JP5245488B2 - インクジェット記録用インク、インクカートリッジ、画像形成方法、画像形成物 - Google Patents

インクジェット記録用インク、インクカートリッジ、画像形成方法、画像形成物 Download PDF

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Description

本発明は、インクジェット記録用インク、該インクを用いたインクカートリッジ、画像形成方法及び画像形成物に関する。
主にインク保存安定性を高めるために、水性顔料系インクに樹脂エマルジョンを含有させること自体は公知であり、ポリウレタン系樹脂を用いることも知られている。
また、特許文献1には、揮発分が少ない(4%以下)のカーボンブラックと、ポリウレタン樹脂とを含むインクが開示されている。しかし、カーボンブラックの揮発分が少ないと、画像濃度が十分でないという問題があった。その対策として、揮発分が多いカーボンブラックを用いることが考えられるが、この場合、従来のポリウレタン樹脂では、吐出安定性、画像濃度及びインク保存性に劣ることが分かった。その理由としては、従来のポリウレタン樹脂では、その酸価が低い(50程度)ためであると考えられる。
特開2001−323191号公報
本発明は、揮発分の多いカーボンブラックを用いた場合にも、吐出安定性、画像評価、保存安定性に優れたインクジェット記録用インク、及び該インクを用いたインクカートリッジ、画像形成方法、画像形成物の提供を目的とする。
上記課題は、次の1)〜)の発明によって解決される。
1) 少なくともカーボンブラック、分散剤、ポリウレタン樹脂、水からなり、該カーボンブラックの揮発分が8.0〜12.0%であり、該ポリウレタン樹脂の酸価が60〜100であることを特徴とするインクジェット記録用インク。
2) 前記カーボンブラックのDBP吸油量が300〜750cm/100gであることを特徴とする1)に記載のインクジェット記録用インク。
3) 前記分散剤がナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物であり、該縮合物における、ナフタレンスルホン酸の2量体、3量体、4量体の合計含有量が20〜80重量%であり、該縮合物の配合比が、カーボンブラック1に対し0.01〜2(重量比)であることを特徴とする1)又は2)に記載のインクジェット記録用インク。
4) 前記ポリウレタン樹脂が、重量平均分子量10000〜30000のアニオン性自己乳化型のエーテル系ポリウレタン樹脂であることを特徴とする1)〜3)の何れかに記載のインクジェット記録用インク。
) 1)〜)の何れかに記載のインクジェット記録用インクを収容したことを特徴とするインクカートリッジ。
) 1)〜)の何れかに記載のインクジェット記録用インクを用い、シリコーン樹脂を含有する撥インク層を有するインクジェットヘッドを少なくとも備えたインクジェット記録装置を用いて画像支持体に印字することを特徴とする画像形成方法。
)に記載の画像形成方法で印字されたことを特徴とする画像形成物。
) 画像支持体が紙であることを特徴とする)に記載の画像形成物。
以下、上記本発明について詳しく説明する。
本発明のインクジェット記録用インクは、少なくともカーボンブラック、分散剤、ポリウレタン樹脂、水からなるが、カーボンブラックの揮発分は8.0〜12.0%とする。これにより、染料インクを用いた場合に比べて同等、あるいはそれ以上の高い印字濃度が得られる。揮発分が8.0%以上のカーボンブラックを用いた場合に、インクジェット記録物の印字濃度が高くなる理由は定かではないが、このようなカーボンブラックには表面酸性基が多く存在するため、カーボンブラック粒子自体のインク溶媒への親和性が向上し、その結果、微分散が可能になり、印字濃度が上がると推測される。しかし、揮発分が12.0%を超えると、インクジェット記録装置で吐出させた場合に印字不良発生率が高くなり易い。これは、揮発分があまり多いとヘッド上での堆積物の原因となるためであると考えられる。
そして、上記のような揮発分の多い(8.0〜12.0%)カーボンブラックを用いても、後述する酸価の高い(60〜100)ポリウレタン樹脂を含有させることにより、吐出安定性、画像評価、保存安定性に優れたインクジェット記録用インクが得られる。
ここで、本発明で言うカーボンブラックの揮発分とは、次の測定方法によって得られる値を意味する。即ち、カーボンブラックの乾燥試料を、白金坩堝又はそれと同形、同容量の落とし蓋付き磁器坩堝に、蓋下2mmを超えない程度まで打振して詰め、重量(W)を量る。次いで、坩堝に蓋をして電気炉に入れ、950±25℃で正確に7分間加熱した後、取り出し、デジケーター中で室温になるまで放冷して加熱後の重量(W)を量る。これらの重量を次の式に代入して得られる値(V)が揮発分である。
Figure 0005245488
〔V:揮発分(%)、W:乾燥試料の重量(g)、W:加熱後の試料の重量(g)〕
本発明で用いるカーボンブラックは、DBP吸油量が300〜750cm/100gのものが好ましい。より好ましくは、350〜700cm/100gである。
高ストラクチャーのカーボンブラック原末を用いた方が、高OD値の印刷物を得ることができるので、上記DBP吸油量の範囲のものが好ましい。
本発明で用いるカーボンブラックの平均粒径(D50)は、100〜200nmが好ましく、より好ましくは125〜175nmである。平均粒径(D50)が100nmより小さいと、普通紙内部へのカーボンブラックの浸透が光学濃度の向上を阻害して高光学濃度の印刷物を得にくくなり、200nmを超えると、吐出性が劣るので好ましくない。
上記平均粒径(D50)は常法により測定することができ、例えば、日機装社製の粒度分析計UPA150を使用して測定できる。また、平均粒径(D50)は、分散機を用いてカーボンブラックを分散する際に、分散機回転部周速、分散時間、分散液流量、分散液温度によって制御することが可能である。
本発明で用いることができる分散剤としては、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、及び水溶性樹脂、(例えば水溶性スチレンアクリル樹脂、水溶性ウレタン樹脂)などが挙げられる。中でも、分散体を低粘度化できるため、アニオン系界面活性剤が好ましく、特にナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物が好ましい。該縮合物としては、ナフタレンスルホン酸ナトリウムとホルムアルデヒドとを縮合させたものであれば特に限定されない。但し、該縮合物中のナフタレンスルホン酸の2量体、3量体、4量体の合計含有量は20〜80重量%とすることが好ましい。合計含有量が20重量%未満であると分散性が悪くなり、カーボンブラック分散液及びインクの保存安定性が劣り、その結果、ノズルの目詰まりが発生しやすい。また、合計含有率が80重量%を超えると粘度が高くなり、分散が困難になる。
また、カーボンブラック分散液における前記縮合物の配合比は、カーボンブラック1に対し、0.01〜2(重量比)が好ましい。更に好ましくは、カーボンブラック1に対し0.05〜0.5である。配合比が0.01未満では分散効果が達成されにくいことのほか、水系カーボンブラック分散液及びインクの保存安定性が劣り、その結果、ノズルの目詰まりが発生しやすい傾向があり、配合比が2より大きいと、水系カーボンブラック分散液及びインクの粘度が高すぎてインクジェット方式での印字が困難になる傾向がある。
本発明ではインク用のポリマー粒子としてポリウレタン樹脂を用いる。ここでいうポリウレタン樹脂とは、主鎖がウレタン結合の連なるポリウレタン骨格を主体として構成される高分子を指す。ポリウレタン樹脂の中でも特に水分散性のポリウレタン樹脂が好ましい。このような水分散性のポリウレタン樹脂は、ポリウレタン骨格の主鎖中に、水に安定に分散させるために必要な親水成分を導入したり、あるいは外部乳化剤で分散することにより得られるポリウレタンの水分散体が一般的であるが、主鎖中に親水成分を導入した自己分散タイプ(自己乳化型)のものがより好ましい。
その例としては、ジイソシアネートと、ポリエーテルジオール類、ポリエステルジオール類、ポリカーボネートジオール類などのジオールと、カルボン酸基、スルホン酸基などの酸基含有ジオールとを反応させて得られる水分散性の各種のポリウレタン樹脂(エステル系ポリウレタン樹脂、エーテル系ポリウレタン樹脂、カーボネート系ポリウレタン樹脂など)が挙げられる。中でも、アニオン性自己乳化型のエーテル系ポリウレタン樹脂が好ましい。
前記ジイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート化合物、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート化合物、トルイレンジイソシアネート、フェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物、これらジイソシアネートの変性物(カルボジイミド、ウレトジオン、ウレトイミン含有変成物など)等が挙げられる。
前記ジオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレンエーテルグリコール等のポリエーテルジオール、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリネオペンチルアジペート、ポリ−3−メチルペンチルアジペート、ポリエチレン/ブチレンアジペート、ポリネオペンチル/ヘキシルアジペート等のポリエステルジオール、ポリカプロラクトンジオール等のポリラクトンジオール、ポリカーボネートジオールが挙げられる。インクの保存安定性の観点から、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系のジオール化合物が好ましく、更にポリエーテル系又はポリカーボネート系が好ましく、更にポリエーテル系が好ましい。ポリエーテル系、ポリカーボネート系は水中で加水分解による変質が起こりにくいため、保存安定性が良好になる。
前記酸基含有ジオールとしては、例えば、ジメチロール酢酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸などが挙げられる。特にジメチロールブタン酸が好ましい。
本発明で用いるポリウレタン樹脂の遊離酸の酸価は、記録液の保存安定性及び吐出安定性を一層高める観点から、60〜100とし、好ましくは70〜90とする。酸価が60未満では水溶性がなくなり、100よりも大きくなると塗膜の耐擦過性、耐水性が低下し、粘度が高くなりすぎ、吐出が悪くなるなどの問題点が発生する場合がある。
また、本発明では揮発分の多い(8.0〜12.0%)カーボンブラックを用いるが、吐出安定性、画像評価、保存安定性に優れたインクジェット記録用インクを得るには、上記酸価の高い(60〜100)ポリウレタン樹脂を含有させる必要がある。
また、ポリウレタン樹脂の重量平均分子量は、吐出安定性の観点から、通常30000以下、特に20000以下であることが好ましい。分子量が大きくなると粘度が高くなり吐出しにくくなる。一方、10000より小さくなると、水溶化傾向が大きくなり、また光沢付与効果が低下するし、液安定性も低くなる傾向にある。
前記アニオン性自己乳化型のエーテル系ポリウレタン樹脂は、インクが紙のような記録媒体に着弾した際、増粘乃至凝集する性質を持ち、着色成分の浸透を抑制し、更に紙への定着を促進する効果を有する。また、その他の樹脂と比較して、紙上で皮膜を形成し、印刷物の耐擦性を向上させる効果も強い。更に、この樹脂を添加するとカーボンブラックの分散安定性が向上する。
インクジェット記録用インク中のポリウレタン樹脂の含有量は、樹脂固形分として0.1〜20重量%が好ましく、0.2〜10重量%がより好ましい。含有量が0.1重量%未満では、記録媒体へ着弾した後、樹脂がカーボンブラックを覆うのに量的に不十分なため、耐擦過効果が小さく、20重量%より多いと、インクの粘度が高すぎてインクジェット方式での印字が困難になる傾向がある。
ポリウレタン樹脂の合成方法としては、イソシアネート基と反応しない低沸点溶剤(アセトン等)中で、イソシアネート末端プレポリマーを合成し、ジアミン、ポリオールなどにより親水基を導入した後、水で希釈し相転換させ、溶剤を留去させてポリウレタンディスパージョンを得る溶液法、親水基を導入したイソシアネート基末端プレポリマーを最初に合成し、水中に分散した後、アミンで鎖延長を行うプレポリマー法、その他、ホットメルト法、ポリウレタンプレポリマーを用い乳化剤水溶液中で媒体である水を鎖延長剤として使用する方法、疎水性ポリオールと芳香族ポリイソシアネートから得られる遊離イソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーの芳香環をスルホン化する工程を経る方法、ブロックイソシアネートを使用する方法等、色々と知られているが、特に限定されるものではない。
ポリウレタン樹脂を上記プレポリマー法によって合成する場合、低分子量のポリヒドロキシ化合物を使用してもよい。このようなポリヒドロキシ化合物としては、上記ポリエステルジオールの原料として挙げたグリコール及びアルキレンオキシド低モル付加物、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の3価アルコール、そのアルキレンオキシド低モル付加物などが挙げられる。
水系ポリウレタン樹脂の場合、有機溶剤相で作成したポリウレタンプレポリマーを転相・乳化し、水相で更に鎖延長させる方法が一般的に知られている。この際の鎖伸長剤としてはジアミン等のポリアミン類が一般的である。具体的には、ポリウレタンプレポリマーは、ジメチロールアルカン酸に由来する酸基を中和した後又は中和しながら、水延長又はジ若しくはトリアミン延長する。アミン延長の際に鎖伸長剤として使用するポリアミン類としては、通常ジアミン又はトリアミンが挙げられる。また、その具体例としてはヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ヒドラジン、ピペラジン等が挙げられる。
しかし、鎖伸長剤としてポリアミン類を使用したポリウレタン樹脂を用いると、記録液の保存安定性が良くない傾向にあることが判明した。これは、アミン延長したポリウレタン樹脂(ポリウレタンウレア部分を含むポリウレタン樹脂)は加水分解を生じやすいこと、更に、加水分解によって生じたポリアミン類もまたカーボンブラック分散記録液中で凝集剤として働くことから、二重に悪い影響を与えていることが推測される。
ポリウレタン樹脂は、Li、Na、K等のアルカリ金属塩、アンモニア、ジメチルアミン、(モノ、ジ、トリ)エタノールアミン等の有機アミン塩などの形で使用できる。
これらは、前述の方法で得られたポリウレタン樹脂を更に中和することにより得ることができる。この中和の際に使用する塩基としては、所望の塩のカウンターイオン等に応じて適宜選択することができ、例えば、ブチルアミン、トリエチルアミン等のアルキルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、モルホリン、アンモニア、水酸化ナトリウム等の無機塩基が挙げられる。
カーボンブラックとポリウレタン樹脂を分散すると、カーボンブラック単体よりも安定化することが分かっている。その理由は定かではないが、ポリウレタン樹脂がカーボンブラックの周りを囲み、保護コロイドとして寄与していると考えられている。その際、保護コロイドを最適に形成するには、カーボンブラックの表面酸性基の量とポリウレタン樹脂の官能基との間に関係があることが分かった。具体的には、上記のとおり、揮発分が8.0〜12.0%のカーボンブラックに対しては、酸価が60〜100のポリウレタン樹脂が好ましいことが分かった。
本発明のような組成のインクジェット記録用インクを用いて、シリコーン樹脂を含有する撥インク層を有するインクジェットヘッドを備えたインクジェット記録装置で印字した場合、通常は、インク中の着色剤及び水不溶性樹脂が乾燥することによって、撥インク層にインクが固着してしまうと考えられる。しかし、前記アニオン性自己乳化型のエーテル系ポリウレタン樹脂を含有する場合には、撥インク層とインクとの間で緩衝効果があるため、離型性は良好であり、ノズルプレートへの固着を防止でき、吐出安定性を向上させることができる。
本発明のインクジェット記録用インクには、湿潤剤を含有させることが好ましく、湿潤剤の沸点は180℃以上のものが好ましい。該湿潤剤を水系カーボンブラックインク中に含有していると、インク組成物の保水と湿潤性を確保することができ、その結果、水系カーボンブラックインクを長期間保存しても色材の凝集や粘度の上昇がなく、優れた保存安定性を実現できる。また、インクジェットプリンターのノズル先端等で開放状態に放置されても、乾燥物の流動性を長時間維持するインクジェット記録用インクが実現できる。更に印字中又は印字中断後の再起動時にノズルの目詰まりが発生することもなく、高い吐出安定性が得られる。
前記湿潤剤の具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−ブチルグリコール、3−メチル−1,3−ブチルグリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,5−ぺンタンジオール、1,6−へキサンジオール、グリセリン、1,2,6−へキサントリオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、エチル−1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ぺトリオール等の多価アルコール類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノべンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物;ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類;ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物類;プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等である。これらの湿潤剤は、単独で又は2種類以上混合して使用することができる。
前記湿潤剤の中でも、1,3−ブチルグリコール、3−メチル−1,3−ブチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール及び/又はグリセリンを用いると、インクの乾燥による目詰まり、即ち水分蒸発による噴射特性不良の防止、及び形成画像の彩度を向上する上で優れた効果が得られる。
本発明のインクジェット記録用インクには浸透剤を含有させてもよく、その例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレングリコールエステル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンデシルエーテル、アセチレン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等のノニオン系界面活性剤等が挙げられる。
このようなノニオン系界面活性剤の具体例としては、BTシリーズ(日光ケミカルズ)、ノニポールシリーズ(三洋化成)、D−,P−シリーズ(竹本油脂)、サーフィノールシリーズ(エアープロダクツ)、オルフィンシリーズ(日信化学)、EMALEX DAPEシリーズ(日本エマルジョン)、シリコーン系界面活性剤(東レダウコーニング等)、フッ素系界面活性剤(ネオス、住友3M、Dupont、ダイキン)等が挙げられる。
中でも特に、前記フッ素系界面活性剤をインクに含有させることによって、カーボンブラック微粒子、あるいは染料の安定性を阻害することなく、インクの紙への濡れ性を向上させることにより、発色性が高く、にじみの少ない画像が得られる。
前記フッ素系界面活性剤は、目的に応じて適宜選択することができ、例えばパーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルベタイン、パーフルオロアルキルアミンオキサイド化合物などが用いられる。これらの中でも、下記一般式(1)、及び一般式(2)で表される化合物が信頼性の観点からも特に好ましい。
Figure 0005245488
〔一般式(1)中、mは0〜10の整数、nは0〜40の整数を表す。〕
Figure 0005245488
〔一般式(2)中、Rfはフッ素含有基を表し、CF、CFCFなどが挙げられる。mは6〜25の整数、nは1〜4の整数、pは1〜4の整数を表す。〕
前記フッ素系界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
該市販品としては、例えばS−144、S−145(旭硝子社製);FC−170C、FC−430、フロラード−FC4430(住友スリーエム社製);FSO、FSO−100、FSN、FSN−100、FS−300(Dupont社製);FT−250、251(ネオス社製)などが挙げられる。これらの中でも、Dupont社製のFSO、FSO−100、FSN、FSN−100、FS−300が良好な印字品質、保存性を提供できるので好ましい。これらノニオン系のフッ素系界面活性剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記フッ素系界面活性剤のインク中への添加量は、0.1〜10重量%が好ましく、0.1〜5重量%がより好ましい。0.1重量%未満では、浸透性の向上に顕著な効果が現れず、10重量%を超えると、高温下で保存した時に粘度上昇、凝集等が起こり、信頼性が悪化することがある。
本発明のインクジェット記録用インクへのその他の添加成分としては特に制限はなく、必要に応じて適宜選択することができ、例えば、消泡剤、防腐防黴剤、pH調整剤、防錆剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸素吸収剤、光安定化剤などが挙げられる。
前記消泡剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばシリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが好適に挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点でシリコーン系消泡剤が好ましい。
前記防腐防黴剤としては、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、等が挙げられる。
前記pH調整剤としては、調合されるインクに悪影響を及ぼさずにpHを7以上に調整できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて任意の物質を使用することができる。その例としては、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属元素の水酸化物;水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、などが挙げられる。
前記防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト、などが挙げられる。
前記酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、などが挙げられる。
本発明のインクジェット記録用インクの物性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、体積平均粒径、粘度、表面張力、pH等が以下の範囲であることが好ましい。
体積平均粒径は、100〜200nmであることが好ましい。体積平均粒径が100nm未満になると、画像濃度やインク保存性がやや落ちてくるし、200nmを超えると、吐出安定性やインク保存性がやや落ちてくる。
粘度は、25℃で、5〜20mPa・sが好ましく、6〜15mPa・sがより好ましい。粘度が5mPa・s未満では、インクがミスト化し易く、紙に適正なインク量が着弾しない上にヘッド表面を汚す要因となる。また、20mPa・sを超えると、吐出安定性の確保が困難になることがある。
表面張力としては、25℃で、20〜40mN/mが好ましい。表面張力が、20mN/m未満であると、記録媒体上での滲みが顕著になり、安定した噴射が得られないことがあり、40mN/mを超えると、記録媒体へのインク浸透が十分に起らず、乾燥時間の長時間化を招くことがある。
pHは7〜10が好ましい。pHをこの範囲に調整すると、プリンター部材の接液による金属腐食、有機(ゴムなど)の膨潤を防ぐことができる。
本発明のインクジェット記録用インクは、作成後に、金属フィルター、メンブレンフィルター等を用いた減圧・加圧濾過や遠心分離機による遠心濾過を行って、粗大粒子、異物(ほこり・ごみ)等を除去することが好ましい。
本発明のインクジェット記録用インクの作成に使用できるメディアミルとしては、ビーズを用いることができる分散機であれば良く、特に限定されないが、例えば、Getzmann社製「TORUSMILL」、アシザワ社製「スターミル」、アイメックス社製「ビスコミル」、シンマルエンタープライゼス社製「ダイノミル」、三菱重工社製「ダイヤモンドファインミル」、コトブキ技研工業社製「アペックスメガ」、浅田鉄工社製「ピコミル」、ユーロテック社製「OBビーズミル」、三井鉱山社製「SCミル」等が挙げられる。
本発明のインクジェット記録用インクの作成に使用できるメディアレスミルとしては、特に制限されないが、例えば、プライミクス社製「T.K.フィルミックス」、スギノマシン社製「アルテマイザー」、エム・テクニック社製「CLEAR SS5」、「クレアミックスWモーション」、ユーロテック社製「キャビトロン」、シンマルエンタープライゼス社製「IKA DR2000」等が挙げられる。
本発明ではメディアミル分散の前にプレ分散として上記メディアレスミルを用いて分散しても良い。プレ分散により、特に1μm以上の粗大粒子の分散性がアップし、後のビーズミル分散時のカーボンブラック粒子の粒度分布における粒子径標準偏差がより小さくなるので好ましい。また、メディアミル分散の後に上記メディアレスミルを用いると、荒れたカーボンブラック表面が修復され、分散安定性が向上する。
本発明のインクジェット記録用インクを収容したインクカートリッジを形成することができ、該インクカートリッジを収容したインクジェット記録装置を用いて、記録信号に応じて該インクをオリフィスから吐出させ、被記録材に画像形成を行い、画像形成物を得ることができる。
なお、本発明のインクジェット記録用インクを用いて印字する手段としては、連続噴射型あるいはオンデマンド型の記録ヘッドを有する前記のインクジェット方式のプリンター(インクジェットプリンター)による印刷方式が挙げられる。オンデマンド型としては、例えば、ピエゾ方式、サーマルインクジェット方式、静電方式等が例示される。
前記インクジェット記録装置としては、インクジェットヘッドのノズルプレート面が、シリコーン樹脂を含有する撥インク層を有するものが知られている。シリコーン樹脂はSiとOからできたシロキサン結合を基本骨格とする樹脂であり、オイル、レジン、エラストマー等の種々の形態で市販されており、本発明で重要な撥インク性以外に、耐熱性、離型性、消泡性、粘着性等の種々の特性を備えている。シリコーン樹脂には常温硬化型、加熱硬化型、紫外線硬化型等があり、作製方法、使用用途に応じて選択できる。
シリコーン樹脂を含有する撥インク層をノズルプレート面上に形成する方法としては、液状のシリコーン樹脂材料を真空蒸着する方法、シリコーンオイルをプラズマ重合することにより形成する方法、スピンコート、ディッピング、スプレーコート等の塗布により形成する方法、電着法等が挙げられる。電着法を除き、ノズル孔及びノズル板裏面をフォトレジスト、水溶性樹脂等でマスキングし、撥インク層を形成した後、レジストを剥離除去すれば、ノズル板表面のみにシリコーン樹脂を含有する撥インク層を形成することができる。この場合、アルカリ性の強い剥離液を使用すると、撥インク層へダメージを与えるので、注意が必要である。
シリコーン樹脂を含む撥インク層の厚みは、0.1〜5.0μmが好ましく、0.1〜1.0μmがより好ましい。厚みが、0.1μm未満では、ワイピングに対する耐久性が悪化し、長期間使用時に撥インク性が低下してしまうことがあり、5.0μmを超えると、必要以上の厚みの撥インク層であるため製造コストが高くなる。
撥インク層の表面粗さ(Ra)は、0.2μm以下が好ましい。表面粗さRaを0.2μm以下にすることで、ワイピング時の拭き残しを低減することができる。
前記シリコーン系撥水材料が加熱硬化型の液状シリコーン樹脂又はエラストマーである場合には、基材表面に塗布し加熱処理して硬化させ撥インク性の皮膜を形成してもよい。
前記シリコーン系撥水材料が紫外線硬化型の液状シリコーン樹脂又はエラストマーである場合には、基材表面に塗布し、紫外線を照射して硬化させ撥インク性の皮膜を形成してもよい。
前記シリコーン系撥水材料の粘度は、1,000cp(センチポイズ)以下であることが好ましい。
撥インク層の臨界表面張力は5〜40mN/mが好ましく、5〜30mN/mがより好ましい。臨界表面張力が30mN/mを超えると、長期の使用においてノズルプレートがインクで濡れすぎる現象が生じるため、繰り返し印刷をしているとインクの吐出曲がりや粒子化異常が生じてしまうことがあり、40mN/mを超えると、初期からノズルプレートに対してインクが濡れすぎる現象が生じるため、初期からインクの吐出曲がりや粒子化異常が生じてしまうことがある。
ここで、臨界表面張力はZisman法により求めることができる。つまり表面張力が既知の液体を撥インク層の上にたらし、接触角θを測定し、液体の表面張力をx軸にcosθをy軸にプロットすると右肩下がりの直線が得られる(Zisman Plot)。この直線がY=1(θ=0)となるときの表面張力を臨界表面張力γcとして算出することができる。その他の方法としては、Fowkes法、Owens and Wendt法、Van Oss法を用いて臨界表面張力を求めることもできる。
上記インクカートリッジの形成、インクジェット記録装置の形成、画像形成方法については、例えば特開2000−198958号公報に記載されたものなど、当該技術分野における公知技術を適宜採用することができる。
また、本発明のインクジェット記録用インクで印字できる記録媒体としては、紙などのインク組成物に対して吸収性を有するもの、インク組成物に対して実質的に非吸収性のものの何れであっても構わない。その具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリサルフォン、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル等を基材とするプラスチックシート、黄銅、鉄、アルミニウム、SUS、銅等の金属表面又は非金属の基材に蒸着等の手法により金属コーティング処理をした記録媒体、紙を基材として撥水処理などがなされた記録媒体、無機質の材料を高温で焼成した、いわゆるセラミックス材料からなる記録媒体などが挙げられる。
このうち、紙が経済性の点と画像の自然さの点で最も好ましい。
本発明によれば、揮発分の多いカーボンブラックを用いた場合でも、酸価の高いポリウレタン樹脂を含有させることにより、吐出安定性、画像評価、保存安定性に優れたインクジェット記録用インクを提供できる。更に、該インクを用いたインクカートリッジ、画像形成方法、画像形成物を提供できる。
以下、実施例に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、実施例中の部数は重量部を表す。
実施例1〜25、比較例1′〜6′
No.1〜25、No.1′〜6′のインク種を以下の方法で作成した。
<カーボンブラック分散体の作成>
下記の混合物をプレミックスし、混合スラリーを得た。ディスクタイプのメディアミル(寿工業社UAM型)により、0.015mmジルコニアビーズ、充填率70%を用いて、周速6m/s、液温10℃で10分循環分散し、遠心分離機(久保田商事社製Model−7700)により粗大粒子を遠心分離し、カーボンブラック分散体を得た。

・カーボンブラック …175部
・ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物又は水溶性スチレンアクリル樹脂
…〔表1−1〕、〔表1−2〕に示す分散剤配合比による部数
・高純水 …残部

上記の方法で得られたカーボンブラック分散体を用いて、下記インク処方によりカーボンブラックインクを調整し、30分攪拌した後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、真空脱気して、実施例及び比較例のインクジェット記録用インクを得た。

<インク処方>
・顔料分散体(顔料濃度25%の場合、全固形分8%) …39.0部
・グリセリン …7.5部
・ジエチレングリコール … 15.0部
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール …3.0部
・2−ピロリドン …3.0部
・ポリオキシエチレン(3)アルキル(C13)エーテル酢酸ナトリウム
(日光ケミカルズ社製) …0.5部
・ポリウレタン樹脂 …2.0部
・蒸留水 …30.0部
〔表1−1〕、〔表1−2〕に、インク種、インクジェット記録用インクの体積平均粒径(nm)、カーボンブラックの揮発分(%)、カーボンブラックのDBP吸油量(cm/100g)、分散剤種、分散剤配合比(=分散剤重量÷カーボンブラック重量)、ウレタン樹脂種を示す。
また、表1−1、表1−2中の、分散剤種A〜F、ウレタン樹脂種a〜lの内容、物性は、それぞれ、〔表2〕〔表3〕に示すとおりである。
なお、カーボンブラックは、表面の化学特性を調整することで揮発分を変え、凝集度合いを調整することでDBP吸油量を変えたものである。
また、ポリウレタン樹脂種a〜lは、表面の官能基(−COOH基)の量を調整することで酸価を変え、モノマーの重合方法を調整することで重量平均分子量を変えたものであり、三井化学ポリウレタン社製である。
また、分散剤種のDはBASF社製、D以外は竹本油脂社製である。
Figure 0005245488
Figure 0005245488
Figure 0005245488
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リコー社製インクジェットプリンター:IPSiO GX 3000用インクパックにインクを充填して、インクカートリッジを作製した。使用するノズルプレートの製造例を以下に示す。
(製造例1)
−ノズルプレート1の作製−
Ni電鋳ノズル表面上に、シリコーン樹脂(東レダウコーニングシリコーン社製:SR2411)をディスペンサで塗布しシリコーン層を形成した。この際、ノズル孔及びノズルプレート裏面を水溶性樹脂でマスキングし、シリコーン層を形成した後、剥離除去した。これをそのまま常温で2日間放置して硬化させ、厚み1.2μmの撥インク層を有するノズルプレート1を作製した。得られた撥インク層の表面粗さ(Ra)は0.18μm、臨界表面張力は21.6mN/mであった。撥インク層の厚みは、光学式膜厚計(ラムダエースVM−8000J、大日本スクリーン製造社製)により測定した。また、撥インク層の表面粗さは、触針式表面粗さ計(Dektak3−ST、Veeco社製)により測定した。また、撥インク層の臨界表面張力は、Zisman法により測定した。
(製造例2)
−ノズルプレート2の作製−
シリコーン樹脂を、信越化学工業社製:KBM7803に変えた点以外は、製造例1と同様にして、厚み1.0μmの撥インク層を有するノズルプレート2を作製した。製造例1と同様にして測定した撥インク層の表面粗さ(Ra)は0.22μm、臨界表面張力は16.9mN/mであった。
(比較製造例1)
−ノズルプレート3の作製−
Ni電鋳ノズル表面上にシリコーン樹脂からなる撥インク層を形成しなかった点以外は、製造例1と同様にして、ノズルプレート3を作製した。
ゼロックス社製PPC用紙XEROX4024に印字し、印字画像をXrite濃度計で測定した。また、吐出安定性、インク保存性についても下記試験法により評価した。
測定結果を表4−1、表4−2に示す。
なお、比較例7は、ノズルプレート1に代えて、ノズルプレート3を用いた点以外は、実施例3と同様にして評価を行ったものである。

評価1:吐出安定性
プリンタを恒温恒湿槽に入れ、槽内の環境を32℃、30%RHに設定し、下記の印刷パターンチャートを20枚連続で印字した後、20分間印字を実施しない休止状態にし、これを50回繰り返し、累計で1,000枚印写した後、ノズルプレートを顕微鏡で観察し、下記の基準で固着の程度を判断した。
○:ノズル近傍に固着なし
△:ノズル近傍に液がミストで存在する
×:ノズル近傍に固着あり

−印刷パターンチャート−
印刷パターンは、画像領域中、印字面積が、紙面全面積中、各色印字面積が5%であるチャートにおいて、各インクを用いて100%dutyで印字した。印字条件は、記録密度300dpi、ワンパス印字とした。

評価2:画像評価
画像濃度は、画像サンプルのベタ画像の色をXrite濃度計で測定し、下記の基準で評価した。
○:1.30以上
△:1.20以上1.30未満
×:1.20未満

評価3:インク保存性
各インクをポリエチレン容器に入れて密封し、70℃で3週間保存した後の粒径、表面張力、粘度を測定し、初期物性との変化率により、下記の基準で評価した。
○:10%以内
△:30%以内
×:50%を超える
Figure 0005245488
Figure 0005245488
以上の実施例・比較例の結果から、カーボンブラックの揮発分が8.0〜12.0%であり、ポリウレタン樹脂の酸価が60〜100であるインクは、揮発分が8.0%未満であるインク(比較例1)や、12.0%を超えるインク(比較例6)に比べて吐出安定性及び画像評価に優れ、酸価が60未満であるインク(比較例2,4)や、100を超えるインク(比較例3,5)に比べ、インク保存性に優れていることが分かった。
更に、カーボンブラックのDBP吸油量が300〜750cm/100gである場合には、DBP吸油量が300cm/100g未満である場合(実施例20)や、750cm/100gを超える場合(実施例21)に比べて画像評価に優れていることが分かった。
加えて、分散剤がナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物であり、該縮合物における、ナフタレンスルホン酸の2量体、3量体、4量体の合計含有量が20〜80重量%であり、該縮合物の配合比が、カーボンブラック1に対し0.01〜2(重量比)である場合には、分散剤が水溶性スチレンアクリル樹脂である場合(実施例29)に比べてインク保存性に優れ、該合計含有量が20未満である場合(実施例8)や80を超える場合(実施例9)に比べてインク保存性に優れ、該縮合物の配合比が0.01未満である場合(実施例12)や2を超える場合(実施例13)に比べてインク保存性に優れていることが分かった。
更に、ポリウレタン樹脂が、重量平均分子量10000〜30000のアニオン性自己乳化型のエーテル系ポリウレタン樹脂である場合には、ポリウレタン樹脂がカーボネート型である場合(実施例14)、エステル型である場合(実施例15)、及びノニオン性自己乳化型である場合(実施例26)に比べてインク保存性に優れ、重量平均分子量が10000未満である場合(実施例16)に比べてインク保存性に優れ、重量平均分子量が30000を超える場合(実施例17)に比べて吐出安定性に優れていることが分かった。
加えて、インクの体積平均粒径が100〜200nmである場合には、体積平均粒径が100nm未満である場合(実施例24)に比べて画像評価及びインク保存性に優れ、体積平均粒径が200nmを超える場合に比べて吐出安定性に優れていることが分かった。

Claims (8)

  1. 少なくともカーボンブラック、分散剤、ポリウレタン樹脂、水からなり、該カーボンブラックの揮発分が8.0〜12.0%であり、該ポリウレタン樹脂の酸価が60〜100であることを特徴とするインクジェット記録用インク。
  2. 前記カーボンブラックのDBP吸油量が300〜750cm/100gであることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用インク。
  3. 前記分散剤がナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物であり、該縮合物における、ナフタレンスルホン酸の2量体、3量体、4量体の合計含有量が20〜80重量%であり、該縮合物の配合比が、カーボンブラック1に対し0.01〜2(重量比)であることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録用インク。
  4. 前記ポリウレタン樹脂が、重量平均分子量10000〜30000のアニオン性自己乳化型のエーテル系ポリウレタン樹脂であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のインクジェット記録用インク。
  5. 請求項1〜の何れかに記載のインクジェット記録用インクを収容したことを特徴とするインクカートリッジ。
  6. 請求項1〜の何れかに記載のインクジェット記録用インクを用い、シリコーン樹脂を含有する撥インク層を有するインクジェットヘッドを少なくとも備えたインクジェット記録装置を用いて画像支持体に印字することを特徴とする画像形成方法。
  7. 請求項に記載の画像形成方法で印字されたことを特徴とする画像形成物。
  8. 画像支持体が紙であることを特徴とする請求項に記載の画像形成物。
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