<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態の移動通信システム1の構成を模式的に示す図である。移動通信システム1は、無線基地局装置11、移動局装置12および他の無線基地局装置13を備えて構成される。無線基地局装置11と移動局装置12とは、CDMA方式を用いた無線通信手段と、赤外線を用いた無線通信手段との2種の無線通信手段によって通信が可能である。他の無線基地局装置13は、無線基地局装置11に隣接するセルを構成する無線基地局装置であり、移動局装置12と無線通信可能に構成される。
本実施の形態の移動通信システム1における無線基地局装置11としては、家庭内でのみ使用するような極小セルを構成する基地局装置を想定している。また移動通信システム1における他の無線基地局装置13としては、周辺マクロセルを構成する基地局装置を想定している。
本実施の形態の移動通信システム1は、無線基地局装置11による無線信号の送信に使用される、周辺セルとの混信を防ぐための無線パラメータが、CDMA方式を用いた無線通信におけるスクランブリングコードである場合を想定している。ここで、スクランブリングコードとは、後述する無線基地局装置11の基地局用データ処理部22によるスペクトル拡散およびスペクトル逆拡散に用いられる拡散符号である。スクランブリングコードは、相互干渉性が低く、直交性の高い拡散符号であり、セル毎に異なるスクランブリングコードが使用される。各スクランブリングコードには番号が割り振られており、この番号を「スクランブリングコード番号」という。スクランブリングコード番号は、パラメータ情報に相当する。
図2は、本発明の第1の実施の形態の無線基地局装置11の構成を示すブロック図である。無線基地局装置11は、基地局用CDMA無線通信部21、基地局用データ処理部22、基地局用赤外線通信部23、スクランブリングコード生成部24、基地局用記憶部25およびスクランブリングコード決定部26を備えて構成される。基地局用データ処理部22は、基地局用CDMA無線通信部21、基地局用赤外線通信部23、スクランブリングコード生成部24、基地局用記憶部25およびスクランブリングコード決定部26とそれぞれ接続されている。基地局用CDMA無線通信部21および基地局用赤外線通信部23は、基地局用通信手段に相当する。より詳細には、基地局用CDMA無線通信部21は、基地局用無線通信手段に相当し、基地局用赤外線通信部23は、選択情報受信手段および開始指示受信手段に相当する。またスクランブリングコード決定部26は、パラメータ決定手段に相当する。
基地局用CDMA無線通信部21は、CDMA方式を用いた無線通信手段である。基地局用CDMA無線通信部21は、基地局装置11に設けられる不図示のアンテナを介して受信した信号に対して、増幅、濾波、周波数変換およびアナログ/デジタル(略称:A/D)変換などの処理を行うことによってベースバンドのデジタル信号に変換する。基地局用CDMA無線通信部21は、ベースバンドのデジタル信号を、基地局用データ処理部22に与える。
また基地局用CDMA無線通信部21は、移動局装置12に送信すべき信号として、基地局用データ処理部22から与えられるベースバンドのデジタル信号に対して、デジタル/アナログ(略称:D/A)変換、周波数変換、濾波および増幅などの処理を行うことによって、デジタル信号をアナログ信号である無線信号に変換する。無線信号は、基地局装置11に設けられる不図示のアンテナを介して移動局装置12に送信される。
基地局用データ処理部22は、基地局用CDMA無線通信部21から与えられるデジタル信号を復調し、スペクトル逆拡散、チップ同期、誤り訂正復号、データの分離などの処理を行う。また基地局用データ処理部22は、移動局装置12に送信すべきデジタル信号に対して、誤り訂正符号化、フレーム化、データ変調、スペクトル拡散変調などの処理を行う。そして、基地局用データ処理部22は、デジタル信号を複数のキャリア周波数のいずれかで変調し、この変調したベースバンドのデジタル信号を基地局用CDMA無線通信部21に与える。
基地局用赤外線通信部23は、赤外線を用いた無線通信手段である。基地局用赤外線通信部23は、後述する移動局装置12の移動局用赤外線通信部35から送信されるデータ(以下「送信データ」という場合がある)を受信する。本実施の形態では、他の無線基地局装置13で使用されるスクランブリングコードに対応するスクランブリングコード番号(以下「他の無線基地局装置のスクランブリングコード番号」という場合がある)SC1を含むデータが移動局用赤外線通信部35から送信され、基地局用赤外線通信部23で受信される。基地局用赤外線通信部23は、移動局装置12からの送信データを受信すると、受信したデータを基地局用データ処理部22に与える。
基地局用データ処理部22は、基地局用赤外線通信部23から受信したデータが与えられると、与えられたデータを解析し、解析した結果得られた他の無線基地局装置13のスクランブリングコード番号SC1を、後述するスクランブリングコード生成部24に通知する。また基地局用データ処理部22は、前記解析した結果得られた他の無線基地局装置13のスクランブリングコード番号SC1を、基地局用記憶部25に記憶させるとともに、スクランブリングコード決定部26に通知する。他の無線基地局装置13のスクランブリングコード番号SC1は、生成情報に相当する。
スクランブリングコード決定部26は、基地局用データ処理部22から他の無線基地局装置13のスクランブリングコード番号SC1が通知されると、その通知されたスクランブリングコード番号SC1とは異なるスクランブリングコード番号SC2のスクランブリングコードを用いて移動局装置12への無線送信を開始するように決定し、その決定した内容、具体的には、使用するスクランブリングコードのスクランブリングコード番号SC2を基地局用データ処理部22に通知する。
基地局用データ処理部22は、スクランブリングコード決定部26から、使用するスクランブリングコードのスクランブリングコード番号SC2が通知されると、通知されたスクランブリングコード番号SC2をスクランブリングコード生成部24に通知する。
スクランブリングコード生成部24は、基地局用データ処理部22からスクランブリングコード番号SC2が通知されると、この通知されたスクランブリングコード番号SC2に対応するスクランブリングコードを生成する。スクランブリングコード生成部24は、生成したスクランブリングコードを基地局用データ処理部22に与える。
基地局用データ処理部22は、スクランブリングコード生成部24から与えられるスクランブリングコードを用いて、利用者データおよび共通チャネルのスペクトル拡散を行い、CDMA無線送信用の信号であるベースバンドのデジタル信号を基地局用CDMA無線通信部21に与える。
基地局用記憶部25は、基地局用データ処理部22によって解析されて得られたスクランブリングコード番号SC1を記憶する。
図3は、本発明の第1の実施の形態の移動局装置12の構成を示すブロック図である。移動局装置12は、移動局用CDMA無線通信部31、移動局用データ処理部32、スクランブリングコード測定部33、移動局用記憶部34、操作部35および移動局用赤外線通信部36を備えて構成される。移動局用データ処理部32は、移動局用CDMA無線通信部31、スクランブリングコード測定部33、移動局用記憶部34、操作部35および移動局用赤外線通信部36とそれぞれ接続されている。移動局用CDMA無線通信部31および移動局用赤外線通信部36は、移動局用通信手段に相当する。より詳細には、移動局用CDMA無線通信部31は、移動局用無線通信手段に相当し、移動局用赤外線通信部36は、移動局用指示手段および選択情報付与手段に相当する。
移動局用CDMA無線通信部31は、移動局装置12に設けられる不図示のアンテナを介して受信した信号に対して、増幅、濾波、周波数変換およびアナログ/デジタル(A/D)変換などの処理を行うことによってベースバンドのデジタル信号に変換する。移動局用CDMA無線通信部31は、ベースバンドのデジタル信号を、移動局用データ処理部32に与える。
移動局用CDMA無線通信部31は、後述する移動局用データ処理部32から与えられるベースバンドのデジタル信号に対して、デジタル/アナログ(D/A)変換、周波数変換、濾波および増幅などの処理を行うことによって、デジタル信号をアナログ信号である無線信号に変換する。無線信号は、移動局装置12に設けられる不図示のアンテナを介して無線基地局装置11に送信される。
移動局用データ処理部32は、移動局用CDMA無線通信部31から与えられるデジタル信号を復調し、スペクトル逆拡散、チップ同期、誤り訂正復号、データの分離などの処理を行う。また移動局用データ処理部32は、無線基地局装置11に送信すべき信号に対して、誤り訂正符号化、フレーム化、データ変調、スペクトル拡散変調などの処理を行う。そして、移動局用データ処理部32は、デジタル信号を複数のキャリア周波数のいずれかで変調し、この変調したデジタル信号を移動局用CDMA無線通信部31に与える。
移動局用データ処理部32は、ハンドオーバによって移動局装置12の在圏するセル(以下「在圏セル」という場合がある)が変わるたびに、後述するスクランブリングコード測定部33に、前記在圏セルを構成する無線基地局装置で使用されるスクランブリングコードを測定させるとともに、スクランブリングコード測定部33で測定されたスクランブルコードに対応するスクランブリングコード番号を、後述する移動局用記憶部34に記憶させる。たとえば移動局装置12が、他の無線基地局装置13で構成されるセルの圏内に存在するようになった場合、すなわち移動局装置12の在圏セルが他の無線基地局装置13で構成されるセルになった場合、他の無線基地局装置13で使用されるスクランブリングコードが測定され、このスクランブリングコードに対応するスクランブリングコード番号が移動局用記憶部34に記憶される。
スクランブリングコード測定部33は、移動局用データ処理部32の指示に従って、ハンドオーバによって在圏するセルが変わるたびに、その在圏セルのスクランブリングコードを測定する。移動局用記憶部34は、スクランブリングコード測定部33で測定されたスクランブルコードに対応するスクランブリングコード番号を、そのスクランブリングコードを使用している無線基地局装置11と対応付けて記憶する。
操作部35は、操作者が操作する操作スイッチなどの複数の操作片を有する。さらに具体的に述べると、操作部35は、操作片として、たとえば、無線基地局装置11にスクランブリングコード番号を含むデータを送信するときに利用者によって操作されるコード番号送信スイッチを備えている。操作部35は、利用者によってコード番号送信スイッチが操作されると、コード番号送信スイッチが操作されたことを表す信号(以下「送信スイッチ操作信号」という)を移動局用データ処理部32に与える。
移動局用データ処理部32は、操作部35を介して利用者によって操作可能に構成されており、操作部35から送信スイッチ操作信号が与えられると、移動局用記憶部34に記憶されている、移動局装置12の在圏セルを構成する他の無線基地局装置13のスクランブリングコード番号SC1を読出す。移動局用データ処理部32は、移動局用記憶部34から読出したスクランブリングコード番号SC1、および読出した他の無線基地局装置13のスクランブリングコード番号SC1を無線基地局装置11に送信する指示を表す信号を移動局用赤外線通信部36に与える。
移動局用赤外線通信部36は、移動局用データ処理部32から、他の無線基地局装置13のスクランブリングコード番号SC1、およびスクランブリングコード番号SC1を無線基地局装置11に送信する指示を表す信号が与えられると、赤外線通信によって無線基地局装置11、具体的には無線基地局装置11の基地局用赤外線通信部23に、他の無線基地局装置13のスクランブリングコード番号SC1を含むデータを送信する。このようにして他の無線基地局装置13のスクランブリングコード番号SC1を無線基地局装置11に送信することは、無線基地局装置11による無線信号の送信を開始するように指示する開始指示信号を無線基地局装置11に与えることに相当する。
図4は、本発明の第1の実施の形態における無線基地局装置11と移動局装置12との間の通信動作を示すシーケンス図である。無線基地局装置11が、CDMA方式に基づく無線送信(以下「CDMA無線送信」という)を停止している状態からCDMA無線送信を開始するときの、無線基地局装置11および移動局装置12の通信動作について説明する。移動局装置12は、他の無線基地局装置13が構成するセルに在圏しているものとする。
ステップa1では、移動局用データ処理部32は、利用者によってコード番号送信スイッチが操作されたときに操作部35から与えられる送信スイッチ操作信号の有無に基づいて、利用者による操作部35、具体的にはコード番号送信スイッチの操作を検出する。操作部35から送信スイッチ操作信号が与えられると、移動局用データ処理部32は、利用者によって操作部35が操作されたことを検出し、ステップa2に移行する。
ステップa2では、移動局用データ処理部32は、操作部35から送信スイッチ操作信号が与えられると、移動局用記憶部34に記憶された、現在在圏中の他の無線基地局装置13のスクランブリングコード番号SC1を読出し、その後ステップa3に移行する。
ステップa3では、移動局用データ処理部32は、移動局用記憶部34から読出したスクランブリングコード番号SC1を含むデータを、赤外線通信によって、移動局用赤外線通信部36から無線基地局装置11に送信する。これによって、移動局用記憶部34から読出されたスクランブリングコード番号SC1が無線基地局装置11に通知される。
ステップa4では、無線基地局装置11の基地局用赤外線通信部23は、移動局装置12の移動局用赤外線通信部36から送信された、スクランブリングコード番号SC1を含むデータを受信し、その後ステップa5に移行する。
ステップa5では、基地局用データ処理部22は、基地局用赤外線通信部23で受信したデータに含まれるスクランブリングコード番号を解析し、解析した結果得られる他の無線基地局装置13のスクランブリングコード番号SC1を基地局用記憶部25に記憶させるとともに、スクランブリングコード決定部26に通知し、その後ステップa6に移行する。
ステップa6では、スクランブリングコード決定部26は、基地局用データ処理部22から通知されたスクランブリングコード番号SC1とは異なるスクランブリングコード番号SC2を用いて移動局装置12への無線送信を開始するように決定し、その後ステップa7に移行する。ステップa6において、スクランブリングコード決定部26によって決定されたスクランブリングコードSC2は、基地局用データ処理部22に通知された後、基地局用データ処理部22によってスクランブリングコード生成部24に通知される。
ステップa7では、スクランブリングコード生成部24は、基地局用データ処理部22から通知されたスクランブリングコード番号、換言すればスクランブリングコード決定部26で決定されたスクランブリングコード番号SC2を用いて、CDMA無線送信を行うときに用いるスクランブリングコードを生成し、その後ステップa8に移行する。ステップa7において、スクランブリングコード生成部24によって生成されたスクランブリングコードは、基地局用データ処理部22に通知される。
ステップa8では、基地局用データ処理部22は、スクランブリングコード生成部24から通知されたスクランブリングコードを用いて、利用者データおよび共通チャネルの拡散などを行い、CDMA無線送信を行うときに用いるデータ(以下「CDMA無線送信用データ」という)を生成し、ステップa9に移行する。基地局用データ処理部22で生成されたCDMA無線送信用データは、基地局用CDMA無線通信部21に与えられる。
ステップa9では、基地局用CDMA無線通信部21は、基地局用データ処理部22から与えられるCDMA無線送信用データを用いて、移動局装置12へのCDMA無線送信を開始する。
以上のように本実施の形態では、移動局装置12が在圏している他の無線基地局装置13のスクランブリングコード番号SC1を記憶しており、そのスクランブリングコード番号SC1を、赤外線通信を用いて無線基地局装置11に送信する。これによって、無線基地局装置11は、他の無線基地局装置13のスクランブリングコード番号SC1とは異なるスクランブリングコード番号SC2のスクランブリングコードをスクランブリングコード決定部26で選択してスクランブリングコード生成部24で生成することができる。したがって、他の無線基地局装置13が構成する周辺セルに対する混信を防ぐことができる。
このように無線基地局装置11で使用されるスクランブリングコードは、基地局用赤外線通信部23に他の無線基地局装置13のスクランブリングコード番号SC1が与えられたときに、スクランブリングコード決定部26で選択されて、スクランブリングコード生成部24で生成される。他の無線基地局装置13のスクランブリングコード番号SC1が基地局用赤外線通信部23に与えられることは、基地局用赤外線通信部23に開始指示信号が与えられることに相当する。
つまり、無線基地局装置11で使用されるスクランブリングコードは、開始指示信号に相当する他の無線基地局装置13のスクランブリングコード番号が移動局装置12から基地局用赤外線通信部23に与えられたときに生成されるので、無線基地局装置が移動局装置に指示して周辺セルからの電波状況を測定させる場合などに比べて、無線リソースの消費を抑えることができる。
また無線基地局装置11で使用されるスクランブリングコードは、基地局用赤外線通信部23に与えられる他の無線基地局装置13のスクランブリングコード番号SC1に基づいて生成される。したがって、無線基地局装置11でスクランブリングコードを検出する場合などに比べて、他の無線基地局装置13で構成される周辺セルと混信しないように容易に設定することができる。したがって本実施の形態の無線基地局装置11では、スクランブリングコードを、無線リソースの消費を抑えて、周辺セルと混信しないように容易に設定することができる。
また本実施の形態では、移動局用赤外線通信部36は、操作部35を介して利用者によって操作可能に構成される。これによって利用者が所望するときに、無線基地局装置11による無線信号の送信を開始させることが可能である。
また本実施の形態では、移動通信システム1は、赤外線通信を用いてスクランブリングコード番号を移動局装置12から無線基地局装置11に通知する構成である。赤外線による無線通信は、赤外線そのものが回折しにくく、壁などの障害物を透過しにくい性質を有していることから、電波による無線通信に比べて、通信の信号が空間的に広がりにくいという利点を有する。したがって赤外線による無線通信では、予め通信プロトコルを無線基地局装置11と移動局装置12とで合わせておけば、CDMA通信のような混信を考慮する必要がなく、いつでも通信が可能である。
以上のように本実施の形態では、移動局装置12から無線基地局装置11にスクランブリングコード番号を含むデータを送信するときには赤外線通信を用いるが、本発明の他の実施の形態では、赤外線通信と同様に、通信の信号が空間的に広がりにくく、混信を考慮する必要が無いものであれば、無線基地局装置11と移動局装置12とのスクランブリングコード番号の通知に用いる通信方式はどのような通信方式でもよい。たとえば、他の無線通信でもよく、具体的には、音波を用いた通信方式でもよいし、ISO規格番号18092で規定される近距離通信(Near Field Communication;略称:NFC)による無線通信でもよい。このように赤外線、音波またはNFCによる無線通信を用いることによって、混信を防ぐことができるので、他の無線基地局装置13のスクランブリングコード番号SC1を含むデータを容易かつ確実に無線基地局装置11に通知することができる。
またスクランブリングコード番号SC1を含むデータを送信するときの通信方法は、無線基地局装置11と移動局装置12との間にケーブルを接続した有線通信でもよい。有線通信を用いることによって、スクランブリングコード番号SC1を含むデータを移動局装置12から基地局装置11に確実に通知することができる。
また、挿抜可能な不揮発性メモリを利用者が移動局装置12から抜き取り、無線基地局装置11へ挿入することによってスクランブリングコード番号を伝送するようにしてもよい。これによって簡単な構成で、スクランブリングコード番号SC1を含むデータを無線基地局装置11に確実に通知することができる。
また本実施の形態では、1つのスクランブリングコード番号を移動局装置12から無線基地局装置11へ通知するように構成されているが、本発明の他の実施の形態では、他の無線基地局装置13の構成するセルのスクランブリングコード番号と、移動局装置12が他の無線基地局装置13の構成するセルへ移動してくる前の1以上のセルのスクランブリングコード番号とを合わせて2つ以上のスクランブリングコード番号を無線基地局装置11へ通知するように構成されてもよい。
また本発明の他の実施の形態では、移動局装置12がスクランブリングコード番号を無線基地局装置11へ通知する前に、セルサーチ処理を行い、在圏中の他の無線基地局装置13が構成するセル以外の他の隣接するセルについてもスクランブリング番号を測定し、周囲の2つ以上のセルのスクランブリングコード番号を無線基地局装置11へ通知するように構成されてもよい。
また本実施の形態では、移動局装置12が無線基地局装置11に対して通知するスクランブリングコード番号は、他の無線基地局装置13が使用しているスクランブリングコード番号のみであるが、本発明の他の実施の形態では、移動局装置12が他の無線基地局装置13のセルにハンドオーバする前に通信していた無線基地局装置のスクランブリングコード番号も含めた複数のスクランブリングコード番号を通知するように構成されてもよい。
また本実施の形態では、移動局装置12が無線基地局装置11に対して通知する無線パラメータは、他の無線基地局装置13が使用しているスクランブリングコード番号のみであるが、本発明の他の実施の形態では、他の無線基地局装置13が使用している周波数も合わせて通知してもよい。この場合、無線基地局装置11は、周波数およびスクランブリングコード番号のどちらか一方もしくは両方に他の無線基地局装置13と異なるものを用いることで、他の無線基地局装置13が構成するセルに対する混信を防ぐことができる。
また本実施の形態では、無線基地局装置11は、他の無線基地局装置13が使用している無線パラメータの入手の有無を送信開始の必須条件とはしていないが、この無線パラメータを入手しない限り無線送信を開始しないようにロックする制御を行うように構成されてもよい。このような構成にすることによって、他の無線基地局装置13が構成するセルに対する混信を防ぐことができる。
<第2の実施の形態>
図5は、本発明の第2の実施の形態の移動通信システム40の構成を模式的に示す図である。移動通信システム40は、無線基地局装置41、基地局制御装置42、移動局装置12および他の無線基地局装置13を備えて構成される。本実施の形態の移動通信システム40の構成は、第1の実施の形態の移動通信システム1の構成と類似しているので、対応する部分には同一の参照符を付して、共通する説明を省略する。無線基地局装置41と移動局装置12とは、CDMA方式を用いた無線通信手段と、赤外線を用いた無線通信手段との2種の無線通信手段によって通信が可能である。他の無線基地局装置13は、移動局装置12と無線通信可能に構成される。
本実施の形態の移動通信システム40における無線基地局装置41としては、前述の第1の実施の形態の無線基地局装置11と同様に、家庭内でのみ使用するような極小セルを構成する基地局装置を想定している。また移動通信システム40における他の無線基地局装置13としては、周辺マクロセルを構成する基地局装置を想定している。
基地局制御装置42は、無線基地局装置41および他の無線基地局装置13の上位基地局装置として機能し、無線基地局装置41および他の無線基地局装置13の通信動作を制御する。基地局制御装置42と無線基地局装置41、ならびに基地局制御装置42と他の無線基地局装置13とは、いずれも有線通信網を介して接続されている。
図6は、本発明の第2の実施の形態の無線基地局装置41の構成を示すブロック図である。無線基地局装置41は、基地局用CDMA無線通信部21、基地局用データ処理部22、基地局用赤外線通信部23およびスクランブリングコード生成部24を備えて構成される。本実施の形態の無線基地局装置41の構成は、第1の実施の形態の無線基地局装置11の構成から、基地局用記憶部25とスクランブリングコード決定部26とを取り除いた構成であるので、対応する部分には同一の参照符を付して、共通する説明を省略する。本実施の形態において基地局用データ処理部22は、通知手段およびパラメータ情報受信手段として機能する。基地局用データ処理部22は、図示しないインターフェース部を介して、基地局制御装置42と通信可能に構成される。
図7は、本発明の第2の実施の形態の基地局制御装置42の構成を示すブロック図である。基地局制御装置42は、基地局制御部51、基地局インターフェース部52、基地局スクランブリングコード決定部53および制御装置用記憶部54を備えて構成される。基地局制御部51は、基地局制御装置42を構成する基地局インターフェース部52、基地局スクランブリングコード決定部53および制御装置用記憶部54とそれぞれ接続しており、これらを統括的に制御する。基地局制御部51は、制御装置用受信手段に相当する。基地局制御部51は、基地局インターフェース部52を介して、無線基地局装置41および他の無線基地局装置13と通信可能に構成される。また基地局制御部51および基地局スクランブリングコード決定部53は、パラメータ情報付与手段に相当する。
基地局インターフェース部52は、移動通信システム40を構成する無線基地局装置41および他の無線基地局装置13にそれぞれ設けられる不図示のインターフェース部と接続される。具体的には、基地局制御装置42は、基地局インターフェース部52を介して無線基地局装置41および他の無線基地局装置13と有線通信可能にそれぞれ接続される。
基地局制御部51は、移動局装置12から無線基地局装置41を経由して送信されたデータを、基地局インターフェース部52を介して受信したとき、受信したデータを解析してスクランブリングコード番号SC1を抽出する指示を表す信号(以下「解析指示信号」という)と、抽出したスクランブリングコード番号SC1とは異なるスクランブリングコード番号を決定する指示を表す信号(以下「コード番号決定指示信号」という)とを基地局スクランブリングコード決定部53に与える。
基地局スクランブリングコード決定部53は、基地局制御部51から与えられる解析指示信号に従って、基地局インターフェース部52を介して受信したデータを解析して、移動局装置12が無線基地局装置41に送信したスクランブリングコード番号、具体的には他の無線基地局装置13が使用しているスクランブリングコード番号SC1を抽出する。制御装置用記憶部54は、基地局スクランブリングコード決定部53によって解析されたスクランブリングコード番号SC1を記憶する。
また基地局スクランブリングコード決定部53は、基地局制御部51から与えられるコード番号決定指示信号に従って、基地局インターフェース部52を介して受信したスクランブリングコード番号SC1とは異なるスクランブリングコード番号SC2を、無線基地局装置41が使用するべきスクランブリングコードの番号として決定し、その決定したスクランブリングコード番号SC2を基地局制御部51に通知する。
基地局制御部51は、基地局スクランブリングコード決定部53から、決定されたスクランブリングコード番号SC2が与えられると、基地局スクランブリングコード決定部53で決定されたスクランブリングコード番号SC2とともに、スクランブリングコード番号SC2を用いて移動局装置12への無線送信を開始する旨の指示を、基地局インターフェース部52を介して無線基地局装置41に送信する。
図8は、本発明の第2の実施の形態における移動局装置12、無線基地局装置41および基地局制御装置42の各装置間の通信動作を示すシーケンス図である。無線基地局装置41が、CDMA無線送信を停止している状態からCDMA無線送信を開始するときの、移動局装置12、無線基地局装置41および基地局制御装置42の通信動作について説明する。移動局装置12は、他の無線基地局装置13が構成するセルに在圏しているものとする。
ステップb1では、前述の図3に示す移動局用データ処理部32は、利用者によってコード番号送信スイッチが操作されたときに操作部35から与えられる送信スイッチ操作信号の有無に基づいて、利用者による操作部35、具体的にはコード番号送信スイッチの操作を検出する。操作部35から送信スイッチ操作信号が与えられると、移動局用データ処理部32は、利用者によって操作部35が操作されたことを検出し、その後ステップb2に移行する。
ステップb2では、移動局用データ処理部32は、操作部35から送信スイッチ操作信号が与えられると、移動局用記憶部34に記憶された、現在在圏中の他の無線基地局装置13のスクランブリングコード番号SC1を読出し、その後ステップa3に移行する。
ステップb3では、移動局用データ処理部32は、移動局用記憶部34から読出したスクランブリングコード番号SC1を含むデータを、赤外線通信によって、移動局用赤外線通信部36から無線基地局装置41に送信する。これによって、移動局用記憶部34から読出されたスクランブリングコード番号SC1が無線基地局装置41に通知される。
ステップb4では、無線基地局装置41の基地局用赤外線通信部23は、移動局装置12の移動局用赤外線通信部36から送信された、スクランブリングコード番号SC1を含むデータを受信し、その後ステップb5に移行する。
ステップb5では、無線基地局装置41の基地局用データ処理部22は、ステップb4で受信したスクランブリングコード番号SC1を、図示しないインターフェース部を介して基地局制御装置42に転送し、その後ステップb6に移行する。
ステップb6では、基地局制御装置42の基地局制御部51は、移動局装置12から無線基地局装置12を経由して送信されたスクランブリングコード番号SC1を含むデータを、基地局インターフェース部52を介して受信し、その後ステップb7に移行する。
ステップb7では、基地局スクランブリングコード決定部53は、ステップb6で受信したデータを解析して、他の無線基地局装置13が使用しているスクランブリングコードのスクランブリングコード番号を抽出する。その後、ステップb8に移行する。
ステップb8では、基地局スクランブリングコード決定部53は、基地局インターフェース部52を介して受信したスクランブリングコード番号SC1とは異なるスクランブリングコード番号SC2を、無線基地局装置41が使用するべきスクランブリングコードの番号として決定し、その後ステップb9に移行する。
ステップb9では、基地局制御部51は、基地局スクランブリングコード決定部53で決定されたスクランブリングコード番号SC2とともに、決定されたスクランブリングコード番号SC2を用いて移動局装置12へのCDMA無線送信を開始する旨の指示を、基地局インターフェース部52を介して無線基地局装置41に送信する。その後、ステップb10に移行する。
ステップb10では、無線基地局装置41の基地局用データ処理部22は、基地局制御装置42の基地局インターフェース部52を介して送信された、スクランブリングコード番号SC2およびスクランブリングコード番号SC2を用いて移動局装置12へのCDMA無線送信を開始する旨の指示を、図示しないインターフェース部を介して受信し、その後ステップb11に移行する。
ステップb11では、無線基地局装置41のスクランブリングコード生成部24は、基地局制御装置42から送信されたスクランブリングコード番号SC2に対応するスクランブリングコードを、CDMA無線送信を行うときに用いるスクランブリングコードとして生成し、その後ステップb12に移行する。
ステップb12では、基地局用データ処理部22は、スクランブリングコード生成部24によって生成されたスクランブリングコードを用いて、利用者データおよび共通チャネルの拡散などを行い、CDMA無線送信を行うときに用いるデータ(以下「CDMA無線送信用データ」という)を生成し、ステップb13に移行する。基地局用データ処理部22で生成されたCDMA無線送信用データは、基地局用CDMA無線通信部21に与えられる。
ステップb13では、基地局用CDMA無線通信部21は、基地局用データ処理部22から与えられるCDMA無線送信用データを用いて、移動局装置12へのCDMA無線送信を開始する。
以上のように本実施の形態では、移動局装置12が在圏している他の無線基地局装置13のスクランブリングコード番号SC1を、無線基地局装置41を経由して基地局制御装置42に対して通知する。これによって基地局制御装置42は、他の無線基地局装置13のスクランブリングコード番号SC1とは異なるスクランブリングコード番号SC2を選択して、無線基地局装置41に与えることができる。この与えられたスクランブリングコード番号SC2に対応するスクランブリングコードを生成して用いることによって、無線基地局装置41は、他の無線基地局装置13が構成するセルに対する混信を防ぐことができる。
本実施の形態では、前述の第1の実施の形態とは異なり、無線基地局装置41に、移動局装置12から通知されたスクランブリングコード番号SC1を解析して、異なるスクランブリングコード番号SC2のスクランブリングコードを使用するように判断する部位が不要となる。したがって本実施の形態の基地局装置41は、第1の実施の形態の基地局装置11に比べて、装置の構成を簡易化することができる。
本実施の形態では、無線基地局装置41は、他の無線基地局装置13が使用している無線パラメータの入手の有無を送信開始の必須条件とはしていないが、この無線パラメータを入手しない限り無線送信を開始しないようにロックする制御を行うように構成されてもよい。このような構成にすることによって、他の無線基地局装置13が構成するセルに対する混信を防ぐことができる。
<第3の実施の形態>
図9は、本発明の第3の実施の形態の移動通信システム60の構成を模式的に示す図である。移動通信システム60は、無線基地局装置11、他の無線基地局装置13A、基地局制御装置42および移動局装置61を備えて構成される。本実施の形態の移動通信システム60の構成は、第1の実施の形態の移動通信システム1の構成と類似しているので、対応する部分には同一の参照符を付して、共通する説明を省略する。無線基地局装置11と移動局装置61とは、CDMA方式を用いた無線通信手段によって通信が可能である。他の無線基地局装置13Aは、無線基地局装置11に隣接するセルを構成する無線基地局装置であり、移動局装置61と無線通信可能に構成される。
本実施の形態においても、前述の第1および第2の実施の形態と同様に、移動通信システム60における無線基地局装置11としては、家庭内でのみ使用するような極小セルを構成する基地局装置を想定している。また移動通信システム60における他の無線基地局装置13Aとしては、周辺マクロセルを構成する基地局装置を想定している。
基地局制御装置42は、無線基地局装置11および他の無線基地局装置13Aの上位基地局装置として機能し、無線基地局装置11および他の無線基地局装置13Aの通信動作を制御する。基地局制御装置42と無線基地局装置11、ならびに基地局制御装置42と他の無線基地局装置13Aとは、いずれも有線通信網を介して接続されている。本実施の形態において、基地局制御装置42の基地局制御部51は、制御装置用受信手段および制御装置用指示手段として機能する。
図10は、本発明の第3の実施の形態の移動局装置61の構成を示すブロック図である。移動局装置61は、移動局用CDMA無線通信部31、移動局用データ処理部32および操作部35を備えて構成される。本実施の形態の移動局装置61の構成は、第1の実施の形態の移動局装置12の構成から、スクランブリングコード測定部33、移動局用記憶部34および移動局用赤外線通信部36を取り除いた構成であるので、対応する部分には同一の参照符を付して、共通する説明を省略する。
本実施の形態では、移動局用データ処理部32は、操作部35から送信スイッチ操作信号が与えられると、無線基地局装置11によるCDMA無線送信の開始要求を表す信号(以下「無線送信開始要求信号」という)を生成し、生成した無線送信開始要求信号と移動局装置61の加入者情報とを含むデータを移動局用CDMA無線通信部31に与える。移動局用CDMA無線通信部31は、移動局用データ処理部32から与えられた無線送信開始要求信号と加入者情報とを含むデータを、他の無線基地局装置13Aに送信する。移動局用CDMA無線通信部31は、開始要求付与手段に相当する。無線送信開始要求信号は、開始要求信号に相当する。
図9に戻って、他の無線基地局装置13Aは、前述の第1および第2の実施の形態における他の無線基地局装置13と類似の構成であり、基地局用データ処理部の処理内容が異なるのみで、他の部位の処理内容は同一である。
具体的には、他の無線基地局装置13Aは、図示は省略するが、基地局用CDMA無線通信部および基地局用データ処理部を備えて構成される。他の無線基地局装置13Aの基地局用CDMA無線通信部および基地局用データ処理部は、前述の第1および第2の実施の形態における無線基地局装置11,41の基地局用CDMA無線通信部21および基地局用データ処理部22とそれぞれ同様の構成である。他の無線基地局装置13Aにおいて、基地局用CDMA無線通信部は、他の開始要求受信手段として機能し、基地局用データ処理部は、転送手段として機能する。基地局用データ処理部は、図示しないインターフェース部を介して、基地局制御装置42と通信可能に構成される。
他の無線基地局装置13Aの基地局用データ処理部は、移動局装置61から送信された無線送信開始要求信号を含むデータを基地局用CDMA無線通信部が受信すると、受信した無線送信開始要求信号を含むデータを、図示しないインターフェース部を介して基地局制御装置42に転送する。より詳細には、基地局用データ処理部は、受信した無線送信開始要求信号を含むデータに、自装置である他の無線基地局装置13Aの基地局ID(Identification)を付加して、図示しないインターフェース部を介して基地局制御装置42に送信する。
図11は、本発明の第3の実施の形態における無線基地局装置11、他の無線基地局装置13、基地局制御装置42および移動局装置61の各装置間の通信動作を示すシーケンス図である。無線基地局装置11が、CDMA無線送信を停止している状態からCDMA無線送信を開始するときの、移動局装置61、他の無線基地局装置13A、基地局制御装置42および基地局制御装置42の通信動作について説明する。移動局装置61は、他の無線基地局装置13Aが構成するセルに在圏しているものとする。
ステップc1では、移動局装置61の移動局用データ処理部32は、利用者によってコード番号送信スイッチが操作されたときに操作部35から与えられる送信スイッチ操作信号の有無に基づいて、利用者による操作部35、具体的にはコード番号送信スイッチの操作を検出する。操作部35から送信スイッチ操作信号が与えられると、移動局用データ処理部32は、利用者によって操作部35が操作されたことを検出し、その後ステップc2に移行する。
ステップc2では、移動局装置61の移動局用データ処理部32は、無線送信開始要求信号を生成し、生成した無線送信開始要求信号と移動局装置61の加入者情報とを含むデータを、移動局用CDMA無線通信部31によって他の無線基地局装置13Aに送信する。その後、ステップc3に移行する。
ステップc3では、他の無線基地局装置13Aの基地局用CDMA無線通信部は、ステップc2で移動局装置61から送信された無線送信開始要求信号と移動局装置61の加入者情報とを含むデータを受信し、その後ステップc4に移行する。
ステップc4では、他の無線基地局装置13Aの基地局用データ処理部は、ステップc3で受信した無線送信開始要求信号と移動局装置61の加入者情報とを含むデータを、他の無線基地局装置13Aの基地局IDとともに、図示しないインターフェース部を介して基地局制御装置42に転送し、その後ステップc5に移行する。
ステップc5では、基地局制御装置42の基地局制御部51は、他の無線基地局装置13Aから送信された無線送信開始要求信号と移動局装置61の加入者情報と他の無線基地局装置13の基地局IDとを含むデータを、基地局インターフェース部52を介して受信する。基地局制御部51は、受信したデータを解析し、そのデータに含まれる無線送信開始要求信号、移動局装置61の加入者情報および他の無線基地局装置13の基地局IDを抽出する。基地局制御部51は、他の無線基地局装置13の基地局IDを基地局スクランブリングコード決定部53に与える。その後ステップc6に移行する。
ステップc6では、基地局制御装置42の基地局スクランブリングコード決定部53は、基地局制御部51から与えられた他の無線基地局装置13Aの基地局IDに基づいて、他の無線基地局装置13Aが現在使用しているスクランブリングコード番号SC1を判別し、そのスクランブリングコード番号SC1とは異なるスクランブリングコード番号SC2を無線基地局装置11が使用すべきである旨を決定する。基地局スクランブリングコード決定部53は、決定したスクランブリングコード番号SC2を基地局制御部51に与える。その後、ステップc7に移行する。
ステップc7では、基地局制御装置42の基地局制御部51は、受信したデータから抽出した移動局装置61の加入者情報に基づいて、無線基地局装置11が移動局装置61の利用者の制御対象であることを判別して、無線基地局装置11に対してCDMA無線送信開始の制御を行う。具体的には、基地局制御部51は、基地局スクランブリングコード決定部53で決定されたスクランブリングコード番号SC2とともに、そのスクランブリングコード番号SC2を用いて移動局装置61へのCDMA無線送信を開始する旨の指示を表す開始指示信号を、基地局インターフェース部52を介して無線基地局装置11に送信する。その後、ステップc8に移行する。
ステップc8では、無線基地局装置11の基地局用データ処理部22は、基地局制御装置42の基地局インターフェース部52を介して送信された、スクランブリングコード番号SC2およびそのスクランブリングコード番号SC2を用いて移動局装置61へのCDMA無線送信を開始する旨の指示を表す開始指示信号を、図示しないインターフェース部を介して受信し、その後ステップc9に移行する。
ステップc9では、無線基地局装置11のスクランブリングコード生成部24は、基地局制御装置42から送信されたスクランブリングコード番号SC2に対応するスクランブリングコードを、CDMA無線送信を行うときに用いるスクランブリングコードとして生成し、その後ステップc10に移行する。
ステップc10では、基地局用データ処理部22は、スクランブリングコード生成部24によって生成されたスクランブリングコードを用いて、利用者データおよび共通チャネルの拡散などを行い、CDMA無線送信を行うときに用いるCDMA無線送信用データを生成し、ステップc11に移行する。基地局用データ処理部22で生成されたCDMA無線送信用データは、基地局用CDMA無線通信部21に与えられる。
ステップc11では、基地局用CDMA無線通信部21は、基地局用データ処理部22から与えられるCDMA無線送信用データを用いて、移動局装置61へのCDMA無線送信を開始する。
本実施の形態では、無線基地局装置11による無線信号の送信の開始を要求する開始要求信号は、移動局装置61から他の無線基地局装置13Aを介して基地局制御装置42に与えられ、基地局制御装置42から無線基地局装置11に開始指示信号が与えられる。したがって、移動局装置61および無線基地局装置11に、赤外線通信部などの、CDMA無線通信部以外の通信部を持たせる必要がないので、移動局装置61および無線基地局装置11の構成を簡易化することができる。
また本実施の形態では、基地局制御装置42は、移動局装置61の加入者情報に基づいて、無線基地局装置11が移動局装置61の利用者の制御対象であることを判別して、無線基地局装置11に対してCDMA無線送信開始の制御を行う。すなわち基地局制御装置42は、移動局装置61の加入者情報に基づいて、無線基地局装置11に開始指示信号を与えるべきか否かを判断し、開始指示信号を与えるべきであると判断されると、無線基地局装置11に開始指示信号を与える。これによって、開始指示信号を与えるべきでない無線基地局装置に誤って開始指示信号が与えられることを防ぎ、開始指示信号を与えるべき無線基地局装置11に確実に与えることができる。
また本実施の形態では、基地局制御装置42は、他の無線基地局装置13Aの基地局IDに基づいて、他の無線基地局装置13Aが現在使用しているスクランブリングコード番号SC1を判別し、そのスクランブリングコード番号SC1とは異なるスクランブリングコード番号SC2を選択し、選択したスクランブリングコード番号SC2を無線基地局装置11に与える。このように基地局IDに基づいて他の無線基地局装置13Aのスクランブリングコード番号SC2を判別するので、スクランブリングコード測定部を設ける必要がない。したがって移動局装置61、他の無線基地局装置13Aおよび基地局制御装置42を簡単な構成で実現することができる。
本実施の形態では、無線基地局装置11は、他の無線基地局装置13Aが使用している無線パラメータの入手の有無を送信開始の必須条件とはしていないが、この無線パラメータを入手しない限り無線送信を開始しないようにロックする制御を行うように構成されてもよい。このような構成にすることによって、他の無線基地局装置13Aが構成するセルに対する混信を防ぐことができる。
以上に述べた第2および第3の実施の形態では、基地局制御装置42と無線基地局装置11,41とは、有線接続されているが、無線接続されてもよい。