上記立体的な物体とは、球体や柱体及び多面体のことで、例えば遊戯銃の弾丸や手芸に用いられるビーズを指す。
遊戯銃の弾丸とは一般に合成樹脂素材で作られた「BB弾」と称する球形の弾丸で、大きさは直径6ミリと8ミリのものが生産され、重さが0.1〜0.3グラム程度のものである。
弾丸である「BB弾」は遊戯銃の糾弾装置に詰める時や銃より発射されるなどの取り扱いにおいて、床などにこぼれる事がある。素材がプラスチックであるBB弾は落下により良く跳ね、球形である事から良く転がり散乱する。この散乱した寸法6ミリ程度のBB弾は、拾い集めるには手間の掛かるものである。
手芸に用いられるビーズは金属や石等の天然素材やガラス、プラスチック等の合成樹脂素材を加工した寸法が1ミリに満たない物から、数ミリ程度の球体や柱体及び多面体などの立体的な物体である。この中でも特に1ミリに満たない小さなビーズがテーブルや床、特に絨毯の上にこぼれ落ち絨毯の目に埋れた場合など、小物体で有るが故に手指によって拾い集め、容器に収納する事は大変面倒であり手間の掛かる作業が必要である。
1ミリに満たないような小さなビーズは手指で摘み拾集する事が困難な場合、粘着テープを利用して貼り付ける事や、ビーズの穴にワイヤー又は針状の先端を通す事により拾集して、これを容器に移すというような方法が採られている。
上記容器は一般に、合成樹脂やガラス等からできたボトル状のものや広口瓶などである。容器の上方にある開口部から容器内へビーズやBB弾は収納され、その後、開口部に蓋をする事で外部にこぼれない状態となる。
本発明は容器の上方にある開口部からBB弾やビーズを入れるのでは無く、容器の下方に拾集機構を備えることで容器下部から容器内へ拾集して収納するものである。
本発明に類似したものでは特許文献1の実開昭51−53961号公報や特許文献2の登録実用新案第3001277号公報、特許文献3の特開2005−152568公報のような、ピンポン球やゴルフボール等の球技用のボールである球体を容器内に拾集するものが提案されている。
特許文献1の実開昭51−53961公報のピンポン球拾集用具や特許文献2の登録実用新案第3001277号公報のピンポン玉回収器及び特許文献3の特開2005−152568号公報の球形物拾い挙げ具などは、全ての考案において、弾性体であるゴムを線状にして容器底面の開口部にピンポン玉やゴルフボール等の球体の直径より狭い間隔に配列し設置して、これを球体に押し当てる事で、ゴムが球体の面に沿って伸びる性質を利用して前記球体を容器内に取り込むものが考案されている。以下本明細書では線状の物体が伸び縮みする動作を弾性変形と書く。
上記特許文献1乃至3の考案は全てが球体のみを対象としている事から、ゴムが弾性変形して伸びる事で拾集できるものである。しかしながら、球体以外の立方形状の物体、表面に細かい凹凸を有する物体を対象にした場合、線状のゴムを配列した間を通過させる方法では、ゴムの変形や弾力、摩擦により、物体面にゴムが引っ掛り押付ける事やゴムの縮む力により物体が挟まり通過し難い状態が生じる。
また、ゴムは他の物質に比べ「力を加えると変形する」「同じ荷重で、よく伸びる」という特性を有する。線状のゴムが拾集した物体の球体面に沿って弾性変形する事を前提として設置した場合、球体は容易にゴムを伸ばし通過するが、通過して容器内に入った球体は、通過してきたゴムの力により支えられ容器内に留置される事から、容器内に球体の数が増える事により球体の重さと、拾集する作業を繰り返す事で力が加わり、線状のゴムは伸びて変形を起こし、前記拾集した物体が容器底面の拾集部位から容器の外へこぼれ出る事が考えられる。
以上の事から、上記特許文献3の特開2005−152568公報の球形物拾い挙げ具におけるゴルフボールの拾い挙げなどは球体の質量も大きいため、数多くを容器内に留置する事は難しい。特許文献1の実開昭51−53961広報のピンポン球拾集用具や特許文献2の登録実用新案第3001277号公報のピンポン玉を回収する器具などの考案においても、ピンポン球を容器内に数多く安定的に留め置く事は難しい。線状のゴムを複数配列して強く張ると、ゴムの縮む力により設置部位に掛かる力が大きくなり容器の簡素化は難しい。
また本発明の目的の一つである手指により拾い集める事が面倒な寸法1ミリ程度のビーズを拾集の対象とした場合、ビーズの形には球形以外の立体的な形状が多数あるため、ビーズの面にゴムが引っ掛り寸法1ミリ程度のビーズは押し付けられ通過する事が難しい。またビーズが絨毯の目の中に入った場合、この様な状態のビーズを拾集するには絨毯を容器底面の拾集部位で擦りビーズを絨毯の目からかき出すという作業が必要である。絨毯を擦る事でゴムは絨毯の目の凹凸に引っ掛り変形し、拾集したビーズが逆に通過して容器外に流出する事が考えられる。
一方、ビーズの様に対象物が1ミリ程度である場合、線状のゴムを極細に張る必要がある。極力細くゴムを張るために、強く引っ張った状態で当該拾集容器に設置すると、強い張力が持続する事から、この状態でゴムを長時間放置すると劣化が生じやすい上、張力に負けない当該容器が必要となり容器の簡素化が難しい。
以上を鑑み、本発明では材料の分野においてゴムとは区別される糸や撚糸、及び、ピアノ線や竹籤などの弾性変形の少ない素材を糸状、紐状、棒状にして、これを線状体とする事で、この線状体を従来からあるBB弾やビーズ等を収納する容器の底面に並行に配列して拾集部位を構成することで拾集面とする。
本発明において拾集する対象物を物体1とする。物体1には、遊戯銃の球形弾丸であるBB弾1Aや手芸に使用するビーズ1B、その他の物体1Cなどの球体や柱体及び多面体がある。これら、各々の物体1に対して夫々に最良と想われる容器が考えられる。以下、実施例により物体1の拾集と収納について説明する。
実施例1において拾集する物体1をBB弾1Aとする。BB弾1Aとは、遊戯銃に使用される球形の弾丸で主に合成樹脂製の直径6ミリと8ミリのものが流通している。重量は0.12g・0.20g・0.25g・0.30gなどの種類がある。
このBB弾1Aを収納する容器は(図1)に表すような、円筒のボトル状の容器が一般的なものである。この容器は上方部が開口しており、この上方開口部Jを塞ぐ蓋20を備える。この蓋20にはBB弾1Aを少量ずつ容器外に出す事が出来る突出した取出し口21が付いている。散乱したBB弾1Aを片付ける場合、容器の上方開口部Jから容器内に手指でBB弾1Aを摘み入れるなどして、その後、上方開口部Jに蓋20をする事で収納と成る形式の物である。BB弾1Aを収納する容器は形や大きさなどに違いは有るが、前記形式のもが専用の容器として流通している。
本発明における拾集機構を備える収納容器を(図2)以降で説明する。
(図2)に示したものは、直径約6センチ、高さ約10センチ程度の円筒のボトル状の容器11である。従来からある(図1)に示した容器の底面及び内部に加工を施すことで拾集機構を備えた収納容器11としたものである。
(図2A)に表したものは(図1)に示した従来からある容器の下部である底面を開口して底面開口部Kとしたものである。底面開口部Kの周囲の縁を底面開口枠2として、(図2B)に示すように、前記底面開口枠2に線状体3を並行に配列して張り渡して底面開口部Kを塞いだ面を(図2C)に示す拾集面4とした構成とする。
拾集面4は(図2C)に表すように、BB弾1Aの直径6ミリよりも狭い間隔に線状体3を並行に配列して隙間Hを有する構成であり、当然ながら底面開口枠2の縁と一番外側の線状体3で形成されている隙間HもBB弾1Aの直径6ミリより狭い間隔に配置された構成である。
拾集面4はBB弾1Aを拾集する作業をする事で、床面や絨毯の面との間に空間の空かない平面状である事が好ましい。この構成で直径8ミリのBB弾も拾集可能である。
(図3)により容器11の内部の構成を説明する。
(図3A)に表すものは、容器11を側方から見た断面図である。容器11の下方が(図2B)で説明した拾集面4である。拾集面4を通過したBB弾1A を一時的に留置する拾集室6と、このBB弾1Aを移して安定的に収納する収納室7を備え、拾集室6と収納室7の境がロート状の隔壁9により仕切られ両室を分ける。
ロート状の隔壁9は(図3B)に表すように、円錐状の部位Pとストロー状の部位Qから成り、円錐状の部位Pの先端部16はBB弾が通過できる広さに穴が開き、拾集室6側の通路間口17を広くし、BB弾1Aの収納室7への移動を容易なものとし、収納室7側の通路出口18を狭くする事で、収納室7に移動したBB弾1Aを通路出口18から拾集室6への通過を難しくする様に、容器上部に向かい突出した形となる通路8である。
(図3C)に表すように、容器11を傾ける事で拾集室に一時的に留置されたBB弾1Aが、通路間口17より入り通路8を通り通路出口18から収納室7へ移動するものである。収納室7内に移動したBB弾1Aは、(図3D)に表すように容器2を立てると収納室7内でロート状に構成された隔壁9と容器の壁5から出来る凹空間(谷間)Yに移動して収納室7の下方に溜まる。収納室7内上方部に通路出口18が位置する事と、通路出口18の開口を狭くする構成にする事で、収納室7からBB弾1Aが簡単に出ることの出来ないトラップ構造となる戻阻止手段である。
BB弾1Aを拾集する収納容器の形態には上記の従来からある容器に加工を施した物の他にも最良と思われる形がある為、以下実施例2、3、4により説明する。
(図4)に表したものは、長さ12cm、幅6cm、高さ6cm程の直方体で、片手で把握できる程度の大きさにした容器12である。
(図4A)は直方体の容器12を上方から見た断面図、(図4B)は容器12を側方から見た断面図、(図4C、D)は下方から見たところである。
(図4D)に示すように、容器12の下方の低面に底面開口部Kを有し、底面開口部Kの周囲の縁を底面開口枠2として、(図1C)に示すように底面開口枠2に線状体3を並行に配列して張り渡して底面開口部Kを塞いだ面を拾集面4とする。
拾集面4はBB弾1Aの直径6ミリよりも狭い間隔に線状体3を並行に配列したもので、当然ながら、底面開口枠2と一番外側の線状体3で形成されている隙間HもBB弾1Aの直径6ミリより狭い間隔に配置された構成である。
(図4B)に表したように、容器12は拾集作業により拾集面4を通過して容器12内に進入したBB弾1Aを一時的に留置する拾集室6と、BB弾1Aを移して収納する収納室7を備え、拾集室6と収納室7の境が通路8となる。この通路8は拾集室7内に移動したBB弾8Aが拾集室6に戻らない構成の戻阻止手段と成るものである。
上記戻阻止手段は(図4A)に表すように、拾集室6と収納室7の境が隔壁9により仕切られ、この仕切られた空間を拾集室6から収納室7に向かいBB弾1Aが移動する通路8である。前記通路8は拾集室6内で容器の上方部に向かっている。容器の上方部で拾集室6側の開口を広くした通路間口17と、収納室7側の通路出口18の方向を狭くして八の字の形に構成したものである。
尚、前記通路8はBB弾1Aが通過するため、BB弾の直径よりも空間を大きく開け、通路出口18の広さもBB弾が通過できる広さを有した物である。
BB弾1Aは(図4A)に示すように、広く開けた通路間口17から八の字に構成された通路8を移動して狭まった通路出口18を通過すると(図4B)に表すように、収納室7の下方部へと落ち収納室7内の下部に溜まる。通路出口18は開口も狭く収納室7内の上方に位置する事から、容器が傾いても収納室7内のBB弾1Aが拾集室6へ戻る事は極めて少ない事でトラップ構造となるものである。
また、戻阻止手段には拾集室6と収納室7の境に弁10を設置する構成もあり、其の仕様例を容器13として(図5)で説明する。(図5)に示したものは、拾集室6と収納室7を上下に分け弁10を備えた容器13を側方からみた断面図である。
(図5A)に表すように、拾集室6と収納室7を仕切る隔壁9は、拾集室6から収納室7に向かい容器の上方部に位置するように通路8を構成する。通路出口18に収納室7方向にのみ開く可動式の弁10を設置することで、(図5B)に表すように、BB弾1Aが拾集室6から収納室7へ移動する時は、収納室7方向に弁10が開きBB弾1Aは通過するが、(図5C)に表すように、収納室7に移動したBB弾1Aが拾集室6の方向に移動する様な容器の傾きが起きても、弁10は拾集室6方向へ開かないトラップ構造とすることで、戻阻止手段となる。
尚、(図5C)に表すように、底面開口枠2の外側の部位にゴムや毛状の柔らかな材質による掃出し部19を設置する事で部屋の隅やソファーの窪み等に散乱しているBB弾1Aを拾集し易い場所に掃出す事ができ便利である。また収納室7の壁5にはBB弾1Aの取出し口21を設ける。
容器11乃至13はBB弾1Aが外部にこぼれない壁5で囲まれ、材質は拾集面4を構成するために底面開口枠2に線状体3を設置するために溝Uや穴Vを開けるなどの加工ができる事と、BB弾1Aを拾集する作業を繰り返し行うことで極度の変形や破損しない強度があれば、スチール、アルミ、セラミック、プラスチック、木枠など様々の素材が使用できる。
上記容器11乃至13の構成で、500発から約1000発のBB弾1Aを拾集し安定的に収納する事がでるため携行、保管が容易に出来るものである。
(図6)に表したものは、BB弾1Aの拾集から収納までの一連の作業過程を表したものである。(図6A)の様に、BB弾1Aに拾集面4を押し当てると、(図6B)の様に、BB弾1Aは線状体3を押し広げ拾集室6に進入し、一時的に留置された事となる。これを(図6C)に表す様に、容器を傾けた状態から(図6D)に表すように、D1からD2の様に手首を返す動作により拾集室6にあるBB弾1Aは、通路8を通過して収納室7へと移動して収納される。この時に拾集室6と収納室7との境が(図4、5)に示したトラップ構造で有る事で、拾集と収納が容易にできる。
(図7)に表したものは、球体であるBB弾1Aが拾集面4を通過して容器11乃至13内に進入する過程を表したものである。(図7A)に表すように、拾集面4をBB弾1Aに押し当てると、線状体3の下方にあるBB弾1Aは(図7B)に表すように線状体3を球形面に沿って撓らせ、BB弾1Aの半径の所まで隙間Hを押し広げ、半径を超えた所から開いた線状体3は撓り戻り、(図7C)に表すように隙間HはBB弾1Aの直径未満に原状回復する事でBB弾1Aの進入経路を塞ぐ。これによりBB弾1Aは容器11乃至13内に移動し拾集された事と成る。
(図8)に表したものはBB弾1Aと線状体3の係わり合いである。拾集面4をBB弾1Aに押し当てた際に拾集面4が、床面に接してBB弾1Aと線状体3が並んだ時の断面を示している。(図8A)に表すようにBB弾1Aと線状体3が並んだ際にBB弾1Aの直径より線状体3が太い場合、上方に向く球体の面が下方に向く線状体の曲面に押され線状体3の上方へは移動できない。(図8B)に表すように、BB弾1Aと線状体3の直径が同じ場合でも通過は難しい。
(図8C)に表すようにBB弾1Aと線状体3が並んだ時に、線状体3の半径をBB弾1Aの半径が越えるとBB弾1Aは線状体3の下方から上方へ移動する。したがってBB弾1Aの直径よりも小さな径の線状体3を使用する事が好ましい。また底面開口枠2に設置する線状体3の位置はBB弾1Aに拾集面4を押し付けた場合に、BB弾1Aの半径の高さを線状体の半径が越す位置に設置することが好ましい。
以上の事を踏まえて実施例1乃至3で使用する線状体3は、例として釣り糸であるテグスを使用する。テグスはナイロンやポリエチレン、フロロカーボンなどの化学繊維でできた糸で、日本では太さが号数で表記され、号数が大きいほど太くなる。社団法人日本釣用品工業会の標準規格によると0.1号が標準直径0.053ミリで、100号でも標準直径1.660ミリ程度である事から、テグスを線状体3に使用すると、かなりの範囲の号数のテグスが使用可能である。線状体3の太さの選定にあたっては、強度、耐久性などを考慮して選定する事が好ましい。BB弾1Aの拾集には、1号(標準直径0.165ミリ)から3号(標準直径0.285ミリ)程度のテグスで十分である。
線状体3の材質は、拾集を対象とする物体1の種類により、拾集作業により起こる摩擦などを考慮して選定される。耐久性にすぐれたナイロン、ポリエチレン、フロロカーボン等の化学繊維素材からできる糸や紐などの糸状、紐状のものや拾集の対象とする物体1の種類により、竹籤(タケヒゴ)やピアノ線のように棒状と成る物も使用でき、合成樹脂素材を棒状にして使用する事もできる。
従って、本発明に使用する線状体3は前述した先行技術文献の全てに表現されている「弾性体であるゴム」のように外力を受け弾性変形を起こし伸びる素材では無く、剛体に近い素材からできる線状体3を使用する事で、外力により撓り、速やかに現状に戻る素材を使用するものである。
上記伸び変形を弾性変形による伸び率と考え、これをヤング率によって表すと、ゴムのヤング率は0.0015〜0.1(GPa)であるのに対し、低密度ポリエチレンは0.2(Gpa)、鉄鋼は201〜216(Gpa)である。(出典:Wikipedia(<http://www.wiki.com>))
上記のようにゴムのヤング率は、本発明で用いる素材のうちもっともヤング率が小さい低密度ポリエチレンの値に比べても半分程度であり、殊更に弾性変形が起こりやすい素材であることがわかる。
拾集面4を構成する線状体3は、繰返しの拾集作業により床等の落下面と底面開口枠2との間に挟まれ、擦れ磨耗する事や拾集作業によりズレる事で隙間Hの間隔が変わる事が考えられる。したがって(図9)に示すように、底面開口枠2を加工して線状体3を設置する事が好ましい。(図9A)に表すように、底面開口枠2に溝Uを付けこの溝Uに線状体3を設置する事で、拾集面4を床に押し当てる事や、絨毯などに擦る等の拾集作業により線状体3がズレない構成にすることが好ましい。
上記、溝Uは(図9B)に表したように線状体3の太さに対して溝の幅を大きくして、溝Uの中心に線状体3を張る力が加わるように設置すると、物体1の線状体通過により溝Uの面を線状体3が移動して、通過後中心に戻るため線状体3間の隙間Hが広がりやすくなる効果も得られる。
(図9C)に表すように底面開口枠2に穴Vを開け線状体3を通す設置方法もあるが、(図8)により詳述した様に、直径6ミリのBB弾1Aの場合、半径3ミリを線状体3が越えないとBB弾1Aは通過しないため、拾集面4を床などに押し当てた際に線状体3と床との空間が3ミリ以上空かない事が好ましく、穴Vを開ける位置は底面開口枠2の表層から2ミリ以内とする。
また上記、底面開口枠2の線状体3を設置する部位を柔らかな部材にする事で、物体1の拾集面4通過により線状体3に掛かる力により底面開口枠2が歪み、物体1の通過時に隙間Hが広がり易く通過し易くなる。この時、底面開口枠2は歪んでも即座に現状復帰する部材とする。
(図10)により、BB弾1Aを拾集の対象として、竹細工による拾集収納容器14を説明する。本拾集収納容器14は(図10A)に表すように、竹の節から節の長さが15センチ程度で、外径7〜8センチ程度のものを半分に割ったものである。
(図10B)に表すように、半分に割った事で出来る底面開口部Kに、竹籤(タケヒゴ)を線状体3として使用して(図10C)に表すように、底面開口部Kに線状体3を配列して拾集面4を構成する。竹の収納容器14の壁5にはBB弾1Aの取出し口21を設けた構成とする。
(図10D)に示すように、線状体3となる竹籤は直径2ミリ程度の棒状に加工したものである。この竹籤を底面開口枠2に1〜2ミリ程の溝Uを設けて、線状体3と線状体3の隙間HがBB弾1Aの直径6ミリより僅かに狭い間隔に並行に配列し拾集面4を構成する。
又は(図10E)に表すように、底面開口枠2に穴Vを開け、竹籤を通す方法もあるが、この場合竹籤はテグスに比べ遥かに太いため、直径6ミリのBB弾1Aに対して竹籤の直径2ミリとした場合を(図8C)を参照にして説明すると、竹籤の半径である1ミリの部分がBB弾1Aの半径3ミリの部分を通り越さなければ球体であるBB弾1Aは線状体3間の隙間を通過出来ないため、竹籤の太さを考慮して、穴Vの設置位置を決める事が好ましい。また竹籤を底面開口枠2に設置する場合、張り渡した竹籤の一端のみを固定する方法や穴Vに通した場合などは両端ともに固定しない方法がある。この方法によりBB弾1Aが隙間Hを通過する際に竹籤は撓り易く成る。
本容器14は、拾集面4をBB弾1Aに押し当てる事で、球体の面に沿って竹籤は撓り隙間Hは広がり、直径6ミリのBB弾1Aであれば、その中心である3ミリを過ぎると球対面により押し広げられた竹籤は撓り戻る。この時にBB弾1Aは竹籤の撓り戻る力で容器14内部に跳ね上げられ、内部の壁に当たる事で竹を叩く音が響く、この音を楽しむ事を特徴とする竹細工による拾集収納容器である。
BB弾1Aは球形であるため散乱した場合、方々に散り拾集が大変面倒なものとなり放置され、再使用可能な物も使い捨てにされる場合がある。小さな物ではあるが使えるなら拾い集めて再使用、再利用する事が好ましい。
実施例4においては拾集の対称とする物体1を手芸で使用されるビーズ1Bとする。ビーズ1Bは様々な形をした立体的な形状の物で、その寸法が1ミリに満たない物から数ミリ程度の小さな物体である。小物体であるため複雑に加工された物は少ないが、BB弾1Aの様に球体だけに限らない様々な立体形状がある。
上記実施例1乃至3における拾集の対象であるBB弾1Aは球体であり、その寸法を表す用語は「直径」である。しかし、ビーズ1Bは様々な形をした多面体であるため、その寸法を表す用語には、例えば楕円形のものは長径、短径という用語を使い、円筒形のものは、長さと、内径、外径という用語を使うなど、物体の形によりその大きさを表す用語が夫々にある。またビーズ1Bの形には多面体や流線形に加工された物などが有り、これらの寸法を説明する事が極めて複雑であるため、物体の寸法を(図11)を用いて定義する。
(図11)に示すものは、ノギスを使用して測定する事で、色々な形のビーズ1Bの外面が平行に接する2直線又は2平面の間に挟まれている状態を表している。
(図11A)において、球形のものを測定すると、球体はその中心を通り、両端点が球面上にある線分の長さが径である事から、ノギスに挟まれた差し渡しの長さが直径である。球形のものは、あらゆる方向から測定しても径は同じであることからこの直径が最小径Sとなる。
このノギスによる測定方法を用いて、(図11B)に表すように、略楕円形のものをノギスで挟み対面の距離を測定すると、(図11C)に表すように、ノギスに挟まれた一番短い所を最小径S、(図11D)に表すように、一番長い所を最大径Lとする。
(図11E)に表すような円筒形のものを測定した場合(図11F)に表すように、短い所を最小径Sとして(図11G)に表すように、一番長い所を最大径Lとする。(図11H)に表すような雫の様な形のものも、あらゆる方向からノギスに挟み測定する事で(図11I)に表すように、差し渡しの長さが一番短い所を最小径Sとして、(図11J)に表すように、一番長い所を最大径Lとする。その他、(図11K)に表すような星型や(図11L)の様な多面体などもノギスで挟み測定する事で、差し渡しの長さの一番短い所を最小径Sとし、長い所を最大径Lと定義する事により説明する。
(図12)は、寸法1ミリ程度のビーズ1Bを拾集、収納する容器15を表したものである。対称物が小さいため、容器15も小さな物で良く、外径2cmから3cm程度で高さ7cm前後の円筒状の物を例として説明する。
(図12A)に表したものは、円筒状の容器15を示している。下方底面を拾集面4とした物でこの容器15の内部を下方から1〜2cm程度の空間を拾集室6とする。その上部の空間を収納室7として、拾集室6と収納室7の境をロート状の隔壁9で仕切り、ビーズ1Bが通過する内径を有する通路8とする。容器15の上部には(図12B)に表した様に、可動式の蓋20を備えたビーズ1Bの取出し口21を設けた構成である。
(図12C)に表したものは、ビーズ1Bを拾集する拾集面4である。例えば最小径Sが1ミリ程度のビーズ1Bを拾集する場合。線状体3は釣りで使用するテグスの0.6号(標準直径0.128ミリ程度)を使用して、ビーズ1B最小径Sよりも狭い間隔に隙間Hが0.3〜0.8ミリ程度となるように並行に配列して実施例1で詳述したように拾集面4を構成する。
(図13)において、色々な形のビーズ1Bが線状体3を撓らせ線状体3間の隙間Hを押し広げ、拾集となる過程を説明する。(図13A)に表すように、正二十面体の様な球体に近い形状のビーズ1Bはビーズ1Bを下方に置き上方から拾集面4を成す線状体3を押し当てる事で、下方にあるビーズ1Bは、(図13B)のように隙間Hの間を通過して、(図13C)に表すように線状体3の上方へと移動する事で拾集と成る。
星型のビーズ1Bは(図13D)の様に上方から拾集面4を成す線状体3を押し当てながら(図13E)に表すように、拾集面4をスライドさせる事で、突出した部分に線状体が引っかかる事無く容易に隙間Hの間を通過して(図13F)の様に拾集と成る。
(図13G)に示すようなサイコロ状のビーズ1B等は、その一辺もしくは角が線状体3間の隙間Hに入る角度から押し当てる事で(図13H)の様に、通過して(図13I)の様に拾集となる。
(図13J)に示した様な円筒形や楕円形等の様に最小径Sと最大径Lの長さが明らかに違うビーズ1Bは、拾集面4を成す線状体3の配列向きをビーズ1Bの最大径L方向に向け拾集面4をビーズ1Bの面に押し当てながら、拾集面4をスライドさせる事で線状体3によりビーズ1Bを転がす様な動作を加える事で(図13K)に表すように、線状体3の隙間Hの間をビーズ1Bが通過して、(図13L)に表すように拾集となる。
本発明の目的の一つである手指により拾集し難い直径が1ミリ程度のビーズ1Bの場合、非常に小さな物体である事から、複雑な形に加工されたものは少なく、その多くが円形か円形に近い多面体や円筒形状の粒状物である事で拾集は容易である。
一般に販売されているビーズ1Bは小さな透明な袋に入った物が多く、購入後容器に移す時や工作作業による取り扱いにより、テーブルや床にこぼれる事が考えられる。この様にこぼれ散乱したビーズ1Bは寸法が小さいため、手指により拾い集めて袋や容器に戻すためには大変面倒な作業が必要となる。特に絨毯等の上にこぼれた寸法1ミリ程度のビーズ1Bは絨毯の目に埋もれて拾い難いため、従来は粘着テープなどに貼り付けて拾い集めたり、ビーズ1Bの穴に針状の先端を刺して拾い上げたり、ピンセットなどで挟み拾集するなどの手段が採られている。
(図14)に示したものは、本発明の拾集機構を備えた収納容器15で絨毯の目Mのなかに入ったビーズ1Bを拾集する過程である。(図14A)に表したように、絨毯の目Mの中にあるビーズ1Bに、(図14B)の様に、上方から拾集面4を押し当てる事で、(図14C)に表す様に、底面開口枠2と線状体3が柔らかい絨毯のめを押し倒すと硬いビーズ1Bは線状体3に接触する事と成る。こ時に、(図14C)から(図14D)そして(図14E)に表すように、拾集面4で擦る様な作業を繰り返す事で、ビーズ1Bは線状体3により絨毯の目Mからかき出され、線状体3間の隙間Hの間を通過して(図14E)に表すように、容器15内に拾集される。
(図15)においてはビーズ1Bの拾集から収納までの過程を示す。(図15A)に表すように、散らばったビーズ1Bの上方から容器15の拾集面4を押し当てる事で(図15B)に表すように、線状体3間の隙間Hをビーズ1Bは通過して拾集室6へ入る。(図15C)に表すように、容器15を傾けるとビーズ1Bは通路8を通り、収納室7に移動する。その後(図15D)のように容器15を立てると、隔壁9と容器の壁5から出来る凹空間(谷間)Yに移動して収納室7の下方に溜まる事で、実施例1で述べたトラップ構造となる戻阻止手段により、安定的に収納されるものである。
上述したように、絨毯の目の間から掻きだす作業や、色々な形の特に傾斜角の少ないビーズ1B等を拾集する事は、ゴムを使用した場合その弾性変形や摩擦などスムーズに拾集する事は困難である。したがって線状体3はテグスなどの糸状のものが好ましく、小さな物体が対象である事から棒状の線状体3は不向きである。
実施例5は、上記実施例で述べた本発明における拾集機構付き収納容器を応用したゲームである。
前記ゲームは拾集の対象を、その他の物体1Cとする。その他の物体1Cとは偽モグラ1C´である。前記偽モグラ1C´をハンマー型に形成した拾集機構付き収納容器により捕獲するゲームである。以下(図16)によりゲームについて説明する。
(図16A)に示したものは、偽モグラ1C´を前後、左右、上下から見たものを表している。その構成は略楕円体に形成された寸法が1〜2cm程度の中空構造の合成樹脂素材によりできたものである。
(図16B)に表したものは、前記偽モグラ1C´を叩くためにハンマー型に構成した拾集機構付き収納容器16である。その構成は外径5〜7センチ長さ12センチ程度の円筒状の容器に子供が手で持てる柄Rを付けたもので、安全性を考慮してビニール素材から成る柔らかな外面を有したものである。偽モグラ1C´を叩く容器下方を拾集面4として、容器の上方が取出し口21となり可動式の蓋20を備えた構成である。
(図16C)により前記拾集面4を説明する。拾集面4は底面開口枠2に線状体3を縦と横に張り渡し格子状に配列したものである。縦に張る線状体3は線状体3間の隙間Hが偽モグラ1C´の最小径より狭くなるように設置する。
横に張る線状体3間の隙間Hは最大径より狭い間隔に配列して格子状に構成したものである。
拾集面4を構成する線状体3はテグス10号(標準直径0,520ミリ)の物を使用する。線状体3の素材は、偽モグラ1C´を叩く事による耐久性を考慮して選定する事が好ましい。
(図17)により、上記(図16)に示したものを用いたゲームについて説明する。(図17A)に表すように、卓上や床上に偽モグラ1C´を散らばして置く。(図17B)に表すように、前記ハンマー型の拾集機構付き収納容器16の拾集面4で偽モグラ1C´に狙いを定める。(図17C)に表すように、卓上に置いた偽モグラ1C´を叩く事で、拾集面4を偽モグラ1C´が通過する事で、(図17D)に表すように、前記ハンマー型の拾集機構付き収納容器16の中に偽モグラ1C´を捕獲するモグラ叩き捕獲ゲームである。
この時、偽モグラ1C´の寸法を夫々変える事で、大きい偽モグラ1C´は格子状に設置された線状体3の抵抗により通過出来ない確立が上がる。このため確実に縦、横に張られた線状体3間の隙間Hでジャストミートしなければ取り逃がす事となる。これにより捕り逃がした偽モグラ1C´を捕り合う事を競うゲームとなる。ゲームとしては素直に拾集面4を通過出来ない方が好ましいといえる。