JP5252775B2 - ミラー部材 - Google Patents

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Description

本発明は、プロジェクターなどの投影装置において使用される画像形成用等の樹脂反射ミラーの支持方法ないし支持機構、及びこれを用いた樹脂反射ミラーに関するものである。
従来、装置の小型化、薄型化を図る目的で、プロジェクターなどの投影装置において、斜め投影方式を用いたリヤプロジェクションディスプレーが提案されている(特許文献1参照)。この投影光学エンジン内部に搭載されている画像形成用の非球面などの反射面を持つ樹脂反射ミラーは、近年の機器の小型化/画像の高精細化により、高精度が要求されるキーパーツとなっており、製品の優劣を決め得る要素となっている。
こうした状況において、この樹脂反射ミラーを、精度良く保持し、機器の温度上昇などによる影響を受け難くする様に試みた樹脂反射ミラーの支持機構が望まれている。ここで、樹脂反射ミラーを高精度に支持部材に取り付ける場合を、従来の考え方による例で説明する。
この例を図5、図6に示す。図6は、図5を矢印C方向から見て、荷重加圧バネ5aと5bの中心を結んだ軸を含む面における断面図である。樹脂反射ミラー1の材質は、高精度な成形に適し高い機械強度を有するポリカーボネイトを使用している。ここでの左右方向を、荷重加圧バネ5aと5bの中心を結んだ軸方向とすると、通常この種の斜め投影系の光学系では、樹脂反射ミラー1の有効反射範囲7が左右対称となっている。
この樹脂反射ミラー1は、左右方向の2角の2点と、この2点による2等辺三角形のほぼ頂点となる位置であって樹脂反射ミラーの有効反射範囲7外の他の1点とにおいて、板バネ5a,5b,5cで、それぞれPa、Pb、Pcの荷重で固定される。このとき、特別の事情がない限り、Pa=Pb=Pcとなり、総荷重PはP=3×Paとなる。この総荷重Pは、樹脂反射ミラー1の重量の20倍程度以上の荷重であり、樹脂反射ミラー1は高精度支持部材22(図6参照)に加圧されて固定される。
上記荷重Pを樹脂反射ミラー1の重量Gの20倍程度以上にする理由は、次の通りである。機器の生産組み立てやユーザーの実使用において樹脂反射ミラー1に20G程度の衝撃が掛かるのは常識的なことであり、この程度の衝撃荷重で樹脂反射ミラー1の取り付け姿勢が変わっては実使用に耐えられないからである。
しかしながら、この状態で機器の温度上昇が発生すると、樹脂反射ミラー1の熱膨張率と高精度支持部材22の熱膨張率の差により樹脂反射ミラー1は膨張しようとするが、拘束点(Pa、Pb、Pcの荷重加圧点)で樹脂反射ミラー1が拘束を受ける。こうして、樹脂反射ミラー1は自由に熱膨張することができない。その影響で樹脂反射ミラー1は変形し、良好な画像を形成できないという問題が発生する。
上記例における問題点を典型的な数値を用いた計算例を交えて説明する。
樹脂反射ミラー1の長手(左右)方向の寸法を200mmとし、ポリカーボネイトの熱膨張率を7×10−5/℃、温度上昇を20degとすると、L0=200×7×10−5×20=0.28mmほど膨張する。
次に、高精度支持部材22の熱膨張は、材質をアルミダイキャストとした場合、この熱膨張率を2.3×10−5/℃、寸法及び温度上昇を上記のものと同じにすると、L0′=200×2.3×10−5×20=0.092mmほど膨張する。この場合、拘束点でのスリップがない場合、L0−L0′=0.188mmの変形の逃げ場がないため、結果として樹脂反射ミラー1が変形してしまう。
したがって、熱膨張を或る程度逃がすために、板バネ等で樹脂反射ミラー1の重量の20倍程度の力で樹脂反射ミラー1を高精度支持部材22に対して加圧するのが一般的である。例えば、樹脂反射ミラー1の重量を0.15Kgとすると、0.15Kg×20G=3.0Kgとなり、板バネ3箇所の合計で、3Kg程度の荷重を加圧することになり、1箇所あたり1.0Kgの加圧となる。この状態での高温環境試験による変形量は、樹脂反射ミラー1の変形の腹となる部位においては、10〜20μm程度の発生が確認されている。
特開平2001-255462号公報
しかしながら、近年、機器の小型化/高精細化のために、樹脂反射ミラーに要求される寸法精度は厳しくなる一方であり、上記10〜20μm程度の変形も容認できる状況ではない。
上で説明した例では、1枚の樹脂反射ミラーで説明をしたが、実際の製品では、図7の様に複数枚の樹脂反射ミラーを取り付ける場合もある。この場合、照明系光学ユニット10から出た光束は、第1面樹脂反射ミラー11から、順番に、第2面樹脂反射ミラー12、第3面樹脂反射ミラー13、第4面樹脂反射ミラー14へと反射して行き、その先の図示しないスクリーン等に投影される。この様に樹脂反射ミラーを複数枚使用した場合は、特に、各反射ミラーの取り付け姿勢角度精度の安定性が重要となる。
この対策として、樹脂反射ミラーの加圧荷重を従来の1/10程度まで低減すれば、ミラーの変形を1〜2μm程度まで抑えることができることが、コンピュータシュミュレーション及び実験的に分かっている。
したがって、樹脂反射ミラーを高精度支持部材に加圧する荷重を樹脂反射ミラー1の重量の2倍程度にしなければならない。しかし反面、この状態において、20G程度の衝撃荷重が樹脂反射ミラー1に印加されると、樹脂反射ミラー1の姿勢が崩れてしまう。
上記課題に鑑み、本発明のミラー部材は、樹脂反射ミラーと前記樹脂反射ミラーの一方の側に当接したミラー支持部材と第1の支持部材と第2の支持部材とを備えたことを特徴とする。第1の支持部材は、前記樹脂反射ミラーの複数箇所において、前記樹脂反射ミラーの熱膨張を許容する程度の弾性力で、前記ミラー支持部材に押し付ける第1の方向に前記樹脂反射ミラーを付勢する。また第2の支持部材、前記樹脂反射ミラーの他方の側に、前記樹脂反射ミラーの前記第1の方向と反対の第2の方向への動きを規制し、前記樹脂反射ミラーとの間に一定のクリアランスを確保するように設けられている
また、上記課題に鑑み、本発明の樹脂反射ミラーは、上記の樹脂反射ミラーの支持機構により支持されている樹脂反射ミラーであることを特徴とする。前記第2の支持部材によるクリアランスは、樹脂反射ミラーの有効反射範囲を有する面に対して確保されていたり、樹脂反射ミラーの有効反射範囲を有する本体部から延びて該本体部より薄い厚さの延設部の面に対して確保されていたりする。
以上説明した様に、本発明によれば、樹脂反射ミラーの高温時などにおける有効反射面の変形を抑えるために、次の様にしている。すなわち、第1の支持部材で、樹脂反射ミラーを比較的軽微な荷重でミラー支持部材に対して加圧することで有効反射面の変形を抑えつつ、クリアランス確保部材などの第2の支持部材で、樹脂反射ミラーに対し微小なクリアランスを設ける。このことで、樹脂反射ミラーに外部から衝撃荷重が掛かっても樹脂反射ミラーの取り付け姿勢が許容程度以上に崩れるのを防止し、樹脂反射ミラーを比較的軽微な荷重で加圧することの弊害を解消している。
以下、本発明の思想原理と共に本発明の一実施形態を説明する。
本実施形態では、第1の支持部材により、ミラー支持部材に、樹脂反射ミラーを比較的軽微な加圧力(例えば、全体として樹脂反射ミラーの重量の2倍程度)で複数箇所において拘束して樹脂反射ミラーの取り付け姿勢角度の精度を確保している。そして、第2の支持部材により、樹脂反射ミラーの取り付け姿勢角度の変動を所定の範囲のみでしか許容しない様な一定のクリアランス(例えば、10μm程度)を樹脂反射ミラーに対して確保している。この様に、樹脂反射ミラーの荷重印加ポイントの近傍に、10μm程度という高精度のクリアランス確保部材を設けた場合、次の様になる。樹脂反射ミラーの長手方向の寸法を200mmとすると、tanθ=0.01/200より、樹脂反射ミラーの取り付け姿勢角度をθ=0.17′という軽微な角度変化に抑えることができる。
樹脂反射ミラーの取り付け姿勢の許容角度範囲が1′程度あれば、高精度支持部材(ミラー支持部材)への初期の取り付け精度を0.5′程度に抑えておけば、上記0.17′の取り付け姿勢の劣化は許容することができる。すなわち、前記クリアランスは、樹脂反射ミラーの取り付け姿勢角度がクリアランス内で変動しても樹脂反射ミラーの光学性能に影響を及ぼさない範囲内に設定されている。
この具体的な構成は、以下の通りである。高精度支持部材と樹脂反射ミラーの材質が異なる場合、例えば、高精度支持部材がアルミダイキャスト、樹脂反射ミラーがポリカーボネイトの場合、樹脂反射ミラーの熱膨張が高精度支持部材の熱膨張の約3倍である。したがって、クリアランスを設ける部位を構成する時、高精度支持部材の高さ寸法は、樹脂反射ミラーの高さ寸法の約3倍の寸法にし、その高さ位置に、クリアランス確保部材の支持部材を設ける。そして、このクリアランス確保部材の支持部材から、熱膨張率の低い部材で作られたクリアランス確保部材により、次の様にしている。すなわち、樹脂反射ミラーの支持部材(高精度支持部材)への取り付け面の反対側に設けたクリアランス確保部材と向かい合う樹脂反射ミラーの面位置を、向かえに行く構成にし、そこでのクリアランスを10μm程度に調整する。
典型的には、前記第1の支持部材による樹脂反射ミラーの拘束箇所の数と、前記第2の支持部材によるクリアランス確保箇所の数は同じである。そして、第1の支持部材による拘束箇所と第2の支持部材によるクリアランス確保箇所は近接していて、第2の支持部材による各クリアランス確保箇所でのクリアランスは等しい。第1の支持部材は、後記実施例で用いられる板バネなどの他に、樹脂反射ミラーの面のほぼ真上から加圧して樹脂反射ミラーをこの面の反対側のミラー支持部材に拘束するコイルスプリング等でも構成され得る。
本実施形態では、上記の10μm程度の調整を可能とするため、クリアランス確保部材の支持部材には、送りピッチの小さいネジが切られていて、そこにクリアランス確保部材のネジ部が勘合し、高精度に調整する。調整後、クリアランス確保部材が動かない様にするため、固定ナットで強固に固定する。このとき、上記部品を熱膨張キャンセルとなる寸法関係で配置すれば、機器による温度上昇などが発生した時でも、常温において調整したクリアランスを高温時でも維持することができる。なお、ここでのクリアランス確保部材の支持部材は、高精度支持部材と一体化されていてもよい。
以下に、より具体的な実施例を説明する。
(第1の実施例)
以下、図1、図2を参照して本発明の第1の実施例を説明する。図1、図2は本実施例の樹脂反射ミラーの拘束方法を示す。図2は、図1の矢印A方向から見て、クリアランス確保部材3aの軸を含む面における断面図である。
本実施例では、高精度支持部材2に荷重加圧バネ5a,5b,5cを設けている。これにより、非球面などの有効反射範囲7を持つ称樹脂反射ミラー1を、それぞれの荷重をP5a、P5b、P5cとしてP5a=P5b=P5cで且つ総荷重P5=3×P5aで、樹脂反射ミラー1の2倍の荷重でもって高精度支持部材2に対して加圧する。ここの例では、樹脂反射ミラー1の重量は0.15Kgとすると、総荷重P5=0.15Kg×2G=0.3Kg=300gとなり、1箇所あたりP5a=100gの荷重である。
また、樹脂反射ミラー1は、高精度支持部材2に角度精度約0.5′の高精度で取り付けられている。荷重加圧バネによる長手方向の取り付けピッチを200mmとすると、200tan(0.5/60)=0.029mmの誤差に部品精度を追い込んで、角度精度0.5′の精度を達成している。ここでは、この樹脂反射ミラー1の取り付け角度精度の許容範囲は1′とする。
次に、各荷重加圧バネ5a,5b,5c付近に取り付けられるクリアランス確保部材3a,3b,3cは、送りピッチの小さいネジが切られていて、それぞれ、クリアランス確保部材の支持部材4a,4b,4cの送りピッチの小さいネジに勘合する。この送りピッチの小さいネジを利用して、クリアランス確保部材3a,3b,3cと樹脂反射ミラー1とのクリアランス(図2におけるL1寸法である)を、10μm±1μmに調整する。
この場合、最大ガタが11μmであり、樹脂反射ミラー1に衝撃荷重が掛かった場合、このガタ分だけ樹脂反射ミラー1の姿勢が崩れる。その角度は、取り付けピッチが200mmとすると、tanθ=0.011/200より、θ=0.19′となって誤差要因となる。また、樹脂反射ミラー1が長方形で、短手方向の取り付けピッチが80mmとすると、上記計算と同様に,tanθ=0.011/80より、θ=0.47′の誤差要因となる。
前述の様に、樹脂反射ミラー1の取り付け角度精度の許容範囲は1′であるので、樹脂反射ミラー1を高精度支持部材2に角度精度約0.5′の高精度で取り付けていれば、上記0.19′と0.47′の角度変動は許容することができる。クリアランス確保部材3a,3b,3cは、調整後にずれない様にするため、ナット6a,6b,6cでそれぞれ支持部材4a,4b,4cに固定される。支持部材4a,4b,4cは、図2に示す様に、ミラーの支持部材2の突出部2aに取り付けられている。
ここで、クリアランス確保部材の支持部材4a,4b,4cを、高剛性板バネで実施した場合の本実施例の有効性について説明する。
高剛性板バネのバネ定数を、k=500Kg/mm程度にすると、重量0.15Kgの樹脂反射ミラー1に20Gの衝撃荷重が掛かった場合、次の様になる。高剛性板バネは(0.15×20/3)/500=0.002mm=2μm程度の軽微な変形であり、バネ荷重(反発力)により元の位置に戻る力が発生することを考慮すると実用上問題ないと判断できる。なお、ここでの高剛性板バネは、板厚t=1.6mm、幅b=10mm、作用点距離L=7.3mm、材料のヤング率=19000Kg/mm2として計算すると、バネ定数kは、k=3×19000/12×10×1.63/7.33=500Kg/mmとなる。
ここで、樹脂反射ミラー1に20Gが掛かった時の高剛性板バネのたわみ0.002mmの変形時における高剛性板バネの応力を計算すると、σ=(3×7.3×6/10)/1.62=5.13Kg/mm2となる。これはSUS304CSP-1/2Hの耐力48Kg/mm2に対し10.7%であり、応力的にも問題ない設計が可能である。
ここでは、バネ特性に優れたバネ用材料であるSUS304CSP-1/2Hを例に説明したが、一般的な板金材質であるSPCCなどでも、同様の応力計算をして弾性変形範囲内での使用であれば問題はない。
次に、クリアランス確保部材の支持部材を高精度支持部材2と一体化した場合の有効性について説明する。肉厚(板厚)t=3.0mm、幅b=10mm、作用点距離L=7.3mm、材料のヤング率=7200Kg/mm2として計算すると、バネ定数kは、k=3×7200/12×10×33/7.33=1249Kg/mmとなる。
ここで、同じく樹脂反射ミラー1に20Gが掛かった時のクリアランス確保部材の支持部材のたわみは、(0.15×20/3)/1249=0.0008mm=0.8μmである。ここで、0.0008mm(=0.8μm)の変形時におけるクリアランス確保部材の支持部材の応力を計算すると、σ=(3×7.3×6/10)/32=1.46Kg/mm2となり、アルミダイキャストの耐力15Kg/mm2に対し9.7%である。この場合も、応力的にも問題ない設計が可能である。
次に、環境変動でクリアランスの上記数値が変わっては意味がないので、上記のクリアランス10μm±1μmを環境変動に対して追従させる方法を説明する。なお、ここでは、クリアランス確保部材の支持部材を高剛性板バネで実施した場合を記載する。
この追従方法に係る寸法関係を図2を参照して説明する(温度上昇で説明するが、温度降下でも符号が逆になるだけで本質的に同じである)。ここでは、樹脂反射ミラー1の材質を熱膨張率7×10−5/℃のポリカーボネイトとし、高精度支持部材2の材質を熱膨張率2.3×10−5/℃のアルミダイキャストとする。さらに、高剛性板バネ4aの材質を熱膨張率1.1×10−5/℃のSUS304CSP-1/2H(厚みt=1.6)とし、クリアランス確保部材3aの材質を熱膨張率0.3×10−5/℃のPET樹脂とする。
また、樹脂反射ミラー1のミラー支持部材2への取付面とクリアランス確保部材3aと向かい合う対向位置までの距離L11をL11=10mm、上記クリアランスL1をL1=0.01mmとする。すると、樹脂反射ミラー1のミラー支持部材2への取付面からクリアランス確保部材のこれの支持部材への取付面までの距離L12は、次の様になる。
すなわち、L12=L13+10.01・・・・・・・・(1)
となる。
次に、20degの温度上昇時にクリアランスL1の値が変化しない様なキャンセル関係になる寸法関係を計算する。ただし、高剛性板バネの厚みL14=1.6mmとする。
1)クリアランスを小さくする方向に伸びる部位を下記に示す。
i)樹脂反射ミラー(ポリカーボネイト)
7×10−5×10×20=0.014(mm)
ii)クリアランス確保部材
0.3×10−5×(L13+1.6)×20=0.00006×L13+0.000096(mm)
2)クリアランスを大きくする方向に伸びる部位を下記に示す。
iii)高精度支持部材(アルミダイキャスト)
2.3×10−5×L12×20=0.00046×L12(mm)
iv)高剛性板バネ(SUS304CSP-1/2H)
1.1×10−5×1.6×20=0.000352(mm)
ただし、この部分が高精度支持部材と一体化している場合は、この高剛性板バネは、異なる厚さのアルミニウム支持部材となる。
上記1)と2)が一致すれば、クリアランスL1の値が変化しないキャンセル関係になる。したがって、
0.014+0.00006×L13+0.000096=0.00046×L12+0.000352・・・・・・・・(2)
が成立していればよい。(1)、(2)式より、L12=32.8585mmとすれば、L1寸法は、温度上昇などがあっても、0.01mmのクリアランスを安定して保つことができる。
すなわち、以下の様にすることで、クリアランスを安定して保つことができる。まず、第2の支持部材(例えば、高剛性板バネとクリアランス確保部材)は、ミラー支持部材(例えば、高精度支持部材)に取り付けられる。ここで、樹脂反射ミラーのミラー支持部材への取付面からクリアランス確保部材のこれの支持部材への取付面までの距離L12にミラー支持部材の熱膨張率を掛けた積数を考える。そして、この積数から、樹脂反射ミラーのミラー支持部材への取付面からクリアランス確保部材と向かい合う対向位置までの距離L11に樹脂反射ミラーの熱膨張率を掛けた積数を引いた数値について考慮する。この数値が、クリアランス確保部材のこれの支持部材への取付面から樹脂反射ミラーと向かい合う位置までの距離L13にクリアランス確保部材の熱膨張率を掛けた積数に、略等しくなる様に設定する。ここにおいて、高剛性板バネなどのクリアランス確保部材の支持部材の部位を除外しているので「略等しく」と表現している。
以上の様に、上記クリアランスは、温度変化があっても熱変化キャンセル関係が掛かる様に、関連する部品の材料、寸法、配置関係が設定され、常温でのクリアランスが保てる構成になっている。こうして、本実施例によれば、高精度樹脂反射ミラーの高温時などにおける有効反射面の変形を抑えるために、次の様にしている。樹脂反射ミラーを比較的軽微な荷重で加圧することで有効反射面の変形を抑えつつ、クリアランス確保部材で微小なクリアランスを設ける。このことで、樹脂反射ミラーに外部から衝撃荷重が掛かっても樹脂反射ミラーの取り付け姿勢が許容範囲以上に崩れるのを防止し、樹脂反射ミラーを比較的軽微な荷重で加圧することの弊害を解消している。
(第2の実施例)
次に、図3、図4を参照して本発明の第2の実施例を説明する。図3、図4は本実施例の樹脂反射ミラーの拘束方法を示す。図4は、矢印B方向から見て、調整軸(クリアランス確保部材)3aの軸を含む面における断面図である。ここでの図面は、第2の実施例のクリアランス確保部材3a付近の詳細を示している。他のクリアランス確保部材3b、3c付近の詳細も同様である。
第1の実施例では、クリアランス確保部材の位置が、樹脂反射ミラーの高精度支持部材への取り付け面の反対側であった。そのため、高精度支持部材(アルミダイキャスト)の高さが、樹脂反射ミラーの高さの約3倍程度の大きさとなり、機器が大型化し勝ちであった。
しかしながら、樹脂反射ミラーに対する高精度支持部材の大きさは、熱膨張率の比に反比例して決まる物理現象であり、上記構成において高精度支持部材を小さくして小型化するには、樹脂反射ミラーを薄くする以外に対策はない。しかし、樹脂反射ミラーの厚みは、樹脂反射ミラーとしての面精度を保つために必要な厚みは確保する必要があるため、安易に薄くすることはできない。
本実施例においても、樹脂反射ミラー1の肉厚は、物理的強度を確保するため10mm程度必要である。したがって、第2の実施例の場合においては、図3に示す様に、樹脂反射ミラー1と一体に伸ばした延設部1aを、樹脂反射ミラーの本体部の基本肉厚より薄い寸法で設けて、延設部1aの面にクリアランス確保部材3aを向かい合わせている。樹脂反射ミラーは樹脂成形で製造されるので、この延設部1aの増設によるコスト的な負担増加は全くない。
例えば、図4において、樹脂反射ミラー1のミラー支持部材2への取付面からクリアランス確保部材3aと向かい合う延設部1aの対向位置までの距離L21をL21=3mmとする。このとき、クリアランス(クリアランス確保部材3aからこれと向かい合う延設部1aの対向位置までの距離)L2をL2=0.01mm(=L1)とする。そして、第1の実施例と同様に、樹脂反射ミラー1のミラー支持部材2への取付面からクリアランス確保部材3aのこれの支持部材への取付面までの距離L22を計算する。すると、L22=9.41mmのとき、第1の実施例と同様に熱膨張キャンセルが出来る。他のクリアランス確保部材3b、3c付近についても同様である。
これであれば、樹脂反射ミラー1の厚さと殆ど同じ寸法でクリアランス確保部材を構成することが出来る。言い換えれば、樹脂反射ミラー1の厚さと、殆ど同じ寸法にクリアランス確保部材を収めようとする場合、上記L21の寸法を、樹脂反射ミラー1の本体部の厚み(10mm程度)の30%程度に抑えれば良いことが分かる。
また、クリアランスを調整するとき、樹脂反射ミラーの延設部1aに設けた樹脂反射ミラーの基本肉厚より薄い部位で調整することで、クリアランス調整機構の影響による機器の大型化を防ぐこともできる。その他の点は第1の実施例と同様である。
本発明の第1の実施例の全体斜視図である。 本発明の第1の実施例の断面図である。 本発明の第2の実施例の部分斜視図である。 本発明の第2の実施例の断面図である。 従来の考えによる例の全体図斜視図である。 従来の考えによる例の断面図である。 複数枚の樹脂反射ミラーの配置例を示す図である。
符号の説明
1 樹脂反射ミラー
1a 樹脂反射ミラーの延設部
2 高精度支持部材(ミラー支持部材)
3 クリアランス確保部材(第2の支持部材)
4 クリアランス確保部材の支持部材(第2の支持部材)
5 加圧バネ(第1の支持部材)
7 有効反射面(有効反射範囲)

Claims (4)

  1. 樹脂反射ミラーと、
    前記樹脂反射ミラーの一方の側に当接したミラー支持部材と、
    前記樹脂反射ミラーの複数箇所において、前記樹脂反射ミラーの熱膨張を許容する程度の弾性力で、前記ミラー支持部材に押し付ける第1の方向に前記樹脂反射ミラーを付勢する第1の支持部材と、
    前記樹脂反射ミラーの他方の側に、前記樹脂反射ミラーの前記第1の方向と反対の第2の方向への動きを規制する第2の支持部材と、を備え、
    前記第2の支持部材は、前記樹脂反射ミラーとの間に一定のクリアランスを確保するように設けられていることを特徴とするミラー部材。
  2. 前記第2の支持部材が、前記第1の支持部材が樹脂反射ミラーを付勢する複数箇所にそれぞれ近接した複数の位置に設けられたことを特徴とする請求項1に記載のミラー部材。
  3. 前記樹脂反射ミラーは、有効反射面を有する本体部と、前記本体部から前記第2の方向と直交する方向に延在し、前記本体部よりも薄い厚さの延設部とを有し、前記第2の支持部材が前記延設部の面に対してクリアランスを確保するように設けられたことを特徴とする請求項1に記載のミラー部材。
  4. 前記ミラー支持部材は、前記樹脂反射ミラーに当接した部分とは異なる位置に、前記第2の方向に延びた突出部を有し、前記第2の支持部材は、前記突出部に取り付けられ、前記第2の方向と直交する方向に延びた板状部材と、前記板状部材に取り付けられ、前記樹脂反射ミラーに対してクリアランスを確保するように前記第1の方向に延びたクリアランス確保部材とから構成され、
    前記樹脂反射ミラーのミラー支持部材への取付面から前記クリアランス確保部材の板状部材への取付面までの距離にミラー支持部材の熱膨張係数を掛けた積数から、前記樹脂反射ミラーのミラー支持部材への取付面からクリアランス確保部材と向かい合う対向位置までの距離に樹脂反射ミラーの熱膨張率を掛けた積数を引いた数値が、前記クリアランス確保部材の板状部材への取付面から樹脂反射ミラーと向かい合う位置までの距離にクリアランス確保部材の熱膨張率を掛けた積数に、略等しくなる様に設定されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のミラー部材。
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