JP5272196B2 - 切断装置 - Google Patents

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Description

本発明は、昇降動するカッターホルダに平刃状の切断刃を取り付けた切断装置に関するものである。
セラミックグリーンシート又はその積層体は、インダクタンスやコンデンサ,集積回路用パッケージ等の製造過程において、平刃状の切断刃を備えた切断装置によって格子状等に切断されてチップを形成する。セラミックグリーンシートのような被切断物を均質に切断するには、切断刃に切断方向に沿った周波数の高い振動を加えることが有効である。これを実現するために、切断方向に沿って振動源となる電歪/磁歪型振動子にホーンと呼ばれる振動増幅器を接続し、このホーンを介して電歪/磁歪振動子の振動を切断刃に伝える超音波振動方式の切断装置が知られている。
しかしながら、振動方向と切断方向を一致させて、振動源と切断刃の間にホーンを介在させた従来の超音波振動方式の切断装置では、振動源と切断刃との間隔が大きくなり、その間に介在するホーンの共振作用で横ぶれが生じやすく、これと切断刃の極薄化とが相俟って切断刃にうねりや波うち現象が生じ、均質な切断面を得ることができない問題がある。また、この従来例では、振動源とホーンと切断刃が切断方向に沿って連なって配備されることになるので、切断方向に沿って装置の長大化を招くことになり、設置スペースに制約があるところでは採用できない問題があった。
これに対して、前述した問題を改善する提案が下記特許文献1によってなされている。この改善提案では、振動源の振動を直接的に切断刃に伝える構造を採用して、切断刃の横ぶれやうねり、波うちを防ぎ、また装置のコンパクト化を実現している。
すなわち、下記特許文献1に記載のものは、昇降するカッターホルダに平刃状の切断刃を取り付けた切断装置において、前記カッターホルダに積層型圧電素子を内設し、その圧電素子の下面側を刃板取り付けブロックに接合させ、カッターホルダの下降動作と協働して圧電素子により切断刃に縦方向の微振動を付与しながら切断動作をさせるものである。
特開2007−30116号公報
特許文献1に記載のものは、圧電素子の微振動を刃板取り付けブロックに直接伝えることができるので、切断刃の横ぶれなどは生じることが無く均質な切断面を形成することが可能である。これに対して更に、構造的に横ぶれなどを生じることなく、且つコンパクトに振動源と切断刃の間に共振構造を介在させることができれば、特許文献1の利点を生かしながら切断刃の振幅を大きくでき、切断性能を更に向上できることを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明は、切断刃に超音波振動を与える切断装置において、切断刃に横ぶれを与えることなく共振作用を利用した大きな振幅を切断刃に与えることで、切断性能を更に向上させること、共振作用を付与する構造を振動源と切断刃の間に介在させながら装置のコンパクト化を可能にすること、等を目的とするものである。
このような目的を達成するために、本発明による切断装置は、以下の構成を少なくとも具備するものである。
昇降動するカッターホルダに平刃状の切断刃を取り付けた切断装置において、前記カッターホルダは、前記切断刃の切断方向に沿って振動する圧電素子が設置されたフレーム部と、前記切断刃を保持すると共に前記圧電素子の下端が当接する当接面を有し、前記圧電素子の側方に位置する共振作用部を介して前記フレーム部の下方に結合されたカッター保持部とを備え、前記カッター保持部と前記共振作用部とからなる振動系が共振状態になるように前記圧電素子を振動させ、前記共振作用部は、高剛性バネ構造を有し、前記高剛性バネ構造は、前記フレーム部側が基端となり片持ち状に水平に伸びる水平バネ部分と該水平バネ部分から垂直に屈曲して端部が前記カッター保持部に結合される垂直バネ部分とからなることを特徴とする。
すなわち、本発明は、カッター保持部が圧電素子の下端が当接する当接面を有しているので、圧電素子の振動が直接カッター保持部に加えられる構造でありながら、カッター保持部は圧電素子の振動と一体には振動しない構造になっている。圧電素子を駆動させると、圧電素子の下端がカッター保持部の当接面に当接することで、圧電素子を振動源としてカッター保持部と共振作用部とからなる振動系に振動が加わる。カッター保持部と共振作用部は共振作用部のバネ性によって切断刃の切断方向に沿って振動することになるが、この振動系はカッター保持部の質量と共振作用部のバネ定数に基づく固有振動数を有している。圧電素子によって加えられる振動をこの固有振動数に合わせることでカッター保持部と共振作用部からなる振動系が共振状態になり、圧電素子の振動よりかなり大きな振幅でカッター保持部に保持された切断刃を切断方向に沿って振動させることができる。
この際、圧電素子は直接カッター保持部に振動を加えており、バネ性を有する共振作用部を圧電素子の側方に配置しているので、切断刃に横ぶれを与えることなく共振作用を利用した大きな振幅を切断刃に与え、切断性能を更に向上させることができる。また、振動方向に沿って装置が長大化することはなくコンパクト化を実現することができる。
本願発明は、切断刃に超音波振動を与える切断装置において、切断刃に横ぶれを与えることなく共振作用を利用した大きな振幅を切断刃に与え、切断性能を更に向上させることができる。また、振動源と切断刃の間に共振作用を付与する構造を介在させながら装置のコンパクト化を可能にすることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態に係る切断装置の主要部(カッターホルダ)を示す説明図である(同図(a)が正面図、同図(b)がX−X断面図)。カッターホルダ1は、フレーム部10とカッター保持部11と共振作用部12とを備えており、フレーム部10には切断刃3の切断方向に沿って振動する圧電素子2が設置され、カッター保持部11には平刃状の切断刃3が保持されている。
フレーム部10には、下端が自由駆動面2Aとなるように圧電素子2が設置されている。自由駆動面2Aは圧電素子2自体の下面であってもよいし、圧電素子2の下端に接続された駆動部材20の下面であってもよい。圧電素子2はフレーム部10の収容部10Aに配置することができ、その下端が収容部10Aから解放された状態になっている。
カッター保持部11は、基体部11Aと押さえ板11Bとを備えており、基体部11Aに止められた切断刃3を押さえ板11Bで押さえることで、刃先を下に向けた状態で切断刃3を保持している。切断刃3の保持構造の一例としては、基体部11Aの保持面から突出する突起部11A1を切断刃3の保持孔に挿入し、押さえ板11Bの挿入孔に突起部11Aを挿入する。突起部11A1の先端部分にはねじ部が形成されており、そのねじ部にナット11A2を螺合させて、押さえ板11Bを基体部11A側に押さえ付ける。
また、カッター保持部11には、圧電素子2の自由駆動面2Aが当接する当接面11Cが形成されている。これによって、圧電素子2が駆動すると自由駆動面2Aが当接面11Cに当接して、圧電素子2による振動がカッター保持部11に直接加えられる。また、圧電素子2の自由駆動面2Aと当接面11Cは接合状態にはないので、圧電素子2の振動とは異なる周波数でカッター保持部11を振動させることができ、その際には圧電素子2の自由駆動面2Aがカッター保持部11の当接面11を叩くように作用する。
共振作用部12は、圧電素子2の側方に位置してフレーム部10とカッター保持部11とを結合している。すなわち、圧電素子2の側方に位置する共振作用部12を介してフレーム部10の下方にカッター保持部11が結合されている。図示の例では、圧電素子2一つに対して、その両側に共振作用部12を配備している。カッター保持部11を安定に振動させるには、圧電素子2に対して左右対称に共振作用部12を設けることが好ましい。図示では、圧電素子2は1個のみ配置しているが、これに限らず複数個の圧電素子2をフレーム部10に設置しても良い。複数個の圧電素子2を設置する場合には、全ての圧電素子2が同調して振動することが必要になる。
共振作用部12の構造例を説明すると、共振作用部12は高剛性バネ構造を有している。共振作用部12はフレーム部10側に一体に形成され、そのバネ端がカッター保持部11側に結合されている。共振作用部12は、圧電素子2の振動付加によって、この共振作用部12とカッター保持部11を共振周波数で振動させるための部位である。このためには共振作用部12は剛性の高いバネ構造であり、横ぶれを生じないことが必要になる。
共振作用部12のバネ構造の一例を図1に基づいて説明する。図示の例では、フレーム部10側が基端となり片持ち状に水平に伸びる水平バネ部分12aとこの水平バネ部分12aから垂直に屈曲して端部がカッター保持部11に結合される垂直バネ部分12bとからなる。このような横L字型のバネ構造を形成することで、横方向の振動成分を少なくして、効率的に切断刃を切断方向に沿って振動させることができる
このような本発明の実施形態に係るカッターホルダ1の機能を説明する。圧電素子2を駆動させると、圧電素子2の自由駆動面2Aがカッター保持部11の当接面11Cに当接することで、圧電素子2を振動源としてカッター保持部11と共振作用部12とからなる振動系に振動が加わる。カッター保持部11と共振作用部12は共振作用部12のバネ性によって切断刃3の切断方向に沿って振動することになるが、この振動系はカッター保持部11の質量と共振作用部12のバネ定数に基づく固有振動数を有している。圧電素子2によって加えられる振動をこの固有振動数に合わせることでカッター保持部11と共振作用部12からなる振動系が共振状態になり、圧電素子2の振動よりかなり大きな振幅でカッター保持部11に保持された切断刃を切断方向に沿って振動させることができる。
この際、圧電素子2は直接カッター保持部11に振動を加えており、バネ性を有する共振作用部12を圧電素子2の側方に配置しているので、振動方向に沿って装置が長大化することはなく、また、振動源である圧電素子2の両側に左右対称に共振作用部12を設けることで横ぶれ振動の発生を抑えることができる。これによって、切断面のうねりや波うち現象を回避し均質な切断面を得ることができると共に、振幅を多くして切断性能を更に高めることができ、同時に装置のコンパクト化を実現することができる。
圧電素子2には、図示省略の制御手段を接続して駆動制御を行い、振動周波数を可変制御しうることが好ましい。これによると、カッター保持部11及び共振作用部12からなる振動系が共振するように圧電素子2の振動周波数を徐々に高めていき、共振が得られたところで圧電素子2の駆動状態を固定することが可能になり、カッター保持部11及び共振作用部12の任意の形態に対応して振動系を共振状態にすることができる。
図2は、前述したカッターホルダ1を装備した切断装置の構成例を示した説明図である。図2において、図示省略した機台上に、回転テーブル100を配設するとともにその両側に前後方向へ延びるY軸ガイドレール101,101を配置し、そのY軸ガイドレール101,101に脚部102a,102aをスライド可能とした門型の支持機体102を搭載する。支持機体102には、前面に上下方向へ延びるZ軸ガイドレール103,103を備え、そのZ軸ガイドレール103,103に沿って背部をスライド可能としたカッターラム104を配設するとともに該カッターラム104に前述したカッターホルダ1を着脱可能に取り付けて切断装置Aを構成する。
回転テーブル100は、図示省略した駆動源により所定角度(90度)を回転可能に設置され、上面には、表面にバキューム孔を開口した吸着テーブル105を一体的に取り付け、その吸着テーブル105上に切断するワークWを載せて保持する作業テーブルである。上記支持機体102には、カッターラム104の中央部上方に駆動源であるサーボモータM1を設置し、そのサーボモータM1により駆動される昇降軸106をカッターラム104に連結してカッターラム104を昇降動可能とし、また、支持機体102の背面下部には駆動源であるサーボモータM2を機台上に設置し、そのサーボモータM2により駆動されるY駆動軸107をカッターラム104に連結してカッターラム104をY軸方向(前後方向)へ往復動可能としている。カッターホルダ1は、下半部に平刃状の切断刃3を着脱可能に取り付け、その切断刃3が回転テーブル100の前記吸着テーブル105の直上に位置するよう配置される。
したがって、カッターホルダ1に取り付けた切断刃3は、サーボモータM1により昇降動するカッターラム104に追従して吸着テーブル105上を昇降動し、その下降時にワークWを切断するとともに一回の切断動作ごとにサーボモータM2によりY軸方向へ所定寸法だけ移動しながら切断動作を繰り返し、回転テーブル100が90度回転した後も同様の切断動作をしてワークWを格子状に切断する。
なお、上記切断装置Aにおいて、駆動源としてサーボモータM1,M2を使用した場合を説明したが、それに限定されるものではなく、リニアモータ、エアーシリンダ、油圧サーボモータなど他の駆動方式を採用することも任意であり、また、支持機体102の具体的構造や移動方式、特に、支持機体102をY軸方向へ移動させることに代えて、回転テーブル100をY軸方向へ移動させてもよいことは勿論である。
而して、上記切断装置Aは、サーボモータM1によりカッターラム104と共にカッターホルダ1が吸着テーブル105上を下降し、切断刃3がワークWに接触するタイミングで、圧電素子2の作動により切断刃3が縦方向へ数十μmの振幅で高速振動するので、そのカッターホルダ1の下降動作と切断刃3の振動との協働により切断動作がなされる。その切断動作においては、例えば、数百Hzから10000Hz以上の不可聴領域の振動まで発生させることができ、前述した共振が得られる所望の振動数によって、切断性能の高い大きな振幅の振動を得ることができる。
詳しくは、カッターホルダ1がサーボモータM1に設定された定量または可変な送り量で下降しながら振動が付与された切断刃3でワークWを切断し、カッターホルダ1が上昇したところで、サーボモータM2によりカッターラム104をY軸方向へ定寸送りした後に再びカッターホルダ1が下降しながら前記切断動作をし、その切断動作をY軸方向の終端まで繰り返し、その後に、回転テーブル100を90度回転させた状態で再度前記と同様の切断動作を反復することによってワークWを格子状に切断して微小な(例えば、縦横寸法0.6mm×0.3mm)チップを作製する。
上記切断装置Aによれば、上記切断刃3に大きな振幅の振動を付与することによる摩擦熱で発熱し、ワークWの組成粒子やバインダーが移動しやすくなって脆性の高い素材の切断抵抗を軽減させクラックの発生を皆無にすることができる。それに加えて、圧電素子2をカッターホルダ1に内設し、ホーンを設けることなく切断刃3を直接に駆動する方式であるので、切断刃3のうねりや波うち現象を防止することができるとともに、装置のコンパクト化を可能にすることができる。
本発明の一実施形態に係る切断装置の主要部(カッターホルダ)を示す説明図である(同図(a)が正面図、同図(b)がX−X断面図)。 本発明の実施形態に係る切断装置の構成例を示した説明図である。
符号の説明
1:カッターホルダ,
10:フレーム部,11:カッター保持部,12:共振作用部,
11C:当接面,
2:圧電素子,2A:自由駆動面,
3:切断刃,
A:切断装置

Claims (3)

  1. 昇降動するカッターホルダに平刃状の切断刃を取り付けた切断装置において、
    前記カッターホルダは、
    前記切断刃の切断方向に沿って振動する圧電素子が設置されたフレーム部と、
    前記切断刃を保持すると共に前記圧電素子の下端が当接する当接面を有し、前記圧電素子の側方に位置する共振作用部を介して前記フレーム部の下方に結合されたカッター保持部とを備え、
    前記カッター保持部と前記共振作用部とからなる振動系が共振状態になるように前記圧電素子を振動させ
    前記共振作用部は、高剛性バネ構造を有し、
    前記高剛性バネ構造は、前記フレーム部側が基端となり片持ち状に水平に伸びる水平バネ部分と該水平バネ部分から垂直に屈曲して端部が前記カッター保持部に結合される垂直バネ部分とからなることを特徴とする切断装置。
  2. 前記圧電素子一つに対して、その両側に前記共振作用部を配備したことを特徴とする請求項1記載の切断装置。
  3. 前記圧電素子は、前記カッター保持部と前記共振作用部とからなる振動系が共振するように、振動周波数が制御可能であること特徴とする請求項1又は2に記載の切断装置。
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