JP5255194B2 - 圧電トランス及びその実装方法 - Google Patents

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Description

本発明は例えば、液晶ディスプレイのバックライトに用いられる冷陰極管や複写機、レーザプリンタ、空気清浄機等の高圧電源に利用される圧電トランス及びその実装方法に関する。
この種の圧電トランスに関する先行技術として、平板状の圧電体を樹脂ケース内に収容し、この樹脂ケースから突き出たピン端子を用いて回路基板に実装可能な構造を有するものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。この先行技術では、底面側に開口した箱形のケースに圧電体(圧電トランス本体)が縦置きに収容されており、ケースには底面側に延びる3つのピン端子が付属している。ピン端子は、圧電体の一次電極、二次電極にそれぞれ金糸線を介して接続された構造となっている。
先行技術の圧電トランスによれば、圧電体をケースに収容することで部品をパッケージ化した状態で取り扱うことができ、また、実装時にはケースから突き出たピン端子を回路基板のスルーホールに差し込んで実装することができる。
特開2006−108332号公報
圧電トランスは、圧電体の機械的な振動を利用して変圧を行っているため、圧電体の数箇所を同時に基板に固定することはできない。この点、先行技術のように圧電体(圧電トランス本体)をケースに収容した状態でピン端子と一次電極、二次電極を金糸線で接続する構造であれば、圧電体をケースに収容したままで回路基板に実装することができる。このため先行技術は、部品の取り扱いや回路基板への実装作業性に優れるという利点があり、圧電トランスの構造や実装方法として一つの好ましい例であるといえる。
その一方で圧電トランスには、実装作業性の改善とともに、その実装高さや実装容積を低減することも要求される。しかしながら、上記のように圧電体をむき出しのまま回路基板に直接固定することは技術的に困難であり(複数箇所で固定すると破壊したり、電圧変換効率が悪化したりする)、単純に先行技術のケースを省略して実装高さを減らすという考え方は依然として実現性に乏しい。
そこで本発明は、圧電体を損傷することなく実装高さや実装容積を低減することができる圧電トランス及びその実装方法を提供することを課題としたものである。
本発明の圧電トランスの実装方法は、電圧を入力するための2つの一次電極及び変圧された電圧を出力するための二次電極がそれぞれ外面に形成された圧電体を、その一次電極及び二次電極の位置にそれぞれ対応して回路基板の実装面に設置された保持部材と実装面との間に挟み込ませながら挿入するステップを有する。このステップの実行に際して、一次電極の一方及び二次電極が回路基板の実装面に背向し、かつ、一次電極の他方が実装面に形成された配線パターンと向き合う状態に位置付けられる。また、上記ステップの実行に伴う圧電体の挿入後は、保持部材による挟み込みにより実装面に向き合う方の一次電極を配線パターンに圧着させる一方、実装面に背向する方の一次電極及び二次電極をそれぞれ保持部材を介して前記配線パターンに接続させている。さらに、上記ステップの実行に際して、少なくとも二次電極と保持部材との間には導電性を有した弾性体を介在させた状態で回路基板に圧電体を実装することにより、一次電極を通じて圧電体に周期的な電圧を入力する一方、この電圧の入力により発生した圧電体の機械的な振動を電圧に変換して二次電極から電圧を出力させる圧電トランスとして構成することができる。
上記の実装方法を実現するため、本発明の圧電トランスは以下の構造を有する。すなわち、圧電体には、これが有する厚み方向で対をなす2つの外面にそれぞれ一次電極が形成されている。2つの一次電極は、これらを通じて圧電体に周期的な電圧を入力し、これによって圧電体に機械的な振動を発生させる入力電極となる。これら一次電極とは別に、圧電体の外面には二次電極が形成されている。二次電極は、一次電極からの電圧の入力により発生した振動を電圧に変換して出力するためものものである。
圧電体が取り付けられる回路基板には、2つの一次電極にそれぞれ接続される入力回路及び二次電極に接続される出力回路が形成されている。このうち入力回路は、2つの一次電極に対応して2つ(又は2箇所)に分かれて形成されている。
回路基板には、その実装面との間に圧電体を挟み込んで保持する保持部材が設けられている。この保持部材は、回路基板の実装面に二次電極を背向させた状態で回路基板との間に圧電体を厚み方向に挟み込んで保持することができる。また保持部材は、圧電体を保持した状態で、回路基板の実装面に向き合う方の一次電極を入力回路に圧着させる一方、実装面に背向する方の一次電極及び二次電極をそれぞれ入力回路及び出力回路に接続させている。
上記の構造では、実装面に向き合う一次電極と入力回路との接続についてはいわゆる圧着により実現されるが、実装面と背向する一次電極と入力回路、また二次電極と出力回路との接続はそれぞれ保持部材を仲立ちとして行われる。すなわち、保持部材が一次電極及び二次電極の部位で回路基板との間に圧電体を挟み込むことにより、先ずそこでの圧着により保持部材と一次電極及び二次電極との接続が実現される。そして、これとは別のところで保持部材が回路基板に形成された入力回路及び出力回路にそれぞれ接続されることにより、結果的に保持部材は一次電極及び二次電極を、それぞれ入力回路及び出力回路に接続させることができるのである。
ただし、圧電体は機械振動を利用して電圧を変換するため、圧着部分には弾性体が介在して設けられている。弾性体は導電性を有しており、圧電体が保持部材に保持された状態で、少なくとも保持部材と二次電極との間に介在して設けられる。このような弾性体は、保持部材と二次電極との間を電気的に接続させることができる。
また本発明の圧電トランスは、上記とは別の態様で圧電体を位置付ける構成であってもよい。別の態様では、二次電極が回路基板の実装面に向き合わせて配置されている。この場合、保持部材は、圧電体が保持された状態で、実装面に向き合う方の一次電極及び二次電極をそれぞれ入力回路及び出力回路に圧着させる一方、実装面に背向する方の一次電極を入力回路に接続させている。またこの場合、導電性を有した弾性体は、少なくとも二次電極と出力回路との間に介在して設けられる。
なお、このような態様でも圧電体の機械的な振動に対応するため、二次電極と出力回路との間には弾性体が介在して設けられている。また弾性体は導電性を有しており、それによって二次電極と出力回路との間を電気的に接続させることができる。
このように、本発明では圧電体を保持部材と回路基板との間に挿入するだけで実装作業が完了する。このため、極めて実装作業が容易であり、それだけ作業コストを低く抑えることができる。また、圧電体の挿入後は、これを保持部材と回路基板との間に挟み込んだ状態で保持することで各電極に対する電気的な接続が確保されるため、その他の部品が必要でなく、極めて簡易な実装構造を実現することができる。
以上のように、本発明の圧電トランス及びその実装方法によれば、少なくとも二次電極と保持部材、または二次電極と出力回路との間に弾性体が介在しているため、圧電体の機械的な振動が阻害されることはない。しかも弾性体は導電性を有するため、二次電極から出力される電圧を確実に取り出すことができる。また、圧電体の振動は弾性体に吸収されるため、圧電体や保持部材に機械的な損傷が生じることはない。
また本発明では、圧電体をケース等に収容することなく、むき出しのまま回路基板に取り付けた状態であっても、その振動が阻害されず、破壊のおそれもない。したがって、圧電トランスとしての実装高さや実装容積を大幅に低減することができるし、部品点数の削減による製造コストの低下が図られる。
さらに、一次電極と入力回路、二次電極と出力回路、あるいは一次電極及び二次電極と保持部材との電気的な接続は単純な圧着により実現することができる。このため、圧電トランスの実装に際して半田付け作業が必要なくなり、それだけ製造コストを削減することができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態の圧電トランスを示した斜視図である。圧電トランスは圧電セラミックス2を備えている。圧電セラミックス2は、例えばチタン酸ジルコン酸鉛系セラミックス(PZT)等の圧電体を分極して得られたものである。圧電セラミックス2の形状については特に限定しないが、ここでは一例として直方体形状(平板状)を挙げることができる。
図1中、圧電セラミックス2の長手方向の寸法(長さ)をL、幅方向の寸法(幅)をW、厚み方向の寸法(厚み)をTとしてそれぞれ規定する。このとき、圧電セラミックス2の外面のうち厚み方向で対になる両面(図1には片面のみ示されている)には、それぞれ一次電極4が形成されている。図1には片面の一次電極4だけが示されているが、この反対側の面(下面)にも同様の一次電極4が形成されている。
また圧電セラミックス2の外面には、厚み方向で対になる一方の面(図中の上面)において長手方向の他端部に二次電極6が形成されている。一次電極4及び二次電極6は、圧電セラミックス2の外面に例えば金属ペーストを用いたスクリーン印刷により形成されている。
圧電トランスは、圧電セラミックス2を回路基板8に実装した状態で構成される。圧電セラミックス2は、回路基板8の実装面上に平置きにした格好、つまり、その厚み方向で対になる2つの外面(最も広い外面)の一方を実装面に向き合わせた状態で実装されている。このため圧電セラミックス2は、その実装高さが極力低く抑えられている。
また、回路基板8の実装面には3つの配線パターン20,21,22が形成されている。このうち、2つの配線パターン20,21は、両面の一次電極4に接続されるものであり、もう1つの配線パターン22は二次電極6に接続されるものである。2つの配線パターン20,21のうち、一方の配線パターン21は、実装面上で圧電セラミックス2の側方から折れ曲がり、その下面に回り込むようにして延びている。
また回路基板8には、配線パターン21,22にそれぞれ接続された2つの保持部材10,12が設けられている。これら保持部材10,12は、例えば金属板を曲げ加工して成形されている。個々の保持部材10,12はその基端部10a,12aが回路基板8の実装面上で配線パターン21,22に接合されており、基端部10a,12aから先の部分は回路基板8の実装面から離れる方向に延びた後、実装面に沿う方向に屈曲され、かつ実装面に沿う方向に延びている。図1に示されるように回路基板8を下位に配置し、その上に圧電セラミックス2を載置するようにして実装した場合、保持部材10,12は回路基板8の実装面から上方へ立ち上がるようにして延びた後、実装面に沿って横方向に屈曲され、そのまま横方向に延びた状態にある。
この状態で保持部材10,12は、それぞれ基端部10a,12aから先の部分を板ばねとして作用させることができる。すなわち、保持部材10,12は回路基板8との間で圧電セラミックス2をその厚み方向に挟み込み、その板ばねとしての作用により圧電セラミックス2を回路基板8に押さえ付けるようにして保持している。
また保持部材10,12は、圧電セラミックス2の長手方向に間隔をおいて配置されており、このうち一方の保持部材10は上記の一次電極4に対応する位置にあり、他方の保持部材12は二次電極6に対応する位置にある。これら保持部材10,12は、圧電セラミックス2の一次電極4及び二次電極6を、それぞれ対応する配線パターン20,21,22に接続させる機能を有している。
先ず、保持部材10について説明する。
図2は、図1中のII−II線に沿う圧電トランスの垂直断面図である。図2の断面には、圧電セラミックス2の一次電極4の部位に対応して設けられた保持部材10の取付位置における圧電トランスの構造が示されている。保持部材10は、一次電極4に対応する部位で圧電セラミックス2を上から押さえ付け、回路基板8との間で圧電セラミックス2を挟み込むようにして保持(いわゆる挟持)している。
この状態で、圧電セラミックス2の下面に位置する方の一次電極4は、対応する配線パターン20に接続(圧着)されている。また、配線パターン20と一次電極4とは、導電性接着剤14により接着されている。これにより、配線パターン20と一次電極4との電気的な接続が確保されている。なお、ここでは導電性接着剤14に代えて、導電性ゴム15を配置することもできる。これら導電性接着剤14及び導電性ゴム15は、いずれも導電性を有した弾性体の例である。
一方、圧電セラミックス2の上面に位置する方の一次電極4は保持部材10の先端部分(板ばね部分)に接続(圧着)されている。このため保持部材10は、一次電極4に対応する部位で圧電セラミックス2を挟み込むことにより、その上面に位置する一次電極4を対応する配線パターン21に接続させる端子(圧着端子)としても機能する。またこの状態で、保持部材10と一次電極4とは、導電性接着剤14により接着されている。これにより、保持部材10と一次電極4との電気的な接続が確保されている。なお、ここでも導電性接着剤14に代えて、導電性ゴム15を配置することもできる。
次に、保持部材12について説明する。
図3は、図1中のIII−III線に沿う圧電トランスの垂直断面図である。図3の断面には、圧電セラミックス2の二次電極6の部位に対応して設けられた保持部材12の取付位置における圧電トランスの構造が示されている。保持部材12は、二次電極6に対応する部位で圧電セラミックス2を上から押さえ付け、回路基板8との間で圧電セラミックス2を挟み込むようにして保持(いわゆる挟持)している。
この状態で、圧電セラミックス2の上面に位置する二次電極6は、保持部材12の先端部分(板ばね部分)に接続(圧着)されている。このため保持部材12は、二次電極6に対応する部位で圧電セラミックス2を挟み込むことにより、回路基板8に対して背向する外面、つまり、その上面に位置する二次電極6を対応する配線パターン22に接続させる端子(圧着端子)としても機能する。またこの状態で、保持部材12と二次電極6とは、導電性接着剤14により接着されている。これにより、保持部材12と二次電極6との電気的な接続が確保されている。なお、ここでも導電性接着剤14に代えて、導電性ゴム15を配置することもできる。
一方、回路基板8に向き合う圧電セラミックス2の外面、つまり、その下面側では、圧電セラミックス2が単純な接着剤17で回路基板8に接着されている。ここで用いる接着剤17は、特に導電性を有している必要はない。また、この位置で回路基板8には特に配線パターンが形成されていない。ここでは接着剤17に代えて、単純なゴム(導電性を有しないもの)を用いてもよい。
上述した第1実施形態では、保持部材10,12による圧電セラミックス2の保持と、配線パターン20,21,22に対する一次電極4及び二次電極6の接続は以上のように構成されている。ただし、圧電トランスの作動時に圧電セラミックス2は長手方向に伸縮振動するため、上記のように一次電極4と配線パターン20との間、一次電極4と保持部材10との間、そして二次電極6と保持部材12との間には、それぞれ導電性接着剤14又は導電性ゴム15が介在して設けられている。導電性接着剤14及び導電性ゴム15は、一次電極4と配線パターン20との間、一次電極4と保持部材10との間、そして二次電極6と保持部材12との間の電気的な接続関係を保つほか、圧電セラミックス2の振動に伴う変位を吸収する役割を担う。つまり、圧電セラミックス2の伸縮振動に伴い、保持部材10,12や回路基板8に対して一次電極4、二次電極6が変位したとしても、その変位は導電性接着剤14又は導電性ゴム15の弾性変形(この場合はせん断変形)により吸収されるので、保持部材10,12と一次電極4、二次電極6、又は一次電極4と配線パターン20とが擦れ合うことはない。なお、圧電セラミックス2の二次電極6に対応する部位の下面と回路基板8との間では、接着剤17又はゴムにより圧電セラミックス2の振動が吸収される。
ここで、保持部材10が一次電極4を保持する位置は、例えば圧電セラミックス2の長手方向でみて、その一端から4分の1長さ(L/4)だけ離れた位置に設定されている。この位置は、圧電セラミックス2の振動におけるノード点(節)に相当する。図1、図2の例では導電性接着剤14又は導電性ゴム15を介在させているが、第1実施形態では、保持部材10に対応する位置で圧電セラミックス2の振幅は0と考えられることから、ここに導電性接着剤14又は導電性ゴム15は必須ではなく、一次電極4と配線パターン20との間、そして保持部材10と一次電極4との間に導電性接着剤14又は導電性ゴム15が介在していなくてもよい。
図4は、圧電トランスの電気的な構成を概略的に示した回路図である。図1には示されていないが、回路基板8には入力電圧発生器18、入力回路200及び出力回路220が形成されている。このうち入力回路200は2つの一次電極4に接続されており、また出力回路220は二次電極6に接続されている。なお入力回路200及び出力回路220の一部は、それぞれ上記の配線パターン20,21及び配線パターン22として回路基板8に形成されている。
圧電トランスは、入力電圧発生器18により圧電セラミックス2の共振周波数(長さLに依存する固有振動数)で入力電圧を印加し、圧電セラミックス2に長手方向への機械的な振動(伸縮振動)を生じさせる。そして圧電トランスは、圧電効果により得られた電荷を二次電極6から出力回路220を通じて取り出し、これを変圧された出力電圧として利用することができる。このような圧電トランスは、例えばレーザプリンタや高圧電源ユニット、液晶表示器のバックライト(冷陰極管)用インバータのトランス等の用途に好適するが、これらに限るものではない。
以上が第1実施形態の圧電トランスの構成である。このような圧電トランスは、以下の実装方法により構成されている。すなわち、外面に2つの一次電極4及び二次電極6がそれぞれ形成された圧電セラミックス2を、一次電極4及び二次電極6の位置にそれぞれ対応して回路基板8の実装面に設置された保持部材10,12と実装面との間に挟み込ませながら挿入し、この挿入に際して、一次電極4の一方及び二次電極6が回路基板8の実装面に背向し、かつ、一次電極4の他方が実装面上の配線パターン20と向き合う状態に位置付けるとともに、圧電セラミックス2の挿入後は、保持部材10,12による挟み込みによって実装面に向き合う方の一次電極4を配線パターン20に圧着させる一方、実装面に背向する方の一次電極4及び二次電極6をそれぞれ保持部材10,12を介して配線パターン21,22に接続させ、さらに圧電セラミックス2の挿入に際して一次電極4及び二次電極6と保持部材10,12との間には、それぞれ導電性接着剤14又は導電性ゴム15を介在させた状態で回路基板8に実装する方法である。
第1実施形態の圧電トランスは、保持部材10,12と回路基板8との間に形成される挿入空間内に圧電セラミックス2を挿入し、この挿入した状態で保持部材10,12により圧電セラミックス2を押し付けながら回路基板8に保持するだけの簡単な構造で構成されているため、圧電セラミックス2をケース体に収容してパッケージ化する必要がない。このため、部品点数やその製造工数を大きく削減することができ、製造コストの低減に大きく寄与することができる。また、圧電セラミックス2の実装に際してこれを樹脂ケース等に収容する必要がないため、それだけ実装高さを抑えることができる。
また、圧電セラミックス2が保持部材10,12により回路基板8に保持される構造であるため、その実装に際して半田付けや接着といった作業が不要となるし、実装位置を修正する場合のやり直し(リワーク)が容易になるという利点がある。また、このように保持部材10,12により圧電セラミックス2を回路基板8に保持する構造であっても、介在する導電性接着剤14又は導電性ゴム15が圧電セラミックス2の振動に合わせて弾性変形し、振動を阻害しないので、圧電セラミックス2による圧電効果が損なわれることはない。
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態の圧電トランスについて説明する。以下の説明では、第1実施形態と共通する部材には同一の符号を付するものとし、第1実施形態と共通する事項については重複した説明を省略する。
図5は、第2実施形態の圧電トランスの構造(二次電極6の部位)を示した垂直断面図である。第2実施形態では、二次電極6が圧電セラミックス2の下面、つまり、回路基板8に向き合う外面に形成されている点が第1実施形態とは異なっている。この場合、回路基板8の実装面には、二次電極6に対応する位置に配線パターン22が形成されており、二次電極6は導電性接着剤14又は導電性ゴム15を介して配線パターン22に接続(圧着)されている。
第2実施形態の場合、保持部材12は、圧電セラミックス2を回路基板8に押し付けるようにして保持することにより、その下面に位置する二次電極6を配線パターン22に接続(圧着)させる機能を有する。この状態で、保持部材12は圧電セラミックス2を回路基板8に対して押し付けているので、導電性接着剤14又は導電性ゴム15を介して二次電極6と配線パターン22とを確実に接続することができる。
〔その他の実施形態〕
以上は、圧電トランスの各種実施形態についての説明であるが、以下に圧電トランスのその他の実施形態について言及する。
第1,第2実施形態では、保持部材10,12や配線パターン20,21,22と一次電極4、二次電極6との間に導電性接着剤14や導電性ゴム15等が介在して設けられていたが、これに代えてワイヤ入りゴムを用いることができる。ワイヤ入りゴムは、例えばゴム製のシート材料の内部を同一方向(厚み方向)に延びる無数の金属製ワイヤが長手方向及び幅方向に分布して配列された構造を有するものであればよい。ワイヤ入りゴムは、その内部にある個々のワイヤの両端がシート材料の両面にて露出しているが、ワイヤ同士は絶縁されている。このようなワイヤ入りゴムは、その厚み方向のみに導電性を発揮し、それ以外の方向へは導電性を有しない。
ワイヤ入りゴムを用いる場合、保持部材10に対応する部位では、圧電セラミックス2の上面と下面とでそれぞれ別々のワイヤ入りゴム(2個ずつ)を配置してもよいし、あるいは、1枚でつながったワイヤ入りゴムを圧電セラミックス2の胴回りに巻き付けた状態で配置してもよい。この場合でも、上記のようにワイヤ入りゴムの内部でワイヤ同士は絶縁されているため、両側(上面側と下面側)の一次電極4同士が短絡することはない。
上述したように、圧電セラミックス2の胴回りに1枚のワイヤ入りゴムを巻き付けて使用する実施形態を採用すれば、圧電セラミックス2の両面にそれぞれ導電性接着剤14を塗布したり、導電性ゴム15を配置したりする場合に比較して部品点数が少なくなり、それだけ実装作業の工数を少なくすることができる。なお、ここではワイヤ入りゴムを例に挙げているが、ワイヤ入りゴムに代えて、厚み方向のみに導電性を有する異方性のゴム材料を用いても同じ効果が得られる。
さらに、本発明は上述した各種の実施形態に制約されることなく、種々に変形して実施することができる。
各実施形態では2組の保持部材10,12を用いて圧電セラミックス2を保持しているが、圧電セラミックス2の振動を阻害しなければ、保持部材10,12を3組(3箇所)以上用いて圧電セラミックス2を保持してもよい。
一方、第2実施形態のように二次電極6を下面側に向けて圧電セラミックス2を回路基板8に実装する場合、保持部材12を常に二次電極6の位置に合わせて配置する必要はない。したがって、保持部材12の配置は、圧電セラミックス2の長手方向で任意の場所(例えば一次電極4とは別のノード点)に変更してもよい。あるいは、圧電セラミックス2の保持状態に問題がなければ、保持部材12そのものを省略し、一方の保持部材10だけで圧電セラミックス2を保持することもできる。
その他、各実施形態で挙げた部材や部品等の形状や構造はあくまで好ましい例示であり、これらを適宜変形して本発明を実施可能であることはいうまでもない。
第1実施形態の圧電トランスを示した斜視図である。 図1中のII−II線に沿う圧電トランスの垂直断面図である。 図1中のIII−III線に沿う圧電トランスの垂直断面図である。 圧電トランスの電気的な構成を概略的に示した回路図である。 第2実施形態の圧電トランスの構造(二次電極の部位)を示した垂直断面図である。
符号の説明
2 圧電セラミックス
4 一次電極
6 二次電極
8 回路基板
10,12 保持部材
14 導電性接着剤
15 導電性ゴム
18 入力電圧発生器
20,21,22 配線パターン
200 入力回路
220 出力回路

Claims (6)

  1. 圧電体と、
    前記圧電体の有する厚み方向で対をなす2つの外面にそれぞれ形成され、前記圧電体に周期的な電圧を入力することで機械的な振動を発生させる2つの一次電極と、
    前記一次電極とは別に前記圧電体の外面に形成され、前記一次電極からの電圧の入力により発生した振動を電圧に変換して出力する二次電極と、
    2つの前記一次電極にそれぞれ接続される入力回路及び前記二次電極に接続される出力回路が形成された回路基板と、
    前記回路基板の実装面に設けられ、この実装面に前記二次電極を背向させた状態で前記回路基板との間に前記圧電体をその長手方向と直交する幅方向への挿入に伴い厚み方向に挟み込んで保持するとともに、この保持状態で、前記実装面に向き合う方の前記一次電極を前記入力回路に圧着させる一方、前記実装面に背向する方の前記一次電極及び前記二次電極をそれぞれ前記入力回路及び前記出力回路に接続させる保持部材と、
    前記圧電体が前記保持部材に保持された状態で少なくとも前記保持部材と前記二次電極との間に介在して設けられ、前記保持部材と前記二次電極との間を電気的に接続させる導電性を有した弾性体と
    を備えたことを特徴とする圧電トランス。
  2. 圧電体と、
    前記圧電体の有する厚み方向で対をなす2つの外面にそれぞれ形成され、前記圧電体に周期的な電圧を入力することで機械的な振動を発生させる2つの一次電極と、
    前記一次電極とは別に前記圧電体の外面に形成され、前記一次電極からの電圧の入力により発生した振動を電圧に変換して出力する二次電極と、
    2つの前記一次電極にそれぞれ接続される入力回路及び前記二次電極に接続される出力回路が形成された回路基板と、
    前記回路基板の実装面に設けられ、この実装面に前記二次電極を背向させた状態で前記回路基板との間に前記圧電体をその長手方向と直交する幅方向への挿入に伴い厚み方向に挟み込んで保持するとともに、この保持状態で、前記実装面に向き合う方の前記一次電極を前記入力回路に圧着させる一方、前記実装面に背向する方の前記一次電極及び前記二次電極をそれぞれ前記入力回路及び前記出力回路に接続させる保持部材と、
    前記圧電体が前記保持部材に保持された状態で前記保持部材と前記実装面に背向する方の前記一次電極及び前記二次電極との間にそれぞれ介在して設けられ、前記保持部材と前記実装面に背向する方の前記一次電極及び前記二次電極との間をそれぞれ電気的に接続させる導電性を有した弾性体と
    を備えたことを特徴とする圧電トランス。
  3. 圧電体と、
    前記圧電体の有する厚み方向で対をなす2つの外面にそれぞれ形成され、前記圧電体に周期的な電圧を入力することで機械的な振動を発生させる2つの一次電極と、
    前記一次電極とは別に前記圧電体の外面に形成され、前記一次電極からの電圧の入力により発生した振動を電圧に変換して出力する二次電極と、
    2つの前記一次電極にそれぞれ接続される2つの入力回路及び前記二次電極に接続される出力回路が形成された回路基板と、
    前記回路基板の実装面に設けられ、この実装面に前記二次電極を向き合わせた状態で前記回路基板との間に前記圧電体をその長手方向と直交する幅方向への挿入に伴い厚み方向に挟み込んで保持するとともに、この保持状態で、前記実装面に向き合う方の前記一次電極及び前記二次電極をそれぞれ前記入力回路及び前記出力回路に圧着させる一方、前記実装面に背向する方の前記一次電極を前記入力回路に接続させる保持部材と、
    前記圧電体が前記保持部材に保持された状態で少なくとも前記二次電極と前記出力回路との間に介在して設けられ、前記二次電極と前記出力回路との間を電気的に接続させる導電性を有した弾性体と
    を備えたことを特徴とする圧電トランス。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の圧電トランスにおいて、
    前記保持部材は、
    基端部が前記実装面に固定された状態で前記実装面から離れる方向に延び、かつ前記実装面との間に前記圧電体をその長手方向と直交する幅方向へ挿入可能な空間をおいた位置で前記実装面に沿う方向に屈曲された板ばね状の金属端子を有し、この金属端子の弾性力で前記圧電体を前記回路基板との間に挟み込んで保持することを特徴とする圧電トランス。
  5. 電圧を入力するための2つの一次電極及び変圧された電圧を出力するための二次電極がそれぞれ外面に形成された圧電体を、前記一次電極及び前記二次電極の位置にそれぞれ対応して回路基板の実装面に設置された保持部材と前記実装面との間に挟み込ませながらその長手方向と直交する幅方向に挿入し、
    前記圧電体を挿入する際、前記一次電極の一方及び前記二次電極が前記回路基板の実装面に背向し、かつ、前記一次電極の他方が前記実装面に形成された配線パターンと向き合う状態に位置付けるとともに、前記圧電体の挿入後は、前記保持部材による挟み込みにより前記実装面に向き合う方の前記一次電極を前記配線パターンに圧着させる一方、前記実装面に背向する方の前記一次電極及び前記二次電極をそれぞれ前記保持部材を介して前記配線パターンに接続させ、
    かつ、前記圧電体の挿入に際して少なくとも前記二次電極と前記保持部材との間には導電性を有した弾性体を介在させた状態で前記回路基板に前記圧電体を実装することにより、前記一次電極を通じて前記圧電体に周期的な電圧を入力する一方、この電圧の入力により発生した前記圧電体の機械的な振動を電圧に変換して前記二次電極から電圧を出力させる圧電トランスとして構成することを特徴とする圧電トランスの実装方法。
  6. 請求項5に記載の圧電トランスの実装方法において、
    前記圧電体の挿入に際して、さらに前記一次電極と前記保持部材との間にも導電性を有した弾性体を介在させた状態で前記回路基板に実装することを特徴とする圧電トランスの実装方法。

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