JP5257500B2 - 密閉型圧縮機 - Google Patents
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Description
しかし、HFC冷媒は、オゾン層破壊を抑制する効果はあるものの、自然界に無い安定した物質であり、空気中に放出された後に分解されにくい性質を有するため、自然破壊が危惧され、新たなフロン規制の対象になりつつある。
また、冷媒の分子中に塩素基を含まない為、極圧剤としての効果が無く、一般的に、HCFC冷媒を使用した圧縮機に対して軸受信頼性は低下する。
この為、HFC冷媒と相溶性のあるエステル油、エーテル油等の合成油が用いられている。
炭化水素冷媒は、HFC冷媒とは逆に、鉱油、アルキルベンゼン油との相溶性が高い為、油戻り悪化による問題は無いが、溶解性が高過ぎる為、冷凍機油に液冷媒が溶け込み、粘度が下がり、軸受信頼性上必要な粘度以下となり、潤滑不良から磨耗や焼付きを来すという課題があった。
図1は本発明の実施の形態1である密閉型圧縮機を示す縦断面図である。図において、1は密閉容器、2は電動要素、3は冷凍機油、4は回転軸であるクランクシャフト、5、6はこのクランクシャフト4を支承する軸受、7はベーン、8はローリングピストンである。前記軸受5、及び軸受6は互いに対向するフランジ面部を有し、前記ベーン7、及びローリングピストン8はクランクシャフト4の回転により、いずれも軸受5、6のフランジ面部と摺動する。また、ベーン7はローリングピストン8に対して摺動する。9は各摺動部へ冷凍機油3を供給するオイルポンプである。
圧縮機運転中、クランクシャフト4は回転し、その回転力により、オイルポンプ9より各摺動部へ冷凍機油3が送給され、クランクシャフト4、軸受5、6、ベーン7、ローリングピストン8の各摺動部は、冷凍機油を介して摺動する事により、磨耗量が最小限に抑制される。
なお、本発明者らは上記した課題を解決する為に、炭化水素系冷媒を用いた系における冷凍機油の動粘性係数、添加剤の添加量等の特性について実験により鋭意検討を重ねた結果、冷凍機油単品の40℃における動粘性係数が80〜200cStの冷凍機油を用いることで、圧縮機運転時に、優れた軸受信頼性と、低い摺動損失を両立することができることを見い出し、この発明を完成させたものである。
即ち、曲線c、d、e、及びfは、表1に示すように冷凍機油単体の40℃における動粘性係数が、それぞれ200、150、90、及び80cStに調整されたパラフィン系鉱油を用いた場合であるが、該冷凍機油に対するR290(プロパン)の溶解量が例えば20wt%時の動粘性係数は、それぞれ約16、13、8.0、及び7.4cStであり、優れた軸受信頼性と、低い摺動損失を両立させた圧縮機を得ることができた。
冷凍機油に対し、極圧添加剤、または油性剤を0.5〜90重量%の割合で配合したほかは上記実施の形態1と同様の構成の密閉型圧縮機を得た。なお、ここで例えば冷凍機油に対し、添加剤を90重量%配合する場合においては、冷凍機油10gに対し、添加剤が90gの割合で配合される。
また、上記油性剤としては、公知の例えばステアリン酸系油性剤、脂肪族アミン系油性剤、エステル系油性剤などを好ましく用いることができるが、これらのみに限定されるものではない。
本発明者らの実験によれば、炭化水素冷媒は生成されたスラッジを溶解する特性に優れており、この実施の形態2のように冷凍機油に多量の添加剤を配合して用いた場合においても、生成されるはずのスラッジが析出されないことが確認されたものである。なお、冷凍機油に対する添加剤の配合量を90重量%以上添加することは、実用上、生産性が難しい。
図4はこの発明の実施の形態3である密閉型ロータリー圧縮機を示す断面図である。図において、11はクランクシャフト4を支承する軸受メタルである。その他の符号は図1に示す実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
なお、この実施の形態3において、冷媒としては炭化水素系冷媒、特に好ましくはプロパンなどが用いられ、冷凍機油3としては40℃における動粘性係数が80〜200cStである冷凍機油、特に好ましくは40℃における動粘性係数が90〜150cStのパラフィン系鉱油が用いられる。
なお、上記メタル軸受11としては、例えばアルミ、銅などを材料とした一般的な軸受メタルを用いることができる。
上記実施の形態1ないし3では、この発明をロータリー型圧縮機に用いる場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えばスクロール圧縮機、レシプロ式圧縮機など他の方式の圧縮機でも同様の効果が期待できる。
たとえば、実施の形態3における軸受メタル11はロータリ圧縮機でなくても同様の効果が期待できる。
さらに、上記冷凍機油に所望により公知の酸化防止剤、粘度指数向上剤などを加えても差し支えない。
また、この発明の密閉型圧縮機を空調装置に用いる場合について説明したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、ヒートポンプシステムを利用するものであれば、他の装置、システム、例えば除湿機、パネルクーラー、冷蔵庫、冷凍庫等に用いることができることは当然である。
2 電動要素
3 冷凍機油、
4 クランクシャフト、
5 軸受、
6 軸受、
10圧縮要素、
11 軸受メタル、
Claims (2)
- 電動要素、摺動部を有する圧縮要素、冷凍機油、及び冷媒を密閉容器内に収容する密閉型圧縮機において、上記冷媒として、炭化水素を主成分とする冷媒を用い、上記冷凍機油として、パラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油、およびアルキルベンゼン油の中から選ばれた単一物もしくは任意の2以上の混合油であって、40℃における動粘性係数が80〜200cStである冷凍機油を用い、上記冷凍機油が前記摺動部に供給されることを特徴とする密閉型圧縮機。
- 電動要素または圧縮要素は、回転軸を支承する軸受を備え、この軸受として、軸受メタルを用いてなることを特徴とする請求項1に記載の密閉型圧縮機。
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JP2011235800A JP5257500B2 (ja) | 2011-10-27 | 2011-10-27 | 密閉型圧縮機 |
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2011
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