JP5247629B2 - 増幅器電源電圧制御装置 - Google Patents
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Description
従来の電力増幅システムでは、このような信号を取り扱うとき、ピーク電力を出力することができるような一定電圧を電力増幅器に供給することで線形性を確保していた。
しかしながら、ピーク電力を出力している時間はごくわずかであり、結果として、増幅器の電源効率を低下させていた。
この問題を解決するための技術として、エンベロープ・トラッキング方式の電力増幅システムが知られている。
本例の電力増幅システムは、包絡線検波器(Envelope Detector)101、誤差増幅器(Error Amplifier)21、抵抗器(R)22、パルス幅変調器(Pulse Width Modulator)23、パルス増幅器(Pulse Amplifier)24、コイル(L)25、遅延回路(Delay)1、電力増幅器(Power Amplifier)2を備えている。
なお、説明の便宜上から、図6では、後述する実施例で参照される図1に示されるのと同様な処理部については同一の符号を付してあるが、本発明を不要に限定する意図は無い。
遅延回路1は、入力された変調信号を電力増幅器2までの処理過程で所定の時間遅延させる。電力増幅器2は、遅延回路1を経由してきた入力信号を増幅して出力する。
また、前記した変調信号は包絡線検波器101にも入力され、包絡線検波器101は当該変調信号の包絡線を検出して誤差増幅器21へ出力する。
検出された包絡線は誤差増幅器21に入力され、誤差増幅器21は当該包絡線と電力増幅器2の電源電圧との誤差を所定の利得で増幅して出力する。
パルス増幅器24はパルス幅変調器23から入力されたパルス幅変調信号を増幅してコイル25へ出力する。
コイル25は、パルス増幅器24からの出力と電力増幅器2の電源電圧端子とを接続する。
図7(A)では、縦軸に誤差増幅器21から出力される電流を表しており、横軸に時間の経過を表している。図7(B)では、縦軸にパルス増幅器24から出力される電流を表しており、横軸に時間の経過を表している。
まず、包絡線検波器101から直流電圧が入力された場合、誤差増幅器21は、入力を所定の利得で増幅した電圧を出力するため、電力増幅器2へ電流を供給する(図7における時点a)。
これにより、抵抗器22の両端の電位差が大きくなり、パルス幅変調器23はパルス増幅器24をオンにする。パルス増幅器24がオンになると、コイル25から電力増幅器2へ電流が供給されるようになり、誤差増幅器21から供給される電流が減少していく(図7における区間b)。
パルス増幅器24がオフになると、コイル25から電力増幅器2へ供給する電流が減少して、誤差増幅器21から供給する電流が増加し、所定の電位差になると、パルス幅変調器23は再びパルス増幅器24をオンにする(図7における区間d)
以上の動作を繰り返すことで、電力増幅器2に必要な電流が供給される。
なお、図7の例では、パルス増幅器24がオンになる抵抗器22の両端の電位差と、オフになる抵抗器22の両端の電位差とで、ヒステリシス(Hysterisis)を持たせている。
パルス幅変調器23の発振周波数は、ヒステリシスの幅やコイルの値で決まり、パルス幅変調器23が追従することが可能な周波数に関しては、直流電圧の場合と同じ原理で動作する。
そして、パルス幅変調器23では追従することができない周波数成分については全て、誤差増幅器21から電流が供給されることになる。
すなわち、前記増幅器の電源電圧を制御するために誤差電流を供給する誤差増幅回路と、前記増幅器の電源電圧を制御するために直流の電流(又は、直流と低周波成分の電流)を供給する直流供給回路と、を有する電源電圧制御回路を備えた。
そして、高周波成分抽出手段が、前記増幅器により増幅される対象となる信号に関する包絡線の検出結果の信号に含まれる所定の高周波成分を抽出する。ピーク保持手段が、前記高周波成分抽出手段により抽出された高周波成分の信号に対してピーク保持処理を行う。加算手段が、前記増幅器により増幅される対象となる信号に関する包絡線の検出結果に基づく信号と前記ピーク保持手段によるピーク保持処理の結果の信号とを加算して、当該加算結果の信号を前記電源電圧制御回路に入力させる。
また、電源電圧制御回路が有する直流供給回路は、例えば、誤差増幅回路と比べて、高効率を実現することが可能である。
また、電源電圧制御回路が有する誤差増幅回路や直流供給回路としては、それぞれ、種々な構成のものが用いられてもよい。
具体例として、直流供給回路としては、パルス増幅を用いた回路や、或いは、一定の電圧(或いは、一定の電流)を供給する回路、などを用いることができる。
また、高周波成分抽出手段により抽出する所定の高周波成分の周波数特性としては、例えば、予め設定される。
また、高周波成分抽出手段としては、例えば、低域ろ波手段と減算手段を用いて構成することや、或いは、高域ろ波手段を用いて構成することができる。
また、ピーク保持処理としては、種々なものが用いられてもよい。
また、増幅器により増幅される対象となる信号に関する包絡線の検出結果に基づく信号としては、例えば、当該包絡線の検出結果の信号に所定の処理を施した信号が用いられてもよく、或いは、当該包絡線の検出結果の信号が用いられてもよい。
すなわち、低域ろ波手段が、前記増幅器により増幅される対象となる信号に関する包絡線の検出結果の信号に含まれる所定の低周波成分を通過させる(つまり、所定の低周波成分を抽出する)。
前記加算手段は、前記増幅器により増幅される対象となる信号に関する包絡線の検出結果に基づく信号として、前記増幅器により増幅される対象となる信号に関する包絡線の検出結果の信号が前記低域ろ波手段を通過した後の信号(つまり、抽出された所定の低周波成分の信号)を加算する。
また、低域ろ波手段が通過させる所定の低周波成分と、高周波成分抽出手段により抽出する所定の高周波成分としては、例えば、互いに補完するような態様を用いることができ、具体的には、所定の低周波数成分を決める境界の周波数と所定の高周波成分を決める境界の周波数が同一である(又は、近似する)ような態様を用いることができる。
本実施例に係る電力増幅システムは、例えば、ディジタルの無線通信システムにおいて、電力増幅器の電源電圧が高い基地局装置や中継局装置に適用するのに好適なものであり、また、他の種々なものに適用されてもよい。
本実施例に係る電力増幅システムでは、例えば、送信対象となる信号を入力して増幅して出力し、この信号は(例えば、電力増幅システムの外部の)アンテナにより無線送信される。
図1には、本発明の一実施例に係るエンベロープ・トラッキング方式の電力増幅システムの構成例を示してある。
本例の電力増幅システムは、包絡線検波器11、低域ろ波器(LPF)12、加算器13、包絡線遅延回路(Delay)14、減算器(Substract)15、ピーク保持回路(Peak Hold)16、誤差増幅器21、抵抗器22、パルス幅変調器23、パルス増幅器24、コイル25、遅延回路1、電力増幅器2を備えている。
また、必要に応じて、遅延回路1と電力増幅器2との間に、D/A(Digital to Analog)変換器や、周波数変換器や、ろ波器や、増幅器などが配置されてもよい。
遅延回路1は、入力された変調信号を電力増幅器2までの処理過程で所定の時間遅延させる。電力増幅器2は、遅延回路1を経由してきた入力信号を増幅して出力する。
低域ろ波器12は、包絡線検波器11から入力された包絡線の信号の低周波成分のみを抽出して、加算器13及び減算器15へ出力する。
減算器15は、包絡線遅延回路14から入力された信号から、低域ろ波器12から入力された信号(低周波成分の信号)を減算して、高周波成分のみを抽出して、ピーク保持回路16へ出力する。
加算器13は、低域ろ波器12から入力された信号とピーク保持回路16から入力された信号とを加算して、その結果を誤差増幅器21へ出力する。
抵抗器22は、誤差増幅器21の出力(出力端子)と電力増幅器2の電源電圧端子とを接続する。
パルス幅変調器23は、抵抗器22の両端の電位差に応じてパルス幅変調信号を発生させてパルス増幅器24へ出力する。
パルス増幅器24は、パルス幅変調器23から入力されたパルス幅変調信号を増幅して、コイル25へ出力する。
コイル25は、パルス増幅器24からの出力と電力増幅器2の電源電圧端子とを接続する。
また、本例では、電力増幅器2が電源電圧を制御する対象となっており、包絡線検波器11の機能により包絡線検波手段が構成されている。
図2には、本発明の一実施例に係るエンベロープ・トラッキング方式の電力増幅システムの構成例を示してある。
本例の電力増幅システムは、包絡線検波器11、低域ろ波器12、加算器13、包絡線遅延回路14、減算器15、ピーク保持回路16、誤差増幅器21、抵抗器22、パルス幅変調器23、パルス増幅器24、コイル25、遅延回路1、電力増幅器2、ディジタル信号をアナログ信号へ変換するD/A変換器31を備えている。
本例の動作原理は、図1に示されるものと同様であるが、上記の機能をディジタル化することにより、回路の調整が不要になるため、実現が容易になるという利点がある。
図3には、本発明の一実施例に係るエンベロープ・トラッキング方式の電力増幅システムの構成例を示してある。
本例の電力増幅システムは、包絡線検波器41、低域ろ波器42、加算器43、高域ろ波器(HPF)44、ピーク保持回路45、誤差増幅器21、抵抗器22、パルス幅変調器23、パルス増幅器24、コイル25、遅延回路1、電力増幅器2を備えている。
具体的には、図1や図2に示される構成では、包絡線の高周波成分を抽出するために、包絡線遅延回路14の出力から低域ろ波器12の出力を減算していたのに対して、本例の構成では、高域ろ波器44を用いて包絡線の高周波成分の抽出を実現している。
なお、図3に示される回路は、図1や図2に示される回路と等価である。
低域ろ波器42は、包絡線検波器41から入力された包絡線の信号の低周波成分のみを抽出して、加算器43へ出力する。
高域ろ波器44は、包絡線検波器41から入力された包絡線の信号の高周波成分のみを抽出して、ピーク保持回路45へ出力する。
加算器43は、低域ろ波器42から入力された信号とピーク保持回路45から入力された信号とを加算して、その結果を誤差増幅器21へ出力する。
なお、例えば、低域ろ波器42の遅延量と高域ろ波器44の遅延量とが異なる場合には、遅延量が小さい方に、両者の遅延量が等しくなるような遅延回路を挿入することが必要となる。
図4には、本発明の一実施例に係るエンベロープ・トラッキング方式の電力増幅システムの構成例を示してある。
本例の電力増幅システムは、包絡線検波器51、包絡線遅延回路52、加算器53、低域ろ波器54、減算器55、ピーク保持回路56、誤差増幅器21、抵抗器22、パルス幅変調器23、パルス増幅器24、コイル25、遅延回路1、電力増幅器2を備えている。
低域ろ波器54は、包絡線検波器51から入力された包絡線の信号の低周波成分のみを抽出して、減算器55へ出力する。
減算器55は、包絡線遅延回路52から入力された信号から、低域ろ波器54から入力された信号(低周波成分の信号)を減算して、高周波成分のみを抽出して、ピーク保持回路56へ出力する。
加算器53は、包絡線遅延回路52から入力された信号とピーク保持回路56から入力された信号とを加算して、その結果を誤差増幅器21へ出力する。
本例では、図1に示される電力増幅システムを例として、具体的に、効果を説明する。なお、図2や図3に示される構成においても、同様な効果が得られる。
本例では、実際のOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)信号を例として、低域ろ波器12、包絡線遅延回路14、減算器15、ピーク保持回路16、加算器13による処理を説明する。
なお、図5に示される時間波形は、基本的には図3に示される構成を想定して計算したものであるが、図1や図2に示される構成の場合においても、適用することが可能である。
また、この包絡線から低域ろ波器12で低周波成分のみを抽出したものの時間波形は、図5(b)のように示される。
更に、包絡線遅延回路14、減算器15、ピーク保持回路16、加算器13までの処理を行った結果の時間波形は、図5(c)のように示される。
また、本例では、ピーク保持回路16は、正規化された時間0.0625だけピークが保持されるように構成してあり、正規化された時間0.0625までの過渡的な応答は図には表されていない。
これに対して、包絡線遅延回路14、減算器15、ピーク保持回路16、加算器13までの処理を行った加算器出力(c)では、入力された包絡線(a)と等しいかそれ以上の電圧が出力されている。つまり、包絡線のレベル(例えば、電圧)に応じたレベル以上のレベルをいずれのところ(例えば、高い周波数のところ)においても供給することができる。
従って、本例では、高効率を維持しつつ、電力増幅器2に必要な電源電圧を供給することができるため、電力増幅器2の線形性を確保することが可能になる。
また、本発明の適用分野としては、必ずしも以上に示したものに限られず、本発明は、種々な分野に適用することが可能なものである。
また、本発明に係るシステムや装置などにおいて行われる各種の処理としては、例えばプロセッサやメモリ等を備えたハードウエア資源においてプロセッサがROM(Read Only Memory)に格納された制御プログラムを実行することにより制御される構成が用いられてもよく、また、例えば当該処理を実行するための各機能手段が独立したハードウエア回路として構成されてもよい。
また、本発明は上記の制御プログラムを格納したフロッピー(登録商標)ディスクやCD(Compact Disc)−ROM等のコンピュータにより読み取り可能な記録媒体や当該プログラム(自体)として把握することもでき、当該制御プログラムを当該記録媒体からコンピュータに入力してプロセッサに実行させることにより、本発明に係る処理を遂行させることができる。
Claims (2)
- 増幅器の電源電圧を制御する増幅器電源電圧制御装置において、
前記増幅器の電源電圧を制御するために誤差電流を供給する誤差増幅回路と、前記増幅器の電源電圧を制御するために直流の電流又は直流と低周波成分の電流を供給する直流供給回路と、を有する電源電圧制御回路と、
前記増幅器により増幅される対象となる信号に関する包絡線の検出結果の信号に含まれる所定の高周波成分を抽出する高周波成分抽出手段と、
前記高周波成分抽出手段により抽出された高周波成分の信号に対してピーク保持処理を行うピーク保持手段と、
前記増幅器により増幅される対象となる信号に関する包絡線の検出結果に基づく信号と前記ピーク保持手段によるピーク保持処理の結果の信号とを加算して、当該加算結果の信号を前記電源電圧制御回路に入力させる加算手段と、
を備えたことを特徴とする増幅器電源電圧制御装置。 - 請求項1に記載の増幅器電源電圧制御装置において、
前記増幅器により増幅される対象となる信号に関する包絡線の検出結果の信号に含まれる所定の低周波成分を通過させる低域ろ波手段を備え、
前記加算手段は、前記低域ろ波手段を通過した後の信号と前記ピーク保持手段によるピーク保持処理の結果の信号とを加算する、
ことを特徴とする増幅器電源電圧制御装置。
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