JP5268140B2 - 骨欠損部への固定信頼性を備えたインプラント材料 - Google Patents

骨欠損部への固定信頼性を備えたインプラント材料 Download PDF

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Description

本発明は、失われた骨の欠損部を再建するための骨充填材(Bone Void Filler)やその一次的な足場材料(Scaffolds)として骨欠損部に補填され、脱落しないように固定される、固定信頼性を備えたインプラント材料に関する。
近年、身体の軟組織(皮下、筋肉)や硬組織(軟骨、骨)の大欠損部を人工物あるいは生体由来の生体材料で補填、代替する医用材料技術はかなり進歩してきた。このような医用材料の一つとして、本出願人は、生体内分解吸収性ポリマー中に生体活性なバイオセラミックス粉粒が均一に分散し、内部に孔径が大略100〜400μmの連続気孔を有し、表面と気孔内面にバイオセラミックス粉粒の一部が露出した、有機−無機複合多孔体を既に提案した(特許文献1)。
この有機−無機複合多孔体は、生体硬骨あるいは軟骨組織再生用の足場、骨充填材、海綿骨の代替物、薬物除放用キャリアなど、種々の医療用途が見込まれる画期的な新素材である。
特開2003−159321号公報
上記特許文献1の複合多孔体は、これを例えば生体骨の欠損部に充填して骨組織を再生させる場合、骨欠損部の形状に合わせて該複合多孔体を切削加工し、骨欠損部から脱落するのを防止する必要がある。しかしながら、該複合多孔体を骨欠損部の形状に合わせて切削加工するだけでは確実に固定できないため、骨欠損部から脱落する恐れが多分にあり、骨欠損部への固定信頼性が不十分であった。
また、骨充填材等として使用されるインプラント材料には、上記の複合多孔体の他にバイオセラミックス焼結体や金属多孔体が知られているが、これらも固定信頼性に欠けるものであった。
本発明は上記事情の下になされたもので、その解決しようとする課題は、骨欠損部を再建するための骨充填材やその一次的な足場材料として、骨欠損部に補填されて脱落しないように一時的に固定される固定信頼性を備えたインプラント材料を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明に係る骨欠損部への固定信頼性を備えたインプラント材料は、骨欠損部に補填されるブロック状のインプラント材料本体と、端部がインプラント材料本体の表面から突き出した状態でインプラント材料本体に埋め込まれ、長さ方向に圧迫されるとその方向に圧縮され、圧迫が解除されると元の長さに復元する、生体内分解吸収性ポリマーで造られたバネ材と、からなり、上記バネ材が生体内分解吸収性ポリマーで造られたコイルスプリングであることを特徴とするものである。
本発明のインプラント材料においては、バネ材がインプラント材料本体を貫通し、バネ材の両端部がインプラント材料本体の表面から突き出していてもよく、また、バネ材がインプラント材料本体の表層部に埋め込まれ、バネ材の一端部がインプラント材料本体の表面から突き出していてもよい。更に、インプラント材料本体の表面に治具の挟持片を嵌め込む凹部が形成され、この凹部からバネ材の端部がインプラント材料本体の表面を超えて突き出していてもよい。
本発明のインプラント材料のバネ材の生体内分解吸収性ポリマーとしては、ポリ−L−乳酸、ポリ−D,L−乳酸、L−乳酸とD,L−乳酸の共重合体、乳酸とグリコール酸の共重合体、乳酸とp−ジオキサノンの共重合体、乳酸とエチレングリコールの共重合体、乳酸とカプロラクトンの共重合体のいずれか単独又は二種以上の混合物が使用される。
また、インプラント材料本体は、非多孔質のバイオセラミックス焼結体、多孔質のバイオセラミックス焼結体、金属多孔体、バイオセラミックス粉粒を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの複合多孔体、のいずれであってもよい。
本発明のインプラント材料は、ブロック状のインプラント材料本体の表面から突き出す生体内分解吸収性ポリマーで造られたコイルスプリングであるバネ材の端部を治具の挟持片で圧迫し、コイルスプリング全体で長さを短縮してインプラント材料本体に押し込みながら、挟持片でインプラント材料本体を挟持して骨欠損部に嵌め込み、骨欠損部から治具の挟持片を引き抜くことによって、骨欠損部に補填される。このようにインプラント材料を骨欠損部に補填すると、治具の挟持片による圧迫が解除されたバネ材が伸張、復元してバネ材の端部がインプラント材料本体の表面から突き出し、凹凸のある骨欠損部の内面にバネ材の端部が圧接して該凹凸に引っ掛かるため、インプラント材料は骨欠損部に固定されて、脱落する危惧が解消される。その場合、骨欠損部の内面にバネ材の端部が嵌まり込む陥没穴を予め形成しておくと、バネ材の端部が陥没穴に嵌まり込んでインプラント材料が一層確実に固定されることになる。そして、生体内分解吸収性ポリマーで造られたバネ材は、金属製のバネにみられるような生体骨に対する為害性がなく、体液と接触して加水分解が進行し、インプラント材料本体が骨組織の成長によって骨欠損部に固定される頃には、生体内に吸収されて消失する。
本発明のインプラント材料において、インプラント材料本体の表面に治具の挟持片を嵌め込む凹部が形成され、該凹部からバネ材の端部がインプラント材料本体の表面を越えて突き出しているものは、バネ材の端部を押し込んでインプラント材料本体を挟持する治具の挟持片が、該凹部に嵌まり込んでインプラント材料本体の表面から外側に出ないので、骨欠損部の内面とインプラント材料本体の表面との間に挟持片の厚み分の隙間を設けなくても、インプラント材料を骨欠損部に補填することが可能となる。従って、骨欠損部の内面とインプラント材料本体の表面との隙間を小さくできるので、このわずかな隙間が成長する骨組織によって比較的短期間で埋められ、インプラント材料本体が該骨組織で囲繞、固定されるようになる。
本発明のインプラント材料は、前述のように、バネ材がインプラント材料本体を貫通してバネ材の両端部がインプラント材料本体の表面から突き出していてもよいし、また、バネ材がインプラント材料本体の表層部に埋め込まれてバネ材の一端部がインプラント材料本体の表面から突き出していてもよいが、後者はバネ材の個数が前者の二倍となって部品数が増えるので、前者の構成を採用する方が好ましい。
また、インプラント材料本体は、前述のように、非多孔質のバイオセラミックス焼結体、多孔質のバイオセラミックス焼結体、金属多孔体、バイオセラミックス粉粒を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの複合多孔体、のいずれであってもよいが、特に、バイオセラミックス粉粒を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの複合多孔体を用いると、後述するように該複合多孔体が骨欠損部の内面と早期に結合し、最終的に骨組織と全置換して骨欠損部に骨組織を再生できる利点がある。
以下、図面を参照して本発明の具体的な実施形態を詳述する。
図1は本発明の一実施形態に係るインプラント材料の斜視図、図2は図1のA−A線断面図である。図3〜図5は同インプラント材料の使用法を順次説明するもので、図3は骨欠損部に補填する前の同インプラント材料を治具の挟持片で挟持した状態を示す断面図、図4は治具の挟持片で挟持した同インプラント材料を骨欠損部に嵌め込んだ状態を示す断面図、図5は治具の挟持片を引き抜いて同インプラント材料を骨欠損部に補填した状態を示す断面図である。
このインプラント材料100は、図3〜図5に示すように、生体骨30の骨欠損部31を再建するための骨充填材として該骨欠損部31に補填されるものであって、図1,図2に示すように、ブロック状のインプラント材料本体10と、二つのバネ材20,20とで構成されている。
骨欠損部31に補填されるインプラント材料本体10は、生体活性なバイオセラミックス粉粒を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの複合多孔体からなるものであって、この複合多孔体は内部に連続気孔を有しており、複合多孔体の表面と気孔の内面にはバイオセラミックス粉粒の一部が露出している。この複合多孔体からなるインプラント材料本体10は、本実施形態では、骨欠損部31の形状にほぼ合致する略直方体形状に形成されており、図4に示すように、このインプラント材料本体10を治具40の挟持片41,41で挟持して骨欠損部31に嵌め込むときにインプラント材料本体10の表面と骨欠損部31の内面との間に挟持片41,41の挿入可能な隙間が確保されるように、インプラント材料本体10の上下寸法が骨欠損部31の上下寸法より少なくとも挟持片41,41の厚み寸法分だけ小さくなっている。尚、インプラント材料本体10の形状は、この実施形態のような略直方体形状に限定されるものではなく、骨欠損部の形状に応じて種々のブロック形状とされることは言うまでもない。
このインプラント材料本体10には、図2に示すように、該本体10を上下に貫通する二つのバネ材挿通用の貫通孔1a,1aが穿孔されている。そして、それぞれの貫通孔1aにはバネ材20が挿通されており、各バネ材20の両端部2a,2aがインプラント材料本体10の上下両面から突き出している。
インプラント材料本体10を構成する上記の複合多孔体は、次の方法(スプレー法)で作製されるものである。まず、揮発性溶媒に生体内分解吸収性ポリマーを溶解すると共にバイオセラミックス粉粒を混合して懸濁液を調製し、この懸濁液をスプレー等の手段で繊維化して繊維の絡み合った繊維集合体を形成する。次いで、この繊維集合体をメタノール、エタノール、イソプロパノール、ジクロロエタン(メタン)、クロロホルムなどの揮発性溶剤に浸漬して膨潤または半溶解状態とし、これを加圧して略直方体形状の多孔質の繊維融着集合体に成形し、この繊維融着集合体の繊維を収縮、融合させながら実質的に繊維状の形態を消失させてマトリクス化し、繊維間空隙が丸みを有する連続気孔となった多孔質マトリクスに形態変化させると共に、気孔内面や表面にバイオセラミックス粉粒の一部を露出させて、貫通孔1aのない略直方体形状の複合多孔体を得る。そして、最後にこの複合多孔体を切削加工(孔あけ加工)することにより貫通孔1a,1aを形成して、上記の複合多孔体を作製する。
複合多孔体の生体内分解吸収性ポリマーとしては、安全で、分解が比較的速く、多孔体となっても脆くない、非晶質または結晶と非晶の混在したポリ−D,L−乳酸、L−乳酸とD,L−乳酸の共重合体、乳酸とグリコール酸の共重合体、乳酸とp−ジオキサノンの共重合体、乳酸とエチレングリコールの共重合体、乳酸とカプロラクトンの共重合体などが適しており、これらは単独で、又は、二種以上混合して使用される。これらのポリマーは、繊維化による繊維集合体の形成し易さや、生体内での分解吸収の期間などを考慮すると、5万〜100万程度の粘度平均分子量を有するものが好ましく使用される。
また、バイオセラミックス粉粒としては、生体活性があり、生体内吸収性で骨組織と完全に置換され、良好な骨誘導能ないし骨伝導能と良好な生体親和性を有する、未仮焼かつ未焼成のハイドロキシアパタイト、ジカルシウムホスフェート、トリカルシウムホスフェート、テトラカルシウムホスフェート、オクタカルシウムホスフェート、カルサイト、セラバイタル、ジオプサイト、天然珊瑚等の粉粒が好ましく使用される。そして、これらの粉粒表面にアルカリ性の無機化合物や塩基性の有機物を付着させたものも使用可能である。これらの中でも、未仮焼かつ未焼成のハイドロキシアパタイト、トリカルシウムホスフェート、オクタカルシウムホスフェートは生体活性が極めて高く、骨誘導能ないし骨伝導能に優れ、為害性が低く、短期間で生体に吸収されるので、極めて好ましく使用される。
上記のバイオセラミックス粉粒は、生体内分解吸収性ポリマーへの分散性や生体への吸収性を考慮すると、30μm以下、好ましくは10μm以下、更に好ましくは0.1〜5μm程度の粒径を有するものが使用される。特に、0.1〜5μm程度の粒径を有するバイオセラミックス粉粒は、生体への吸収性が良好であることに加えて、上記のスプレー法で複合多孔体を製造する際に、形成される繊維を短く切断する恐れがないので好ましく使用される。
複合多孔体におけるバイオセラミックス粉粒の含有率は50〜90質量%であることが好ましく、かかる含有率の複合多孔体からなるインプラント材料本体10を骨欠損部31に補填すると、バイオセラミックス粉粒の骨誘導能ないし骨伝導能によって、骨組織が複合多孔体の内部まですみやかに誘導形成され、比較的短期間で複合多孔体と全置換するようになる。バイオセラミックス粉粒の含有率が50質量%を下回ると、複合多孔体が骨組織と全置換するのに要する期間が長くなり、90質量%を上回ると、前述のスプレー法で複合多孔体を作製する際に、バイオセラミックス粉粒を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの繊維が短く切れるという不都合を生じるので、いずれも好ましくない。
インプラント材料本体10を構成する前記複合多孔体は、その気孔率が50〜90%であって、連続気孔が気孔全体の50〜100%を占め、連続気孔の孔径が40〜600μmとなるように調整されたものであることが好ましい。気孔率、連続気孔の占める率、孔径などの調整は、前述のスプレー法で複合多孔体を作製する際に、繊維集合体の繊維密度、繊維の太さ、繊維集合体を加圧して多孔質の繊維融着集合体を成形するときの圧力などをコントロールすることによって行うことができる。また、前述のスプレー法で得られる複合多孔体は、上記の孔径が大きい連続気孔の他に、孔径が1μm以下の小気孔を連続気孔の気孔壁に備え、連続気孔の一部と小気孔の一部が連続したものであり、かかる小気孔が併存することも好ましい。
上記の気孔率、連続気孔の占める率、及び、孔径を備えた複合多孔体からなるインプラント材料本体10は、脆くなく、骨充填材として必要な初期の物理的強度を十分備えており、骨欠損部31に補填すると、複合多孔体の内部への体液や骨芽細胞の侵入が良好で、加水分解や骨組織の成長がすみやかに行われる。複合多孔体の気孔率が50%を下回り、連続気孔が気孔全体の50%を下回り、連続気孔の孔径が40μmよりも小さくなると、複合多孔体への体液や骨芽細胞の侵入が低下するため、複合多孔体の加水分解や骨組織の成長が遅くなり、複合多孔体が骨組織と全置換して骨欠損部31を再生するのに要する期間が長くなるので好ましくない。一方、複合多孔体の気孔率が90%を上回り、孔径が600μmよりも大きくなると、複合多孔体の物理的強度が低下して脆くなるので、骨充填材としては不適当である。連続気孔のより好ましい孔径は、100〜400μmである。
特に、孔径が1μm以下の小気孔の一部が大きい連続気孔の一部に連続していると、侵入する体液によって大きい連続気孔の内面と小気孔の内面との双方から加水分解が速やかに進行し、しかも、連続気孔を通じて侵入した骨芽細胞が小気孔に固定されて活発に増殖、分化が行われるので、骨組織が一層すみやかに再生される利点がある。つまり、小気孔の好ましい孔径の範囲は、骨伝導性と骨誘導性を考えると0.05〜1μm、より好ましい孔径の範囲は0.1〜1μmである。
上記の複合多孔体からなるインプラント材料本体10に形成される貫通孔1aは、バネ材20を挿通できる最小限の直径を有する孔であることが好ましい。この貫通孔1aは最終的には成長する骨組織で埋まることになるが、貫通孔1aの直径が大きくなるほど骨組織で埋まるまでの期間が長くなるので、上記のように最小限の直径として該期間をできるだけ短縮することが好ましい。貫通孔1aの具体的な直径はバネ材の外径や種類によって異なるが、本実施形態のようにバネ材20がコイルスプリングである場合は、そのコイル外径を考慮して貫通孔1aの直径を10mm以下、好ましくは8mm以下とするのがよく、また、バネ材が後述する直線部の両端にコイルスプリング部を有する形状記憶バネ材22である場合は、その直線部の線径(直径)を考慮して貫通孔1aの直径を1.5mm以下、好ましくは1mm以下とするのがよい。
インプラント材料本体10の貫通孔1aに挿通されるバネ材20は、生体内分解吸収性ポリマーからなる円筒型のコイルスプリングであって、図2に示すように、その両端部2a,2aがインプラント材料本体10の上下両面から突き出しており、長さ方向に圧迫されるとその方向に圧縮され、圧迫が解除されると元の長さに復元するコイルスプリングである。そして、図5に示すようにインプラント材料本体10を骨欠損部31に嵌め込んで補填したときには、コイルスプリング20の両端部2a,2aが骨欠損部31の上下内面に圧接して上下内面の凹凸に引っ掛かり、また、骨欠損部31の上下内面に陥没穴(不図示)が予め形成されている場合には、その陥没穴にコイルスプリング20の両端部2a,2aに嵌まり込んで、インプラント材料本体10を脱落しないように骨欠損部31に固定する役目を果たすものである。
このコイルスプリング20は、生体内分解吸収性ポリマーの延伸されたモノフィラメント1aを、一定のコイル平均径を有する円筒型のコイル状に成形したものであって、具体的に説明すると、溶融紡糸した生体内分解吸収性ポリマーのモノフィラメントを、その融点より低く且つ100℃以上の温度で2〜9倍に延伸して、直径が0.1mm以上、1.2mm未満のモノフィラメント1aとし、この延伸されたモノフィラメントを、そのガラス転移温度(Tg)以上、結晶化温度(Tc)以下(例えばポリ−D,L−乳酸など非晶性で結晶化温度がない場合は100℃以下)の温度で回転芯棒に巻き付けて急冷することにより得られたコイルスプリングである。
コイルスプリング20の材料となる生体内分解吸収性ポリマーとしては、生体に対して安全なポリ−L−乳酸、ポリ−D,L−乳酸、L−乳酸とD,L−乳酸の共重合体、乳酸とグリコール酸の共重合体、乳酸とp−ジオキサノンの共重合体、乳酸とエチレングリコールの共重合体、乳酸とカプロラクトンの共重合体のいずれか単独又は二種以上の混合物が使用される。これらのうち、結晶性のポリ−L−乳酸は、延伸して結晶化度を適度に高めることにより、強靱で圧縮強度が大きいコイルスプリング20を得ることができるので、特に好ましく使用される。また、ポリ−L−乳酸以外のポリマーは、分解が比較的速く、弾力性があって脆くない、非晶質又は結晶と非晶の混在したポリマーであるので、圧縮強度があまり大きくなく、生体内で比較的短期間で分解吸収される柔軟なコイルスプリングの材料として、或いは、後述する形状記憶バネ材22の材料として好適に使用される。ポリマーの粘度平均分子量(Mv)は、コイルスプリング20の強度や分解吸収の速さなどを考慮すると、ポリ−L−乳酸では5万〜40万程度、それ以外のものでは3万〜10万程度であることが好ましい。
コイルスプリング20を構成するモノフィラメントの直径は、生体内で使用することを考慮すると、上記のように0.1mm以上、1.2mm未満であることが好ましく、0.1mmより細くなるとコイルスプリング20の強度が不足し、1.2mmより太くなるとインプラント材料本体10の固定に不向きなコイル平均径の大きいコイルスプリングとなり、分解吸収に要する期間も長くなるなどの不都合が生じる。コイルスプリング20のモノフィラメントの更に好ましい直径は、0.3〜0.6mmである。
また、コイルスプリング20のモノフィラメントの延伸倍率は、強靱性を高めるために上記のように2〜9倍とすることが好ましく、2倍未満の延伸倍率では強靱性があまり向上せず、一方、延伸倍率が9倍より大きくなると、ポリマー分子や結晶が過度に配向してフィブリル化し、生体組織を傷つけたり炎症を起こしたりする心配が生じる。コイルスプリング20のモノフィラメントの更に好ましい延伸倍率は、3〜5倍である。
結晶性のポリ−L−乳酸からなるモノフィラメントを延伸すると結晶化度が高くなるが、結晶化度が高くなりすぎると、硬くて脆いモノフィラメントとなり、強靱なコイルスプリング20を得ることが困難になるので、結晶化度は75%以下にすることが好ましい。延伸倍率が上記のように9倍以下であれば、結晶化度は75%以下となる。更に好ましい結晶化度は60%以下である。
コイルスプリング20のばね指数(コイル平均径/モノフィラメントの直径)は3.5〜7に設定することが好ましく、ばね指数が3.5より小さいコイルスプリングは、硬くなりすぎてコイル長方向に強く圧縮すると折損し易くなる。一方、ばね指数が7より大きいコイルスプリングは、柔らかくなりすぎて自重でコイル長方向に伸縮するという不都合があり、また、コイル平均径が大きくなりすぎるので、インプラント材料本体10を固定するのに不向きなコイルスプリングとなる。
コイルスプリング20のコイルピッチは特に限定されないが、インプラント材料本体10を骨欠損部31に固定するコイルスプリング20は、コイル長方向にかなり大きく圧縮、復元する必要があるため、コイルピッチをモノフィラメントの直径の2〜3倍に設定することが好ましい。
上記のコイルスプリング20は、その両端部2a,2aがインプラント材料本体10の上下両面から治具40の挟持片41,41の厚み寸法よりも大きく突き出すような自然長を備えたもの、具体的には、両端部2a,2aがインプラント材料本体10の上下両面から1.5〜5mmほど突き出すような自然長を備えたものが好ましく使用される。両端部2a,2aがインプラント材料本体10の上下両面から1.5mmも突き出さないような自然長の短いコイルスプリング20は、インプラント材料本体10を骨欠損部31に充填したときに、コイルスプリング20の両端部2a,2aが骨欠損部31の上下内面に実質的に圧接して上下内面の凹凸に引っ掛かることが殆どなく、また、骨欠損部31の上下内面に陥没穴が形成されていても上面の陥没穴にコイルスプリング20の上端部2aが嵌まり込むことが殆どないので、インプラント材料本体10が骨欠損部31から脱落する恐れを解消することが難しい。一方、両端部2a,2aが多孔体1の上下両面から5mmを越えて突き出すような自然長の長いコイルスプリング20は、治具40の挟持片41,41でコイルスプリング20の両端部2a,2aを上下から圧縮して貫通孔1aに押し込みながらインプラント材料本体10を挟持する作業がし辛く、挟持するときにインプラント材料本体10から大きく突き出したコイルスプリング20の端部2aが曲がったり折れたりすることがあるので、やはり好ましくない。
上記のコイルスプリング20には、前述の生体活性なバイオセラミックス粉粒を吹き付けることによって生体活性を付与し、骨組織の伝導(誘導)形成を促進して早期に骨欠損部31の内面とスプリング端部2aとの結合を図ることが好ましい。バイオセラミックス粉粒の吹付けは、コイルスプリング20の少なくとも両端部2a,2aに行えばよいが、コイルスプリング20全体に行う方が好ましい。コイルスプリング20全体にバイオセラミックス粉粒を吹き付けると、骨組織がこのコイルスプリング20に導かれてインプラント材料本体10の貫通孔1aの内部にすみやかに誘導(伝導)形成されて、貫通孔1aが骨組織で再生される期間を短縮できる利点がある。
バイオセラミックス粉粒の吹付けは、例えば次の方法で行われる。コイルスプリング20全体に吹き付ける場合は、70〜100℃に加熱した閉鎖された空間にコイルスプリング20を設置すると共に、バイオセラミックス粉粒よりも細かい網目をもつ金属ネットの上にバイオセラミックス粉粒を載せて、コイルスプリング20の下側に設置する。そして、コイルスプリング20とバイオセラミックス粉粒が加熱された時点で、100〜130℃に加熱された空気をドライヤー等を用いて吹き付けると、バイオセラミックス粉粒はコイルスプリング20の表層に突き刺さって剥脱しないように付着する。必要ならばこの操作を何度か繰り返して、付着するバイオセラミックス粉粒の量を調節する。尚、表層に突き刺さらないで単に付着しているだけのバイオセラミックス粉粒は、エタノールや水などを用いて洗い流すことで、バイオセラミックス粉粒が容易に剥脱しない状態の吹付け処理が完了する。
一方、コイルスプリング20の両端部2a,2aにバイオセラミックス粉粒を吹付ける場合は、コイルスプリング20をインプラント材料本体1つの貫通孔1aに挿通し、その下側にバイオセラミックス粉粒を載せた金属ネットを設置して、上記と同様に加熱してからドライヤー等でバイオセラミックス粉粒をスプリング両端部2a,2aとその周囲に吹き付け、バイオセラミックス粉粒をスプリング両端部2a,2aの表層部に突き刺して付着させる。このようにすると、バイオセラミックス粉粒はスプリング両端部2a,2aの周囲のインプラント材料本体10の表面にも付着するが、このバイオセラミックス粉粒は骨組織の伝導(誘導)形成を促進してインプラント材料本体10と骨欠損部31との結合を速めるように作用するので、好都合である。
また、上記のコイルスプリング20は、バイオセラミックス粉粒の吹付けに代えて、生体活性なバイオセラミックス粉粒を含んだ生体内分解吸収性ポリマー複合体でコーティングすることも好ましい。このようにコーティングすると、生体内分解吸収性ポリマーの分解に伴って徐放されるセラミックス粉粒によって生体活性が助長、発現され、骨組織の伝導(誘導)形成が促進されて早期に骨欠損部31の内面とスプリング端部2aが結合する。このコーティングはコイルスプリング20の少なくとも両端部2a,2aに行えばよいが、コイルスプリング20全体にコーティングすると、骨組織がこのコイルスプリング20に導かれて貫通孔1bの内部にすみやかに誘導(伝導)形成され、貫通孔1bが骨組織で再生される期間を短縮できる利点がある。
コイルスプリング20をコーティングする手段としては、エタノール、ジクロロエタン(メタン)、クロロホルムなどの揮発性溶媒に生体内分解吸収性ポリマーを溶解すると共にバイオセラミックス粉粒を均一に混合して懸濁液を調製し、この懸濁液をコイルスプリング20の両端部2a,2a又は全体に塗布するか、或いは、スプレー(吹き付け)するか、或いは、この懸濁液にコイルスプリング20の両端部2a,2a又は全体を浸漬する、などの手段が採用される。
コーティング用の生体内分解吸収性ポリマーとしては、非晶質又は結晶と非晶の混在したポリ−D,L−乳酸、L−乳酸とD,L−乳酸の共重合体、乳酸とグリコール酸の共重合体、乳酸とp−ジオキサノンの共重合体、乳酸とエチレングリコールの共重合体、乳酸とカプロラクトンの共重合体などが適しており、これらは単独で、又は、二種以上混合して使用される。これらポリマーの分子量は限定されないが、コーティング膜の強度や分解吸収の速さなどを考慮すると、3万〜10万程度の粘度平均分子量を有するものが好ましく使用される。
生体内分解吸収性ポリマー複合体中のバイオセラミックス粉粒の含有率は50〜90体積%とすることが好ましく、この範囲内で含有させると、バイオセラミックス粉粒の骨伝導能ないし骨誘導能によって、速やかに骨組織がスプリング端部2aに伝導(誘導)形成され、骨欠損部31の内面と早期に結合されて固定される。バイオセラミックス粉粒の更に好ましい含有量は、60〜80体積%である。
以上のような構成のインプラント材料100は、次の要領で生体骨30の骨欠損部に嵌め込まれて脱落しないように補填される。まず、図3に示すように、治具40の先端の挟持片41,41で上下からインプラント材料100のコイルスプリング20を圧迫して、スプリング両端部2a,2aをインプラント材料本体10の貫通孔1aに押し込みながら、インプラント材料本体10を挟持する。そして、図4に示すように、インプラント材料本体10を治具40の挟持片41,41で挟持したまま生体骨30の骨欠損部31に挿入し、図5に示すように治具の挟持片を引き抜いてインプラント材料本体10を骨欠損部31に嵌め込む。
このようにインプラント材料本体10を骨欠損部31に嵌め込むと、図5に示すようにコイルスプリング20が復元、伸張し、スプリング両端部2a,2aが骨欠損部31の上下の内面に圧接する。この骨欠損部31は予め整復されているが、図3に示すように骨欠損部31の内面は完全な平面でなく、かなりの凹凸が存在しているため、骨欠損部31の上下の内面に圧接したスプリング両端部2a,2aは該凹凸に引っ掛かり、これによってインプラント材料本体10は脱落しないように骨欠損部31に固定されて補填される。従って、このインプラント材料100は固定信頼性に優れている。尚、骨欠損部31の内面にコイルスプリング20の両端部2a,2aが嵌まり込む陥没穴(不図示)を予め形成しておくと、スプリング両端部2a,2aが該陥没穴に嵌まり込んでインプラント材料本体10を一層確実に固定できるようになる。
骨欠損部31に充填されたインプラント材料本体10、即ち、バイオセラミックス粉粒を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの複合多孔体には、体液が表面から連続気孔を通って内部まですみやかに浸透し、複合多孔体の表面と内部の双方から生体内分解吸収性ポリマーの加水分解が進行する。そして、この加水分解に伴って複合多孔体の表面に露出するバイオセラミックス粉粒により骨組織が複合多孔体の表層部に誘導(伝導)形成されて複合多孔体(インプラント材料本体10)が骨欠損部31の内面と早期に結合すると共に、更に、気孔内面に露出するバイオセラミックス粉粒により骨組織が複合多孔体の内部まで誘導(伝導)形成されて最終的に複合多孔体と全置換し、複合多孔体(インプラント材料本体10)が消失して骨欠損部31に骨組織が再生される。
また、コイルスプリング20の両端部2a,2aに生体活性なバイオセラミックス粉粒が吹き付けられたり、コイルスプリング20の両端部2a,2aが生体活性なバイオセラミックス粉粒を含んだ生体内分解吸収性ポリマー複合体でコーティングされている場合は、既述したように、コイルスプリング20の両端部2a,2aに骨組織がすみやかに伝導(誘導)形成されて、早期にスプリング両端部2a,2aが骨欠損部31の内面と結合する。そして、コイルスプリング20全体にバイオセラミックス粉粒が吹き付けられたり、コイルスプリング20全体が生体内分解吸収性ポリマー複合体でコーティングされている場合は、スプリング両端部2a,2aが早期に骨欠損部31の内面と結合することに加えて、骨組織がコイルスプリング20に導かれて比較的短期間でインプラント材料本体10の貫通孔1aに伝導(誘導)形成されるので、貫通孔1aが骨組織によって埋まるまでの期間が短縮される。
上記実施形態のインプラント材料100は、2つの貫通孔1aを形成して2つのコイルスプリング20を挿通しているが、1つ又は3つ以上の貫通孔1aを形成して1つ又は3つ以上のコイルスプリング20を挿通してもよいことは言うまでもない。
図6は本発明の他の実施形態に係るインプラント材料101の断面図である。
このインプラント材料101は、インプラント材料本体11の上面側及び下面側の表層部に有底の穴部1bを2つずつ形成し、バネ材としてコイル長が短い円筒型のコイルスプリング21をそれぞれの穴部1bに途中まで埋め込んで、それぞれのコイルスプリング21の端部2aをインプラント材料本体11の上下両面から突出させたものである。
このインプラント材料101のインプラント材料本体11は、前述したインプラント材料100のインプラント材料本体10と同様にバイオセラミックス粉粒を含有した生体内分解吸収性ポリマーの複合多孔体からなるものであり、コイルスプリング21も前述したコイルスプリング20と同様に生体内分解吸収性ポリマーからなるものであるから、これらについての重複する説明は省略する。
このようなインプラント材料101も、前述したインプラント材料100と同様の作用効果を奏し、固定信頼性を有するものであることは言うまでもない。
尚、バネ材として、上記の円筒型のコイルスプリング21に代えて、一端から他端に近づくほどコイル径が徐々に大きくなる円錐型の短いコイルスプリングを使用し、インプラント材料本体11の表層部の各穴部1bに該円錐型のコイルスプリングを埋設して、そのコイル径の小さい方のスプリング端部をインプラント材料本体11の表面から突出させるようにしてもよい。
本発明のインプラント材料は、前述した実施形態のインプラント材料100のようにバネ材(コイルスプリング)20がインプラント材料本体10を上下に貫通し、バネ材20の両端部2a,2aがインプラント材料本体10の上下両面から突き出していてもよいし、また、上述した実施形態のインプラント材料101のようにバネ材(短いコイルスプリング)21がインプラント材料本体11の上面側及び下面側の表層部に埋め込まれて、バネ材21の端部2aがインプラント材料本体11の上下両面から突き出していてもよいが、後者のインプラント材料101は、バネ材21の個数が前者の二倍となって部品数が増えるので、前者のインプラント多孔材料100のようにバネ材20をインプラント材料本体10に貫通させる方が好ましい。
図7は本発明の更に他の実施形態に係るインプラント材料の斜視図、図8は図7のB−B線断面図、図9は骨欠損部に補填する前の同インプラント材料を治具の挟持片で挟持した状態を示す断面図、図10は同インプラント材料を骨欠損部に補填した状態を示す断面図である。
このインプラント材料102は、ブロック状のインプラント材料本体12の上下両面に、治具40の挟持片41,41を嵌め受ける一対の浅い凹部1c,1cが形成されており、これらの凹部1c,1cを上下に連通するバネ材挿通用の貫通孔1aが穿孔されている。そして、この貫通孔1aにバネ材として円筒型のコイルスプリング20が挿通され、その両端部2a,2aが上下の凹部1c,1cからインプラント材料本体12の上下両面を越えて突き出している。
インプラント材料本体12は、前述したインプラント材料100のインプラント材料本体10と同様にバイオセラミックス粉粒を含有した生体内分解吸収性ポリマーの複合多孔体からなるものであり、コイルスプリング20も前述したインプラント材料100のコイルスプリング20と同様に生体内分解吸収性ポリマーからなるものであるから、これらについての重複する説明は省略する。
このようなインプラント材料102は、図9に示すように、治具40の先端の挟持片41,41によって上下からコイルスプリング20を圧迫しながら、インプラント材料本体12を上下の凹部1c,1cのところで挟持し、そのまま生体骨30の骨欠損部31に挿入して挟持片41,41を引き抜くことにより、図10に示すようにインプラント材料本体12の表面が骨欠損部31の内面に実質的に接触した状態で骨欠損部31に補填され、復元、伸張したコイルスプリング20の両端部2a,2aが骨欠損部31の上下内面の凹凸に引っ掛かって骨欠損部31から脱落しないように固定される。特に、このインプラント材料102は、治具40の挟持片41,41でインプラント材料本体12を挟持したとき、挟持片が凹部1c,1cに嵌まり込み、インプラント材料本体12の凹部を除いた表面と骨欠損部31の内面との間に隙間が実質的に生じないようにインプラント材料本体12を骨欠損部31に補填できるため、骨組織が早期にインプラント材料本体12の表面に誘導(伝導)形成されて直接結合固定される利点がある。
図11は本発明の参考形態に係るインプラント材料の断面図、図12は同インプラント材料に用いられる形状記憶バネ材の説明図であって、(a)は形状復元前の形状を示し、(b)は形状復元後の形状を示すものである。
このインプラント材料103は、インプラント材料本体13の上面側及び下面側の表層部に穴部1b,1bが形成され、これら上下の穴部1b,1bを連通する直径の小さい貫通孔1dが穿孔されている。そして、形状記憶バネ材22の直線部22aが上記貫通孔1dに挿通されると共に、形状記憶バネ材22の両端のコイルスプリング部22b,22bが上下の穴部1b,1bに半分ほど埋め込まれ、コイルスプリング部22b,22bの端部がインプラント材料本体13の上下両面から突き出している。
この形状記憶バネ材22は、形状復元温度に加熱することによって、図12の(a)に示す直線形状から、記憶していた図12の(b)に示す直線部22aの両端にコイルスプリング部21a,21aを有する形状に復元させた生体内分解吸収性ポリマーのバネ材である。即ち、この形状記憶バネ材22は、前述の生体内分解吸収性ポリマー(ポリ−L−乳酸を除く)を融点以上で押出して得られるモノフィラメントの両端部を、100〜130℃に加熱した金属製の丸棒に巻き付けて、図12の(b)に示すような直線部22aの両端にコイルスプリング部22b,22bを有するバネ形状に成形し、そのまま常温まで冷却して該バネ形状を記憶させた後、これを上記ポリマーのガラス転移点より少し高い温度で図12の(a)に示す直線形状に引き延ばしてそのまま常温まで冷却して直線形状を固定し、この直線形状のものをインプラント材料本体13の直径が小さい貫通孔1dに挿通して上記の引き延ばし温度よりも若干高い形状復元温度に加熱することによって、記憶させていた図12の(b)に示すバネ形状に復元させ、直線部22aの両端のコイルスプリング部22b,22bの端部がインプラント材料本体13の上下両面から突き出すように該コイルスプリング部22b,22bを穴部1b,1bに収容して取付けたものである。このような形状記憶バネ材22は、前記治具の挟持片で長さ方向に圧迫されると、直線部22aの両端のコイルスプリング部22b,22bが押し縮められてバネ材22の全長が短縮し、圧迫が解除されると、両端のコイルスプリング部22b,22bが復元して前記骨欠損部の内面に圧接し、該内面の凹凸に引っ掛かってインプラント材料103を固定できるようになっている。
尚、このインプラント材料103のインプラント材料本体13は、前述したインプラント材料100のインプラント材料本体10と同様にバイオセラミックス粉粒を含有した生体内分解吸収性ポリマーの複合多孔体からなるものであるから、説明を省略する。
このようなインプラント材料103は、前述したインプラント材料100,101,102と同様に固定信頼性を有することに加えて、骨欠損部へ補填する前の取り扱い中に形状記憶バネ材22が抜け落ちる心配がなく、また、貫通孔1dの直径が小さいので貫通孔1dが早期に骨組織で埋まるという利点もある。
以上の実施形態に係るインプラント材料100,101,102,103は、インプラント材料本体10,11,12,13がいずれも、生体活性なバイオセラミックス粉粒を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの複合多孔体からなるものであるが、インプラント材料本体10,11,12,13はそのような複合多孔体に限定されるものではなく、非多孔質のバイオセラミックス焼結体や、多孔質のバイオセラミックス焼結体や、金属多孔体などからなるものであってもよい。
非多孔質あるいは多孔質のバイオセラミックス焼結体の好ましい例としては、ハイドロキシアパタイト(HA)やα−またはβ−トリカルシウムホスヘェート(α−またはβ−TCP)などの非多孔質焼結体や多孔質焼結体を挙げることができ、また、金属多孔体の好ましい例としては、チタンやタンタルなどの多孔体を挙げることができる。
本発明の一実施形態に係るインプラント材料の斜視図である。 図1のA−A線断面図である。 骨欠損部に補填する前の同インプラント材料を治具の挟持片で挟持した状態を示す断面図である。 治具の挟持片で挟持した同インプラント材料を骨欠損部に嵌め込んだ状態を示す断面図である。 治具の挟持片を引き抜いて同インプラント材料を骨欠損部に補填した状態を示す断面図である。 図6は本発明の他の実施形態に係るインプラント材料101の断面図である。 本発明の更に他の実施形態に係るインプラント材料の斜視図である。 図7のB−B線断面図である。 骨欠損部に補填する前の同インプラント材料を治具の挟持片で挟持した状態を示す断面図である。 同インプラント材料を骨欠損部に補填した状態を示す断面図である。 本発明の参考形態に係るインプラント材料の断面図である。 同インプラント材料に用いられる形状記憶バネ材の説明図であって、(a)は形状復元前の形状を示し、(b)は形状復元後の形状を示すものである。
符号の説明
100,101,102,103 インプラント材料
10,11,12,13 インプラント材料本体
1a 貫通孔
1b 穴部
1c 凹部
1d 直径の小さい貫通孔
20,21 コイルスプリング(バネ材)
22 形状記憶バネ材
2a バネ材の端部
22a 形状記憶バネ材の直線部
22b 形状記憶バネ材のコイルスプリング部
30 生体骨
31 骨欠損部
40 治具
41 治具の挟持片

Claims (6)

  1. 骨欠損部に補填されるブロック状のインプラント材料本体と、
    端部がインプラント材料本体の表面から突き出した状態でインプラント材料本体に埋め込まれ、長さ方向に圧迫されるとその方向に圧縮され、圧迫が解除されると元の長さに復元する、生体内分解吸収性ポリマーで造られたバネ材と、からなり、
    上記バネ材が生体内分解吸収性ポリマーで造られたコイルスプリングである骨欠損部への固定信頼性を有するインプラント材料。
  2. バネ材がインプラント材料本体を貫通し、バネ材の両端部がインプラント材料本体の表面から突き出している請求項1に記載のインプラント材料。
  3. バネ材がインプラント材料本体の表層部に埋め込まれ、バネ材の一端部がインプラント材料本体の表面から突き出している請求項1に記載のインプラント材料。
  4. インプラント材料本体の表面に治具の挟持片を嵌め込む凹部が形成され、この凹部からバネ材の端部がインプラント材料本体の表面を超えて突き出している請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のインプラント材料。
  5. バネ材の生体内分解吸収性ポリマーが、ポリ−L−乳酸、ポリ−D,L−乳酸、L−乳酸とD,L−乳酸の共重合体、乳酸とグリコール酸の共重合体、乳酸とp−ジオキサノンの共重合体、乳酸とエチレングリコールの共重合体、乳酸とカプロラクトンの共重合体のいずれか単独又は二種以上の混合物である請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のインプラント料。
  6. インプラント材料本体が、非多孔質のバイオセラミックス焼結体、多孔質のバイオセラミックス焼結体、金属多孔体、バイオセラミックス粉粒を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの複合多孔体、のいずれかである請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のインプラント材料。
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