JP5271840B2 - ゲート装置 - Google Patents

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Description

本発明は、起伏式、フラップ式、転倒式として最適な開閉機付きのゲート装置に関する。
従来、図6(b)の左側に示すように、水底面50に対して略平行状態で倒れる倒伏位置Dと、図6(a)の左側に示すように、水底面50に対して所定の角度で起き上がる起立位置Uとに揺動可能な扉体51を備えた起伏式のゲート装置(起伏堰)がある(特許文献1参照)。
このような起伏式のゲート装置では、扉体51は、倒伏位置において、正流方向(上流方向等)の水流aを受ける側の一端部51aをヒンジ部材52で揺動自在に支持している。そして、ドラム53のロープ54を扉体51の他端部51bに連結して、ドラム53の正回転でロープ54を巻き取ることで、扉体51を起立位置Uに揺動させる一方、ドラム53の逆回転でロープ54を巻き戻すことで、扉体51を倒伏位置Dに揺動させるようになっている。
一方、図7(a)に示すように、縦壁面55の水路開口56を塞ぐように、縦壁面55に略平行状態となる縦位置Vと、縦壁面55の水路開口56を開くように、縦壁面55に対して所定の角度で後退する後退位置Bとに揺動可能な扉体51を備えたフラップ式のゲート装置がある(特許文献2参照)。
このようなフラップ式のゲート装置では、扉体51は、縦位置Vにおいて、上部の一端部51aをヒンジ部材52で揺動自在に支持している。
そして、水路開口56を塞いでいる扉体51は、水流cの水圧によって、水路開口56を自然に開くように後退位置Bに揺動するようになっている。
また、図7(b)に示すように、水底面50に対して略平行状態で倒れる転倒(倒伏)位置Dと、水底面50に対して所定の角度で起き上がる起立位置Uとに揺動可能な扉体51を備えた転倒式のゲート装置もある(特許文献3参照)。
特開2002−309547号公報 特開2008−138483号公報 特開2002−309558号公報
しかしながら、特許文献1〜3のゲート装置は、扉体51をヒンジ部材52で支持しているから、ヒンジ構造が複雑で、部品点数も多くなり、コスト高になるという問題がある。
また、特許文献1の起伏式のゲート装置では、正流方向(上流方向等)の水流aを受ける側でしか使用できない(1門のゲート)。したがって、逆流方向(下流方向等)の水流bを受ける側でも使用したい場合には、図6(a)の右側および図6(b)の右側に示すように、逆流方向(下流方向等)の水流bを受ける起伏ゲートを別に設置する必要がある(2門のゲート)。その結果、コスト高になるとともに、広い設置スペースが必要になるという問題がある。
さらに、特許文献2のフラップ式のゲート装置では、図7(a)のように、扉体51を休止位置Lに揺動させる場合には、ドラム52やロープ54等の休止装置を別に設置する必要がある。また、扉体51は、上部をヒンジ部材52で揺動自在に支持しているので、特許文献3の転倒式のゲート装置のような水位の調整ができないという問題がある。
本発明は、前記問題を解消するためになされたもので、扉体(ゲート)のヒンジ部材を不要にして(ヒンジレスゲート)、部品点数が少なく、簡単でコスト安な支持構造としたゲート装置を提供することを基本的な目的とするものである。
また、1門で正流・逆流の双方向で使用できる起伏式、あるいはフラップ兼転倒式としても応用できるゲート装置を提供することを他の目的とするものである。
前記課題を解決するために、本発明は、設置面に対して略平行状態となる位置と、設置面に対して所定の角度で起き上がる位置とに揺動可能な扉体を備えたゲート装置であって、一端部と他端部とを有する扉体と、前記一端部側の設置面に一端が連結され、他端が前記扉体の他端部付近に連結された第1の固定ベルトと、前記他端部側の設置面に一端が連結され、他端が前記扉体の一端部付近に連結された第2の固定ベルトと、前記扉体を前記一端部と他端部の少なくとも一方を揺動支点として揺動させる駆動機構を備えていることを特徴とするゲート装置を提供するものである。
請求項2のように、請求項1において、水底面に対して略平行状態で倒れる倒伏位置と、水底面に対して所定の角度で起き上がる起立位置とに揺動可能な扉体を備えた起伏式のゲート装置であって、前記倒伏位置において、正流方向の水流を受ける側の一端部と逆流方向の水流を受ける側の他端部とを有する扉体と、正流方向の水底面に一端が連結され、他端が前記扉体の他端部付近に連結されて、扉体の他端部を揺動可能に支持する第1の固定ベルトと、逆流方向の水底面に一端が連結され、他端が前記扉体の一端部付近に連結されて、扉体の一端部を揺動可能に支持する第2の固定ベルトと、前記扉体を、正流方向の水流を受ける向きの起立位置と、逆流方向の水流を受ける向きの起立位置との少なくとも一方に起き上がり揺動させる駆動機構を備えている構成とすることができる。
請求項3のように、請求項2において、前記駆動機構は、電動機で回転されるドラムと、このドラムに巻き付けられて、一端が前記扉体の一端部側の上部位置に連結され、他端が前記扉体の他端部側の上部位置に連結されたロープとで構成され、ドラムの正回転でロープの一端側を巻き取りながら他端側を巻き戻すことにより、扉体を正流方向の水流を受ける向きの起立位置に起き上がり揺動させる一方、ドラムの逆回転でロープの他端側を巻き取りながら一端側を巻き戻すことにより、扉体を逆流方向の水流を受ける向きの起立位置に起き上がり揺動させるようにした構成とすることができる。
請求項4のように、請求項3において、前記ロープの一端側とドラムとの間、およびロープの他端側とドラムとの間に、巻き戻されたロープの弛みを吸収する弛み吸収機構が設けられている構成とすることができる。
請求項5のように、請求項1において、縦壁面の水路開口を塞ぐように、縦壁面に略平行状態となる縦位置と、縦壁面の水路開口を開くように、縦壁面に対して所定の角度で後退する後退位置とに揺動可能な扉体を備えたフラップ兼転倒式のゲート装置であって、前記縦位置において、上側の一端部と下側の他端部とを有する扉体と、上側方向の縦壁面に一端が連結され、他端が前記扉体の他端部付近に連結されて、扉体の一端部を揺動可能に支持する第1の固定ベルトと、下側方向の縦壁面に一端が連結され、他端が前記扉体の一端部付近に連結されて、扉体の他端部を揺動可能に支持する第2の固定ベルトと、前記扉体を、一端部を支点として揺動させるフラップ式の後退位置と、他端部を支点として揺動させる転倒式の後退位置とに切り換える駆動機構を備えている構成とすることができる。
請求項6のように、請求項5において、前記駆動機構は、電動機で回転されるドラムと、このドラムに巻き付けられて、一端が前記扉体の上部位置に連結されたロープとで構成され、ドラムの正転でロープを巻き取ることにより扉体を縦位置に保持するフラップ姿勢と、ドラムの逆転でロープを巻き戻すことにより扉体を後退位置に保持する転倒姿勢とに揺動させる構成とすることができる。
本発明によれば、扉体(ゲート)は、常時は、設置面に略平行状態となる位置にある。この場合、第1の固定ベルトは、一端部側の設置面に一端を連結し、他端を扉体の他端部付近に連結している。第2の固定ベルトは、他端部側の設置面に一端を連結し、他端を扉体の一端部付近に連結している。したがって、扉体は、第1の固定ベルトと第2の固定ベルトとで、設置面に略平行状態となる位置において、一端部側または他端部側の何れの方向にもずれ動かないように位置規制されている。
そして、駆動機構により、扉体が一端部を支点として揺動する後退位置と、他端部を支点として揺動する位置とに切り換えることができる。
ここで、扉体を一端部または他端部を支点として揺動させる場合には、扉体は、一端部が第2の固定ベルトに連結され、他端部が第1の固定ベルトに連結されているから、揺動位置においてもずれ動かないように位置規制されるようになる。
このように、扉体は、第1の固定ベルトで扉体の他端部を支持し、第2の固定ベルトで扉体の一端部を支持しているから、特許文献のようなヒンジ部材等が不要になるので(ヒンジレスゲート)、支持構造が簡単で、部品点数も少なくコスト安になる。
また、駆動機構により、扉体が一端部を支点として揺動する姿勢と、扉体が他端部を支点として揺動する姿勢とに、迅速に切り換えることができる。
さらに、第1の固定ベルトと第2の固定ベルトとで、扉体は、一端部と他端部のいずれを支点にしても揺動できるから、扉体を起伏式、フラップ式、転倒式として応用できるので、応用範囲が広がるようになる。
請求項2によれば、扉体(ゲート)は、不使用時は水底面の倒伏位置に倒れている。この場合、第1の固定ベルトは、正流方向の水底面に一端を連結し、他端を扉体の他端部付近に連結している。第2の固定ベルトは、逆流方向の水底面に一端を連結し、他端を扉体の一端部付近に連結している。したがって、扉体は、第1の固定ベルトと第2の固定ベルトとで、倒伏位置において、正流方向または逆流方向の何れの方向にもずれ動かないように位置規制されている。
そして、使用時に、扉体を正流方向の水流を受ける向きに起立させる場合には、扉体の他端部側を駆動機構で上方に持ち上げると、扉体は、一端部が第2の固定ベルトに連結されているから、逆流方向にずれ動くことなく、一端部を中心に揺動する。このとき、扉体は、他端部が第1の固定ベルトに連結されているから、正流方向にずれ動くこともない。すなわち、扉体の一端部は、第1の固定ベルトと第2の固定ベルトとで、起立位置において、正流方向または逆流方向の何れの方向にもずれ動かないように位置規制されるようになる。
また、扉体を逆流方向の水流を受ける向きに起立させる場合には、扉体の一端部側を駆動機構で上方に持ち上げると、扉体は、他端部が第1の固定ベルトに連結されているから、正流方向にずれ動くことなく、他端部を中心に揺動する。
このとき、扉体は、一端部が第2の固定ベルトに連結されているから、逆流方向にずれ動くこともない。すなわち、扉体の他端部は、第1の固定ベルトと第2の固定ベルトとで、起立位置において、正流方向または逆流方向の何れの方向にもずれ動かないように位置規制されるようになる。
このように、扉体は、第1の固定ベルトで扉体の他端部を揺動可能に支持し、第2の固定ベルトで扉体の一端部を揺動可能に支持しているから、特許文献のようなヒンジ部材等が不要になるので(ヒンジレスゲート)、支持構造が簡単で、部品点数も少なくなる。
また、駆動機構で扉体の一端部側または他端部側を上方に持ち上げれば、正流方向の水流を受ける向き、または逆流方向の水流を受ける向きのいずれの向きにでも、迅速に起立させることができる。したがって、1門で正流・逆流の双方向で使用できる起伏式のゲート装置となるので、特許文献のような2門のゲートが不要となり、コスト安になるとともに、広い設置スペースも不要になる。
請求項3によれば、駆動機構として、電動機で正逆回転されるドラムを用いれば、ドラムを正回転または逆回転させるだけで、ドラムのロープで、扉体を正流方向の水流を受ける向きの起立位置、または逆流方向の水流を受ける向きの起立位置とに起き上がり揺動させることができる。
請求項4によれば、弛み吸収機構により、巻き戻されたロープの弛みを吸収できるのでロープが絡まる等の不具合が無くなる。
請求項5によれば、扉体(ゲート)は、常時は、縦壁面の水路開口を塞ぐ縦位置にある。この場合、第1の固定ベルトは、上側方向の縦壁面に一端を連結し、他端を扉体の他端部付近に連結している。第2の固定ベルトは、下側方向の縦壁面に一端を連結し、他端を扉体の一端部付近に連結している。したがって、扉体は、第1の固定ベルトと第2の固定ベルトとで、縦位置において、上側方向または下側方向の何れの方向にもずれ動かないように位置規制されている。
そして、フラップ式として使用する場合には、駆動機構により、扉体が上側の一端部を支点として揺動するフラップ位置に切り換える。これにより、縦壁面の水路開口からの水圧で扉体が自然に後退位置方向に揺動することで、扉体の揺動(開き)角度に応じて水路開口を開くようになる。
また、転倒式として使用する場合には、駆動機構により、扉体が下側の他端部を支点として揺動する転倒(後退)位置に切り換える。これにより、扉体がその重量で後退位置方向に揺動することで、水路開口を全開するようになる。
ここで、扉体を上側の一端部または下側の他端部を支点として揺動させる場合には、扉体は、一端部が第2の固定ベルトに連結され、他端部が第1の固定ベルトに連結されているから、後退位置において、上側方向または下側方向のいずれの方向にもずれ動かないように位置規制されるようになる。
このように、扉体は、第1の固定ベルトで扉体の他端部を揺動可能に支持し、第2の固定ベルトで扉体の一端部を揺動可能に支持しているから、特許文献のようなヒンジ部材等が不要になるので(ヒンジレスゲート)、支持構造が簡単で、部品点数も少なくなる。
また、駆動機構により、扉体が上側の一端部を支点として揺動するフラップ式の後退姿勢と、扉体が下側の他端部を支点として揺動する転倒式の後退姿勢とに、迅速に切り換えることができる。したがって、駆動機構を利用すれば、扉体を休止位置に揺動させることもできるので、特許文献2のような休止装置を別に設置する必要が無くなる。さらに、特許文献3のような転倒式のゲート装置と同様に、水位の調整もできるようになる。
請求項6よれば、駆動機構として、電動機で回転されるドラムを用いれば、このドラムのロープも巻き取り、巻き戻しだけで、扉体をフラップ姿勢と転倒姿勢とに迅速に切り換えることができる。
本発明の第1実施形態の起伏式のゲート装置であり、(a)は倒伏位置の平面図、(b)は側面図である。 図1の起伏式のゲート装置であり、(a)は正流方向の水流を受ける向きに起立させた起立位置の平面図、(b)は側面図である。 図1の起伏式のゲート装置であり、(a)は逆流方向の水流を受ける向きに起立させた起立位置の平面図、(b)は側面図である。 本発明の第2実施形態のフラップ兼転倒式のゲート装置であり、(a)はフラップ式に切り換えた正面図、(b)は側面図である。 図4のフラップ兼転倒式のゲート装置であり、(a)は転倒式に切り換えた正面図、(b)は側面図である。 従来の起伏式のゲート装置であり、(a)は左側が起立位置、右側が倒伏位置の側面図、(b)は左側が倒伏位置、右側が起立位置の側面図である。 (a)は従来のフラップ式のゲート装置の側面図、(b)は従来の転倒式のゲート装置の側面図である。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1〜図3は、第1実施形態の起伏式のゲート装置である。図1(a)は倒伏位置Dの平面図、(b)は側面図である。図2(a)は正流方向aの水流を受ける向きに起立させた起立位置U1の平面図、(b)は側面図である。図3(a)は逆流方向bの水流を受ける向きに起立させた起立位置U2の平面図、(b)は側面図である。
扉体1は、水路2の水底面2aに設置され、平面視では、水路2の幅方向に延在する略長方形状であり、側面視では、フラットな平板形状である。
扉体1は、ステンレス鋼板等の上下面1c,1dと両側面1e,1fとを組み合わせて溶接することで中空状に形成され、この中空部に適量の液体が充填されている。これにより、扉体1に浮力が生じないので、水底面2aに倒伏位置Dで設置することが可能となる。なお、液体に代えて固体(鉄塊等)を充填することも可能である。また、扉体1は、中空状に形成されている必要はなく、合成樹脂等の中実であっても良い。
扉体1は、水底面2aに対して略平行状態で倒れる倒伏位置D〔図1(b)参照〕と、水底面2aに対して所定の角度θ(本例では約60度)で起き上がる起立位置U1,U2〔図2(b)と図3(b)参照〕とに揺動可能となっている。
扉体1は、倒伏位置Dにおいて、正流方向(上流方向)aの水流を受ける側の一端部1aと、逆流方向(下流方向)bの水流を受ける側の他端部1bとを有している。この一端部1aと他端部1bは、それぞれ外向き半円状に形成されている。
扉体1に対しては、複数本(本例では幅方向に2本)の第1の固定ベルト4が設けられている。この可撓性の第1の固定ベルト4は、正流方向aの水底面2aに一端4aが金具10aの軸に連結され、扉体1の下面1dに沿って延在して、扉体1の他端部1bを通過して、他端4bが他端部1b付近の上面1cの金具10bの軸に連結されている。
第1の固定ベルト4は、扉体1の他端部1bを揺動可能に支持するようになる。第1の固定ベルト4は、扉体1が倒伏位置Dから右回転Q〔図3(b)参照〕し、水底面2aに接する他端部1bを支点として、逆流方向bの水流を受ける向きの起立位置U2に起き上がる程度の長さとする。
扉体1に対しては、第1の固定ベルト4と重ならないように、複数本(本例では幅方向に2本)の第2の固定ベルト5が設けられている。この可撓性の第2の固定ベルト5は、逆流方向bの水底面2aに一端5aが金具11aの軸に連結され、扉体1の下面1dに沿って延在して、扉体1の一端部1aを通過して、他端5bが一端部1a付近の上面1cの金具11bの軸に連結されている。
第2の固定ベルト5は、扉体1の一端部1aを揺動可能に支持するようになる。第2の固定ベルト5は、扉体1が倒伏位置Dから左回転R〔図2(b)参照〕し、水底面2aに接する一端部1aを支点として、正流方向aの水流を受ける向きの起立位置U1に起き上がる程度の長さとする。
各ベルト4,5は、例えば、補強されたゴム製であることが好ましいが、可撓性の金属製であってもよい。
水路2の上部2bには、電動機で回転されるドラム20が設置され、このドラム20に巻き付けられたロープ21の一端21aは、扉体1の他端部1b付近の上面1cの金具12bの軸に連結されている。また、ロープ21の他端21bは、扉体1の一端部1a付近の上面1cの金具12aの軸に連結されている。この電動機、ドラム20、ロープ21等は、駆動機構を構成する。
水路2の上部2bには、ドラム20の左右位置に立ち上がりブロック23がそれぞれ設けられ、各立ち上がりブロック23の上部には、左右対称にL字状のアーム24がピン25で揺動可能に支持されている。
各アーム24の垂直部24aの下端には、ロープ21の一端21a側をガイドするガイドローラ部材22aと、ロープ21の他端21b側をガイドするガイドローラ部材22bとが設けられている。
各アーム24の水平部24bの先端には、ウエイト(錘)26が設けられている。また、各立ち上がりブロック23には、各アーム24の垂直部24aを垂直位置で当て止めるストッパ27が設けられている。このアーム24、ピン25、ガイドローラ部材22a、22b、ウエイト26は、弛み吸収機構を構成する。
そして、図2のように、ドラム20の右回転でロープ21の一端21a側を巻き取り、他端21b側を巻き戻すことにより、扉体1は、一端部1aを支点として倒伏位置Dから左回転Rし、正流方向aの水流を受ける向きの起立位置U1に起き上がり揺動するようになる。
この場合、ロープ21の一端21aの張力でガイドローラ部材22aが引っ張られるので、左側のアーム24の垂直部24aがストッパ27により垂直位置で当て止められるようになる。また、ロープ21の他端21bは弛められるが、ウエイト26で右側のアーム24が左旋することで、ガイドローラ部材22bにより、他端21bの弛みが吸収されるようになる。
逆に、図3のように、ドラム20の左回転でロープ21の他端21b側を巻き取り、一端21a側を巻き戻すことにより、扉体1は、他端部1bを支点として倒伏位置Dから右回転Qし、逆流方向bの水流を受ける向きの起立位置U2に起き上がり揺動するようになる。
この場合、ロープ21の他端21bの張力でガイドローラ部材22aが引っ張られるので、右側のアーム24の垂直部24aがストッパ27により垂直位置で当て止められるようになる。また、ロープ21の一端21aは弛められるが、ウエイト26で左側のアーム24が右旋することで、ガイドローラ部材22bにより、一端21aの弛みが吸収されるようになる。
扉体1を起伏させる際、扉体1を傾かないようにするために、第1、第2の固定ベルト4,5は、幅方向に2本が設けられており、これと同様に、ドラム20等の駆動機構とアーム24等の弛み吸収機構も水路2の左右の上部2bにそれぞれ設けられている。
前記のように構成した第1実施形態の起伏式のゲート装置の作用を説明する。扉体(ゲート)1は、図1の不使用時には水底面2aの倒伏位置Dに倒れている。この場合、第1の固定ベルト4は、正流方向aの水底面2aに一端4aを連結し、他端4bを扉体1の他端部1b付近に連結している。第2の固定ベルト5は、逆流方向bの水底面2aに一端5aを連結し、他端5bを扉体1の一端部1a付近に連結している。したがって、扉体1は、第1の固定ベルト4と第2の固定ベルト5とで、倒伏位置Dにおいて、正流方向aまたは逆流方向bの何れの方向にもずれ動かないように位置規制されている。
そして、図2のように、扉体1を正流方向aの水流を受ける向きに起立させる場合には、ドラム20の右回転でロープ21を巻き取る。これにより、扉体1は、一端部1aが第2の固定ベルト5に連結されているから、逆流方向bにずれ動くことなく、一端部1aを支点として倒伏位置Dから左回転Rし、正流方向aの水流を受ける向きの起立位置U1に起き上がり揺動するようになる。
このとき、扉体1は、他端部1bが第1の固定ベルト4に連結されているから、正流方向aにずれ動くこともない。すなわち、扉体1の一端部1aは、第1の固定ベルト4と第2の固定ベルト5とで、起立位置U1において、正流方向aまたは逆流方向bの何れの方向にもずれ動かないように位置規制されるようになる。
また、図3にように、扉体1を逆流方向bの水流を受ける向きに起立させる場合には、ドラム20の左回転でロープ21を巻き取る。これにより、扉体1は、他端部1bが第1の固定ベルト4に連結されているから、正流方向aにずれ動くことなく、他端部1bを支点として倒伏位置Dから右回転Qし、逆流方向bの水流を受ける向きの起立位置U2に起き上がり揺動するようになる。
このとき、扉体1は、一端部1aが第2の固定ベルト5に連結されているから、逆流方向bにずれ動くこともない。すなわち、扉体1の他端部1bは、第1の固定ベルト4と第2の固定ベルト5とで、起立位置U2において、正流方向aまたは逆流方向bの何れの方向にもずれ動かないように位置規制されるようになる。
このように、扉体1は、第1の固定ベルト4で扉体1の他端部1bを揺動可能に支持し、第2の固定ベルト5で扉体1の一端部1aを揺動可能に支持しているから、特許文献のようなヒンジ部材等が不要になるので(ヒンジレスゲート)、支持構造が簡単で、部品点数も少なくなる。
また、駆動機構で扉体1の一端部1a側または他端部1b側を上方に持ち上げれば、正流方向aの水流を受ける向き、または逆流方向bの水流を受ける向きのいずれの向きにでも、迅速に起立させることができる。
したがって、1門で正流・逆流の双方向で使用できる起伏式のゲート装置となるので、特許文献のような2門のゲートが不要となり、コスト安になるとともに、広い設置スペースも不要になる。
また、駆動機構として、電動機で正逆回転されるドラム20を用いれば、ドラム20を正回転(右回転)または逆回転(左回転)させるだけで、ドラム20のロープ21で、扉体1を正流方向aの水流を受ける向きの起立位置U1、または逆流方向bの水流を受ける向きの起立位置U2に起き上がり揺動させることができる。なお、電動機で回転されるドラム20に代えて、シリンダを用いて、扉体1を起立位置U1,U2に起き上がり揺動させることもできる。
さらに、弛み吸収機構により、巻き戻されたロープ21の弛みを吸収できるのでロープ21が絡まる等の不具合が無くなる。
第1実施形態は、水路2の起伏式のゲート装置であったが、水路2に流入した津波、高潮、副振動等での押し波(正流方向aの水流)、引き波(逆流方向bの水流)の抑制も可能である。
すなわち、津波等で押し波aが発生した場合、ドラム20を正回転させることで、ロープ21により、扉体1を押し波aの水流を受ける向きの起立位置U1に起き上がり揺動させる。この結果、押し波aは、起立位置U1の扉体1で抑制されるようになる。
一方、押し波aが終わり、ついで引き波bが発生した場合、ドラム20を逆回転させることで、ロープ21により、扉体1を引き波bの水流を受ける向きの起立位置U2に起き上がり揺動させる。この結果、引き波bは、起立位置U2の扉体1で抑制されるようになる。
したがって、起伏式のゲート装置を港湾の防波堤で仕切られた出入口(水路)に設置すれば、押し波aで港湾内の潮位が急激に上がるのを抑制でき、引き波bで港湾内の潮位が急激に下がるのを抑制できるようになる。また、河川の河口(水路)に設置すれば、押し波aが河川を遡行して上流側の堤防等から溢水するのを抑制できる。なお、河川の河口に設置した場合、引き波bの対策は特に必要ないので、このような場合には、扉体1を倒伏位置Dに倒伏させておくこともできる。
第1実施形態の起伏式のゲート装置は、水路2の水底面2aに設置することを前提としたが、これに限られるものではない。例えば、港湾や河川の防波堤等の上面(押し波や引き波で水がくれば、水底面となる。)に設置することも可能である。また、防潮堤の防潮扉等に代えて設置することも可能である。
図4および図5は、水門や樋門として設置するための第2実施形態のフラップ兼転倒式のゲート装置である。図4(a)はフラップ式に切り換えたゲート装置の正面図、(b)は側面図である。図5(a)は転倒式に切り換えたゲート装置の正面図、(b)は側面図である。
図4に示すように、水路2には、縦壁面2cが設けられ、縦壁面2cには水路開口2dが形成されている。
扉体1は、この縦壁面2cに設置されて、縦壁面2cの水路開口2dを塞ぐように、縦壁面2cに略平行状態となる縦位置V(実線参照)と、縦壁面2cの水路開口2dを開くように、縦壁面2cに対して所定の角度θで後退する後退位置B(二点鎖線参照)とに揺動可能となっている。
第1の固定ベルト4は、上側方向の縦壁面2cに一端4aが金具10aの軸に連結され、扉体1の下面1dに沿って延在して、扉体1の下側の他端部1bを通過して、他端4bが他端部1b付近の上面1cの金具10bの軸に連結されている。第1の固定ベルト4は、扉体1の一端部1aを揺動可能に支持するようになる。
第2の固定ベルト5は、下側方向の縦壁面2cに一端5aが金具11aの軸に連結され、扉体1の下面1dに沿って延在して、扉体1の上側の一端部1aを通過して、他端5bが一端部1a付近の上面1cの金具11bの軸に連結されている。第2の固定ベルト5は、扉体1の他端部1bを揺動可能に支持するようになる。
水路2の上部2bに設置されたドラム20のロープ21の一端21aは、扉体1の一端部1a付近の上面1cの金具12aの軸に連結されている。また、水路2の上部2bには、ロープ21をガイドするガイドローラ部材22aが設けられている。
そして、図4のように、ドラム20の右回転でロープ21を巻き取って固定することにより、扉体1は、一端部1aを支点として、フラップ式の後退位置B(二点鎖線参照)に揺動させることができる。
逆に、図5のように、ドラム20の左回転でロープ21を巻き戻すことにより、扉体1は、他端部1bを支点として、転倒式の転倒(後退)位置Dに揺動させることができる。
第2実施形態であれば、扉体(ゲート)1は、常時は、縦壁面2cの水路開口2dを塞ぐ縦位置にある(図4(b)の実線参照、図5(b)の二点鎖線参照)。
この場合、第1の固定ベルト4は、上側方向の縦壁面2cに一端4aを連結し、他端4bを扉体1の他端部1b付近に連結している。第2の固定ベルト5は、下側方向の縦壁面2cに一端5aを連結し、他端5bを扉体1の一端部1a付近に連結している。したがって、扉体1は、第1の固定ベルト4と第2の固定ベルト5とで、縦位置において、上側方向または下側方向の何れの方向にもずれ動かないように位置規制されている。
そして、フラップ式として使用する場合には、図4のように、ドラム20を右回転させることで、扉体1が上側の一端部1aを支点として揺動するフラップ位置に切り換える。これにより、縦壁面2cの水路開口2dからの水流cによる水圧で扉体1が自然に後退位置B方向に揺動することで、扉体1の揺動(開き)角度に応じて水路開口2dを開くようになる。
また、転倒式として使用する場合には、図5のように、ドラム20を左回転させることで、扉体1が下側の他端部1bを支点として揺動する転倒(後退)位置に切り換える。これにより、扉体1がその重量で転倒(後退)位置D方向に約90°で揺動することで、水路開口2dを全開するようになる。
このように、ドラム20をいずれかの方向に回転させるだけで、扉体1が上側の一端部1aを支点として揺動するフラップ式の後退姿勢と、扉体1が下側の他端部1bを支点として揺動する転倒式の後退姿勢とに、迅速に切り換えることができる。
1 扉体
1a 一端部
1b 他端部
1c 上面
1d 下面
2 水路
2a 水底面(設置面)
2b 縦壁面(設置面)
2d 水路開口
4 第1の固定ベルト
5 第2の固定ベルト
20 ドラム(駆動機構)
21 ロープ(駆動機構)
24 アーム(弛み吸収機構)
22a,22b ガイドローラ部材(弛み吸収機構)
26 ウエイト(弛み吸収機構)
a 正流方向(押し波)
b 逆流方向(引き波)
c 水流
B 後退位置
D 倒伏(転倒)位置
U1,U2 起立位置
V 縦位置
θ 所定の角度

Claims (6)

  1. 設置面に対して略平行状態となる位置と、設置面に対して所定の角度で起き上がる位置とに揺動可能な扉体を備えたゲート装置であって、
    一端部と他端部とを有する扉体と、
    前記一端部側の設置面に一端が連結され、他端が前記扉体の他端部付近に連結された第1の固定ベルトと、
    前記他端部側の設置面に一端が連結され、他端が前記扉体の一端部付近に連結された第2の固定ベルトと、
    前記扉体を前記一端部と他端部の少なくとも一方を揺動支点として揺動させる駆動機構を備えていることを特徴とするゲート装置。
  2. 水底面に対して略平行状態で倒れる倒伏位置と、水底面に対して所定の角度で起き上がる起立位置とに揺動可能な扉体を備えた起伏式のゲート装置であって、
    前記倒伏位置において、正流方向の水流を受ける側の一端部と逆流方向の水流を受ける側の他端部とを有する扉体と、
    正流方向の水底面に一端が連結され、他端が前記扉体の他端部付近に連結されて、扉体の他端部を揺動可能に支持する第1の固定ベルトと、
    逆流方向の水底面に一端が連結され、他端が前記扉体の一端部付近に連結されて、扉体の一端部を揺動可能に支持する第2の固定ベルトと、
    前記扉体を、正流方向の水流を受ける向きの起立位置と、逆流方向の水流を受ける向きの起立位置との少なくとも一方に起き上がり揺動させる駆動機構を備えていることを特徴とする請求項1に記載のゲート装置。
  3. 前記駆動機構は、電動機で回転されるドラムと、このドラムに巻き付けられて、一端が前記扉体の一端部側の上部位置に連結され、他端が前記扉体の他端部側の上部位置に連結されたロープとで構成され、
    ドラムの正回転でロープの一端側を巻き取りながら他端側を巻き戻すことにより、扉体を正流方向の水流を受ける向きの起立位置に起き上がり揺動させる一方、
    ドラムの逆回転でロープの他端側を巻き取りながら一端側を巻き戻すことにより、扉体を逆流方向の水流を受ける向きの起立位置に起き上がり揺動させるようにしたことを特徴とする請求項2に記載のゲート装置。
  4. 前記ロープの一端側とドラムとの間、およびロープの他端側とドラムとの間に、巻き戻されたロープの弛みを吸収する弛み吸収機構が設けられていることを特徴とする請求項3に記載のゲート装置。
  5. 縦壁面の水路開口を塞ぐように、縦壁面に略平行状態となる縦位置と、縦壁面の水路開口を開くように、縦壁面に対して所定の角度で後退する後退位置とに揺動可能な扉体を備えたフラップ兼転倒式のゲート装置であって、
    前記縦位置において、上側の一端部と下側の他端部とを有する扉体と、
    上側方向の縦壁面に一端が連結され、他端が前記扉体の他端部付近に連結されて、扉体の一端部を揺動可能に支持する第1の固定ベルトと、
    下側方向の縦壁面に一端が連結され、他端が前記扉体の一端部付近に連結されて、扉体の他端部を揺動可能に支持する第2の固定ベルトと、
    前記扉体を、一端部を支点として揺動させるフラップ式の後退位置と、他端部を支点として揺動させる転倒式の後退位置とに切り換える駆動機構を備えていることを特徴とする請求項1に記載のゲート装置。
  6. 前記駆動機構は、電動機で回転されるドラムと、このドラムに巻き付けられて、一端が前記扉体の上部位置に連結されたロープとで構成され、ドラムの正転でロープを巻き取ることにより扉体を縦位置に保持するフラップ姿勢と、ドラムの逆転でロープを巻き戻すことにより扉体を後退位置に保持する転倒姿勢とに揺動させることを特徴とする請求項5に記載のゲート装置。
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