JP5247539B2 - リポ多糖又はリピッドa結合剤及び新規ペプチド - Google Patents
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Description
本発明の課題は、これらのPMB又は抗LPS抗体に代わる、例えば、リポ多糖及び/又はリピッドA中和剤、あるいは、リポ多糖及び/又はリピッドA除去剤として使用することのできる、リポ多糖及び/又はリピッドA結合剤を提供することにある。
(2)配列番号2で表されるアミノ酸配列、あるいは、前記アミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列を含み、且つ、リポ多糖及び/又はリピッドA結合活性を示すペプチド、
(3)配列番号3で表されるアミノ酸配列を含み、且つ、リポ多糖及び/又はリピッドA結合活性を示すペプチド、
(4)配列番号4で表されるアミノ酸配列、あるいは、前記アミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列を含み、且つ、リポ多糖及び/又はリピッドA結合活性を示すペプチド、
(5)配列番号5で表されるアミノ酸配列、あるいは、前記アミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列を含み、且つ、リポ多糖及び/又はリピッドA結合活性を示すペプチド、又は
(6)配列番号6で表されるアミノ酸配列を含み、且つ、リポ多糖及び/又はリピッドA結合活性を示すペプチド、あるいは、
前記ペプチド(1)〜(6)の誘導体
を有効成分として含む、リポ多糖及び/又はリピッドA結合剤により解決することができる。
本発明は、前記ペプチド(1)〜(6)若しくはその誘導体、前記ペプチド(1)〜(6)をコードするポリヌクレオチド、又は前記ポリヌクレオチドを含む発現ベクターを有効成分として含む、リポ多糖及び/又はリピッドA中和剤(例えば、敗血症治療剤)に関する。
本発明は、リポ多糖及び/又はリピッドAを含む可能性のある処理対象と、前記ペプチド(1)〜(6)又はその誘導体とを接触させる工程、及びリポ多糖及び/又はリピッドAと複合体を形成した前記ペプチド又は誘導体と、前記処理対象とを分離する工程を含む、リポ多糖及び/又はリピッドAの除去方法に関する。
本発明は、前記ペプチド(1)〜(6)若しくはその誘導体、前記ペプチド(1)〜(6)をコードするポリヌクレオチド、又は前記ポリヌクレオチドを含む発現ベクターを、リポ多糖及び/又はリピッドA中和の必要な対象に、有効量で投与することを含む、リポ多糖及び/又はリピッドA中和方法(例えば、敗血症治療方法)に関する。
本発明は、前記ペプチド(1)〜(6)又はその誘導体の、リポ多糖及び/又はリピッドA除去剤を製造するための使用に関する。
本発明は、前記ペプチド(1)〜(6)若しくはその誘導体、前記ペプチド(1)〜(6)をコードするポリヌクレオチド、又は前記ポリヌクレオチドを含む発現ベクターの、リポ多糖及び/又はリピッドA中和剤(例えば、敗血症治療剤)を製造するための使用に関する。
(2)配列番号2で表されるアミノ酸配列、あるいは、前記アミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列を含み、且つ、リポ多糖及び/又はリピッドA結合活性を示すペプチド、
(3)配列番号3で表されるアミノ酸配列を含み、且つ、リポ多糖及び/又はリピッドA結合活性を示すペプチド、
(4)配列番号4で表されるアミノ酸配列、あるいは、前記アミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列を含み、且つ、リポ多糖及び/又はリピッドA結合活性を示すペプチド、
(5)配列番号5で表されるアミノ酸配列、あるいは、前記アミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列を含み、且つ、リポ多糖及び/又はリピッドA結合活性を示すペプチド、並びに
(6)配列番号6で表されるアミノ酸配列を含み、且つ、リポ多糖及び/又はリピッドA結合活性を示すペプチド
からなる群から選んだペプチド(但し、配列番号9で表されるアミノ酸配列からなるペプチドを除く)又はその誘導体に関する。
本発明は、前記ペプチド(1)〜(6)(但し、配列番号9で表されるアミノ酸配列からなるペプチドを除く)をコードするポリヌクレオチドに関する。
本発明は、前記ポリヌクレオチドを含む発現ベクターに関する。
本発明は、前記ペプチド(1)〜(6)(但し、配列番号9で表されるアミノ酸配列からなるペプチドを除く)若しくはその誘導体、前記ペプチドをコードするポリヌクレオチド、又は前記ポリヌクレオチドを含む発現ベクターと、薬剤学的若しくは獣医学的に許容することのできる通常の担体又は希釈剤とを含む、医薬組成物に関する。
前記分析方法の好ましい態様によれば、リポ多糖及び/又はリピッドAを含む可能性のある被検試料と、前記ペプチド(1)〜(6)又はその誘導体とを接触させる工程、前記ペプチド又は誘導体に結合したリポ多糖及び/又はリピッドAを分析する工程を含む。
前記検出方法の好ましい態様によれば、グラム陰性菌を含む可能性のある被検試料と、前記ペプチド(1)〜(6)又はその誘導体とを接触させる工程、前記ペプチド又は誘導体に結合したグラム陰性菌を分析する工程を含む。
(1)配列番号1で表されるアミノ酸配列、あるいは、前記アミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列を含み、且つ、リポ多糖及び/又はリピッドA結合活性を示すペプチド、
(2)配列番号2で表されるアミノ酸配列、あるいは、前記アミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列を含み、且つ、リポ多糖及び/又はリピッドA結合活性を示すペプチド、
(3)配列番号3で表されるアミノ酸配列を含み、且つ、リポ多糖及び/又はリピッドA結合活性を示すペプチド、
(4)配列番号4で表されるアミノ酸配列、あるいは、前記アミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列を含み、且つ、リポ多糖及び/又はリピッドA結合活性を示すペプチド、
(5)配列番号5で表されるアミノ酸配列、あるいは、前記アミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列を含み、且つ、リポ多糖及び/又はリピッドA結合活性を示すペプチド、
(6)配列番号6で表されるアミノ酸配列を含み、且つ、リポ多糖及び/又はリピッドA結合活性を示すペプチド、
あるいは、前記ペプチド(1)〜(6)の誘導体
を含む。
配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド;
配列番号1で表されるアミノ酸配列のN末端及び/又はC末端に、適当なアミノ酸配列が付加されたアミノ酸配列からなり、且つリポ多糖及び/又はリピッドA結合活性を示すペプチド;又は
配列番号1で表されるアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列を含み、且つ、リポ多糖及び/又はリピッドA結合活性を示すペプチド
が含まれる。
非極性アミノ酸:Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Met、Phe、及びTrp
非荷電性アミノ酸:Gly、Ser、Thr、Cys、Tyr、Asn、及びGln
酸性アミノ酸:Asp及びGlu
塩基性アミノ酸:Lys、Arg、及びHis
KNYSSSISSIKA(配列番号7)
KNYSSSISSIRA(配列番号8)
KNYSSSISSIHA(配列番号9)
RNYSSSISSIKA(配列番号10)
RNYSSSISSIRA(配列番号11)
RNYSSSISSIHA(配列番号12)
HNYSSSISSIKA(配列番号13)
HNYSSSISSIRA(配列番号14)
HNYSSSISSIHA(配列番号15)
が含まれる。
GGLLLLLLL(配列番号125)
からなるペプチドなどを挙げることができる。配列番号125からなる前記ペプチドのC末端カルボキシル基は、そのままでも、あるいは、アミド化することもできる。
XNYSSSISSIXAC(配列番号16)
からなるペプチドを挙げることができる。
なお、配列番号16で表されるアミノ酸配列における1番目のアミノ酸Xは、塩基性アミノ酸K、R、又はH(好ましくはK)であり、11番目のアミノ酸Xは、塩基性アミノ酸K、R、又はH(好ましくはR又はH、より好ましくはR)である。
配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド;
配列番号2で表されるアミノ酸配列のN末端及び/又はC末端に、適当なアミノ酸配列が付加されたアミノ酸配列からなり、且つリポ多糖及び/又はリピッドA結合活性を示すペプチド;又は
配列番号2で表されるアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列を含み、且つ、リポ多糖及び/又はリピッドA結合活性を示すペプチド
が含まれる。
KNYSSS(配列番号17)
RNYSSS(配列番号18)
HNYSSS(配列番号19)
が含まれる。
XNYSSSI(配列番号20)
XNYSSSIS(配列番号21)
XNYSSSISS(配列番号22)
XNYSSSISSI(配列番号23)
XNYSSSISSIX(配列番号24)
XNYSSSISSIXA(配列番号1)
からなるペプチド、又は、これらのアミノ酸配列(若しくは配列番号2で表されるアミノ酸配列)のC末端に、更にCが付加された
XNYSSSC(配列番号25)
XNYSSSIC(配列番号26)
XNYSSSISC(配列番号27)
XNYSSSISSC(配列番号28)
XNYSSSISSIC(配列番号29)
XNYSSSISSIXC(配列番号30)
XNYSSSISSIXAC(配列番号16)
からなるペプチドを挙げることができる。
なお、これらのアミノ酸配列における1番目のアミノ酸Xは、塩基性アミノ酸K、R、又はH(好ましくはK)であり、11番目のアミノ酸Xは、塩基性アミノ酸K、R、又はH(好ましくはR又はH、より好ましくはR)である。
NYSSS(配列番号31)
を含み、且つ、リポ多糖及び/又はリピッドA結合活性を示すペプチド、例えば、
NYSSS(配列番号31)
NYSSSI(配列番号32)
NYSSSIS(配列番号33)
NYSSSISS(配列番号34)
NYSSSISSI(配列番号35)
NYSSSISSIX(配列番号36)
NYSSSISSIXA(配列番号37)
からなるペプチド、又は、これらのアミノ酸配列のC末端に、更にCが付加された
NYSSSC(配列番号38)
NYSSSIC(配列番号39)
NYSSSISC(配列番号40)
NYSSSISSC(配列番号41)
NYSSSISSIC(配列番号42)
NYSSSISSIXC(配列番号43)
NYSSSISSIXAC(配列番号44)
からなるペプチドを挙げることができる。
なお、これらのアミノ酸配列における10番目のアミノ酸Xは、塩基性アミノ酸K、R、又はH(好ましくはR又はH、より好ましくはR)である。
配列番号3で表されるアミノ酸配列からなり、且つリポ多糖及び/又はリピッドA結合活性を示すペプチド;又は
配列番号3で表されるアミノ酸配列のN末端及び/又はC末端に、適当なアミノ酸配列が付加されたアミノ酸配列からなり、且つリポ多糖及び/又はリピッドA結合活性を示すペプチド
が含まれる。
KXXXXXXXXXK(配列番号45)
KXXXXXXXXXR(配列番号46)
KXXXXXXXXXH(配列番号47)
RXXXXXXXXXK(配列番号48)
RXXXXXXXXXR(配列番号49)
RXXXXXXXXXH(配列番号50)
HXXXXXXXXXK(配列番号51)
HXXXXXXXXXR(配列番号52)
HXXXXXXXXXH(配列番号53)
が含まれる。
なお、これらのアミノ酸配列における各アミノ酸X(すなわち、2番目〜10番目のアミノ酸X)は、それぞれ独立して、任意のアミノ酸である。
XXXXXXXXXXXA(配列番号54)
XXXXXXXXXXXC(配列番号55)
XXXXXXXXXXXAC(配列番号56)
からなるペプチドを挙げることができる。
なお、これらのアミノ酸配列における1番目のアミノ酸Xは、塩基性アミノ酸K、R、又はH(好ましくはK)であり、11番目のアミノ酸Xは、塩基性アミノ酸K、R、又はH(好ましくはR又はH、より好ましくはR)であり、残る各アミノ酸X(すなわち、2番目〜10番目のアミノ酸X)は、それぞれ独立して、任意のアミノ酸である。また、2番目〜10番目のアミノ酸からなる配列は、好ましくは、
NYSSSISSI(配列番号57)
である。
配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるペプチド;
配列番号4で表されるアミノ酸配列のN末端及び/又はC末端に、適当なアミノ酸配列が付加されたアミノ酸配列からなり、且つリポ多糖及び/又はリピッドA結合活性を示すペプチド;又は
配列番号4で表されるアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列を含み、且つ、リポ多糖及び/又はリピッドA結合活性を示すペプチド
が含まれる。
KYSSSISSIKA(配列番号58)
KYSSSISSIRA(配列番号59)
KYSSSISSIHA(配列番号60)
RYSSSISSIKA(配列番号61)
RYSSSISSIRA(配列番号62)
RYSSSISSIHA(配列番号63)
HYSSSISSIKA(配列番号64)
HYSSSISSIRA(配列番号65)
HYSSSISSIHA(配列番号66)
が含まれる。
XYSSSISSIXAC(配列番号67)
からなるペプチドを挙げることができる。
なお、配列番号67で表されるアミノ酸配列における1番目のアミノ酸Xは、塩基性アミノ酸K、R、又はH(好ましくはK)であり、10番目のアミノ酸Xは、塩基性アミノ酸K、R、又はH(好ましくはR又はH、より好ましくはR)である。
配列番号5で表されるアミノ酸配列からなるペプチド;
配列番号5で表されるアミノ酸配列のN末端及び/又はC末端に、適当なアミノ酸配列が付加されたアミノ酸配列からなり、且つリポ多糖及び/又はリピッドA結合活性を示すペプチド;又は
配列番号5で表されるアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列を含み、且つ、リポ多糖及び/又はリピッドA結合活性を示すペプチド
が含まれる。
KYSSS(配列番号68)
RYSSS(配列番号69)
HYSSS(配列番号70)
が含まれる。
XYSSSI(配列番号71)
XYSSSIS(配列番号72)
XYSSSISS(配列番号73)
XYSSSISSI(配列番号74)
XYSSSISSIX(配列番号75)
XYSSSISSIXA(配列番号4)
からなるペプチド、又は、これらのアミノ酸配列(若しくは配列番号5で表されるアミノ酸配列)のC末端に、更にCが付加された
XYSSSC(配列番号76)
XYSSSIC(配列番号77)
XYSSSISC(配列番号78)
XYSSSISSC(配列番号79)
XYSSSISSIC(配列番号80)
XYSSSISSIXC(配列番号81)
XYSSSISSIXAC(配列番号82)
からなるペプチドを挙げることができる。
なお、これらのアミノ酸配列における1番目のアミノ酸Xは、塩基性アミノ酸K、R、又はH(好ましくはK)であり、10番目のアミノ酸Xは、塩基性アミノ酸K、R、又はH(好ましくはR又はH、より好ましくはR)である。
YSSS(配列番号83)
を含み、且つ、リポ多糖及び/又はリピッドA結合活性を示すペプチド、例えば、
YSSS(配列番号83)
YSSSI(配列番号84)
YSSSIS(配列番号85)
YSSSISS(配列番号86)
YSSSISSI(配列番号87)
YSSSISSIX(配列番号88)
YSSSISSIXA(配列番号89)
からなるペプチド、又は、これらのアミノ酸配列のC末端に、更にCが付加された
YSSSC(配列番号90)
YSSSIC(配列番号91)
YSSSISC(配列番号92)
YSSSISSC(配列番号93)
YSSSISSIC(配列番号94)
YSSSISSIXC(配列番号95)
YSSSISSIXAC(配列番号96)
からなるペプチドを挙げることができる。
なお、これらのアミノ酸配列における9番目のアミノ酸Xは、塩基性アミノ酸K、R、又はH(好ましくはR又はH、より好ましくはR)である。
配列番号6で表されるアミノ酸配列からなり、且つリポ多糖及び/又はリピッドA結合活性を示すペプチド;又は
配列番号6で表されるアミノ酸配列のN末端及び/又はC末端に、適当なアミノ酸配列が付加されたアミノ酸配列からなり、且つリポ多糖及び/又はリピッドA結合活性を示すペプチド
が含まれる。
KXXXXXXXXK(配列番号97)
KXXXXXXXXR(配列番号98)
KXXXXXXXXH(配列番号99)
RXXXXXXXXK(配列番号100)
RXXXXXXXXR(配列番号9)
RXXXXXXXXH(配列番号102)
HXXXXXXXXK(配列番号103)
HXXXXXXXXR(配列番号104)
HXXXXXXXXH(配列番号105)
が含まれる。
なお、これらのアミノ酸配列における各アミノ酸X(すなわち、2番目〜9番目のアミノ酸X)は、それぞれ独立して、任意のアミノ酸である。
XXXXXXXXXXA(配列番号106)
XXXXXXXXXXC(配列番号107)
XXXXXXXXXXAC(配列番号108)
からなるペプチドを挙げることができる。
なお、これらのアミノ酸配列における1番目のアミノ酸Xは、塩基性アミノ酸K、R、又はH(好ましくはK)であり、10番目のアミノ酸Xは、塩基性アミノ酸K、R、又はH(好ましくはR又はH、より好ましくはR)であり、残る各アミノ酸X(すなわち、2番目〜9番目のアミノ酸X)は、それぞれ独立して、任意のアミノ酸である。また、2番目〜9番目のアミノ酸からなる配列は、好ましくは、
YSSSISSI(配列番号109)
である。
本実施例では、ファージディスプレイ法により、大腸菌由来リピッドA(Lipid A; E.coli K12, D31m4 <Primarily diphosporyl>; フナコシ社)及び大腸菌由来LPS(E.coli K12 D31 m4 (Re); フナコシ社)の両方に結合性を有するペプチドのスクリーニングを行った。
KNYSSSISSIHA(配列番号9)
が得られた。
本実施例では、実施例1で得られた配列番号9で表されるアミノ酸配列を含むペプチド(以下、Li5と称する)のLPS及びリピッドAに対する結合能を、ビアコア(BIACORE)システム(BIACORE 2000; BIACORE社)を用いて確認した。なお、下記に記載した緩衝液、蒸留水、実験器具等は特に記載しない限り、全てエンドトキシンフリーのものを用いた。
KNYSSSISSIHAC(配列番号110)
からなるペプチド(以下、Li5 Cと称する)を合成した。
(3−1)ペプチドLi5 Cのビーズ担体への固定化
本実施例では、酸塩化物が結合しているシリカゲル(Propionyl chloride functionalized silica gel 200-400 mesh;シグマ・アルドリッチ社製)(以下、ビーズ担体と称する)に溶媒を加えて反応させ、最終的にC末端のシステインのチオール基を利用してペプチドLi5 Cを固定化した。なお、下記に記載した緩衝液、蒸留水、実験器具等は特に記載しない限り、全てエンドトキシンフリーのものを用いた。
LPS溶液として、大腸菌由来LPS(E. coli O111:B4;フナコシ社)をPBSに溶
解(1 mg/mL)し、更にPBSで希釈することにより、LPS溶液(最終濃度=500 ng/mL)を作成した。前記実施例3−1で調製したペプチドLi5 C固定化ビーズ担体とコントロール用ビーズ担体について、その分散溶液(上清)を完全に取り除いた。前記LPS溶液(2 mL)を各ビーズ担体によく混合させた後、測定用サンプル(200μL)を回収し、別の新しい乾熱滅菌試験管に移し代えた。回収したサンプルは直ちに、卓上遠心器で数秒間遠心し、ビーズを沈殿させ、上澄みを新しい乾熱滅菌試験管に移し代えた。一方、サンプル回収後のビーズ溶液は、溶液と良く混ぜ、穏やかに攪拌しながら、室温でインキュベートした。経時的(30分後、60分後)に、同様の方法でサンプリングした。
本実施例では、ペプチド固定化量の異なるペプチドLi5 C固定化ビーズ担体を調製し、それらのLPS除去能を比較した。ペプチドLi5 C固定化ビーズ担体の調製は、ペプチドLi5 C溶液(5 mg/mL, 1 mL)の代わりに、濃度の異なる3種類のペプチドLi5 C溶液(5 mg/mL, 0.5 mg/mL, 0.05 mg/mL)を使用すること以外は、前記実施例3−1に記載の手順を繰り返した。結果を表1に示す。表1において、欄Aは、ペプチド固定化ビーズ担体とLPS溶液とを混合した直後(経過時間=0分)に回収したサンプル中のLPS濃度(単位=ng/mL)を示し、欄Bは、前記混合から30分間経過した後に回収したサンプル中のLPS濃度(単位=ng/mL)を示す。
LPS及び/又はリピッドA結合剤を用いて血中のLPSを除去する場合、血中に含まれる可能性のある各種成分(例えば、血清アルブミン、IL−1β、ヘパリン)の存在下であっても、あるいは、各種条件下(例えば、塩濃度、LPS濃度)においても、LPS除去能を示すことが必要である。本実施例では、ペプチドLi5 C固定化ビーズ担体が、種々の条件下でも、高いLPS除去能を示すことを確認した。
本実施例では、実施例1で得られた配列番号9で表されるアミノ酸配列:
KNYSSSISSIHA(配列番号9)
からなるペプチドに関して、どのアミノ酸がLPS結合に関与しているかを検討するために、各種ペプチドを合成し、そのLPS結合能を評価した。なお、本実施例で合成したペプチドは、特に断らない限り、C末端側にチオール基を導入するために、システインを付加した。なお、下記に記載した緩衝液、蒸留水、実験器具等は特に記載しない限り、全てエンドトキシンフリーのものを用いた。
配列番号1で表されるアミノ酸配列において、C末端側から1アミノ酸ずつ欠失させたペプチドとして、以下のペプチドを合成した:
ペプチドLi5 6C:KNYSSSC(配列番号111)
ペプチドLi5 7C:KNYSSSIC(配列番号112)
ペプチドLi5 8C:KNYSSSISC(配列番号113)
ペプチドLi5 9C:KNYSSSISSC(配列番号114)
ペプチドLi5 10C:KNYSSSISSIC(配列番号115)
ペプチドLi5 11C:KNYSSSISSIHC(配列番号116)
ペプチドLi5 K1del C:NYSSSISSIHAC(配列番号117)
を合成した。
ペプチドLi5 H11K C:KNYSSSISSIKAC(配列番号118)
ペプチドLi5 H11R C:KNYSSSISSIRAC(配列番号119)
ペプチドLi5 K1R H11R C:RNYSSSISSIRAC(配列番号120)
ペプチドLi5 K1R C:RNYSSSISSIHAC(配列番号121)
ペプチドLi5 K1H C:HNYSSSISSIHAC(配列番号122)
ペプチドLi5 K1dK C:配列番号110で表されるアミノ酸配列において、1番目のK(L体)をD体リジンに置換したペプチド
ペプチドLi5 K1dR C:配列番号110で表されるアミノ酸配列において、1番目のK(L体)をD体アルギニンに置換したペプチド
ペプチドLi5 K1dK H11R C:配列番号119で表されるアミノ酸配列において、1番目の
K(L体)をD体リジンに置換したペプチド
ペプチドLi5 K1dR H11R C:配列番号119で表されるアミノ酸配列において、1番目のK(L体)をD体アルギニンに置換したペプチド
ペプチドLi5 K1actylK C:配列番号110で表されるアミノ酸配列において、1番目のKをアセチル化したペプチド
を合成した。
ペプチドLi5 N2del H10R C:KYSSSISSIRAC(配列番号123)
を合成し、更に、1番目のK(L体)をD体リジンに置換したペプチドとして、
ペプチドLi5 K1dK N2del H10R C:配列番号123で表されるアミノ酸配列において、1番目のK(L体)をD体リジンに置換したペプチド
を合成し、更に、12番目のC(L体)をD体システインに置換したペプチドとして、
ペプチドLi5 K1dK N2del H10R C12dC:配列番号123で表されるアミノ酸配列において、1番目のK(L体)をD体リジンに置換し、12番目のC(L体)をD体システインに置換したペプチド
を合成した。
ペプチドLi5 K1dK N2dN H11R C:配列番号119で表されるアミノ酸配列において、1番目のK(L体)をD体リジンに置換し、2番目のN(L体)をD体アスパラギンに置換したペプチド
ペプチドLi5 -1G K1dK H11R C:配列番号119で表されるアミノ酸配列において、1番目のK(L体)をD体リジンに置換し、N末端にGを付加したペプチド
ペプチドLi5 -1acetylK H11R C:配列番号119で表されるアミノ酸配列において、N末端にKを付加し、更にそのN末端アミノ酸をアセチル化したペプチド
ペプチドLi5 K1dK H11R C13dC:配列番号119で表されるアミノ酸配列において、13番目のC(L体)をD体システインに置換したペプチド
を合成した。
前記実施例2で合成したペプチドLi5 C、及び前記実施例4−1で合成した各ペプチドについて、ビアコア(BIACORE)システム(BIACORE 2000; BIACORE社)を用いてLPS結合能を評価した。前記評価は、リピッドA溶液及びLPS溶液(濃度=100μg/mL, 50μg/mL, 25μg/mL, 12.5μg/mL)を用いる代わりに、LPS溶液(濃度=50μg/mL, 25μg/mL, 12.5μg/mL, 6.25μg/mL)を用いること以外は、前記実施例2に記載の手順に従って実施した。
前記実施例2で合成したペプチドLi5 C、及び前記実施例4−1で合成した各ペプチドについて、ペプチド固定化ビーズ(バッチ法)により、LPS吸着能を評価した。前記評価(2番目のNを欠失させたペプチドを除く)は、ビーズ担体へのペプチド固定化量を2μmol、5mg、又は2mgとしたこと以外は、前記実施例3に記載の手順に従って実施した。また、2番目のNを欠失させたペプチドの評価は、ビーズ担体0.2 g(実施例3−1では0.5 g)、2−ヨードエタノール0.5 mL(実施例3−1では1 mL)、ピリジン50 μL(実施例3−1では100μL)、ペプチド溶液2 mg/mL, 1 mL(実施例3−1では5 mg/mL, 1 mL)、LPS溶液0.8 mL(実施例3−2では2 mL)、測定用サンプル50μL(実施例3−2では200μL)を用いて、5分後、30分後、60分後(実施例3−2では30分後、60分後)にサンプリングしたこと以外は、前記実施例3に記載の手順に従って実施した。
前記実施例4−2及び実施例4−3の結果を、血中安定性のデータと併せて、表7に示す。また、使用したペプチドを表8にまとめた。
なお、血中安定性は、以下の方法により評価した。先ず、ペプチドを10mg/mLとなるように蒸留水で溶解した。更にそれを蒸留水で10倍に希釈し、終濃度1mg/mLとなるように調整した。ペプチド溶液10μLを50μLの血漿(ヒト)に加え、5分後、30%TCA25μLを添加することにより反応を止めた。良く攪拌後、12,000rpm、5分の遠心で変性タンパク質を沈殿させ、上澄みをHPLCにかけた。高速液クロ(HPLC)は以下の条件で行なった:
カラム:トーソーODS 80TM(4.6×100mm)
溶媒A:0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)
溶媒B:90%アセトニトリル(0.1%TFA中)
流速 :0.8mL/min
グラディエント:10〜60%B(55分間)
モニターは210nm(1.0AUSF)と280nm(0.2AUSF)の吸光
各時間ごとに上記操作を行ない(30%TCA25μLを加えて反応を止め、遠心で変性タンパク質を沈殿させ、上澄みをHPLCで分析し)、ピークの高さを測定した。また、そのピークのアミノ酸配列をシークエンサーにて分析することにより、分解産物を確認し、血漿中の安定性を評価した。
より具体的には、(c)欄のビアコアシステムによる評価[(a)欄及び(b)欄に基づく評価]では、(a)欄及び(b)欄を総合評価したときに、ペプチドLi5 Cより優れている場合を評価「A」とし、ペプチドLi5 Cと同程度である場合を「B」と評価し、ペプチドLi5 Cよりやや劣る場合を「C」と評価し、ペプチドLi5 Cより劣る場合を「D」と評価した。
また、(d)欄におけるバッチ法による評価では、同時に測定したペプチドLi5 CよりもLPS吸着能が優れているか、またはLPS除去効率が70%以上の吸着能を示す場合を評価「A」とし、ペプチドLi5 Cと同等か、またはLPS除去効率が50%〜69%の吸着能を示す場合を評価「B」とし、ペプチドLi5 Cよりもやや劣るか、またはLPS除去効率が30〜49%の吸着能を示す場合を評価「C」とし、ペプチドLi5 Cよりも劣るか、またはLPS除去効率が10〜29%の吸着能を示す場合を評価「D」とした。
また、(e)欄における血中安定性に関する評価では、血漿中で1時間以上経過しても残存が確認できた場合を評価「A」とし、血漿中において30分〜1時間以内で分解された場合を評価「B」とし、血漿中において10分〜30分以内に全て分解された場合を評価「C」とし、血漿中において1分〜10分以内に全て分解された場合を評価「D」とした。
(5−1)ペプチドLi5 Cのビーズ担体への固定化とカラム作製
本実施例では、酸塩化物が結合しているシリカゲル(Propionyl chloride functionalized silica gel 200-400 mesh;シグマ・アルドリッチ社製)(以下、ビーズ担体と称する)に溶媒を加えて反応させ、最終的にC末端のシステインのチオール基を利用してペプチドLi5 Cを固定化した。なお、下記に記載した緩衝液、蒸留水、実験器具等は特に記載しない限り、全てエンドトキシンフリーのものを用いた。
LPS溶液として、大腸菌由来LPS(E. coli O111:B4;フナコシ社)をPBSに溶解(1 mg/mL)し、更にPBSで希釈することにより、LPS溶液(最終濃度=500 ng/mL)を作成した。実施例5−1で調製したカラム中の溶液(PBS)をビーズ担体の表面と同じ高さまで排除して揃えた。前記LPS溶液(10 mL)をカラム上部から流し、通流させ、カラム下部から0.5mLずつ溶液を乾熱滅菌試験管に回収した。回収したサンプル中のLPS量は、実施例3−2に記載の方法により定量した。コントロールでは、カラム添加後、しばらくすると飽和状態に達してしまうのに対して、ペプチドLi5 C固定化カラムでは、LPS除去率が91.1%であり、LPSを効率よく除去可能であることが示された。
本実施例では、前記実施例4−1で合成したペプチドLi5 K1dK N2del H10R C12dCの固定化ビーズ担体を用いて、LPSと反応させた後、ビーズ担体に結合したLPS量を測定し、定量ができることを確認した。また、これと同時にメルカプトエタノールで完全ブロキングしたビーズ担体のみのものをコントロールとして比較した。なお、下記に記載した緩衝液、蒸留水、実験器具等は特に記載しない限り、全てエンドトキシンフリーのものを用いた。
本実施例では、酸塩化物が結合しているシリカゲル(Propionyl chloride functionalized silica gel 200-400 mesh;シグマ・アルドリッチ社製)(以下、ビーズ担体と称する)に溶媒を加えて反応させ、最終的にC末端のシステインのチオール基を利用してペプチドを固定化した。
先ず、大腸菌(E. coli O113:H10株)由来の米国薬局方エンドトキシン標準品(RSE:Reference Standard Endotoxin:生化学工業社製)をエンドトキシンフリーの蒸留水(LRW:LAL Reagent Water;生化学工業社製)で溶解し(2,000EU/mL)、更にPBSで希釈することにより、濃度の異なるLPS溶液(最終濃度=10EU/mL、5EU/mL、2.5EU/mL、0EU/mL)を作成した。次に、前記実施例6−1で調製したペプチド固定化ビーズ担体とコントロール用ビーズ担体について、その乾熱滅菌試験管中に混入している溶液(上清)を完全に取り除いた。各濃度のLPS溶液(1 mL)をそれぞれのビーズ担体に加え混ぜ、パラフィルムで試験管の口を覆い、穏やかに攪拌しながら室温で30分間反応させた(その際に上澄みを10μl回収し、添加直後の溶液とした)。その後、直ちに卓上遠心器で数秒間遠心してビーズを沈殿させてから、上澄みを新しい乾熱滅菌試験管に移し代えた(反応後の上澄みとした)。一方、沈殿させたビーズにPBS溶液(0.5mL)を添加し、混合後ビーズを沈殿させてから上澄みを取り除くという操作を繰り返し行ない、未結合のLPSを取り除く為、ビーズを洗浄した。この操作を6回(計3mL)繰り返し行なった。この洗浄後の溶液も最終的にLPS濃度を定量する為、乾熱滅菌試験管にて保管した(洗浄後の溶液とした)。
また、ビーズ担体にはPBS溶液(1mL)を加え混ぜた。その後、添加直後や反応後の上澄み、洗浄後の溶液、ビーズに結合したLPS量についてそれぞれ定量した。LPS量は、市販の測定キット(エンドスペシーES-50Mセット;生化学工業社)を用いて測定した。結果を表9に示す。
本実施例では、ペプチドLi5 K1dK N2del H10R C12dC固定化担体を充填させたカラムと、何も固定化していない担体のみを充填させたカラムとのLPS除去効率を比較した。なお、下記に記載した緩衝液、蒸留水、実験器具等は特に記載しない限り、全てエンドトキシンフリーのものを用いた。
本実施例では、チオール基を含む物質をジスルフィド(S−S)結合で固定する担体(Thiopropyl Sepharose 6B Lab Pack;アマシャム バイオサイエンス社製)(以下、担体と称する)を用いてペプチドを固定化した。
具体的には、先ず、担体[0.5g(容量1.5mL)]を遠沈管に量り取り、蒸留水を加え膨潤させてからエコノカラム(BIO-RAD社製)(以下、カラムと称する)に移し変えた。カラムに蒸留水(100mL)を通流させ担体を洗浄した。それにペプチド溶液[蒸留水1.35mL、0.1mol/L ギ酸(pH4.5)0.15mLにペプチド5mgを溶解したもの]を添加し、室温で一晩放置し、ペプチドを固定化した。続いて、ブロッキングバッファー(2−メルカプトエタノールを100 mmol/Lとなるように、蒸留水:0.1mol/L ギ酸(pH4.5)=9:1の割合の溶液で溶解したもの)をカラムに添加させ、室温で一晩放置し、非特異的吸着を防ぐ為のブロッキングを行なった。ブロッキング後、カラムに蒸留水を通流させ、未反応のメルカプトエタノールを取り除いた。その後、PBSで平衡化し、使用するまで4℃で保存した。
また、コントロール用担体として、メルカプトエタノールで完全にブロッキングしたものを調製した。
先ず、カラム中に含まれているPBS溶液を捨てて担体の表面と同じ位置に合わせた。そのカラムにLPS溶液(LPS E.coli O111:B4 10ng/mLとなるようにヒト血漿に溶解したもの)8mLを通流させた。カラム下部からLPS溶液を1mL又は0.5mLずつ回収した。サンプルは乾熱滅菌試験管にてストックした。
その後、それぞれのサンプル中に含まれるLPS量の定量を行ない、ペプチドによるLPS除去効率を確認した。
LPS量は、市販の測定キット(エンドスペシーES-50Mセット;生化学工業社)を用いて測定した。
本実施例では、ペプチドLi5 K1dK N2del H10R C12dCの安定性を、タンパク質とタンパク質等の分子間における結合の強さや結合量を測定する機器[ビアコアシステム(BIACORE 2000; BIACORE社)]にて測定した。また、ポリミキシンB(PMB)も同時に測定し、比較した。なお、下記に記載した緩衝液、蒸留水、実験器具等は特に記載しない限り、全てエンドトキシンフリーのものを用いた。
本実施例では、前記実施例4−1で合成したペプチドLi5 K1dK N2del H10R Cを用いてグラム陰性菌(大腸菌及び緑膿菌)及びグラム陽性菌(乳酸菌)の蛍光染色を実施した。
本実施例では、実施例4−1で合成したペプチドLi5 K1dK N2del H10R C(以下、ペプチドLi5−025の名称を併用する)について、ビアコア(BIACORE)システム(BIACORE 2000; BIACORE社)を用いて、種の異なる各種LPSとの結合力を評価した。
具体的には、合成したペプチド(Li5−025)をセンサーチップ(BIACORE Sensor Chip CM5;BIACORE社)のフローセル(以下、Fcと称する)2にチオールカップリングにて固定化した。コントロールとして、Fc1にシステインを固定化した。
前記センサーチップに、各種[Bordetella pertussis(Bp)、Vibrio cholerae serotype Inaba 569B (Vc)、Klebsiella pneumoniae (Kp)、Pseudomonas aeruginosa Serotype 10 (Pa)、Escherichia coli O111:B4 (Ec)]の異なるLPS[濃度=50 μg/mL, 25 μg/mL, 12.5 μg/mL, 6.25 μg/mL;緩衝用バッファーHBS−EP(Tween-20無し)(0.01 mol/L HEPES, pH 7.4, 0.15 mol/L NaCl, 3 mmol/L EDTA)]をアナライトとして、それぞれ薄い濃度から順に流して測定した。
その結果、LPSとの結合力[解離定数平均値(Kd)]は、Bp、Kp、Ecでは10−8であり、Vcでは10−8〜10−9であり、Paでは10−11〜10−12であり、LPSがいずれの場合であってもKd=10−8オーダとLPSに強く結合することが確認された。
実施例10で用いたのと同じペプチド(Li5−025)と各種LPSを用いて、ペプチドLi5-025とそれぞれのLPSとの吸着能をバッチ法にて測定すると共に、ポリミキシンB(PMB)とも比較した。なお、下記に記載した緩衝液、蒸留水、実験器具等は特に記載しない限り、全てエンドトキシンフリーのものを用いた。
酸塩化物が結合しているシリカゲル(Propionyl chloride functionalized silica gel 200-400 mesh(シグマ・アルドリッチ社製)(以下、ビーズ担体と称する)に溶媒を加えて反応させ、最終的にC末端のシステインのチオール基を利用し、共有結合にてペプチドLi5−025を固定化した。
具体的には、先ず、ビーズ担体(0.2 g)を量り取り、乾熱滅菌試験管に移し替えた。そこに2−ヨードエタノール(和光純薬社製)(0.4 mL)を加え、ビーズ担体と結合している酸塩化物とヨードエタノールの水酸基を反応させ共有結合させた。その際に副生成物として、塩化水素(HCl)が発生するので、ヨードエタノールが反応し副反応が起こるのを防ぐため、ピリジン(和光純薬社製)(アミン塩基を含むもの)(40 μL)を加え混ぜた。これをパラフィルムで覆い、よく混ぜた後、穏やかに攪拌しながら、室温で4時間反応させた。
これをエコノカラム(BIO-RAD社製)に移し代え、蒸留水でよく洗浄した後、カップリングバッファー(50 mmol/L Tris-HCl, 5 mmol/L EDTA・2Na, pH 8.5)で平衡化した。それに、Li5−025(2 mg/mL)となるようにカップリングバッファーに溶解したペプチド溶液(1 mL)を加え混ぜ、穏やかに攪拌しながら、室温で6時間放置した。なお、ペプチド固定化後溶液を用いて、SH基定量試薬(Ellman’s Reagent;PIERCE社製)にてペプチド固定化量を定量した。
Li5−025固定化後、未反応のペプチドを洗い流すため、蒸留水でビーズ担体を洗浄し、更に、カップリングバッファーにて平衡化した。一方で、2−メルカプトエタノール(関東化学社製)を100mmol/Lとなるように、カップリングバッファーで溶解し、ブロッキングバッファーを作成した。それを、平衡化したビーズ担体に加え混ぜ、穏やかに攪拌しながら室温で3時間以上放置し、非特異的吸着を防ぐためのブロッキングを行なった。
ブロッキング後、蒸留水で良く洗浄し、未反応のメルカプトエタノールを取り除いた。その後、PBSで平衡化し、ビーズ担体をカラムからリムルス試験管(スクリューキャップ付き)(第一化学薬品社製)に移し変え、使用するまで4℃で保存した。
酸塩化物が結合しているシリカゲル(Propionyl chloride functionalized silica gel 200-400 mesh;シグマ・アルドリッチ社製)(以下、ビーズ担体と称する)に溶媒を加え反応させ、最終的にアミノ基を利用して共有結合にてPMBを固定化した。
具体的には、先ず、ビーズ担体(0.2 g)を量り取り、乾熱滅菌した試験管に移し変えた。そこに蒸留水(H2O)を加え混ぜ、パラフィルムで覆い、室温で穏やかに攪拌しながら、気泡がなくなるまで放置し、ビーズ担体に結合している酸塩化物と水とを反応させ、共有結合によって、塩素部分を水酸基(-OH)に置換した。
試験管中の気泡が無くなったことを確認してから、エコノカラム(BIO-RAD社製)に移し代え、蒸留水で洗浄した。その後、0.1 mol/L NaHCO3 バッファー(pH 8.0)で平衡化した。それに、EDC[1-Ethyl-3-(3-dimethylaminopropyl)carbodiimide hydrochloride]とNHS(N-hydroxysuccinimide)を加え混ぜ、室温で1時間反応させた。反応後、カラム内の溶液を排出し、0.1 mol/L NaHCO3 バッファーを流した。そこに、PMB(2 mg/mL)となるように0.1 mol/L NaHCO3 バッファーに溶解したPMB溶液(1 mL)を加え混ぜ、穏やかに攪拌しながら、室温で6時間放置した。なお、PMB固定化後溶液を用いて、アミノ基定量キット(CBQCA Protein Quantitation Kit;Molecular Probes社製)にてPMBの固定化量を定量した。
PMB固定化後、未反応のPMBを洗い流すため、蒸留水でビーズ担体を洗浄した。その後、更に0.1 mol/L NaHCO3 バッファーにて平衡化した。一方で、アミンエタノール(和光純薬社製)を1.0mol/Lとなるように、蒸留水で溶解し、塩酸でpH8.5に調整し、ブロッキングバッファーを作成した。ブロッキングバッファー(3 mL)をビーズ担体に加え混ぜ、穏やかに攪拌しながら室温で3時間以上放置し、非特異的吸着を防ぐためのブロッキングを行なった。
ブロッキング後、蒸留水で良く洗浄し、未反応のエタノールアミンを除去した。その後、PBSで平衡化し、ビーズ担体をカラムからリムルス試験管(スクリューキャップ付き)(第一化学薬品社製)に移し代え、使用するまで4℃で保存した。
コントロールは、前記項目(1)に記載のLi5−025固定化法におけるブロッキング処理のみを行うことにより、メルカプトエタノールで完全ブロッキングしたものをコントロールとした。
LPS溶液を作成し、ペプチド(又はPMB)固定化ビーズ担体と混合させ、時間を追ってサンプルを回収し、測定用のサンプルを準備した。
具体的には、先ず、各固定化又はブロッキングビーズ担体の分散溶液(上清)を完全に取り除いた。一方で、それぞれのLPSをPBSで溶解し、500ng/mLとなるように調整し、LPS溶液を作成した。このLPS溶液(0.8 mL)をビーズ担体によく混合させた後、200μLを回収し、別の新しい乾熱滅菌試験管に移し代えた。回収したサンプルは直ちに、卓上遠心器で数秒遠心し、ビーズを沈殿させ、上澄みを新しい乾熱滅菌試験管に移し代えた。一方、サンプル回収後のビーズ溶液は、溶液と良く混ぜ、穏やかに攪拌しながら、室温でインキュベートした。経時的に同様の方法でサンプリングした。
回収したサンプル中のエンドトキシン量を、市販の測定キット(エンドスペシー ES-50Mセット;生化学工業社製)にて測定し、LPS吸着能力を確認した。
具体的には、先に回収したサンプルを蒸留水にて希釈した(この希釈は、エンドスペシーの定量範囲内のレンジに定まるよう希釈した)。これをトキシペット プレート ポリスチレン製96 well(Et Free)(生化学工業社製)に50μl/wellずつ入れた。次に、エンドスペシーES-50Mセットを準備した。キット中のライセート試薬(1本)に、キット添付の緩衝液1本(全量)を加え、泡立てないように5分間手で振って溶解した。これを、サンプル添加ウェルに50μL/wellずつ添加し、よく混合させた。その後、37℃で穏やかに攪拌しながら30分間インキュベートした。
その後、吸光光度計(ARVO;wallac社製)にて、405nmの吸光度を測定した。またその際に、検量線を作成し、近似直線の方程式からLPS濃度を算出した。
コントロールは混ぜてから直ぐのLPS量と、60分後のLPSの濃度が変わらずほぼ一定なのに対し、Li5−025固定化ビーズ担体では、それぞれのLPSにおいてLPS濃度が有意に低下し、LPS吸着作用が認められた。PMBと比較してもLPS除去効率が高いことが示された。
Li5-025固定化ビーズ担体を用いたBp(Bordetella pertussis)吸着試験では、500ng/mLのLPSを95%以上吸着させた。また、Vc(Vibrio cholerae serotype Inaba 569B)では90%以上、Kp(Klebsiella pneumoniae)では50%以上(最大80%程度)、Pa(Pseudomonas aeruginosa Serotype 10)では95%以上、Ec(Escherichia coli O111:B4)では95%以上と、様々な種類のLPSに対して高い吸着能を持つことが示された。
同時に測定したPMBは、Bp吸着試験では、500ng/mLのLPSを95%以上、Vcでは60%以上、KpやPaでは吸着能が殆ど見られないなど、LPSの種類によって吸着能に大きく差のあることが示された。
実施例11と同様の方法により作製したペプチドLi5−025(又はPMB)固定化ビーズ担体を用い、これらに1EU/mLと低い濃度のLPS溶液(1 mL)を加え混ぜ、バッチ法を行うことにより低濃度のLPS吸着能について確認した。LPSとしては、Escherichia coli O113:H10由来のものを使用した。バッチの測定方法は実施例10に準じた。
結果を表11に示す。コントロールのLPS濃度は最後まで低下しなかったのに対し、Li5−025又はPMB固定化ビーズは最終的に1EU/mLのLPSを70%以上吸着し、0.3EU/mL以下にすることが示された。オープンカラム法で測定することにより、更に低濃度まで除去することができると期待される。
実施例11と同様の方法により作製したペプチドLi5−025(又はPMB)固定化ビーズ担体を用い、これらに1%BSA溶液(LPS濃度=500 ng/mL)1mLを加え混ぜ、バッチ法を行うことにより1%BSA溶液中でのLPS吸着能について調べた。LPSとしては、Escherichia coli O111:B4由来のものを使用した。バッチ法の基本的な流れは実施例10に準じた。
結果を表12に示す。1%BSA共存下において、500ng/mLのLPSを60%以上吸着することが示された。以前に実施済みのペプチド固定化濃度依存試験(例えば、実施例3−3)の結果から、ペプチドの固定化量を増やすことによって、LPS吸着能を高めることが可能であると考えられる。
LPS結合体として既存品であるポリリジンと、Li5−025(又はPMB)を比較するため、ポリリジン類似ペプチドとして、
ペプチドK7C:KKKKKKKC(配列番号124)
をシグマ社にて合成した。実施例11と同様の方法にて作製したペプチド(又はPMB)固定化ビーズ担体に10ng/mL濃度のLPS溶液2mLを加え混ぜ、バッチ法にてLPS吸着能を確認し、比較した。LPSとしては、Escherichia coli O111:B4由来のものを使用した。基本的な操作は実施例11に準じて行なった。
結果を表13に示す。Li5−025は約90%程度、PMBは65%程度、K7Cは約20%程度のLPS吸着能であり、ポリリジンのLPS吸着能は低いことが示された。
本実施例では、表14に示すLi5−025とその誘導体を用い、バッチ法にてLPS吸着能を比較した。
具体的には、基本的な操作は実施例11と同様に行なった。また、添加LPS溶液は、LPS濃度500ng/mL(0.8mL)を使用した。LPSとしては、Escherichia coli O111:B4由来のものを使用した。
本実施例では、表16に示すLi5−025とその誘導体を用い、バッチ法にてLPS吸着能を比較した。
具体的には、基本的な操作は実施例11と同様に行なった。また、添加LPS溶液は、LPS濃度10ng/mL(2.0mL)を使用した。LPSとしては、Escherichia coli O111:B4由来のものを使用した。
Li5−025固定化カラムを作製し、オープンカラム法によりLPS除去効率について確認した。同時に、PMB固定化カラムや何も固定化していないカラムを作製し、LPS除去効率を比較した。
具体的には実施例11と同様の方法でペプチド(又はPMB)を固定化したカラムを作製し、そのカラム上部から10ng/mL濃度のLPS溶液7mLを通流し、カラム下部から溶出されたLPSを0.4mLずつ回収し、その検体中に含まれるLPS量を定量することにより、LPS除去効率を評価した。カラム条件は以下の通りである。
カラム:エコノカラム(BIO−RAD社製)
カタログ番号737−0516、内径0.5cm、
長さ15cm、底面積0.2cm2
カラムビーズ:Si−アシッドクロライドビーズ(Si-Acid Chloride beads)
(0.8g)
(カラム容量=1.2mL)
リガンド:ペプチドLi5−025又はPMB(8mg)
エンドトキシン:LPS(E.coli O111:B4)
エンドトキシン溶液:10ng/mL(7mL)
保持容量:0.4mL
流速:0.5mL/min
Li5−025固定化カラムを作製し、オープンカラム法により低濃度のLPS除去効率について確認した。同時に、PMB固定化カラムや何も固定化していないカラムを作製し、LPS除去効率を比較した。
具体的には実施例11と同様の方法でペプチド(又はPMB)を固定化したカラムを作製し、そのカラム上部から2EU/mL濃度のLPS溶液7mLを通流し、カラム下部から溶出されたLPSを0.4mLずつ回収し、その検体中に含まれるLPS量を定量することにより、低濃度のLPS除去効率を評価した。カラム条件は以下の通りである。
≪カラム条件≫
カラム:エコノカラム(BIO−RAD社製)
カタログ番号737−0516、内径0.5cm、
長さ15cm、底面積0.2cm2
カラムビーズ:Si−アシッドクロライドビーズ(Si-Acid Chloride beads)
(0.8g)
(カラム容量=1.2mL)
リガンド:ペプチドLi5−025又はPMB(8mg)
エンドトキシン:USP RSE(LPS E.coli O113:H10菌株由;生化学工業社製)
エンドトキシン溶液:2EU/mL(7mL)
保持容量:0.4mL
流速:0.5mL/min
Li5−025固定化カラムを作製し、オープンカラム法により1%BSA溶液中のLPS除去効率について確認した。同時に、PMB固定化カラムや何も固定化していないカラムを作製し、LPS除去効率を比較した。
具体的には実施例11と同様の方法でペプチド(又はPMB)を固定化したカラムを作製し、そのカラム上部から1%BSA溶液(LPS濃度10ng/mL)7mLを通流し、カラム下部から溶出されたLPSを0.4mLずつ回収し、その検体中に含まれるLPS量を定量することにより、1%BSA溶液中のLPS除去効率を評価した。カラム条件は以下の通りである。
カラム:エコノカラム(BIO−RAD社製)
カタログ番号737−0516、内径0.5cm、
長さ15cm、底面積0.2cm2
カラムビーズ:Si−アシッドクロライドビーズ(Si-Acid Chloride beads)
(0.8g)
(カラム容量=1.2mL)
リガンド:ペプチドLi5−025又はPMB(8mg)
エンドトキシン:LPS(E.coli O111:B4)
エンドトキシン溶液:10ng/mL(7mL)
保持容量:0.4mL
流速:0.5mL/min
ペプチドの固定化量を増やしたカラムを用いて実施例19と同様の試験を行ない、1%BSA溶液中のLPS除去能を測定することにより、ペプチド固定化濃度依存性について評価した。ペプチド固定化量を8mgから24mgに変えたこと以外は、実施例19と同様の条件で行なった。
その結果、コントロールはすぐ飽和状態に達してしまったのに対し、Li5−025固定化カラムは1%BSA溶液中に混在する10ng/mLのLPSを約90%以上除去し、ペプチドの固定化量を増加することによりLPS除去効率が増すことが示唆された。また、PMB固定化カラムは実施例19と同様、LPS除去能が殆ど確認されなかった。
Li5−001をファインチューニングした、表18に示すペプチド3種をシグマジェノシスにて合成し、LPSの中和能について評価した。上記ペプチドとLPSを混ぜ、その後のLPS量を測定することにより、LPSの中和能について評価した。PMBをポジティブコントロールとし、比較した。なお、下記に記載した緩衝液、蒸留水、実験器具等は、特に記載しない限り、全てエンドトキシンフリーのものを用いた。
その結果、どのペプチドも濃度依存的な中和能が確認され、100μg/mLで1EU/mLのLPSを70%以上中和することが示された。中でもペプチドWine Openerは100ng/mLで87%以上の中和能を示し、PMBより100倍程度強い中和能を持つことが示された。
本実施例では、Li5−025によるLPS測定感度についてビアコア(BIAOCORE)システム(BIACORE 2000; BIACORE社)を用いて確認し、表面プラズモン共鳴法によるLPS検出法を検討した。
具体的には、センサーチップ(BIACORE Sensor Chip CM5; BIACORE社)のフローセル(以下、Fcと称する)2に固定化量271RU、Fc3に843RUのLi5−025をチオールカップリングにて固定化した。コントロールとして、Fc1にシステインを固定化した。
前記センサーチップに対し、濃度の異なるLPS(E.coli K12株)[濃度=10 ng/mL, 100 ng/mL, 1000 ng/mL;緩衝用HBSバッファー(0.01 mol/L HEPES, pH 7.4, 0.15 mol/L NaCl, 3 mmol/L EDTA)]をアナライトとして、それぞれ薄い濃度から順に流して測定した。
その結果、Fc2で検出されたシグナルは、10ng/mLでは1.7RU、100ng/mLでは2RU、1000ng/mLでは3.3RUが測定され、感度として10ng/mL程度であることが示された。また、Fc3においては10ng/mLで3.2RUが検出され、Li5−025のチップ固定化量依存性も示された。
Li5−025にフルオレセインを融合し、グラム陰性菌の染色を試みた。
蛍光標識ペプチドは、Li5−025のC末端のシステインのSH基を利用してフルオレセインを融合することにより調製した。菌としては、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)及び乳酸菌(Lactobacillus casei)を用いた。それぞれ液体培地にて充分に増殖させた後、純水で100倍希釈し混合してスライドガラスに塗布した。乾燥後、100%エタノールを滴下し、エタノール固定を行なった。
固定化後、1μg/mLのLi5−025フルオレセインを滴下し、15分間遮光して室温でインキュベートした。純水で洗浄後、蛍光顕微鏡にて観察した。
グラム陰性菌である緑膿菌が強く蛍光染色され、グラム染色の代替法となることが示された。
Li5−025を固定化[0.8gのビーズ(Si-Acid Chloride)に8mgのペプチド又はPMBを固定化)したカラムを用い、全血でのエンドトキシン除去効果をオープンカラムにて比較した。なお、コントロールは何も固定化していない、ブロッキングのみのビーズを用いた。
方法としては、LPS濃度2ng/mLとなるようにヒト全血に溶解し、5mL流し、溶出された全血を新しい全血+RPMI培地に加え、37℃で4時間インキュベートした。評価はLPSによるTNFα誘導量によって行なった。全血は3名の静脈から採取し、10unitsのヘパリンと混合した。
LPS(エンドトキシン)はTNFαの発現を誘導するため、TNFαの誘導量によって、LPSの吸着能を間接的に評価することができる。
Li5−025誘導体として、実施例21で合成したペプチドWine Opener(以下、ペプチドWOと称する)を用い、マウスエンドトキシン血症モデルに対する治療・予防効果を評価した。
マウスはC3H/HeNを用いた。投与方法は以下の通りである。また、それぞれのグループは8匹で構成されている。
グループA:コントロール。マウスに生理食塩水を静脈注射し、30分後に再度静脈注射。
グループB:生理食塩水を静脈注射後、30分後にペプチドWOを10mg/kgを静脈投与。
グループC:2mg/kgのLPSを静脈投与後、30分後に生理食塩水を静脈投与。
グループE:2mg/kgのLPSを静脈投与後、30分後にペプチドWOを10mg/kgを静脈投与。
グループG:2mg/kgのLPSと10mg/kgのペプチドWOを混合後に静脈投与。
また、グループBのペプチドのみ投与群ではコントロール(グループA)と比較し、有意な体重減少は見られず、ペプチド単独の体重に影響する短期毒性は見られなかった(表には示さず)。
配列表の配列番号125の配列で表されるアミノ酸配列は、マーカー配列である。
配列表の配列番号1、16、24、30の配列で表される各アミノ酸配列における1番目及び11番目の各アミノ酸「Xaa」は、それぞれ独立に、リジン、アルギニン、又はヒスチジンを意味する。
配列表の配列番号2、5、20〜23、25〜29、71〜74、76〜80の配列で表される各アミノ酸配列における1番目のアミノ酸「Xaa」は、リジン、アルギニン、又はヒスチジンを意味する。
配列表の配列番号3、54〜56の配列で表される各アミノ酸配列における1番目及び11番目の各アミノ酸「Xaa」は、それぞれ独立に、リジン、アルギニン、又はヒスチジンを意味し、2番目〜10番目の各アミノ酸「Xaa」は、それぞれ独立に、任意のアミノ酸を意味する。
配列表の配列番号4、67、75、81、82の配列で表される各アミノ酸配列における1番目及び10番目の各アミノ酸「Xaa」は、それぞれ独立に、リジン、アルギニン、又はヒスチジンを意味する。
配列表の配列番号6、106〜108の配列で表される各アミノ酸配列における1番目及び10番目の各アミノ酸「Xaa」は、それぞれ独立に、リジン、アルギニン、又はヒスチジンを意味し、2番目〜9番目の各アミノ酸「Xaa」は、それぞれ独立に、任意のアミノ酸を意味する。
配列表の配列番号36、37、43、44の配列で表される各アミノ酸配列における10番目のアミノ酸「Xaa」は、リジン、アルギニン、又はヒスチジンを意味する。
配列表の配列番号45〜53の配列で表される各アミノ酸配列における2番目〜10番目の各アミノ酸「Xaa」は、それぞれ独立に、任意のアミノ酸を意味する。
配列表の配列番号88、89、95、96の配列で表される各アミノ酸配列における9番目のアミノ酸「Xaa」は、リジン、アルギニン、又はヒスチジンを意味する。
配列表の配列番号97〜105の配列で表される各アミノ酸配列における2番目〜9番目の各アミノ酸「Xaa」は、それぞれ独立に、任意のアミノ酸を意味する。
Claims (19)
- 配列番号4又は配列番号1で表されるアミノ酸配列、あるいは、前記アミノ酸配列において1個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列(但し、配列番号4又は配列番号1におけるN末端の塩基性アミノ酸が欠失した場合を除く)、あるいは、配列番号1で表されるアミノ酸配列においてC末端の2個のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号110で表されるアミノ酸配列からなるペプチドと同じ又は優れたリポ多糖及び/又はリピッドA結合活性を示すペプチド、あるいは、その誘導体(但し、前記リポ多糖及び/又はリピッドA結合活性を示し、且つ、ペプチドの安定性を向上させる修飾を施した誘導体であって、前記修飾が、L体アミノ酸のD体化、N末アミノ基のアセチル化、C末端カルボキシル基のアミド化、天然型アミノ酸から、性質の類似した非天然型アミノ酸への置換、又はこれらの組合せである、前記誘導体に限る)を有効成分として含む、リポ多糖及び/又はリピッドA結合剤。
- 前記誘導体が
アミノ酸配列:kYSSSISSIRGGLLLLLLL
(アミノ酸配列中、小文字で示すアミノ酸(k)はD体アミノ酸であることを示し、C末端のL(ロイシン)はアミド化されている)
からなる、請求項1に記載のリポ多糖及び/又はリピッドA結合剤。 - 請求項1又は2に記載のペプチド又はその誘導体を有効成分として含む、リポ多糖及び/又はリピッドA除去剤。
- 請求項1又は2に記載のペプチド若しくはその誘導体、前記ペプチドをコードするポリヌクレオチド、又は前記ポリヌクレオチドを含む発現ベクターを有効成分として含む、リポ多糖及び/又はリピッドA中和剤。
- 請求項1又は2に記載のペプチド若しくはその誘導体を有効成分として含む、敗血症治療剤。
- 請求項1又は2に記載のペプチド又はその誘導体と、リポ多糖及び/又はリピッドAとを接触させる工程を含む、リポ多糖及び/又はリピッドAの結合方法。
- リポ多糖及び/又はリピッドAを含む可能性のある処理対象と、請求項1又は2に記載のペプチド又はその誘導体とを接触させる工程、及びリポ多糖及び/又はリピッドAと複合体を形成した前記ペプチド又は誘導体と、前記処理対象とを分離する工程を含む、リポ多糖及び/又はリピッドAの除去方法。
- 請求項1又は2に記載のペプチド若しくはその誘導体、前記ペプチドをコードするポリヌクレオチド、又は前記ポリヌクレオチドを含む発現ベクターを、リポ多糖及び/又はリピッドA中和の必要な対象(但し、ヒトを除く)に、有効量で投与することを含む、リポ多糖及び/又はリピッドA中和方法。
- 請求項1又は2に記載のペプチド若しくはその誘導体を、敗血症治療の必要な対象(但し、ヒトを除く)に、有効量で投与することを含む、敗血症治療方法。
- 請求項1又は2に記載のペプチド又はその誘導体の、リポ多糖及び/又はリピッドA中和剤を製造するための使用。
- 請求項1又は2に記載のペプチド又はその誘導体の、リポ多糖及び/又はリピッドA除去剤を製造するための使用。
- 請求項1又は2に記載のペプチド若しくはその誘導体、前記ペプチドをコードするポリヌクレオチド、又は前記ポリヌクレオチドを含む発現ベクターの、リポ多糖及び/又はリピッドA中和剤を製造するための使用。
- 請求項1又は2に記載のペプチド若しくはその誘導体の、敗血症治療剤を製造するための使用。
- アミノ酸配列:kYSSSISSIRGGLLLLLLL
(アミノ酸配列中、小文字で示すアミノ酸(k)はD体アミノ酸であることを示し、C末端のL(ロイシン)はアミド化されている)
からなるペプチド誘導体。 - 請求項14に記載のペプチド誘導体と、薬剤学的若しくは獣医学的に許容することのできる通常の担体又は希釈剤とを含む、医薬組成物。
- 請求項1又は2に記載のペプチド又はその誘導体を用いることを特徴とする、リポ多糖及び/又はリピッドAの分析方法。
- リポ多糖及び/又はリピッドAを含む可能性のある被検試料と、請求項1又は2に記載のペプチド又はその誘導体とを接触させる工程、前記ペプチド又は誘導体に結合したリポ多糖及び/又はリピッドAを分析する工程を含む、リポ多糖及び/又はリピッドAの分析方法。
- 請求項1又は2に記載のペプチド又はその誘導体を用いることを特徴とする、グラム陰性菌の分析方法。
- グラム陰性菌を含む可能性のある被検試料と、請求項1又は2に記載のペプチド又はその誘導体とを接触させる工程、前記ペプチド又は誘導体に結合したグラム陰性菌を分析する工程を含む、グラム陰性菌の分析方法。
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