JP5267111B2 - クラッチ故障診断装置 - Google Patents
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Description
この特許文献1に記載の技術では、エンジンの出力軸に対し、ロックアップクラッチを介して流体継手が接続する。そして、ロックアップクラッチの固着を、ロックアップ油圧制御バルブ電気回路のショート検出回路を使用することで推定診断する。
本発明は、上記のような点に着目してなされたもので、実際のクラッチの固着を検出可能にすることを課題としている。
(構成)
図1は、本実施形態に係る車輪駆動装置を示す概略構成図である。
その構成について説明すると、エンジン1の回転軸(クランクシャフト)に第1クラッチ2を介して駆動モータ3の回転軸(回転子3a)の一端部側が連結している。その駆動モータ3の回転軸3aの他端部側に、第2クラッチ4を介して変速機5の入力軸が連結している。変速機5の出力軸は、駆動輪6に連結する。駆動輪6は例えば前輪である。
オイルポンプ7は、その第1及び第2クラッチ2,4及び上記変速機5に油圧を供給する。そのオイルポンプ7の駆動軸7aは、上記駆動モータ3の回転軸3aに接続する。そして、駆動モータ3の出力トルクによって、オイルポンプ7が作動する。そして、作動し回転駆動したオイルポンプ7は、第1及び第2クラッチ2,4の基圧を生成する。
また、上記駆動モータ3の回転軸3aの回転を検出するモータ用回転検出センサ12を備える。モータ用回転検出センサ12は、例えばレゾルバから構成し、検出した回転信号をモータコントローラ13及び制駆動用コントローラ14に出力する。モータ用回転検出センサ12で検出する回転数は、第2クラッチ4の入力軸の回転数となる。
クラッチコントローラ11は、クラッチ締結指令を入力すると、モータ3に締結トルク指令を出力すると共に、対応するクラッチの油圧弁9の開度を調整して対応する伝達トルク指令値のトルクを伝達可能な油圧までクラッチ油圧を高める。なお、クラッチは、エンブレ発生時にも締結する。
また、クラッチ開放指令を入力すると、対応するクラッチの油圧弁9の開度を調整してクラッチ油圧を下げる。
また、クラッチ開放指令中にクラッチ待機指令を入力すると、モータ3に待機トルク指令を出力すると共に、対応するクラッチの油圧弁9の開度を調整してクラッチ油圧を待機圧まで高める。
モータコントローラ13は、インバータ15及びモータ3の界磁を調整することでモータ3をトルク指令値に応じたトルクに制御する。なお、駆動モータ3は直流モータ3であっても良い。
そのモータコントローラ13は、図3に示すように、通常走行処理部13A、システム始動処理部13B、クラッチ待機処理部13C、及びエンジン始動処理部13Dを備える。
通常走行処理部13Aは、制駆動用コントローラ14からの駆動指令値となるようにモータ3の駆動トルクを制御する。
また、クラッチ待機処理部13Cは、待機指令を入力すると、第2クラッチ4に待機圧が発生可能なようにモータ3回転数Nm及びモータトルクを制御する。
エンジン始動処理部13Dは、エンジン1を始動するモータトルクとなるようにモータ3を制御する。
エンジンコントローラ17は、制駆動用コントローラ14からの駆動指令値となるように、スロットル開度などを調整する。
制動制御部14Eは、ブレーキペダルのストローク量を検出するセンサ23の検出に基づき制動要求値を演算し、演算した制動要求値をエンブレ分と制動装置分とに配分してそれぞれ出力する。
ここで、図1中、符号31は制動コントローラを、符号32は制動ユニットを、符号34は従動輪をそれぞれ示す。
トルク指令出力部14Cは、モータコントローラ13及びエンジンコントローラ17への走行用の駆動指令値を出力する。但し、クラッチ故障判定部14Dからの上昇指令がある場合には、その分、駆動指令値を増大してモータコントローラ13及びエンジンコントローラ17への走行用の駆動指令値を出力する。
すなわち、シフトレバーがDレンジなど駆動可能位置のレンジを検出すると、アクセル踏角検出センサ21からの信号に基づき、車両の発進指示を検出する。発進指示を検出すると、モータコントローラ13に作動指令を出力する。また、クラッチコントローラ11に対し第2クラッチ4の締結指令を出力する。
クラッチ故障判定部14Dは、第2クラッチ4の故障を診断する。クラッチ故障判定部14Dは、図5に示すように、故障診断本体部14Da、診断許可条件判定部14Db、及び故障判定処理部14Dcを備える。本実施形態では、第2クラッチ4を故障診断対象とする場合である。
故障診断本体部14Daは、例えばモータ駆動による走行中の場合に作動する。
まずステップS10にて初期処理を行う。初期処理として、フラグfCLONFAIL、及びフラグfDSTRTを「0」に初期化する。
次に、ステップS20にて、診断許可条件判定部14Dbを起動し、診断許可条件判定部14Dbの処理が終了するとステップS30に移行する。
ステップS40では、故障判定処理部14Dcを起動し、故障判定処理部14Dcの起動が終了するとステップS50に移行する。
ステップS60では、フラグvCLONSTAT=「01」か判定する。すなわち、クラッチが固着していないと判定した場合にはステップS90に移行する。そうでない場合にはステップS70に移行する。
ステップS80では、fCLONFAIL=「1」すなわち、フラグをクラッチ故障状態に設定して処理を終了する。
ステップS90では、fCLONFAIL=「0」すなわち、フラグをクラッチ正常状態に設定して処理を終了する。
fCLONFAIL=「1」の場合には、例えばランプ等によって故障であることを運転者に報知する。
診断許可条件判定部14Dbは作動すると、ステップS110にて、変速機5のレンジが駆動レンジか否かを判定する。すなわち、レンジが「P」「N」以外か否かを判定する。駆動レンジと判定した場合には、ステップS120に移行する。一方、駆動レンジでないと判定した場合にはステップS170に移行する。
ステップS130では、第2クラッチ4を介して伝達する要求トルクがゼロより大きいか否かを判定する。要求トルクがゼロより大きい場合にはステップS140に移行する。そうでない場合にはステップS170に移行する。
ステップS160では、フラグfDSTRTに「1」を代入して復帰する。
ステップS170では、フラグfDSTRTに「0」を代入して復帰する。
フラグfDSTRTは、クラッチの故障診断を許可するか否かを判定するフラグである。
故障判定処理部14Dcは、起動すると、先ずステップS210にて、運転者から加速要求の指示があるか否かを判定する。例えば、アクセルペダルが踏まれている場合に、運転者から加速要求の指示があると判定する。
加速要求時の場合にはステップS270に移行する。一方、加速要求時で無い場合には、ステップS220に移行する。
ステップS280では、モータトルク指令値にモータトルク上昇指令分Tmotを付加して上昇する処理指令をトルク指令値出力部14Cに出力してステップS290に移行する。
続いてステップS300では、クラッチが滑る状態になったか否かを判定する。クラッチが滑る状態となったと判定した場合にはステップS340に移行する。一方、クラッチが滑る状態になっていないと判定した場合にはステップS270に戻る。
また、ステップS310では、クラッチ油圧減圧分を算出して、ステップS320に移行する。クラッチ油圧減圧分は、例えば、現在のクラッチ油圧の5%に設定する。若しくは、現在のクラッチ油圧と前回若しくは今回のトルク要求値とから、クラッチが滑るクラッチ油圧を求めることで算出する。
ステップS330では、クラッチが滑る状態になったか否かを判定する。クラッチが滑る状態となったと判定した場合にはステップS340に移行する。一方、クラッチが滑る状態になっていないと判定した場合にはステップS310に復帰する。
ステップS340では、クラッチの入力軸と出力軸の回転差ΔNmotを取得して、ステップS350に移行する。
ステップS350では、ΔNmotが所定値ΔNfailより大きくなったか否かを判定する。ΔNmot>ΔNfailの場合にはステップS360に移行する。一方、ΔNmot≦ΔNfailの場合にはステップS370に移行する。
ステップS370では、クラッチ異常として、フラグvCLONSTAT=「02」を設定して、復帰する。
ステップS380では、診断未実施として、フラグvCLONSTAT=「00」を設定して、復帰する。
本実施形態は、モータ3で駆動輪6を駆動中に、第2クラッチ4の故障診断を検出する場合の例である。
アクセルペダルが踏み込まれて加速要求があって、モータ3を、所定のトルク要求指令値のトルクとなるように制御しているとする。
このとき、クラッチには、クラッチ締結指令が出力されていて、上記トルク要求指令値のトルクを伝達可能なクラッチ油圧によってクラッチは接続状態となっている。
この状態で故障診断する場合には、モータ3への実際のトルク要求値を、車両に要求される上記トルク要求指令値に対してモータトルク上昇指令分Tmotを付加してトルクを過剰は状態とする。
このクラッチが滑る状態の時に、第2クラッチ4の入力軸側の回転数と、出力軸側の回転数とを取得して回転数差を求める。所定以上の回転数差が発生していれば、クラッチが固着してないと判定することが出来る。ここで、クラッチに固着が発生している場合には、回転数差は生じないはずである。
これによって現在のクラッチ締結圧を、実際クラッチによって伝達するトルクよりも小さい値とする。この結果、クラッチが滑る状態となる。
このクラッチが滑る状態の時に、第2クラッチ4の入力軸側の回転数と、出力軸側の回転数とを取得して回転数差を求める。所定以上の回転数差が発生していれば、クラッチが固着してないと判定することが出来る。
従って、実施のモータ3のトルクを過剰とするかクラッチ油圧を故意に減圧して、クラッチが滑る状態にした後に、モータ3の回転数が回転数指令値よりも所定以上増加したら、クラッチに正常と判定しても良い。この場合には、モータ3の回転数が回転数指令値よりも所定以上増加しなかったら、クラッチ異常と判定する。
また、通常、車両に搭載してあるセンサの出力信号で診断可能である。つまり、新しいセンサを追加する事無く診断可能である。
なお、本実施形態の診断は、故意に滑る状況を作り出す動的な診断である。
ここで、モータ3が駆動源を構成する。第2クラッチ4がクラッチを構成する。クラッチ油圧がクラッチ締結圧を構成する。ステップS270〜S300,S310〜S330が摺動状態発生手段を構成する。ステップS340,S350が故障判定手段を構成する。
(1)駆動輪へのトルク伝達経路の途中にクラッチ圧を調整可能な摩擦クラッチを配置する。その摩擦クラッチの入力軸に対しモータ3若しくはエンジン1からなる駆動源が接続する。クラッチ締結指令があると、上記駆動源若しくは駆動輪からのトルクを伝達可能なクラッチ締結圧を上記クラッチで発生する車両用駆動装置に設けたクラッチ故障診断装置である。摺動状態発生手段は、上記クラッチ締結指令があるときに、上記クラッチが滑る状態にする。故障判定手段は、上記摺動状態発生手段によって上記クラッチが滑る状態になったと判定すると、上記クラッチの入力軸と出力軸の回転数差に基づきクラッチの固着故障の有無を判定する。
クラッチを介したトルク伝達時に、実際のクラッチの固着を検出可能になる。
既存の搭載されている通常のセンサの出力信号で診断可能である。つまり、新しいセンサを追加する事無く診断可能である。
すなわち、クラッチ診断のためにクラッチが滑る状態とすることが出来る。
(3)加速指示要求があるときに、故障診断を行う。
すなわち、運転者からの加速要求があるときに、故意に駆動源の実施の出力トルクを、車両で要求される要求トルクよりも増大して故障診断する。このため、運転者への違和感発生を抑えつつ、クラッチの故障診断することが可能となる。
(5)制動指示要求があるときに、故障診断を行う。
運転者の減速要求があるときにクラッチ締結圧を小さくするので、駆動輪のトルクが小さくなっても、運転者に与える違和感を緩和出来る。すなわち、運転者への違和感発生を抑えつつ、クラッチの故障診断することが可能となる。
特に、モータ3よりも下流側のクラッチの故障診断を行うことが好ましい。下流側のクラッチが正常であれば、通常の通常走行時に駆動輪へのトルク伝達を解除可能であるからである。
このため、エンジン1とモータ3が直結した構成であっても、運転者の意図しない駆動力伝達で走行してしまうという暴走状態を避ける事が可能となる。
これによって、回転数は、駆動源側の回転数だけを検出すれば良い。すなわち、クラッチ故障診断で使用するセンサを抑えることが可能となる。
なお、モータ3を駆動源とし、モータ3回生制動時であっても、クラッチが正常であれば、滑る状態になったときに、モータ3の回転数は増加する方向に変動する。従って、この場合でも、駆動源の回転数が所定以上増加したらクラッチが正常と判定すれば良い。
(1)上記実施形態では、クラッチ診断対象を第2クラッチ4の場合を例示した。第1クラッチ2をクラッチ診断の対象としても良い。
この場合には、第1クラッチ2にトルクを伝達するのは、エンジン始動時には、モータ3がトルクを伝達する駆動源となり、エンジン1によって駆動輪を駆動する走行状態の場合には、エンジン1が駆動源となる。
(2)また上記実施形態では、走行中で且つモータ3で駆動輪を駆動しているときに、第2クラッチ4の故障診断を行う場合を例示した。によって駆動輪を駆動する走行状態の場合に、第2クラッチ4の故障診断を行っても良い。この場合には、エンジン1が駆動源となる。
(4)上記説明では、クラッチとして油圧クラッチを例示したが、クラッチは電動クラッチなどであっても良い。クラッチの締結圧を調整可能なクラッチであれば適用可能である。
2 第1クラッチ
3 モータ
4 第2クラッチ
5 変速機
6 駆動輪
9 油圧弁
11 クラッチコントローラ
12 モータ用回転検出センサ
13 モータコントローラ
14 制駆動用コントローラ
14A 始動処理部
14B 走行制御部
14C トルク指令出力部
14D クラッチ故障判定部
14Da 故障診断本体部
14Db 診断許可条件判定部
14Dc 故障判定処理部
14E 制動制御部
17 エンジンコントローラ
20 変速機用回転数センサ
21 アクセル踏角検出センサ
22 車速センサ
23 ブレーキペダル
Tmot 上昇指令分
ΔNmot 回転差
Claims (4)
- 駆動輪へのトルク伝達経路の途中にクラッチ圧を調整可能な摩擦クラッチを配置すると共に、その摩擦クラッチの入力軸に対しモータ若しくはエンジンからなる駆動源が接続し、クラッチ締結指令があると、上記駆動源若しくは駆動輪からのトルクを伝達可能なクラッチ締結圧を上記クラッチで発生する車両用駆動装置に設けたクラッチ故障診断装置であって、
上記クラッチ締結指令があるときに、上記クラッチが滑る状態にする摺動状態発生手段と、
上記摺動状態発生手段によって上記クラッチが滑る状態になったと判定すると、上記クラッチの入力軸と出力軸の回転数差に基づきクラッチの固着故障の有無を判定する故障判定手段と、を備え、
上記摺動状態発生手段は、駆動源からクラッチを介して駆動輪にトルクを伝達しているときに、上記クラッチ締結圧を増大することなく上記駆動源からの出力トルクを増大することで、上記クラッチが滑る状態にし、
加速指示要求があるときに、上記駆動源のトルク指令値の上昇に基づく対応するクラッチ締結指令値を繰り返し算出し、算出したクラッチ締結指令値がクラッチが滑る状態の指令値に変位となったことでクラッチが滑る状態になったと判定して、故障診断を行うことを特徴とするクラッチ故障診断装置。 - 駆動輪へのトルク伝達経路の途中にクラッチ圧を調整可能な摩擦クラッチを配置すると共に、その摩擦クラッチの入力軸に対しモータ若しくはエンジンからなる駆動源が接続し、クラッチ締結指令があると、上記駆動源若しくは駆動輪からのトルクを伝達可能なクラッチ締結圧を上記クラッチで発生する車両用駆動装置に設けたクラッチ故障診断装置であって、
上記クラッチ締結指令があるときに、上記クラッチが滑る状態にする摺動状態発生手段と、
上記摺動状態発生手段によって上記クラッチが滑る状態になったと判定すると、上記クラッチの入力軸と出力軸の回転数差に基づきクラッチの固着故障の有無を判定する故障判定手段と、を備え、
上記摺動状態発生手段は、駆動源からクラッチを介して駆動輪にトルクを伝達しているときに、上記クラッチ締結圧を増大することなく上記駆動源からの出力トルクを増大することで、上記クラッチが滑る状態にし、
制動指示要求があるときに、実際のクラッチ締結指令値を繰り返し減少して、減少したクラッチ締結指令値がクラッチが滑る状態の指令値に変位となったことでクラッチが滑る状態になったと判定して、故障診断を行うことを特徴とするクラッチ故障診断装置。 - エンジンから駆動輪までのトルク伝達経路の途中にモータを介装すると共に、当該トルク伝達経路の前後にそれぞれ摩擦クラッチを配置した車両用駆動装置に設けたクラッチ故障診断装置であって、
上記2つの摩擦クラッチのうち、少なくともモータの下流側に配置したクラッチの故障診断を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載したクラッチ故障診断装置。 - 上記故障判定手段は、上記摺動状態発生手段によって上記クラッチが滑る状態になったと判定すると、上記クラッチの入力軸と出力軸の回転数差に代えて、上記駆動源の回転数の変動に基づきクラッチの固着故障の有無を判定することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載にしたクラッチ故障診断装置。
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