JP5256455B2 - 網目形成体が内部に析出したガラスとその製造方法 - Google Patents

網目形成体が内部に析出したガラスとその製造方法

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Description

本発明は、網目形成体である元素、例えばSiやGe、が内部に析出したガラスとその製造方法に関する。
近年、ガラスの内部に微細構造を形成して、光学デバイス、電子デバイスなどの各種のデバイスとする技術が注目されている。例えば、レーザ、電子ビーム、イオンビームなどをシリカガラスに照射して、SiとO(酸素)との結合を切断し、通常よりも酸素が少ない領域を当該ガラスの内部に形成できることが知られている。レーザとしては、高いピーク強度およびフォトン(光子)密度を実現でき、ガラスに対して複数のフォトンを相互作用させる、いわゆる「多光子過程」の実現が可能であることから、通常、フェムト秒レーザが用いられる。フェムト秒レーザは、また、その照射の焦点(集光点)以外の部分ではガラスの構造にほとんど影響を与えないため、上記各種のデバイスの形成に適すると考えられている。
例えば、特開2005−127924号公報には、「フェムト秒レーザ照射によって照射領域での酸素の枯渇が進行すると、石英ガラス(シリカガラス)中にシリコン結晶を析出させることが知られている」と記載されている(段落[0017])。
一方、SiやGeなどからなる微粒子が、紫外線の照射により可視光域に蛍光を発することが知られており(例えば、V. Narauanan and R. K. Thareja, Modern Physics Letters B, 17, 3, 121-129 (2003)を参照)、例えば、これらの微粒子が分散したガラスは、発光材料などへの応用が考えられる。
しかし、本発明者らの検討によると、シリカガラスにフェムト秒レーザを照射するだけでは、レーザの焦点近傍に通常よりも酸素が少ない領域は形成されるものの、ガラスの内部にSiを析出できない。
そこで本発明は、Siなどの網目形成体(Network Former)である元素が内部に析出したガラスと、その製造方法とを提供することを第1の目的とする。
一方、上述したように、SiやGeなどからなる微粒子が内部に分散したガラスは、発光材料などへの応用が期待される。しかし、これまで、このような構造を有するガラスは製造できなかった。SiやGeの微粒子をガラス原料に混合したとしても、当該微粒子は、ガラスの製造時に他の原料成分とともに熔けてしまう。
そこで本明細書は、網目形成体である元素、具体的にはSiやGeなど、の微粒子が内部に分散して析出したガラスと、その製造方法とを提供することを第2の目的とする。
本発明のガラスの製造方法(第1の製造方法)は、網目形成体である第1の元素が内部に析出したガラス(ガラスA−2)の製造方法である。第1の製造方法では、前記第1の元素と、前記第1の元素よりも標準酸化還元電位が負に大きい第2の元素とを含み、かつ、含まれる酸素が化学量論比未満のガラス(ガラスA−1)に、繰り返し周波数が異なる2種以上のフェムト秒レーザを照射して、前記ガラスA−1の内部に前記第1の元素を析出させて、前記ガラスA−2を得る。
第1の製造方法では、前記レーザの照射により前記第1の元素を析出させたガラスを、さらに熱処理してもよい。
本明細書に開示のガラス(第1のガラス)は、網目形成体である第1の元素と、前記第1の元素よりも標準酸化還元電位が負に大きい第2の元素とを含み、レーザの照射により前記第1の元素が内部に析出したガラスである。
本明細書に開示のガラス(第2のガラス:ガラスB−2)は、網目形成体である第1の元素と、前記第1の元素よりも標準酸化還元電位が負に大きい第2の元素とを含み、前記第1の元素の微粒子が内部に分散して析出したガラスである。
ラスB−2を別の側面から表現すると、ガラスB−2は、網目形成体である第1の元素と、前記第1の元素よりも標準酸化還元電位が負に大きい第2の元素とを含み、紫外線の照射により、単体である前記第1の元素に由来する発光が測定されるガラスであるともいえる。
本明細書に開示のガラスの製造方法(第2の製造方法)は、上記ガラスB−2の製造方法である。第2の製造方法では、網目形成体である第1の元素と、前記第1の元素よりも標準酸化還元電位が負に大きい第2の元素とを含み、かつ、含まれる酸素が化学量論比未満のガラス(ガラスB−1)を熱処理することにより、前記第1の元素の微粒子を前記ガラスB−1の内部に分散して析出させて、前記ガラスB−2を得る。
ガラスが化学量論比を満たす酸素を含む場合、当該ガラスに含まれる全カチオン(網目形成体、中間体、網目修飾体)の平均価数をnとすると、一般に、当該ガラスは式MOn/2(M:カチオン、O:酸素)と記述できる。同様に、含まれる酸素が化学量論比未満のガラスは、式MOx(0<x<n/2)と記述できる。ここで平均価数nは、ガラス中で各カチオンがとる価数(例えば、Siは4、Alは3、Caは2、Naは1)を、ガラス中の当該カチオンのモル数により重み付けした加重平均値である。
本発明の第1の製造方法では、析出させる第1の元素よりも標準酸化還元電位が負に大きい第2の元素を含み、かつ、含まれる酸素が化学量論比未満のガラスA−1にレーザを照射している。標準酸化還元電位が負に大きい元素ほど酸素と結合しやすいため、第2の元素は第1の元素よりも酸素と結合しやすい。また、ガラスA−1は、通常のガラスよりも酸素が少ない状態にある。このように本発明の第1の製造方法では、単にレーザを照射するのではなく、酸素と結合しやすい第2の元素をガラスに含ませるとともに、ガラスを酸素不足の状態とすることにより、レーザの照射による第1の元素と酸素との結合の切断を促進でき、第1の元素をガラスの内部に析出できる。
2の製造方法では、析出させる第1の元素よりも標準酸化還元電位が負に大きい第2の元素を含み、かつ、含まれる酸素が化学量論比未満のガラスB−1を熱処理している。標準酸化還元電位が負に大きい元素ほど酸素と結合しやすいため、第2の元素は第1の元素よりも酸素と結合しやすい。また、ガラスB−1は、通常のガラスよりも酸素が少ない状態にある。このように第2の製造方法では、単に熱処理するのではなく、酸素と結合しやすい第2の元素をガラスに含ませるとともに、ガラスを酸素不足の状態とすることにより、熱処理による第1の元素と酸素との結合の切断を促進でき、第1の元素の微粒子をガラスの内部に分散して析出できる。
【0018】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例において、本発明の製造方法により形成したガラスの構造を説明するための図である。
【図2】図2は、参照例において形成したガラスの構造を説明するための図である。
【図3】図3は、参照例において形成した第2のガラスの光吸収スペクトルおよび発光スペクトルを示す図である。
以下、本明細書では、ガラスの組成を、各カチオンが化学量論比の酸化物としてガラス中に存在するものとして記述する。例えば、Al酸化物は、酸素が化学量論比未満であるとすると本来AlOx(0<x<3/2)として表記すべきであるが、以下では、便宜上、化学量論比の酸素と結合しているものとして、即ちAl23として、記述する。
第1の製造方法について、より詳細に説明する。
ガラスA−1に照射するレーザは、高いピーク強度を有し、上述した多光子過程を実現できることで、第1の元素と酸素との結合の切断を促進できることから、フェムト秒レーザが好ましい。ここでフェムト秒レーザとは、パルス幅がフェムト秒(10-13〜10-15秒)であるパルスレーザである。
ガラスA−1に照射するフェムト秒レーザの波長は、通常、200〜1600nm程度であればよい。当該波長が短い方が第1の元素と酸素との結合の切断をより促進できるが、当該波長が過度に短くなると、レーザをガラスの内部へ浸透させることが難しくなったり、ガラスA−1の内部におけるレーザの焦点(集光点)以外の部分においても第1の元素と酸素との結合の切断が促進されたりするため、微細構造を有するデバイスの形成が困難となる。
フェムト秒レーザの発振源は特に限定されないが、例えば、フェムト秒レーザとして一般的であるチタンサファイアレーザであればよい。
フェムト秒レーザを用いる場合、繰り返し周波数が異なる2種以上のレーザをガラスA−1に照射してもよく、例えば、相対的に小さい繰り返し周波数を有する第1のフェムト秒レーザと、相対的に大きい繰り返し周波数を有する第2のフェムト秒レーザとをガラスA−1に照射してもよい。この場合、双方の繰り返し周波数を適切に設定することで、例えば、第1のレーザにより第1の元素と酸素との結合を切断して第1の元素を析出させ、第2のレーザにより、先のレーザ照射において析出した第1の元素を凝集できる。上記2種以上のレーザは、同時に照射してもよいし、照射タイミングを互いにずらして照射してもよい。
ガラスA−1に照射するフェムト秒レーザの出力は特に限定されないが、例えば、繰り返し周波数が200kHzである場合には、通常、0.05μJ以上程度、繰り返し周波数が1kHzである場合には、通常、0.1μJ〜1mJ程度であればよい。
ガラスA−1に照射するフェムト秒レーザの波長や繰り返し周波数、出力などは、第1の元素の種類などに応じて任意に設定すればよい。繰り返し周波数が異なる2種以上のレーザを照射する場合だけではなく、1種類のレーザを照射する場合においても同様である。
本発明の第1の製造方法では、ガラスA−1の内部に焦点が位置するようにレーザを照射して、ガラスA−1における上記焦点近傍に第1の元素を析出させてもよい。この場合、焦点を移動させながらガラスA−1にレーザを照射すれば、ガラスA−1の内部に、析出した第1の元素からなる周期構造や線路を形成でき、析出した第1の元素からなる回路を形成することも可能である。
ガラスA−1に照射するレーザの光学系は、一般的なレーザ光学系を応用すればよい。
光学系が対物レンズを備える場合、対物レンズの開口数(NA)を調整することで、ガラスA−1の内部における第1の元素が析出する領域のサイズを制御できる。より具体的には、NAの値を小さくすることにより、上記領域のサイズを大きくできる。
ガラスA−1が含む第1の元素は、ガラスの網目形成体である限り特に限定されず、例えば、SiおよびGeから選ばれる少なくとも1種であればよい。
SiまたはGeとドープ元素とを組み合わせることにより、n形またはp形の半導体を形成できる。このため、第1の元素がSiおよびGeから選ばれる少なくとも1種である場合、ガラスの内部に半導体素子や半導体回路を形成できる。ガラスの内部にp形半導体またはn形半導体を形成するために、例えば、析出させたSiまたはGeの凝集体中にキャリアが生成するように、ドープ元素(例えば、As、Ga、Pなど)を予めさらに含ませたガラスA−1を用いてもよい。
第1の元素としては、ガラスになりうる組成の幅が広く、また、形成できるデバイスの範囲が広い、より具体的には、半導体デバイスを構成する物質として一般的である、ことからSiが好ましい。
第1の元素がSiである場合、ガラスA−2は、網目組成体であるSiと、Siよりも標準酸化還元電位が負に大きい第2の元素とを含み、レーザの照射によりSiが内部に析出したガラスであるともいえる。また、Siの析出の状態によっては、網目形成体であるSiと、Siよりも標準酸化還元電位が負に大きい第2の元素とを含み、Siの凝集体が内部に析出したガラスであるともいえる。
同様に、第1の元素がGeである場合、ガラスA−2は、網目形成体であるGeと、Geよりも標準酸化還元電位が負に大きい第2の元素とを含み、レーザの照射によりGeが内部に析出したガラスであるともいえる。また、Geの析出の状態によっては、網目形成体であるGeと、Geよりも標準酸化還元電位が負に大きい第2の元素とを含み、Geの凝集体が内部に析出したガラスであるともいえる。
第2の元素は、上記第1の元素よりも標準酸化還元電位(標準電極電位E0)が負に大きい限り特に限定されず、例えば、Al、TiおよびZnから選ばれる少なくとも1種であればよい。
上記3つの元素の中で標準酸化還元電位が最も負に大きく(即ち、酸素との結合性が最も大きく)、第1の元素と酸素との結合の切断をより促進できることから、第2の元素はAlが好ましい。なお、標準酸化還元電位が最も負に大きいとは、標準酸化還元電位が最も小さいともいえる。
ガラスA−1における第2の元素の含有率は特に限定されないが、例えば、酸化物換算で、1モル%以上30モル%以下であればよく、5モル%以上18モル%以下が好ましい。
第1の元素と第2の元素との組み合わせは特に限定されないが、第1の元素がSiであり、第2の元素がAlであることが好ましい。なお、この場合、ガラスA−1およびレーザ照射後のガラスA−2は、いわゆるアルミノシリケートガラスとなる。
ガラスA−1の組成は、第1の元素および第2の元素を含む限り特に限定されない。例えば、第1の元素がSiであり、第2の元素がAlである場合、モル%で表示して、実質的に、70≦SiO2≦99、1≦Al23≦30からなってもよく、82≦SiO2≦99、1≦Al23≦18からなることが好ましい。なお、「実質的に」とは、ガラスA−1に、ガラス原料起源の不純物などの微量成分が、0.1モル%未満の範囲で含まれてもよい趣旨である。
ガラスA−1は、アルカリ金属元素およびアルカリ土類金属元素から選ばれる少なくとも1種をさらに含んでいてもよい。
アルカリ金属元素は、ガラスの熔融粘度を低下させる作用を有する。アルカリ土類金属元素は、ガラスの熔融粘度を低下させる作用を有する他、ガラスA−1の強度や耐水性などの特性を向上させる作用を有する。
アルカリ金属元素は、例えば、Li、NaおよびKから選ばれる少なくとも1種であればよく、Naが特に好ましい。
アルカリ土類金属元素は、例えば、Mg、Ca、SrおよびBaから選ばれる少なくとも1種であればよく、Caが特に好ましい。
ガラスA−1がアルカリ金属元素を含む場合、ガラスA−1におけるアルカリ金属元素の含有率は、通常、酸化物換算で60モル%以下である。当該含有率が過度に大きくなると、ガラスA−1の失透温度が低下する。
例えば、ガラスA−1が、第1の元素としてSiを含み、第2の元素としてAlを含み、アルカリ金属元素としてNaを含む場合、ガラスA−1の組成は、例えば、モル%で表示して、実質的に、10≦SiO2<99、1≦Al23≦30、0<Na2O≦60からなればよい。
ガラスA−1がアルカリ土類金属元素を含む場合、ガラスA−1におけるアルカリ土類金属元素の含有率は、通常、酸化物換算で60モル%以下である。当該含有率が過度に大きくなると、ガラスA−1の失透温度が低下する。
レーザの照射により第1の元素が析出したガラスA−2の組成は、第1の元素が析出した部分を除き、基本的にレーザ照射前のガラスA−1の組成と同様である。
レーザを照射するガラスA−1の形成方法は特に限定されず、例えば、第1の元素の化合物と、第2の元素の単体、または、含まれる酸素が化学量論比未満である第2の元素の化合物と、を含む原料(ガラス原料)を熔融して形成すればよい。
ガラスA−1に含まれる酸素の量をより低減でき、第1の元素と酸素との結合の切断をより促進できることから、第1の元素の化合物と第2の元素の単体とを含む原料を熔融して、ガラスA−1を形成することが好ましい。
本発明は、網目形成体である第1の元素の化合物と、第1の元素よりも標準酸化還元電位が負に大きい第2の元素の単体、または、含まれる酸素が化学量論比未満である第2の元素の化合物とを含む原料を熔融してガラスA−1を形成し、形成したガラスA−1にレーザを照射して、ガラスの内部に第1の元素を析出させる方法としても実施できる。
上記第1の元素の化合物は特に限定されないが、第1の元素がSiである場合、例えば、SiO2であればよい。
上記酸素が化学量論比未満である第2の元素の化合物は特に限定されないが、第2の元素がAlである場合、例えば、式AlOx(0<x<3/2)で示されるAlの不定比酸化物であればよい。
上記第2の元素の単体は、第2の元素がAlである場合、例えば、Al粒子(金属Al粒子)であればよい。
上記熔融する原料は、必要に応じ、アルカリ金属元素の化合物およびアルカリ土類金属元素の化合物から選ばれる少なくとも1種を含んでいてもよく、この場合、原料の熔融粘度を低減できる。
上記原料の熔融は、大気中で行ってもよいし、還元雰囲気下で行ってもよい。例えば、ガラスA−1が、第2の元素の含有率(酸化物換算)が比較的少ない組成を有する場合などには、より確実に第1の元素を析出させるために、還元雰囲気下で原料を熔融してもよい。還元雰囲気は、例えば、酸素を含まない雰囲気であればよい。
本発明の第1の製造方法では、レーザの照射により第1の元素を析出させたガラスを、さらに熱処理してもよい。熱処理により、ガラス内部に析出した第1の元素を凝集できる他、熱処理前に既に第1の元素の凝集体が析出されている場合には、当該凝集体のサイズをより大きくできる。換言すれば、熱処理により、ガラス内部に析出する第1の元素の凝集体のサイズを制御できる。
熱処理の温度は、ガラス内部に析出する上記凝集体のサイズなどに応じて適宜設定すればよいが、通常、ガラスA−1のガラス転移温度(Tg)以上結晶化温度(Tc)以下であればよい。
熱処理の方法は特に限定されず、例えば、熱処理温度に保持した電気炉などの加熱炉内に、レーザを照射したガラスを収容し、所定の時間保持すればよい。
本発明の第1の製造方法によって得たガラスA−2は、ガラスの内部に第1の元素が析出した構造を有し、製造方法によっては、ガラスの内部に第1の元素の凝集体が析出した構造を有する。凝集体の具体的な構造は特に限定されないが、製造方法によっては、結晶性を有する凝集体、例えば、結晶性Siをガラスの内部に析出できる。
例えば、第1の元素がSiである場合、SiO2としての屈折率はおよそ1.5であり、Siの屈折率はおよそ3.4である。即ち、ガラスの内部に第1の元素としてSiを析出させることにより、ガラスの内部に周囲よりも屈折率が大きい部分を形成できる。このような部分は、その形状などによっては光導波路としての応用が可能である。
その他、ガラスA−1の組成や第1の元素の析出の状態によっては、半導体素子、半導体回路、フォトニック結晶などの各種デバイスが形成されたガラスA−2を形成できる。
2のガラスおよび第2の製造方法について、以下に詳細を説明する。
ガラスB−2は、網目形成体である第1の元素と、第1の元素よりも標準酸化還元電位が高い第2の元素とを含み、第1の元素の微粒子が内部に分散して析出した構造を有する。
ガラスB−2は、様々な応用が期待される。
例えば、第1の元素がSiおよびGeから選ばれる少なくとも1種である場合、即ち、ガラスB−2がSiの微粒子およびGeの微粒子から選ばれる少なくとも1種を分散した状態で含む場合、紫外線の照射により発光するガラスとすることができる。このようなガラスB−2は、例えば、発光材料としての応用が可能である。
また実施例に詳細を説明するが、Si微粒子を分散して含むガラス、および、Ge微粒子を分散して含むガラスは、紫外線の照射により発光した光のスペクトルにおけるピーク波長を可視光域とすることができる。また、Si微粒子を含む場合、および、Ge微粒子を含む場合のそれぞれで発光スペクトルのピーク位置が異なるため、ガラスB−2におけるSi微粒子とGe微粒子との析出比を調整することで、紫外線の照射によるガラスB−2の発光スペクトルを制御でき、例えば、紫外線の照射により白色光を発光するガラスB−2とすることも可能である。Si微粒子とGe微粒子との析出比は、ガラスB−1の組成、より具体的には、ガラスB−1に含まれるSiO2とGeO2とのモル比を調整することで制御できる。
ラスB−2の組成は、第1の元素が析出した部分を除き、基本的に熱処理前のガラスB−1の組成と同様である。
2の製造方法では、ガラスB−1を熱処理する温度は、通常、ガラスB−1のガラス転移温度(Tg)以上結晶化温度(Tc)以下であればよい。
熱処理の方法は特に限定されず、例えば、熱処理温度に保持した電気炉などの加熱炉内にガラスB−1を収容し、所定の時間保持すればよい。
ガラスB−1が含む第1の元素は、ガラスの網目形成体である限り特に限定されず、例えば、SiおよびGeから選ばれる少なくとも1種であればよい。上述したように、ガラスB−1に含まれるSiO2とGeO2とのモル比を調整することで、熱処理後のガラスB−2におけるSi微粒子とGe微粒子との析出比を制御できる。
ガラスB−1が含む第2の元素は、上記第1の元素よりも標準酸化還元電位が負に大きい限り特に限定されず、例えば、Al、TiおよびZnから選ばれる少なくとも1種であればよい。
上記3つの元素の中で標準酸化還元電位が最も負に大きく(即ち、酸素との結合性が最も大きく)、第1の元素と酸素との結合の切断をより促進できることから、第2の元素はAlが好ましい。なお、標準酸化還元電位が最も負に大きいとは、標準酸化還元電位が最も小さいともいえる。
ガラスB−1における第2の元素の含有率は特に限定されないが、例えば、酸化物換算で、1モル%以上30モル%以下であればよく、5モル%以上18モル%以下が好ましい。
ガラスB−1の組成は、第1の元素および第2の元素を含む限り特に限定されない。
例えば、第1の元素がSiであり、第2の元素がAlである場合、モル%で表示して、実質的に、70≦SiO2≦99、1≦Al23≦30からなってもよく、82≦SiO2≦99、1≦Al23≦18からなることが好ましい。なお、「実質的に」とは、ガラスB−1に、ガラス原料起源の不純物などの微量成分が、0.1モル%未満の範囲で含まれてもよい趣旨である。
また例えば、第1の元素がGe、第2の元素がAlである場合、モル%で表示して、実質的に、70≦GeO2≦99、1≦Al23≦30からなってもよく、82≦GeO2≦99、1≦Al23≦18からなることが好ましい。
ガラスB−1がSiおよびGeの双方を含む場合、ガラスB−1は、モル%で表示して、実質的に、70≦SiO2+GeO2≦99、1≦Al23≦30からなってもよく、82≦SiO2+GeO2≦99、1≦Al23≦18からなることが好ましい。
ガラスB−1は、アルカリ金属元素およびアルカリ土類金属元素から選ばれる少なくとも1種をさらに含んでいてもよい。
アルカリ金属元素は、熔融粘度を低下させる作用を有する。アルカリ土類金属元素は、アルカリ金属元素と同様に熔融粘度を低下させる作用を有する他、ガラスB−1の強度や耐水性などの特性を向上させる作用を有する。
アルカリ金属元素は、例えば、Li、NaおよびKから選ばれる少なくとも1種であればよく、Naが特に好ましい。
アルカリ土類金属元素は、例えば、Mg、Ca、SrおよびBaから選ばれる少なくとも1種であればよく、Caが特に好ましい。
ガラスB−1がアルカリ金属元素を含む場合、ガラスB−1におけるアルカリ金属元素の含有率は、通常、酸化物換算で60モル%以下である。当該含有率が過度に大きくなると、ガラスB−1の失透温度が低下する。
例えば、ガラスB−1が、第1の元素としてSiを含み、第2の元素としてAlを含み、アルカリ金属元素としてNaを含む場合、ガラスB−1の組成は、例えば、モル%で表示して、実質的に、10≦SiO2<99、1≦Al23≦30、0<Na2O≦60からなればよい。
例えば、ガラスB−1が、第1の元素としてGeを含み、第2の元素としてAlを含み、アルカリ金属元素としてNaを含む場合、ガラスB−1の組成は、例えば、モル%で表示して、実質的に、10≦GeO2<99、1≦Al23≦30、0<Na2O≦60からなればよい。
例えば、ガラスB−1が、第1の元素としてSiおよびGeの双方を含み、第2の元素としてAlを含み、アルカリ金属元素としてNaを含む場合、ガラスB−1の組成は、例えば、モル%で表示して、実質的に、10≦SiO2+GeO2<99、1≦Al23≦30、0<Na2O≦60からなればよい。
ガラスB−1がアルカリ土類金属元素を含む場合、ガラスB−1におけるアルカリ土類金属元素の含有率は、通常、酸化物換算で60モル%以下である。当該含有率が過度に大きくなると、ガラスB−1の失透温度が低下する。
熱処理するガラスB−1の形成方法は特に限定されず、例えば、第1の元素の化合物と、第2の元素の単体、または、含まれる酸素が化学量論比未満である第2の元素の化合物と、を含む原料(ガラス原料)を熔融して形成すればよい。
ガラスB−1に含まれる酸素の量をより低減でき、第1の元素と酸素との結合の切断をより促進できることから、第1の元素の化合物と第2の元素の単体とを含む原料を熔融して、ガラスB−1を形成することが好ましい。
本明細書に開示の方法は、網目形成体である第1の元素の化合物と、第1の元素よりも標準酸化還元電位が負に大きい第2の元素の単体、または、含まれる酸素が化学量論比未満である第2の元素の化合物とを含む原料を熔融してガラスB−1を形成し、形成したガラスB−1を熱処理することにより、ガラスの内部に第1の元素の微粒子を分散して析出させる方法としても実施できる。
上記第1の元素の化合物は特に限定されないが、第1の元素がSiである場合、例えば、SiO2であればよく、第1の元素がGeである場合、例えば、GeO2であればよい。
上記酸素が化学量論比未満である第2の元素の化合物は特に限定されないが、第2の元素がAlである場合、例えば、式AlOx(0<x<3/2)で示されるAlの不定比酸化物であればよい。
上記第2の元素の単体は、第2の元素がAlである場合、例えば、Al粒子(金属Al粒子)であればよい。
上記熔融する原料は、必要に応じ、アルカリ金属元素の化合物およびアルカリ土類金属元素の化合物から選ばれる少なくとも1種を含んでいてもよく、この場合、原料の熔融粘度を低減できる。
上記原料の熔融は、大気中で行ってもよいし、還元雰囲気下で行ってもよい。例えば、ガラスB−1が、第2の元素の含有率(酸化物換算)が比較的少ない組成を有する場合などには、より確実に第1の元素の微粒子を析出させるために、還元雰囲気下で原料を熔融してもよい。還元雰囲気は、例えば、酸素を含まない雰囲気であればよい。
以下、実施例により、本発明をより詳細に説明する。本発明は、以下に示す実施例に限定されない。
(実施例1)
化学量論比を満たす酸素が存在すると仮定した場合にSiO2:44.4%、Na2O:44.4%、および、Al23:11.1%の組成(全てモル%)となるように、ガラス原料としてSiO2およびNa2CO3と、Al粒子(平均粒径45μm)とを秤量、混合し、ガラス原料バッチを調製した。なお、当該ガラス原料バッチにおける各原料のモル比は、SiO2:Na2CO3:Al粒子=40:40:20である。ここでAl粒子のモル数は、Al粒子の重量をAlの原子量(27.0)で除した値とした。
次に、調製したガラス原料バッチをアルミナ坩堝に投入し、当該坩堝を大気雰囲気下にある炉の内部に収容して1400℃で原料バッチを熔融し、熔融ガラスとした。次に、炉から坩堝を取り出して室温まで冷却し、得られたガラスを切断、研磨して、評価用のガラスサンプル(サンプル1)を得た。
得られたサンプル1の状態を光学顕微鏡により観察したところ、ガラスの内部に粒子状の物質は確認されなかった。ガラス原料に加えたAl粒子は熔融時に熔解したと考えられる。
次に、上記サンプル1に対し、サンプルの内部に焦点が位置するように、フェムト秒レーザ(パルス幅150fs、波長800nm、繰り返し周波数1kHz、出力300μJ)と、当該レーザとは繰り返し周波数が異なるフェムト秒レーザ(パルス幅150fs、波長800nm、繰り返し周波数200kHz、出力3μJ)とを、両レーザの焦点が互いに重なるように、ほぼ同時に照射した。両レーザの照射には、開口数(NA)が0.3の対物レンズを用いた。
次に、レーザを照射したサンプルを研磨し、上記サンプルにおけるレーザの焦点近傍の部分を露出させた。露出した焦点近傍の部分を走査型電子顕微鏡(SEM)およびエネルギー分散X線分光(EDS)により観察したところ、図1に示すように、当該部分にSiからなる領域(長軸方向に約3μmのサイズ)が形成されていた。なお、図1における(a)は当該部分のSEM像であり、(b)は当該部分のSiに着目したEDS像であり、(c)は当該部分の酸素に着目したEDS像である。(b)および(c)のEDS像では、着目した元素が多く含まれる領域ほど、明るく示されている。また、図1における横軸をエネルギー(keV)、縦軸を強度(cps)としたグラフは、(a)に示す、Siからなる領域およびガラスのマトリクスに対するEDSの測定結果である。
また、上記Siからなる領域を透過型電子顕微鏡(TEM)および電子スピン共鳴(ESR)により評価したところ、当該領域は結晶性のSiからなることがわかった。
参照例1
実施例1で形成したガラスサンプル1に対して、サンプルの内部に焦点が位置するように、フェムト秒レーザ(パルス幅150fs、波長800nm、繰り返し周波数200kHz、出力3μJ)を照射した。なお、レーザの照射には、開口数(NA)が0.3の対物レンズを用いた。
次に、レーザを照射したサンプルを550℃に設定した電気炉に収容して60分間熱処理した後に、室温まで冷却した。なお、サンプル1におけるTgはおよそ470℃であり、Tcはおよそ690℃である。
次に、熱処理後のサンプルを研磨し、上記サンプルにおけるレーザの焦点近傍の部分を露出させた。露出した焦点近傍の部分をSEMおよびEDSにより観察したところ、図2に示すように、当該部分にSiからなる領域(長軸方向に約7μmのサイズ)が形成されていた。なお、図2における(a)は当該部分のSEM像であり、(b)は(a)のSEM像におけるSiからなる領域部分の拡大図であり、(c)は当該部分のSiに着目したEDS像であり、(d)は当該部分の酸素に着目したEDS像である。なお、Siおよび酸素に対するEDS像において、当該部分の右上が暗くなっている、即ち、Siおよび酸素のシグナルが消失しているが、これは、サンプルを研磨した際に当該部分の一部が削り取られたためである。
また、上記Siからなる領域をTEMおよびESRにより評価したところ、当該領域は結晶性のSiからなることがわかった。
(実施例
ガラス原料バッチを、大気雰囲気下ではなく還元雰囲気下(水素を3体積%含む窒素雰囲気下)で熔融した以外は、実施例1と同様にして、評価用のガラスサンプル(サンプル2)を得た。還元雰囲気下におけるガラス原料バッチの熔融は、調製したガラス原料バッチをアルミナ坩堝に投入し、当該坩堝を上記還元雰囲気下にある炉の内部に収容して1400℃に加熱することにより行った。
得られたサンプル2の状態を光学顕微鏡により観察したところ、ガラスの内部に粒子状の物質は確認されなかった。ガラス原料に加えたAl粒子は熔融時に熔解したと考えられる。
次に、実施例1と同様に、上記サンプル2に対してレーザを照射した後にSEMおよびEDSによる評価を行ったところ、サンプル2の内部におけるレーザの焦点近傍に、実施例1と同様のSiからなる領域が形成されていた。また、上記Siからなる領域をTEMおよびESRにより評価したところ、当該領域は結晶性のSiからなることがわかった。
(比較例1)
最初に、SiO2:44.4%、Na2O:44.4%、および、Al23:11.1%の組成(全てモル%)となるように、ガラス原料としてSiO2、Na2CO3およびAl23とを秤量、混合し、ガラス原料バッチを調製した以外は実施例1と同様にして、比較例であるガラスサンプルAを作製した。
次に、実施例1と同様に、作製したサンプルAに対してフェムト秒レーザを照射した後に、サンプルAにおけるレーザの焦点近傍の部分をSEMおよびEDSにより観察したが、Siからなる領域は形成されていなかった。
(比較例2)
SiO2からなるシリカガラスに対し、実施例1と同様にフェムト秒レーザを照射した後に、当該シリカガラスにおけるレーザの焦点近傍の部分をSEMおよびEDSにより観察したが、Siからなる領域は形成されていなかった。
参照例2
化学量論比を満たす酸素が存在すると仮定した場合にSiO2:41.9%、CaO:41.9%、および、Al23:16.3%の組成(全てモル%)となるように、ガラス原料としてSiO2およびCaCO3と、Al粒子(平均粒径45μm)とを秤量、混合し、ガラス原料バッチを調製した。なお、当該ガラス原料バッチにおける各原料のモル比は、SiO2:CaCO3:Al粒子=36:36:28である。ここでAl粒子のモル数は、Al粒子の重量をAlの原子量(27.0)で除した値とした。
次に、調製したガラス原料バッチをアルミナ坩堝に投入し、当該坩堝を大気雰囲気下にある炉の内部に収容して1500℃で原料バッチを熔融し、熔融ガラスとした。次に、炉から坩堝を取り出して室温まで冷却し、得られたガラスを切断、研磨して、評価用のガラスサンプル(サンプル3)を得た。
得られたサンプル3の状態を光学顕微鏡により観察したところ、ガラスの内部に粒子状の物質は確認されなかった。ガラス原料に加えたAl粒子は熔融時に熔解したと考えられる。
次に、上記サンプル3を550℃に設定した電気炉に収容して60分間熱処理した後に、室温まで冷却した。なお、サンプル3におけるTgはおよそ480℃であり、Tcはおよそ690℃である。
次に、熱処理後のサンプル3に対して紫外線(波長280〜400nm)を照射して、当該サンプルの光吸収スペクトルおよび発光スペクトルを評価した。評価結果を図3に示す。
図3に示すように、熱処理後のサンプル3では、波長にして約300〜700nm程度の範囲にブロードな発光スペクトルが確認でき、当該発光スペクトルのピークは、青色に相当する約500nmであった。また、当該サンプルにおける光吸収のピークは約280nmであった。
参照例3
化学量論比を満たす酸素が存在すると仮定した場合にGeO2:41.9%、CaO:41.9%、および、Al23:16.3%の組成(全てモル%)となるように、ガラス原料としてGeO2およびCaCO3と、Al粒子(平均粒径45μm)とを秤量、混合し、ガラス原料バッチを調製した。なお、当該ガラス原料バッチにおける各原料のモル比は、GeO2:CaCO3:Al粒子=36:36:28である。ここでAl粒子のモル数は、Al粒子の重量をAlの原子量(27.0)で除した値とした。
次に、実施例と同様にして、評価用のガラスサンプル(サンプル4)を得た。
得られたサンプル4の状態を光学顕微鏡により観察したところ、ガラスの内部に粒子状の物質は確認されなかった。ガラス原料に加えたAl粒子は熔融時に熔解したと考えられる。
次に、上記サンプル4を550℃に設定した電気炉に収容して60分間熱処理した後に、室温まで冷却した。なお、サンプル4におけるTgはおよそ480℃であり、Tcはおよそ690℃である。
次に、熱処理後のサンプル4に対して紫外線(波長280〜400nm)を照射して、当該サンプルの光吸収スペクトルおよび発光スペクトルを評価した。評価結果を図3に示す。
図3に示すように、熱処理後のサンプル4では、波長にして約400〜800nmの範囲にブロードな発光スペクトルが確認でき、当該発光スペクトルのピークは、赤色に相当する650nmであった。また、当該サンプルにおける光吸収のピークは約370nmであった。
参照例4
ガラス原料バッチを、大気雰囲気下ではなく還元雰囲気下(水素を3体積%含む窒素雰囲気下)で熔融した以外は、参照例2と同様にして、評価用のガラスサンプル(サンプル5)を得た。還元雰囲気下におけるガラス原料バッチの熔融は、調製したガラス原料バッチをアルミナ坩堝に投入し、当該坩堝を上記還元雰囲気下にある炉の内部に収容して1500℃に加熱することにより行った。
得られたサンプル5の状態を光学顕微鏡により観察したところ、ガラスの内部に粒子状の物質は確認されなかった。ガラス原料に加えたAl粒子は熔融時に熔解したと考えられる。
次に、熱処理後のサンプル5に対して紫外線(波長280〜400nm)を照射して、当該サンプルの光吸収スペクトルおよび発光スペクトルを評価したところ、参照例2と同様の結果が得られた。
(比較例3)
最初に、SiO2:41.9%、CaO:41.9%、および、Al23:16.3%の組成(全てモル%)となるように、ガラス原料としてSiO2、CaCO3およびAl23とを秤量、混合し、ガラス原料バッチを調製した。次に、参照例2と同様にして、評価用のガラスサンプル(比較例サンプルB)を得た。
次に、上記サンプルBを550℃に設定した電気炉に収容して60分間熱処理した後に、室温まで冷却した。
次に、熱処理後のサンプルBに対して紫外線(波長280nm)を照射したところ、発光スペクトルは確認できなかった。
本発明は、その意図および本質的な特徴から逸脱しない限り、他の実施形態に適用しうる。この明細書に開示されている実施形態は、あらゆる点で説明的なものであってこれに限定されない。本発明の範囲は、上記説明ではなく添付したクレームによって示されており、クレームと均等な意味および範囲にあるすべての変更はそれに含まれる。
本発明によれば、Siなどの網目形成体である元素が内部に析出したガラスを形成できる。
本明細書に開示の方法によれば、、網目形成体である元素、具体的にはSiやGeなど、の微粒子が内部に分散して析出したガラスを形成できる。

Claims (12)

  1. 網目形成体である第1の元素が内部に析出したガラスの製造方法であって、
    前記第1の元素と、前記第1の元素よりも標準酸化還元電位が負に大きい第2の元素とを含み、かつ、含まれる酸素が化学量論比未満のガラスに、繰り返し周波数が異なる2種以上のフェムト秒レーザを照射して、前記ガラスの内部に前記第1の元素を析出させる、ガラスの製造方法。
  2. 前記ガラスの内部に焦点が位置するように前記レーザを照射して、前記ガラスにおける前記焦点近傍に前記第1の元素を析出させる請求項1に記載のガラスの製造方法。
  3. 前記第1の元素が、SiおよびGeから選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載のガラスの製造方法。
  4. 前記第1の元素が、Siである請求項1に記載のガラスの製造方法。
  5. 前記第2の元素が、Al、TiおよびZnから選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載のガラスの製造方法。
  6. 前記第2の元素が、Alである請求項1に記載のガラスの製造方法。
  7. 前記ガラスにおける前記第2の元素の含有率が、酸化物換算で、1モル%以上30モル%以下である請求項1に記載のガラスの製造方法。
  8. 前記ガラスが、アルカリ金属元素およびアルカリ土類金属元素から選ばれる少なくとも1種をさらに含む請求項1に記載のガラスの製造方法。
  9. 前記レーザを照射するガラスを、前記第1の元素の化合物と、前記第2の元素の単体、または、含まれる酸素が化学量論比未満である前記第2の元素の化合物と、を含む原料を熔融して形成する、請求項1に記載のガラスの製造方法。
  10. 前記レーザの照射により前記第1の元素を析出させたガラスを、さらに熱処理する、請求項1に記載のガラスの製造方法。
  11. 前記熱処理の温度が、前記ガラスのガラス転移温度(Tg)以上結晶化温度(Tc)以下である請求項10に記載のガラスの製造方法。
  12. 網目形成体である第1の元素が内部に析出したガラスの製造方法であって、
    前記第1の元素の化合物と、前記第1の元素よりも標準酸化還元電位が負に大きい第2の元素の単体、または、含まれる酸素が化学量論比未満である前記第2の元素の化合物と、を含む原料を熔融してガラスを形成し、
    前記形成したガラスに、繰り返し周波数が異なる2種以上のフェムト秒レーザを照射して、前記ガラスの内部に前記第1の元素を析出させる、ガラスの製造方法。
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