以下、本発明に係る画像形成装置の実施形態につき図面を用いて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。図1は、本発明に係る画像形成装置10の一構成例の正面断面視の説明図、図2は、図1に示す搬出方向切換装置20の機構部分である搬出方向切換部109周辺の拡大説明図である。搬出方向切換部109は、画像形成装置10の装置本体11内に形成されている。なお、図1及び図2においてX−X方向を左右方向といい、特に−X方向を左方向、+X方向を右方向という。
図1に示す画像形成装置10は、いわゆる胴内排紙型と称される複写機であり、装置本体11に、画像形成部12と、定着部13と、用紙貯留部14と、排紙部15と、画像読取部16と、操作部17とが設けられている。そして、排紙部15の一部(後述の胴内排紙トレイ151)は、画像読取部16の下部で装置本体11の一部が凹没されることによって形成され、これにより当該画像形成装置10が胴内排紙型と称されている。
装置本体11は、外観視で直方体状を呈した下部本体111と、この下部本体111の上方に対向配置された扁平な直方体状を呈する上部本体112と、この上部本体112と下部本体111との間に介設された連結部113とを備えている。連結部113は、下部本体111と上部本体112との間に排紙部15の胴内排紙トレイ151を形成させた状態で両者を互いに連結するための構造物である。
そして、下部本体111には、画像形成部12、定着部13及び用紙貯留部14が内装されているとともに、上部本体112には画像読取部16が装着されている。操作部17は、上部本体112の前縁部に設けられている。
操作部17は、画像形成処理に関する操作入力を受け付けるものであり、用紙Pの処理枚数等を入力するためのテンキーやその他の各種の操作キー171、さらにはタッチ入力を行うためのLCD(Liquid Crystal Display)を備えたタッチパネル172等が設けられている。
また、操作部17は、用紙貯留部14や手差しトレイ18等の用紙収容部に収容されている用紙P(シート体)が普通紙であるか、厚紙であるか、あるいはOHP(OverHead Projector)用の透明樹脂シートであるか、といった用紙P(シート体)の種別情報を受け付ける。なお、以下の説明においては、OHPシートのような紙以外のシート部材についても、用紙Pとして記載する。
用紙貯留部14は、下部本体111内における画像形成部12の直下方位置に設けられた挿脱可能な用紙カセット141と、この用紙カセット141のさらに下方位置に設けられた挿脱可能な大量の用紙(シート体)Pを貯留することができる大容量デッキ142とを有している。本実施形態においては、用紙カセット141は2段で設けられ、大容量デッキ142は2列で設けられている。
そして、画像形成処理が行われるに際し、用紙カセット141又は大容量デッキ142に貯留されている用紙束P1から用紙Pが1枚ずつ繰り出され、画像形成部12へ送り込まれて当該用紙Pに対して画像形成処理(印刷処理)が実行される。
排紙部15は、下部本体111と上部本体112との間に形成された胴内排紙トレイ(スイッチバックトレイ)151と、装置本体11の外部に形成された胴外排紙トレイ(外部トレイ)152と、胴内排紙トレイ151の直上位置に設けられた胴内フィニッシャー153とを有している。画像形成部12から送り込まれたトナー画像転写済みの用紙Pは、連結部113内に設けられた搬出方向切換部109を介し、予め排出先が設定された胴内排紙トレイ151、胴外排紙トレイ152及び胴内フィニッシャー153のいずれかに向けて排出される。胴内フィニッシャー153は、排出された用紙Pに対してパンチング処理やステイプル処理等の後処理を施すものである。
胴内排紙トレイ151は、単純に用紙Pの排出用に使用される他、用紙Pに対して両面印刷処理を施すに際し、表面側の印刷処理が完了した用紙Pに対して裏面側に印刷処理を施すべく、当該用紙Pを表裏反転させるためのスイッチバックトレイとしても利用される。すなわち、表面側の印刷処理が完了した用紙Pは、この胴内排紙トレイ151に一旦排出された後、今までの最後尾が最先端になった状態でスイッチバックされ、画像形成部12へ戻される。そして、片面印刷が完了している用紙Pは、画像形成部12で裏面側に印刷処理が施され、胴内排紙トレイ151又は胴外排紙トレイ152へ排出される。
画像読取部16は、上部本体112の上面開口に装着された、原稿を載置するためのコンタクトガラス161と、このコンタクトガラス161に載置された原稿を押さえる開閉自在の原稿押さえカバー162と、この原稿押さえカバー162に装着された原稿自動読取部163と、コンタクトガラス161に載置された原稿の画像を走査する走査機構164とを備えている。
そして、コンタクトガラス161上に載置され、あるいは原稿自動読取部163によってコンタクトガラス161上へ供給された原稿の画像は、走査機構164によってアナログ情報として読み取られたのちデジタル信号に変換されて後述する露光ユニット123へ向けて出力され、画像形成処理に供される。
また、下部本体111の右面における用紙貯留部14の直上位置には手差しトレイ18が設けられている。この手差しトレイ18は、下部が支軸181回りに回動可能に軸支され、手差しの給紙口を閉止するべく起立した閉止姿勢と、右方へ向かって突出した開放姿勢との間で姿勢変更可能とされている。かかる手差しトレイ18は、開放姿勢に姿勢設定された状態で1枚ずつの用紙Pの手差しに供される。このような手差しトレイ18から手差しで給紙された用紙Pは、用紙縦搬送路101を介して後述の感光体ドラム121と転写ローラ125との間のニップ部へ向けて送り出される。
また、下部本体111の左面には、開閉可能なメンテナンス用のメンテナンスドアー19が設けられている。胴外排紙トレイ152は、このメンテナンスドアー19の上部位置に設けられている。画像形成部12で印刷処理が完了した用紙Pは、この胴外排紙トレイ152及び胴内排紙トレイ151のいずれかに選択的に排出される。
画像形成部12には、上下方向の略中央部であって左寄りの位置に感光体ドラム121が設けられている。この感光体ドラム121は、ドラム心回りに時計方向に向けて回転しながらその直ぐ右方位置に設けられた帯電ユニット122により周面が一様に帯電処理される。
感光体ドラム121の右側位置には、画像読取部16で読み取られた原稿画像の画像情報に基づくレーザービームを感光体ドラム121の周面に照射する露光ユニット123が設けられている。そして、この露光ユニット123からのレーザービームの照射によって感光体ドラム121の周面に静電潜像が形成される。この静電潜像に向けて感光体ドラム121の下方に設けられた現像ユニット124からトナーが供給され、これによって感光体ドラム121の周面に静電潜像に沿ったトナー像が形成される。
トナー像が形成された感光体ドラム121には、用紙カセット141又は大容量デッキ142から搬送されてきた用紙Pが、上下方向に延びた用紙縦搬送路101を上昇し、タイミングを取るためのレジストローラ対143を介して送り込まれる。そして、感光体ドラム121へ到達した用紙Pには、左方で当該感光体ドラム121と対向配置された転写ローラ125の作用で感光体ドラム121の周面のトナー像が転写される。トナー像が転写された用紙Pは感光体ドラム121から分離されて定着部13へ送り込まれる。
用紙Pに対するトナー像の転写処理が完了した感光体ドラム121は、時計方向へ向かう回転が継続されることにより、その直上位置に設けられたクリーニング装置126によってその周面が清浄にされ、つぎの画像形成処理のために帯電ユニット122へ向かうことになる。
定着部13は、内部にハロゲンランプ等の通電発熱体を備えた加熱ローラ131と、左方でこの加熱ローラ131と対向配置された定着ローラ132と、この定着ローラ132及び加熱ローラ131間に張設された定着ベルト133と、左側でこの定着ベルト133の表面と対向配置された加圧ローラ134とを有している。そして、画像形成部12から送り込まれた用紙Pは、これら定着ベルト133と加圧ローラ134との間のニップ部を通過しながら加熱ローラ131の熱を定着ベルト133を介して受熱し、これによってトナー像の用紙Pに対する定着処理が実行される。
定着処理後の用紙Pは、当該用紙Pが片面印刷用のものである場合には、定着部13の上方の搬出方向切換部109を介し、排紙搬送路102を通って胴外排紙トレイ152へ排出されたり、往復搬送路103を通って胴内排紙トレイ151へ排出されたり、さらには両面印刷のために往復搬送路103を通ってスイッチバックトレイとして兼用される胴内排紙トレイ151へ一時的に排出されたりする。
そして、両面印刷の場合、往復搬送路103を介して前半部分が胴内排紙トレイ151に排紙された片面印刷処理済みの用紙Pは、メンテナンスドアー19内に設けられた上下方向に延びる逆送搬送路104を介して逆送され、表裏が反転した状態で再度画像形成部12に供給されて裏面側に印刷処理が施される。両面印刷が完了した用紙Pは、胴内排紙トレイ151又は胴外排紙トレイ152へ排出される。
メンテナンスドアー19には、逆送搬送路104の直ぐ右側に、右面が画像形成部12の左面に対向されるカバー部材191が設けられている。このカバー部材191は、メンテナンスドアー19の右面側に包持されている。そして、メンテナンスドアー19が閉止姿勢に姿勢設定された状態で、カバー部材191の右面と画像形成部12の左面との間に用紙カセット141や大容量デッキ142さらには手差しトレイ18から給紙された用紙Pを搬送するための用紙縦搬送路101の一部が形成されている。
搬出方向切換部109は、図2に示すように、定着部13の筐体135の直上位置であって胴内排紙トレイ151の左側壁151aの左方の空間に設定されている。搬出方向切換部109の右上方には、胴内排紙トレイ151の左側壁151aの上縁部を越えて胴内排紙トレイ151内へと延設された下に凹の第1円弧ガイド板108aが設けられているとともに、搬出方向切換部109の左上方には、用紙Pを定着部13の左側を通って下方の逆送搬送路104へ向かわせるように下へ凹の円弧状に形成された第2円弧ガイド板108bが設けられている。
そして、第1円弧ガイド板108aの左端部と第2円弧ガイド板108bの右端部との間には定着部13から上方へ向けて排出された用紙Pを受け入れるように隙間が形成され、この隙間の上部には、上方へ延びる用紙縦搬送路101の一部としての上端搬送路101aが形成されている。
この上端搬送路101aの直上位置には、略二等辺三角形状を呈した切換ガイド部材107が設けられている。この切換ガイド部材107は、上端搬送路101aから送り出された用紙Pの排出先を胴内フィニッシャー153と胴外排紙トレイ152との間で切り換えるものであり、二等辺三角形の頂点に当たる部分が下方に向くように姿勢設定されている。
そして、かかる切換ガイド部材107は、その略重心位置を軸支したガイド軸107a回りに時計方向へ向けて回動することにより用紙Pを右面に沿わせて胴内フィニッシャー153へ案内するフィニッシャー向け姿勢と、ガイド軸107a回りに反時計方向へ回動することにより用紙Pを左面に沿わせて胴外排紙トレイ152へ案内する胴外排紙トレイ向け姿勢との間で姿勢変更可能とされている。
すなわち、画像形成部12での画像形成処理が完了し、定着部13において定着処理が施された用紙は、一旦搬出方向切換部109へ導出された後に、目的に応じて各所へ排出されるのである。そして、搬出方向切換部109は、従来の三角形状の切換ガイドに代えてロータリーガイド部材30を備えている。
そして、このロータリーガイド部材30の周りには、複数の搬送ローラが設けられ、これらの搬送ローラによりロータリーガイド部材30に対する用紙Pの入出が円滑に行われる。かかる搬送ローラとしては、定着部13の出口位置であって、ロータリーガイド部材30の直前位置(直下位置)に設けられた定着部出口ローラ106aと、第1円弧ガイド板108aの下方位置(すなわち往復搬送路103上)であって胴内排紙トレイ151の直前に設けられて用紙Pの胴内排紙トレイ151への排出に荷担する第1排出ローラ106b、第2円弧ガイド板108bの下方位置に設けられて用紙Pの逆送搬送路104へ向かう搬送に荷担する逆送搬送路向け搬送ローラ106cと、上端搬送路101aの下流端で切換ガイド部材107の直下位置に設けられて切換ガイド部材107へ向かう用紙Pの搬送に荷担する切換ガイド部材向け搬送ローラ106dと、胴外排紙トレイ152の上流端に設けられた第2排出ローラ106eと、胴内フィニッシャー153の入口側に設けられた第3排出ローラ106fとが採用されている。
また、ロータリーガイド部材30を介した用紙Pの搬送状態を検出するべく、ロータリーガイド部材30の周りには、各種の用紙センサが設けられている。かかる用紙センサとしては、定着部13の下流端(定着部13の筐体の上部)に設けられた定着上センサ105aと、胴内排紙トレイ151の入口部分に設けられた第1排出センサ105bと、逆送搬送路104の上流端位置に設けられた逆送センサ105cと、胴外排紙トレイ152の上流端における第2排出ローラ106eの近傍に設けられた第2排出センサ105dと、胴内フィニッシャー153の入口側における第3排出ローラ106fの近傍に設けられた第3排出センサ105eとが採用されている。
これらのセンサによる用紙Pの検出と、この検出結果に基づく搬出方向切換部109及び切換ガイド部材107の予め設定された動作とによって定着部13から送り出された用紙Pは、所定の位置へ向けて搬出されることになる。
以下、図3〜図5に基づき搬出方向切換部109について説明する。図3及び図4は、搬出方向切換部109の一実施形態を示す一部切り欠き斜視図であり、図3は、斜め上から見た状態、図4は、斜め下から見た状態をそれぞれ示している。また、図5は、図3に示す搬出方向切換部109のV−V線断面図であり、二点鎖線でロータリーガイド部材30が基準姿勢S1に姿勢設定された状態、実線でロータリーガイド部材30が起立姿勢S2に姿勢設定された状態をそれぞれ示している。なお、図3〜図5において、X方向を左右方向、Y方向を前後方向といい、特に−Xを左方、+Xを右方、−Yを前方、+Yを後方という。
まず、図3に示すように、搬出方向切換部109は、定着部13(図2)から定着部出口ローラ106aを介して送り出された用紙Pを受け、予め設定された所定の位置に向けて当該用紙Pの排出を案内するロータリーガイド部材30と、このロータリーガイド部材30に付設され用紙Pに形成されたトナー画像に悪影響を与えないように案内する案内プーリー40と、ロータリーガイド部材30を所定のガイド軸(支持軸)34回りに正逆回転させることによって当該ロータリーガイド部材30の姿勢を変更させる姿勢変更部50と、この姿勢変更部50によって姿勢変更されるロータリーガイド部材30の基準回転位置を検出するための基準位置検出部60とを備えている。
ロータリーガイド部材30は、前後方向一対の側板31と、各側板31間に架設された左右方向一対の円弧ガイド板32と、前後方向に並設された状態で左側の円弧ガイド板32に固定された複数枚のガイドフィン33と、前後の側板31の略重心位置から同心で互いに反対方向に向けて突設された前後一対のガイド軸34と、一対の側板31の上縁部間に架設されたカバー体35とを備えている。
各側板31は、正面視での基本形状が略正方形に設定された上で正方形状の各所が変形させられることによって形成されている。これら一対の側板31間に左右の円弧ガイド板32が架設されることにより、これら一対の円弧ガイド板32が構造材の役割を果たし、ロータリーガイド部材30が構造的に強固に形成されている。
一対の円弧ガイド板32は、正面視で互いに対向面が対向方向に向けて円弧状に膨出されて形成されている。かかる一対の円弧ガイド板32は、下縁部間の左右方向の距離が、上方に向かうに従い漸減するように設定されている。かかる一対の円弧ガイド板32間に、定着部13から送り込まれた用紙Pを案内する案内通路320が形成されている。
そして、かかる一対の円弧ガイド板32における下縁部間に定着部13から導出された用紙Pを受け入れるための受入開口321(入口)が形成され、同上縁部間に用紙Pを排出する排出開口322(出口)が形成されている。そして、定着部13から導出された用紙Pは、定着上センサ105a及び定着部出口ローラ106aを介して受入開口321から一対の円弧ガイド板32間に導入され、排出開口322及びカバー体35に設けられた後述の排出口351(出口)を通って上方に向けて排出される。ロータリーガイド部材30の案内通路320を通って排出口351から排出された用紙Pがその後どこへ向かわされるかについては、ロータリーガイド部材30の姿勢に応じて予め決められているが、これについては後に詳述する。
ガイドフィン33は、ロータリーガイド部材30が後述する逆送搬送路向け姿勢S4(図7(B)参照)に姿勢設定された状態で、一時貯留されていた胴内排紙トレイ151から逆送搬送路104へ向かう、裏面側に印刷処理を施すべき両面印刷用の用紙Pを受けて案内するためのものである。かかるガイドフィン33は、逆送搬送路向け姿勢S4に姿勢設定された状態(図7(B))において、上縁面が側板31の上縁面と同様に上に凸の円弧状に形成され、これによって下に凹の円弧状に形成された前記第2円弧ガイド板108bとの間に逆送搬送路104の上流端の部分が形成される。
また、一対の側板31から互いに反対方向に向けて同心で突設された一対のガイド軸34は、装置本体11の図略のフレームに支持され、姿勢変更部50の駆動により軸心回りにロータリーガイド部材30と正逆一体回動が可能とされている。
カバー体35は、粉塵等の異物のロータリーガイド部材30内への進入を防止するためのものであり、図3に示すように、ロータリーガイド部材30の上部を覆うものであって、一対の側板31の図3における上縁部間に架設されている。かかるカバー体35の頂部には、一対の円弧ガイド板32の排出開口322に対向した位置に、用紙Pを排出するための前後方向へ延びた排出口351(出口)が設けられている。
案内プーリー40は、左右一対の円弧ガイド板32を挟んで前後に複数対で設けられている。かかる複数対の案内プーリー40は、左右一対の円弧ガイド板32の左右の外側の位置において各ガイドフィン33を貫通した状態で一対の側板31間に架設された左右一対のプーリー軸41回りに回転自在に軸支されている。
一方、左右の円弧ガイド板32には、各案内プーリー40に対応した位置に、図4に示すような貫通窓323がそれぞれ設けられている。そして、各一対の案内プーリー40は、それぞれの一部がこれらの貫通窓323を潜って一対の円弧ガイド板32間の案内通路320内に入り込み、これによって各案内プーリー40の周面が案内通路320内で互いに対向した状態になっている。
従って、定着部13から導出された用紙Pは、受入開口321を通って一対の円弧ガイド板32間に導入された状態で、用紙Pの画像形成面がこれら一対の円弧ガイド板32に当接することなく左右の案内プーリー40の周面間を通過することになる。そしてこのとき、たとえ用紙Pの画像形成面が案内プーリー40の周面に接触しても、この接触によって案内プーリー40がプーリー軸41回りに回転するため、用紙Pの原稿形成面が円弧ガイド板32の内面と摺接するようなことが起こらない。従って、用紙Pの原稿形成面が摺接されることによって画像が乱れるような不都合の発生を有効に防止することができる。
姿勢変更部50は、後述の制御部200からの制御信号に基づき、ロータリーガイド部材30の姿勢を設定するためのものである。かかる姿勢変更部50は、ステッピングモータ51と、このステッピングモータ51の駆動軸511に同心で一体回転可能に外嵌された駆動ギヤ52と、後方のガイド軸34に一体回動可能に固定され、かつ、駆動ギヤ52に噛合するセクトギヤ53とを備えている。
ステッピングモータ51は、パルス信号のパルス数に応じて回転角度が設定されるように構成されているため、目的に応じて予め設定されたパルス数の信号をステッピングモータ51に供給することにより当該ステッピングモータ51の回転角度、すなわちロータリーガイド部材30の姿勢が極めて精密に制御される。
従って、ステッピングモータ51を使用した場合には、従来のように、例えばソレノイドへの電力供給のオン・オフによって所定の案内部材に姿勢変更させて案内先を変えるようにしたものを採用した場合に比べて極めて精度よく姿勢を変更させることができるばかりか、異音が発生するような不都合が生じることがない。
かかるステッピングモータ51は、その駆動軸511が前方に向くように横置きでロータリーガイド部材30の後方上部に据え付けられている。そして、ステッピングモータ51の駆動力は、駆動ギヤ52及びセクトギヤ53を介してロータリーガイド部材30に伝達される。従って、ステッピングモータ51が正逆駆動されることにより、ロータリーガイド部材30は、ガイド軸34回りに正逆回動して姿勢変更されることになる。
基準位置検出部60は、セクトギヤ53から径方向の外方に向けて突設された遮光片61と、ロータリーガイド部材30がホームポジションである基準姿勢S1(図6(A))に姿勢設定された状態で遮光片61と対向するように当該遮光片61のガイド軸34回りの回動軌跡上に配設された光センサ62とを備えている。
光センサ62は、一対の素子支持アーム622を備えた二股状の支持ケース621にそれぞれ発光素子623と受光素子624とが対向配置されることによって構成された、いわゆるフォトインタラプタである。
支持ケース621は、各素子支持アーム622が遮光片61の回動軌跡を挟み込み、かつ、ロータリーガイド部材30が基準姿勢S1に設定された状態で遮光片61が一対の素子支持アーム622間に位置するように設置位置が設定されている。そして、発光素子623は、一方の素子支持アーム622に設けられているとともに、受光素子624は、他方の素子支持アーム622に設けられて発光素子623と対向配置されている。基準姿勢S1は、前記予め定められた姿勢の一例である。
従って、ロータリーガイド部材30が基準姿勢S1に姿勢設定されていないときには、発光素子623から照射された光が受光素子624によって受光され、これによってロータリーガイド部材30が基準姿勢S1に姿勢設定されていないことを検出することができる。
これに対し、ロータリーガイド部材30が基準姿勢S1に姿勢設定されているときには、遮光片61が一対の素子支持アーム622間に位置し、発光素子623からの光が遮光片61によって遮光された状態になるため、受光素子624がオフする。これによってロータリーガイド部材30が基準姿勢S1に姿勢設定されていることを検出することができる。
また、受光素子624がオフしたときのステッピングモータ51の回転位置を基準位置として、この基準位置からステッピングモータ51に励磁パルスを供給することにより、当該励磁パルスの数に応じて所望の回転角度だけステッピングモータ51を回転させて、ロータリーガイド部材30を所望の姿勢にさせることができる。
以下、図6及び図7を基に、ロータリーガイド部材30の用紙ガイド姿勢について説明する。図6及び図7は、ロータリーガイド部材30の用紙ガイド姿勢を説明するためのロータリーガイド部材30の正面断面視の説明図である。図6(A)は、ロータリーガイド部材30が基準姿勢S1に姿勢設定された状態、図6(B)は、ロータリーガイド部材30が起立姿勢S2に姿勢設定された状態をそれぞれ示している。
また、図7(A)は、ロータリーガイド部材30が胴内排紙トレイ向け傾斜姿勢S3に姿勢設定された状態、図7(B)は、ロータリーガイド部材30が逆送搬送路向け姿勢S4に姿勢設定された状態をそれぞれ示している。なお、図6及び図7におけるXによる方向表示は、図1の場合と同様(−X:左方、+X:右方)である。
まず、図6(A)に示すように、ロータリーガイド部材30が基準姿勢S1に姿勢設定されたときには、当該ロータリーガイド部材30は、一対の円弧ガイド板32間の案内通路320が垂直位置からガイド軸34回りに略30°程度反時計方向に向けて回動し、これによって左方へ向けて傾倒した状態になっている。
そして、この状態でセクトギヤ53に固定された遮光片61が光センサ62の一対の素子支持アーム622間に位置し、発光素子623(図3)からの光が遮光されて受光素子624へ入光されなくなっている。これによって、ロータリーガイド部材30が基準姿勢S1に姿勢設定されていることが検出されると共に、ステッピングモータの基準位置が検出される。
また、図6(B)に示すように、ロータリーガイド部材30が起立姿勢S2に姿勢設定されたときには、排出口351が、上端搬送路101aに向く位置に位置決めされる。起立姿勢S2では、定着部13から導出された用紙Pは、定着上センサ105a及び定着部出口ローラ106aを介して受入開口321からロータリーガイド部材30の案内通路320内へ導入され、一対の案内プーリー40間を通り、排出口351から上方の上端搬送路101aへ向けて排出される。
その後、用紙Pは、胴外排紙トレイ152へ直接排出されたり、一旦胴内フィニッシャー153へ排出されてステイプル処理等の後処理が施された後、用紙束として胴外排紙トレイ152へ排出されたりする。
また、図7(A)に示すように、ロータリーガイド部材30が胴内排紙トレイ向け傾斜姿勢S3に姿勢設定されたときには、排出口351が、排出ローラ106bに向く位置に位置決めされる。胴内排紙トレイ向け傾斜姿勢S3では、定着部13から導出された用紙Pは、ロータリーガイド部材30の案内通路320を通り、排出口351を抜け出たのち第1円弧ガイド板108aに案内されつつ胴内排紙トレイ151へ排出されることになる。胴内排紙トレイ向け傾斜姿勢S3は、用紙Pに対して両面印刷を行う場合に、用紙Pを表裏反転させるためのスイッチバックを行う際にも用いられる。
そして、図7(B)に示すように、ロータリーガイド部材30が逆送搬送路向け姿勢S4に姿勢設定されたときには、第1排出ローラ106bと逆送搬送路104との間をガイドフィン33が架け渡すように配置される。これにより、両面印刷を行う際のスイッチバックにおいて、胴内排紙トレイ151側から第1排出ローラ106bによって逆送されてきた用紙Pが、ガイドフィン33によりガイドされて逆送搬送路104へ搬送可能にされている。
以上のような構成を有する搬出方向切換部109においては、シートを1枚ずつ搬送する都度、図6(A)に示す基準姿勢から図6(B)、図7(A)、図7(B)の何れかに示す姿勢に変化させ、且つ、その姿勢から前記基準姿勢に戻すという動作が行われる。
図8は、図1に示す画像形成装置10の電気的構成の一例を示すブロック図である。画像形成装置10は、上述の機構部に加えて、制御部200を備えている。図8では、用紙を搬送する各種ローラや切替ガイド等を、まとめて搬送機構120として記載している。
制御部200は、例えば所定の演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)と、所定の制御プログラムが記憶されたROM(Read Only Memory)と、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)と、タイマ回路と、これらの周辺回路等とを備えて構成されている。制御部200には、画像読取部16、画像形成部12、定着部13、搬送機構120及び操作部17が接続されている。
また、制御部200には、光センサ62、定着上センサ105a等の各種センサが接続されている。定着上センサ105aは、レバー形状にされている。そして、用紙Pが、定着部13から排出されてくると、用紙Pによって定着上センサ105aが押し上げられて、定着上センサ105aがオンし、用紙Pが検出される。また、用紙Pが搬送されて、用紙Pの後端が定着上センサ105aの位置を越えると、定着上センサ105aが元の位置に戻ってオフする。
これにより、用紙Pが定着上センサ105aの位置、すなわち定着部13から出た用紙Pが案内通路320の受入開口321に入る位置を通過する間、定着上センサ105aがオンすることとなる。従って、定着上センサ105aがオフからオンに変化したタイミングは、用紙Pの先端が受入開口321に入るタイミングより所定時間だけ手前のタイミングを示す。
なお、定着上センサ105aは、必ずしもレバー式のセンサに限らず、例えば光センサや静電センサ等を用いた用紙センサであってもよい。
さらに、制御部200には、ステッピングモータ51が接続されている。そして、制御部200は、例えばROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、レジストローラ制御部201、計時部202、判断部203、センサ出力信号受信部204、ロータリーガイド部材制御部205として機能する。
レジストローラ制御部201は、レジストローラ対143の回転動作を制御するものである。本実施形態の画像形成装置1は、レジストローラ対143の設置位置よりやや上流側に、用紙の存在を検出する図略のレジストセンサが設置されており、レジストローラ制御部201は、このレジストセンサにより用紙の存在が検出されると、レジストローラ対143の回転を一時的に停止させる。これにより、用紙がレジストローラ対143によりニップされた状態で停止する。前記レジストセンサによる検出位置は、前記第1検出位置の一例である。
そして、レジストローラ制御部201は、感光体ドラム121の表面に形成された顕像の位置と、レジストローラ対143によりニップされた用紙とが重なり合うようにタイミングを図ってレジストローラ対143の回転を再開させる。これにより、用紙がレジストローラ対143によりニップされた状態で搬送される。
計時部202は、レジストローラ制御部201からレジストローラ対143に対して前記回転再開を指示する旨の指示信号が出力されると、その出力タイミングからの経過時間の計測を開始する。
判断部203は、前記計時部202による計時時間が予め定められた設定時間に達したか否かを判断するものである。前記予め定められた設定時間は、正常に用紙が搬送された場合の、前記出力タイミングから定着上センサ105aがオンするまでの時間である。
センサ出力信号受信部204は、定着上センサ105aやレジストセンサ等の各種センサから出力された検出信号を受信するものである。
ロータリーガイド部材制御部205は、センサ出力信号受信部204により定着上センサ105aの検出信号が受信されたか否かを確認し、前記センサ出力信号受信部204により定着上センサ105aの検出信号が受信されたことを確認した場合に、ロータリーガイド部材30の作動を開始させる。
しかしながら、ロータリーガイド部材制御部205は、前記計時部202による計時時間が予め定められた設定時間に達したものと判断部203により判断されるまでの間に、前記センサ出力信号受信部204により定着上センサ105aの検出信号が受信されていないことを確認した場合には、ロータリーガイド部材30の作動開始を行うことなく、前記計時部202に計時動作を開始させる。
そして、ロータリーガイド部材制御部205は、前記計時部202により予め定められた猶予時間が計時されるまでの間に、センサ出力信号受信部204により定着上センサ105aの検出信号が受信されたか否かを再度確認する。前記猶予時間は、定着上センサ105aの検出位置を用紙が通過してからロータリーガイド部材205内に用紙が導入されるまでの時間から、ロータリーガイド部材205の姿勢変化の動作時間を差し引いた時間以下に設定される。
ロータリーガイド部材制御部205は、前記計時部202により予め定められた猶予時間が計時された時点で、前記センサ出力信号受信部204により定着上センサ105aの検出信号が受信されたことを確認した場合には、ロータリーガイド部材30の作動を開始させる。
一方、ロータリーガイド部材制御部205は、前記計時部202により予め定められた猶予時間が計時された時点で、前記センサ出力信号受信部204により定着上センサ105aの検出信号が受信されていないことを確認した場合には、ロータリーガイド部材30の作動を強制的に開始させる。定着上センサ105aによる検出位置は、前記第2検出位置の一例である。
次に、上述のように構成された画像形成装置10におけるロータリーガイド部材30の制御について説明する。図9は、図1に示す画像形成装置10の動作の一例を示すフローチャートである。
まず、図9に示すように、制御部200は、レジストセンサがオンすると(ステップ♯1でYES)、レジストローラ制御部201は、レジストローラ対143の回転を一時停止させ、用紙の搬送を一時的に停止させる(ステップ♯2)。
そして、レジストローラ制御部201は、用紙の搬送を開始すべきタイミング(感光体ドラムの表面に形成された顕像の移動と同期がとれるタイミング)になったか否かを判断し(ステップ♯3)、そのタイミングになっていない場合には(ステップ♯3でNO)、該タイミングになるまで待機し、前記用紙の搬送を開始すべきタイミングになると(ステップ♯3でYES)、レジストローラ対143に用紙の搬送を開始させるとともに、計時部202に計時動作を開始させる(ステップ♯4)。
判断部203は、前記計時部202による計時時間が前記設定時間に達したか否かを判断し(ステップ♯5)、前記設定時間に達したものと判断した場合には(ステップ♯5でYES)、ロータリーガイド部材制御部205は、現時点までの間にセンサ出力信号受信部204により定着上センサ105aの検出信号が受信されたか否かを確認する(ステップ♯6)。
センサ出力信号受信部204により定着上センサ105aの検出信号が受信された場合には(ステップ♯6でYES)、ロータリーガイド部材制御部205は、ロータリーガイド部材30を予め定められた方向に回転開始させる(ステップ♯11)。
一方、センサ出力信号受信部204により定着上センサ105aの検出信号が受信されなかった場合には(ステップ♯6でNO)、ロータリーガイド部材制御部205は、前記通常制御を実施することなく、計時部202に計時動作を再び開始させる(ステップ♯7)。
判断部203は、前記計時部202による計時時間が前記猶予時間に達したか否かを判断し(ステップ♯8)、前記計時時間が前記猶予時間に達したものと判断した場合には(ステップ♯8でYES)、現時点までの間にロータリーガイド部材制御部205は、センサ出力信号受信部204により定着上センサ105aの検出信号が受信されたか否かを再度確認する(ステップ♯9)。
センサ出力信号受信部204により定着上センサ105aの検出信号が受信された場合には(ステップ♯9でYES)、ロータリーガイド部材制御部205は、ステップ♯11の処理を実施する一方、センサ出力信号受信部204により定着上センサ105aの検出信号が受信されなかった場合には(ステップ♯9でNO)、ロータリーガイド部材制御部205は、強制的にロータリーガイド部材30を予め定められた方向に回転開始させる(ステップ♯10)。
以上のように、本実施形態では、レジストローラ対143により用紙の搬送が開始されてから前記定着上センサ105aにより該用紙の通過が検出されるべきタイミングになっても該定着上センサ105aから検出信号を受信しないときには、更に前記猶予時間だけ該検出信号の受信を待機し、それでも検出信号を受信しなかった場合には、強制的にロータリーガイド部材30を動作させるようにした。
これにより、予め定められた位置における用紙の通過を検出するセンサの検出信号に基づいて、前記ロータリーガイド部材30の動作を開始するタイミングを決定する制御を行う従来の技術のように、前記センサ(本実施形態では定着上センサ105a)の経年劣化による感度誤差や製造時の時点での個体差があっても、ロータリーガイド部材30の作動開始が大幅に遅延して、用紙を所定の案内通路に導く動作が遅延したり、その遅延により用紙ジャムが発生したりするのを回避又は抑制することができる。
本件は、前記実施形態に代えて、或いは前記実施形態に加えて、次のような変形形態も採用可能である。
[1]前記設定時間の計測開始起点を、レジストローラ対143による用紙の搬送開始時点としたが、これに限られるものではない。ただし、レジストローラ対143の動作は、前記感光体ドラム121の回転に因る該感光体ドラム121の表面に形成された顕像の移動に同期させるために高精度な制御が行われているため、このような高精度な制御が行われているレジストローラ対143の動作に基づいて前記設定時間の計測を開始してロータリーガイド部材30の動作タイミングを設定することで、ロータリーガイド部材30の動作タイミングの設定を高精度に行うことができるという利点が得られる。
[2]ロータリーガイド部材30を回転駆動するモータは前記ステッピングモータ51に限られるものではない。
[3]画像形成装置10として複写機が採用されているが、画像形成装置は、複写機に限定されるものではなく、プリンタであってもよいし、ファクシミリ装置であってもよい。