JP5257881B2 - 中空金属焼結体、それを利用した中性子源液体金属ターゲット用バブラー及びその製造方法 - Google Patents

中空金属焼結体、それを利用した中性子源液体金属ターゲット用バブラー及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、高エネルギーの陽子ビームを液体金属に入射して、核破砕反応により高強度のパルス中性子を発生させるとともに液体金属自身を冷却材として利用する中性子源用液体金属ターゲットに関するものである。
まず、「モリブデンパイプ及びその製造方法」として、特開平6−174970に本出願人による発明が示されている。この発明においては、光コネクターのフェルールとして使用可能なモリブデンパイプを安価に提供するため、ラバー内底部にナイロン糸の一端を固定した重りを固定し、ナイロン糸の上端を固定部に固定し、張力を与え、ラバー内にモリブデン粉を充填し、口金でラバーを閉じ、これを水圧プレスしてプレス体を得る方法が示されている。そしてプレス体を中焼してナイロン糸を除去して中穴を形成し、焼結する。この後、管引き加工を行ってモリブデンパイプを得る方法が示されている。この発明においては、水圧プレスするとゴムの収縮で棒が曲がってしまい、中穴のまっすぐなものが得られない。また、バブラーとしての使用において必須の複数の穴を準備することができない。
たとえば特開2001−259753においては「中空部品の製造方法」として、中空部品の製造に関してプレス加工を行う方法について示されている。中空部品の製造に際して、中空内部に非圧縮性の流動体を充満封入した中空金属素材を、プレス加工して所定外形状に成形した後に、中空内部の非圧縮性流動体を排出するようにする。これにより、プレス加工時における中空金属素材の材料流動メカニズムは、中実体のそれと同様となり、しかも内部充填材である流動体は、その特性から金属等の固体に比較してはるかに流動性に富む。この発明においては材料に多くの流動性が必要であり、プレス加工が適用できない場合には適用できない。
特開2006−297412の「中空形状部品の製造方法」として鋼材からなる円筒部材あるいは底付円筒部材の内部に、内部圧力保持金属を挿入した鍛造用素材に鍛造加工を施し所定の外形形状に成形した後、鍛造品を内部圧力保持金属の融点以上の温度に加熱して、内部圧力保持金属を溶融・除去して、鋼材からなる中空部品を得る方法が示されている。この場合には内部金属を溶融除去する必要がある。細い径を得ようとした場合には、穴の詰まりが生じることが容易に想像できる。
また、特開平9−285905の「微細深穴加工法」や特開2000−94219の「放電加工用極細パイプ電極及び電極装置」として示されている技術内容は、精度の高い極細穴を少数加工するための技術であり、バブラーとしての多量の穴を加工するには時間、コストの面からも適さない。
バブラーについては特開2002-083777の「バブラー」において、焼結された多孔質の金属を利用したバブラーを利用している。特開2001−131754においては、薄膜蒸着用試料を気化させるためのバブラーが示されている。いずれの発明も、バブル形状と数を制御可能とする核破砕中性子ターゲット用の液体金属に適用できる技術ではない。
近年、中性子線利用研究の重要性が急速に増加しつつあり、次世代核破砕中性子線源の計画が米国(SNS計画)、EU(ESS計画)、日本(高エネ機構−原子力機構統合計画)で進められている。これら世界の3大計画は、いずれも大強度の中性子束を得るため、いまだ経験したことのない数MWの陽子ビームをターゲットに入射させる予定で、ここでの陽子ビームのエネルギーは1〜3GeVである。一般に数MW級のターゲットは、ターゲット内の発熱が数百MkW/mに達するため、固体金属を水冷する現行の方式に対して、冷却材としての機能が併用できる液体水銀をターゲットした方式の採用が決定している。
図1に液体水銀ターゲットが曝される環境を模式的に示す。MW級のパルス陽子線が水銀ターゲット中に入射するときに、液体水銀内部では急激な発熱に伴う膨張波が発生するが、膨張波は圧力波となって容器に向かって水銀中を音速で伝播し、衝撃的な荷重が容器壁面に負荷される。また、液体/固体金属の音響インピーダンスの差異から、容器構造材料の急速変形時に容器内壁に沿った液/固体界面で不連続変形に伴う巨視的な負圧が起こる。この負圧により液体界面近傍では、いわゆるキャビテーションが生じる条件が成立するため、キャビテーション気泡崩壊に伴う微視的局所衝撃を受けた固体側界面ではマイクロピット群からなる衝撃壊食損傷、すなわちピッティング損傷が生じる。パルス陽子ビームは25Hzで入射されるため、衝撃壊食が固体金属容器の寿命を決定する因子となる。したがって、中性子源の運転安定性およびターゲット容器の耐久性向上には、この衝撃壊食挙動を把握し、損傷を的確に評価・考慮した容器構造の設計、さらには損傷抑制技術の開発が肝要である。
特開平6−174970号公報 特開2001−259753号公報 特開2006−297412号公報 特開平9−285905号公報 特開2000−94219号公報 特開2002-083777号公報 特開2001−131754号公報
世界的に高出力の中性子源の開発が行われているが、中性子を発生させるターゲット材には、陽子線の入射により発生する熱の除去に有利であることから液体水銀が使用され始めてきた。米国SNS(Spallation Neutron Source)では実際の水銀ターゲットでの運転が2006年から開始された。
日本では、陽子ビームの発生、利用の研究施設群J-PARC(Japan Proton Accelerator Research Complex)施設で、液体水銀ターゲットを用いたパルス中性子源の建設が進んでいる。図1に液体水銀ターゲットが曝される環境を模式的に示す。MW級のパルス陽子線が水銀ターゲット中に入射するときに、液体水銀内部では急激な発熱に伴う膨張波が発生するが、膨張波は圧力波となって容器に向かって水銀中を音速で伝播し、衝撃的な荷重が容器壁面に負荷される。そのため、液体水銀中で構造材との共存などを含めた構造の健全性および長い寿命を確保するための制御技術が現在研究開発されている。構造健全性を確保する技術の一つに材料の腐食、衝撃壊食損傷を防ぐ技術がある。衝撃壊食損傷はピッティング損傷として重大な損傷を与えることが予測されている。(二川正敏,“パルス中性子源水銀ターゲットにおける陽子ビーム励起圧力波による衝撃腐食”日本原子力学会誌,Vol.47, No.8 p14〜19 (2005))このピッティング損傷を減少させる手段を考察し、衝撃波を吸収するための画期的な技術を開発する。ピッティングの損傷を防ぐために、バブルによる衝撃吸収が効果的であることは、1990年代から予見されてきた(K.Skala and G. Bauer,“ON THE PRESSURE WAVE PROBLEM IN LIQUID METAL TARGETS FOR PULSED SPALLATION NEUTRON SOURCES”, PSI Proceedings 95-02, Vol.II, pp.559~571 (1995cc))。
液体/固体金属の音響インピーダンスの差異から、容器構造材料の急速変形時に容器内壁に沿った液/固体界面で不連続変形に伴う巨視的な負圧が起こる。この負圧により液体界面近傍では、いわゆるキャビテーションが生じる条件が成立するため、キャビテーション崩壊に伴う微視的局所衝撃を受けた固体側界面ではマイクロピット群からなる衝撃壊食損傷、すなわちピッティング損傷が生じる。パルス陽子ビームは25Hzで入射されるため、衝撃壊食が固体金属容器の寿命を決定する因子となる。したがって、中性子源の運転安定性およびターゲット容器の耐久性向上には、この衝撃壊食挙動を把握し、損傷を的確に評価・考慮した容器構造の設計、さらには損傷抑制技術の開発が肝要である。バブルが衝撃吸収に有効であることは予見だけはされてはきたが、その発生方法、導入方法、適正な投入量については示されてこなかった。本発明において、導入方法、適正量についての考察を進め、ターゲットの寿命、能力の適正化を進めた。
本発明では焼結によって実質的に拡散または揮発する中空用素材を利用し、その中空用素材を焼結によって除去し、プレス、焼結の工程によって設定した中空金属焼結体を得ることができる(図2)。中空金属焼結体を用いたことを特徴とするバブラーにより、現在までにはなかった小径でかつ外部の形状は自由に設計可能なバブラーを得ることができ、衝撃波を吸収するのに十分なバブルを得ることができる。それにより、ターゲット寿命を延長し、中性子源の運転安定性を向上することができる。また、図3に示すように中空用素材を複数かつ任意の配置とすることができるため、バブラーの穴配置の自由な設計や、一定方向の流れ、もしくは渦状のバブルを発生することができる。これらを用いて長寿命でかつ衝撃壊食損傷による容器損傷の少ない信頼性の高い液体金属ターゲットシステムの確立が可能となる。
特に、本発明のバブラーとして使用される中空金属焼結体は、穴径がφ100μm以下の直径で、長さが3mm以上で、且つアスペクト比(長さ/穴径)30以上の貫通中空穴を有するものである。本発明において、アスペクト比の穴径とは、バブラーのガス導入部から放出部方向に対し垂直方向の任意断面で得られる穴の穴径とし、各々の穴の穴径を平均した値であり、その断面が円以外の場合は同一の面積を有する円に換算した際のその直径とする。又、アスペクト比の長さとは、バブラーのガス導入口から排出口までの最短距離(バブラーの厚さに該当)であり、中空穴にうねりや曲りがある場合、即ち実質的に長さが長い場合もアスペクト比は30以上になる。
本発明によれば、微細な穴を得たバブラーを得ることができる。また、そのバブラーを用いた中性子源用ターゲットを構築できる。
ここで、このようにして得られたバブラーは、長さ方向に向かってストレートなものだけでなく、任意な形状のものを作製できる。これは、ガラスファイバーが自由な形状のものを作製することができることに起因する。これにより、バブルの流れを制御するための曲げ、うねり、方向などを任意にした穴の組み合わせを実現したバブラーを作製できる。また、穴の数には実質的に制限がない。そして、製造が極めて簡便、容易であり、もしも機械加工で作製するととても複雑でコストのかかる加工を簡単に実現できる。また、従来の作製方法では不可能な、直径が一定でなく、階段状のもの、つまりは異なる内径のものがつながった穴も作製できるなど、現在までに無い特徴的なバブラーを安価に作製することが可能となる。
また、本発明においては中性子源用の液体水銀を中心に記述したが、中空部材の製法として、広く産業上の利用が可能であり、また、バブラーとして今までにできなかった小さなサイズのバブルを形成することができる。また、本説明では次期建設が進んでいる水銀ターゲットのみに絞っての説明を行ったが、鉛ビスマスを始めとする液体ターゲットへの利用が可能である。
本願第1の発明に係る、焼結によって拡散または揮発することを利用し、焼結金属の融点未満の融点の材質をプレスし、その中空素材を焼結によって除去することを特徴とする工程によって得られ、2個以上の中空穴をプレス、焼結の過程で形成することを特徴とする中空金属焼結体によれば、工業的に機械加工では不可能であったダイスを工業的に安定して作製することが可能になる。
本願第2、第3、及び第4の発明に係わる、中空金属焼結体中で、中空形状及びその配置を任意に設定、製作加工を可能とする微小中空穴を有することを特徴とする金属焼結体によれば、現在までにはなかった小径かつその配置を自由に設計できる中空金属を作製できる。
本願第5の発明に係る、中空体を切り出し、貫通穴としてガスを通過させることを特徴とする核破砕中性子源液体金属ターゲットのバブラーによれば、現在までにはなかった小径でかつその配置及び外部の形状が自由に設計可能なバブラーを得ることができる。
本願第6の発明に係る、穴径をφ100μm以下の直径で、長さ3mm以上の長さとしたことを特徴とする核破砕中性子源液体水銀ターゲット用バブラーによれば、従来なかったような、ターゲット容器としての構造を保った上で効果的なバブルを得ることができるバブラーを作製することができる。
本願第7の発明に係る、発生したバブルのうち90%以上の個数が100μm以下のバブルであることを特徴とする核破砕中性子源液体金属ターゲット用バブラーによれば、バブルが小さいことにより十分に衝撃吸収の効果があるバブルを発生することができる。
本願第8の発明に係る、中空構造を200個以上の穴を配置したことを特徴とする核破砕中性子源液体ターゲット用バブラーによれば、衝撃吸収能力を持ったバブルの構築にいたるバブルを発生することができる。
ターゲット容器(図7)は大きくなることはなく、配管部を除く容器の寸法はおおよそ長さ約800mm,幅約500mm、高さ約100mm程度である。本発明では、バブルが水銀中で0.1容積%以上になることが重要であり、これは水銀流量とガス注入流量で決まり、ガス注入流量はバブルの大きさを決定するパラメータ(ガス注入流量が低いと微小なバブルができる)となる。中空構造に配置される穴200個以上は100μmのバブルを0.1容積%注入する際に必要な数である。又、ターゲット容器内の水銀流量が増加すれば、穴の数は増やす必要があるが、穴の数が200個以上あれば問題がない。なお、液体金属中に100μmのバブルを0.1容積%以上で注入できるバブラーは現存していない。
本願第9の発明に係る、バブラー通過後の液体中の金属のうち、バブルが0.1容積%以上の容積としたことを特徴とする液体ターゲット用バブラーによれば、衝撃吸収能力を持ったバブルの構築にいたるバブルを発生することができる。
本願第10の発明に係る、バブラーの穴周辺を容易に任意形状とすることができ、平面形状とした場合に比較してバブル形状の制御を容易にできる核破砕中性子源液体金属ターゲット用バブラーによれば、衝撃吸収能力を持ったバブルの構築にいたるバブルを発生することができる。
本願第11の発明に係る、バブラーを2箇所以上配置し、その配置は陽子線入射面以外で、液体金属の上流側とする核破砕中性子源液体金属ターゲット用バブラーによれば、効率的にバブルを導入することができ、1箇所の配置とは全く異なり効率的な衝撃吸収を行うことができる。
本願第12、及び第13の発明に係る、ターゲット容器内での水銀中0.1容積%以上の気体を含むことを特徴とし、2000時間以上の寿命を有する核破砕中性子源液体ターゲット用バブラーによれば、従来頻繁だった交換作業を延長させることができ、寿命の延長でもたらされる直接的な効果以外にも、結果として放射性廃棄物を減少させることができる。
以下、本発明について更に詳しく説明する。
(実施例1)
図4に、中空金属焼結体の作製におけるプレス工程を示す。標準的な粉末である平均粒径5μmのモリブデン粉末を用いた。ここで、φ25mmの金型に10gのモリブデン粉末を投入し、予備的に5MPaでパンチでプレスし、一旦パンチを抜き取って平坦面を得る。予備的なプレスは圧力が小さいほど、その次の工程の高いプレス圧との界面の割れが起こりにくく、例えばパンチを置くだけでも良い。あとは穴の伸直性の必要な度合いによって任意に設定することができる。この平坦面に目的とする穴径に応じた中空用材質を配置する。例えば、ナイロン糸φ0.2mm、φ0.3mm、石英ガラス、パイレックスのφ0.1mmのガラス、いずれでも後に述べる実験としてバブラーとしての穴径を確保することができた(図5)。また、予備プレスの後、等量である10gの粉末を追加し、200MPaでプレスした。この後に1800℃水素中での10時間の焼結を行うと、理論密度の95%以上である9.8g/cmの密度が得られた。いずれも、上述した材質は焼結によって消失し、穴はバブラーとしての使用条件を満たすように埋め込んだ長さ全体にわたって貫通部分が確保できていた。また、穴径、長さはプレス体の焼結収縮と同等の収縮であった。このようにして作製した穴を利用してバブリングに供することができた。ナイロンなどの柔らかい材質を選択した場合、穴がプレス圧によって楕円形状に扁平なものになったが、実際のバブラーとしての使用には支障とはならなかった。また、プレスの方法としてCIPのような等方的な手段をとれば、穴の変形は防ぐことができる。このようにして得られた穴から、任意に切り出しを行うことで、バブラーとしての活用を行うことができる。これは複雑形状のバブラーのノズルを作製する際にも、粉末冶金法を適用すれば、任意の形状のノズルを任意の位置に確保できることを意味する。このようなアスペクト比30以上を持つ穴は、機械加工での作製は現在の技術においては不可能である。
(実施例2)
ステンレスを用いても同様の結果を得ることができた。同様にφ25mmのダイスに実施例1と同様のプロセスで20gの粉末を、124MPa、581MPa、678MPaでプレスを行い、φ0.1mmのガラスファイバーを埋め込むことで、所定形状の穴を準備することができた(図6)。
124MPaのプレス圧力においては、プレス体密度59.4%において1000℃の1時間の焼結で68.5%の密度が得られた。プレス体密度59.1%のプレス体において1030℃の1時間の焼結で67.34%、1200℃の1時間の2回目焼結後で90.81%、1300℃の1時間の3回目焼結後で95.4%の密度が得られた。
また、581MPaのプレス圧力においてプレス体密度74.77%、1030℃の1時間の焼結で87.06%、1200℃の1時間の2回目焼結後で96.10%、1300℃の1時間の3回目焼結後で97.65%の密度が得られた。更に、678MPaのプレス圧力においてプレス体密度76.84%、1030℃の1時間の焼結で89.24%、1200℃の1時間の2回目焼結後で97.52%、1300℃の1時間の3回目焼結後で97.60%の密度が得られた。これらの結果から、プレス体圧力が焼結密度と相関があり、初期の密度上昇に大きく関係することがわかった。
Moの場合にはプレス体(プレス圧力387MPa)で、70%の密度だったものが、1875℃1時間の焼結により92%の密度となった。
このようにバブラーとしては、粉末冶金のプロセスを取ることができる材料であれば、材質を問わず作製が可能である。
(実施例3)
上述してきたような方法により、1軸の金型プレスにおいても、何本ものファイバーを並べることにより複数の穴を開けることが可能になり、更に、多層にプレスすることにより、より多くの穴を開けることができる。例えば1層に20本並べたファイバーを、少量ずつの粉末の充填、プレスによって各層間で穴が平行になるように10層重ねることにより、容易に200個の穴を準備することができる。
より複雑、かつ複数の穴をあける場合には、CIPを用いることができる。多数、また、任意形状の配置を行うことができ、バブルを渦状に発生させることも可能となる。
また、中空の穴は、長さ方向にストレートなものだけでなく、任意な形状のものを作製することができる。これはガラスファイバーがストレートなものだけでなく、自由な形状のものを作製することができることに起因する。これにより、ガス、即ち、バブルの流れを制御するための曲げ、うねり、方向などを任意にした穴の組み合わせを実現したバブラーを作製できる。また、上述したように、穴の数には制限がない。また、製造が極めて簡便、容易であり、機械加工では不可能な形状も工業的に可能になる。ここで、従来の作製方法では不可能な、直径が一定ではなく、階段状、テーパー状、樽状、鼓状などの任意の形状、任意の内径がつながったものが穴も作製できるなど、現在までに出来ていなかった特徴的な金属中空体を作製することが可能である。
また、中空の状態は、プレス、焼結の段階では貫通したものとしては得られないため、穴をつぶさない手法により任意形状への切り出しを行うことができる。例えばワイヤー放電加工などにより、貫通穴を確保した状態でのバブラーへの形状加工を行うことができる。また、そのようにして得られたバブラーはターゲットのステンレス容器の効果的な箇所へ溶接やフランジとしての取り付けを行うことができる。このようにしてガス導入部との接続ができる状態とし、ヘリウムガスを導入する。
これらのバブラーは上述した実施例で示したように、穴が十分に多い状態で効果を発揮し、200個以上の穴でバブリングすることが効果的である。このバブルは0.1容積%以上のバブルによって衝撃緩衝の効果を得ることができ、ターゲット容器の損傷を少なくし、2000時間以上の寿命を有することができる。バブルは0.01容積%以下の導入であると衝撃吸収の効果が得られない。特にバブルの大きさは重要であり、100ミクロン以下のバブルが殆どを占める状態が必要である。核破砕中性子源液体金属ターゲットでは200以上の穴がないと、十分に容積の効果を得ることができない。
(実施例4)
以上のような工程で作製したバブラーを用いることにより、ターゲット容器への損耗が著しく減少する。
導入ガスとしてはヘリウムガスを導入することにより、水銀を劣化させることなく、また、効果的に衝撃波を低減することが可能となる。
一方、水銀はバブラー材料に対して濡れ性が悪いために、バブラーから排出されたガスが、バブラー材料に付着して、バブル形状を制御することが困難となる。J−PARCセンターの発明者のグループは、水銀中でのガス及びガスバブルの挙動を実験、及び数値解析により調査し、水銀ターゲット中の水銀流れを利用し、バブラー外形を最適化することにより、ガスを引きちぎり、バブル形状が制御可能である見通しを得た。
バブラーの穴周辺が平面の場合、水銀の流れによるガスを引きちぎることは期待できないが、本工程で作製した中空金属焼結体では、容易に任意形状とすることができるため、水銀の流れを利用したバブラー形状の加工が可能である。水銀の流速を5m/sとし、バブラー外形を凸形状とすることで、100μmのバブルを水銀中に導入することが可能となる。以上のような工程で作製したバブラーは、容易に任意形状とすることが可能なため、最適なバブラー形状に加工することが可能である。
図7及び図8に数値解析によって得られたバブルの軌跡、及びバブラーの設置位置を示す。図7及び図8に示す2ヶ所にバブラーを設置することにより、水銀ターゲットのターゲット容器の損耗が激しい陽子線入射面近傍、及び発生する圧力波が高い位置へ気泡を効率的に送ることが可能である。本工程で作製したバブラーは、溶接やフランジ接続等により任意の位置に設置可能なため、水銀ターゲット中の最適な位置にバブラーを設置することが可能である。
即ち、図7に示されるように、水銀ターゲット容器の陽子ビームが入射される側から離れた容器開口部の位置に本発明のバブラーを設置し、液体水銀を、このバブラーを通過させた後陽子ビームが入照射され、容器の損耗が激しい入射面内側部位を通過させると、バブラー通過時に液体水銀中に注入されたバブルにより、陽子ビーム入射の際に生ずる圧力波が吸収緩和されて容器の衝撃損傷が防がれる。又、図8に示されるように、水銀ターゲット容器の陽子ビームが入射される容器内側近傍位置に本発明のバブラーを設置し、液体水銀を、このバブラーを通過させた後陽子ビームが入照射されて圧力波が高くなる位置を通過させると、バブラー通過時に液体水銀中に注入されたバブルにより、陽子ビーム入射の際に生ずる圧力波が吸収緩和されて容器の衝撃損傷が防がれる。
産業上の利用分野
本発明は、金属中に多数の微細な穴を、曲げ、うねり、方向などを任意に組合せた中空焼結金属を、簡便、安価に製作するもの、及びその中空焼結金属を用いたバブラーに関するものである。本製作方法は、中空金属の製法として広く産業上の利用が可能である。また、本バブラーは、水銀ターゲットだけでなく、鉛ビスマス等の液体金属ターゲットへの利用が可能である。
液体金属ターゲットのパルス陽子線入射による環境を示した図である。 中空金属焼結体を作製する過程で、中空用素材を焼結体素材に埋め込んだ状態を示した図である。 多数のバブルを発生させる場合及び渦状の気泡を発生させる場合の、中空金属焼結体を作製する際の、中空用素材の埋め込み配置例を示した図である。 中空金属焼結体の作製する際に、金属粉体に中空用素材を設置する方法を示した図である。 金属焼結体としてモリブデンを用いた際に作製した中空部(穴)を示した図である。 金属焼結体としてステンレス鋼(SUS316L)を用いた際に作製した中空部(穴)を示した図である。 水銀ターゲット中にバブラーを設置して、気泡の軌跡を予測し、容器の損傷が激しい部位に効率的にバブルを注入できることを示した図である。 水銀ターゲット中にバブラーを設置して、気泡の軌跡を予測し、圧力波高い位置に効率的にバブルを注入できることを示した図である。

Claims (11)

  1. 焼結によって拡散または揮発する、焼結金属の融点未満の融点の中空用素材を焼結金属粉体中でプレスし、その中空用素材を焼結によって除去し、2個以上の中空穴がプレス、焼結の過程で形成される中空金属焼結体を切り出してなり、φ100μm以下の直径の穴、3mm以上の長さ及びアスペクト比(長さ/穴径)30以上を有する貫通中空穴を有し、当該貫通中空穴にガスを通過させることにより、液体金属ターゲット内の液体金属中にバブルを発生させる核破砕中性子源液体金属ターゲット用バブラー
  2. 前記貫通中空穴形状が、曲げ、うねりを伴うことを特徴とする、請求項1に記載の核破砕中性子源液体金属ターゲット用バブラー。
  3. 前記貫通中空穴の形状や穴径が異なる穴がつながった中空穴から構成されたものであることを特徴とする請求項1記載の核破砕中性子源液体金属ターゲット用バブラー。
  4. 前記発生したバブルの90%以上の個数が100μm以下のバブルである請求項に記載の核破砕中性子源液体金属ターゲット用バブラー。
  5. 前記貫通中空穴を200個以上有する、請求項4に記載の核破砕中性子源液体金属ターゲット用バブラー
  6. 前記液体金属中に100μm以下のバブルを0.1容積%以上注入する、請求項5に記載の核破砕中性子源液体金属ターゲット用バブラー
  7. バブラーの穴周辺を容易に任意形状とすることができ、平面形状とした場合に比較してバブル形状の制御を容易にできることを特徴とする請求項記載の核破砕中性子源液体金属ターゲット用バブラー。
  8. ターゲット容器内での水銀中0.1容積%以上の気体を含むことを特徴とし、2000時間以上の寿命を有することを特徴とする請求項記載の核破砕中性子源液体金属ターゲット用バブラー。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の核破砕中性子源液体金属ターゲット用バブラーを、陽子線入射面以外で、液体金属の上流側に配置することを特徴とする、核破砕中性子源液体金属ターゲット用バブラーの使用方法。
  10. 任意のバブラー形状を得るための成形型に金属粉末を投入し、その金属粉末を予備的にプレスし、プレスされた金属粉末上に繊維形状の中空用素材を配置し、その上に金属粉末を投入後再度プレスして中空用素材を金属粉末中に埋め込み、得られた成形体を成形型から取り出して中空用素材の融点以上、前記金属粉末の融点未満の温度で焼結処理して中空用素材を拡散又は揮発させることにより、φ100μm以下の直径の穴、3mm以上の長さ及びアスペクト比(長さ/穴径)30以上を有する貫通中空穴を有する中空金属焼結体からなる核破砕中性子源液体金属ターゲット用バブラーを製造する方法。
  11. 金属粉末がモリブデン、又はステンレス鋼であり、中空用素材がナイロン糸、石英ガラス糸又はパイレックス糸である請求項10記載の方法。
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