JP5267835B2 - 燃料電池システム及び燃料電池システムのインピーダンス測定方法 - Google Patents

燃料電池システム及び燃料電池システムのインピーダンス測定方法 Download PDF

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Description

本発明は、燃料電池システム及び燃料電池システムのインピーダンス測定方法に係り、特に、燃料電池の動作状態を検出するために、そのインピーダンスの測定を可能にした燃料電池システム及び燃料電池システムのインピーダンス測定方法に関する。
燃料電池の出力は、燃料電池の内部状態、例えば、電解質膜の湿潤度の影響を受けることが知られている。具体的には、燃料電池の内部水分量が少なく電解質膜が乾燥すると、内部抵抗が大きくなって燃料電池の出力電圧が低下し、一方、燃料電池の内部水分量が過剰になって電極が水分で覆われると、反応物質の拡散が阻害されて、燃料電池の出力電圧が低下する。
特に、複数のセルが積層された燃料電池スタックにおいては、燃料電池スタックの内部水分量が過剰になって反応物質の拡散が阻害されると、燃料ガス出口側のセルの電圧が低下することから、燃料ガス出口側のセルの電圧低下を検出することで、燃料電池の電圧低下をいち早く検出するようにしたものが提案されている(特許文献1参照)。
また、電解質膜の湿潤度は、燃料電池の複素インピーダンスと相関があることから、従来、燃料電池の出力に交流信号を印加し、電圧に対する電流の振幅比と位相のずれの両方を検出することにより、複素インピーダンス(以下「交流インピーダンス」という。)を演算し、燃料電池の動作状態を監視することが行われていた。
例えば、燃料電池スタックの一部のセルの含水量をインピーダンスで検出して、燃料電池の含水量を適切に制御するようにしたものが提案されている(特許文献2参照)。
特開2002−313396号公報
特開2003−297408号公報
上記従来技術によれば、燃料電池スタックの一部のセルの電圧低下を検出することで、燃料電池スタック内部の含水量の増加に伴う異常を検出したり、燃料電池スタックの一部のセルのインピーダンスを測定することで、燃料電池スタック内部の含水量を把握したりすることができる。
しかし、燃料電池スタック内部の含水量を適切に制御するに際して、セルの含水量と検出されるインピーダンスとの関係曲線は、セルの含水量が低い領域で急激に立ち上がり、インピーダンスが変化する一方、含水量が適正な領域ではインピーダンスの変化が緩慢である。よって、インピーダンス測定による含水量推定の精度は、平均的なセルの含水量(スタック中のセルごとの含水量の平均値)が適正な領域では低く、含水量が低下して燃費や出力に影響が出る乾燥領域では高くなる傾向にある。このため、含水量が適正に制御されている平均的なセルのインピーダンスを測定し、測定されたインピーダンスに基づく含水量推定を行っても推定精度が悪い可能性がある。
また、ウエット(湿潤状態)になりやすいセルの含水量を基準に燃料電池スタック全体の含水量を制御すると、燃料電池スタック全体が乾燥気味なることが危惧される。
そこで本発明は、インピーダンス計測により燃料電池スタック全体の含水量の最適値を正確に把握することを目的とするものである。
前記課題を解決するために、本発明は、燃料電池スタックの含水量を交流インピーダンス計測により推定する燃料電池システムであって、該燃料電池スタックのうち、予め特定された相対的に乾燥しやすい特定セルの交流インピーダンスを計測し、計測された特定セルの交流インピーダンスに基づいて当該燃料電池スタックの平均的な含水量を推定することを特徴とする。
上記課題を解決するために、本発明は、燃料電池スタックの含水量を交流インピーダンス計測により推定する燃料電池システムであって、燃料電池スタックを構成する複数のセルのうち、予め特定された相対的に乾燥しやすい特定セルの交流インピーダンスを計測するインピーダンス計測手段と、計測された特定セルの交流インピーダンスに基づいて当該燃料電池スタックの平均的な含水量を推定する平均含水量推定手段と、を備え、平均含水量推定手段は、特定セルの交流インピーダンスまたは含水量に対応する燃料電池スタックの平均的な交流インピーダンスまたは含水量の対応関係を予め記憶しておき、対応関係を参照して燃料電池スタックの平均的な含水量を推定することを特徴とする。
係る構成によれば、予め特定された相対的に乾燥しやすい特定セルに対し交流インピーダンスを計測するので、特定セルの交流インピーダンス、ひいては含水量は比較的正確に推定できる。そして当該測定結果に基づいて当該燃料電池スタックの平均的な含水量を推定するようにしたため、精度の高い交流インピーダンスの測定結果に基づき平均的なセルの膜内の含水量の最適値を正確に把握することができる。この場合、推定結果を基に燃料電池スタック全体の含水量を制御することで、燃料電池スタック全体が乾燥気味になるのを防止することができる。
係る構成によれば、特定セル交流インピーダンス計測手段により、相対的に乾燥しやすい特定セルの交流インピーダンスが乾燥領域において正確に計測され、平均含水量推定手段により、特定セル交流インピーダンス計測手段により計測された正確な交流インピーダンスに基づいて当燃料電池スタックの平均的な含水量が推定するようにしたため、精度の高い交流インピーダンスの測定結果に基づき平均的なセルの膜内の含水量の最適値を正確に把握することができる。この場合、この推定結果を基に燃料電池スタック全体の含水量を制御することで、燃料電池スタック全体が乾燥気味になるのを防止することができる。
係る構成によれば、相対的に乾燥しやすい特定セルのインピーダンスと燃料電池スタックの平均的なインピーダンスまたは含水量との関係、または特定されたインピーダンスに基づき推定された含水量と燃料電池システムの平均的なインピーダンスまたは含水量との関係が把握されているので、特定セルのインピーダンスが正確に測定されれば燃料電池スタックの平均的な含水量も正確に推測することが可能となる。
好適には、前記特定セルは、前記燃料電池のカソード極(陽極)側に配置されたセルから選択される。ここで「カソード極側に配置されたセル」とはカソード極側の最端部のセルのみならず最端部のセルにおける含水量に近い含水量を示すセルをも含む概念である。
燃料電池システムを構成するに際しては、以下の要素を付加することができる。
好適には、特定セルは、燃料電池のカソード極(陽極)側に配置されたセルから選択される。ここで「カソード極側に配置されたセル」とはカソード極側の最端部のセルのみならず最端部のセルにおける含水量に近い含水量を示すセルをも含む概念である。
好適には、前記特定セルは、撥水ペースト塗布量を相対的に減らしたセルから選択される。
好適には、燃料電池スタックは、撥水ペーストの塗布量を相対的に減らしたセルを備え、特定セルは、撥水ペースト塗布量を相対的に減らしたセルから選択される。
好適には、前記特定セルは、セルのエア流路入口−出口間の圧損を相対的に下げたセルから選択される。
好適には、燃料電池スタックは、エア流路入口−出口間の圧損を相対的に下げたセルを備え、特定セルは、セルのエア流路入口−出口間の圧損を相対的に下げたセルから選択される。
好適には、推定された前記燃料電池の平均的な含水量に基づいて前記燃料電池の平均的な含水量を適正範囲に維持する含水量制御手段を備える。
係る構成によれば、推定された燃料電池の含水量は精度が高いので、この含水量を参照値として燃料電池の含水量を制御することで、真の適正範囲に含水量を維持させることが可能となる。
例えば、前記含水量制御手段は、前記燃料電池への酸化ガス供給量、前記燃料電池内部の酸化ガス圧力、および前記燃料電池の目標温度のうちいずれか1以上を制御可能に構成されている。
係る構成によれば、これらの制御要素はいずれもセルの電解質膜における水分量に影響を与えるので、これらの制御要素の1以上を制御することで、燃料電池の含水量を目標とする適正範囲に効率的に収束させることが可能である。
また、本発明は、燃料電池スタックの含水量を交流インピーダンス計測により推定する燃料電池システムのインピーダンス測定方法であって、該燃料電池スタックのうち、予め特定された相対的に乾燥しやすい特定セルの交流インピーダンスを計測する交流インピーダンス計測ステップと、前記交流インピーダンス計測ステップで計測された特定セルの交流インピーダンスに基づいて推定された含水量を、当該燃料電池スタックの平均的な含水量として推定する平均含水量推定ステップと、を有することを特徴とする。
また、本発明は、燃料電池スタックの含水量を交流インピーダンス計測により推定する燃料電池システムのインピーダンス測定方法であって、燃料電池スタックのうち、予め特定された相対的に乾燥しやすい特定セルの交流インピーダンスを計測する交流インピーダンス計測ステップと、交流インピーダンス計測ステップで計測された特定セルの交流インピーダンスに基づいて推定された含水量を、当該燃料電池スタックの平均的な含水量として推定する平均含水量推定ステップと、を有し、平均含水量推定ステップでは、予め記憶されていた、特定セルの交流インピーダンスまたは含水量に対応する燃料電池スタックの平均的な交流インピーダンスまたは含水量の対応関係を参照して燃料電池スタックの平均的な含水量を推定することを特徴とする。
本発明によれば、予め特定された相対的に乾燥しやすい特定セルの交流インピーダンスを計測するので、特定セルの交流インピーダンス、ひいては含水量は比較的正確に推定でき、精度の高い交流インピーダンスの測定結果に基づき平均的なセルの膜内の含水量の最適値を正確に把握することができる。
次に本発明を実施するための好適な実施形態を、図面を参照しながら説明する。
本発明の実施形態は、電気自動車に搭載するハイブリッド燃料電池システムに本発明を適用したものである。以下の実施形態は本発明の適用形態の単なる例示に過ぎず、本発明を限定するものではない。
この実施形態は、前記燃料電池システムにおける燃料電池スタックの含水量を交流インピーダンス計算により推定する際に、予め特定された相対的に乾燥しやすい特定セルの交流インピーダンスを計測し、計測された交流インピーダンスに基づいて推定された含水量を、当該燃料電池スタックの平均的な含水量として推定するように構成するものである。
図1は、本発明の実施形態1に係る燃料電池システムの電気系における全体構成を示す構成図を示す。
図1に示す燃料電池システムの電気系は、燃料電池100と、燃料電池100にアノードガスである水素ガスを供給するアノードガス供給系1と、燃料電池100にカソードガスである空気を供給するカソードガス供給系2と、本発明に係るインピーダンス測定方法を実行する制御部3と、インピーダンスの被測定対象となる電力系4と、燃料電池100内部に冷却液を循環させる冷却液循環系5とから構成されている。
燃料電池100は、セル(単セル)を複数積層したスタック構造を備えている。各セルは、MEA(Membrane Electrode Assembly)と呼ばれる発電体を、水素ガス、空気、冷却水の流路を有するセパレータ一対で挟み込んだ構造をしている。MEAは高分子電解質膜をアノード極(陰極)及びカソード極(陽極)の二つの電極で挟み込んだ構造をしている。アノード極は燃料極用触媒層を多孔質支持層上に設けて構成され、カソード極は空気極用触媒層を多孔質支持層上に設けて構成される。その他、燃料電池の形態として、リン酸型、溶融炭酸塩型等を用いることが可能である。
燃料電池100は水の電気分解の逆反応を起こすものであり、アノード極(陰極)側にはアノードガス供給系1からアノードガスである水素ガスが供給される。カソード極(陽極)側にはカソードガス供給系2から酸素を含んだカソードガスである空気が供給される。アノード極側では式(1)のような反応を、カソード極側では式(2)のような反応を生じさせて電子を循環させ電流を流すものである。
2 → 2H++2e- …(1)
2H++2e-+(1/2)O2 → H2O …(2)
アノードガス供給系1としては、水素ガス供給源としての水素タンク10、アノードガス供給路11、アノードオフガス排出路12を備える。その他、図示しないが、水素ガスを流通させるための水素ポンプ、水素ガスの管理制御のために必要な元弁や調整弁、遮断弁、逆止弁、気液分離器等を備えていてもよい。
水素タンク10には高圧の水素ガスが充填されている。水素供給源としては高圧水素タンクの他に、水素吸蔵合金を用いた水素タンク、改質ガスによる水素供給機構、液体水素タンク、液化燃料タンク等種々のものを適用可能である。アノードガス供給路11は、高圧の水素ガスを供給する配管であり、途中に図示しない調圧弁(レギュレータ)等を備えていてもよい。アノードガス供給路11から供給された水素ガスは、燃料電池100内において、マニホールド経由で各単セルのアノード極側に供給され、MEAのアノードにおいて電気化学反応を生じてからアノードオフガス(水素オフガス)として排出される。アノードオフガス排出路12は、燃料電池100から排出されたアノードオフガスを排出する経路であり、循環経路を形成していてもよい。循環経路を形成させるには、図示しない逆止弁やエジェクタを介して、再びアノードガス供給路11にアノードオフガスを戻すように構成される。
カソードガス供給系2は、コンプレッサ20、カソードガス供給路21、カソードオフガス排出路22、調圧バルブ23を備える。その他、図1では図示しないが、カソードガスである空気の湿度を制御するための加湿器、カソードオフガス(空気オフガス)を除去する気液分離器、アノードオフガスをカソードオフガスと混合するための希釈器、消音器等を備えていてもよい。
コンプレッサ20は、本発明の酸化ガス供給量を制御する要素であり、制御部3からのコンプレッサ制御信号CCOMPに基づいた回転数で回転することによりエアクリーナ等から取り入れられた空気を圧縮し、空気量や空気圧を変更し、燃料電池100のカソード極側に供給するものである。カソードガス供給路21から供給された空気は、燃料電池100内において、水素ガスと同じくマニホールド経由で各単セルのカソード極側に供給され、MEAのカソードにおいて電気化学反応を生じてからカソードオフガスとして排出される。燃料電池100から排出されたカソードオフガスは、アノードオフガスと希釈されてから排出される。
調圧バルブ23は、カソードオフガス排出路22におけるカソードオフガス流量を制限するレギュレータであり、本発明の燃料電池内部の酸化ガス圧力を制御する要素として機能する。調圧バルブ23は、制御部3からの調圧バルブ制御信号CAPに応じた開度に制御される。調圧バルブ23のバルブ開度を制御することで、燃料電池100の酸化ガス(エア)背圧、すなわち燃料電池100の内部エア圧力が制御される。圧力センサ39は、燃料電池100のカソードオフガス排出路22における燃料電池100のカソードオフガスの出口圧力を計測し、圧力検出信号SPとして制御部3に出力する。
電力系4は、バッテリ40、DC−DCコンバータ41、トラクションインバータ42、トラクション(車両走行用)モータ43、補機インバータ44、高圧補機45、バッテリコンピュータ46、電流センサ47、電圧センサ48、逆流防止ダイオード49、セルモニタ50等を備えている。
バッテリ40は、充放電可能な二次電池である。バッテリとしては、ニッケル−水素電池等、様々な種類の二次電池を用いることができる。二次電池の代わりに、充放電が可能な蓄電装置、例えばキャパシタを用いることが可能である。バッテリ40は、一定電圧で発電するバッテリ−ユニットを複数積層し直列接続することによって高電圧を出力可能とすることができる。
バッテリコンピュータ46は、バッテリ40の出力端子に設けられており、制御部3と通信可能になっている。バッテリコンピュータ46は、バッテリ40の充電状態を監視し、バッテリが過充電や過放電に至らない適正な充電範囲内に維持するとともに、万が一バッテが過充電や過放電等の状態になったら制御部3に通知するようになっている。
DC−DCコンバータ41は、一次側と二次側との間で電圧の昇圧/降圧をして電力を流通させるものである。例えば、一次側のバッテリ40の出力電圧を、二次側の燃料電池100の出力電圧にまで昇圧して、トラクションモータ43や高圧補機45等の負荷装置に電力を供給する。逆に、二次側において燃料電池100の余剰電力や負荷装置からの回生電力を、降圧して一次側のバッテリ40に充電するために通過させる。
特にDC−DCコンバータ41は、制御部3からのコンバータ制御信号CCONVに基づいて燃料電池側の電力線電圧を制御可能になっている。このコンバータ制御信号CCONVは、DC−DCコンバータ41の出力電圧を、所定の目標電圧を中心に所定の振幅で正弦波振動させるための重畳信号を含んでいる。この重畳信号は、好ましくは高低二種類の周波数成分を含むように構成されている。燃料電池は、電解質膜の保湿量等の内部状態に応じて、インピーダンスの周波数特性が変化するものであるため、最低二つの異なる周波数におけるインピーダンスを測定することにより、電解質膜の残存水分量を検出可能だからである。例えば、300Hz前後の周波数を高周波交流信号、10Hz以下の周波数を低周波交流信号とすることで、燃料電池の内部状態を類推可能となる。
トラクションインバータ42は直流電流を三相交流に変換し、トラクションモータ43に供給するものである。トラクションモータ43は例えば三相モータであり、当該燃料電池システムが搭載される自動車の主動力源である。
補機インバータ44は、高圧補機45を駆動するための直流−交流変換手段である。高圧補機45は、コンプレッサ20、水素ポンプ、冷却系のモータ類等の燃料電池システムの運転に必要な各種モータ類である。
電流センサ47は、DC−DCコンバータ41の二次側の電流を検出し、電流検出信号Siとして制御部3へ供給することが可能になっている。電圧センサ48は、二次側の電圧を検出し、電圧検出信号Seとして制御部3へ供給することが可能になっている。
セルモニタ50は、燃料電池100の特定セル、例えば、燃料電池スタックを構成するセル群C1〜Cnのうち予め特定された相対的に乾燥しやすい特定セルC1の電流と電圧を検出し、検出した電流を電流検出信号Saとして制御部3へ供給し、検出した電圧を電圧検出信号Svとして制御部3へ供給することが可能になっている。なお相対的に乾燥しやすい特定セルを複数設定し、セルモニタ50がそれら複数の特定セルの電流と電圧とを検出するように構成してもよい。
制御部3は、CPU(中央処理装置)、RAM、ROM、インターフェース回路等を汎用コンピュータとしての構成を備えている。制御部3は、内蔵ROM等に格納されているソフトウェアプログラムを順次実行することにより、主としてアノードガス供給系1、カソードガス供給系2、電力系4を含む燃料電池システム全体を制御する他、当該燃料電池システムにおいて本発明のインピーダンス測定方法を実行させることが可能になっている。
具体的に制御部3は、以下の幾つかの動作ブロックに分割されている。特にインピーダンスの測定に関連するブロックとして、フィルタ30、31、FFT処理部32、33、補正処理部34、インピーダンス解析部35、判断部36、記憶装置37を備えている。
フィルタ30及び31は、バンドパスフィルタであり、電流検出信号Saと電圧検出信号Svとを入力し、DC−DCコンバータ41によって電力線に重畳された周波数成分のみを通過させるものである。フィルタ30は、セルモニタ50で検出された電流検出信号Saのうち、インピーダンス測定に係る周波数成分のみを通過させる。フィルタ31は、セルモニタ50で検出された電圧検出信号Svのうち、インピーダンス測定に係る周波数成分のみを通過させる。
FFT処理部32及び33は、電流検出信号Saや電圧検出信号Svに対し高速フーリエ変換演算を行い、測定周波数成分における電流検出信号Saや電圧検出信号Svをそれぞれ実部と虚部(ai+jbi、ae+jbe)に分離する。
インピーダンス解析部35は、FFT処理された電圧検出信号と電流検出信号とに基づいてインピーダンスX(aX+jbX)を算出し、複素平面上での原点からの距離(実効値)r(=√((aX)2+(bX)2)と位相角θ(=tan-1(b/a))とを求め、印加された周波数の交流信号における交流インピーダンスを求めるものである。
ここで補正処理部34は、フィルタ30及び31のフィルタ特性に応じて生じる位相遅れやゲイン変動を補正するものである。補正処理部34は、予め測定しているフィルタ30及び31の位相遅れ及びゲイン変動に基づき、FFT処理部32及び33における実部と虚部の係数(ai、bi、ae、be)の補正を行う。この補正処理により、フィルタ特性に応じて生じる位相遅れやゲイン変動を取り除いた実際の電圧検出信号及び電流検出信号が得られるのである。
判断部36は、インピーダンス解析部35において求められた実効値と位相角、または、二つの異なる周波数f1及びf2における複素平面における実部と虚部(aXf1、bXf1)(aXf2、bXf2)を記憶装置37に記憶させる。燃料電池100の抵抗過電圧と拡散過電圧を求めるには、複素平面における二つの点に基づき幾何学的な計算により、複素平面におけるインピーダンス曲線を求め、周波数がゼロとした場合の抵抗値を電解質膜の抵抗とし、周波数が無限大とした場合の抵抗値を活性化過電圧と拡散過電圧の抵抗換算値とする。
なお、重畳させる交流信号の周波数を変化させながらそれぞれについてインピーダンスを求め記憶させていくように構成するならば、特殊な幾何演算をすることなく、インピーダンス曲線を求めることができる。
ここで、制御部3は、このインピーダンス測定結果に基づきこの燃料電池システムの各種制御をするように構成されており、運転時に燃料電池内の含水量を最適値範囲に維持するための含水量制御処理も実施可能に構成されている。
冷却液循環系5は、バイパス経路51、ラジエータ経由経路52、ラジエータ53、ロータリバルブ54、および温度センサ38を備える。
ラジエータ53は、エアと冷却液との間の熱交換により冷却液から熱を奪う冷却手段である。ロータリバルブ54は、燃料電池100からの冷却液をラジエータバイパス経路51に切り替えるか、ラジエータ経由経路52に切り替えるかを選択するバルブである。ロータリバルブ54は、制御部3からの冷却液経路制御信号CCBに基づき切り替え動作する。すなわちロータリバルブ54は、本発明の燃料電池の目標温度を制御するものである。
温度センサ38は、燃料電池100を冷却する冷却液の出口における温度、すなわち燃料電池100の冷却液温度を計測し、温度検出信号STとして制御部3に出力する。温度センサ38により検出された冷却液温度に基づいて、ロータリバルブ54を切り替えることによって、冷却液の温度、すなわち燃料電池100の内部温度が目標温度範囲に維持されるようになっている。
次に本発明に特徴的な構成について説明する。
特に本発明では、制御部3は、セルモニタ50から、相対的に乾燥しやすい特定セルC1に関する電流検出信号Saと電圧検出信号Svを入力し、入力された電流検出信号Saと電圧検出信号Svを基に予め特定された相対的に乾燥しやすい特定セルC1の交流インピーダンスを計測し、計測された交流インピーダンスを基に燃料電池100の含水量を推定し、推定された含水量を、燃料電池スタックの平均的な含水量として推定し、推定結果を基に燃料電池100の含水量を最適値にするための掃気処理を実行するように構成されている。以下、詳しく説明する。
図2は、本発明の実施形態に係る燃料電池システムのインピーダンス測定及び含水量制御処理に係る機能ブロック図を示す。
図2に示すように、制御部3は、機能ブロックとして、目標電圧決定部301、重畳信号生成部302、コンバータ制御信号生成部303、インピーダンス計測部304、および含水量制御部305を備えている。
目標電圧決定部301は、出力目標電圧、すなわち正弦波を重畳する前の基準電圧となる二次側電圧(例えば300V)を決定し、コンバータ制御信号生成部303に出力する。
重畳信号生成部302は、電力系に重畳すべきインピーダンス計測のための正弦波信号である重畳信号の周波数(例えば、300Hz、10Hz)及び振幅(例えば2V)を決定し、これをコンバータ制御信号生成部303に出力する。
コンバータ制御信号生成部303は、目標電圧決定部301から供給された出力目標電圧に対して重畳信号生成部302から供給された重畳信号を重畳した場合にコンバータ41に指令すべき二次側電圧値を連続的に生成し、コンバータ制御信号CCONVとしてDC−DCコンバータ41に出力する。DC−DCコンバータ41がこのコンバータ制御信号CCONVとの指令に従って二次側の電力線電圧を連続的に変化させることによって、DC−DCコンバータ41の二次側には正弦波が重畳される。
インピーダンス計測部304は、本発明に係るものであり、燃料電池100のセル群C1〜Cnのうち予め特定された相対的に乾燥しやすい特定セルC1の交流インピーダンスを計測し、燃料電池100の平均含水量を推定するものであり、詳しくは後述する。このインピーダンス計測部304は、図1で説明したフィルタ30、32、FFT処理部32、33、補正処理部34、インピーダンス解析部35、及び判断部36によって実現されるものである。
含水量制御部305は、計測された燃料電池100の平均含水量を参照値として入力し、燃料電池100の平均含水量が目標値である最適値範囲に維持されるように燃料電池100の含水量を制御する。具体的には、含水量制御部305は、エア供給量を制御するためにコンプレッサ制御信号CCOMPを出力し、エア背圧を制御するために調圧バルブ制御信号CAPを出力し、燃料電池の目標(内部)温度を制御するために冷却液経路制御信号CCBを出力するようになっており、詳しくは後述する。
図3に、本実施形態におけるインピーダンス計測部304および含水量制御部305のさらに詳細な機能ブロック図を示す。
図3に示すインピーダンス計測部304は、インピーダンス演算手段3040、および平均含水量推定手段3041を備える。含水量制御部305は、掃気量演算手段3050、エア流量制御手段3051、エア背圧制御手段3052、及びFC目標温度制御手段3053を備える。
インピーダンス演算手段3040は、セルモニタ50によって検出された電流検出信号Saと電圧検出信号Svを、所定のサンプリングレートでサンプリングし、サンプリングされた電流と電圧をデジタルデータに変換し、変換されたデジタルデータを基に特定セルC1の交流インピーダンスZを演算し、演算結果を平均含水量推定手段3041に出力する。インピーダンス演算手段1040は、セルモニタ50とともに、予め特定された相対的に乾燥しやすい特定セルC1の交流インピーダンスZを計測する、本発明の交流インピーダンス計測手段を構成することになる。
平均含水量推定手段3041は、インピーダンス演算手段3040からその演算結果である交流インピーダンスZを取り込み、予め特定された相対的に乾燥しやすい特定セルC1の交流インピーダンスを計測し、計測された交流インピーダンスに基づいて燃料電池スタックの平均的な含水量(セル平均含水量)を推定し、推定結果である平均含水量を含水量制御部305に出力する。
この際、平均含水量推定手段3041には、予め特定された相対的に乾燥しやすい特定セルC1に関して、予め計測された交流インピーダンスZとセル平均含水量との関係テーブルが記憶されている。平均含水量推定手段3041は、入力される交流インピーダンスZに基づいて関係テーブルからセル平均含水量を読み取り、読み取られたセル平均含水量を当該インピーダンスにおける推定含水量として出力する。なお、参照テーブルを予め記憶させておく他、交流インピーダンスZに対する推定含水量を所定の関係式に基づいて演算するように構成してもよい。
掃気量演算手段3050は、インピーダンス計測部304が推定した平均的な含水量(セル平均含水量)を実測値として燃料電池100内の含水量を最適値に維持するために必要なエア(空気)の供給量を演算し、演算結果をエア流量制御手段3051に出力する。
エア流量制御手段3051は、掃気量演算手段3050が算出した必要エア供給量を燃料電池に提供するように燃料電池システムを制御する。本実施形態では、エア流量制御手段3051は、必要エア供給量を得るために必要なコンプレッサ20の回転数と掃気時間とを演算し、演算した掃気時間だけコンプレッサを演算された回転数で駆動させるためのコンプレッサ制御信号CCOMPをコンプレッサ20に出力する。
エア背圧制御手段3052は、インピーダンス計測部304が推定したセル平均含水量、および、圧力センサ39の検出した圧力検出信号SPを参照値として入力し、燃料電池100内の含水量を最適値に維持するために必要な燃料電池100の内部エア圧力(エア背圧)を演算し、この内部エア圧力に維持するための調圧バルブ制御信号CAPを調圧バルブ23に出力する。
FC目標温度制御手段3053は、インピーダンス計測部304が推定したセル平均含水量、および、温度センサ38の検出した温度検出信号STを参照値として入力し、燃料電池100内の含水量を最適値に維持するために必要な燃料電池100の内部(目標)温度を演算し、この内部温度に冷却液の温度を維持するための冷却液経路制御信号CCBをロータリバルブ54に出力する。
次に本実施形態における含水量推定・掃気処理動作を説明するに先立って、燃料電池スタック内のセル群のうち予め特定された乾燥しやすい特性セルC1の交流インピーダンスから電解質膜内の含水量(水分量)の最適値を把握できる理由について説明する。
図4に交流インピーダンスとセル平均含水量との関係を示す平均セルインピーダンス特性図を示す。燃料電池スタック全体の交流インピーダンスの平均値を示す平均交流インピーダンスとセル平均含水量との関係は、図4に示すように、平均セルインピーダンス特性曲線Zmで表わされる。この平均セルインピーダンス特性曲線Zmが存在する領域を、例えば、セル平均含水量がg1以下の不安定領域(ドライアップ領域)A1と、セル平均含水量がg1とg2の間の出力・燃費劣化領域A2と、セル平均含水量がg2とg3の間の最適値領域A3と、セル平均含水量がg3以上の不安定領域(フラッディング領域)A4に分割した場合、燃料電池スタックについて平均交流インピーダンスを計測したのでは、不安定領域(ドライアップ領域)A1と出力・燃費劣化領域A2でしか、膜内のセル含水量(水分量)を正確に推定(把握)することができない。
これは、インピーダンス特性が、セルの含水量が相対的に低い領域において急激に立ち上がるような変化を示す一方、含水量が適正な領域ではインピーダンスの変化が緩慢であることが原因である。インピーダンス変化に対する含水量の変化が急激であるということはインピーダンス測定に基づく含水量推定の精度が高いことを意味する。逆にインピーダンス変化に対する含水量の変化が緩慢であるということはインピーダンス測定に基づく含水量推定の精度が低いことを意味する。
よって、平均的なセルのインピーダンス特性曲線Zmは、不安定領域(ドライアップ領域)A1と出力・燃費劣化領域A2における交流インピーダンスZの変化が大きいので、交流インピーダンスZから不安定領域(ドライアップ領域)A1または出力・燃費劣化領域A2に属するセル含水量(水分量)を比較的精度良く推定(把握)することができる。しかし、平均的なセルのインピーダンス特性曲線Zmは、セル平均含水量がg2とg3の間の最適値領域A3における交流インピーダンスZの変化が小さいので、平均交流インピーダンスからは、最適値領域A3に属する含水量(水分量)を精度良く推定(把握)することができない。
逆に言えば、インピーダンス測定による含水量推定の精度は、平均的なセルの含水量が適正な領域では低く、含水量が低下して燃費や出力に影響が出る乾燥領域では高くなる傾向にあるのであるから。相対的に含水量が少ないセルのインピーダンスから平均的なセルの含水量を推定することで推定精度を上げられる。本願発明者はこの点に着目して含水量精度を向上させている。
図5に交流インピーダンスとセル平均含水量との関係を示す平均セルインピーダンス特性図と乾燥セルインピーダンス特性図を示す。
図5に示すように、セル群のうち予め特定された相対的に乾燥しやすい特定セルC1の交流インピーダンスと平均的なセルの含水量との関係は、特定セルのインピーダンス特性曲線Zdで表わされる。平均的なセルのインピーダンスは含水量がg2とg3との間に制御される場合に最適な含水量となるものとする。含水量がg2である場合の特定セルC1の交流インピーダンスはZ2であり、含水量がg3である場合の特定セルC2の交流インピーダンスはZ1である。セルの平均含水量がg2とg3の間の最適値範囲A3において、特定セルのインピーダンス特性曲線Zdは、平均的なセルのインピーダンス特性曲線Zmよりも交流インピーダンスZの変化が大きく、交流インピーダンスがZ1より大きい場合、精度の高いインピーダンス測定が可能である。よって、予め特定された相対的に乾燥しやすい特定セルC1について計測された交流インピーダンスZが、Z1とZ2の間にあるときには、計測された交流インピーダンスZから、平均的なセルの電解質膜内の含水量(水分量)を精度よく推定(把握)することができる。
図6に燃料電池スタックのセル群における各セル位置と含水量との関係を示す含水量特性図を示す。セル(チャネル)番号が低い程アノード極(陰極)側に近いことを示している。
図6に示すように、第1チャネルから第400チャネルのセル群(C1〜C400)がカソード極(陽極)側からアノード極(陰極)側に向かって順次配列されている場合、燃料電池100の運転時には、エンドプレート側の温度がアノード極側の温度よりも低く、カソード極側に水蒸気が移動する。そのためカソード極側へ移動した水蒸気は空気によりスタックの外へ排出される。よって、アノード極側の端部付近に配置された第399チャネルや第400チャネルのセル(C399、C400)の含水量は、平均的なセルの含水量よりも多くなるのに対して、カソード極側に配置された第1チャネルや第2チャネルのセル(C1、C2)の含水量は、平均的なセルの含水量よりも少なくなる傾向を示す。このため、セル群(C1〜C400)の中から相対的に乾燥しやすいセルを選択するに際しては、カソード極(陽極)側の端部付近に配置された第1チャネルや第2チャネルのセル(C1、C2)を特定セルとして選択することが望ましい。
次に図7のフローチャートに従って本実施形態における含水量推定・掃気処理動作を説明する。
まず、ステップS1において、制御部3は、燃料電池100の含水量を適正に制御するための含水量推定タイミングであるか否かを判定する。含水量推定タイミングである場合には(YES)、本発明の含水量推定方法を実施するべく、ステップS2に移行する。含水量推定タイミングではない場合(NO)、この処理ルーチンから復帰する。含水量推定タイミングは、システムの仕様に応じて定めることが可能であり、定期的な時間設定でも、特定のイベントに従属して発生する不定期的な時間設定でもよい。
ステップS2において、セルモニタ50は、予め特定された相対的に乾燥しやすい特定セルC1の電流と電圧とを検出し、電流検出信号Saと電圧検出信号Svとして制御部3のインピーダンス計測部304に出力する。次いで、インピーダンス計測部304のインピーダンス演算手段3040は、供給された電流検出信号Saと電圧検出信号Svを基に特定セルC1の交流インピーダンスZを演算する。次いで、インピーダンス計測部304の平均含水量推定手段3041は、計測された特性セルC1の交流インピーダンスZに基づいて特定セルC1の含水量を推定する。すなわち平均含水量推定手段3041は、図5に示されるような特定セルの交流インピーダンス特性曲線Zdと平均的なセルのインピーダンス特性曲線Zmとの関係を示す関係テーブルまたは両特性を相互に関係づける関係式を利用して、計測された特定セルの交流インピーダンスから、平均的なセルの含水量を推定する。この平均的なセルの含水量推定は、以下の幾つかのルートから推定演算することが可能である。
1)特性セルについて計測された交流インピーダンスから特性セルについての含水量を推定し、特性セルの含水量と平均的なセルの含水量との関係を示す関係テーブルまたは関係式から特性セルの含水量に対応する平均的なセルの含水量を推定する方法。
2)特性セルについて計測された交流インピーダンスに対応する平均的なセルについての交流インピーダンスを、特性セルの交流インピーダンスと平均的なセルの交流インピーダンスとの関係を示す関係テーブルまたは関係式から特定し、平均的なセルの交流インピーダンスから平均的なセルの含水量を推定する方法。
3)特性セルについて計測された交流インピーダンスに対応する平均的なセルの含水量を、特性セルの交流インピーダンスと平均的なセルの含水量との関係を示す関係テーブルまたは関係式から直接的に推定する方法。
誤差が少ないのであれば、上記3の方法が平均的なセルの含水量という最終出力を最も短い時間で得ることができる。推定された平均的なセルの含水量をフォードバック制御またはフィードフォワード制御の実測値として、燃料電池の平均的なセルの含水量を適正な範囲、具体的には図5における最適値範囲A3に入るように、ステップS5以降の各種制御を行うことになる。
ステップS5において、含水量制御部305の掃気量演算手段3050は、計測された平均含水量に基づいて燃料電池100の含水量を最適値範囲A3に維持するためのエア流量、すなわち掃気量を演算する。そして含水量制御部305のエア流量制御手段3051は、演算された掃気量を供給するためにコンプレッサ20に必要な回転数を演算し、演算された回転数でエアを供給させるためのコンプレッサ制御信号CCOMPをコンプレッサ20に出力する。なお、コンプレッサの回転数の演算は、エア流量とコンプレッサ回転数との関係を示す関係テーブルまたは関係式を参照することにより実行される。
次いでステップS6において、含水量制御部305のエア背圧制御手段3052は、圧力センサ39からの圧力検出信号SPを入力し、燃料電池100の内部圧力を演算する。また、エア背圧制御手段3052は、推定された平均的含水量を実測値として入力する。そして、エア背圧制御手段3052は、燃料電池100の含水量を最適値範囲A3に維持するための調圧バルブ制御信号CAPを調圧バルブ23に出力する。
具体的には、セルの含水量を上げる必要がある場合には、調圧バルブ23を絞るような圧力バルブ制御信号CAPを出力し、燃料電池100の内部圧力を高くする。燃料電池100の内部圧力を高くしていくと燃料電池スタックから排出される水分量が少なくなり、エア中の水蒸気分圧が高くなる。水蒸気分圧が高くなれば各セルの電解質膜の含水量が上昇するのである。逆に、セルの含水量を下げる必要がある場合には、調圧バルブを開くような圧力バルブ制御信号CAPを出力し、燃料電池100の内部圧力を低くする。燃料電池100の内部圧力を低くしていくと燃料電池スタックから排出される水分量が多くなり、エア中の水蒸気分圧が低くなる。水蒸気分圧が低くなれば各セルの電解質膜が乾燥しやすくなり含水量が下降するのである。
さらにステップS7において、含水量制御部305のFC目標温度制御手段3053は、温度センサ38からの温度検出信号STを入力し、燃料電池100の内部温度を演算する。また、FC目標温度制御手段3053は、推定された平均的含水量を実測値として入力する。そして、FC目標温度制御手段3053は、燃料電池100の含水量を最適値範囲A3に維持するための冷却液経路制御信号CCBをロータリバルブ54に出力する。
具体的には、セルの含水量を上げる必要がある場合には、ラジエータ経由経路52を選択させる冷却液経路制御信号CCBをロータリバルブ54に出力する。ラジエータを経由するように冷却液が循環すると冷却液の温度が低下し、電解質膜の温度が低下する結果、水分が蒸発しにくくなり、電解質膜の含水量が上昇する。逆に、セルの含水量を下げる必要がある場合には、ラジエータをバイパスするラジエータバイパス経路51を選択させる冷却液経路制御信号CCBをロータリバルブ54に出力する。ラジエータをバイパスするように冷却液が循環すると冷却液の温度が上昇し、電解質膜の温度が上昇する結果、水分が蒸発し易くなり、電解質膜が乾燥、すなわち含水量が低下する。
上記燃料電池のセルの含水量を制御する方法は、いずれかの方法のみを適用して含水量を調整することも可能であるが、複数の方法を互いに組み合わせることで短時間にセルの含水量を適正値に収束させることが可能である。なお、燃料電池のセルにおける含水量の制御方法は、上記方法に限定されるものではない。
以上、本実施形態によれば、相対的に精度良くインピーダンスが測定可能な、相対的に乾燥しやすい特定セルC1の交流インピーダンスZを計測し、それに基づき平均的なセルの含水量を推定するようにしたため、セル膜内の含水量(水分量)を正確に把握することができる。
また、本実施形態によれば、予め特定された相対的に乾燥しやすい特定セルC1の交流インピーダンスZを計測し、計測された交流インピーダンスZに対応する平均的なセルの含水量となるようにエア量の制御、エア背圧の制御、および燃料電池の目標温度制御を実行するようにしたため、燃料電池スタック全体の含水量を正確に最適値に制御することができ、燃料電池スタック全体が乾燥気味になるのを防止することができる。
(変形例)
本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変形して適用することが可能である。
例えば、上記実施形態では、燃料電池スタックの中から相対的に乾燥しやすい状態にあるものと客観的に推測できるセルを特定セルに指定していたが、燃料電池スタックを構成するセル群の中から相対的に乾燥しやすいセルを選択するに際しては、セル群(C1〜Cn)の中のいずれかのセルを、意図的に条件(構造を含む)を変更することによって相対的に乾燥しやすい特定セルとすることができる。
例えば、特定セルに関する撥水ペースト塗布量を相対的に他のセルよりも減らすことで、特定セルを相対的に乾燥しやすいセルにすることができる。
また、セパレータに形成されたエア流路のうち特定のエア流路構造を変更することによって、エア流路の入口−出口間の圧損を相対的に下げることで、エア流路圧損が相対的に下げられたエア流路に配置されたセルを、相対的に乾燥しやすい特定セルに変更することができる。例えば、流路開口を大きくしたり流路の屈曲を少なくしたりすることにより流路抵抗を低減し、圧損を下げることが可能である。
本発明の実施形態に係る燃料電池システムの全体構成を示す構成図である。 本発明の実施形態に係る制御部の機能ブロックを示す構成図である。 本発明の実施形態に係るインピーダンス計測・掃気処理制御部の機能ブロックを示す構成図である。 交流インピーダンスとセル平均含水量との関係を示す平均セルインピーダンス特性図である。 交流インピーダンスとセル平均含水量との関係を示す平均セルインピーダンス特性図と乾燥セルインピーダンス特性図である。 燃料電池スタックのセル群と含水量との関係を示す含水量特性図である。 本発明の実施形態に係る含水量推定・掃気処理動作を説明するためのフローチャートである。
符号の説明
1 アノードガス供給系、2 カソードガス供給系、3 制御部、4 電力系、10 水素タンク、11 アノードガス供給路、12 アノードオフガス供給路、20 コンプレッサ、21 カソードガス供給路、22 カソードオフガス供給路、30、31 フィルタ、32、33 FFT処理部、34 補正処理部、35 インピーダンス解析部、36 判断部、37 記憶装置、38 温度センサ、39 圧力センサ、47 電流センサ、48 電圧センサ、50 セルモニタ、301 目標電圧決定部、302 重畳信号生成部、303 コンバータ制御信号生成部、304 インピーダンス計測部、305 含水量制御部、3040 インピーダンス演算手段、3041 平均含水量推定手段、3050 掃気量演算手段、3051 エア流量制御手段、3052 エア背圧制御手段、3053 FC目標温度制御手段

Claims (7)

  1. 燃料電池スタックの含水量を交流インピーダンス計測により推定する燃料電池システムであって、
    前記燃料電池スタックを構成する複数のセルのうち、予め特定された相対的に乾燥しやすい特定セルの交流インピーダンスを計測するインピーダンス計測手段と
    計測された前記特定セルの交流インピーダンスに基づいて当該燃料電池スタックの平均的な含水量を推定する平均含水量推定手段と、を備え、
    前記平均含水量推定手段は、
    前記特定セルの交流インピーダンスまたは含水量に対応する前記燃料電池スタックの平均的な交流インピーダンスまたは含水量の対応関係を予め記憶しておき、前記対応関係を参照して前記燃料電池スタックの平均的な含水量を推定する、
    燃料電池システム。
  2. 請求項1に記載の燃料電池システムであって、
    前記特定セルは、前記燃料電池のカソード極側に配置されたセルから選択される、燃料電池システム。
  3. 請求項1または2に記載の燃料電池システムであって、
    前記燃料電池スタックは、撥水ペーストの塗布量を相対的に減らしたセルを備え、
    前記特定セルは、前記撥水ペースト塗布量を相対的に減らしたセルから選択される、燃料電池システム。
  4. 請求項1または2に記載の燃料電池システムであって、
    前記燃料電池スタックは、エア流路入口−出口間の圧損を相対的に下げたセルを備え、
    前記特定セルは、前記エア流路入口−出口間の圧損を相対的に下げたセルから選択される、燃料電池システム。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の燃料電池システムであって、
    推定された前記燃料電池の平均的な含水量に基づいて前記燃料電池の平均的な含水量を適正範囲に維持する含水量制御手段を備える、燃料電池システム。
  6. 前記含水量制御手段は、
    前記燃料電池への酸化ガス供給量、前記燃料電池内部の酸化ガス圧力、および前記燃料電池の目標温度のうちいずれか1以上を制御可能に構成されている、請求項5に記載の燃料電池システム。
  7. 燃料電池スタックの含水量を交流インピーダンス計測により推定する燃料電池システムのインピーダンス測定方法であって、
    該燃料電池スタックのうち、予め特定された相対的に乾燥しやすい特定セルの交流インピーダンスを計測する交流インピーダンス計測ステップと、
    前記交流インピーダンス計測ステップで計測された該特定セルの交流インピーダンスに基づいて当該燃料電池スタックの平均的な含水量を推定する平均含水量推定ステップと、
    を有し、
    前記平均含水量推定ステップでは、
    予め記憶されていた、前記特定セルの交流インピーダンスまたは含水量に対応する前記燃料電池スタックの平均的な交流インピーダンスまたは含水量の対応関係を参照して前記燃料電池スタックの平均的な含水量を推定する、
    燃料電池システムのインピーダンス測定方法。
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