路72を垂直に形成している。副流路形成室57の底面においては、左右の分流導入路72の上端間をつなぐようにして合流路96を水平に設けている。同様に、左右の分流回収路73の上端間をつなぐようにして分散路97を水平に設けている。さらに、合流路96の中央と分散路97の中央を結ぶようにして副流路56を設けている。
この流量測定装置95にあっては、主流路53を流れる気体の一部が2箇所の分流口72aから分流導入路72を通って合流路96に流れ込み、両端から合流路96に流れ込んだ気体はその中央部から副流路56へ送り込まれ、副流路56を通過する際に流量検出素子61によって流量を測定される。そして、副流路56を通過した気体は、分散路97に流れ込んで左右に分かれ、分流回収路73を通って再び回収口73aから主流路53に戻り、主流路53を通過した気体と一緒に流れる。
したがって、このような構造によれば、2箇所の分流口72aから分流させた気体を1本の副流路56へ集めて流速分布の偏りを平均化したうえで流量検出素子61で気体の流速を測定することができる。よって、副流路56における流量を安定化させることができ、流量の測定精度を向上させることができる。
なお、副流路部55bにおける流路の構造は特に限定されるものではないので、図21及び図22に示したもの以外にも、特許文献1や特願2008−222992に開示されたような構造のものであってもよい。
(第2の実施形態)
図23は、本発明の実施形態2による流量測定装置101の断面図である。図24は、流量測定装置101に用いる流路ブロック52の一部破断した斜視図である。図25(a)は、流量測定装置101に用いるオリフィス保持スペーサ65の斜視図である。
この流量測定装置101にあっては、図25(a)に示すように、切欠き部66をオリフィス保持スペーサ65の全長にわたって形成せず、切欠き部66の長さがオリフィス保持スペーサ65の長さよりも短くなるようにしている。一方、図24に示すように、流路ブロック52の主流路53内においては、切欠き部66に合致した形状及びサイズの流路壁部54を残すようにして、それ以外の領域にスペーサ収納部74を形成している。分流口72aは流路壁部54で開口しており、流路壁部54の縁と分流口72aとの間には、分流比に影響を与えない程度に十分な距離が保たれている。このような実施形態によっても、実施形態1の流量測定装置51と同様な作用効果を奏することができる。
なお、この実施形態で用いるオリフィス保持スペーサ65は、図25(b)に示すように、スリット状の切欠き部66を有するオリフィス保持スペーサ65aと、円筒状のオリフィス保持スペーサ65bとに分けてもよい。
(第3の実施形態)
図26は、本発明の実施形態3による流量測定装置102の一部破断した斜視図である。この実施形態では、以下に説明するように、主流路53の後部(回収口73aの開口している側)も前部(分流口72aの開口している側)と同様な構造としている。流量測定装置102では、主流路53内に当止め部75を設けておらず、主流路部55aの前端面から後端面にわたって流路壁部54とスペーサ収納部74が形成されている。したがって、オリフィス63等を納める前の主流路53は、主流路部55aの前端面から後端面にわたって、均一な断面形状となっている。
スペーサ収納部74の後部には一方のオリフィス保持スペーサ65が挿入され、その前面にはオリフィス63が挿入され、オリフィス63の前方においては、スペーサ収納部74に他方のオリフィス保持スペーサ65が挿入されている。一方のオリフィス保持スペーサ65の長さとオリフィス63の厚みと他方のオリフィス保持スペーサ65の長さを合計した寸法は、主流路部55aの前端面と後端面との距離に等しくなっており(あるいは、オリフィス保持スペーサ65の端面に弾性部材92を挿入する場合には、前記合計寸法は主流路部55aの前端面と後端面との距離よりも若干短くなっており)、流路ブロック52の両面にエンドキャップ68を取り付けることで、オリフィス63はオリフィス保持スペーサ65間に挟まれて位置決め保持される。
このような構造の流量測定装置102によれば、前後のオリフィス保持スペーサ65の長さの和を一定に保ったままで各オリフィス保持スペーサ65の長さを変えることによりオリフィス63の位置を変化させることができ、それによって分流比を調整できる。
(第3の実施形態の変形例)
図27は、実施形態3の変形例を示す一部破断した斜視図である。この流量測定装置103では、前後のオリフィス保持スペーサ65をそれぞれ長さの短い複数のオリフィス保持スペーサ65cによって形成したものである。これらのオリフィス保持スペーサ65cは同じ長さのものを用いるのが望ましい。
このような変形例によれば、各オリフィス保持スペーサ65cの間の間隙のうち、どの間隙にオリフィス63を挟みこむかによって自由にオリフィス63の位置を変えることができ、それによって分流比を調整することができる。なお、オリフィス保持スペーサ65c間にはガス整流板などを挟み込んでもよい。
(第4の実施形態)
図28は、本発明の実施形態4による流量測定装置104の一部破断した斜視図である。図28の流量測定装置104では、オリフィス63の長さを長くすることによって流体抵抗を大きくしている。流体抵抗を変化させるには、オリフィス63の開口面積を変化させればよいが、この実施形態のようにオリフィス63の長さを変えることによっても流体抵抗を変化させることができ、分流比を調整することができる。
オリフィス63の長さを変化させる場合には、それに応じて実施形態1のような構造のオリフィス保持スペーサ65の長さを変化させたり、実施形態3のような構造の前後のオリフィス保持スペーサ65の長さを変化させたり、あるいは実施形態3の変形例のような構造において前部又は後部のオリフィス保持スペーサ65cの数を増減させたりすればよい。
(第5の実施形態)
図29は、本発明の実施形態5による流量測定装置105の斜視図である。図30は、流量測定装置105の一部分解した斜視図である。この流量測定装置105では、流路ブロック52を構成する主流路部55aと副流路部55bを別々に形成したものである。主流路部55aの上面には、副流路部55bの下端部を嵌め込んで位置決めするための凹部106が設けられており、凹部106内には分流導入路72の上端と分流回収路73の上端が開口している。副流路部55bは、市販もしくは既存の流量測定装置を用いたものである。副流路部55bの内部には副流路56(市販もしくは既存の流量測定装置の流路)と流量検出素子61が設けられており、副流路56の両端は副流路部55bの下面で開口している。
主流路部55aと副流路部55bを組み立てるときには、分流導入路72及び分流回収路73の上端開口の周囲にそれぞれOリングを入れ、凹部106に副流路部55bの下端部を嵌め込んで位置決めするとともに、副流路56の下面開口をそれぞれ分流導入路72と分流回収路73に接続する。そして、ネジによって副流路部55bを主流路部55aの上面に固定する。
このような実施形態によれば、市販または既存の流量測定装置を利用してバイパス型の流量測定装置を作製することができる。
(その他の実施形態)
実施形態1や実施形態2などでは、分流口72aの開口している側(前部)において主流路53に流路壁部54やスペーサ収納部74を設け、主流路53に納入したオリフィス63を前方からスペーサ収納部74に挿入したオリフィス保持スペーサ65で抑えるようにした。これとは反対に、回収口73aの開口している側(後部)において主流路53に流路壁部54やスペーサ収納部74を設け、主流路53に納入したオリフィス63を後方からスペーサ収納部74に挿入したオリフィス保持スペーサ65で抑えるようにしてもよい。
また、接続ポート69にはネジ加工を施してあってもよい。
本発明の流量測定装置は、気体の流量を測定するものであり、その応用分野は広範にわたる。例えばガスメータや燃料電池においてガス流量を測定する用途に用いることができる。また、睡眠時無呼吸症候群向け治療機器等の医療機器、工場における空気流量を監視する産業機器(産業用エアライン)、機器組込用途などに使用することもできる。
51、91、93〜95、101〜105 流量測定装置
52 流路ブロック
53 主流路
54 流路壁部
55a 主流路部
55b 副流路部
56 副流路
60 回路基板
61 流量検出素子
63 オリフィス
64 フランジ
65、65a、65b、65c オリフィス保持スペーサ
66 切欠き部
72 分流導入路
72a 分流口
73 分流回収路
73a 回収口
74 スペーサ収納部
75 当止め部

Claims (10)

  1. 両端が開口した主流路および前記主流路から分岐した副流路を有する流路ブロックと、前記副流路に設けられた流量測定素子と、前記主流路の壁面で開口し、かつ、前記副流路に連通した分流口及び回収口とを備え、
    前記主流路に流れる気体の一部を前記分流口から前記副流路へ分流させ、前記副流路を通過した気体を前記回収口から前記主流路へ戻すようにした流量測定装置において、
    前記流路ブロックの前記主流路となる空間の周面にて、前記分流口を含む領域と前記回収口を含む領域とを除く領域に保持部材収納部が凹設され、
    前記主流路内にオリフィスが納入され、
    前記保持部材収納部に嵌め込まれたオリフィス保持部材が、前記オリフィスに当接することによって前記オリフィスを保持し、
    前記主流路のうち前記保持部材収納部を形成された領域以外の壁面と前記オリフィス保持部材の内面とによって前記主流路の壁面が構成されていることを特徴とする流量測定装置。
  2. 前記流路ブロックの前記主流路となる空間の周面に当止め部を突設し、前記オリフィスを前記当止め部に当接させることによって位置決めし、前記オリフィス保持部材の端面と前記当止め部の間に前記オリフィスを挟み込んで保持させたことを特徴とする、請求項1に記載の流量測定装置。
  3. 前記流路ブロックの前記主流路となる空間の周面に、前記当止め部から前記流路ブロックの一方端面にかけて、均一な断面形状の保持部材収納部を凹設し、前記オリフィス保持部材にその長さ方向全長にわたって切欠き部を形成し、前記オリフィス保持部材の切欠き部に前記主流路のうち前記保持部材収納部を形成された領域以外の壁面を納めるようにして、前記オリフィス保持部材を前記保持部材収納部に挿入していることを特徴とする、請求項2に記載の流量測定装置。
  4. 前記流路ブロックの前記主流路となる空間の周面に、前記当止め部から前記流路ブロックの一方端面に向けて、均一な断面形状の保持部材収納部を凹設し、前記オリフィス保持部材にその長さ方向の一部に切欠き部を形成し、前記オリフィス保持部材の切欠き部に前記主流路のうち前記保持部材収納部を形成された領域以外の壁面を納めるようにして、前記オリフィス保持部材を前記保持部材収納部に挿入していることを特徴とする、請求項2に記載の流量測定装置。
  5. 前記流路ブロックの前記主流路となる空間の周面に溝状の保持部材収納部を設け、前記オリフィスの外周面に突起を設け、前記保持部材収納部に前記突起を嵌め込んで前記オリフィスを前記主流路内に納入し、前記保持部材収納部に挿入した棒状の前記オリフィス保持部材によって前記オリフィスを保持させたことを特徴とする、請求項1に記載の流量測定装置。
  6. 前記主流路内に納入されたオリフィスを、前記主流路の一方開口から前記保持部材収納部に嵌め込まれた前記オリフィス保持部材と前記主流路の他方開口から前記保持部材収納部に嵌め込まれた別な前記オリフィス保持部材とで挟み込んで保持していることを特徴とする、請求項1に記載の流量測定装置。
  7. 前記オリフィス保持部材が、複数個のオリフィス保持部材によって構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の流量測定装置。
  8. 前記流路ブロックの端面に取り付けたエンドキャップによって前記オリフィス保持部材の端面を押さえていることを特徴とする、請求項1に記載の流量測定装置。
  9. 前記オリフィス保持部材の端面と前記エンドキャップとの間に弾性部材を挟み込んでいることを特徴とする、請求項8に記載の流量測定装置。
  10. 前記流路ブロックは、互いに別体となった主流路部と副流路部を組み立てて構成されており、前記主流路部に前記主流路が形成され、前記副流路部に前記副流路が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の流量測定装置。
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