JP5254629B2 - 鋼管柱の1次振動モード用制振装置ならびに制振型鋼管柱 - Google Patents

鋼管柱の1次振動モード用制振装置ならびに制振型鋼管柱 Download PDF

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Description

本発明は、交通量が多く、風の強い湾岸道路や湾岸橋などに設置される柱状構造物、特に高速道路、橋梁等に設置される片持ち梁型の照明柱や都市に設置される防災用無線ポールとして用いられる無線柱、標識柱など鋼管柱に取付けられる1次振動モード用制振装置ならびに制振型鋼管柱に関するものである。
主に湾岸道路や高速道路高架部、湾岸橋等には、図1に示すような鋼管柱、例えば鋼管柱に照明器具9を取付けた片持ち型の照明柱1が設置されている。このタイプの照明柱1は、例えば、湾岸道路などに設置される例では、交通量に由来する路面からの振動だけでなく、風の影響による振動を受けやすいという特性があり、常に複数種の振動モードを受けて振動していることがわかっている。例えば、湾岸道路用照明柱というのは、車両走行による「交通(路面)振動」の他、「風によるカルマン渦に起因する渦励振振動」の影響を受けていることが知られている。また、防災用無線柱などでも同じ現象が生じている。
従来、前記鋼管柱に発生する振動のうち、風の影響による振動としては、1次振動モード(風速:1〜4m/sec)、2次振動モード(風速:10m/sec付近)、3次振動モード(風速:15m/sec付近)が考えられる。そして、この場合において共振を示すのは、カルマン渦が励起されることによる振動である2次・3次振動モードが原因の振動であると考えられている。
つまり、この照明柱1の共振を考える場合、それは常にカルマン渦励振を伴う2次・3次振動モードによる共振であって、1次振動モードによる振動は風速が低いことにより大きな問題になっていなかった。そのため、従来、照明柱や無線柱などに代表される鋼管柱に対する制振装置としては、カルマン渦励振振動を起す2次・3次振動モードに対応させるためのものが、柱本体の中腹部にのみ設置されているのが普通であり、このことによってのみ、該照明柱1の上端に取付けられている照明器具9の寿命の向上、照明柱1の疲労による亀裂発生の阻止等を図ってきたのである。
従って、湾岸道路や湾岸橋などに設置されている従来の照明柱1は、2次・3次振動モードの複合的な共振のみを対象としたものと言うことができる。この点において、従来の照明柱1は、1次振動モードが発生している場合への備えがなく、このような振動モードに遭遇した場合には、照明器具やその取付け部さらには照明柱自体が大きなダメージを受け、時には損傷にまで到ることがあり、その対策が求められていた。なお、この現象については、都市防災設備として設置されている防災無線ポール(無線柱)と呼ばれている鋼管柱についても同じ問題を抱えていた。
鋼管柱が抱えている上記問題に対し、従来、特許文献1、2では、容器内に特定水平方向に動く重量体を収容して、強風を受けて渦励振振動を起しさらには共振を起す照明柱の高さ方向の中程にのみ、カルマン渦励振振動に対する制振を行うための制振装置を設置して対処するのが普通であった。また、特許文献3のように、曲面凹状ガイド面に転動型制振子を収納した制振装置も提案されている。
実公平7−9283号公報 特開平3−72104号公報 特2004−293034号公報
上記特許文献1、2および3に開示されているような鋼管柱は、主としてカルマン渦励振振動とされる2・3次振動モードの減衰(制振)を目的として、柱本体の高さ方向の中腹部に、水平方向への移動が可能な重量体(球体)を所定の容器内に収容してなる制振装置を取付けた例である。即ち、これらの従来技術は、主としてカルマン渦に起因する励振振動の2・3次振動モードによる共振の制御のみを対象として開発されたものであった。
ところが、上述したように、従来の鋼管柱は、1次振動モードについては振動が起らないと考えていたものの、近年、湾岸道路などでは強い風が吹くようになり、上述した1次振動モードに起因した振動が観測されるようになってきた。1次振動モードの振動では、風速10m/S以上の強風時に常に振動が観測され、その振幅は数十ミリの振動に達しており、このような実情の下で、2次・3次振動モードに対する制振装置のみを付与した従来の鋼管柱では、もはや十分に対応しきれなくなっているのが実情である。上記の2種の振動モード、すなわち2次・3次振動モード対応のカルマン渦励振振動による共振は、振動の振幅が数ミリ程度の高周波領域の振動であるが、1次振動モード振動では、数十ミリの低周波の振動となり、これまで提案されてきた制振の振動レベルとは異なるものであることから、この点においても従来の制振技術では対応できなくなっているのである。
そこで、本発明の主たる目的は、1次振動モード起因の振動を減衰させることができる1次振動モード用振動制振装置を提案すること、および1次振動モードならびに2次・3次振動モードのいずれにも対応できる制振型鋼管柱を提案することにある。
本発明はまた、鋼管柱本体の上端に取付ける各種器具に加わる1次振動モードに起因する破損やランプ切れ、計器の損傷等を未然に防止でき、しかも照明柱や無線柱などに設置した路面観察用の監視・観察カメラの画像ブレや無線機器の誤動作の少ない制振型鋼管柱を提案することを目的とする。
本発明はさらに、球体を収容する容器内底面の静止摩擦係数を調節することにより、周波数が1Hz以下という低周波数の振動の場合でも、高い制振効果が得られるような制振装置を提供することを目的とする。
発明者らは、強風時、照明柱や無線柱等の鋼管柱(柱本体)は、ガスト応答(風の息継ぎ現象)や低周波の路面振動などによっても振動するが、これらは主に1次振動モードの振動になることを突き止めた。
そこで、本発明ではまず、ガスト応答や低周波の振動に対応させる1次振動モード制振装置については、鋼管柱の頂部近傍に設置することにした。その理由は、1次振動モードの振動では、図3に示すように、頂部が最も大きく振動するからである。なお、この1次振動モードに基づく鋼管柱の振動は、カルマン渦励振振動による共振と異なり、風の方向と同じ方向に振動する。従って、鋼管柱がガスト応答等により1次振動モードで振動するとき、それは、2次・3次振動モードによる共振とは異なり、前述したように、約数十ミリもの振幅を示す低周波の振動になるから、従来の制振技術では対応できなかったのである。しかも、従来の、2次、3次振動モード(カルマン渦励振部)用制振装置を設置してなる鋼管柱であっても、かかる1次振動モードに基づく振動の存在が確認されており、いずれの鋼管柱についても、1次振動モードに基づく振動を減衰させることが必要となる。
従来技術が抱えているこのような問題について鋭意検討した結果、発明者らは、鋼管柱本体に現れる1次振動モードの振動を減衰させることのできる1次振動モード用制振装置、および1次振動モードならびに2次・3次振動モードのいずれをも短時間のうちに減衰させて制振効果を上げられるようにした制振型鋼管柱を開発することを目指した。その結果、この鋼管柱本体に取付ける1次振動モード用制振装置ならびに2次・3次振動モード対応の制振装置については、それぞれの振動モードに合った適所を選んで配設することが有効であるとの知見を得て、下記要旨構成に係る1次振動モード用制振装置ならびに制振型照明柱を開発することができたので、その構成の詳細を以下に説明する。
即ち、本発明は、鋼管柱の頂部近傍域に設置される制震装置であって、1〜複数の角筒状の格納室を収納してなる容器と、この容器の格納室内に収納され、該格納室において転動して水平方向への移動を自在とする球体とからなり、
前記格納室は、前記球体が転動する底面と、該球体が衝突する室壁とを備え、そのうち底面は、前記球体を板状として考えた場合に静止摩擦係数μが0.4以下を示す材料によって形成されたものであり、前記球体は、鋼管柱の柱本体部分の質量の1〜10mass%に当たる質量と、該球体が衝突する前記格納室の室壁と当該球体表面との間隙が10〜100mmとなる大きさを有し、かつ、前記間隙を小さくとるときは前記球体の質量を大きくする一方、前記間隙を大きくするときは前記球体の質量を小さくしてガスト応答による振動および1Hz以下の低周波数の両方からなる1次振動モードによる振動を減衰させるようにしたものであることを特徴とする鋼管柱の1次振動モード用制振装置を提案する。なお、この明細書において室壁と該球体表面との隙間とは、片側クリアランスを意味する。
また、本発明は、柱本体の中腹部に2次・3次振動モード用制振装置を内装固定し、この柱本体の頂部近傍に前記1次振動モード用制振装置を設置したことを特徴とする制振型鋼管柱を提案する。
本発明の前記鋼管柱において、前記1次振動モード用制振装置は、ガスト応答および1Hz以下の低周波の振動を減衰させるものであり、前記2次・3次振動モード用制振装置は、カルマン渦励振振動である共振を減衰させるものであることが好ましい。
本発明において、前記2次・3次振動モード用制振装置は、単室または複数室に画成された角筒状の格納室を収容してなる円筒状制振容器と、該格納室内において水平方向に移動自在に収納された球体とからなり、その球体は前記柱本体の振動によって該格納室内にそれぞれ独立して壁面に衝突可能に収納されてなるものであることが好ましい。
上記要旨構成に係る本発明の1次振動モード用制振装置によれば、ガスト応答(風の息継ぎ現象)に起因して発生するものや1Hz以下の低周波の1次振動モードによる振動を効果的に減衰させることができる。また、本発明の制振型鋼管柱によれば、柱本体の中腹部には2次・3次振動モード用制振装置を内装固定し、該柱本体の頂部近傍には、1次振動モード用制振装置を設置しているので、カルマン渦励振振動に共振して現れる2次・3次振動モード起因の共振と、ガスト応答などに起因して発生する1次振動モード起因の振動との両方を、効果的に制振することができる。その結果、柱本体の寿命のみならず、その上端部のアーム部に取付けた照明器具の破壊、ランプ切れ、防災無線用ポールの倒壊、機器の破損、誤動作を少なくすることができ、さらにこれらの寿命の向上に寄与する。さらに、本発明によれば、路面観察用の監視・観察カメラを設置している場合でも、制振による画像のブレや画像ブレが少ない制振型照明柱を得ることができる。とくに、本発明では、振幅のより小さい低周波の振動の場合であっても、球体が確実に容器に衝突できるようになるため、これらの場合についての制振効果が高い。
以下、鋼管柱として照明柱を代表例として、本発明の構成の詳細を説明する。
図1は、湾岸道路や湾岸橋梁に設置される本発明に係る鋼管柱の一例としての照明柱を示している。この図に示す照明柱は、本発明の一実施形態を例示するものである。この照明柱は、円筒状ポールを好適例とする柱本体1に対し、その柱本体1の内部の中腹部には、2次・3次振動モード用制振装置2がボルト等を介して内装固定され、そして柱本体の振動による振幅が最大となる頂部近傍には、1次振動モード用制振装置3を取付けてなるものである。
前記制振装置のうち、中・高周波の2次振動モード5および3次振動モード6を減衰させるための前記2次・3次振動モード用制振装置2は、前記照明柱1が強風4を受けた場合に、この柱本体1の後流中に発生するカルマン渦に起因する渦励振振動が該照明柱の固有振動と共振して増幅された場合の振動を減衰させるためのものである。そして、この制振装置2は、図示したカルマン渦起因の渦励振振動の振幅の最も大きな位置近傍のポール内に、図2に示すように内装した態様でボルト13を介して固定設置されることが好ましいものである。
かかる2次・3次振動モード用制振装置2については、基本的に、特許文献1、2記載の2次・3次振動モード用制振装置と基本的には同じ構成のものあるいは特許文献3に記載のものを用いることができる。
例えば、2次・3次振動モード用制振装置2としては、単室、または上下方向あるいは水平方向が複数室に画成された格納室を有する円筒状制振容器と、前記格納室内において水平方向に移動自在に収容される球体とからなり、その球体は前記柱本体の振動によって該格納室内において独立して壁面に衝突可能に収容されてなる構成を有するもの、あるいは、上下の2室に画成された格納室をもつ角筒状制振容器と、この容器の各格納室内にそれぞれ所定のクリアランスを隔てて水平方向に移動自在に収容された球体とからなるものであって、その球体は前記柱本体の振動によって該格納室内においてそれぞれ独立して壁面に衝突可能に収容されてなる構成を有するものなどを用いることができる。
なお、この2次・3次振動モード用制振装置2は、前記クリアランスは小さいものの方が好ましい。その理由は、渦励振は一般に、カルマン渦の放出周波数が構造物の固有振動数と一致した場合に生じる一種の共振現象であり、振動の発達は、徐々に大きくなることから、その発達の途中で衝突を起させれば共振現象を阻止できるので、より小さい振幅で制振させるためには、小さい振幅で衝突させる構造、即ち、クリアランスは小さい構造がよい。また、この装置は、特許文献3などに示されているように、球体を容器内の凹状ガイド面に収納して凹状ガイド面内で移動させるようにして振動を生じさせ、渦励振を制振する形式のものであってもよい。
これに対し、以下で詳述する1次振動モードというのは、風速の変動(風の息継ぎ現象)による不規則応答や低周波振動による鋼管柱の振動であり、図3に示すように、平均的な振幅は渦励振よりも大きく、しかも不規則な応答であるため平均値の3倍程度になる低周波の過大な振幅が急激に作用する場合がある。このような1次振動モードに特有の現象を想定して、制振のための上述した衝突力を発生させ、速やかに大きく減衰させうるようにすることが必要であり、そのための最適なクリアランスの設計が必要である。従って、この1次振動モードの制振は、上記渦励振を対象とした2次・3次振動モード用制振装置とは全く異なる仕様になると考えられる。
即ち、図1に示すように、本発明において特徴的な構成である1次振動モード用制振装置3は、ガスト応答(風の息継ぎ現象)や低周波振動に伴う1次振動モード7の振動を減衰させるために、柱本体1の頂部近傍、好ましくは柱本体1上端部に突設したアーム1aのその突出方向とは反対側の頂部近傍に、ボルト等を介してブラケット8上に固定されるものである。なお、図示の9は、アーム先端に取付けた照明器具(ランプ)である。なお、後述する無線柱に設置する振動モード用制振装置においても柱本体の頂部、あるいは頂部近傍に取付けることに変わりはない。なお、5は2次振動モード、6は3次振動モードをさし、2次・3次振動モード用制振装置2は、3次振動モード6の共振を減衰させるのに最適な位置に取付けた例である。
この1次振動モード用制振装置3は、図4に示すように、角筒状の格納室12の壁面である室壁12B、12Cとの間に、一定のクリアランスC(10〜100mm)が生じるように調整された大きさの鋼球等の球体11を、任意の水平方向へ自在に移動するように収容してなり、かつ上下方向に1〜複数の部屋、即ち1〜複数の格納室12にて構成されている。なお、この格納室12はその内壁側面に、必要に応じて消音のためにラバー質の消音材をライニングしたものを用いてもよい。また、この格納室12の構成としては、図示例の上下方向に代え、水平方向に1〜複数の部屋を設置したものであっても機能は同じである。この格納室12を収納した容器10が、1次振動モード用制振装置3であり、鋼管柱1の頂部近傍に図示例ではブラケット8上に固定されて、装備される。
前記球体11は、上掲の鋼球等に代え、比重の高い硬質プラスチック、非鉄金属球などの球体でも、以下の条件を満たすものであれば使用できる。それは、重い球体であれば、任意の水平方向への移動が自在になる点で、鋼球と同じ機能をもつからである。
かかる球体11は、照明柱の柱本体1部分(立設部分)の質量の1〜10mass%に相当する質量を有するものを用いることが好ましい。その理由は、この球体11の質量比が、1mass%未満では衝突慣性力が小さくて制振効果がなく、一方、質量比が10mass%を超えると衝突慣性力が大きくなりすぎて、照明柱に衝撃を与えることになった制振性能を低下させるからである。その点で、前記鋼球は球体として、安価であり、またコンパクト化できる利点がある。
上述した1次振動モード用制振装置3は、球体11(以下、「鋼球」の例で述べる)の大きさ(クリアランスの大きさ)や格納室12の数を変えて、1次振動モードによる振動を確実に制振できるようにしたものである。いずれにしても、このような制振装置3は、容器10内に収容する球体11が所定の質量を有するため、慣性が働くとき静止することなく自転し、容器底との摩擦に打ち勝って自在に移動するようになる。その結果、球体11は前記2次・3次各振動モード用制振装置の場合と同じように運動する。即ち、容器10に対する球体11の相対変位は、実際には鋼球11の運動および遅れを考慮すると、少し位相が遅れると共に、振幅が僅かに大きくなるものの、その最大振幅のところで衝突が起きるようになる。従って、この球体11と容器10とのクリアランスCは、このような最大振幅が生ずるように設定すればよく、発明者らの知見によれば10〜100mmの範囲にすることが最も効率がよく、衝突力が最大となって、容器10の振動を抑制し、その結果、照明柱の振動を制振する作用を生むのである。このようなクリアランスCは、容器10の大きさを一定として球体11の大きさを調整することによって果される。
以上説明したように、この1次振動モード用制振装置3は、いわゆる1次振動モードにより照明柱が振動すると、図3に示すように格納室12に球体11が衝突することにより振動とは逆向きの力を発生させて制振を果たすものである。そのため球体11と格納室12の室壁との間隙(クリアランス)は、制振に必要な逆向きの力を発生させるために、少なくとも10mm以上とすることが好ましい。一方、球体11と容器の室壁とのクリアランスがあまり大きくなると、衝突力が大きくなるため制振効果は高くなるが、1次振動モードによる振動(振幅)が低周波の小振幅の場合では、移動−衝突が発生しない等の問題が生じるので、100mmを上限とすることが好ましい。
なお、制振のための衝突力は、上記クリアランスのほか、球体11の質量が関連している。本発明において採用できる球体11の質量は、照明柱の柱本体1の部分の質量の1〜10mass%に相当する質量のものにする。その理由は、この球体11の相対質量が1mass%未満では球体11の重さが不足し、クリアランスを大きくとっても必要な制振効果が得られない。一方、この質量が10mass%を越える重さでは、衝突力が大きくなりすぎて、かえって鋼管柱の振動を助長することがある。
本発明における制振の考え方は、格納室12の室壁に球体11が衝突するエネルギーを利用しているため、クリアランスを小さくとるときは、球体の質量を大きくし、一方、クリアランスを大きくするときは、球体11の質量を小さくすることによって、1次制振モードを制御することを基本とする。例えば、球体11の質量が鋼管柱柱本体1の質量の1mass%程度では、クリアランスを30mm以上とし、また、球体11の質量が鋼管柱本体の質量の3mass%程度の場合にはクリアランスを20mm以上に、そしてその球体11の質量が同様に5mass%を越えるときはクリアランスを10mm以上にすることが好ましい。なお、好ましいクリアランスは、20〜70mm、このときの球体の質量は、鋼管柱の柱本体部分の質量の2〜8mass%程度とすることが好ましい。
以上説明したとおり、鋼球と容器内底面との相対運動に損失がないものとし、かつ球体と容器内壁との衝突によるエネルギーが完全に消滅して鋼球には反発力が発生しないか、または鋼球の質量が反発に関与する容器壁に質量に比して十分大きいと仮定すると、照明柱の振動の変位が最大の時に振動の加速度が最大となるから、鋼球と容器内壁とのクリアランスCが適当であれば、鋼球と容器内壁とは最大の衝突力(質量と加速度の積)を生じて振動を制止する方向に働くと共に、衝突による全エネルギー分の減衰作用をなすのである。
上述した1次振動モード用制振装置は、球体と容器内壁とのクリアランスを大きくすると衝突力が大きくなり制振効果が上がる。しかし、そのクリアランスが大きすぎると、振幅の小さい低周波の振動が起こった場合に、球体の移動が緩慢になって衝突が起こらず、制振効果が現われない場合がある。即ち、低周波の振動では、球体の慣性力が小さくなるので、底面との摩擦抵抗の影響の方が大きくなるため、制振作用が生じなくなるのである。
この点、本発明では、例えば、低周波が1Hz以下の、いわゆる球体の慣性力が小さくなる低周波の振動の場合にも、制振効果が得られるようにすることを目指している。そのためには、容器の材料、少なくとも容器内底面、即ち、格納室12の内底面の材料(質)を吟味する必要がある。そして、その材料の選択のために、本発明では、容器の格納室12内底面の摩擦係数に着目することにした。即ち、摩擦係数の中でも、測定の容易な静止摩擦係数で検討することにした。なお、この静止摩擦係数は、前記球体(鋼球)を板状(鋼板)として考えた場合の該容器の格納室12内底面と該鋼板との静止摩擦係数として捉え実験を行った。
以下にこの実験について説明する。この実験では、球体として鋼球を選び、容器を鋼製とした場合の例である。この実験において、格納室内底面の材料としては、鋼球に代わる鋼板との静止摩擦係数μが0.3、0.45の材料を選定し、制振装置の下部を振幅、振動数を変化させて加振し、球体が側壁に衝突して制振効果が得られる加振振幅を色々な振動数で求めた。その実験結果を図5に示した。図中の縦軸は、容器に球体が衝突した時の最小振幅であり、この値は小さいほどよい。この図からわかったことは、静止摩擦係数μ:0.45では、振動数1.5Hz以下になると最小振幅が増大することがわかった。そして、この振動数が1Hz以下になると、最小振幅はさらに増大することもわかった。一方で、静止摩擦係数μ:0.35、0.3の場合にもほぼ同じ結果を示した。従って、この場合、振動数1Hz以下においても、1Hz以上の時と同様の最小振幅になることから、本発明の場合、1Hz以下という低周波数の場合であっても効果的な制振効果が得られることがわかる。
以上のことから、静止摩擦係数μは0.45と0.3との間である0.4を境にして、小さい振幅の制振性能が異なることがわかった。これは、振動数が小さい低周波の場合、球体が転がるために生じる慣性力が小さくなるためである。その慣性力は、振動数の2乗に比例するため、例えば、振動数が1Hzの場合と0.5Hzの場合とを比べると、慣性力は1/4となる。図5は正にこのことを示しており、前記静止摩擦係数が0.45になると、その摩擦の影響が無視できないものとなり、最小振幅が大きく増大したものと考えられる。この場合、厳密に言えば、転がり摩擦で表現すべきではあるが、転がり摩擦の要因は固体摩擦的抵抗と粘性摩擦的抵抗が共存しているため、一義的な標記が難しい。そこで、本発明では、これらの容器内底面と球体の関係を最も簡便な指標である静止摩擦係数によって表わし、底面の材料を選定する指標としたのである。
本発明の効果を確めるために、具体的なケースについて実験したので、この実験の内容を詳しく説明する。最初に、図1に示すように、柱本体の中腹部と上端部にそれぞれ制振装置2、3を配置した照明柱を、湾岸橋に設置した例につき、とくに1次振動モード用制振装置3の制振効果について調査したので、その結果を説明する。
この例において、図6、7は、図4に示す2室に画成した容器内に、それぞれ鋼球を収容したタイプの2球式制振装置3を用いたときの振幅推移を示したものである。この図は、柱本体1の質量に対する鋼球11の質量の比と、容器10内に鋼球11を収容したときの、片側クリアランスCと、そして減衰の経過時間の関係が示されている。
例えば、図6は、球体11の上述した質量比が1〜5mass%の場合において、片側クリアランスCが1.5〜70mmの範囲についての減衰の経過時間を示したものである。以下、この図に基づき、各クリアランス値の減衰のもようを、制振装置なし1と、2、3次モード制振装置付2との最大振幅±100mmからの減衰の経過時間との関係で説明する。
図6に示すとおり制振装置なし(1)の例における減衰に対し、2、3次モード制振装置付(2)の例における減衰は、減衰時間が若干短くなるだけで、従来から言われていたように1次制振モードに対してほとんど効果がないことがわかった。一方、1次モード制振装置のクリアランス(片側クリアランスC)が5mm(2mass%)の「例4」、5mm(1mass%)の「例6」においても、減衰に65秒から70秒かかり、本発明に適合する照明柱としては、減衰時間が大きく、好ましくないことが判明した。
これに対し、片側クリアランスCが10〜22mmの「例3」、「例3A」では30秒〜45秒、C=30mmの「例5」、「例9」では12秒〜30秒、C=70mmの「例8」、C=50mmの「例7」においては、最大振幅±100mmからの減衰率がさらに速く、最長30秒で減衰しており、効果的な制振ができることが判明した。このことから、格納室の室壁と格納室内において水平方向への移動が自在となる球体表面との間隙(片側クリアランスC)を10mm以上、好ましくは30mm以上にすることが有効であることが確かめられた。
一方、図7は、球体11の上述した質量比が1〜3mass%の場合において、片側クリアランスCが1.5〜100mmの範囲についての減衰の経過時間を示したものであり、図6との違いは、この図の場合、片側クリアランスCの限界を見極めるための実験データである。
図7に示す結果から、前記質量比が1mass%の球体であっても、片側クリアランスCを35.7mmに拡大した「例10」では、減衰時間が短くなり、「例14」、「例15」のように片側クリアランスCが50mm以上になると、2mass%、3mass%の球体使用で片側クリアランスCを30mm以上とする減衰効果に近づくことが判明した。即ち、片側クリアランスCが30mmを超える35.7mm、31.2mmの「例10」、「例11」、48mmの「例13」、100mmの「例14」、50mmの「例15」は最大振幅±100mmからの減衰が大きく、制振が効果的にできることが確認できた。なお、100mmの「例14」においては、最大振幅±100mmからの減衰が急速に進む「例13」、「例15」に対し、振幅が小さくなった時(例えば、例13、例15は振幅20mm以下まで休息に減衰)の減衰効果が不足気味になるため、片側クリアランスCは100mmを上限とする必要があることが判明した。
以上説明したように、本発明においては、格納室12の室壁と格納室12内において水平方向への移動が自在となる球体11表面との間隙、即ち片側クリアランスCは10mm以上、100mm以下とすればよいことがわかる。さらに、図6記載のC=70mmの「例8」、図7記載のC=100mmの「例14」との比較において、片側クリアランスCを70mm以下とすればより効果的に減衰ができることも判明した。従って、片側クリアランスCは70mm以下とすることが好ましい。
次に、図8は、球体11の上述した質量比が1〜10%の場合において、片側クリアランスCが、5〜65mmの範囲における制振効果を示した図である。ここでは、縦軸を対数減衰率として示す。なお、この対数減衰率とは、構造物を人力、機械などで強制的に振動させた後に、外力を加えない状態で放置させた(「自由振動」と呼ぶ)状態で、隣り合う振幅の比(振動のピークの比)の自然対数をとったもので表わされるものであって、対数減衰率が大きいほど制振効果が高く、下記(1)式で示される。
対数減衰率δ=log(U/Um+1)・・・(1)式
:m波目の振幅のピーク
次に、鋼球2.5mass%(φ127)を使用した実験での制振効果を図9に示す。この図は、衝撃力と球体および制振装置全質量との比で規定される制振効果指数に与えるクリアランスの影響を示す図であるが、制振効果は片側クリアランスCが10mm以上で急速に上がっており、その効果は20mm以上で顕著になり、30mm、40mmが最大であった。したがって、片側クリアランスCは、10mm以上、好ましくは20mm、望ましくは30mm以上と説明した図6、図7、図8の結果とも一致している。この図から、制振効果が高いのは、
とくに図8に示す結果からわかるように、片側クリアランスCが5mmでは、質量比が10mass%に達しても、対数減衰率の目立った向上はなく、このことから片側クリアランスCは10mm程度が下限になるものと推察され、このことは図6、7に示すところにもよく符合している。ただし、そのクリアランスがあまりに大きい場合には、小さい振幅のときに効果が顕れないことがあるので、その上限を100mmとすることが好ましい。
ところで、上述したように、鋼球の質量を増大させれば、基本的には制振効果が上がる。ただし、鋼球の質量が小さい場合でも、クリアランスを大きくすればよい場合がある。しかし、この場合でも、(0034)段落に記載したのとは異なり、あまりクリアランスを大きくしすぎると、却って、制振効果が小さくなる場合がある。それは、クリアランスを大きくすると、鋼球衝突時の加速度は大きくなるものの、容器の一辺の長さが大きくなるので、容器壁面の剛性が見かけ上弱くなるためである。即ち、衝突力は一定のクリアランス以上ではそれ以上比例して大きくはならないのである。しかも、クリアランスの増大は、鋼球が転がる距離が増えて摩擦力も大きくなることから、衝突力が減る可能性もある。さらに、クリアランスを大きくすると、容器質量が増加することにもなる。その結果として、構造物全体の質量を増やすことになるため、見かけ上の制振効果が小さくなるからである。
結局、制振効果は、上述した実験から明らかになったように、衝撃力の増加と容器質量の増加のバランスをとることが重要であることがわかる。本発明では、そのバランスの関係を明らかにした点に意義があり、球体の柱本体との質量比を、1〜10mass%にした場合、片側クリアランスCは、10〜100mmにすればいいという結論に達したのである。以下、この数値範囲についてさらに、具体的に検証する。
まず、鋼管柱として、高速道路などに設置される図10のような照明柱で説明する。この図に示す照明柱は、高さ約11.9m、1/100のテーパポールで製作されたものであり、自重は443kgである。また、この照明柱の頂部には、ブラケット8が設置され、このブラケット8には図1と同じく照明器具9が取付けられる。そして、この照明柱1の頂部近傍には1次振動モード用制振装置3をブラケット8の反対側、頂部より0.5m下方の位置に配設してある。格納室に収納する球体としてはφ200鋼球を使用し、その質量は、柱本体重量の約7.4mass%に相当する重さである。片側クリアランスCは56mmとした。
この照明柱を高速道路に設置した例では、強風時も目視できる程度の振動は観察されず、1次振動モード用制振装置3として十分な機能を果たしていた。本発明において、頂部近傍とは、頂部または頂部より1m以内の位置であることが望ましい。
次に、防災無線柱の例を説明する。防災無線柱としては、図11に示すものを用いた。この防災無線柱は、高さ約14.3m、ストレート管を接続して製作されたものであり、自重は435kgである。また、この防災無線柱には、無線アンテナ14および四方向を指向する向きに4つの防災放送用拡声器15が頂部付近に設置されているものである。なお、16は、機器収納箱である。この防災無線柱では、防災無線柱の頂部に1次振動モード用制振装置3を搭載しており、最も高い部分となる1次振動モード用制振装置3上に避雷針17を設置した。
なお、この図11に示す防災無線柱には、格納室を単室として、格納室内に収容する球体としてはφ152.4鋼球を使用し、この鋼球の質量は、柱本体重量の約3.4mass%に相当する重さである。片側クリアランスCは20mmとした1次振動モード用制振装置3を設置した場合と、格納室を上下二段とし、上部格納室にはφ127の鋼球を収納し、そして片側クリアランスCを32mmとし、一方、下部格納室にはφ152の鋼球を収納し、片側クリアランスCを20mmとしたものであり、鋼球の合計質量は柱本体重量の約5.4mass%とした1次振動モード用制振装置3とについて実験した。この実験において、格納室を単室とした例、複数室とした例ともに、強風時にも目視できる振動は発生しておらず、1次振動モード用制振装置3として十分な機能を果たしていた。制振試験の結果からは、格納室を上下二段とした1次振動モード用制振装置3の方が、鋼球質量が前者より増加させた関係から性能は良かったが、高価な構造となった。
なお、これらの実験において使用した1次振動モード用制振装置3の容器構造の例を、図12、図14に示す。鋼球11は、角筒状の格納室12内に収納されており、12Aは鋼球11の転動する底面、12B、12Cは、鋼球11の衝突する格納室12の壁面を示す。本例では、図14に示す四角形、すなわち格納室12は、図13(b)に示すような縦断面が四角形のもの他、図13(a)で示すような縦断面が五角形の格納室でも鋼球11の衝突する壁面が形成できるので、四角形には限らない。ただ、六角を超える多角形のものでは、衝突するよりも内部を回転することになる可能性が高いため、好ましくない。また、衝突面を形成できればよいので、四角形の変形として、図13(c)で示すような並行な衝突壁をもつ、例えば対向する二面が平面の壁で、残りの対向する二面が湾曲した壁の構成であっても格納室として使用可能である。さらに、鋼球は例示したように大きな球体となるため、衝突時の音響を低下させるため格納室内壁面にクッション材を内張りした構造としてもよい。クッション材内張りに伴う衝突力の低下は、片側クリアランスの増加あるいは鋼球の質量増加で対処することができる。
上述したいずれの実験例にも共通するが、1次振動モード用制振装置3の外殻を形成する容器10としては、格納室12を収納するものであり、風の抵抗を減らすため、本発明では円筒形状のものを用いることが好ましいことがわかった。例えば、図14に示すような四角形の格納室12の角隅部に接点をもった容器10などである。また、この容器10は、下部に防災無線柱の頂部に固定するための取付け台17を設け、この取付け台17を介して鋼管柱とボルト等で取付けられる構造にすることが好ましい。このように、格納室12を収納する容器10は、風の抵抗を減らすためあるいは美観上の観点からその形状を定めることができる。例えば、円筒形状の他、角筒状形状、あるいは強風の方向が一定している地域では楕円型円筒状の形状なども適宜採用できる。また、この容器10を鋼管柱頂部近傍に直接、取付けてもよい。
この防災無線柱を用いた実験での1次振動モード用制振装置3の振動減衰効果を図15示した。図15は、1次振動モードによる振動として、防災無線柱1に変位100mmの振幅を与えたときの減衰波形を示したものであり、図15(a)は、1次振動モード用制振装置3の搭載なしの例、図15(b)は、本発明に係る1次振動モード用制振装置3を搭載した例である。これらの図において、本発明適合例(b)では1次振動モードによる振動が速やかに抑制されていることがわかる。
次に、図16は、上記の実験例において、2次モード共振を与えた例である。共振の振幅として変位4mmを付与したものであるが、図16(a)では減衰が緩やかなものに対し、1次振動モード制振装置3を搭載しているにもかかわらず、図16(b)の1次振動モード制振装置3の搭載例で示すように、2次モード共振でも有効であった。ただ、三次モード共振である微細共振として変位0.6mmの付与では1次振動モード用制振装置3の搭載なし(図17(a))、1次振動モード用制振装置3の搭載あり(図17(b))、ともに変化は見られず、制振型鋼管柱としては、1次振動モード用制振装置と3次振動モード用制振装置搭載型か、1次振動モード用制振装置、2次振動モード用制振装置、3次振動モード用制振装置を搭載する鋼管柱が望ましいことがわかった。

以上の結果をまとめると、本発明に係る照明柱、防災無線柱については、球体の質量比(柱本体に対する球体の質量比)は、1〜10mass%の範囲において、前記クリアランスCは、10〜100mmの範囲、より好ましくは20〜70mmの範囲がよいという結果が得られている。また、球体の質量比が1〜10mass%の範囲では、前記クリアランスCは、30〜100mmの範囲としたときが好適であり、より好ましくは前記クリアランスCは、30〜70mmの範囲である。このような条件を満たす制振装置3を用いた場合、最大振幅±100mのものが、僅か10秒程度経過時点で±10mm以下、約30秒経過時点で数mm以下の振動に抑えられることがわかった。なお、格納室を単室として一つの球体を収納した制振装置とすると、制振装置が大型化して美観を損ねる等には、格納室を上下方向または水平方向に区画し、複数の格納室とし、各格納室に収納する球体を小形(小質量)球体として制振装置を小型化することもできる。
本発明のさらに他の具体例として、図18〜20は、鋼球の直径が127mm(2.5mass%)、鋼球と鋼製容器の片側のクリアランスが23.5mmとした制振装置において、容器内部の底面にウレタン樹脂を塗布した制振装置と、内面にネオプレンゴムを貼り付けた制振装置、鋼板を貼り付けた制振装置の結果を示す。
容器内底面の静止摩擦係数は、鋼板が0.25〜0.35、ウレタン樹脂塗装が0.3〜0.35、ネオプレンゴムが0.45〜0.5である。このような装置を用いた場合の制振効果について照明柱を強制加振させた後の自由振動波形で比較すると、図18、図19、図20に示すとおりである。すなわち、10mm程度までの制振効果はほぼ同じであるが、それ以降(同図の15秒以降)の波形はウレタン樹脂塗装鋼板および鉄板の方が早く振動が収まっており制振効果が高いことがわかった。





本発明に係る照明柱の技術は、湾岸道路や湾岸橋、風の影響が大きい高速道路用照明柱として適用されるが、ガスト応答やカルマン渦励振振動等による激しい振動により、照明灯具に生じる障害や部材の疲労が問題になる同様の柱、その他の煙突のようなポール等にも適用が可能である。
1〜3次振動モードを併記した本発明に係る鋼管柱(照明柱)の正面図である。 照明柱内に内装した状態の2次・3次振動モード用制振装置の断面図である。 1次振動モードの概念図である。 本発明の制振装置に用いる容器の縦断面図である。 制振装置の底面表面の影響を示すグラフである。 実施例での1次振動モード用制振装置の振幅推移を示すグラフである。 実施例での1次振動モード用制振装置の振幅推移を示すグラフである。 鋼球の質量と対数減衰率との関係を示すグラフである。 クリアランスと制振効果指数との関係を示すグラフである。 照明柱の略線図である。 防災無線柱の略線図である。 制振容器の一例を示す断面図である。 制振容器の外例を示す略線図である。 制振容器の他の例を示す断面図である。 制振装置の有無における1次モードの減衰特性を示すグラフである。 制振装置の有無における2次モードの減衰特性を示すグラフである。 制振装置の有無における3次モードの減衰特性を示すグラフである。 本発明の他の実施例の底面(ゴム)の影響を示すグラフである。 本発明の他の実施例の底面(ウレタン樹脂鋼板)の影響を示すグラフである。 本発明の他の実施例の底面(鋼板)の影響を示すグラフである。
符号の説明
1 柱本体
2 2次・3次振動モード用制振装置
3 1次振動モード用制振装置
4 風
5 2次振動モード
6 3次振動モード
7 1次振動モード
8 ブラケット
9 照明器具
10 容器
11 球体
12 格納室
13 ボルト
14 無線アンテナ
15 防災放送用拡声器
16 機器収納箱
17 避雷針
C クリアランス

Claims (4)

  1. 鋼管柱の頂部近傍域に設置される制震装置であって、1〜複数の角筒状の格納室を収納してなる容器と、この容器の格納室内に収納され、該格納室において転動して水平方向への移動を自在とする球体とからなり、
    前記格納室は、前記球体が転動する底面と、該球体が衝突する室壁とを備え、そのうち底面は、前記球体を板状として考えた場合に静止摩擦係数μが0.4以下を示す材料によって形成されたものであり、
    前記球体は、鋼管柱の柱本体部分の質量の1〜10mass%に当たる質量と、該球体が衝突する前記格納室の室壁と当該球体表面との間隙が10〜100mmとなる大きさを有し、かつ、前記間隙を小さくとるときは前記球体の質量を大きくする一方、前記間隙を大きくするときは前記球体の質量を小さくしてガスト応答による振動および1Hz以下の低周波数の両方からなる1次振動モードによる振動を減衰させるようにしたものであることを特徴とする鋼管柱の1次振動モード用制振装置。
  2. 柱本体の中腹部に2次・3次振動モード用制振装置を内装固定し、この柱本体の頂部近傍には請求項1に記載の1次振動モード用制振装置を設置したことを特徴とする制振型鋼管柱。
  3. 前記2次・3次振動モード用制振装置は、カルマン渦励振動を減衰させるものであることを特徴とする請求項2に記載の制振型鋼管柱。
  4. 前記2次・3次振動モード用制振装置は、単室または複数室に画成された角筒状の格納室を収容してなる円筒状制振容器と、該格納室内において水平方向に移動自在に収納された球体とからなり、その球体は前記柱本体の振動によって該格納室内にそれぞれ独立して壁面に衝突可能に収納されてなるものであることを特徴とする請求項2または3に記載の制振型鋼管柱。
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