JP5262230B2 - 新規多型検出法 - Google Patents

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Description

本発明は、インベーダ法を利用した遺伝子多型の検出方法、特にコピー数多型(CNV)の検出に適した方法に関する。
ある集団の中で1細胞あたりのコピー数が個体間で異なるゲノムの領域のことをコピー数多型(CNV)という。ゲノムDNAの数の多型としては、他に1塩基多型(SNP)、VNTR(Variable Number of Tandem Repeat)やマイクロサテライト多型などが知られているが、これらはすべて1kbp以下(通常、VNTRでは数〜数十塩基程度、マイクロサテライト多型では2-4塩基程度が1繰り返し単位)であるのに対し、コピー数多型は1kb以上の長さの大きな領域であり、遺伝子全体のコピー数の変化につながることが知られている。SNP等の場合と同様に、集団の中で1%以上の頻度を有するコピー数多型を特にCNP(Copy Number Polymorphism)とも呼ぶ(本明細書においては、以下、頻度にかかわりなくコピー数多型の略称として「CNV」を用いることとする)。
コピー数多型は、対照と比較して相対的にコピー数が多い場合と少ない場合とがあり、それぞれ重複および欠失と呼ばれる。通常ヒト等の細胞には遺伝子は2個(2コピー)あり、1つは父方、もう1つは母方に由来するとされるが、個体によっては1細胞あたりある遺伝子が1個(1コピー)しかなかったり(欠失)、あるいは3個(3コピー)以上存在する(重複)。このような遺伝子の重複/欠失が正常な形質をもつヒトのゲノム中に高頻度に見られる多型として初めて明確な報告がなされたのは2004年のことである(非特許文献1、2)。その後の解析により、コピー数多型はヒトゲノムの約12%の領域を占める比較的一般的な多型であることがわかり(非特許文献3)、疾患感受性、薬剤感受性などを含めヒトの形質差に広く関与している可能性があることが示された。
遺伝子におけるコピー数の差異は遺伝子産物のレベルに影響を及ぼすので、コピー数多型の中には、ある種の疾患に対する感受性や薬剤応答性およびその副作用に関連する可能性がある。また、遺伝子の中にも、正常な機能を有するアレル、機能が亢進または減少するアレル、機能を全く失うようなアレルが存在することがあり、単に遺伝子レベルではなく、特定のアレルのコピー数の変化が表現型に影響を及ぼすことがある。例えば、CYP2D6遺伝子における機能アレルの重複がオピオイド中毒を引き起こす極めて急速なコデイン代謝と相関することが示されている(非特許文献4)。このような情報を「ポイント・オブ・ケア(POC)」遺伝子検査システムとして個の医療に応用するためには、疾患感受性や薬物応答性に関連する遺伝子のコピー数のみならず各アレルのコピー数を測定する新規手法の開発が不可欠である(非特許文献5)。
これまでに、2000を上回るCNV領域が、BACアレイCGH(comparative genomic hybridization)(例えば、非特許文献3、6を参照)、ROMA(representational oligonucleotide microarray analysis)と呼ばれるオリゴヌクレオチドアレイ(非特許文献2)、フォスミドペアードエンド配列マッピング(fosmid paired-end sequence mapping )(非特許文献7)及びSNPマッピングアレイ(非特許文献3)を含む種々の方法によって同定されており、the Database of Genomic Variants [http://projects.tcag.ca/variation/]中にまとめられている。しかし、欠失または重複したゲノム領域は、これらのプラットフォーム技術の技術的な制限によって十分には特定されていない。例えば、BACアレイCGHは、検出に用いるプローブサイズが大きく(100kb以上)、50kb以下のCNVは検出できない。一方、ROMA法は、ゲノムのカバー範囲が小さいために解像度が低い。また、フォスミドペアードエンド配列解析では、1検体あたり大量のシーケンス解析を行うので、多数検体の解析が困難である。さらにSNPマッピングアレイは、ゲノム領域の一部においてマーカー密度が低いといった問題点がある(非特許文献5、8)。最近、高密度オリゴヌクレオチドタイリングアレイCGHが、CNVのブレイクポイントを正確に規定するために頻繁に使用されている(例えば非特許文献6を参照)。この方法は、高解像度の利点を有するが、プローブの特異性は、特にCNVホットスポットとして知られる相同領域中では、不十分である(非特許文献6、8)。
多重PCRと組み合わせたインベーダアッセイは、最も高い正確さをもつSNP遺伝子型決定方法の1つであり(非特許文献9、10)、International Hap Mapプロジェクトにおいて使用された(非特許文献11)。このアッセイは、エンドポイントアッセイとして開発されたものであり、15〜60分のインベーダ反応後に蛍光強度を測定する。このプロトコルは明確かつ正確なジェノタイピング結果を与えるが、このアッセイ法がCNVの検出に適用可能か否かについては何ら示唆されていない。
シトクロムP450 2D6(CYP2D6)は、最も広く研究された薬物代謝酵素の1つであり、多数の医薬(ブロッカー、抗不整脈薬、オピオイドならびに抗欝薬および抗精神病薬など)の生体内変換に関与する[非特許文献12]。CYP2D6は非常に多型性に富んだ遺伝子で、一塩基多型(SNP)、短い挿入および欠失(インデル(Indel))、遺伝子変換(gene conversion)およびコピー数多型(CNV)からなる60を超える公知のアレルバリアントが報告されている(http://www.cypalleles.ki.se/)。CYP2D6のCNVには全遺伝子欠失、同じ型のCYP2D6遺伝子の全遺伝子重複(CYP2D6*1xNおよびCYP2D6*2xNなど(1個体当たり13コピーまで))、異なる型のCYP2D6遺伝子の全遺伝子重複(CYP2D6*10-*36など)などが含まれる。CYP2D6で報告されている多型のうち約半数は、in vivoおよび/またはin vitroで酵素活性への関与が報告されており、いくつかは治療の無効または用量依存的な薬物毒性のリスクファクターである[非特許文献4、13−16]。
これらの多型(アレル)またはハプロタイプの量的効果とその酵素活性との間の関連を調査するために、CNVと他の多型の概念とを組み合わせて、各SNP, インデル,遺伝子変換多型のコピー数を定量するためのシステムを確立することが望まれている[非特許文献17、18]。
CYP2D6のジェノタイピング方法としてはSNP、インデル、遺伝子変換およびCNVに対する複数の方法(ロングPCRベースの制限断片長多型(RFLP)[非特許文献19]、Amplichip P450[非特許文献20、21]、ピロシーケンシング[非特許文献22]、SNaPshot[非特許文献23]など)が報告されているが、これらの技術は多型の定性的検出のために開発されたものであり、定量性を欠いている。
多型ごとにコピー数を算出するためには、遺伝子の総コピー数とアレル比を算出することが必要である。リアルタイム定量PCRを使用して総遺伝子コピー数を決定するための方法は既に確立されており、広く用いられている[非特許文献24、25]。一方、分子反転プローブ(molecular inversion probe)[非特許文献17]、TaqMan SNPジェノタイピングアッセイ[非特許文献26]、融解曲線分析[非特許文献27]および質量分析[非特許文献28]を含む、アレル比についてのいくつかの方法がこれまでに報告されているが、CYP2D6ジェノタイピングへの適用の可能性は不明であった。
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本発明の目的は、特にコピー数多型(CNV)の検出に広く適用可能な、正確、迅速かつ簡便な新規多型検出法を提供することである。
本発明者らは、従来エンドポイント法として実施されていたインベーダアッセイを改変して、PCR後の酵素反応の間にリアルタイム蛍光を検出できるようにした(polymerase chain reaction-real-time Invader assay;PCR-RETINAと命名した)。その結果、意外にも、インベーダ反応がプラトーに達する前の反応初期段階において、アレル比に比例したゲノムの重複、即ち重複から生じるアレルの非対称性を検出できることを見出した。さらに、本発明者らは、この方法を、リアルタイム定量PCRによって算出される総コピー数と組み合わせることにより、各アレルのコピー数を同定することに成功して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
[1]SNP部位を含むゲノム領域における被験体のジェノタイプを判定する方法であって、該被験体由来の該ゲノム領域を含むDNA含有試料を鋳型として、該SNP部位のタイピングをインベーダ法にて実施する工程を含み、かつ該工程において蛍光をリアルタイムで測定することを特徴とする方法;
[2]蛍光強度が飽和に達するより前の時点における各アレルに対応する蛍光強度の比を用いて、両アレルのコピー数の比を判定する、上記[1]記載の方法;
[3]SNP部位を含むゲノム領域がCNV領域内にある、上記[2]記載の方法;
[4]アレル非対称性を伴う重複を検出するためのものである、上記[2]または[3]記載の方法;
[5]インベーダ工程の前にSNP部位を含むゲノム領域を増幅する工程をさらに含む、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の方法;
[6]ゲノム領域が複数のSNP部位を含み、増幅工程が該複数のSNP部位を含む複数の領域を同時に増幅するものである、上記[5]記載の方法;
[7]定量PCRを用いて得られる両アレルの総コピー数(総遺伝子コピー数)に基づいて、各アレルのコピー数を判定する、上記[5]または[6]記載の方法;
[8]定量PCRがTaqMan法により行われることを特徴とする、上記[6]記載の方法;および
[9]アレル非対称性を伴う重複もしくは欠失が検出されたSNP部位が連続して、または連続しなくとも複数含まれる範囲を同定することによりCNVのブレークポイントを特定することを含む、上記[6]〜[8]のいずれかに記載の方法
等を提供する。
本発明は、CNV領域および癌などにおけるゲノム増幅領域の検出、CNV領域中のブレークポイント及びゲノム増幅領域の精緻化に非常に有利である。したがって、本方法は、POC遺伝子診断に適用でき、オーダーメイド医療の実現を加速させる可能性のあるツールである。
本発明は、リアルタイムインベーダアッセイ(RETINA)を行うことを特徴とする、SNP部位を含むゲノム領域における被験体のジェノタイプを判定する方法(以下、「本発明のジェノタイピング法」ともいう)を提供する。本発明のジェノタイピング法における被験体としては、SNP部位を含むゲノムDNAを有するものであれば特に限定されないが、好ましくは哺乳動物、特にSNPに関するデータが蓄積されているヒトやマウス等が挙げられる。タイピングの対象となるSNP部位を含むゲノム領域も特に限定されない。例えば、ヒトの場合、NCBI SNPデータベース[http://www.ncbi.nlm.nih.gov/SNP/]やJSNPデータベース[http://snp.ims.u-tokyo.ac.jp/index.html]に登録されている任意のSNP部位を含むゲノム領域が挙げられる。
好ましくは、本発明におけるSNP部位を含むゲノム領域は、コピー数多型(CNV)領域内に存在する。ヒトゲノムにおけるCNV領域はこれまでに種々の方法によって同定されており、the Database of Genomic Variants [http://projects.tcag.ca/variation/]中にまとめられている。例えば、後述の実施例で用いるMRGPRX1遺伝子を含むCNV領域は、the Database of Genomic VariantsにLocus2220として登録されており、第11番染色体の塩基番号18,762,138-19,051,811の約290kbpの範囲に及び、その中には、図6にRefSNP IDで特定して示される26の公知のSNP部位を含んでいる。
多型には、SNPの他に、インデル、遺伝子変換多型などが挙げられる。インデルとは、Insertion/Deletionの略称である。遺伝子変換とは、あるDNA配列が別の配列に変化した多型をいう。本明細書中で、SNP、インデルおよび遺伝子変換多型を代表してSNPについて説明する場合があるが、SNPをインデルまたは遺伝子変換と読み替えることができる。
SNP部位を含むゲノム領域は、1個のSNP部位を含んでもよいし、2個以上のSNP部位を含んでもよい。ゲノム領域が複数のSNP部位を含む場合、個々のSNP部位について、それぞれゲノムDNA含有試料を被験体から採取してインベーダ法を行うこともできるが、少量のゲノムDNAから複数のSNP部位のタイピングを行うことが望ましいので、1つのゲノムDNA含有試料から、該ゲノム領域中の各SNP部位を含む複数の部分領域をPCR(多重PCR、mPCRという)で同時に増幅し、この増幅産物を鋳型として個々のSNP部位についてインベーダ反応を行うことが好ましい。
被験体由来の該ゲノム領域を含むDNA含有試料としては、ゲノムDNAそのものであってもよいし、ゲノムDNAを鋳型として、目的のSNP部位を含むゲノム領域を予めPCRで増幅して得られる増幅産物であってもよい。ゲノムDNAを取得するために被験体から採取される試料としては、ゲノムDNAを含有する限り特に制限されず、いかなる細胞・組織を含むものであってもよいが、被験体にとって低侵襲性であることが望ましいので、例えば、血液、血球成分、リンパ液、精液、毛髪などが好ましく、血液およびその分画である血球成分(例、白血球)がより好ましい。採取した試料からのゲノムDNAの抽出は自体公知のいかなる方法によりおこなってもよく、当業者は、採取した試料の種類などに応じて好適な方法を適宜選択して用いることができる。
好ましい実施態様においては、被験体由来の目的のゲノム領域を含むDNA含有試料は、目的のSNP部位を含むゲノム領域を予めPCRで増幅して得られる増幅産物である。したがって、本発明のジェノタイピング法は、好ましくは、インベーダ工程の前にSNP部位を含むゲノム領域を増幅する工程をさらに含む。この増幅工程では、鋳型DNAとして準備したゲノムDNAと、タイピング対象のSNP部位を含む塩基配列を増幅するプライマー対とを用いて、常法に従ってPCRを行えばよい。上述の通り、ゲノム領域が複数のSNP部位を含んでいる場合、1つのゲノムDNA試料から、各SNP部位を含む塩基配列を増幅する複数対のプライマーを用いて、1回のPCRによって該ゲノム領域内に存在するすべてのSNP部位を増幅する多重PCR(mPCR)を実施することが好ましい。例えば、50以上(例、100以上、300以上)のSNP部位を含む領域をmPCRにより同時に増幅することができる。mPCRの詳細については、例えば、特開2002-300894公報を参照することができる。
前記増幅工程において用いられる各プライマー対は、例えば、各SNP部位を挟む約100〜数kbp、好ましくは約100〜約300bpのDNA断片を増幅できるように設計される。これらのプライマーは、目的の断片を特異的に増幅できるものであれば特に制限はなく、例えば約15〜約30塩基、好ましくは約17〜約25塩基であり、約18〜約22塩基であることがより好ましい。また、mPCRを行う場合、用いるプライマー対は、同等の温度で鋳型DNAにアニーリング可能なように設計されることが好ましい。
前記増幅工程においては、プライマーのミスアニーリングやオリゴマー化を防止すべく反応溶液が高温になってから、DNAポリメラーゼによる伸長反応を開始させる、いわゆるホットスタート法を適用することが好ましい。ホットスタート法の詳細については、例えば、特開2002-300894公報を参照することができる。
本発明のジェノタイピング法は、上記のようにして調製される、被験体由来の目的のゲノム領域を含むDNA含有試料を鋳型として、該ゲノム領域内のSNP部位のタイピングをリアルタイムインベーダアッセイ(RETINA)により行うことを特徴とする。RETINAとは、元来エンドポイントアッセイとして実施されているインベーダ法において、蛍光強度を反応開始からリアルタイムで測定するアッセイ手法を意味する。このようなリアルタイム蛍光の測定は、従来公知のリアルタイム定量PCRで使用される各種装置を用いて実施することができるので、簡便に行うことができる。
インベーダ法の原理およびその実施態様については、例えば、特開2002-300894公報を参照することができるが、概略すると以下の通りである。
インベーダ法では、TaqMan PCR法などとは異なり、アレル特異的オリゴヌクレオチド(アレルプローブ)自体は標識されず、多型部位の塩基の5’側に鋳型DNAと相補性のない配列(フラップ)を有し、3’側には鋳型に特異的な相補配列を有する。インベーダ法では、さらに鋳型の多型部位の3’側に特異的な相補配列を有するオリゴヌクレオチド(インベーダプローブ;該プローブの5’末端である多型部位に相当する塩基は任意である)と、5’側がヘアピン構造をとり得る配列を有し、ヘアピン構造を形成した際に5’末端の塩基と対をなす塩基から3’側に連続する配列がアレルプローブのフラップと相補的な配列であることを特徴とするFRET(fluorescence resonance energy transfer)プローブとが用いられる。FRETプローブの5’末端は蛍光標識(例えば、FAMやVICなど)され、その近傍にはクエンチャー(例えば、TAMRAなど)が結合しており、そのままの状態(ヘアピン構造)では蛍光は検出されない。
鋳型であるゲノムDNAにアレルプローブおよびインベーダプローブを反応させると、三者が相補結合した際に多型部位にインベーダプローブの3’末端が侵入する。この多型部位の構造を認識する酵素(cleavase)を用いてアレルプローブの一本鎖部分(即ち、多型部位の塩基から5’側のフラップ部分)を切り出すと、フラップはFRETプローブと相補的に結合し、フラップの多型部位がFRETプローブのヘアピン構造に侵入する。この構造をcleavaseが認識して切断することにより、FRETプローブの末端標識された蛍光色素が遊離してクエンチャーの影響を受けなくなって蛍光が検出される。
従来のエンドポイントアッセイとしてのインベーダ法では、15〜60分程度インベーダ反応を実施した後に蛍光強度を測定していたが、本発明のジェノタイピング法においては、リアルタイムで蛍光強度の増加を測定し、蛍光強度が飽和に達する、即ちインベーダ反応がプラトーに達するより前のある時点における、目的のSNP部位の各アレルに対応する蛍光強度の比を用いて、両アレルのコピー数の比を判定する。鋳型として用いるDNAの種類や反応条件などによって差はあるが、通常インベーダ反応は15〜20分程度でプラトーに達するので(図1a参照)、本発明のジェノタイピング法では、反応開始から15分後まで、好ましくは反応開始約1〜約10分後における蛍光強度比が用いられる。このように、本発明のジェノタイピング法は、従来のエンドポイント法によるインベーダアッセイよりも迅速に目的のSNP部位をタイピングすることができる。
本方法は、特に反応がプラトーに達する直前の時点で最もよい解像度を示す(図1c、d参照)。したがって、好ましい一実施態様においては、反応開始から反応が完全にプラトーに達するまでの時間、例えば約15秒〜約1分毎、好ましくは約30秒毎に蛍光強度を測定・記録し、蛍光強度が飽和する直前の時点における蛍光強度を用いて、各アレルに対応する蛍光強度の比が求められる。蛍光強度の比は、実際に両者の比を計算して数値化してもよいし、一方の蛍光強度を縦軸、他方の蛍光強度を横軸としてグラフ上にプロットすることにより行ってもよい。前者の場合、両アレルのコピー数の比が同じ被験体については近似した数値が与えられ、コピー数の比が異なる被験体については異なる数値が与えられる。また後者の場合、両アレルのコピー数の比が同じ被験体についてはグラフ上のある領域にプロットが集中(クラスター化)し、コピー数の比が異なる被験体についてはグラフ上の異なる位置にプロットされる。したがって、本発明のジェノタイピング法は、単なるSNP部位のタイピングに有用であるだけではなく、コピー数多型の検出に特に有用である。
既知アレル比の標準サンプルとの比較により、単にコピー数の比の同異を判定するだけでなく、コピー数の比を定量化することができる。即ち、目的のSNP部位を含む領域と同じ塩基配列を含むオリゴヌクレオチドを各アレルについて合成し、それらを異なるアレル比(例えば、1:0、8:1〜1:8、0:1など)で混合した複数の標準鋳型サンプルを用意し、同様にRETINAを行って被験体の場合と同じ時点における蛍光強度比を求め、蛍光強度比とアレル比との関係を示す検量線を作成するか(図4b参照)、一方の蛍光強度を縦軸、他方の蛍光強度を横軸としてグラフ上にプロットする(図4a参照)。上記のようにして求めた被験体における蛍光強度比を検量線に当てはめて対応するアレル比を求めるか、グラフ上のプロットの位置を標準鋳型サンプルのそれと比較することにより(図4d参照)、被験体における目的のSNP部位を含む領域についての両アレルのコピー数の比を判定することができる。
あるいはまた、多数の被験体について本発明のジェノタイピング法を実施する場合であれば、遺伝子の重複、即ちCNVが起こっていない被験体群では、インベーダ反応がプラトーに達する前のある時点における各アレルに対応する蛍光強度の比は、各アレルについてのホモ接合体(アレル比1:0もしくは0:1)およびヘテロ接合体(アレル比1:1)の3つの群に対応する数値(グラフ上にプロットした場合は3つのクラスター)に集約されるのに対し、遺伝子の重複が起こっている被験体、特に重複の結果アレル非対称性が生じている被験体では、上記3つのいずれとも異なる蛍光強度比をとり、3つのクラスターのいずれとも異なる位置にプロットされる(図2a、bおよび図3a、b参照)。ここで「アレル非対称性」とは、両アレルのコピー数比が1:1以外(例えば、2:1、1:2など)であるヘテロ接合体を意味する。一方、アレル対称性とは、両アレルのコピー数比が1:1であるヘテロ接合体およびホモ接合体を意味する。
したがって、このような場合には、検量線分析を行わなくとも、多数の被験体のプロットが集中する3つのクラスターを総コピー数が2コピーのホモ接合体およびヘテロ接合体と推定し、これらのクラスターから外れた位置にプロットされる被験体は、目的のSNP部位を含む領域について、アレル非対称性を伴う重複が起こっていると判定することができる。
本発明のジェノタイピング法は、迅速かつ簡便にアレル非対称性を伴う遺伝子重複を検出し得るという利点を有する反面、両アレルのコピー数の比を判定しうるのみであるので、アレル対称性の遺伝子重複(例えば、2コピー:2コピー)と遺伝子重複のないヘテロ接合体(1コピー:1コピー)とを判別できない、また、遺伝子重複のあるホモ接合体(3コピー:0コピー)と遺伝子重複のないホモ接合体、さらにはホモ接合体と欠失(1コピー:0コピー)とを判別できないという欠点を有する。そこで、被験体由来の目的のゲノム領域を含むDNA含有試料を鋳型として、別途定量PCRを行うことにより両アレルの総コピー数を求めれば、RETINAより得られる両アレルのコピー数の比と組み合わせて各アレルのコピー数を特定することができる。したがって、本発明はまた、RETINAと定量PCRとを組み合わせて各アレルのコピー数を判定する、被験体のジェノタイピング方法を提供する。
例えば、定量PCRより得られる両アレルの総コピー数が4コピーであり、RETINAより得られる両アレルのコピー数の比が1:1の場合、各アレル2コピーずつであると判定できる。また、定量PCRより得られる両アレルの総コピー数が3コピーであり、RETINAより得られる両アレルのコピー数の比が1:0の場合、被験体は重複を伴うホモ接合体であると判定することができる。さらに、定量PCRより得られる両アレルの総コピー数が1コピーであり、RETINAより得られる両アレルのコピー数の比が1:0の場合、被験体は欠失を伴うと判定することができる。
RETINAと定量PCRの結果に不一致が生じる場合、対象領域のゲノムDNA配列を直接シークエンスして検証することができる。後述の実施例に示されるとおり、例えば、定量PCRに使用されるプライマー配列部分に多型を有する被験体の場合、プライマーのアニーリング効率が悪いために、定量値が実際より低コピー数となる場合がある。RETINAを用いる本発明のジェノタイピング法は、それ単独では限定的な情報を与えるが、その信頼性はきわめて高いことが理解されよう。
ここで用いられる定量PCRとしては、リアルタイムPCRとして自体公知の任意の手法を用いて行うことができる。これらの手法は、蛍光試薬を用いてDNAの増幅量をリアルタイムで検出する方法であり、サーマルサイクラーと分光蛍光光度計を一体化した装置を必要とする。このような装置は市販されている。用いる蛍光試薬によりいくつかの方法があり、例えば、インターカレンター法、TaqManTMプローブ法、Molecular Beacon法等が挙げられる。いずれも、鋳型ゲノムDNAおよび目的のSNP部位を含むゲノム領域を増幅するためのプライマー対を含むPCR反応系に、インターカレーター、TaqManTMプローブまたはMolecular Beaconプローブと呼ばれる蛍光試薬または蛍光プローブを添加するというものである。インターカレーターは合成された二本鎖DNAに結合して励起光の照射により蛍光を発するので、蛍光強度を測定することにより増幅産物の生成量をモニタリングすることができ、それによって元の鋳型DNA量を推定することができる。TaqManTMプローブは両端を蛍光物質と消光物質のそれぞれで修飾した、標的核酸の増幅領域にハイブリダイズし得るオリゴヌクレオチドであり、アニーリング時に標的核酸にハイブリダイズするが消光物質の存在により蛍光を発せず、伸長反応時にDNAポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ活性により分解されて蛍光物質が遊離することにより蛍光を発する。従って、蛍光強度を測定することにより増幅産物の生成量をモニタリングすることができ、それによって元の鋳型DNA量を推定することができる。Molecular Beaconプローブは両端を蛍光物質と消光物質のそれぞれで修飾した、標的核酸の増幅領域にハイブリダイズし得るとともにヘアピン型二次構造をとり得るオリゴヌクレオチドであり、ヘアピン構造をとっている時は消光物質の存在により蛍光を発せず、アニーリング時に標的核酸にハイブリダイズして蛍光物質と消光物質との距離が広がることにより蛍光を発する。従って、蛍光強度を測定することにより増幅産物の生成量をモニタリングすることができ、それによって元の鋳型DNA量を推定することができる。本発明においては、好ましくはTaqMan法が用いられる。
前述の通り、本発明のジェノタイピング法は、複数のSNP部位を含むゲノム領域について、各SNP部位を含む部分塩基配列をmPCRで増幅した後、得られる増幅産物を鋳型として各SNP部位についてRETINAを行うことにより、各SNP部位を含む領域についてのアレル非対称性を伴う重複を検出することができる。したがって、例えば数百kbpに及ぶ長いCNV領域を対象として、該領域内に含まれる各SNP部位についてmPCR-RETINAを実施することにより、該CNV領域のどのSNPからどのSNPまでの間でコピー数多型が検出できるかを調べることができ、その情報に基づいて、どのSNPからどのSNPまでの間でCNVが起こっているか、即ちCNVのブレークポイントがどこかを特定することができる。CNVのブレークポイントを特定することは、特定の遺伝子の機能的単位または一部が重複されたか否かを判断するために必須である。機能的単位での遺伝子の重複が起こっていることがわかれば、該遺伝子の重複と疾患感受性や薬物応答性との間の相関を解明する上で重要な情報を提供しうる。例えば、後述の実施例において、the Database of Genomic VariantsにLocus2220として登録されているMRGPRX1遺伝子を含むCNV領域のmPCR-RETINAから、重複された領域の境界が、一方の側ではrs12364167とrs2220067との間に位置し、他方の側ではrs7110426 とrs11024893との間に位置すると判定することができ(図6参照)、これらの境界に挟まれた領域内に存在するMRGPRX1遺伝子は機能的単位としての重複が認められると判定される。
本明細書中で使用する場合、「重複」とは、特定の遺伝子が同一染色体上または相同染色体以外の染色体上に複数コピー存在することをいう。その場合、遺伝子は、1つの同一染色体上にタンデムに複数コピー存在しているか、別の染色体上にコピーされて存在し、ハプロイドゲノムとして2コピー以上存在している。相同染色体上に1コピーづつ、細胞当たり2コピーの遺伝子が存在する場合は重複と呼ばない。本明細書中では、重複(multiplication)は、1ハプロイドゲノムあたり、遺伝子が2コピー存在する場合(duplication)、3コピー存在する場合(三重化/triplication)またはそれ以上存在する場合などを包含する意味である。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、これらは単なる例示であって本発明を何ら限定するものではない。
実施例1
(材料及び方法)
ゲノムDNA
International HapMap project [International Hapmap Consortium, 2005] のための、30トリオのヨーロッパ系祖先 (CEU) および30トリオのヨルバ族 (YRI) からなる計180のゲノムDNAサンプルを使用した。これらのDNAサンプルは、Coriell Cell Repositoryから購入した。
PCR-RETINA
CYP2D6アッセイについて報告されたPCRプライマー、インベーダプローブ及びアレルプローブを使用した [Nevilie et al., Biotechniques, 32: S34-43, 2002]。残りのPCRプライマーは、Primer Express 1.5 (Applied Biosystems)によって設計し、別のインベーダプローブ及びアレルプローブは、報告された基準に従って、設計および合成した[Mast and Arruda, Methods Mol Biol. 335: 173-186, 2006]。全てのプローブ及びプライマーの配列を表1に列挙する。FAMまたはYakima Yellowで標識したFRETプローブは、Third Wave Technologiesから購入した。Rox色素(Sigma)を、レポーターシグナルの正規化のために使用した。
全てのアッセイにおいて100 nMのプライマー濃度で、製造業者のプロトコールに従って、精製ゲノムDNAを鋳型にPCR増幅を行った。全てのPCR増幅にはTakara Ex Taq HS (Takara)を使用した。1セットのプライマーを使用するPCR反応は5μlの反応容量で、GeneAamp 9700 (Applied Biosy stems)で実施した。CYP2D6アッセイの条件としては、95℃2分間でゲノムDNAをDenatureしたあと、PCR反応として95℃15秒間および68℃4分間を35サイクル行った。MRGPRX1アッセイにおいては、95℃2分間のあと、PCR反応として95℃15秒間、58℃30秒間および72℃1分間を35サイクル行った。多重(マルチプレックス)PCRについて反応条件は、10μlの反応容量で、95℃2分間のあと、PCR反応として95℃15秒間、58℃30秒間および72℃4分間を37サイクル行った[Ohnishi et al., J Hum Genet. 46: 471-477 2001]。
PCR反応後、産物を10倍希釈し、RETINAのテンプレートとして使用した。RETINAは4μlの反応容量で、Third Wave Technologiesにより推奨されるプロトコルに従って、ABIprism 7900 (Applied Biosy stems)で実施した。データ分析は、Excel program (Microsoft)で実施した。
Taqmanアッセイによるコピー数分析
Taqmanアッセイを使用してコピー数分析を行なった。まず、CYP2D6について報告されたTaqmanアッセイを使用した [Bodin et al., J Biomed Biotechnol. 3: 248-53 2005]。しかし、数人のYRI個体において、報告されたアッセイのリバースプライマー中に3塩基の挿入を見出したので、YRI個体の分析において正確なデータを得るために、Primer Expressによって新たなリバースプライマーを設計し、コピー数分析を再度実施した。MRGPRX1については、Primer Express 1.5を使用して全てのアッセイを設計した。Taqmanプローブは5’末端がFAMで標識され、3’末端にNo Fluorescence Quencher およびMGBを連結したものを用いた。参照遺伝子として、VICで標識したRNase P assay (Applied Biosystems)を使用した。全てのTaqmanアッセイを報告されたプロトコルに従って実施し、コピー数計算をΔΔCt法によって実施した[Bodin et al., 2005, 上述]。我々は、ΔCt値の中央値を有するサンプルを2コピーと仮定し、キャリブレータとして使用した。全てのサンプルを2連で試験し、平均コピー数値を散布プロット分析で使用した。全てのアッセイのプライマー及びプローブの配列は表1に列挙した。
DNAシーケンス解析
PCR-RETINAとTaqmanアッセイとの間で不一致な結果を示す2つのYRIサンプルを、既報の反応条件でPCRで増幅した [Dorad et al., Biotechniques. 39: 571-574 2005]。増幅されたDNAをABI prism 3700 sequencer (Applied Biosystems)でのDNAシーケンス解析に供し、Polyphred software (University of Washington)で分析した。
(結果)
人工テンプレートを使用したアレル非対称性の検出
本発明者らは、CNV領域中の複数のSNP座位でのアレル非対称性の同時検出のためのmPCR-RETINAを開発した。まず、rs2114912 SNP座位のゲノム配列に対応する2つの80塩基長のオリゴヌクレオチドテンプレートを合成した (表1)。これらのオリゴヌクレオチドを使用して、1:8〜8:1の範囲のアレル比で、標準サンプルを作製した。PCRによるDNAフラグメントの増幅後、30分間のインベーダ反応中30秒毎にリアルタイム蛍光検出を実施した。種々のアレル比を有するサンプルは、反応の初期段階においてアレル比に比例して明確に分離されたが、30分の反応時間後には、1つのヘテロ接合体として融合した(図1)。種々の時点でのallelic discrimination (AD) プロットの中で、反応が飽和する直前の時点が、クラスター解析で最良の分離を示した。
ヒトゲノムにおける遺伝子の重複の検出
PCR-RETINAがゲノムDNAを使用するCNV検出に適用可能か否かを試験するために、CYP2D6座及びMRGPRX1座に対応する2つのそれぞれのCNVの検出をこころみた。International HapMap project [International Hapmap Consortium, 2005]に使用された各90のCEUサンプルおよびYRIサンプルを使用してRETINA を実施した。CYP2D6では報告のある3つのSNPを選択し[Nevilie et al., 2002、上述]、MRGPRX1についてはdbSNPデータベースの情報に基づいて3つのSNPを選択した。CYP2D6アッセイでは、3つの座位のうち少なくとも1つにおいて、2人のCEU被験者及び9人のYRI被験者で3つの主要なクラスターの外側に検体由来のドットがプロットされた(図2a, b)。クラスター外にプロットされたこれらの11検体はTaqmanアッセイによって、3コピーのCYP2D6を有することが確認された (図2c,d)。一方、PCR-RETINAは、Taqmanアッセイによって3コピーまたは1コピーを有することが示された数人の個体を検出することができなかった。これらの検体は、3コピーの同じアレルまたは1つのアレルの欠失を含む検体であった。
MRGPRX1座でのPCR-RETINA分析では、両人種においてADプロット中に主要なクラスターの外側に位置する個体が多数検出され、これらの検体はTaqmanアッセイにより3コピー以上の重複を有する個体であることが確認された(図3)。このアッセイにおいて、PCR-RETINAは、4コピーを有する数人の個体を同定することができなかった。これらの個体は、両方のアレルを2コピーずつ有し、ヘテロ接合体のクラスターにプロットされた個体であった。これらの実験により、PCR-RETINAは、アレル非対称性を有するサンプルを検出できるが、欠失、ホモの重複、アレル対称性を伴う重複を検出できないことが示された。
CYP2D6の実験において、YRIの2検体でPCR-RETINAとTaqmanアッセイの間に結果の不一致を観察した。これらのサンプルは、Taqmanアッセイでは1コピー(欠失)を有すると推定されたが、PCR-RETINAではヘテロ接合体であった。この2検体に対してDNAシーケンス解析を実施した結果、Taqmanアッセイのリバースプライマー配列に対応する領域に、以前には報告されていない3塩基の挿入(M33388中の4578-4579insCAT)を見出した。この挿入が不一致につながったことを証明するために、この挿入を避けて新たなリバースプライマーを設計し、Taqmanアッセイによるコピー数解析を再実施した。その結果不一致は観察されなくなり、PCR-RETINAの結果が正しいことが確認された。
アレルコピー数の推定
次に、PCR-RETINAにおけるADプロットグラフ中のドットの位置の情報(アレル比)とTaqmanアッセイによって測定された総コピー数とを組み合わせて、各アレルコピー数の推定を試みた。この推定の正確さを確認するために、CEU個体を使用してrs4756975座位についての検量線分析を実施した。2コピーのヘテロ接合体サンプル(NA07034およびNA12056)を混合することによって8:1〜1:8のアレル比の範囲で標準サンプルを、調製した。種々のアレル比の標準サンプルでPCR-RETINAを実施し、インベーダ反応の3分の時点で解析した(図4a)。X軸に蛍光強度比(FAM 強度/ Yellow 強度)のログをプロットし、Y軸にアレル混合比のログをプロットし、線形回帰曲線を計算した(図4b)。この検量線を、2コピーのヘテロ接合体個体の蛍光強度比を使用して補正した。実際に90人のCEU検体を用いてPCR-RETINAを実施し、線形回帰曲線によって各アレルのコピー数を計算した。検量線分析によって推定した種々のアレル比を有する個体は、ADプロットにおいてドット位置が明確に分離した(図4c, d)。
ゲノム重複のブレークポイントを規定するためにPCR-RETINAを適用する
次いで、ゲノム増幅のブレークポイント探索にPCR-RETINAを適用した。コピー数多型におけるブレイクポイント探索は、遺伝子の機能単位の一部または全体が重複されているか否かを判断するために必須である。MRGPRX1遺伝子周辺には、the Database of Genomic Variantsにおいて4つのCNV領域が報告されており、この領域のブレイクポイントの探索にPCR-RETINAを利用した。Variation_0415 (8kb)およびVariation_0416 (13.4kb)はフォスミドペアードエンド配列から見出され、Variation_2907 (52.8kb) はSNP マッピングアレイから、そしてVariation_3838 (263.3kb) はBAC アレイCGHから見出された。そこで、最大の領域(Variation_3838)をカバーする26のSNPに対してアッセイを設計し、90 人のCEU検体を用いてPCR-RETINAを実施した。その結果、rs2220067とrs7110426との間にのみアレル非対称性が観察され、その外側の座位では観察されなかった(図5, 6)。従って、重複された領域の境界が、一方の側ではrs12364167とrs2220067との間に位置し、他方の側ではrs7110426 とrs11024893との間に位置すると考えられた。この領域に4つのTaqmanアッセイを設計して実施したところ、PCR-RETINAの結果と一致した。結果として、MRGPRX1遺伝子のみがこのCNV領域中に存在することが確認された (図5)。UCSCゲノムブラウザでこの領域を確認したところ、このCNV領域の両側にLine-1リピートが存在していることが明らかとなった(図5)。このことから、この領域のコピー数多型は、これらのリピートを起点として非アレル相同組換え等により生じた可能性が高いと考えられた。YRI検体を使用した同じ分析も、CEU検体によって得られたデータと同じ結果であった。
多重PCR RETINA (mPCR-RETINA)の評価
多重PCR およびRETINA の組み合わせ (mPCR-RETINA)の実行可能性を評価した。1セットのプライマーを用いたPCR-RETINAのADプロットパターンを、上記26のアッセイに対応するmPCR-RETINAのADプロットパターンと比較した。mPCR-RETINAにおいては26のターゲットで、わずか10ngのゲノムDNAを使用したが、mPCR-RETINAのADプロットのパターンは、1セットのプライマーを用いたPCR-RETINAのパターンとほぼ同一であった(図6)。このことは、mPCR-RETINAがCNV領域中の複数の座位を同時に検出できることを意味している。
CNVが機能的遺伝子単位のコピー数の差異を示すか否かを調べるために、CNVのブレイクポイントを規定することは重要である。また、オーダーメイド医療の確立のためには、CYP2D6遺伝子などの、表現型と相関する機能アレルのコピー数を決定することが重要である。mPCR-RETINA法を使用して、本発明者らは、特定の座位のアレル非対称性分析が、ゲノム重複領域を規定できることを実証した。さらにRETINAは、多重PCRとの組み合わせで、CNV領域の複数のSNP座位において、各アレルのコピー数を同時に決定できることが証明された。
実施例2
(材料および方法)
ヒトゲノムDNAサンプル
第I期International HapMap projectにおいて用いられた45人の日本人被験体および45人の中国人被験体(JCH)由来の90のゲノムDNAサンプルを、mPCR-RETINAおよびリアルタイム定量PCRアッセイにおいて、アレル頻度の分析およびアッセイ性能の評価に使用した。これら90のJCHサンプルのうち2つ(NA18996およびNA18540)は、Locke DP, et al., Am J Hum Genet 2006; 79: 275-290で細胞の株化に伴う染色体異常が報告されているため、サンプルリストから除外した。JCHサンプルは、Coriell Cell Repositories(Camden、New Jersey、USA)から購入した。
RETINAのためのCYP2D6遺伝子の多重PCR増幅
RETINAにより各SNP、インデルまたは遺伝子変換多型のアレル比を推定するために、RETINA前にCYP2D6遺伝子のPCR増幅を実施した。3セットのプライマーペアで全CYP2D6遺伝子領域をカバーするように三重(トリプレックス)PCRを実施した。PCRプライマーのほとんどは、実施例1およびNevilie M, et al., Biotechniques 2002; Suppl: 34-43に記載されたプライマーを使用した。アンプリコン1のためのフォワードプライマーは、充分な増幅のためにHersberger M, et al., Clin Chem 2000; 46: 1072-1077に記載されたプライマーから選択し、アンプリコン3のリバースプライマーは、CYP2D6*10DおよびCYP2D6*36を検出するために、3’隣接領域中のCYP2D6およびCYP2D7Pの共通部位にて設計した。これらのアレルはそれぞれ、3’隣接領域またはエキソン9中および3’隣接領域中にCYP2D7P配列を有し、日本人集団において高頻度であることが報告されている[Soyama A, et al., Drug Metab Pharmacokinet 2006; 21: 208-216、Ishiguro A, et al., Clin Chim Acta 2004; 347: 217-221]。2988G>A(CYP2D6*41)はアンプリコン2とアンプリコン3との間の部位に位置し、三重PCR産物はこの多型部位をカバーしないので、この多型に特異的なプライマーを別に設計した。CYP2D6のアッセイマップについては図7を参照のこと。三重PCR増幅のために、Takara Ex Taq HS(Takara Bio、Otsu、shiga、Japan)を、製造者の指示に従って、250nMのプライマー濃度で使用した。PCRは、10ngのゲノムDNAを使用して、10μlの反応容量でGeneAmp 9700(Applied Biosystems、Foster City、California、USA)で実施した。CYP2D6アッセイのPCR条件は、95℃で2分間で開始し、その後98℃で10秒間および68℃で4分間を35サイクルであった。PCR後、アガロースゲル電気泳動によってPCR産物の増幅を確認した。使用した全てのプライマーおよびプローブの配列を表2に列挙する。
リアルタイムインベーダアッセイ(RETINA)
CYPアレルデータベース(http://www.cypalleles.ki.se/)から酵素活性に影響を与えた24の多型を取り上げ、RETINAを実施した(表3)。アッセイ位置は図7に示す。1846G>Aおよび100C>TのRETINAのために、以前に報告されたアッセイを採用した[Nevilie M, et al., Biotechniques 2002; Suppl: 34-43]。残りの多型については、Third Wave Technologies(Madison、Wisconsin、USA)により推奨されたガイドラインに従い、インベーダアッセイを設計した。全てのプローブの配列を表2に列挙する。FAMまたはYakima Yellowで標識したFRETプローブはThird Wave Technologiesから購入した。Rox色素(Sigma、Saint Louis、Missouri、USA)をレポーターシグナルの正規化に使用した。多重PCR産物を使用して、上記と同様のプロトコルに従い、ABIprism 7900(Applied Biosystems)で、4μlの反応容量で2連で、各多型についてRETINAを実施した。データ分析はExcel(Microsoft、Redmond、Washington、USA)で実施した。各サンプルにおけるアレル比を、上述のとおり、RETINAにおけるADプロットグラフ中の相対的なドット位置の情報から推定した。
これらのアレルの酵素は、CYP2D6基質薬物の低代謝群(poor metabolizer (PM))、中間代謝群(intermediate metabolizer (IM))を生じ、これらのアレルを持たない正常型は高代謝群(extensive metabolizer (EM))、正常型の遺伝子重複を有する場合は超高速代謝群(ultrarapid metabolizer (UM))を生ずる。各アレルの頻度は集団間で異なっており、例えば、CYP2D6*3(2549delA)、CYP2D6*4(1846G>A)、CYP2D6*5(全遺伝子欠失)およびCYP2D6*6(1707delT)はヌル機能の酵素として報告されており、コーカソイド集団において広く分布している[Sachse C, et al., Pharmacogenetics 1998; 8: 181-185]。ヌルアレルのみを有する個体は、CYP2D6によって主に代謝される薬物のPMと定義され、5〜10%のコーカソイドがPMと考えられる[Broly F, et al., DNA Cell Biol 1991; 10: 545-558]。一方、CYP2D6*1xN/*1およびCYP2D6*1x2/*1などの複数の活性遺伝子を有する個体はUMと定義され、1〜7%のコーカソイドがUMであると報告されている[Ingelman-Sundberg M. et al., Drug Metab Rev 1999; 31: 449-459]。アジア人集団では、PMおよびUMの割合はコーカソイドよりも低い(PM:<1%、UM:1〜2%)[Nakamura K, et al., Clin Pharmacol Ther 1985; 38: 402-8、Dahl ML, et al., Pharmacogenetics 1995; 5: 159-164]。一方でCYP2D6*10(100C>T)は一般的なアレルであると報告されており、約40〜50%のアジア人に存在する[Yokota H, et al., Pharmacogenetics 1993; 3: 256-263、Nakamura K, et al., Biochem Biophys Res Commun 2002; 293: 969-973]。このアレルは酵素活性が損なわれていることが報告されており、このアレルのホモ接合体個体、およびこのアレルと他のヌルアレルとの組み合わせを有するヘテロ接合体個体はIMと定義される。最近、CYP2D6*36(100C>Tおよびエキソン9におけるCYP2D7Pへの遺伝子変換)もまた、アジア人集団において一般的であり、CYP2D6*10-*36のタンデム型の重複の形態で存在することが報告されている[Soyama A, et al., Drug Metab Pharmacokinet 2006; 21: 208-216]。CYP2D6*10-*36のタンデム型重複とその酵素活性との間の関連については殆ど知られていないが、CYP2D6*36の酵素活性は無視できるものであると報告されている[Gaedigk A BL, et al., Drug Metab Dispos 2006; 34: 563-569]。
リアルタイム定量PCR(TaqManアッセイ)
TaqManアッセイを使用してリアルタイム定量PCRを実施し、CYP2D6遺伝子の総コピー数を推定した。正確な推定のために標的特異的認識に最大の注意を払って、CYP2D6遺伝子の内部および周辺の異なる部位で5つのTaqManアッセイを設計した。アッセイ位置は図7中に示す。5つのアッセイのうち3つについてPrimer Express 2.0を用いてプライマーおよびTaqManプローブを設計した。残り2つはそれぞれ、報告されたアッセイ[Bodin L, et al., J Biomed Biotechnol 2005; 005: 48-53]および市販のアッセイ(Applied Biosystems)であった。これらのTaqManプローブの5’末端をFAMで標識し、3’末端にNon Fluorescence Quencher(NFQ)およびMGBを連結させた。サンプル間のゲノムDNA量の差異を補償するため、VICで標識したRNase Pアッセイ(Applied Biosystems)を使用した。全てのTaqmanアッセイは報告されたプロトコルに従って実施し、コピー数の計算をΔΔCt法によって実施した[Bodin L, et al., J Biomed Biotechnol 2005; 005: 48-53]。本発明者らが以前に同定した(Hum Mutat 2008; 29: 182-189)2コピーのCYP2D6を有するHapMap CEUコントロールサンプル(NA12753またはNA12707)をキャリブレータとして使用した。全てのサンプルを4連で試験し、平均コピー数の値を散布プロット分析で使用した。全てのTaqManアッセイのプライマーおよびプローブの配列を表2に列挙する。
ハプロタイプ/ディプロタイプの推定および表現型予測
最初に、アレル比のデータと総遺伝子コピー数のデータとを組み合わせて各多型のコピー数を推定した。その後、期待値最大化(Expectation-Maximization(EM))アルゴリズムに基づく分析ソフトウェアである「CNV phaser」(これは、ある集団におけるCNVまたは非CNV領域中のハプロタイプ構造を推定し、各個体にアレルの組み合わせ(ディプロタイプ)を割り当てることができる)を用いて、CYP2D6アレルについてハプロタイプ/ディプロタイプの推定を実施した。「CNV phaser」は、理化学研究所遺伝子多型研究センターの加藤護博士より提供された(Kato et al.、論文投稿中。日本国特許出願2008-048748およびPCT出願PCT/JP2008/053567に記載されている)。各個体は、「ディプロタイプ確率値(diplotype probabilty value)」を有する。「ディプロタイプ確率値」とは、観察されたジェノタイピングデータセットと一致する全ての可能なディプロタイプ中の1つの特定のディプロタイプをその個体が有する確率を意味する。各サンプル中で最も高いディプロタイプ確率を有するディプロタイプパターンを取り上げ、アレル頻度を計算した。従来の表現型予測および活性スコアリングは、Steimer W, et al., Clin Chem 2004; 50: 1623-1633、Heller T, et al., Ther Drug Monit 2006; 28: 673-677に記載のように実施した。
CNVの確認のためのロングPCR
Soyama A, et al., Drug Metab Pharmacokinet 2006; 21: 208-216、Fukuda T, et al., Drug Metab Pharmacokinet. 2005; 20: 345-50、Chida M AN, et al., Pharmacogenetics 2002; 12: 659-662に記載されたプロトコルに従ってロングPCRを実施し、全遺伝子欠失(CYP2D6*5)および遺伝子重複(CYP2D6*1x2、CYP2D6*2x2、CYP2D6*10x2、CYP2D6*36x2またはCYP2D6*10-36)を含むCNVを確認した。
ダイレクトシーケンス
ABI prism 3700 DNAシーケンサー(Applied Biosystems)でダイレクトシーケンスを実施して、JCHサンプルにおいて、mPCR-RETINAで検出されたアレルを確認した。この実験には、報告されたプライマー[Soyama A, et al., Drug Metab Pharmacokinet 2004; 19: 313-319]および新たに設計したプライマーを使用した。全CYP2D6遺伝子領域をロングPCRで増幅し、Applied Biosystemsにより推奨されたプロトコルに従ってシーケンス反応に使用した。配列データをSeqScapeソフトウェア(Applied Biosystems)で分析した。ダイレクトシーケンスのための全てのプライマーの配列を表2に列挙する。
(結果)
mPCR-RETINAおよびリアルタイム定量PCRによる、JCHサンプルにおけるCYP2D6のジェノタイピング
最初に、CYPアレルデータベースから、in-vivoまたはin-vitroでの機能的重要性が報告された24の多型を取り上げた。各多型についてインベーダアッセイを設計および構築し、HapMap JCHサンプルを使用して三重PCRおよび24のRETINAを実施した。次いで、100%のアッセイ成功率でアレル比データを取得し、7つの座位においてバリアントの型を検出した。さらに、特に100C>Tアッセイおよびエキソン9のCYP2D6/CYP2D7P遺伝子変換アッセイで、ヘテロ接合体クラスターにおいて明確なアレルの非対称性が観察され、各多型においてアレル比を推定することができた(図8a)。ダイレクトシーケンスを全てのJCHサンプルにおいて実施し、バリアントの型を確認した。
mPCR-RETINAの評価と同時に、総遺伝子コピー数の推定のために5つのリアルタイム定量アッセイを実施した。CYP2D6遺伝子領域にわたって特定の部位でアッセイを設計し、各サンプル中のCYP2D6の総コピー数の値がアッセイ間で一定であるか否かを調査した。88のJCHサンプルを検討したところ、エキソン9中に位置する2つのアッセイ間、または他の異なる部位中に位置する3つのアッセイ間で、完全な一致が観察された(図8b)。エキソン9中の2つのアッセイと他の3つのアッセイとの間では、コピー数データは複数のサンプルにおいて明らかに異なっていた。この差異は、エキソン9のCYP2D6/CYP2D7P遺伝子変換多型(これは、日本人集団においてCYP2D6*36として広く分布しており[Soyama A, et al., Drug Metab Pharmacokinet 2006; 21: 208-216]、13塩基の置換に起因して、エキソン9で設計したCYP2D6特異的TaqManアッセイでは検出できない)の存在によって引き起こされたと推定される。リアルタイム定量PCRアッセイにおける差異からのエキソン9中のCYP2D6/CYP2D7Pの比と、この多型についてのRETINAからの比との間に、完全な一致が観察された。これにより、3つのアッセイからのコピー数データがCYP2D6遺伝子の総遺伝子コピー数であり、エキソン9中の2つのアッセイからのコピー数データが、エキソン9の遺伝子変換多型を有するアレル以外のCYP2D6遺伝子のコピー数であったことが確認された。
mPCR-RETINAからの24の多型におけるアレル比のデータと、リアルタイム定量PCRアッセイ(エキソン9中を除く)からの総遺伝子コピー数のデータとを組み合わせ、全てのJCHサンプル中の全ての総遺伝子コピー数において、ADプロット図中のヘテロ接合体クラスターのクラスタリング分離を検討した。その結果、アレル比と総コピー数との間には食い違いがなく、これらのアッセイの精度が高いことが確認された。これら2つの技術からのデータを組み合わせることによって、全てのJCHサンプルにおいて、24のSNP、インデルおよび遺伝子変換多型のコピー数の値を得ることができた。
ハプロタイプ/ディプロタイプの推定および表現型予測
88のJCHサンプル中の各多型のコピー数データを使用して、ハプロタイプ(アレル)およびディプロタイプを、CNV phaserソフトウェアを用いて推定した。集団におけるハプロタイプの、および各サンプルにおけるディプロタイプの推定後、各アレルの頻度を計算した(表4)。最も高い頻度を有するアレルは、最近の報告[Soyama A, et al., Drug Metab Pharmacokinet 2006; 21: 208-216]から主にCYP2D6*1およびCYP2D6*2であると考えられた「Others」であり、その値は88のJCHサンプルにおいて0.466であった。二番目に高いのはCYP2D6*10-*36タンデム型であり、値は0.358であった。CYP2D6*10および全遺伝子欠失CYP2D6*5はそれぞれ0.057および0.051であり、Others-Others(これは、CYP2D6*1x2またはCYP2D6*2x2などの、機能的遺伝子の重複であり得る)は0.006であった。また、CNV phaserは、報告のないCYP2D6*10-*36-*36アレルを、非常に低い頻度に推定した。このアレル頻度データを最近の報告[Soyama A, et al., Drug Metab Pharmacokinet 2006; 21: 208-216、Soyama A, et al., Drug Metab Pharmacokinet 2004; 19: 313-319]と比較したところ、これらは互いに全く類似していた(表4)。
推定された全遺伝子欠失および重複を確認するために、88のJCHサンプルを使用して、報告されたプロトコルに従ってロングPCRを実施した。その結果、ロングPCRの結果とCNV phaserの結果との間には良好な一致がみられた。図9を参照のこと。
遺伝子型データを、従来の分類および酵素活性スコアに基づいて予測された表現型データに変換した(表5)[Steimer W, et al., Clin Chem 2004; 50: 1623-1633、Kirchheiner J, et al., Pharmacogenomics J 2007; 7: 257-265、Gaedigk A, et al., Mol Ther 2008; 83: 234-242]。表現型予測では、88のJCHサンプルにおいてPMは0検体であり、21(23.9%)がIMに分類され、66(75%)がEMに分類され、1(1.1%)がUMに分類された。活性スコア分析において、PM(スコア0)は0検体であり、IMはCYP2D6*10およびCYP2D6*41のコピー数に従って2つの群(スコア0.5または1)に分類され、EMは3つの群(スコア1、1.5、または2)に分類され、UMは1検体のみでスコア3であった。
以上の結果により、本発明のシステムが、正確な遺伝子型およびハプロタイプ/ディプロタイプデータを提供できることが実証された。
mPCR-RETINAは、ゲノム重複を検出するための既報の方法と比較していくつかの利点を有する。第1に、mPCR-RETINAは、より少量のゲノムDNAしか必要としない。実際、mPCR−RETINAではわずか10ngのゲノムDNAを使用したにすぎない。これは、一回のSNP分析のために、0.38ngのゲノムDNAが必要であることを意味する。1つの座位に必要なゲノムDNAの量は他の方法よりも大幅に少なく、例えば、MLPAでは0.5-12.5ng/部位、MAPHでは12.5-25ng/部位、QMPSFでは10ng/部位、リアルタイム定量PCRでは5-100ng/部位(TaqMan および SYBR)、融解曲線分析では10ng/部位、およびサザンブロット分析では5-10μg/部位である。
第2に、mPCR-RETINAは、特異性が高く、反復配列や遺伝子ファミリーの領域中であってもアッセイが可能である。一般に、重複領域は、ゲノムの別の領域に高い類似性を有することが多く、検出が困難な場合がある。他のPCRを基にした方法は、通常アンプリコンサイズに制限があり、特異性のある領域にプライマーを設計することがしばしば困難である。しかし、mPCR-RETINAは、1kb以上の長さのアンプリコンサイズでも対応可能で、PCRプライマーを特異領域に設計し、相同性領域のPCR増幅を回避できる。さらに、Invader法は標的SNP部位で独特のトリプレット構造を認識するCleavase VIII酵素を採用しているので、ハイブリダイゼーション単独による方法と比較して、高い特異性を示す。実際、PCR-RETINAは、Line-1リピート内の3SNPアッセイにおいて、ジェノタイピングが可能であった(rs2220067, rs11517776およびrs11024893, 図6)。
第3に、PCR-RETINAは各アレルのコピー数を推定できる正確なアレル特異的定量アッセイであり、リアルタイム定量PCRと組み合わせることによって、各アレルのコピー数を算出できる。この特徴は、CNVと表現型との相関解析、臨床診断に有用である。
mPCR-RETINAの他の利点として、プロトコールの簡素さと低コストがあげられる。mPCR-RETINAは単にPCRおよびインベーダアッセイの組み合わせであり、5分以内に多数のサンプルを同時に試験できる。多重PCRの採用と座位特異的蛍光プローブを必要としないことは、低コスト化につながる。
本発明によれば、コピー数多型を迅速、簡便かつ安価に検出することができる。特にCNV領域における重複のブレークポイントを特定することができるので、CNV領域内の遺伝子が機能的単位で重複を生じているか否かを検証することができる。また、該遺伝子と疾患感受性や薬物応答性との相関を解明し、オーダーメイド医療の実現を図るのに有用である。
人工テンプレートを使用したPCR-RETINAによるアレル非対称性の検出を示す図である。全ての実験は4連で実施した。(a)インベーダアッセイの間の蛍光シグナルのリアルタイム検出。Roxによる正規化後の、レポーター蛍光シグナル値(FAM およびYakima Yellow)をプロットした。縦軸は正規化したレポーターシグナル(FAMまたはYakima Yellow)であり、横軸は反応時間を30秒毎に示す。(b)インベーダ反応の3分後のPCR-RETINAの2次元ADプロット。縦軸は正規化したFAMアレルシグナルであり、横軸は正規化したYakima Yellowアレルシグナルである。 (c)インベーダ反応における0.5分、3分、10分および30分での2次元AD プロット。(d)30分のインベーダ反応中の、アレル非対称性を示すクラスターパターンの推移。 PCR-RETINAによるCYP2D6遺伝子の重複の検出を示す図である。CEU (a) 個体およびYRI (b) 個体を使用したPCR-RETINAの2次元ADプロット。四角の中の英数字は、rs番号とRETINAの時点を示す。蛍光強度がプラトー期に達する直前の変曲点での2次元ADプロットを示す。ADプロットの縦軸は正規化したFAMアレルシグナルを示し、横軸は正規化したYakima Yellowアレルシグナルを示す。●は、アレル非対称性を有する個体を示す。×印は、正常なホモ接合体またはヘテロ接合体のクラスター中にプロットされた個体、あるいは数人のタイプが決定されていない個体を示す。■は、テンプレートなしのコントロール(NTC)を示す。CEU (c)およびYRI (d)における、TaqmanアッセイによるCYP2D6のコピー数分析。全ての反応は2連で実施し、平均コピー数値を示した。赤の菱形はPCR-RETINAにおけるアレル非対称性を有する個体を示す。 PCR-RETINAによるMRGPRX1遺伝子の重複の検出を示す図である。CEU (a) 個体およびYRI (b) 個体を使用したPCR-RETINAの2次元ADプロットを示す。●は、アレル非対称性を有する個体を示す。×印は、正常なホモ接合体またはヘテロ接合体のクラスター中にプロットされた個体、あるいは数人のタイプの決定されていない個体を示す。■はテンプレートなしのコントロール(NTC)を示す。CEU (c)およびYRI (d)における、Taqmanアッセイによるコピー数分析の結果。 検量線法によるアレルコピー数の確認を示す図である。 (a) 3分のインベーダ反応の時点での、種々のアレル比(8:1, 4:1, 2:1, 1:1, 1:2, 1:4および 1:8)での標準サンプルのADプロット。(b)既知のアレル比を有する標準サンプルによる検量線。(c) Taqmanアッセイによって得られた総コピー数。 赤の菱形、青の菱形および緑の菱形はそれぞれ、3コピー、4コピーおよび5コピーの個体を示す。黒の菱形は、2コピー、1コピーおよび0コピーの個体を示す。 (d) 3分のRETINA反応におけるCEUサンプルのADプロット。赤の丸、青の丸および緑の丸はそれぞれ、3コピー、4コピーおよび5コピーを有する個体を示す。×印は、2コピー、1コピーまたは0コピーの個体を示す。黒の四角は、テンプレートなしのコントロール(NTC)を示す。ADプロット中の数字は、検量線によって計算した推定アレル比を示す。 MRGPRX1遺伝子を含む重複された領域のブレークポイントの精緻化を示す図である。最大のゲノムバリエーションをカバーする領域(Variation_3838)を図の上側に示す。MRGPRX1遺伝子及びその隣接領域のマップは、UCSCゲノムブラウザおよびDatabase of Genomic Variantsから抽出した。矢印は、PCR-RETINAおよびTaqmanアッセイのアッセイ位置を示す。重複された領域の境界の決定に特に関連する代表的なADプロットを、図の中央に示す。ADプロット中の●は、アレル非対称性を有する個体を示す。Taqmanアッセイによるコピー数測定を図の下側に示す。赤の菱形は、26のアッセイのうち少なくとも1つにおいてアレル非対称性を有する個体を示す。“Min”およびMax の文字が入った四角は、PCR-RETINA実験によって精緻化された、重複領域の最小サイズおよび最大サイズを示す。 多重PCR-RETINA (mPCR-RETINA)の評価を示す図である。各アッセイを、PCR-RETINA (単一PCR) とmPCR-RETINAとの間で、その性能を比較した。四角の中の英数字は、各SNPアッセイのrs番号を示す。上側のADプロットはPCR-RETINA (単一PCR)の結果を示し、下側のADプロットはmPCR-RETINAの結果を示す。赤の丸は、アレル非対称性を有する個体を示す。赤の矢印はCNV領域の境界を示す。 多重PCR-RETINA (mPCR-RETINA)の評価を示す図である。各アッセイを、PCR-RETINA (単一PCR) とmPCR-RETINAとの間で、その性能を比較した。四角の中の英数字は、各SNPアッセイのrs番号を示す。上側のADプロットはPCR-RETINA (単一PCR)の結果を示し、下側のADプロットはmPCR-RETINAの結果を示す。赤の丸は、アレル非対称性を有する個体を示す。赤の矢印はCNV領域の境界を示す。 多重PCR-RETINA (mPCR-RETINA)の評価を示す図である。各アッセイを、PCR-RETINA (単一PCR) とmPCR-RETINAとの間で、その性能を比較した。四角の中の英数字は、各SNPアッセイのrs番号を示す。上側のADプロットはPCR-RETINA (単一PCR)の結果を示し、下側のADプロットはmPCR-RETINAの結果を示す。赤の丸は、アレル非対称性を有する個体を示す。赤の矢印はCNV領域の境界を示す。 CYP2D6の、mPCR-RETINAおよびリアルタイム定量PCR(TaqMan)アッセイのアッセイマップを示す図である。 アレル比および総遺伝子コピー数の推定を示す図である。(a)JCHサンプルを用いたmPCR-RETINAによるアレル比の推定。四角の中の英数字は、多型およびRETINAの時点を示す。蛍光強度がプラトー期に達する直前の時点でのADプロットを示す。ADプロットの縦軸は正規化したFAMアレルシグナルを示し、横軸は正規化したYakima Yellowアレルシグナルを示す。色は、リアルタイム定量PCRによって得られた総遺伝子コピー数を示す。紫の三角、赤丸、青丸、淡緑色の丸は、それぞれ1コピー、2コピー、3コピーおよび4コピーを持つサンプルを示す。黒の四角はテンプレートなしのコントロール(NTC)を示す。ADプロット中の数字は、RETINAにより推定されたアレル比を示す。(b)JCHサンプルにおけるリアルタイム定量PCRによる総遺伝子コピー数の推定。全ての反応は4連で実施し、平均コピー数の値が散布プロットに示される。色は総遺伝子コピー数を示す。紫の菱形、赤の菱形、青の菱形、淡緑色の菱形は、それぞれ1コピー、2コピー、3コピーおよび4コピーを示す。 ロングPCRによる、JCHサンプルにおける推定されたCNVの確認を示す図である。ディプロタイプを各ゲル画像の上に示す。Others-othersサンプルを非CNVコントロールとして使用した。矢印は特異的PCRフラグメントの位置を示す。レーン1:サイズマーカー、レーン2:全てのサンプルで検出される、CYP2D6増幅コントロールを示す5.1kbフラグメント、レーン3および4:全遺伝子欠失(*5)を有するサンプルを示す6kbフラグメントおよび3.5kbフラグメント、レーン5:Others-othersおよび*10-*10重複アレルを示す4.8kbフラグメント、ならびに*10-*36重複アレルおよび*10-*36-*36重複アレルを示す6.4kbフラグメント、レーン6:*36-*36重複アレルを示す3.5kbフラグメント。レーン6の6kbフラグメントは全遺伝子欠失を示すフラグメントである。

Claims (8)

  1. SNP部位を含むゲノム領域における被験体のジェノタイプを判定する方法であって、該被験体由来の該ゲノム領域を含むDNA含有試料を鋳型として、該SNP部位のタイピングをインベーダ法にて実施する工程を含み、かつ該工程において蛍光をリアルタイムで測定することを特徴とし、蛍光強度が飽和に達するより前の時点における各アレルに対応する蛍光強度の比を用いて、両アレルのコピー数の比を判定する、方法。
  2. SNP部位を含むゲノム領域がCNV領域内にある、請求項記載の方法。
  3. アレル非対称性を伴う重複を検出するためのものである、請求項または記載の方法。
  4. インベーダ工程の前にSNP部位を含むゲノム領域を増幅する工程をさらに含む、請求項1〜のいずれかに記載の方法。
  5. ゲノム領域が複数のSNP部位を含み、増幅工程が該複数のSNP部位を含む複数の領域を同時に増幅するものである、請求項記載の方法。
  6. 定量PCRを用いて得られる両アレルの総コピー数に基づいて、各アレルのコピー数を判定する、請求項または記載の方法。
  7. 定量PCRがTaqMan法により行われることを特徴とする、請求項記載の方法。
  8. アレル非対称性を伴う重複もしくは欠失が検出されたSNP部位が連続して、または連続しなくとも複数含まれる範囲を同定することによりCNVのブレークポイントを特定することを含む、請求項のいずれかに記載の方法。
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