JP5268685B2 - 積層成形品の製造方法並びにその方法に使用する成形金型 - Google Patents

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この発明は、ドアトリム、リヤサイドトリム、ラゲージサイドトリム、ルーフトリム等の自動車用内装部品に好適な積層成形品の製造方法並びにその方法に使用する成形金型に係り、特に、ホットメルトをプレコート処理した表皮を使用して、真空成形により芯材に表皮を貼着してなる積層成形品の製造方法並びにその方法に使用する成形金型に関する。
図14,図15は、車両のドアパネルの室内面側に装着されるドアトリムを示す正面図並びに断面図であり、ドアトリム1は、ドアトリムアッパー2とドアトリムロア3との上下二分割体から構成されている。そして、ドアトリムアッパー2は芯材2aの表面に表皮2bを貼着した積層成形品が使用され、ドアトリムロア3は合成樹脂の射出成形品が使用され、外観上のアクセント効果により外観見栄えを高めるとともに、成形金型のコンパクト化によりコストダウンを図るようにしている。
そして、従来では、ドアトリムアッパー2に代表される積層成形品の製造方法は、図16に示すように、予め成形された木質系芯材等、通気性を備えた芯材2aに接着剤aを塗布した後、図17に示すように、乾燥炉4内で接着剤aを乾燥させ、有機溶剤を揮発させた後、図18に示すように、ヒーター装置5により表皮2bを加熱軟化させる。そして、接着剤aを塗布した後、図19に示すように、乾燥させた芯材2aを真空成形金型6にセットし、加熱軟化処理した表皮2bを重ね合わせた後、真空成形により芯材2a表面に表皮2bを貼着している。そして、図20に示すように、ピアス金型7で余分な表皮2bを取り除き、必要な開口設定部位は芯材2a、表皮2bごと打抜き加工を行ない、その後、図21に示すように、表皮2bの周縁端末の巻込みシロ2cに接着剤aを塗布した後、図22に示すように、乾燥炉4で乾燥させ、図23に示すように、表皮2bの巻込みシロ2cを芯材2aの裏面に巻込み処理してドアトリムアッパー2の製造を完了していた。尚、真空成形工法を使用して、芯材2aの表面に表皮2bを貼着する従来例としては、特許文献1に詳細に示されている。
特開2001−310378号公報
このように、芯材2aの表面に表皮2bを真空成形により貼着して、ドアトリムアッパー2を製造する従来方法においては、芯材2aの表面に有機溶剤系の接着剤aを使用するため、車室内VOC(Volatile Organic Compounds)が増加し、車室内の環境が好ましいものとはいえなかった。また、換気設備に加えて、接着剤aの塗布ブースや乾燥炉等、設備費用が嵩み、かつ接着剤aの塗布、乾燥工程等、処理工数が増大するとともに、仕掛り品の在庫保管スペースを必要とする等の問題点が指摘されている。更に、接着剤aの塗布バラツキにより浮き、剥がれ等の不具合が発生し易く、また、巻込み処理を行なう際、再度接着剤aを塗布、乾燥させなければならず、工数アップを招くとともに、芯材2aの乾燥工程において、変形、収縮等が生じ、成形不良を誘発するという新たな問題点も同時に指摘されている。
この発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、有機溶剤系の接着剤に替えて、ホットメルトを表皮側にプレコート処理するという材料構成を採用することで、設備の簡素化、工数の削減を図ることができるとともに、車室内の環境や作業環境を良好に維持でき、更に、接着剤の塗布バラツキがなく、品質性能を高めることができるとともに、芯材を加熱する必要がないため、芯材の変形、あるいは収縮等の成形不良を未然に防止できる積層成形品の製造方法並びにその方法に使用する成形金型を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明者等は鋭意研究の結果、芯材側に接着剤を塗布する工程を廃止し、表皮側にホットメルトをプレコート処理することで、設備の簡素化、工数の削減及び接着剤における塗布バラツキの解消、及び作業環境の改善等を図るとともに、ホットメルトをプレコート処理した表皮を真空貼着する際、ホットメルトが真空成形金型に付着することが回避でき、表皮の脱型操作を円滑に行なえるようにすることで、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、所望の曲面形状に成形された芯材の表面に表皮を真空成形により貼着し、表皮の周縁端末に沿う巻込みシロを芯材裏面側に巻込み処理してなる積層成形品の製造方法において、ホットメルトがプレコート処理された表皮をヒーター装置により所定温度に加熱する表皮の加熱工程と、所望の曲面形状に成形された芯材を真空成形金型上にセットし、該芯材上に加熱軟化処理した表皮を重合し、真空成形により芯材の表面に表皮を一体貼着するとともに、表皮の真空貼着時には、表皮の周縁部分が真空成形金型に施した離型処理層の上面に押圧支持されていることにより、ホットメルトの真空成形金型への付着が防止された状態で芯材の表面に表皮が貼着される表皮の真空貼着工程と、表皮の周縁端末に沿う巻込みシロをドライヤーにより加熱して、ホットメルトを加熱軟化させた後、芯材の裏面側に巻込みシロを巻込み処理する表皮の端末処理工程とからなることを特徴とする。
ここで、積層成形品は、所要形状に成形された芯材の表面に表皮を貼着した構成であり、ドアトリム、リヤサイドトリム、ラゲージサイドトリム、ルーフトリム等、自動車用内装部品全般に使用することができる。芯材としては、表皮を真空貼着することから、適度な剛性、保形性を備える一方、通気性を具備していることが必要である。例えば、木質系繊維板、針孔加工を施した熱可塑性樹脂板が使用できる。
また、表皮としては、芯材側に真空成形により一体貼着するため、非通気性を備えていることが条件であり、TPO(サーモプラスチックオレフィン)、塩ビ等の熱可塑性樹脂シートの裏面にクッション性を付与するため、ポリウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリプロピレンフォーム等のクッション層を裏打ちした積層シート材料を使用することができる。そして、本発明に係る積層成形品の製造方法は以下の工程から構成されている。
(1)表皮の加熱工程
(2)表皮の真空貼着工程
(3)表皮の端末処理工程
(1)表皮の加熱工程
表皮は芯材対向面側にホットメルトがプレコート処理されており、ホットメルトをプレコート処理した表皮の両面からヒーターで所定温度に加熱軟化させる。ホットメルトは常温では固化しているが、ヒーター等の加熱工程で熱を加えることにより再活性化する。
(2)表皮の真空貼着工程
予め所要形状に成形された通気性を有する芯材を真空成形金型上に載置した後、加熱軟化処理した表皮のホットメルト側を芯材に対向させ、周縁をクランプした状態で芯材の上面に被せ、真空成形金型に装備された真空吸引機構を動作させ、真空吸引力により芯材の表面に表皮を貼着させる。この時、ホットメルトが付着することにより、表皮の脱型が困難になることを防ぐために、予め真空成形金型面には離型剤(シリコーン樹脂系、フッ素樹脂系等)がコーティング処理された離型処理層が設けられている。
次いで、本発明方法に使用する真空成形金型は、ホットメルトが裏面にプレコート処理された表皮を加熱軟化処理した後、所要形状に成形された芯材の表面に真空成形により表皮を貼着する表皮の貼着加工工程で使用する真空成形金型において、前記表皮周縁部分が対応する真空成形金型の型面外周部には、離型剤をコーティング処理した離型処理層が設けられていることにより、表皮のホットメルトが真空成形金型の型面に付着するのを防止したことを特徴とする。
また、真空成形金型の別の実施の形態においては、前記真空成形金型における型面外周部には、成形品の脱型時において、表皮の周縁端末を上方に突き上げるエアシリンダが真空成形金型の型面外周部内に配置されていることを特徴とする。
このように、表皮の真空貼着工程においては、真空成形金型の上面に予め所要形状に予備成形してなる芯材をセットし、ホットメルトをプレコート処理した表皮を加熱軟化処理した状態で芯材の上面に被せ、ホットメルトが溶融状態であるため、真空成形により芯材の表面に表皮が一体貼着される。この時、表皮の外周縁については、真空成形金型の外周型面に離型処理層が設けられているため、表皮の周縁端末が真空成形金型面に付着することがない。この離型処理層に使用される離型剤はシリコーン樹脂系、もしくはフッ素樹脂系であり、水系/溶剤系のどちらでも良く、簡易的なスプレータイプではなく、後処理、下地処理を必要とするものが耐久性を考慮した場合好ましい。尚、真空成形により芯材表面に表皮を一体貼着した半製品について、所望ならば、ピアス金型にセットして外周のトリム加工並びに必要箇所に貫通孔等の穿設加工を行なうピアス加工を施しても良い。
(3)表皮の端末処理工程
芯材と表皮との一体化が真空成形により行なわれ、その後、所望ならば、外周のトリムカットや貫通孔の穿設加工がピアス金型により行なわれる。そして、ピアス金型から取り出した半製品について、表皮の端末処理が行なわれる。すなわち、表皮の周縁端末に沿う巻込みシロ裏面にプレコート処理されているホットメルトをドライヤー等で加熱し、ホットメルトを再活性化させた後、芯材周縁裏面に沿って表皮の巻込みシロを折り返し、端末処理を施した積層成形品を完成させることができる。
以上の構成から明らかなように、本発明に係る積層成形品の製造方法は、ホットメルトを表皮にプレコート処理しておき、表皮を加熱軟化処理した後、真空成形により芯材表面に表皮を貼着するという工法が採用されている。そして、表皮の周縁端末を巻き込む際においても、巻込みシロ裏面のホットメルトを加熱処理して、ホットメルトを再活性化した後、巻込みシロを折り返し操作して端末処理を行なうことが特徴である。
従って、芯材に塗布していた接着剤を廃止でき、接着剤の塗布、乾燥工程が不要となり、しかも、巻込みシロの巻込み作業時、ホットメルトを加熱処理するだけで済むため、作業を簡素化できるとともに、工数の削減が可能となる。また、ホットメルトを使用しているためVOCの削減が可能となり、車室内の環境や作業環境を良好に保つことができる。加えて、接着剤の養生が不要となるため、仕掛り品の在庫保管スペースが必要なくなり、また、有機溶剤を換気するための換気設備等も不要となり、設備を簡素化できるとともに、芯材を加熱しないため、芯材の変形等の成形不良を防止でき、品質性能を良好に保つことができる。
以上説明した通り、本発明に係る積層成形品の製造方法は、ホットメルトをプレコート処理した表皮を加熱軟化処理し、芯材に対して真空成形により表皮を一体貼着するというものであるから、接着剤の塗布、乾燥工程、及び養生工程が不要となるため、工数の削減が可能になるとともに、仕掛り品の在庫保管スペースも節約でき、更に、接着剤の塗布バラツキがなくなるため、表皮の浮き、剥がれ等の不良がなくなり、生産性を向上させることができるという効果を有する。
また、ホットメルトを使用するため、溶剤系接着剤が原因となるVOCを削減でき、作業環境や車室内の環境を良好に維持できるとともに、大型の換気設備等も不要とでき、設備の簡素化にも貢献できる。
更に、芯材を加熱する必要がないため、芯材の変形、収縮等の成形不良がなくなり、不良率を低減できるとともに、表皮端末の巻込み時には、ホットメルトを加熱した後、巻込み操作を行なうため、巻込み処理を簡単かつ迅速に行なうことができるという効果を有する。
本発明方法により製作されたドアトリムアッパーを備えたドアトリムを示す正面図である。 図1中II−II線断面図である。 本発明方法に使用する真空成形金型の一実施例を示す説明図である。 本発明方法における表皮の加熱工程を示す説明図である。 本発明方法における表皮の真空貼着工程での真空成形金型への素材のセット工程を示す説明図である。 本発明方法における表皮の真空貼着工程を示す説明図である。 本発明方法におけるピアス加工工程を示す説明図である。 本発明方法における表皮の端末処理工程での巻込みシロの加熱時の状態を示す説明図である。 本発明方法における表皮の端末処理工程を示す説明図である。 本発明方法に使用する真空成形金型の変形例の構成を示す断面図である。 図10に示す真空成形金型の平面図である。 本発明方法に使用する真空成形金型の変形例の構成を示す説明図である。 図12に示す真空成形金型の作用を示す説明図である。 従来のドアトリムを示す正面図である。 図14中XV−XV線断面図である。 従来のドアトリムアッパーの製造方法における芯材への接着剤の塗布工程を示す説明図である。 従来のドアトリムアッパーの製造方法における芯材に塗布した接着剤の乾燥工程を示す説明図である。 従来のドアトリムアッパーの製造方法における表皮の加熱工程を示す説明図である。 従来のドアトリムアッパーの製造方法における表皮の真空貼着工程を示す説明図である。 従来のドアトリムアッパーの製造方法におけるピアス加工工程を示す説明図である。 従来のドアトリムアッパーの製造方法における表皮の端末処理工程での接着剤の塗布工程を示す説明図である。 従来のドアトリムアッパーの製造方法における表皮の端末処理工程での接着剤の乾燥工程を示す説明図である。 従来のドアトリムアッパーの製造方法における表皮の端末処理工程での巻込みシロの巻込み工程を示す説明図である。
以下、本発明に係る積層成形品の製造方法並びにその方法に使用する成形金型の実施例について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。尚、念のため付言すれば、本発明の要旨は特許請求の範囲に記載した通りであり、以下に説明する実施例の内容は、本発明の一例を単に示すものに過ぎない。
図1乃至図11は本発明の一実施例を示すもので、図1,図2は本発明方法により製造されたドアトリムアッパーを採用したドアトリムを示す正面図並びに断面図、図3は本発明方法に使用する真空成形金型の概略構成を示す説明図、図4乃至図9は本発明方法の各工程を示す各説明図、図10乃至図13は本発明方法に使用する真空成形金型の変形例を示すもので、図10は真空成形金型の構成を示す断面図、図11は図10に示す真空成形金型の平面図、図12は真空成形金型の構成を示す説明図、図13は図12に示す真空成形金型の作用を示す説明図である。
図1,図2において、本発明方法を適用して製作されたドアトリム10の構成について簡単に説明する。ドアトリム10は、ドアトリムアッパー20とドアトリムロア30との上下二分割体から構成されており、外観上のアクセント効果並びに金型のコンパクト化によるコストダウンが期待できる。上記ドアトリム10は、ドアトリムアッパー20とドアトリムロア30との上下二分割体から構成されているが、ドアトリム10には各種機能部品が装着されている。例えば、ドアトリムアッパー20側には、インサイドハンドルユニット11、プルハンドルユニット12、パワーウインドウスイッチユニット13等の機能部品が取り付けられており、ドアトリムロア30側には、ポケット開口14の背面側にポケットバックカバー15が装着され、そのフロント側には、スピーカグリル16がドアトリムロア30と一体、あるいは別体に設けられている。
更に、ドアトリムアッパー20は、適度な剛性と保形性を備えた芯材21の表面に表皮22を貼着した積層構造体であり、この実施例においては、表皮22を真空成形工法により芯材21の表面に貼着するため、芯材21としては、通気性を備えた材質、例えば、木質系繊維板や針孔加工を施した熱可塑性樹脂板を使用する。また、表皮22は、クロス等のトップ層22aの裏面にポリウレタンフォーム等のクッション層22bを一体化した積層シート材料が使用されている。更に、クッション層22bの裏面には、ホットメルト22cがプレコート処理されており、ホットメルト22cは、芯材21と表皮22との接着媒体として機能している。
上記表皮22におけるトップ層22aはクロスの他に、不織布や熱可塑性樹脂シートを使用することができ、クッション層22bとしては、ポリウレタンフォームの他にポリエチレンフォーム、ポリプロピレンフォーム等のポリオレフィン系フォームを使用することもできる。また、ドアトリムロア30は、熱可塑性樹脂材料を素材とした射出成形工法により所望の曲面形状に成形されており、ドアトリムアッパー20とドアトリムロア30との接合構造については、図示はしないが、一方側、例えば、ドアトリムロア30側にボス、他方側のドアトリムアッパー20側に取付孔を開設し、取付孔に差し込んだボスの先端に超音波カシメ加工を施すことにより、両者を接合一体化することができる。
ところで、本発明方法は、ドアトリム10におけるドアトリムアッパー20のような積層成形品の製造方法を対象としている。以下、ドアトリムアッパー20の製造方法を例示して本発明方法を説明する。
まず、本発明に係る積層成形品の製造方法は、以下の工程から構成されている。
(1)表皮22の加熱工程
(2)表皮22の真空貼着工程
(3)表皮22の端末処理工程
以下、上記(1)乃至(3)の各工程について、経時的に説明する前に本発明方法の要部である真空貼着工程に使用する真空成形金型40の構成について簡単に説明する。図3において、真空成形金型40は、予備成形されたドアトリムアッパー20の芯材21を載置するために、その形状にフィットする型面形状を備えた金型本体41が支持台41aに立設されており、この金型本体41は、エポキシ樹脂等の樹脂型から構成されている。更に、この金型本体41に剛性を付与するために、外周にアルミ製の外周枠41bが設置され、金型本体41の内部に組み付けた木枠41cにより補強されている。そして、この金型本体41内には、冷却機能を備えるために冷却用配管42が配管されており、更に、真空機能を備えるために、金型本体41には、真空吸引孔43が開設され、この真空吸引孔43は、金型本体41内部の空気室44に連通しており、この空気室44に接続される真空吸引用配管45は、真空ポンプ45aに接続され、真空吸引用配管45には、開閉弁45bが設けられている。そして、この真空成形金型40は、上述したように、真空吸引機構を備えるとともに、真空成形金型40の型面外周部40aには、シリコーン樹脂系、フッ素樹脂系等の離型剤をコーティング処理した離型処理層46が形成されている。この離型処理層46は、芯材21に対して表皮22を真空成形により一体貼着する際、表皮22の周縁端末部分に相当する箇所にコーティング処理されており、表皮22の裏面にプレコート処理されているホットメルト22cが真空成形金型40の型面外周部40aに付着することを確実に防止するようになっている。
次いで、本発明方法の各工程について、ドアトリムアッパー20の製造方法に適用して図4乃至図9を基に説明する。
(1)表皮22の加熱工程
図4に示すように、表皮22は、トップ層22a、クッション層22bを積層した積層シート材料から構成されているが、クッション層22bにはポリエチレン樹脂等のホットメルト22cがプレコート処理されている。そして、ホットメルト22cをプレコート処理した表皮22をヒーター装置50により両面から加熱する。この時、ホットメルト22cは常温では固化しているものの、ヒーター装置50により熱を加えることにより再活性化する。以上が表皮22の加熱工程である。
(2)表皮22の真空貼着工程
まず、図5に示すように、真空成形金型40の型面に予め所要形状に成形された芯材21をセットする。そして、その上方から前記工程で所定温度に加熱処理した表皮22をクランプ装置60で周縁を保持したまま芯材21の上面に重ね合わせる。この時、溶融状態のホットメルト22cが再活性化してクランプ装置60に付着しないようにフッ素系樹脂の離型処理が施されている。そして、図6に示すように、芯材21の表面に表皮22を重合した状態で真空成形金型40における真空吸引機構を動作させれば、芯材21と表皮22との間のエアが外部に排気され、芯材21の表面に表皮22を精度良く貼着することができる。この時、表皮22の周縁部分は、後述する巻込みシロ23として使用されるが、この部位のホットメルト22cは、真空成形金型40の型面外周部40aに設定された離型処理層46と当接しているため、この離型処理層46にホットメルト22cが付着することがなく、表皮22を真空成形により貼着した芯材21を真空成形金型40から簡単に取り出すことができる。
離型処理層46に使用する離型剤は、シリコーン樹脂系、もしくはフッ素樹脂系であり、水系/溶剤系のどちらでも良い。また、簡易的なスプレータイプではなく、後処理、下地処理を必要とするものが耐久性を考慮した場合好ましい。以上が表皮22の真空貼着工程である。尚、所望ならば、図7に示すように、前工程で表皮22を芯材21に真空貼着した半製品Pをピアス加工用下型71の上に載置して、ピアス加工用上型72を下降操作して、トリムカット処理や必要な貫通孔を穿設する加工を行なう。
(3)表皮22の端末処理工程
その後、ピアス加工用金型70から半製品Pを取り出し、図8に示すように、表皮22の巻込みシロ23に対してドライヤー80によりホットメルト22cを再加熱し、ホットメルト22cを再活性化させた後、図9に示すように、芯材21の裏面側に巻込みシロ23を折り返し操作するだけで簡単に端末処理作業を完了させることができる。以上が表皮22の端末処理工程である。
このように、本発明方法をドアトリムアッパー20の製造方法に適用すれば、以下の格別の作用効果が期待できる。すなわち、本発明方法は、ホットメルト22cをプレコート処理した表皮22を加熱軟化処理して芯材21に対して真空貼着するという工程を採用したため、溶剤系接着剤を使用した際の接着剤の塗布、乾燥工程、及び接着剤の養生工程が廃止でき、更に、換気扇を使用した外部への換気設備等が不要となるため、工数の大幅な削減が可能になるとともに、仕掛り品の在庫保管スペースも節約でき、また、接着剤の塗布バラツキによる性能のバラツキや、表皮の浮き、剥がれ等の不良がなくなり、生産性を大幅に向上させることができる。
また、ホットメルト22cを使用するため、溶剤系接着剤における有機溶剤が原因であるVOCを削減でき、作業環境や車室内の環境を良好に維持できるとともに、大型の換気設備等も不要とでき、設備の簡素化にも貢献できる。
更に、芯材を加熱する必要がないため、芯材21の変形、収縮等の成形不良がなくなり、不良率を低減できるとともに、表皮22の端末工程では、ホットメルト22cを再加熱した後、巻込みシロ23を巻込み操作すれば良いため、巻込み処理を簡単かつ迅速に行なうことができ、このことも生産性を高める大きな要因となっている。
次いで、図10,図11は、本発明方法に使用する真空成形金型40の変形例を示すもので、この真空成形金型40は、型面外周部40aに相当する金型本体41に金属板47がボルト47aにより脱着可能に装着されており、図11から明らかなように、金属板47は、47A〜47Kのように分割構造が採用されているため、離型処理層46は、各分割体からなる金属板47A〜47Kにそれぞれコーティング処理されている。従って、この変形例においては、以下の作用効果が期待できる。
まず、樹脂製の金型本体41にコーティング処理する構造ではなく、金属板47にコーティング処理するため、離型処理層46の耐久性及び性能がアップするとともに、部分的な離型コーティング処理が可能となり、メンテナンス向上、輸送費、離型加工費を節約でき、型改修が容易に行なえる。
このように、この変形例においては、分割ブロックからなる複数の金属板47A〜47Kを使用するため、金型本体41に離型剤をコーティング処理する構成に比べ、コーティング処理が簡単に行なえるとともに、離型機能が低下して、一部分を改修する場合でも、その部位だけの分割ブロックを変更すれば良いため、低コストで改修を簡単に行なうことができるという有利さがある。
次いで、図12,図13は本発明方法に使用する真空成形金型40の変形例を示すもので、この真空成形金型40は、表皮22にプレコート処理したホットメルト22cが真空成形金型40に付着することをより有効に防止できる手段が施されている。すなわち、真空成形金型40の型面外周部40aには、上述実施例のように、離型処理層46が形成されているという基本構造に加えて、型面外周部40aの内部には、エアシリンダ48が型面外周部40aの必要箇所に所定ピッチ間隔毎に設けられている。
そして、この真空成形金型40は、真空成形後の半製品Pを真空成形金型40から取り出す際に特に有効であり、図13に示すように、芯材21の表面に表皮22を真空貼着した後、真空成形金型40から半製品Pを取り出す際、エアシリンダ48により表皮22の巻込みシロ23を真空成形金型40からの脱型方向に付勢することで、表皮22の周縁端末の巻込みシロ23を真空成形金型40からより円滑に脱型させることができ、ホットメルト22cが真空成形金型40の型面に付着することをより有効に防止することができる。
以上説明した実施例は、ドアトリム10におけるドアトリムアッパー20の製造方法に本発明方法を適用したが、ホットメルト22cを表皮22側にラミネートして、芯材21表面に真空貼着して得られる積層成形品であれば用途は問わない。
10 自動車用ドアトリム
11 インサイドハンドルユニット
12 プルハンドルユニット
13 パワーウインドウスイッチユニット
14 ポケット開口
15 ポケットバックカバー
16 スピーカグリル
20 ドアトリムアッパー
21 芯材
22 表皮
22a トップ層
22b クッション層
22c ホットメルト
23 巻込みシロ
30 ドアトリムロア
40 真空成形金型
40a 型面外周部
41 金型本体
41a 支持台
41b 外周枠
41c 木枠
42 冷却用配管
43 真空吸引孔
44 空気室
45 真空吸引用配管
45a 真空ポンプ
45b 開閉弁
46 離型処理層
47(47A〜47K) 金属板
48 エアシリンダ
50 ヒーター装置
60 クランプ装置
70 ピアス加工用金型
71 ピアス加工用下型
72 ピアス加工用上型
80 ドライヤー
P 半製品

Claims (2)

  1. 所望の曲面形状に成形された芯材(21)の表面に表皮(22)を真空成形により貼着し、表皮(22)の周縁端末に沿う巻込みシロ(23)を芯材(21)裏面側に巻込み処理してなる積層成形品(20)の製造方法において、
    ホットメルト(22c)がプレコート処理された表皮(22)をヒーター装置(50)により所定温度に加熱する表皮(22)の加熱工程と、
    所望の曲面形状に成形された芯材(21)を真空成形金型(40)上にセットし、該芯材(21)上に加熱軟化処理した表皮(22)を重合し、真空成形により芯材(21)の表面に表皮(22)を一体貼着するとともに、表皮(22)の真空貼着時には、表皮(22)の周縁部分が真空成形金型(40)の型面外周部(40a)に施した離型処理層(46)の上面に押圧支持されていることにより、ホットメルト(22c)の真空成形金型(40)への付着が防止された状態で芯材(21)の表面に表皮(22)が貼着される表皮(22)の真空貼着工程と、
    前記真空成形により一体貼着した芯材(21)と表皮(22)からなる半製品(P)を真空成形金型(40)から取り出し、取り出した半製品(P)における表皮(22)の周縁端末に沿う巻込みシロ(23)をドライヤー(80)により加熱して、ホットメルト(22c)を加熱軟化させた後、芯材(21)の裏面側に巻込みシロ(23)を巻込み処理するとともに、前記真空成形金型(40)から前記半製品(P)を取り出す際には、真空成形金型(40)の型面外周部(40a)の内部に設けられているエアシリンダ(48)により前記表皮(22)周縁端末の巻込みシロ(23)を真空成形金型(40)からの離型方向に付勢することで、前記表皮(22)周縁端末の巻込みシロ(23)を真空成形金型(40)から円滑に離脱させるようにしている、表皮(22)の端末処理工程と、
    からなることを特徴とする積層成形品の製造方法。
  2. ホットメルト(22c)が裏面にプレコート処理された表皮(22)を加熱軟化処理した後、所要形状に成形された芯材(21)の表面に真空成形により表皮(22)を貼着する表皮(22)の貼着加工工程で使用する真空成形金型(40)において、
    前記表皮(22)の巻込みシロ(23)として設けた前記表皮(22)周縁部分が対応する真空成形金型(40)の型面外周部(40a)には、離型剤をコーティング処理した離型処理層(46)が設けられていることにより、表皮(22)周辺部分のホットメルト(22c)が真空成形金型(40)の型面に付着するのを防止し
    前記真空成形金型(40)における型面外周部(40a)の内部には、エアシリンダ(48)が設けられていて、前記真空成形により一体貼着した芯材(21)と表皮(22)からなる半製品(P)を前記真空成形金型(40)から取り出す際に、前記エアシリンダ(48)により前記表皮(22)周縁部分を真空成形金型(40)からの離型方向に付勢することで、表皮(22)周縁部分を真空成形金型(40)から円滑に離脱させるようになっていることを特徴とする真空成形金型。
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