本発明は、燃焼式打込装置に関し、特に、混合燃料の点火精度を向上させる際に用いて好適なものである。
従来より、内燃機関を備えた燃焼式打込装置が広く知られている。燃焼式打込装置は、内燃機関の内部に燃焼室を備え、内燃機関の駆動サイクルに合わせて燃料を燃焼室に供給させる。燃焼式打込装置では、燃焼室内の燃料を燃焼させることで、ピストンと一体構造を成すドライビングバーを往復運動させ、釘又は鋲等の打込体に対してドライビングバーの先端を打撃させ、これにより、当該打込体が被加工物に打ち込まれる。また、燃焼式打込装置では、充電可能とされる小型バッテリーが装着されており、商用電源を供給させるケーブルとの接続が不要とされ、作業性の向上が図られている。
かかる燃焼式打込装置は、バッテリー電源と、トリガ機構と、燃料タンクと、ファン及びファンモータと、点火プラグと、制御部等から構成される。バッテリー電源は、制御部を介してファンモータ又は点火プラグに電力を供給する。トリガ機構は、トリガとトリガの動作を検知するトリガスイッチとから成り、トリガスイッチから供給されたトリガ信号を制御部へ出力させる。ファンモータは、ファンを軸着させた駆動軸を備え、制御部の指令に応じて適宜に駆動し、これにより、燃焼室内では、供給された燃料が攪拌され、混合燃料が生成される。点火プラグは、電圧が印加されると、プラグギャップに放電を発生させ、燃焼室内の混合燃料に点火作用を与える。制御部は、所定の動作に応じてファンモータを駆動させる。また、かかる制御部は、内部回路として構成された点火電力供給回路を備え、当該点火電力供給回路を駆動させることにより、点火プラグを放電させる。かかる点火電力供給回路は、複数のトランス及びこれを駆動させるスイッチング素子を備え、バッテリー電源の供給電圧を昇圧させる。そして、かかる構成とされた制御部では、操縦者の要求動作に応じ、所定の放電タイミングにて点火プラグを放電させ、混合燃料を爆発燃焼させる。
図11では、点火動作を行う場合における、制御部の挙動が示されている。先ず、燃焼式打込装置は、被加工物に対してノーズ部が押し当てられると、図11(a)に示す如く、かかる動作の信号が制御部に供給されてファンモータが駆動される。このとき、燃料は、燃料タンクから燃焼室に供給され始め、図11(e)に示す如く、燃焼室で生成された混合燃料のガス濃度が経過時間に比例して上昇する。その後、操縦者によってトリガ機構が操作されると、図11(b)に示す如く、制御マイコンにトリガ信号が送信される。これに応じて、制御部では、図11(c)に示す如く、制御マイコンから点火部駆動信号を生成出力させる。そして、点火電力供給回路では、図11(d)に示す如く、点火部駆動信号に応じてバッテリー電源の供給電圧を昇圧させ、これによって得られた点火電圧を点火プラグに印加させる。このとき、燃焼式打込装置では、図11(e)に示す如く、点火部駆動信号が出力されてから放電待機時間TLの経過を待って、燃焼室内の混合燃料を点火させる。尚、図11(e)には、下限濃度Ldが示されており、かかる下限濃度Ldは、適正なガス濃度の下限閾値を示したものである。そして、当該下限濃度Ldより高値の領域ではガス濃度が適正値とされるので、かかるガス濃度に調整された混合燃料では、当該混合燃料の点火確率(以下、点火精度という)が格段に上がり、これにより、安定的な燃焼が実現される。即ち、図11(e)では、混合燃料のガス濃度が下限濃度Ldを上回る状態に調整されてから、放電待機時間TLの終点が到来しているので、混合燃料は、点火プラグが放電する際、高い点火精度で燃焼される。
しかし、バッテリー電源の供給電圧が何らかの原因で変動し当該供給電圧が偶発的に上昇する場合、点火電力供給回路では、トランスに流れる電流値が増大するので、当該トランスに蓄積されるエネルギーの増加速度が上昇する。このとき、かかる点火電力供給回路では、トランスに流れる電流を急変動させて誘導起電力を取得するが、当該誘導起電力が早期の時間帯で所望値に到達してしまうので、所望の誘導起電力を得るに要する放電待機時間TLが短縮されることとなる。図12では、かかる如く放電待機時間が短縮してしまう場合における、制御部の挙動が示されている。先ず、燃焼式打込装置は、被加工物にノーズ部が押し当てられると、ファンモータが駆動される。このとき、混合燃料のガス濃度が経過時間に比例して上昇する。その後、トリガ機構が操作されると、制御部にトリガ信号が送信される。これに応じて、制御部では、図12(c)と同様に、点火部駆動信号を生成出力させる(図12c参照)。但し、供給電位が高い同図に係る状態では、図12(c)及び(d)に示す如く、点火部駆動信号の終了を待たずに点火電力供給回路が駆動され、放電待機時間TL’は、先の放電待機時間TLと比較して減少する。このとき、図12(e)では、混合燃料のガス濃度が下限濃度Ldを上回る前に、放電待機時間TL’の終点が到来している。即ち、かかる状態の燃焼式打込装置では、放電待機時間TL’が短縮されるので、放電時迄にガス濃度が十分な値に達していない。従って、供給電圧が高くなる場合の燃焼式打込装置では、かかる現象により、混合燃料の点火精度が著しく低下し、点火プラグが放電されても、失火等の点火不良とされる場面が頻発するとの問題が指摘されていた。
そこで、特願2007−233478号公報(特許文献1)では、かかる問題を改善ささせる技術の一例が紹介されている。特許文献1の燃焼式打込装置では、制御部等を始めとする前述同様の機構的構成を備え、制御マイコンによって点火部駆動信号のデューティー比又はパルスのピッチを適宜に変動させ、これにより、燃焼式打込装置では、点火プラグの放電される時刻が混合燃料の適正ガス濃度に至る時刻と一致するように制御され、燃焼室において混合燃料が確実に点火されることとなる。
しかしながら、特許文献1に記載の技術によれば、点火プラグが放電する放電開始時刻と混合燃料のガス濃度が適正濃度に到達する時刻とを一致させる制御が必要となるので、常に、制御マイコンでは、点火部駆動信号のデューティー比又はパルスのピッチをこれらの条件に適合させる制御動作が要求されるとの問題が生じる。
このとき、点火プラグが放電する放電開始時刻と混合燃料のガス濃度が適正濃度に到達する時刻等をリアルタイムで算出し、これに基づいて点火部駆動信号の波形を成形させるフィードバック制御を採用すると、かかる情報を高速処理させ得る制御マイコンが必要となり、装置の高コスト化に繋がるとの問題が生じる。
一方、点火プラグが放電する放電開始時刻と混合燃料のガス濃度が適正濃度に到達する時刻等を予め複数の条件に対応させてメモリ回路に格納させ、当該メモリ回路から必要な情報を取得し点火部駆動信号を生成させるフィードフォワード制御を採用すると、点火部駆動信号を生成させるための情報が膨大となり、大容量のメモリ回路が必要となるとの問題が生じる。
本発明は上記課題に鑑み、簡素な制御処理によって混合燃料の点火精度を向上させ得る燃焼式打込装置の提供を目的とする。
上記課題を解決するため、本発明では次のような燃焼式打込装置の構成とする。即ち、バッテリー電源と、点火要求信号を出力させる点火指令部と、燃焼室に燃料を供給させる燃料供給部と、前記燃焼室の内部で生成された混合燃料を点火させる点火部と、前記点火要求信号に基づいて前記点火部を放電させる制御部と、を備える燃焼式打込装置において、
前記制御部は、前記点火要求信号に呼応して点火部駆動信号を出力させる信号制御回路と、前記点火部駆動信号を受信し前記点火部を放電させるための電力を前記点火部へ供給させる点火電力供給回路と、を備え、
前記信号制御回路は、前記バッテリー電源の電圧値を検出させる電源電圧検出手段と、前記点火要求信号の出力開始時刻から起算して前記混合燃料が燃焼可能なガス濃度以上に到達する時刻までの適正濃度到達時間を演算させる点火タイミング演算手段と、前記点火部駆動信号の出力開始時刻から起算して前記点火部を放電させる時刻に至る迄の放電準備時間を前記電圧値に基づいて演算させる放電準備時間演算手段と、前記適正濃度到達時間及び前記放電準備時間に基づいて前記点火要求信号の出力開始時刻から前記点火部駆動信号の出力開始時刻までのオフセット時間を演算させるオフセット時間演算手段と、を備え、
前記オフセット時間演算手段は、前記適正濃度到達時間から前記放電準備時間を差し引いた差分時間を演算させる処理と、前記差分時間の演算結果が正とされる場合に前記オフセット時間が前記差分時間と一致するものと判定させる処理と、前記差分時間の演算結果が負とされる場合に前記オフセット時間が一定時間であると判定させる処理と、を実行させることとする。
また、本発明では次のような燃焼式打込装置の構成としても良い。即ち、バッテリー電源と、点火要求信号を出力させる点火指令部と、燃焼室に燃料を供給させる燃料供給部と、前記燃焼室の内部で生成された混合燃料を点火させる点火部と、前記点火要求信号に基づいて前記点火部を放電させる制御部と、を備える燃焼式打込装置において、
前記制御部は、前記バッテリー電源の電力供給を許可させる電源供給許可信号を前記点火信号に呼応して出力させる信号制御回路と、前記電源供給許可信号を受信し点火部を放電させるための電力を前記点火部へ供給させる点火電力供給回路と、を備え、
前記信号制御回路は、前記バッテリー電源の電圧値を検出させる電源電圧検出手段と、前記点火要求信号の出力開始時刻から起算して前記混合燃料が燃焼可能なガス濃度以上に到達する時刻までの適正濃度到達時間を演算させる点火タイミング演算手段と、前記電源供給許可信号の出力開始時刻から起算して前記点火部を放電させる時刻に至る迄の放電準備時間を前記電圧値に基づいて演算させる放電準備時間演算手段と、前記適正濃度到達時間及び前記放電準備時間に基づいて前記点火要求信号の出力開始時刻から前記電源供給許可信号の出力開始時刻までのオフセット時間を演算させるオフセット時間演算手段と、を備え、
前記オフセット時間演算手段は、前記適正濃度到達時間から前記放電準備時間を差し引いた差分時間を演算させる処理と、前記差分時間の演算結果が正とされる場合に前記オフセット時間が前記差分時間と一致するものと判定させる処理と、前記差分時間の演算結果が負とされる場合に前記オフセット時間が一定時間であると判定させる処理と、を実行させることとする。
更に、本発明では次のような燃焼式打込装置の構成としても良い。即ち、バッテリー電源と、点火要求信号を出力させる点火指令部と、燃焼室に燃料を供給させる燃料供給部と、前記燃料供給部の燃料供給開始時刻を報知させる供給時刻報知部と、前記燃焼室の内部で生成された混合燃料を点火させる点火部と、前記点火要求信号に基づいて前記点火部を放電させる制御部と、を備える燃焼式打込装置において、
前記制御部は、前記点火要求信号に呼応して点火部駆動信号を出力させる信号制御回路と、前記点火部駆動信号を受信し前記点火部を放電させるための電力を前記点火部へ供給させる点火電力供給回路と、を備え、
前記信号制御回路は、前記バッテリー電源の電圧値を検出させる電源電圧検出手段と、前記点火要求信号の出力開始時刻から起算して前記混合燃料が燃焼可能なガス濃度以上に到達する時刻までの適正濃度到達時間を演算させる点火タイミング演算手段と、前記点火部駆動信号の出力開始時刻から起算して出力停止時刻迄に至る信号出力時間を前記電圧値に基づいて定める出力時間規定手段と、前記適正濃度到達時間及び前記信号出力時間に基づいて前記点火要求信号の出力開始時刻から前記点火部駆動信号の出力開始時刻までのオフセット時間を演算させるオフセット時間演算手段と、を備え、
前記オフセット時間演算手段は、前記適正濃度到達時間から前記放電準備時間を差し引いた差分時間を演算させる処理と、前記差分時間の演算結果が正とされる場合に前記オフセット時間が前記差分時間と一致するものと判定させる処理と、前記差分時間の演算結果が負とされる場合に前記オフセット時間が一定時間であると判定させる処理と、を実行させることとする。
更にまた、本発明では次のような燃焼式打込装置の構成としても良い。即ち、バッテリー電源と、点火要求信号を出力させる点火指令部と、燃焼室に燃料を供給させる燃料供給部と、前記燃料供給部の燃料供給開始時刻を報知させる供給時刻報知部と、前記燃焼室の内部で生成された混合燃料を点火させる点火部と、前記点火要求信号に基づいて前記点火部を放電させる制御部と、を備える燃焼式打込装置において、
前記制御部は、前記バッテリー電源の電力供給を許可させる電源供給許可信号を前記点火信号に呼応して出力させる信号制御回路と、前記電源供給許可信号を受信し点火部を放電させるための電力を前記点火部へ供給させる点火電力供給回路と、を備え、
前記信号制御回路は、前記バッテリー電源の電圧値を検出させる電源電圧検出手段と、前記点火要求信号の出力開始時刻から起算して前記混合燃料が燃焼可能なガス濃度以上に到達する時刻までの適正濃度到達時間を演算させる点火タイミング演算手段と、前記電源供給許可信号の出力開始時刻から起算して前記点火部を放電させる時刻に至る迄の放電準備時間を前記電圧値に基づいて演算させる放電準備時間演算手段と、前記適正濃度到達時間及び前記放電準備時間に基づいて前記点火要求信号の出力開始時刻から前記電源供給許可信号の出力開始時刻までのオフセット時間を演算させるオフセット時間演算手段と、を備え、
前記オフセット時間演算手段は、前記適正濃度到達時間から前記放電準備時間を差し引いた差分時間を演算させる処理と、前記差分時間の演算結果が正とされる場合に前記オフセット時間が前記差分時間と一致するものと判定させる処理と、前記差分時間の演算結果が負とされる場合に前記オフセット時間が一定時間であると判定させる処理と、を実行させることとする。
好ましくは、前記一定時間は零秒間であることとする。
より好ましくは、前記点火タイミング演算手段は、前記燃料供給開始時刻から起算して前記混合燃料が燃焼可能なガス濃度以上に到達する時刻までの燃料供給時間を演算させる処理と、前記燃料供給開始時刻から起算して前記点火要求信号の出力開始時刻に至る迄の遅延時間を演算させる処理と、前記燃料供給時間及び前記遅延時間に基づいて定まる前記適正濃度到達時間を演算させる処理と、を実行させることとする。
更に好ましくは、前記適正濃度到達時間は、前記燃料供給時間と前記遅延時間との差分値によって算出されることとする。
本発明に係る燃焼式打込装置によれば、点火部駆動信号は、制御マイコンによって適宜に演算されたオフセット時間の経過後に出力されるので、燃焼させる際に好適な混合ガスのガス濃度到達時刻に、点火プラグを放電させることができる。
また、点火部駆動信号を出力させるマイコンを用いる場合、当該点火部駆動信号は、出力が開始されてから出力が停止される迄の信号出力時間のみがコントロールされることに伴い、当該信号のデューティー比又はパルスのピッチを変動させることが不要となるので、フィードバック制御を行う場合には、制御マイコンの演算処理に係る負担が低減され、フィードフォワード制御させる場合には、メモリ回路における点火部駆動信号の波形に関する使用領域が低減される。
以下、本発明に係る実施の形態につき図面を参照して説明する。図1及び図2では本実施の形態に係る燃焼式釘打装置(特許請求野範囲における燃焼式打込装置)の断面構造が示されている。尚、図1には、混合燃料を燃焼させる燃焼室Combが密閉状態とされた場面が示されており、図2には、燃焼室Combが開放状態とされた場面が示されている。図示の如く、燃焼式釘打装置100は、受動機構110とファン機構120と燃料供給機構130とリンク機構140とトリガ機構150とバッテリー電源160と制御部170とノーズ機構180とマガジン機構190とから構成されている。このうち、受動機構110とファン機構120と燃料供給機構130とリンク機構140とトリガ機構150と制御部170とは、ハウジング100aの内部にそれぞれ格納されている。
受動機構110は、シリンダ111とピストン112とドライビングバー113とOリング114及び115とバンパー116とから構成されている。シリンダ111は、ピストン112の摺動を可能とさせる円筒壁が形成されている。また、円筒壁の外面には、ピストン112の上死点の近傍にO−リング溝が成形され、O−リング115が設けられる。更にO−リング溝のノーズ機構側には、可動スリーブ141を案内させるリブが成形されている。更に、ピストン112の下死点の近傍にバンパー116が配置される。加えて、ピストン112の下死点より更にノーズ機構側には、バネ144を格納させる空間部Rが成形され、フランジ180aとの接合面には、接合ボルトSBに螺合されるタップが適宜に成形される。併せて、シリンダ111の円筒壁には、ピストン112の下死点位置よりファンモータ側へ図示されない排気孔が設けられ、当該排気孔には、円筒壁の外面にそれぞれ安全弁が設けられている。かかる構成により、シリンダ111は、排気孔を介して、燃焼後の混合燃料(以下、燃焼ガスと呼ぶ)を円筒壁の外部へ一方向的に排出させる。ピストン112は、シリンダ111における円筒壁の内径に適合した薄板円筒体に形成されている。また、薄板円筒体の側面には、O−リング溝が成形され、O−リング114が設けられる。そして、かかるピストン112は、O−リング114を介してシリンダ111に嵌入され、ピストン112を境に燃焼ガスの流出入をシールさせる。更に、ピストン112のノーズ機構側には、ドライビングバー113が一体的に設けられ、ドライビングバー113は、ノーズ機構180の挿通孔に摺動自在に挿通される。
ファン機構120は、隔壁121とモータカバー122と点火プラグ(特許請求の範囲における点火部)123とファンモータ124とファン125とモータキャップ127と通気カバー128とから構成される。隔壁121は、ファンモータ124の一部を収容する円筒部121aと、燃焼ガスを排出させる換気孔121bと、燃料の導通経路とされる燃料供給路Raとが成形されている。モータカバー122は、点火プラグ123を収容するプラグ収容部と、ファンモータ124の駆動軸を燃焼室Cambに臨ませる状態で固定するモータ収容部と、O−リング129を収容させるO−リング溝と、可動スリーブ141を案内させるリブ122cと、混合燃料の導通経路とされる燃料供給路Rbとが成形されている。点火プラグ123は、プラグギャップが設けられ、供給された電位の印加状態に応じて、ギャップ間に放電を発生させる。ファンモータ124は、印加電圧に応じて駆動軸にトルクを発生させ、駆動軸に接続されたファン125を回転させる。そして、点火プラグ123及びファンモータ124は、隔壁121とモータカバー122とによって形成されたそれぞれの収容空間へ適宜に収容される。また、図示の如く、モータキャップ127は、内筒部が隔壁121の円筒部121aに嵌着され、外筒部が通気カバー128に嵌着される。これにより、通気カバー128は、モータキャップ127によって位置決めされ、隔壁121の外周面へ嵌め込まれる。
燃料供給機構130は、燃料タンク(特許請求の範囲における燃料供給部)131と燃料バルブ132とから構成される。燃料タンク131は、常に、燃料バルブ132に高圧燃料を加圧した状態で接続され、燃料バルブが作動すると、高圧燃料が燃料バルブ132の吐出口から所定量射出される。かかる燃料バルブ132では、ヘッドスイッチ142と連動する機構(図示なし)が設けられ、ヘッドスイッチ142のスイッチ部が押圧されると同時にバルブが開く様に動作する。図示の如く、燃料バルブ132の吐出口は、ハウジング100aに設けられた燃料供給経路Rcに接続されるため、射出された高圧燃料は、燃料供給経路Rc及びRb及びRaを経由して、燃焼室Combへと導かれる。そして、燃焼室内の高圧燃料は、ファン125によって空気と共に攪拌され、これにより、混合燃料が生成される。
リンク機構140は、可動スリーブ141とノーズスイッチ142(特許請求の範囲における供給時刻報知部)と伝達部143とバネ144とガイドロッド145とから構成される。可動スリーブ141は、ノーズ機構側及びファン機構側にそれぞれ円筒状の開口部が設けられ、シリンダ111に成形されるリブの外周面とモータカバー122に成形されるリブ122cの外周面とによって摺動自在に嵌入される。ここで、可動スリーブ141は、ファンモータ側の隔壁121に当接された場合、双方の開口部がO−リング115及び129によってシールされる。即ち、可動スリーブ141及びシリンダ111及びピストン112及びモータカバー122によって形成される燃焼室Cambは、可動スリーブ141の端部が隔壁121に当接する場合、密閉状態に保たれる。また、ロックバー141aは、可動スリーブ141に固定されると共に、ハウジング100aに一体成形された案内部100bの孔部に挿通される。かかる構成により、ロックバー141aは、可動スリーブ141と協動してスライドされる。ノーズスイッチ142は、隔壁121の内部に配置される。そして、常時OFFのプッシュ機構が設けられ、可動スリーブ141によってプッシュ機構が押圧された場合に、制御部170へHigh信号を送信する。ノーズスイッチ142から出力された信号は、ファンモータ124を駆動させる際に用いられる。伝達部143は、板状体から成り、一方では可動スリーブ141に固定され、他方では付勢板143aに一体成形されている。かかる付勢板143aは、キリ穴を具備するボス部143bとドライビングバー113を遊嵌させる貫通穴とが成形されている。バネ144は、図示の如く配置され、外力が付与されない状態では伝達部143をノーズ機構側に付勢させる。ガイドロッド145は、ノーズボディ181の図示されない挿通孔へ摺動自在に挿入され、一端がコンタクト部182に固定され、他端が付勢板143aのボス部143bに嵌着される。かかる構成を具備するリンク機構140は、コンタクト部182に接触が無い場合、可動スリーブ141をノーズ機構側にスライドさせ、コンタクト部182に接触が有る場合、かかるコンタクト部がファン機構側に押し込まれ、これに連動して、可動スリーブ141をファン機構側にスライドさせる。
トリガ機構150は、トリガスイッチ(特許請求の範囲における点火指令部)151とトリガ152と受動部153と回動部154とから構成される。トリガスイッチ151は、プッシュ機構が設けられ、かかるプッシュ機構が押圧された際にLow状態とされたトリガ信号(特許請求の範囲における点火要求信号)を制御部170へ出力する。そして、トリガスイッチ151は、プッシュ機構をトリガ152へ対抗させる状態にてハウジング100aに固定される。図示の如く、トリガ152は、ファン機構方向にスライド可能な状態で、グリップ100cの根本部にレイアウトされる。このとき、トリガ152は、バネ152aによってノーズ機構側に付勢される。受動部153は、一端がトリガ152に接続され、他端がピンを介して回動自在に回動部154と接続される。回動部154は、略扇状の板体に成形され、ピンを介して回動自在にハウジング100aへ接続される。かかる構成を具備するトリガ機構150は、トリガ152がファン機構側へ引き込まれると、受動部153が回動部154に対して反時計回り方向の回転力を与える。このとき、図2に示す如く、可動スリーブ141がノーズ機構側にポジショニングされる場合、これに連動し、ロックバー141aもノーズ機構側にスライドされ、トリガ152のスライド動作がロックされる。また、図1に示す如く1可動スリーブ141がファン機構側にポジショニングされる場合、ロックバー141aもファン機構側にスライドされ、これにより、トリガ152のスライド動作が許可される。
バッテリー電源160は、充電電池が樹脂成形体161の内部に格納されている。かかる樹脂成形体161は、ラッチ機構162が設けられ、着脱自在にハウジング100aに取付けられる。また、充電電池は、樹脂成形体161がハウジング100aに取付けられると、双方の電極が制御部170の電源端子に接続される。尚、本実施例において、充電電池は、ニッケル水素電池を採用することとする。但し、かかる充電電池は、これに限定することなく、リチウム電池又はニッケルカドミウム電池等を用いても良い。
制御部170は、所望の回路素子が実装された回路基板によって構成され、グリップ100cの内部に格納される。かかる回路基板は、配線を介して、トリガスイッチ151及びノーズスイッチ142及び点火プラグ123及びファンモータ124に接続される。そして、回路基板は、充電電池から電源が供給され、トリガスイッチ151及びノーズスイッチ142の信号に基づき、点火プラグ123及びファンモータ124を適宜に駆動させる。尚、制御部170の構成及び作用については、追って詳述することとする。
ノーズ機構180は、ノーズボディ181とコンタクト部182とから構成される。ノーズボディ181は、フランジ部181aと砲身部181bとノーズ部181cとが一体的に成形され、砲身部181bと同軸状に貫通孔181dが設けられている。図示の如く、フランジ部181aは、フロントカバー100d及び接合ボルトSBによって、ハウジング100a及びシリンダ111に係合される。砲身部181bには、釘等の打込体を逐次供給させるマガジン機構190が接続され、打釘毎に新たな釘が貫通孔181dへ装填される。ノーズ部181cは、コンタクト部182が遊嵌されており、砲身部181bの軸方向へ摺動自在に取り付けられている。かかるコンタクト部182は、ファン機構側に押し込まれると、ガイドロッド145を介して外力を伝達し、可動スリーブをファン機構側へスライドさせる。尚、本実施の形態では、釘を打込材として説明しているが、これに限らず、鋲又は鋲螺又はこれに類する締結材を用いても良い。
かかる機構110〜180に基づいて、燃焼式釘打装置100は以下の如く動作する。図1に示す如く、コンタクト部182の先端がノーズ部181cの先端と一致する程度までファン機構側に押し込まれる場合、ガイドロッド145がバネ144の付勢力に対抗して付勢板143aにファン機構方向の力を伝達する。そして、伝達部143がこれに連動し、可動スリーブ141の端面が隔壁121に当接され、燃焼室Combが密閉状態とされる。ノーズスイッチ142では、可動スリーブ141の端面によってプッシュ機構が押圧され、High信号が制御部170に送信される。これにより、制御部170は、ノーズスイッチ142の信号に基づいてファン125を駆動させる。このとき、燃焼室Combでは、供給された高圧燃料がファン125によって攪拌され、混合燃料が生成される。一方、トリガ機構150では、ロックバー141aがファン機構側にシフトしているので、トリガ152の引き込み動作が許可されている。かかる状態においてトリガ152を引いた場合、トリガスイッチ151からLow信号が制御部170に送信され、点火プラグ123のプラグギャップでは放電を開始する。これに応じて、燃焼室内の混合燃料が爆発燃焼し、混合燃料の熱膨張が急激に発生する。これにより、砲身部181bへ装填された釘は、ドライビングバー113の先端によって打撃され、被加工物に向けて射出される。その後、燃焼室Combの燃焼ガスは、図示しない排気孔からシリンダ111の外部に放出され、かかる燃焼ガスは、換気孔121b及び通気カバー128のスリットを介して大気へと導かれる。このとき、燃焼室Combでは低密度の気体が急冷されて負圧状態となるので、ピストン112及びドライビングバー113は、燃焼前の元のポジションに復帰する。
打釘後において燃焼式釘打装置100のコンタクト部181を被加工物から離すと、図2に示す如く、コンタクト部182の先端では被加工物面の抗力から開放され、付勢板141aがバネ144によってノーズ機構側にシフトされる。このとき、ノーズスイッチ142はOFF状態に切り換えられファン125が停止する。また、燃焼室Combは、残存している燃焼ガスをモータカバー122のリブ123cの隙間から排出し換気が行われる。更に、かかる如く可動スリーブ141がノーズ機構側にシフトされた状態では、図示の如く、ロックバー141aもノーズ機構側にシフトされるので、トリガ機構150はロックされた状態とされる。即ち、コンタクト部181cが再び被加工物に押し当てられる迄、トリガ機構150のロック状態が維持される。
図3では、本実施例に用いられる制御部の機能ブロック図が示されている。図示の如く、制御部170は、分圧回路171と制御マイコン(特許請求の範囲における信号制御回路)174とメモリ174aと点火電力供給回路175とファンモータ駆動回路176とから構成されている。尚、同図には、ノーズスイッチ142とトリガスイッチ151と点火プラグ123とファンモータ124とファン123とが便宜的に追加図示されている。
分圧回路171は、バッテリー電源160から印加される供給電圧の電圧値を検出し、これによって得られた供給電圧を分圧値として変換させ制御マイコン174に出力させる。
制御マイコン174は、分圧回路171から受信した供給電圧の値に呼応して点火部駆動信号を適宜に変更し、点火電力供給回路175に対して点火部駆動信号を出力する。また、この他、ファンモータを駆動させるパルス信号等も出力させる。制御マイコン174には、CPU及びクロック回路及びAD変換回路が内蔵されている。又、メモリ回路174aを更に内蔵させても良い。そして、制御マイコン174では、入力された種々の信号をAD変換させ、ここで生成されたデジタル信号に基づいてメモリ回路174aに格納されたプログラムの処理手順に従い、CPUにて各データを適宜に演算処理させ、これにより、種々の信号を生成し外部へ出力させる。具体的に説明すると、制御マイコン174は、電源電圧検出手段と点火タイミング演算手段とオフセット時間演算手段とを具備する。ここで、電源電圧検出手段は、AD変換回路によってバッテリー電源の電圧値をADタイミング毎に検出する。点火タイミング演算手段及びオフセット時間演算手段は、AD変換されたデジタルデータに基づいて所定の時間を算出させる。
メモリ回路174aは、バッテリー電源の電圧値の情報と当該電圧値に対応する信号出力時間の情報とが少なくとも格納されている。このとき、後述する放電準備時間Tgの情報も併せて格納させておくのが好ましい。
点火電力供給回路175は、適正混合燃料内で放電可能な点火電位Vsを点火プラグ123に対して供給させる。これにより、点火電力供給回路175は、燃焼室Comb内の混合燃料を失火の無い状態で点火させ、ピストン112に対して確実に衝撃力を与えることが可能とされる。尚、点火電位Vsとは、適正混合燃料内でプラグギャップ間に絶縁破壊を生じせしめる印加電圧をいう。
ファンモータ駆動回路176は、ノーズスイッチ142から送信されたH−L信号に基づいてON/OFF制御される。即ち、コンタクト部182が被加工物に押し当てられない場合、ノーズスイッチ142ではリンク機構140によってOFF状態に切替えられLow信号を出力する。このとき、制御マイコン174ではノーズスイッチ142のLow信号を受信しファンモータ駆動回路176を停止させる。これにより、ファンモータ駆動回路176では、ファンモータ124に供給するバッテリー電源を遮断しファン123を停止させる。一方、コンタクト部182が被加工物に押し当てられると、ノーズスイッチ142ではリンク機構140によってON状態に切替えられHigh信号を出力する。このとき、制御マイコン174ではノーズスイッチ142のHigh信号を受信しファンモータ駆動回路176を駆動させる。これにより、ファンモータ駆動回路176では、バッテリー電源をファンモータ124に印加しファン123を駆動させる。かかるノーズスイッチ142は、コンタクト部182が被加工物に押し当てられると同時に信号を出力させるので、燃料タンクの燃料供給開始時刻を報知させる機能も担う。
図4では、本実施例に係る制御部の回路構成が示されている。図示の如く、制御部170には、バッテリー電源160の両端電極が接続され、電力が供給されている。そして前述の如く、制御部170は、分圧回路171と制御マイコン174とメモリ174aと点火電力供給回路175とファンモータ駆動回路176とから構成されている。また、本実施例では制御マイコン174として複数の機能的回路を集積させたワンチップICが採用され、かかる制御マイコン174には、メモリ174aが一体的に構成されている。従って、制御マイコン174に駆動電源を与えるため、制御部170には、バッテリー電源160の供給電源を適宜に調整させる定電圧回路178が追加されている。
分圧回路171は、抵抗R1及び抵抗R2から成る分圧抵抗がバッテリー電源160の両端電極に接続されている。そして、抵抗R1及び抵抗R2の間に設けられた信号ラインが制御マイコン174に接続され、バッテリー電源160から供給される供給電圧の値を制御マイコン174に出力する。
制御マイコン174には、複数のポートP1〜P7が設けられている。ポートP1には、定電圧回路178が接続され、制御マイコン174自身の駆動電源Vccが印加される。ポートP2には、ノーズスイッチ142が接続され、ノーズスイッチ142のON/OFF状態を報知させる信号が印加される。ポートP3には、分圧回路171の信号ラインが接続され、バッテリー電源160から供給される供給電圧の電圧値Vrefが印加される。ポートP4には、トリガスイッチ151が接続され、トリガ152を引いたか否かを知らせるトリガ信号Strが印加される。ポートP5には、点火電力供給回路175と接続され、当該点火電力供給回路175に対して点火部駆動信号Sigを出力させる。かかる点火部駆動信号は、制御マイコン174が駆動されることにより適宜な波形が成形される。この波形成形処理については、図5にて詳述することとする。ポートP6には、ファンモータ駆動回路176が接続され、ファンモータ124を駆動させるH−L信号を出力させる。ポートP7では、グランドGNDにアースされ、Vssを出力させる。
点火電力供給回路175は、第1のトランスT1とスイッチング素子SWと第1ドライブ回路175aと保護回路175bと第2のトランスT2と第2ドライブ回路175cとから構成される。
第1のトランスT1は、一次コイルLaの一方がバッテリー電源160の正極に接続され、一次コイルLaの他方がスイッチング素子SWのコレクタ端子に接続される。また、二次コイルLbの一方が順方向に配列されたダイオードD3を介して第2ドライブ回路175cに接続され、二次コイルLbの他方がバッテリー電源160の負極に接続される。尚、バッテリー電源160の負極は、図示の如くアースされる。
スイッチング素子SWは、トランスT1に直接接続されるため耐圧性の高い素子が選択され、本実施例において、バイポーラトランジスタ又はこれを用いたダーリントントランジスタ等の素子が採用される。但し、設計条件に準え、MOSFET又はIGBT又はサイリスタ等のスイッチング素子を採用しても良い。かかるスイッチング素子SWは、ベース端子に第1ドライブ回路175aが接続され、コレクタ端子に第1のトランスT1が接続され、エミッタ端子にバッテリー電源160の負極が接続される。そして、スイッチング素子SWは、ベース端子に印加された駆動信号に応じて、コレクタ端子からエミッタ端子に通過する電流(以下、コレクタ電流と呼ぶ)を制御又は遮断させることにより、第1のトランスT1を制御させる。
第1ドライブ回路175aは、複数の抵抗R1〜R8と、スイッチング素子S1及びS2と、コンデンサC1とから構成される。抵抗R1及びR2から成る分圧抵抗Rs1は、一端がポートP1に接続され、他端がバッテリー電源160の負極に接続される。スイッチング素子S1は、コレクタ端子が抵抗R3を介してバッテリー電源160の正極に接続され、エミッタ端子がバッテリー電源160の負極に接続され、ベース端子が分圧抵抗Rs1の分圧点に接続される。抵抗R4及びR5から成る分圧抵抗Rs2は、一端がスイッチング素子S1のコレクタ端子に接続され、他端がバッテリー電源160の負極に接続される。スイッチング素子S2は、コレクタ端子が抵抗R6を介してバッテリー電源160の正極に接続され、エミッタ端子がバッテリー電源160の負極に接続され、ベース端子が分圧抵抗Rs2の分圧点に接続される。また、コンデンサC1と抵抗R7とから成る並列回路は、一端がスイッチング素子S2のコレクタ端子に接続され、他端がスイッチング素子SWのベース端子に接続される。更に、抵抗R8は、スイッチング素子SWのベース端子とバッテリー電源160の負極との間に介挿される。そして、かかる構成を具備する第1ドライブ回路175aでは、微弱電流とされた点火部駆動信号を、耐圧性の高いスイッチング素子SWを駆動可能とさせる駆動信号に変換させる。
保護回路175bは、ダイオードD1及びD2から構成される。ダイオードD1は、アノード側がバッテリー電源160の負極に接続され、カソード側がスイッチング素子SWのベース端子に接続される。また、ダイオードD2は、アノード側がバッテリー電源160の負極に接続され、カソード側がスイッチング素子SWのコレクタ端子に接続される。そして、かかる構成により、負極側電源ラインの急激な電位上昇が生じた場合でも、スイッチング素子SWが適切に保護される。
第2ドライブ回路175cは、抵抗R9及びR10と、ツェナーダイオードDzと、サイリスタS3と、ダイオードD4と、コンデンサC2とから構成される。抵抗R9及びR10から成る分圧抵抗Rs3は、一端がバッテリー電源160の負極に接続され、他端がツェナーダイオードDzのアノード側に接続される。かかるツェナーダイオードDzは、ブレークダウン電圧が140(V)〜150(V)程度の素子が選択されており、カソード側がダイオードD3に接続される。サイリスタS3は、アノード側がダイオードD3に接続され、カソード側がバッテリー電源160の負極に接続され、ゲート端子が分圧抵抗Rs3の分圧点に接続される。また、ダイオードD4は、サイリスタS3に対して逆方向となる状態にて並列接続される。更に、コンデンサC2は、一端がダイオードD3に接続され、他端が第2のトランスT2に接続される。かかる構成により、第2ドライブ回路175cでは、トランスT1で励起された昇圧電位が印加され、コンデンサC2に電荷を蓄積させる。そして、コンデンサC2の両端電極の電位差がツェナーダイオードDzのブレークダウン電圧に到達すると、コンデンサC2から開放された電荷によって分圧抵抗Rs3に電流が流れ、サイリスタをON状態にさせる。これにより、コンデンサC2及び一次コイルLcの蓄積エネルギーを瞬時に解放させる。
第2のトランスT2は、一次コイルLcの一方が第2ドライブ回路175cのコンデンサC2に接続され、一次コイルLcの他方がバッテリー電源160の負極に接続される。また、二次コイルLdの一端が点火プラグ123に接続され、二次コイルLdの他端がバッテリー電源160の負極に接続される。そして、かかる構成により、第2のトランスT2では、第2ドライブ回路175cによって一次コイルLcの蓄積エネルギーが瞬時に解放されるので、二次コイルLdにて昇圧電位が励起され点火プラグ123を放電させる。尚、かかる昇圧電位は、ツェナーダイオードDzのブレークダウン電圧と第2のトランスT2の相互インダクタンスとによって定まり、適正混合燃料内で放電可能とされるように、点火プラグ123に生じる点火電位Vsに応じて設計される。尚、適正混合燃料とは、燃焼可能なガス濃度に到達した混合燃料をいい、具体的には、燃焼可能とされるガス濃度の範囲のうち、下限濃度Ldを上回っている状態の混合燃料を指す。
図5(1)に示す如く、燃焼式釘打装置100のトリガ153を引くと、トリガスイッチ151から制御マイコン174に対してLow状態とされたトリガ信号Strが入力される。ここで、トリガ信号StrがHigh(以下、H)→Low(以下、L)に切り替わる時刻を点火要求信号の出力開始時刻taとし、トリガ信号StrがL→Hに切り替わる時刻を点火要求信号の出力停止時刻tbとする。図5(2)には、バッテリー電源の供給電圧Vrefが電圧値V1とされる場合における、点火プラグ123を放電させ得る点火部駆動信号Sigの波形が示されている。かかる点火部駆動信号Sigは、複数のパルス信号から構成され、点火部駆動信号Sgiの出力開始時刻cから起算して出力停止時刻dに至るまでの時間、即ち、信号出力時間Tk1の間で出力される。このとき、図5(3)に示す如く、点火部駆動信号Sigの波形に応じてスイッチング素子SWにはコレクタ電流Is1が流れる。かかるコレクタ電流Is1は、点火部駆動信号Sigのパルス波形に応じて複数のパルス電流が発生し、パルス電流に応じてコイルにエネルギーが蓄積されるので、後段のパルス電流Inの方がより大きな電流値とされる。尚、かかるコレクタ電流Is1にあっても、図示の如く、信号出力時間Tk1の間で出力される。パルス電流I1〜Inは、トランスT1を介してコンデンサC2へパルス電流毎に電荷を蓄積させてゆく。そして、最後段のパルス電流Inが流れる際、コンデンサC2では、ツェナーダイオードDzのツェナー電位に到達し、これにより、点火プラグ123では放電を行う。即ち、信号出力時間Tk1は、バッテリー電源の供給電圧が電圧値V1とされる場合において、点火プラグ123を確実に放電せしめる時間長とされる。
一方、図5(4)には、電圧値V2とされる場合における、点火プラグ123を放電させ得る点火部駆動信号Sigの波形が示されている。ここで、電圧値V2は電圧値V1より低い値であることとする。かかる点火部駆動信号Sigは、先の点火部駆動信号より更に多いパルス信号から構成され、信号出力時間Tk2もこれに応じて長時間化される。このとき、図5(5)に示す如く、コレクタ電流Is2は、点火部駆動信号Sigのパルス波形に応じて複数のパルス電流が発生し、コンデンサC2では、ツェナーダイオードDzのツェナー電位に到達し、これにより、点火プラグ123では放電を行う。先にも述べたように、信号出力時間Tk2は、バッテリー電源の供給電圧が電圧値V2とされる場合において、点火プラグ123を確実に放電せしめる時間長とされる。
また、バッテリー電源の供給電圧がV2より更に小さい場合、かかる場合の電圧値に応じて、信号出力時間Tkをより長時間に設定させると良い。更に、バッテリー電源の供給電圧がV2より大きい場合、かかる場合の電圧値に応じて、信号出力時間Tkを短時間に設定させると良い。そして、適宜な信号出力時間Tkに設定された点火部駆動信号Sigは、電圧値V1の変動に応じたコレクタ電流を制御させ、これにより、点火プラグを放電させる。
上述したバッテリー電源の電圧値及び点火部駆動信号の信号出力時間Tkは、図6に示す如く、供給電圧Vrefの電圧値毎にメモリ175aに格納される。そして、制御マイコン174では、受信した供給電圧Vrefの電圧値を受信すると、メモリ174aにアクセスし、当該供給電圧の値に対応した信号出力時間を選択し、点火部駆動信号を所望の波形形状にて点火電力供給回路175へ出力させる。尚、ここでは、メモリ回路を用いた点火部駆動信号のフィードフォワード制御を説明したが、これに限らず、適宜な演算回路を設けることにより、リアルタイムで点火部駆動信号の波形を演算処理させ、当該点火部駆動信号のフィードバック制御を実施することも可能である。また、かかるメモリ回路175aには、信号出力時間Tkに応じて定まる放電準備時間Tgが格納されている。当該放電準備時間Tgにあっても、供給電圧Vrefの電圧値に対応したものが選択される。
図7には、制御マイコン174の処理動作を表すフローチャートが示されている。先ず、図7(a)を参照して、制御マイコン174のメインルーティン処理について説明する。ここでは、制御マイコン174の動作によって、電源電圧検出手段による処理が実現される。図示の如く、燃焼式釘打装置に設けられた電源スイッチ(図示なし)をONにセットすると、バッテリー電源の電力が制御マイコン174へ供給され、制御マイコン174がスタンバイ状態とされる。このとき、制御マイコン174では、入力されたバッテリー電源の電圧値をADタイミング毎に検出し、当該電圧値を更新させていく(S101)。
次に、図7(b)を参照して、メインルーティン処理の途中で割り込んで起動されるサブルーティン処理について説明する。メインルーティン処理がループしている間に燃焼式釘打装置のノーズが被打込体にコンタクトすると、前述の如く、ノーズスイッチ142がON状態に切り替わる。このとき、制御マイコン174では、ノーズスイッチの信号を受信すると、制御マイコンの処理手順を規定するプログラムによって、サブルーティンに係るプログラムを起動させる(S201)。
その後、操縦者によってトリガ機構150が引かれると、制御マイコン174では、トリガ信号Strを受信し(S202)、これに基づいて、点火タイミング演算手段(203)及びオフセット時間演算手段(S205/S206)等にて算出される各時間パラメータを演算処理させる。先ず、制御マイコン174では、点火要求信号Strの出力開始時刻taから起算して混合燃料が燃焼可能なガス濃度以上に到達する時刻tzまでの適正濃度到達時間Txを演算処理させる(S203)。次に、バッテリー電源の電圧値を参照しメモリ回路174aへアクセスすることにより、点火部駆動信号Sigの出力開始時刻tcから起算して出力停止時刻tdに至る信号出力時間Tkを選択させる(S204)。その後、適正濃度到達時間Tx及び信号出力時間Tkに基づいて点火要求信号の出力開始時刻taから点火部駆動信号の出力開始時刻tcまでのオフセット時間Tdを演算処理させる(S205)。具体的に説明すると、S205の処理では、バッテリー電源の電圧値を参照しメモリ回路174aへアクセスすることにより、当該メモリ回路174aに格納された適宜な放電準備時間Tgを選択させる。そして、適正濃度到達時間Txから放電準備時間Tgを差し引いた差分時間を演算処理させる。かかる後、S206の処理では、差分時間に基づく判別処理が実施される。当該判別処理は、差分時間の演算結果が正とされる場合、オフセット時間Tdが差分時間と一致するものと判定し、一方、差分時間の演算結果が負とされる場合、オフセット時間Tdが或る一定時間であると判定する処理を実施する(S206)。
判別処理(S206)において差分時間が正とされた場合、所定のクロックタイミングに基づいて選択されたオフセット時間Tdに相当する時間をカウントする(S207)。そして、オフセット時間Tdをカウントした後に、適宜な信号出力時間Tkとされた点火部駆動信号Sigを出力させる(S208)。
一方、判別処理(S206)において差分時間が負とされた場合、上述したオフセット時間をカウントさせることなく、直ちに、適宜な信号出力時間Tkとされた点火部駆動信号Sigを出力させる(S209)。
かかる何れかの点火部駆動信号の出力処理(S208/S209)が終了すると、これら一連のサブルーティン処理が終了され(S210)、メインルーティン処理に戻される。
図8では、かかるフローチャートに準拠した燃焼式釘打装置の動作が示されている。ここでは、判別処理(S206)において差分時間が正とされた場合における燃焼式釘打装置100の動作について説明する。先ず、燃焼式釘打装置100の操縦者が被加工物にコンタクト部182を押し当てると、図8(a)に示す如く、かかる時刻txにおいてファンモータ124が駆動される。また、このタイミングtxと同期して、燃料供給機構130から燃焼室Combに燃料の供給が開始される。即ち、図8(g)に示す如く、燃焼室Combでは、ファン125によって攪拌されつつ燃料の割合が増加するので、燃焼室Comb内の混合燃料のガス濃度が上昇し始める。かかるガス濃度は、燃料の供給量が時間的に一定の場合には、線形的に増加する。また、燃料の供給量を時間的に変動させる場合には、当該変動状態に応じた上昇カーブにてガス濃度が上昇する。その後、燃焼室Comb内の混合燃料は、ガス濃度の上昇に伴い下限濃度Ldを上回り、適正混合燃料とされる。尚、燃焼ガス濃度到達時刻tzは、混合ガスが下限濃度Ldを上回った際の時刻をいう。このとき、かかる燃焼ガス濃度到達時刻tzは、混合ガスが下限濃度Ldを上回った直後の時刻よりも、幾分遅延させた時刻とさせるのが好ましい。これにより、燃焼ガス濃度到達時刻tzでは、機構動作のバラつきに関係なく、混合ガスが確実に下限濃度Ldを上回ることとされる。
ファン125の駆動後、トリガ152が引かれると、図8(b)に示す如く、制御マイコン174ではトリガ信号が受信される(S202)。このとき、制御マイコン174では、図8(g)に示される適正濃度到達時間Txを算出させる(S203)。かかる処理では、燃料供給開始時刻txから起算して混合燃料が燃焼可能なガス濃度以上に到達する時刻tzまでの燃料供給時間Tqを演算させ、燃料供給開始時刻txから起算して点火要求信号の出力開始時刻taに至る迄の遅延時間Tyを演算させ、これにより、適正濃度到達時間Txを燃料供給時間Tqと遅延時間Tyとの差分値によって算出させる。従って、適正濃度到達時間Txでは、タイムラグに係る遅延時間Tyが排除され、混合ガスが適正濃度に至るまでの時間が正確に算出される。
かかる後、バッテリー電源の供給電圧の値を参照し、かかる供給電圧の値に相当する信号出力時間Tkをメモリ174aから選択する(S204)。また、供給電圧の値に相当する放電準備時間Tgをメモリ174aから選択し、適正濃度到達時間Txから当該放電準備時間Tgを引き算させることでオフセット時間Tdを得る(S205)。かかる放電準備時間Tgは、図8(e)に示す如く、点火部駆動信号の出力開始時刻tcから起算して放電部が放電を開始する時刻teに至る迄の時間とされ、点火部駆動信号の信号出力時間Tkの長さに応じて定まる時間である。尚、かかる如くオフセット時間Tdが算出されるので、オフセット時間Tdの経過直後に点火部駆動信号Sigの出力を開始させると、図示の如く、点火プラグの放電時刻teは、燃焼ガス濃度到達時刻tzに一致され確実に混合ガスを燃焼することができる。
これに対し、図9には、判別処理(S206)において差分時間が負とされた場合における燃焼式釘打装置100の動作が説明されている。先ず、燃焼式釘打装置100の操縦者が被加工物にコンタクト部182を押し当てると、ファンモータ124が駆動され、且つ、燃料供給機構130から燃焼室Combに燃料の供給が開始される。その後、燃焼室Comb内の混合燃料は、適正濃度到達時間Txの経過を待って、点火燃焼可能な混合燃料のガス濃度とされる。
ファン125の駆動後、トリガ152が引かれると、図9(b)に示す如く、制御マイコン174ではトリガ信号が受信される(S202)。このとき、制御マイコン174では、図9(g)に示される適正濃度到達時間Txを算出させる(S203)。尚、かかる処理における適正濃度到達時間Txの算出方法は、上述の方法と同様である。
かかる後、制御マイコン174では、バッテリー電源の供給電圧の値を参照し、供給電圧の値に相当する信号出力時間Tkをメモリ174aから選択する(S204)。また、供給電圧の値に相当する放電準備時間Tgをメモリ174aから選択し、適正濃度到達時間Txから当該放電準備時間Tgを引き算させることで差分時間を得る(S205)。更に、S206の処理では、当該差分時間が負とされるので、オフセット時間Tdを一定値に設定させる。このとき、かかる一定時間をゼロ秒間に設定させると、コンデンサC2への給電が直ちに開始されるので好ましい。即ち、放電準備時間Tgが適正濃度到達時間Txより長いので、オフセット時間Tdを設けることなく点火部駆動信号Sigを出力開始させても、放電開始時刻teでは、混合ガスが適正濃度とされることとなる。
本実施例に係る燃焼式釘打装置によれば、点火部駆動信号Sigは、制御マイコン174によって適宜に演算されたオフセット時間Tdの経過後に出力されるので、燃焼させる際に好適な混合ガスのガス濃度到達時刻に、点火プラグを放電させることができる。
更に、点火部駆動信号Sigは、出力が開始されてから出力が停止される迄の信号出力時間のみがコントロールされることに伴い、当該信号のデューティー比又はパルスのピッチを変動させることが不要となるので、フィードバック制御を行う場合には、制御マイコン174の演算処理に係る負担が低減され、フィードフォワード制御させる場合には、メモリ回路174aにおける点火部駆動信号Sigの波形に関する使用領域が低減される。
以下、上述した実施例1に係る燃焼式打込装置の変更例が示されている。かかる燃焼式打込装置では、図10示す如く、制御部に係る制御マイコン174及び点火電力供給回路175が新たな制御マイコン174x及び点火電力供給回路175xへと置換えられていえる。尚、本実施例では、既に説明された構成について同一番号を付し、当該構成の説明を省略することとする。
本実施例における制御マイコン174xでは、前記点火要求信号に呼応して電源供給許可信号を出力させる動作を行う。かかる電源供給許可信号は、ポートP5からH−L信号が出力され、点火電力供給回路175xへ電力の供給を許可させる際にHigh状態とされ、点火電力供給回路175xへ電力の供給を遮断させる際にLow状態とされて出力される。また、制御マイコン174xは、図8にて説明した如く、電源電圧検出手段と点火タイミング演算手段と放電準備時間演算手段とオフセット時間演算手段とを備える。ここで、電源電圧検出手段は、バッテリー電源160の電圧値を検出させる。点火タイミング演算手段は、点火要求信号Strの出力開始時刻taから起算して混合燃料が燃焼可能なガス濃度以上に到達する時刻tzまでの適正濃度到達時間Txを演算させる。放電準備時間演算手段は、電源供給許可信号の出力開始時刻tcから起算して点火部123を放電させる時刻teに至る迄の放電準備時間Tgを演算させる。オフセット時間演算手段は、適正濃度到達時間Tx及び放電準備時間Tgに基づいて点火要求信号Strの出力開始時刻taから電源供給許可信号の出力開始時刻tcまでのオフセット時間Tdを演算させる。
点火電力供給回路175xは、スイッチング素子FETと第1のトランスT1とスイッチング素子SWと抵抗R及びコンデンサCと保護回路175bと第2のトランスT2と第2ドライブ回路175cとから構成される。尚、スイッチング素子SWと保護回路175bと第2のトランスT2と第2ドライブ回路175cとについては、前述した構成と同様のものとされる。
スイッチング素子FETは、バッテリー電源160と第1のトランスT1との間に介挿される。かかるスイッチング素子FETは、IGBT又はMOSFET、バイポーラトランジスタ等適宜の素子が採用され、バッテリー電源の電力印加に耐え得る素子体格のものであれば良い。また、電源供給許容信号がHigh状態のとき、当該スイッチング素子FETは、ON状態とされ、バッテリー電源の電力を第1のトランスT1へと供給させる。一方、電源供給許容信号がLow状態のとき、当該スイッチング素子FETは、OFF状態とされ、バッテリー電源の電力供給を遮断させる。
第1のトランスT1は、三つの接続端子を備え、この複数の端子のうち一端が抵抗Rを介してスイッチング素子SWの信号入力端子に接続され、他端の端子がスイッチング素子SWのコレクタ端子に接続され、中点端子がバッテリー電源160の正極に接続される。かかる構成により、バッテリー電源160の電力が供給されると、スイッチング素子SWの信号入力端子及びコレクタ端子の電位を上昇させ、且つ、コンデンサCに電荷を蓄積させる。また、第1のトランスT1に磁束密度が変動することにより、後段の電位を昇圧させる。
スイッチング素子SWは、トランスT1に直接接続されるため耐圧性の高い素子が選択され、本実施例において、バイポーラトランジスタ又はこれを用いたダーリントントランジスタ等の素子が採用される。但し、設計条件に準え、MOSFET又はIGBT又はサイリスタ等のスイッチング素子を採用しても良い。かかるスイッチング素子SWは、抵抗Rを介してベース端子に第1のトランスT1の中点端子が接続され、コレクタ端子に第1のトランスT1が接続され、ベース端子及びエミッタ端子の間にコンデンサCが接続される。
かかる構成を具備する点火電力供給回路175xは以下の如く動作する。即ち、燃焼式釘打装置100のトリガ153が引かれると、トリガスイッチ151から制御マイコン174に対してLow状態とされたトリガ信号Strが入力される。その後、制御マイコンでは、オフセット時間Tdを経過させ、当該オフセット時間Tdの経過直後に電源供給許可信号を出力させる。一方、点火電力供給回路175xでは、スイッチング素子FETがON状態に切換わり、第1のトランスT1に電力が印加される。このとき、スイッチング素子SWでは、コンデンサCへ電荷が蓄積されることにより信号入力端子の電位が上昇し、コレクタ電流が流れ始める。その後、コレクタ電流によって信号入力端子とエミッタ端子との電位差が減少し、当該コレクタ電流の流れが止まる。更に後、コンデンサCによって信号入力端子とエミッタ端子との電位差が回復すると、再び、コレクタ電流が流れ始める。即ち、スイッチング素子SWでは自励的にON/OFF状態を切替えるので、第1のトランスT1では、コレクタ電流の発生に応じて内部の磁束密度が変動され、昇圧電圧を後段へ出力させる。かかる場合、前述の如く、第2ドライブ回路175cが駆動され、第2のトランスT2によって更なる昇圧電圧が出力され、点火プラグ123が出力される。
本実施例にあっても、実施例1にて説明した如く、オフセット時間演算手段(S205)は、適正濃度到達時間Txから放電準備時間Tgを差し引いた差分時間を演算させる処理と、当該差分時間の演算結果が正とされる場合にオフセット時間Tdが当該差分時間と一致するものと判定させる処理と、差分時間の演算結果が負とされる場合にオフセット時間Txが一定時間であると判定させる処理とを実行させるのが好ましい。このとき、かかる一定時間は、零秒間であることが好ましい。
また、点火タイミング演算手段(S203)は、燃料供給開始時刻txから起算して前記混合燃料が燃焼可能なガス濃度Ld以上に到達する時刻tzまでの燃料供給時間Tqを演算させる処理と、燃料供給開始時刻txから起算して点火要求信号Strの出力開始時刻taに至る迄の遅延時間Tyを演算させる処理と、燃料供給時間Tq及び遅延時間Tyに基づいて定まる適正濃度到達時間Txを演算させる処理とを実行させるのが好ましい。このとき、適正濃度到達時間Txは、燃料供給時間Tqと遅延時間Tyとの差分値によって算出されるのが好ましい。
併せて、燃焼式打込装置に設けられる制御部は、バッテリー電源160の電圧値の情報V1〜Vnと当該電圧値に対応する放電準備時間の情報Tg1〜Tgnとを格納させておくのが好ましい。
即ち、本実施例に係る燃焼式打込装置にあっても、実施例1にて説明した効果を奏するものであることは言うまでもない。
以上の如く記された実施の形態は、あくまでも本発明の一つの実施形態であって、他の実施の形態を適用させることが可能である。例えば、本実施の形態では、燃料供給部の燃料供給開始時刻taを報知させる供給時刻報知部が備えられているが、かかる供給時刻報知部を省略させ、適正濃度到達時間Txが燃料供給時間Tqに一致するものとして制御処理させても良い。かかる場合、燃焼室内のガス濃度が幾分高くなる場面も発生するが、上述した実施例と同様に、確実に点火動作が行われることに変わりは無い。
実施の形態に係る釘打装置の構成を示す図
実施の形態に係る釘打装置の構成を示す図
実施例に係る制御部の機能ブロック図
実施例に係る制御部の回路構成図
実施例に係るバッテリー電源の電圧値と点火部駆動信号の波形との関係を示す図
実施例に係るメモリ回路に格納される情報を示す図
実施例に係る信号制御回路の処理動作を示すフローチャート
実施例に係る各波形を示すタイムチャート
実施例に係る各波形を示すタイムチャート
他の実施例に係る制御部の回路構成図
従来技術に係る各波形を示すタイムチャート
従来技術に係る各波形を示すタイムチャート
符号の説明
100 燃焼式釘打装置
Comb 燃焼室
123 点火プラグ
130 燃料タンク(燃料供給部)
142 ヘッドスイッチ(供給時刻報知部)
151 トリガスイッチ(点火指令部)
Str 点火要求信号
a 点火要求信号の出力開始時刻
160 バッテリー電源
Vref 電圧値
170 制御部
175 点火電力供給回路
174 制御マイコン(信号制御回路)
S203 点火タイミング演算手段
Tq 燃料供給時間
y 燃料供給開始時刻
z 燃焼ガス濃度到達時刻
Tx 適正濃度到達時間
Ty 遅延時間
S205 オフセット時間演算手段
S206 オフセット時間演算手段
Tg 放電準備時間
e 放電部が放電を開始する時刻
174a メモリ回路
Vn 電圧値の情報
Tkn 信号出力時間の情報