JP5270207B2 - 油性化粧料 - Google Patents

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本発明は、油性化粧料に関し、更に詳しくは、ロジンとグリセリンとのエステルであって、該ロジンが不均化及び/又は水添されているロジンエステル化合物とトリデカフルオロオクチルトリエトキシシランで表面処理した粉体と揮発性油剤とを配合することにより、涙や汗などでは落ちないが、揮発性油剤を含有するメイクアップリムーバーでの塗擦動作により、容易に除去する事ができること、化粧持ち効果、使用性(軽さ、なめらかさ)、化粧膜の均一性に優れた油性化粧料に関するものである。
従来、油性化粧料は、肌上に疎水性の化粧膜を形成できるため、化粧持続性に優れた化粧料として、ファンデーション、口紅、日焼け止め料等に汎用されており、とりわけメイクアップ化粧料において多用されている剤型である。メイクアップ化粧料では、化粧持ち(化粧持続性)や色移り(二次付着)のしにくさといった機能が重要であり、これらの機能を向上させた技術がある(例えば、特許文献1〜3参照)。また、この技術の他にも、涙や汗等による化粧崩れや色沈みを防止するために、油性化粧料に配合する粉体を、予め親油化処理する技術や、配合された粉体の肌への密着性を高めるために、キャンデリラワックス等の固形油や、ロジン酸ペンタエリスリット等の油溶性樹脂を配合することも研究されている。反対に、メイクアップ化粧料において、化粧持ち(化粧持続性)や色移り(二次付着)のしにくさといった機能を向上させればさせるほど、除去する時には、それぞれの適用部位に大きな負担がかかることがあり、この負担を軽減する技術も検討されてきた。例えば、化粧を落とすときには、専用リムーバーを使用しなくても、温水により除去できる化粧料組成物が挙げられる(例えば、特許文献4、5参照)。
特開平7−267826号公報 特開2006−290877号公報 特表2003−518024号公報 特開2003−137732号公報 特開2003−26539号公報
しかしながら、キャンデリラワックス等の固形油や、ロジン酸ペンタエリスリット等の油溶性樹脂を配合する方法では、化粧持続性は向上するものの、多く配合した場合は化粧膜が硬くなり、化粧膜の柔軟性が低下する場合があった。
最近では、耐水性や耐油性が飛躍的に向上してきたため、化粧持ちは良くなったが、化粧膜の除去が困難になり、特にアイメイクアップに対しては、強力な化粧膜の除去を目的とした専用のリムーバーが必要となってきた。しかし、この専用リムーバーは、強力な化粧膜の除去を可能とするメリットもあるが、その反面、目にも大きな負担がかかるというデメリットもあった。
温水で落とす技術では、界面活性剤や半結晶性ポリマーを配合して、洗浄時に温水で除去しやすくしているが、化粧膜が滲んだり、密着性が悪化したり、使用性が悪化したり等の弊害が生じる場合があった。しかも、必ずしも温水が使用できる状況ばかりではなく、メイクアップリムーバーを用いても、容易に除去したい箇所が除去できる技術が望まれており、更に初心者であっても美しく塗布することができ、涙や汗などでは落ちない化粧持ちに優れる化粧料が望まれていた。
水素添加ロジンの低級多価アルコールエステルについては密着性を向上させること、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシランで表面処理した粉体が撥水撥油性を示すことは知られていたが、リムーバーで落としやすいことについては開示も示唆もされていなかった。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、柔軟性の高い膜を形成することができるロジンとグリセリンとのエステルであって、該ロジンが不均化及び/又は水添されているロジンエステル化合物(成分(A))と、予めトリデカフルオロオクチルトリエトキシシランで撥水撥油処理をした粉体(成分(B))を揮発性油剤(成分(C))を用い油性化粧料に配合することで、更に、皮脂や汗に強く耐水性のある化粧料が得られることを見出した。成分(B)は化粧膜中で凝集せず、均一に分散して存在しているため、化粧持ちや使用性、化粧膜の均一性に優れ、成分(A)、成分(B)及び成分(C)を組み合わせることで、塗布後の化粧膜に耐水性を与えるとともに、化粧膜をしっかり固着させ、化粧膜自体が強固となることで化粧効果の持続性が向上する。さらに、粉体同士の凝集や粉体自体の肌への密着性が少ないため、涙や汗などでは落ちないが、揮発性油剤を含有するメイクアップリムーバーでの塗擦動作により容易に除去することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、次の成分(A)〜(C)、
(A)ロジンとグリセリンとのエステルであって、該ロジンが不均化及び/又は水添されているロジンエステル化合物
(B)トリデカフルオロオクチルトリエトキシシランで表面処理した粉体
(C)揮発性油剤
を配合したことを特徴とする油性化粧料を提供するものである。
本発明の油性化粧料は、涙や汗などでは落ちないが、メイクアップリムーバーでの塗擦動作により容易に除去する事ができ、化粧持ち効果、使用性(軽さ、なめらかさ)、化粧膜の均一性に優れるものである。
本発明において油性化粧料とは、液状、半固形状又は固形状の油剤や油溶性化合物である油性成分を連続相とする実質的に水を含まない化粧料である。
本発明の油性化粧料に使用される成分(A)のロジンとグリセリンとのエステルは、不均化ロジンとグリセリンとのエステル、水添ロジンとグリセリンとのエステル、不均化及び水添ロジンとグリセリンとのエステルであり、不均化、水添、エステル化の反応の順番は特に限定されるものではない。
成分(A)は特に限定されるものではないが、以下の方法でも合成することができる。具体的には、ロジンを不均化反応により、主にデヒドロアビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸、テトラヒドロアビエチン酸に不均化したものと、グリセリンとをエステル化させて、不均化ロジングリセリンエステルを得ることができる。
また、水添ロジンとのエステルは、例えば主成分のアビエチン酸であれば水素添加してジヒドロアビエチン酸やテトラヒドロアビエチン酸にしたもの、とグリセリンとをエステル化して、水素添加ロジングリセリンエステルを得ることができる。
更に、不均化ロジンを水素添加反応して、グリセリンとエステル化したものでも良く、不均化ロジンとグリセリンとのエステルを水素添加反応したものも使用することができる。
グリセリンはモノグリセリンであっても、ジ、トリグリセリン等のポリグリセリンであっても構わない。
エステル化反応はモノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステル等であっても構わない。
ロジンを不均化して得られた主としてデヒドロアビエチン酸及びジヒドロアビエチン酸の混合物のグリセリンエステルを水素添加したものである水素添加エステルガムが、べたつきのなさや化粧持ちに優れるため好ましい。市販品としては、パインクリスタル KE−311、KE−100、エステルガム H、スーパーエステル A−75、A−100(以上、荒川化学工業社製)等が挙げられる。
成分(A)は必要に応じて1種又は2種以上を使用することができ、その配合量は、特に限定されないが、1〜30質量%(以下、単に「%」で示す。)が好ましく、5〜20%が更に好ましい。この範囲であれば、メイクアップリムーバーで容易に除去する事ができ、化粧持ち効果、使用性(軽さ、なめらかさ)、化粧膜の均一性の点で満足のいくものが得られる。
本発明の油性化粧料に使用される成分(B)は粉体に下記化学式(1)で示されるトリデカフルオロオクチルトリエトキシシランを表面処理して得られるものである。
C−(CF−(CH−Si−(OCHCH・・・(1)
また、INCI名(International Nomenclature Cosmetic Ingredient labeling names)では、パーフルオロオクチルトリエトキシシランとして収載されている。
粉体をトリデカフルオロオクチルトリエトキシシランで表面処理することにより撥水性および撥油性を付与し、化粧料中に配合した場合に汗や皮脂による化粧崩れを防いで化粧持続性を向上させることが出来る。さらに、シリコーン処理や従来このような撥水撥油処理に用いられてきたパーフルオロアルキルリン酸ジエタノールアミン塩処理と比較して、化粧料中に配合した場合に油剤中での分散性が良好であり、そのため化粧膜が均一で、使用性の向上や安定性の面で優れている。
成分(B)の表面処理に用いられる粉体としては通常化粧料に用いられるものであればいずれのものでもよく、球状、板状、紡錘状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級などの粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、複合粉体類、等が挙げられる。具体的には、コンジョウ、群青、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化チタン、チタン・酸化チタン焼結物、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、白雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、合成雲母、合成セリサイト、セリサイト、カオリン、ベントナイト、スメクタイト、酸化アンチモン、珪ソウ土、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ヒドロキシアパタイト、タルク、シリカ、炭化珪素、硫酸バリウム、窒化硼素等の無機粉体類、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン、酸化鉄処理雲母、酸化鉄処理雲母チタン、有機顔料処理雲母チタン、二酸化チタン被覆雲母、二酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔、酸化チタン処理ガラス末、酸化鉄酸化チタン処理ガラス末、アルミニウムパウダー等の光輝性粉体類、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、N−アシルリジン、ナイロン等の有機粉体類、赤色201号、赤色202号、赤色205号、赤色226号、赤色228号、橙色203号、橙色204号、青色404号、黄色401号等の有機顔料粉体、赤色3号、赤色104号、赤色106号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号等のジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料粉体、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合樹脂等のコポリマー樹脂、ポリプロピレン系樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等の有機高分子樹脂粉体、シルク粉末、セルロース粉末等の天然有機粉体、アルミニウム粉、金粉、銀粉等の金属粉体、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素等の複合粉体、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を用いることができる。また、これら粉体は1種又は2種以上の複合化したものを用いても良い。
トリデカフルオロオクチルトリエトキシシランの粉体への表面処理方法は特に限定されないが、例えば特開2007−238690号公報に記載の方法に従って処理することが出来る。
例えば、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシランをミキサー内で添加あるいは滴加することにより粉体と混合した後、熱処理を行い必要に応じて開砕することにより目的とする表面処理粉体を得ることができる。あるいは、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシランをアセトン、トルエン等の有機溶媒に加熱溶解もしくは分散し、その中に粉体を加えて混合した後に有機溶媒を除去し、乾燥後解砕することにより目的とする表面処理粉体を得ることができる。
成分(B)のトリデカフルオロオクチルトリエトキシシランの粉体への処理量は粉体質量に対して0.05〜20%が好ましく、0.1〜15%の範囲がより好ましい。この範囲であれば処理剤同士の縮合や未反応の処理剤の残存による感触や流動性への悪影響などが起きることなく、粉体に対して油剤中での分散性を十分に付与することができる。さらに、粉体同士の凝集や粉体自体の肌への密着性が少ないため、涙や汗などでは落ちないが、揮発性油剤を含有するメイクアップリムーバーでの塗擦動作により容易に除去することができる。尚、前記粉体は本発明の効果を損なわない範囲でシリコーン系油剤、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、ワックス、金属石ケン、界面活性剤、粉体、エマルションポリマー、ゲル化剤などの他のコーティング剤で前処理または同時に処理したものを使用することが出来る。
成分(B)の配合量は特に限定されないが、0.1〜40%が好ましく2〜35%がより好ましい。この範囲であれば、涙や汗に滲まないため、化粧持ち効果、使用性(軽さ、なめらかさ)、化粧膜の均一性の点で満足のいくものが得られる。また、この範囲であれば、不均化ロジン及び/又は水添ロジンと、グリセリンとのエステルと揮発性油剤に均一に混合できる。粉体は全てトリデカフルオロオクチルトリエトキシシランで処理したものを使用する必要はなく、本発明の効果を妨げない範囲で未処理の粉体や一般油剤、シリコーン系油剤、界面活性剤等で処理したものを組み合わせて使用することもできる。
本発明の油性化粧料に使用される成分(C)の揮発性油剤としては、化粧料に使用できるものであれば、特に制限されないが、例えば、軽質流動イソパラフィン、イソドデカン等の炭化水素油、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、メチルトリメチコン、低重合度ジメチルポリシロキサン等のシリコーン類が挙げられ、これらを必要に応じて1種又は2種以上用いることができる。揮発性油剤であれば、いずれのものも使用することができるが、中でも軽質流動イソパラフィン、環状シリコーンが油性化粧料の乾燥を高め、揮発により強固な化粧塗膜を形成する効果に優れ、好ましい。成分(C)の市販としては、例えば、IPソルベント(出光興産社製)、シェルソル(シェル化学社製)、シリコンKF994、KF995、KF96A(5CS)(何れも、信越化学工業社製)等が挙げられる。
成分(C)の配合量は、特に限定されないが、10〜70%が好ましく、20〜60%が更に好ましい。この範囲であれば、メイクアップリムーバーで容易に除去する事ができ、化粧持ち効果、使用性(軽さ、なめらかさ)、化粧膜の均一性の点で満足のいくものが得られる。
本発明の油性化粧料は、上記の成分(A)〜(C)の他に、通常化粧料に使用される成分、例えば基材やエモリエント成分としての油性成分、マスカラでのロングラッシュ効果を得る成分として繊維、粉体分散や感触調整としての界面活性剤、保湿としての水性成分、紫外線吸収剤、保湿剤、褪色防止剤、酸化防止剤、消泡剤、美容成分、防腐剤、香料、などを本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。
成分(A)、(C)以外の油性成分としては、動物油、植物油、合成油等の起源、及び、固形油、半固形油、液体油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類、油性ゲル化剤類等が挙げられる。
具体的には、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、パラフィンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、エチレンプロピレンコポリマー、モンタンワックス、フィッシャトロプスワックス等の炭化水素類、モクロウ、オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、ミツロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ゲイロウ等のロウ類、ホホバ油、セチルイソオクタネート、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリオクタン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリベヘン酸グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、コレステロール脂肪酸エステル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)等のエステル類、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、メチルフェニルポリシロキサン、フッ素変性オルガノポリシロキサン等のシリコーン類、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体、デキストリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル、12−ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸カルシウム等の油性ゲル化剤類等が挙げられる。
繊維としては、化粧料に一般に使用されるものであれば特に制限されず、例えば、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン等の合成繊維、レーヨン等の人造繊維、セルロース等の天然繊維、アセテート人絹等の半合成繊維等、またはこれらを複合した繊維が挙げられる。
長さは特に制限されないが、一般的には、0.1〜10mmが好ましく、0.3〜7mmが更に好ましく用いられる。太さは一般的には0.1〜25テックス(以下、単に「T」と示す。)が好ましく、更に好ましくは0.3〜20Tである。これらの繊維は材質、太さ、長さの異なる1種または2種以上を用いることができる。
繊維の断面の形状は特に限定されないが、円状、楕円状、多角形、井形、T型、Y型等いずれのものも使用することができる。
更に、これらの繊維は、必要に応じて着色剤で着色したり、表面処理を施したりして使用される。表面処理剤の種類として本発明の効果を損なわない範囲でトリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン以外のフッ素化合物、シリコーン油、粉体、油剤、ゲル化剤、エマルションポリマー、界面活性剤等があり特に限定されないが成分(B)の粉体と同様にトリデカフルオロオクチルトリエトキシシランを用いるとより好ましい。
界面活性剤としては、化粧料一般に用いられている界面活性剤であればいずれのものも使用でき、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。例えば、グリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビタン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、蔗糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシアルキレンアルキル共変性オルガノポリシロキサン、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン、レシチン等が挙げられる。
水性成分としては、水及び水に可溶な成分であれば何れでもよく、例えば、エチルアルコール、ブチルアルコール等の低級アルコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、アロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液が挙げられる。水溶性高分子としては、グアーガム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン等の天然系のもの、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の半合成系のもの、カルボキシビニルポリマー、アルキル付加カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム等の合成系のものを挙げることができる。タンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン、ケラチン等の他の保湿剤を含有する事もできる。
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系、PABA系、ケイ皮酸系、サリチル酸系、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン等、保湿剤としては、例えばタンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン、ケラチン等、酸化防止剤としては、例えばα−トコフェロール、アスコルビン酸等、美容成分としては、例えばビタミン類、消炎剤、生薬等、防腐剤としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール、1,2ペンタンジオール等が挙げられる。
本発明の油性化粧料の製造方法は特に限定されるものではないが、例えば、100〜120℃で溶解した不均化ロジン及び/又は水添ロジンと、グリセリンとのエステルや油性成分に、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシランで表面処理した粉体や揮発性油剤を配合し、混合した後、冷却して容器に充填することにより得ることができる。
本発明の油性化粧料の性状としては、他の成分との併用により液状、ゲル状、ペースト状、クリーム状、固形状等で実施することができ、アイクリーム、ヘアクリーム、ヘアワックス等の基礎化粧料や頭髪化粧料や、口紅、コンシーラー、ファンデーション、アイ製品等のメイクアップ製品等に用いることができる。とりわけ、本発明は特にマスカラ、マスカラオーバーコート、マスカラ下地、アイライナー等のアイメイクアップ製品やスティック口紅、リキッド口紅、グロス、リップクリーム等の口唇メイクアップ製品において好適に用いることができ、発明の効果を十分に利用することができる。
以下に実施例をあげて本発明を詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
実施例1〜8及び比較例1〜4:油性マスカラ
下記表1に示す処方の油性化粧料(油性マスカラ)を調製し、揮発性油剤を含有するメイクアップリムーバーでの塗擦動作により、容易に除去する事ができる効果、化粧持ち効果、使用性(軽さ、なめらかさ)、化粧膜の均一性について下記の方法により評価した。その結果も併せて表1に示す。
使用したトリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン処理粉体は、イソプロピルアルコールに粉体を添加分散し、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシランを添加する。そして、加熱混合することで表面処理し、次に、乾燥して溶剤を揮発させ、最後に粉砕処理を行って得たものである。
*1:パインクリスタル KE−311(荒川化学工業社製)
*2:エステルガム HP(荒川化学工業社製)
*3:KF7312J(信越化学工業社製)(固形分50%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液)
*4:レオパール KL(千葉製粉社製)
*5:AEROSIL 200(日本アエロジル社製)
*6:IPソルベント 1620MU(出光興産社製)
(製法)
A.成分(1)〜(4)を約110℃に加熱し、均一に混合する。
B.Aに(5)〜(18)を添加し、均一に混合する。
C.Bを容器に充填して油性マスカラを得た。
(評価方法)
下記評価項目について各々下記方法により評価を行った。
(評価項目)
a.化粧持ち
b.使用性
c.化粧膜の均一性
d.化粧膜の除去し易さ
a〜dについて、各試料について専門パネル20名による使用テストを行った。
a〜cについてはパネル各人が下記絶対評価基準1にて7段階に評価し評点を付け、各試料にパネル全員の評点合計から、その平均値を算出し、判定基準1により判定した。尚、aの化粧持ちについては、各試料を睫に塗布し、パネルに通常の生活をしてもらい、6時間後に涙や汗などでは落ちていないかどうかを評価した。
dについては、各試料を睫に均一になるように3回塗布し、30分後に、下記評価専用メイクアップリムーバーをコットンに2g含ませて、コットンで10秒間睫に直接押し当てた後、十分に馴染ませ、その後1回の塗擦動作により、拭き取りを行った後、ティッシュを睫に押し付けて試料が付かなくなったときを終了として、容易に除去する事ができるかどうかを絶対評価基準2にて評点を付け、パネル全員の評点合計から、その平均値を算出し、判定基準2により判定した。
尚、表1には、判定と( )内に評点の平均値を記載した。
評価専用メイクアップリムーバー
(成分) (%)
(1)軽質流動イソパラフィン*6 15
(2)デカメチルシクロペンタシロキサン 15
(3)精製水 残量
(4)防腐剤 1
(5)1,3−ブチレングリコール 10
(製法)
A.成分(1)〜(2)を混合溶解し、成分(3)〜(5)を加えて混合する。
B.Aを容器に充填して評価専用メイクアップリムーバーを得た。
<a〜cの評価>
絶対評価基準:1
(評点):(評価)
6:非常に良い
5:良い
4:やや良い
3:普通
2:やや悪い
1:悪い
0:非常に悪い
判定基準:1
(判定) : (評点の平均点) :(評価)
◎ :5.0点以上 :非常に良好
○ :3.5点以上5点未満 :良好
△ :1.5点以上3.5点未満 :やや不良
× :1.5点未満 :不良
<dの評価>
絶対評価基準:2
(評点):(評価)
4:専用メイクアップリムーバーでの塗擦動作後、1〜2回でティッシュに付かなくなった
3:専用メイクアップリムーバーでの塗擦動作後、3〜4回でティッシュに付かなくなった
2:専用メイクアップリムーバーでの塗擦動作後、5回以上でティッシュに付かなくなった
1:専用メイクアップリムーバーでの塗擦動作後でも、落とす事ができない
判定基準:2
(判定) : (評点の平均点) :(評価)
◎ :4.0点 :非常に良好
○ :3.0点以上4.0点未満 :良好
△ :2.0点以上3.0点未満 :やや不良
× :2.0点未満 :不良
表1の結果から明らかな如く、本発明の実施例1〜8の油性マスカラは、比較例1〜4の油性マスカラに比べ、メイクアップリムーバーでの塗擦動作により容易に除去する事ができ、化粧持ち効果、使用性、化粧膜の均一性の全てにおいて優れたものであった。これに対して、成分(A)の替わりに、トリメチルシロキシケイ酸を配合した比較例1では、皮膜形成能力が強いため、特に化粧膜の除去し易さの点で、満足いくものが得られなかった。また、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシランで表面処理した粉体の分散性も良くなく、使用性、化粧膜の均一性の点において満足いくものが得られなかった。成分(A)の替わりに、水添ロジン酸ペンタエリスリチルを配合した比較例2では特に化粧膜の除去し易さの点で満足いくものが得られなかった。また、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシランで表面処理した粉体の分散性も良くなく、使用性、化粧膜の均一性の点において満足いくものが得られなかった。成分(B)のトリデカフルオロオクチルトリエトキシシランで表面処理した粉体を配合しなかった比較例3では使用性、化粧膜の均一性の点において満足いくものが得られなかった。成分(B)のトリデカフルオロオクチルトリエトキシシランで表面処理した粉体をパーフルオロアルコールリン酸ジエタノールアミン塩で表面処理した粉体に替えた比較例4は、メイクアップリムーバーとの馴染みがよくなく、化粧膜の除去し易さにおいて、また使用性、化粧膜の均一性の点において満足いくものが得られなかった。
以下に実施例9〜12を記載した。使用したトリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン処理粉体は、実施例1〜8と同様の処理を行って得たものを使用した。
実施例9:マスカラオーバーコート
(成分) (%)
(1)トリメチルシロキシケイ酸溶液 *3 3
(2)水素添加エステルガム *1 15
(3)トリオクタン酸グリセリル 5
(4)軽質流動イソパラフィン *6 残量
(5)POE(80)硬化ヒマシ油 *7 1.5
(6)POE(5)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド *8 0.2
(7)パルミチン酸ナトリウム 2
(8)トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン5%処理
雲母チタン *9 10
(9)シリコーン化合物2%処理雲母チタン *10 3
(10)マイカ 5
(11)黒酸化鉄 5
(12)グリセリン 10
*7:HCO−80(日本サーファクタント社製)HLB15
*8:アミゼット5C(川研ファインケミカル社製)HLB15
*9:TIMIRON SUPER BLUE(メルク社製)をトリデカフルオロオクチルトリエトキシシランで5%処理したもの
*10:FLAMENCO BLUE 620C(エンゲルハード社製)を(ジメチコン/メチコン)コポリマーで2%処理したもの
(製法)
A.成分(1)〜(12)を約110℃で加熱混合し均一にする。
B.Aを容器に充填してマスカラオーバーコートを得た。
以上のようにして得られたマスカラオーバーコートは、実施例1〜8の評価方法に従って評価した結果、マスカラ使用後に塗布することにより、マスカラの化粧持ちが向上する上、メイクアップリムーバーでの塗擦動作により、容易に除去する事ができ、化粧持ち効果、使用性(軽さ、なめらかさ)、化粧膜の均一性にも優れたものであった。
実施例10:マスカラ下地
(成分) (%)
(1)ミツロウ 3
(2)軽質流動イソパラフィン 残量
(3)トリメチルシロキシケイ酸溶液 *11 2
(4)不均化ロジングリセリンエステル *12 10
(5)ステアリン酸 1
(6)POE(60)硬化ヒマシ油 0.2
(7)シリコーン化合物5%処理マイカ *13 5
(8)酸化チタン 1
(9)トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン3%処理
合成金雲母 *14 10
(10)シリコーン化合物5%表面処理タルク *15 5
(11)1,3−ブチレングリコール 7
(12)トリエタノールアミン 0.3
*11:KF−9021(信越化学工業社製)(固形分50%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液)
*12:スーパーエステル A−75(荒川化学工業社製)
*13:サンシンセリサイト FSE(三信鉱工業社製)をジメチコンで5%処理したもの
*14:PDM−40L(トピー工業社製)をトリデカフルオロオクチルトリエトキシシランで3%処理したもの
*15:ハイフィラー K−5(松村産業社製)をジメチコンで5%処理したもの
(製法)
A.成分(1)〜(12)を約110℃で加熱混合し均一にする。
B.Aを容器に充填してマスカラ下地を得た。
以上のようにして得られたマスカラ下地は、実施例1〜8の評価方法に従って評価した結果、マスカラ使用前に塗布することにより、マスカラのカール力が向上する上、メイクアップリムーバーでの塗擦動作により容易に除去する事ができる効果、化粧持ち効果、使用性(軽さ、なめらかさ)、化粧膜の均一性にも優れたものであった。
実施例11:口紅
(成分) (%)
(1)ミツロウ 5
(2)軽質流動イソパラフィン 10
(3)トリメチルシロキシケイ酸溶液 *11 6
(4)不均化ロジングリセリンエステル *12 2
(5)ポリエチレンワックス *16 10
(6)デカメチルシクロペンタシロキサン *17 20
(7)2−エチルヘキサン酸セチル 残量
(8)金属石鹸5%処理マイカ *18 5
(9)油剤2%処理酸化チタン被覆ガラス末 *19 5
(10)トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン3%処理
酸化チタン被覆ガラス末 *20 10
(11)タルク 5
(12)赤色202号 0.2
(13)ベンガラ 0.5
(14)酸化チタン 0.2
(15)黒酸化鉄 0.01
(16)シリル化処理無水ケイ酸 *21 0.5
(17)防腐剤 0.3
*16 PERFORMALENE 500 POLYETHYLENE(ニューフェーズテクノロジー社製)
*17 シリコン KF995(信越化学工業社製)
*18 エイトパール300S(角八魚鱗箔社製)をステアリン酸アルミニウムで5%処理したもの
*19 メタシャイン1080RC-S(日本板硝子社製)をキャンデリラワックスで2%処理したもの
*20 メタシャイン1120RC-Y(日本板硝子社製)をトリデカフルオロオクチルトリエトキシシランで3%処理したもの
*21 AEROSIL R976S(日本アエロジル社製)
(製法)
A.成分(1)〜(7)を約110℃で加熱混合し均一にする。
B.Aに成分(8)〜(17)を混合し、均一に攪拌する。
C.Bを容器に充填し、冷却して口紅を得た。
以上のようにして得られた口紅は、実施例1〜8の評価方法に従って評価した結果、メイクアップリムーバーでの塗擦動作により、容易に除去する事ができる効果、化粧持ち効果、使用性(軽さ、なめらかさ)、化粧膜の均一性にも優れたものであった。
実施例12:アイカラー
(成分) (%)
(1)デキストリン脂肪酸エステル *22 3
(2)トリイソステアリン酸ジグリセリル 15.5
(3)水添ロジングリセリンエステル *23 5
(4)ミリスチン酸デキストリン 5
(5)ベヘニン酸デキストリン 5
(6)流動パラフィン 残量
(7)α−オレフィン・ビニルピロリドン共重合体 *24 1.5
(8)シリル化処理無水ケイ酸 *25 6
(9)トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン3%処理
合成金雲母 *14 10
(10)メチルトリメチコン *26 10
(11)シリコーン化合物5%処理マイカ *13 5.5
(12)赤色202号 0.05
(13)黄色4号アルミニウムレーキ 0.05
(14)青色1号アルミニウムレーキ 0.05
(15)雲母チタン 1.5
(16)防腐剤(メチルパラベン) 適量
(17)香料 適量
*22:レオパール TT(千葉製粉社製)
*23:エステルガムH(荒川化学工業社製)
*24:ANTARON WP−600(ISP社製)
*25:AEROSIL R972(日本アエロジル社製)
*26:シリコン TMF−1.5(信越化学工業社製)
(製造方法)
A:成分(1)〜(7)を100℃で溶解混合する。
B:Aに成分(8)〜(17)を加え、均一に混合分散する。
C:Bを容器に流し込み、冷却固化してアイカラーを得た。
以上のようにして得られたアイカラーは、実施例1〜8の評価方法に従って評価した結果、メイクアップリムーバーでの塗擦動作により、容易に除去する事ができる効果、化粧持ち効果、使用性(軽さ、なめらかさ)、化粧膜の均一性にも優れたものであった。

Claims (2)

  1. 次の成分(A)〜(C)
    (A)水素添加エステルガム
    (B)トリデカフルオロオクチルトリエトキシシランで表面処理した粉体 2〜35%
    (C)揮発性油剤 20〜60%
    を配合し
    前記成分(C)の揮発性油剤が、軽質流動イソパラフィン及び/又は環状シリコーンである、油性化粧料。
  2. 前記成分(A)がロジンとグリセリンとのエステルであって、該ロジンが不均化及び水添されているロジンエステル化合物である、請求項1記載の油性化粧料。
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