JP5243784B2 - 作業車の走行制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、バッテリを電源とする誘導モータにより左右の車輪を駆動する作業車の走行制御装置に関し、特に誘導モータの作動制御をインバータにより行う作業車の走行制御装置に関する。
工場内における運搬作業や建物の内装工事等に用いられる自走式の作業車においては、種々の形態のものがあるが、前後左右に車輪を備えた比較的小型の走行体と、この走行体上に設けられた昇降装置(シザースリンク機構や伸縮ポスト等)と、この昇降装置を上下方向に伸縮作動させて昇降移動可能に取り付けられた作業台とを備えたものが知られている。このような作業車では、作業台に搭乗した作業者が、作業台上から走行体の走行操作及び作業台の昇降操作を行うことができるようになっている(例えば、特許文献1を参照)。
特開2007−99439号公報
上記のような屋内型の作業車では、排気ガスや騒音発生を嫌うため、走行体に内蔵されたバッテリを電源として、左右の駆動輪のそれぞれに設けられた誘導モータ(走行モータ)を駆動している。バッテリには容量に制限があり、またバッテリへの充電作業は所定の場所で所定の時間をかける必要があるため、一旦走行や作業を開始した後では難しい。そこで、バッテリを電源とする作業車では、各誘導モータの制御を作業車の走行状態に応じて誘導モータ毎に設けたインバータによってそれぞれ単独に行い、各誘導モータを最適な回転数で駆動することで、バッテリ電力の消耗を効果的に低減している。しかしながら、インバータが誘導モータ毎に設けられているため、制御が煩雑であり、高コストに繋がるという問題があった。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、インバータの制御によりバッテリからの電力供給を受けて駆動される誘導モータが車輪を駆動する作業車において、制御の簡素化・低コスト化に努めながら、バッテリ電力を効率よく使用することができる作業車の走行制御装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明に係る作業車(例えば、本実施形態における高所作業車1)の走行制御装置は、前後左右に車輪を備え、前記車輪のうちの前側もしくは後側の左右一対の前記車輪が駆動輪である走行体と、前記左右一対の駆動輪をそれぞれ独立に駆動する2つの誘導モータ(例えば、本実施形態における走行モータ12a,12b)と、前記2つの誘導モータに電力を供給するためのバッテリと、操作に応じて前記走行体の走行指令値を設定する走行操作手段(例えば、本実施形態における走行操作レバー41)と、前記バッテリからの直流電力を交流電力に変換して前記2つの誘導モータに供給し、前記2つの誘導モータの回転を共通に駆動するインバータと、前記走行指令値に基づき設定された指令周波数の交流電流を前記2つの誘導モータに出力するように、前記インバータの作動制御を行うインバータ制御手段(例えば、本実施形態におけるコントローラ50のインバータ制御部51)と、前記走行体の傾斜角を検出する傾斜角検出手段(例えば、本実施形態における傾斜角検出器62)と、前記誘導モータの電流を検出するモータ電流検出手段(例えば、本実施形態におけるモータ電流検出器65)とを備え、前記インバータ制御手段は、前記傾斜角検出手段により検出された傾斜角が所定角以上のときに、前記モータ電流検出手段により検出された前記誘導モータの電流値が、前記傾斜角に応じて予め設定される許容電流値以下の場合、前記インバータの作動を停止させるとともに、前記インバータ制御手段により前記インバータの作動を停止させたときに、前記前側もしくは後側の左右一対の前記車輪のうち少なくとも一方を制動する制動手段(例えば、本実施形態におけるネガティブブレーキ14)を有することを特徴とする。
なお、本発明に係る作業車の走行制御装置は、前記走行体上に設けられ、上下方向に伸縮作動させて昇降移動可能に取り付けられた昇降装置(例えば、本実施形態におけるシザースリンク機構20)と、前記昇降装置が前記走行体上に格納されているか否かを検出する格納検出手段(例えば、本実施形態における格納検出器67)とを備え、前記インバータ制御手段は、前記傾斜角検出手段により検出された傾斜角が所定角以上で、前記格納検出手段により前記昇降装置の格納状態が検出されているときに、前記モータ電流検出手段により検出された前記誘導モータの電流値が、前記傾斜角に応じて予め設定される許容電流値以下の場合、前記インバータの作動を停止させることが好ましい。
また、本発明に係る作業車の走行制御装置は、前記誘導モータの巻線温度を検出するモータ温度検出手段(例えば、本実施形態におけるモータ温度検出器64)を備え、前記インバータ制御手段は、前記傾斜角検出手段により検出された傾斜角が所定角以上のときに、前記モータ温度検出手段により検出された前記誘導モータの巻線温度が予め設定された許容温度以上の場合、前記走行指令値に基づき設定される周波数を、前記検出された誘導モータの巻線温度に応じて抑制し、この抑制した周波数を指令周波数として設定する、いわゆるカットバック機能を備えることが好ましい
また、本発明に係る作業車の走行制御装置は、前記走行体上に設けられ、上下方向に伸縮作動させて昇降移動可能に取り付けられた昇降装置(例えば、本実施形態におけるシザースリンク機構20)と、前記昇降装置が前記走行体上に格納されているか否かを検出する格納検出手段(例えば、本実施形態における格納検出器67)とを備え、前記インバータ制御手段は、前記傾斜角検出手段により検出された傾斜角が所定角以上で、前記格納検出手段により前記昇降装置の格納状態が検出されているときに、前記モータ温度検出手段により検出された前記誘導モータの巻線温度が予め設定された許容温度以上の場合、前記走行指令値に基づき設定される周波数を、前記検出された誘導モータの巻線温度に応じて抑制し、この抑制した周波数を指令周波数として設定することが好ましい。
本発明に係る作業車の走行制御装置は、1台のインバータで一括して車輪を駆動する2つの誘導モータの作動制御を行うように構成されているため、制御システムの簡素化且つ低コスト化を図ることができる。また、走行体の傾斜角が所定角以上のときに、誘導モータの電流値が予め設定される許容電流値以下になると、インバータの作動を停止させる構成により、カットバック機能が働き、誘導モータがトルク電流不足に陥って、走行体が傾斜地において逸走する前に、誘導モータの作動を停止させて、作業の安全性を確保することができる。また、インバータ制御手段によりインバータの作動を停止させたときに、前側もしくは後側の左右一対の車輪のうち少なくとも一方を制動する制動手段(いわゆるネガティブブレーキ)を備える構成により、傾斜地走行時に、誘導モータの電流値が予め設定される許容電流値以下になり、インバータの作動を停止させる場合、すなわち誘導モータの作動を停止させる場合には、制動手段を作動させて車輪の回転を止めて、ロールバックを防止して、作業の安全性を高めることができる。
なお、本発明に係る作業車の走行制御装置は、前記走行体上に設けられ、上下方向に伸縮作動させて昇降移動可能に取り付けられた昇降装置と、前記昇降装置が前記走行体上に格納されているか否かを検出する格納検出手段とを備え、前記インバータ制御手段は、前記傾斜角検出手段により検出された傾斜角が所定角以上で、前記格納検出手段により前記昇降装置の格納状態が検出されているときに、前記モータ電流検出手段により検出された前記誘導モータの電流値が、前記傾斜角に応じて予め設定される許容電流値以下の場合、前記インバータの作動を停止させることが好ましい。この構成により、傾斜地走行時に、誘導モータの電流値が予め設定される許容電流値以下になり、インバータの作動を停止させる場合は、昇降装置が走行体上に格納されていることが条件となるため、作業の安全性をさらに高めることができる。
また、本発明に係る作業車の走行制御装置は、走行体の傾斜角が所定角以上のときに、誘導モータの巻線温度が予め設定された許容温度以上になると、走行指令値に基づき設定される周波数を検出された誘導モータの巻線温度に応じて抑制し、この抑制した周波数を指令周波数として設定するカットバック機能を備える構成により、傾斜走行時に誘導モータに不具合が起きることを未然に防いで、傾斜地における走行体の逸走を防止して、作業の安全性を高めることができる。
また、本発明に係る作業車の走行制御装置は、前記走行体上に設けられ、上下方向に伸縮作動させて昇降移動可能に取り付けられた昇降装置と、前記昇降装置が前記走行体上に格納されているか否かを検出する格納検出手段とを備え、前記インバータ制御手段は、前記傾斜角検出手段により検出された傾斜角が所定角以上で、前記格納検出手段により前記昇降装置の格納状態が検出されているときに、前記モータ温度検出手段により検出された前記誘導モータの巻線温度が予め設定された許容温度以上の場合、前記走行指令値に基づき設定される周波数を、前記検出された誘導モータの巻線温度に応じて抑制し、この抑制した周波数を指令周波数として設定することが好ましい。この構成により、傾斜地走行時に、誘導モータの巻線温度に応じてカットバック機能が働く場合、昇降装置が走行体上に格納されていることが条件となるため、作業の安全性をより高めることができる。
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施形態について説明する。図1に示すように本発明に係る作業車の制御装置を備えた高所作業車1は、いわゆる垂直昇降式の高所作業車であり、前後左右に設けられた4つのタイヤ車輪11を有して走行可能な走行体10と、走行体10の上部に設けられたシザースリンク機構20と、このシザースリンク機構20に支持された作業者搭乗用の作業台30とを備えて構成される。
タイヤ車輪11のうち前側の左右一対の車輪11a,11b(以下、左側前輪11a、右側前輪11bと称する)が、駆動輪且つ操舵輪である。走行体10は、左右一対の前輪11a,11bをそれぞれ独立に駆動する2つの走行モータ(誘導モータ)12a,12b(以下、左走行モータ12a,右走行モータ12bと称する。図2参照)を内蔵しており、走行モータ12a,12bにより前側の左右一対の車輪11a,11bをそれぞれ駆動するとともに、これら車輪11a,11bを操舵することによって、所望位置へと走行できるようになっている(図3参照)。なお、走行モータ12a,12bには、モータの回転軸を制動ロックする、いわゆるネガティブブレーキ14が一体的に取り付けられている。また、後側の左右一対の車輪11c,11d(以下、左側後輪11c、右側後輪11dと称する)は、非駆動輪であり、走行体10の左右側面よりそれぞれ突出するように設けられた軸19(図3参照)に、各々取り付けられている。
なお、本実施形態においては、走行モータ12a,12bは、旋回時における内外輪の回転差により発生するトルク差を小さくするとともに、バッテリBのエネルギーを効率よく使用するため、図7の丸印に示すように、(無負荷時の)低周波数帯域における始動トルクが小さいという特性を有している。
シザースリンク機構20は、互いの中央部において枢結ピン20bにより枢結されて「X」字形状を形成する2本のリンク部材20aが上下方向及び走行体10の左右方向に複数ずつ配設された構成を有している。上側に位置するリンク部材20aの下端部と下側に位置するリンク部材20aの上端部とは枢結ピン20cによって枢結されており、左側に位置するリンク部材20aと右側に位置するリンク部材20aとは水平面内を走行体10の左右方向に延びた連結棒20dによって連結されている。シザースリンク機構20を構成する最下方のリンク部材20aのうち、走行体10の前方に位置する側の下端部は走行体10の上部に枢結されており、シザースリンク機構20を構成する最下方のリンク部材20aのうち、走行体10の後方に位置する側の下端部は走行体10の上部に設けられたレール(図示せず)の上面を転動するローラ20eに結合されている。また、シザースリンク機構20を構成する最上方のリンク部材20aのうち、走行体10の前方に位置する側の上端部は作業台10の下部に枢結されており、シザースリンク機構20を構成する最上方のリンク部材20aのうち、走行体10の後方に位置する側の上端部は作業台30の下面に設けられたレール(図示せず)の下面を転動するローラ20fに結合されている。このような構成のシザースリンク機構20は、該機構20と走行体10との間に跨設された昇降シリンダ21により上下方向に伸縮作動させ、作業台30を昇降移動させることができるようになっている。
作業台30には、作業者の転落防止用のための手摺31に、操作ボックス40が取り付けられている。操作ボックス40は、走行体10の発進停止及び前進後退の切り替え等を行う走行操作レバー41と、走行中の走行体10の舵取り(すなわち、操舵輪である前輪11a,11bの操舵)操作を行う操舵ダイヤル42と、作業台30の昇降操作を行う昇降操作レバー43等が設けられている(図2参照)。そして、作業台30に搭乗した作業者は、これら走行操作レバー41,操舵ダイヤル42及び昇降操作レバー43等を操作し、走行体10の走行、操舵及び作業台30の昇降を行うことにより、任意の作業位置に移動できるようになっている。
操舵輪でもある左右の前輪11a,11bと操舵ダイヤル42とは、ステアリング装置を介して連動連結されている(図3参照)。ステアリング装置は、前輪11a,11bに繋がる転舵機構13と、この転舵機構13を駆動して前輪11a,11bの舵角γ,γ(前輪11a,11bの走行体10の前後中心軸に対する偏向角。図4参照)を変化させる操舵シリンダ(油圧シリンダ)17と、左右一対の前輪11a,11bに取り付けられ前輪11a,11bの舵角を検出する舵角検出器61(例えば、ポテンショメータ)と、前輪11a,11bの目標舵角を設定する操舵ダイヤル42と、操舵ダイヤル42の操作に応じて操舵シリンダ17の作動制御を行うコントローラ50とを備えて構成されている。
転舵機構13は、図3に示すように、前輪11a,11bをキングピン軸15の周りに揺動可能に支持する一対のナックルアーム14n、及び、前記一対のナックルアーム14nを連結ピンP1により連結するタイロッド16からなる。舵角検出器61は、ナックルアーム14nに取り付けられており、キングピン軸15回りの回転角から、左右それぞれの前輪11a,11bの舵角を検出する。操舵シリンダ17は、一端が転舵機構13を構成する左側のナックルアーム14nに連結ピンP2により連結され、他端が走行体10のシリンダ連結部(図示せず)に連結ピンP3により連結されている。
このような構成により、上記のステアリング装置では、操舵シリンダ17を伸縮作動させることにより、左側の前輪11aをキングピン軸15の周りを揺動させ、タイロッド16を介して右側の前輪11bを左側の前輪11aと同時且つ同方向に揺動させ、前輪(操舵輪)11a,11bの舵角を変化させることができるようになっている。つまり、操舵シリンダ17は、伸長作動により左右の前輪11a,11bを右方向に向けることができ、収縮作動により左右の前輪11a,11bを左方向に向けることができるようになっている。
このとき、左右一対の前輪11a,11bは、転舵機構13による走行体10の旋回時に舵角に差が生じるように(具体的には、内輪の舵角の大きさが常に一定の比率で外輪の舵角の大きさよりも大きくなるように)設定されている。図4を用いて説明すると、操舵シリンダ17は、伸縮量Δが零(Δ=0)のときは、左右の前輪11a,11bの舵角γ,γがともに零(γ=0,γ=0)となる(図4(A)参照)。また、前輪11a,11bが右方向に偏向した状態の舵角の符号を正、前輪11a,11bが左方向に偏向した状態の舵角の符号を負と定義すると、伸長量Δが正値(Δ>0)のときには、左右の前輪11a,11bの舵角γ,γは正値(γ>0,γ>0)となり(図4(B)参照)、転舵機構13が持つ特性により左側の前輪11aの舵角γと右側の前輪11bの舵角γとの関係は|γ|<|γ|となる。また、伸縮量Δが負値(Δ<0)のときには、前輪11a,11bの舵角γ,γは負値(γ<0,γ<0)となり(図4(C)参照)、転舵機構13が持つ特性により左側の前輪11aの舵角γと右側の前輪11bの舵角γとの関係は|γ|>|γ|となる。
なお、高所作業車1における旋回中心は、後輪11c,11dのほぼ軸線上にあり、舵角に応じて無限遠(舵角ゼロ=直進時)から後輪側に移動する(図6(A)参照)。そして、舵角が最大となったとき、本発明では、右旋回が行われていれば右側の非駆動輪(右側後輪)11dが旋回中心となり(図6(B)参照)、左旋回が行われていれば左側の非駆動輪(左側後輪)11cが旋回中心となるように(図6(C)参照)構成されている。
次に、上記構成の高所作業車1において、操作ボックス40内に備えられたレバー及びダイヤルの操作に対応した走行制御について、図2を用いて説明する。なお、図2には、走行体10の走行・操舵及び作業台30の昇降に関する信号及び動作の伝達経路を示している。
作業台30の操作ボックス40内に備えられた走行操作レバー41は、非操作状態において中立位置(図5に示すように垂直姿勢の位置)に位置し、この中立位置を基準に前方或いは後方へ傾動操作することができ、傾動操作状態から手を離したときには内蔵されたスプリングの力によって自動で中立位置に復帰する構成となっている。走行操作レバー41の操作状態(非操作状態を中立位置とし、この中立位置を基準とした操作方向と操作量)は、操作ボックス40内に設けられたポテンショメータ等からなる進行停止操作検出器41aによって検出される。進行停止操作検出器41aが検出した走行操作レバー41の操作状態の情報は、(作業台30もしくは走行体10に備えられた)コントローラ50のインバータ制御部51に入力されるようになっている。
なお、走行操作レバー41の中立位置よりも前方への傾動操作は、走行体10の前進走行指令に相当し、その傾動操作量が大きい程、コントローラ50のインバータ制御部51において前進走行時の走行速度が大きい値に設定される。また、走行操作レバー41の中立位置よりも後方への傾動操作は、走行体10の後退走行指令に相当し、その傾動操作量が大きい程、コントローラ50のインバータ制御部51において後進走行時の走行速度が大きい値に設定される。なお、本実施形態では、走行操作レバー41が前方に傾動操作される場合においても後方に傾動操作される場合においても(すなわち、前進側においても後進側においても)インバータ制御部51により無段階に変速するようになっており、走行体10が前進走行や後進走行するとともに前進側においても後進側においても無段階に変速して走行できるように構成されている。また、走行操作レバー41の中立位置への復帰操作は、走行体10の停止指令に相当する。
操舵ダイヤル42は、非操作状態において中立位置(図5に示すように、操舵ダイヤル42に記されたマークM1と操作ボックス40に記されたマークM2とが一致する位置)に位置し、この中立位置を基準に右回り(時計回り)或いは左回り(反時計回り)に捻り操作することができるようになっている。また、操舵ダイヤル42は、捻り操作状態から手を離したときには、内蔵されたスプリングの力によって自動で中立位置に復帰する構成となっている。操舵ダイヤル42の操作状態(中立位置を基準とした操作方向と操作量)は、操作ボックス40内に設けられたポテンショメータ等からなる操舵操作検出器42aによって検出される。操舵操作検出器42aが検出した操舵ダイヤル42の操作情報は、コントローラ50の操舵制御部52に入力されるようになっている。
なお、操舵ダイヤル42の右回り方向への捻り操作は、前輪11a,11bの右方向への操舵指令に相当し、中立位置から右回り方向へ捻り操作量が大きい程、コントローラ50の操舵制御部52において右方向への目標舵角が大きい値に設定される。また、操舵ダイヤル42の左回り方向への捻り操作は、前輪11a,11bの左方向への操舵指令に相当し、中立位置から左回り方向への捻り操作量が大きい程、コントローラ50の操舵制御部52において左方向への目標舵角が大きい値に設定される。また、操舵ダイヤル42の中立位置への復帰操作は、前輪11a,11bの舵角を零の状態(すなわち、γ=γ=0の状態。図4(A)参照)にする指令に相当する。
昇降操作レバー43は、非操作状態において中立位置(図5に示すように垂直姿勢の位置)に位置し、この中立位置を基準に前方或いは後方へ傾動操作することができるようになっている。また、昇降操作レバー43は、傾動操作状態から手を放したときには、内蔵されたスプリングの力によって自動で中立位置に復帰する構成となっている。昇降操作レバー43の操作状態(中立位置を基準とした操作方向と操作量)は、操作ボックス40内に設けられたポテンショメータ等からなる昇降操作検出器43aによって検出される。昇降操作検出器43aが検出した昇降操作レバー43の操作状態の情報は、コントローラ50の昇降制御部53に入力されるようになっている。
なお、昇降操作レバー43の中立位置よりも前方への傾動操作は、作業台30の下降指令に相当し、その傾動操作量が大きい程、コントローラ50の昇降制御部53において作業台30の下降時における目標作動速度が大きい値に設定される。また、昇降操作レバー43の中立位置よりも後方への傾動操作は、作業台30の上昇指令に相当し、その傾動操作量が大きい程、コントローラ50の昇降制御部53において作業台30の上昇時における目標作動速度が大きい値に設定される。また、昇降操作レバー43の中立位置への復帰操作は、作業台30の停止指令に相当する
走行体10には、その内部に左右一対の駆動輪11a,11bをそれぞれ独立に駆動する2つの走行モータ(誘導モータ)12a,12bと、これら2つの走行モータ12a,12bに電力を供給するためのバッテリBと、バッテリBからの直流電力を交流電力に変換して2つの走行モータ12a,12bに供給し、これら2つの走行モータ12a,12bの回転を共通に駆動するインバータIVとが設けられており(図2参照)、コントローラ50のインバータ制御部51は、走行操作レバー41の操作状態に応じた回転方向及び回転数で、2つの走行モータ12a,12bが共通に回転するように、インバータIVの作動制御を行うので、作業台30上の作業者は、走行操作レバー41の操作によって、走行体10の発進停止及び進行方向(前進後退)の切り替えと走行速度の設定とを行うことができる。
走行体10には、その内部に電動モータMからなる動力源によって駆動される油圧ポンプP(図2参照)が設けられており、この油圧ポンプPから吐出された圧油は、操舵制御バルブ71経由で操舵シリンダ17に供給されるようになっており(図4参照)、コントローラ50の操舵制御部52は、操舵ダイヤル42の操作状態に応じた方向及び量で、操舵制御バルブ71のスプール(図示せず)を電磁駆動するので、作業台30上の作業者は、操舵ダイヤル42の操作によって、操舵シリンダ17を伸縮作動させ、前輪11a,11bの操舵を行い、走行体10の旋回方向の設定を行うことができる。
また、油圧ポンプPから吐出された圧油は、昇降制御バルブ72経由で昇降シリンダ23に供給されるようになっており、コントローラ50は、昇降操作レバー43の操作状態に応じた方向及び量で、昇降制御バルブ72のスプール(図示せず)を電磁駆動するので、作業台30上の作業者は、昇降操作レバー43の操作によって、昇降シリンダ21を伸縮作動させ、作業台30の昇降移動を行うことができる。
なお、走行体10には、左右一対の前輪11a,11bのキングピン軸15の周りの回転角から前輪11a,11bの舵角を検出する舵角検出器61と、走行体10の傾斜角を検出する傾斜角検出器62と、バッテリBの電圧を検出するバッテリ電圧検出器63と、走行モータ12a,12bの巻線温度を検出するモータ温度検出器64と、走行モータ12a,12bの電流を検出するモータ電流検出器65とが設けられている。また、シザースリンク機構20には、昇降シリンダ21の作動速度等から作業台30の昇降速度を検出する昇降速度検出器66と、該リンク機構20が走行体10上に格納されているか否かを検出する格納検出器67とが設けられている。これら検出器61〜67により検出された情報は、いずれもコントローラ50に入力されるようになっている。
コントローラ50は、インバータ制御部51と、操舵制御部52と、昇降制御部53とから構成されている。
インバータ制御部51は、進行停止操作検出器41aにより検出された走行操作レバー41の操作状態(中立位置を基準とした操作方向及び操作量)の情報が入力されると、その検出された走行操作レバー41の操作状態に応じたモータの回転数(すなわち速度)及び回転方向で、2つの走行モータ12a,12bが共通して回転するように、インバータIVの作動制御を行う。また、舵角検出器61による検出結果に基づき、操舵されたと判定された場合(例えば、駆動輪11a,11bの舵角が所定角度以上になった場合)に、走行モータ12a,12bの回転数に対する出力トルク特性が緩やかになるように、インバータIVによる走行モータ12a,12bの駆動制御(いわゆるリブースト制御)を行うように構成されている。
さらに、インバータ制御部51には、図8に示すように、予め4つのインバータ制御パターンA〜Dが設定されており、走行体10の傾斜角とシザースリンク機構20の格納状態に応じていずれかのパターンを選択し、実行する。
制御パターンAには、インバータ制御部51が、傾斜角検出器62により検出された走行体10の傾斜角が所定角未満で、格納検出器62によりシザースリンク機構20の格納状態が検出されているときは、初期値をほぼゼロとして走行指令値の増加に応じて増加させた周波数を指令周波数として設定するように構成されている。
制御パターンBには、インバータ制御部51が、傾斜角検出器62により検出された走行体10の傾斜角が所定角以上で、格納検出器62によりシザースリンク機構20の格納状態が検出されているときは、走行体10の傾斜角に応じて予め設定されている走行体10の逸走防止に必要なトルクを発生させる最小周波数を初期値として、走行指令値の増加に応じて増加させた周波数を指令周波数として設定するように構成されている。
なお、制御パターンAおよびBには、インバータ制御部51が、走行操作レバー41の操作に係わらず、走行体10の傾斜角に応じて予め設定されている走行体10の逸走防止に必要なトルクを発生させる最大周波数を上回らないように、指令周波数を設定している。
制御パターンCには、インバータ制御部51が、傾斜角検出器62により検出された走行体10の傾斜角が所定角未満で、格納検出器62によりシザースリンク機構20の格納状態が検出されていないときは、初期値をほぼゼロとして走行指令値の増加に応じて増加させた周波数を指令周波数として設定するように構成されている。但し、指令周波数が所定周波数を上回る際は、走行操作レバー41の操作に係わらず、所定周波数を上回らないように)指令周波数が設定される。
制御パターンDには、インバータ制御部51が、傾斜角検出器62により検出された走行体10の傾斜角が所定角以上で、格納検出器62によりシザースリンク機構20の格納状態が検出されていないときは、インバータIVの作動を規制するように構成されている。
また、インバータ制御部51は、傾斜地走行時に、バッテリBが所定値よりも低電圧あるいは高電圧となったとき、あるいは走行モータ12a,12bの巻線温度が所定値よりも高くなったときには、これら検出値に基づいて予め設定されているカットバック率に応じて、走行指令値に基づいて得られる周波数を抑制し、この抑制した周波数を指令周波数に設定し、モータの出力トルクを確保して逸走を防止する、いわゆるカットバック機能を有している。
より具体的には、インバータ制御部51は、傾斜角検出器62により検出された走行体10の傾斜角が所定角以上で、格納検出器62によりシザースリンク機構20の格納状態が検出されているときに、バッテリ電圧検出器63により検出されたバッテリBの電圧値が予め設定された許容電圧値の範囲外の場合、前記検出されたバッテリBの電圧値に応じて走行指令値に基づいて得られる周波数を抑制し、この抑制した周波数を指令周波数として設定する。
例えば、許容電圧値を20V以上〜30V未満として設定し、図9に示すように、この許容電圧値の範囲内にあるときはカットバック率は0%(このときは走行指令値に基づいて得られる周波数をそのまま指令周波数として設定する)として、許容範囲外であり検出値が0〜18V未満もしくは35V以上のときはカットバック率は100%として設定される。また、同じく許容範囲外であり、検出値が18V以上〜20V未満のときは、100%を初期値として検出値の増加に応じて減少するように、検出値が30V以上〜35V未満のときは0%を初期値として検出値の増加に応じて増加するように、カットバック率が設定される。インバータ制御部51は、このように設定されたカットバック率に応じて、走行指令値に基づいて得られる周波数を抑制し、この抑制した周波数を指令周波数としている。
また、インバータ制御部51は、傾斜角検出器62により検出された走行体10の傾斜角が所定角以上で、格納検出器62によりシザースリンク機構20の格納状態が検出されているときに、モータ温度検出器64により検出された走行モータ12a,12bの巻線温度が予め設定された許容温度以上の場合、走行指令値に基づき設定される周波数を、前記検出された走行モータ12a,12bの巻線温度に応じて抑制し、この抑制した周波数を指令周波数として設定する。
例えば、許容温度を0℃〜120℃に設定し、図10に示すように、検出された巻線温度がこの許容温度範囲内であるときは0%として(このときは走行指令値に基づいて得られる周波数をそのまま指令周波数として設定する)、許容範囲外であり巻線温度が120℃以上〜150℃未満のときは、検出温度と許容上限温度(=120℃)との差に比例するように、150℃以上のときは100%としてカットバック率が設定される。インバータ制御部51は、このように設定されたカットバック率に応じて、走行指令値に基づいて得られる周波数を抑制し、この抑制した周波数を指令周波数としている。
上記のカットバック機能が働いたときに、出力トルク不足になって走行体10が傾斜地を後退することを防ぐため、インバータ制御部51は、傾斜角検出器62により検出された走行体10の傾斜角が所定角以上で、格納検出器62によりシザースリンク機構20の格納状態が検出されているときに、モータ電流検出器65により検出された走行モータ12a,12bの電流値が、走行体10の傾斜角に応じて予め設定される許容電流値以下の場合、インバータIVの作動を停止させる。なお、本実施形態では、傾斜地走行時にインバータIVの作動が停止して、走行モータ12a,12bの作動が止まると、該モータ12a,12bに取り付けられているネガティブブレーキ14が作動するように構成されている。
ここで、走行操作レバー41の操作量と、インバータ制御部51により出力される指令周波数との関係について、図11を用いて説明する。走行操作レバー41は、垂直姿勢の中立位置から、図11(a)中の斜線で示す不感帯を経て、操作量xの位置から操作量yの位置を経て操作量zの位置まで傾動操作可能であるものとする。図11(b)において、実線が、傾斜角検出器62により検出された走行体10の傾斜角が所定角以上で、格納検出器62によりシザースリンク機構20の格納状態が検出されているとき(傾斜地走行時)に、走行操作レバー41により設定される指令周波数を示す。また、図11(b)には、比較のため、一点鎖線により、傾斜角検出器62により検出された走行体10の傾斜角が所定角未満で、格納検出器62によりシザースリンク機構20の格納状態が検出されているとき(平坦地走行時)に、走行操作レバー41により設定される指令周波数を示している。
図11(a),(b)に示すように、傾斜走行時に、走行操作レバー41が傾動操作された場合、不感帯を経て操作量xに達すると、指令周波数として、走行体10の傾斜角に応じて予め設定されている走行体10の逸走防止に必要なトルクを発生させる最小周波数Hminが設定される。引き続き走行操作レバー41が傾動操作されると、最小周波数Hminを初期値として、走行指令値の増加すなわち傾動操作量に応じて増加させた周波数が指令周波数として設定される。そして、操作レバー41が操作量yの位置に達したとき、設定される指令周波数は、走行体10の傾斜角に応じて予め設定されている走行体10の逸走防止に必要なトルクを発生させる最大周波数Hmaxとなる。以後、操作レバー41が操作量yの位置から操作量zの位置へと傾動操作されても、走行モータ12a,12bの出力トルクを維持して傾斜地における逸走を防止するため、指令周波数は最大周波数Hmaxを上回ることがないように設定される。
なお、走行操作レバー41の操作量とインバータ制御部51により出力される指令周波数との関係は、上記に限定されるものではなく、例えば、図11(b)の点線(B)で示すように、初期値設定後は変曲点を持たないように、レバー操作量に比例して指令周波数が設定されるように構成してもよい。この構成により、高所作業車1は、滑らかな走行が可能となる。
操舵制御部52は、操舵操作検出器42aにより検出された操舵ダイヤル42の操作状態(中立位置を基準とした操作方向及び操作量)の情報が入力されると、その検出された操舵ダイヤル42の操作状態に応じた方の前輪の目標舵角を設定し、該当する側の前輪に設けられた舵角検出器61により検出される舵角が、その目標舵角となるように操舵制御バルブ71を駆動し、転舵機構13の特性に基づいて、操舵シリンダ17の伸長量をコントロールする。
さらに、操舵制御部52は、走行体10が右旋回するように操舵ダイヤル42が操作されたときに、右側の非駆動輪(右側後輪)11dを中心とする円弧状の走行軌道を描いて左右一対の駆動輪11a,11bがそれぞれ走行するように(図6(B)参照)、走行体10が左旋回するように操舵ダイヤル42が操作されたときに、左側の非駆動輪(左側後輪)11cを中心とする円弧状の走行軌道を描いて左右一対の駆動輪11a,11bがそれぞれ走行するように(図6(C)参照)、転舵機構13の特性を考慮しながら、操舵シリンダ17の作動制御を行う。
昇降制御部53は、昇降操作検出器43aにより検出された昇降操作レバー43の操作状態(中立位置を基準とした操作方向及び操作量)の情報が入力されると、その検出された昇降操作レバー43の操作状態に応じた走行体10の目標昇降速度を設定し、昇降速度検出器66により検出された作業台30の昇降速度がその目標昇降速度となるように昇降制御バルブ72のスプールを駆動し、昇降シリンダ23の作動速度をコントロールする。
ここで、上記構成を有する作業車の制御装置を備えた高所作業車1を用いて、高所作業を行う場合について説明する。まず、走行体10上にシザースリンク機構20が格納されている状態で作業台30に搭乗した作業者が、操作ボックス40内の走行操作レバー41及び操舵ダイヤル42を操作して、左右の駆動輪兼操舵輪11a,11bを駆動・操舵し、高所作業車1を作業場所に移動させる。
このとき、走行体10の傾斜角が所定角未満(平坦地走行)の場合は、インバータ制御部51により制御パターンA(図8参照)が選択実行され、走行操作レバー41の操作量の増加に伴い、指令周波数も増加し(図11(b)参照)、車速も増加する。
また、走行体10の傾斜角が所定角以上(傾斜地走行)の場合は、インバータ制御部51により制御パターンB(図8参照)が選択実行され、走行体10の傾斜角に応じて予め設定されている走行体10の逸走防止に必要なトルクを発生させる最小周波数を初期値として、走行指令値の増加に応じて増加させた周波数を指令周波数として設定されるため(図11(b)参照)、走行操作レバー41が中立位置にあっても走行体10は傾斜地をずり下がることがなく、走行操作レバー41の操作量の増加に応じて(所定上限値まで)車速を増加させることができる。
但し、傾斜地走行の場合において、バッテリBが所定値よりも低電圧あるいは高電圧となったとき、あるいは走行モータ12a,12bの巻線温度が所定値よりも高くなったときは、インバータ制御部51のカットバック機能が働き、このカットバック機能の対象となっているバッテリBの電圧値あるいはモータ12a,12bの巻線温度に応じて設定されている所定のカットバック率に基づき、走行モータ12a,12bへの出力が抑制される。
そして、走行モータ12a,12bの電流値が傾斜角に応じて予め設定される許容電流値以下となったとき、すなわち傾斜角に応じて予め設定されている走行体10の逸走防止に必要なトルクが得られなくなったときは、インバータ制御部51はインバータIVの作動を停止させるため、走行モータ12a,12bへの出力が停止する。すると、今まで開放されていたネガティブブレーキ14が作動して、走行モータ12a,12bの回転軸を制動ロックするように構成されているため、本実施形態の高所作業車1では、傾斜地における走行体10の逸走を防止することができる。
次に、作業場所への移動が完了すると、作業者は、操作ボックス40内の昇降操作レバー43を操作して、昇降シリンダ23を伸長作動させ、シザースリンク機構20を上昇させ、作業台30を任意の作業高さに位置させる。なお、作業中に高所作業車1を移動させる場合には、走行操作レバー41及び操舵ダイヤル42を操作して、左右の駆動輪兼操舵輪11a,11bを駆動・操舵し、任意の作業場所に移動させる。
このとき、走行体10の傾斜角が所定角未満(平坦地走行)の場合は、インバータ制御部51により制御パターンC(図8参照)が選択実行され、走行操作レバー41の操作量の増加に応じて、指令周波数を増加させ、車速を増加させることができる。但し、シザースリンク機構20が未格納のままでの平坦地走行であるため、安全のために車速は低速である必要があり、操作レバー41の操作量に係わらず、指令周波数の上限値は低く設定されている。
また、シザースリンク機構20が未格納状態の場合は、高所作業時の安全確保のため、高速走行および傾斜地走行は規制され、低速走行および平坦地走行のみが許可されている。よって、走行モータ12a,12bが発生すべき出力トルクは小さくて済むため、本実施形態では励磁電流を低減している。その結果、電力の消費を抑えることができるため、バッテリBの消耗を防いで、バッテリBの寿命を延ばすことに貢献できる。
また、走行体10の傾斜角が所定角以上(傾斜地走行)の場合は、すなわち未格納状態での傾斜地走行は、インバータ制御部51により制御パターンD(図8参照)が選択実行され、インバータIVの作動規制を行い、安全のため、走行体10の走行を許可しないようになっている。
作業終了後は、昇降操作レバー43を操作して、昇降シリンダ23を縮小作動させ、シザースリンク機構20を下降させ、作業台30を走行体10上に格納する。そして、走行操作レバー41及び操舵ダイヤル42を操作して、インバータ制御部51により制御パターンAもしくはBが選択され、左右一対の駆動輪11a,11bを駆動させ、高所作業車1を保管場所に移動させる。
これまで本発明の好ましい実施形態について説明してきたが、本発明の範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば適宜改良可能である。
例えば、上記実施形態では、走行体10の前後の走行制御のために操作される走行操作レバー41(走行操作手段)と、走行体10の旋回方向を設定するために操作される操舵ダイヤル42(旋回操作手段)とが別々に設けられているが、これに限定されるものではなく、例えば、中立位置から前後左右及び斜め方向に傾動可能に構成された1本の傾動操作レバーを用いて、該レバーの傾斜角度と傾斜方向に応じて、前後走行と旋回移動とが行えるように構成してもよい。
本発明に係る高所作業車の斜視図である。 上記高所作業車における、走行体の走行・操舵及び作業台の昇降に関する信号及び動作の伝達経路を示す図である。 上記高所作業車におけるステアリング装置の構成を示す平面図である。 上記高所作業車における操舵シリンダの伸長量と前輪の舵角との関係を示す図であり、(A)は操舵シリンダの伸長量が零の状態、(B)は操舵シリンダの伸長量が正値の状態、(C)は操舵シリンダの伸長量が負値の状態を示している。 上記高所作業車の作業台に備えられた操作ボックスの斜視図である。 上記高所作業車における操舵ダイヤルの操作状態に応じた車輪の動きを示すイメージ図であり、(A)は旋回中心の説明、(B)は最大舵角における右旋回時の状態、(C)は最大舵角における左旋回時の状態を示している。 上記走行モータの出力特性を示す図である。 上記インバータ制御部により実行される制御パターンA〜Dの説明図である。 上記バッテリの電圧値に基づき設定されるカットバック率の説明図である。 上記走行モータの巻線温度に基づき設定されるカットバック率の説明図である。 上記走行操作レバーの操作量と、インバータ制御部により出力される指令周波数との関係についての説明図である。
符号の説明
1 高所作業車(作業車)
12a,12b 走行モータ(誘導モータ)
11a,11b 前側の左右一対の車輪(駆動輪)
13 転舵機構
14 ネガティブブレーキ(制動手段)
17 操舵シリンダ
41 走行操作レバー(走行操作手段)
42 操舵ダイヤル
50 コントローラ
51 インバータ制御部(インバータ制御手段)
52 操舵制御部
62 傾斜角検出器(傾斜角検出手段)
63 バッテリ電圧検出器(バッテリ電圧検出手段)
64 モータ温度検出器(モータ温度検出手段)
65 モータ電流検出器(モータ電流検出手段)
67 格納検出器(格納検出手段)
B バッテリ
IV インバータ

Claims (4)

  1. 前後左右に車輪を備え、前記車輪のうちの前側もしくは後側の左右一対の前記車輪が駆動輪である走行体と、
    前記左右一対の駆動輪をそれぞれ独立に駆動する2つの誘導モータと、
    前記2つの誘導モータに電力を供給するためのバッテリと、
    操作に応じて前記走行体の走行指令値を設定する走行操作手段と、
    前記バッテリからの直流電力を交流電力に変換して前記2つの誘導モータに供給し、前記2つの誘導モータの回転を共通に駆動するインバータと、
    前記走行指令値に基づき設定された指令周波数の交流電流を前記2つの誘導モータに出力するように、前記インバータの作動制御を行うインバータ制御手段と、
    前記走行体の傾斜角を検出する傾斜角検出手段と、
    前記誘導モータの電流を検出するモータ電流検出手段とを備え、
    前記インバータ制御手段は、前記傾斜角検出手段により検出された傾斜角が所定角以上のときに、前記モータ電流検出手段により検出された前記誘導モータの電流値が、前記傾斜角に応じて予め設定される許容電流値以下の場合、前記インバータの作動を停止させるとともに、
    前記インバータ制御手段により前記インバータの作動を停止させたときに、前記前側もしくは後側の左右一対の前記車輪のうち少なくとも一方を制動する制動手段を有することを特徴とする作業車の走行制御装置。
  2. 前記走行体上に設けられ、上下方向に伸縮作動させて昇降移動可能に取り付けられた昇降装置と、
    前記昇降装置が前記走行体上に格納されているか否かを検出する格納検出手段とを備え、
    前記インバータ制御手段は、前記傾斜角検出手段により検出された傾斜角が所定角以上で、前記格納検出手段により前記昇降装置の格納状態が検出されているときに、前記モータ電流検出手段により検出された前記誘導モータの電流値が、前記傾斜角に応じて予め設定される許容電流値以下の場合、前記インバータの作動を停止させることを特徴とする請求項1に記載の作業車の走行制御装置。
  3. 前記誘導モータの巻線温度を検出するモータ温度検出手段を備え、
    前記インバータ制御手段は、前記傾斜角検出手段により検出された傾斜角が所定角以上のときに、前記モータ温度検出手段により検出された前記誘導モータの巻線温度が予め設定された許容温度以上の場合、前記走行指令値に基づき設定される周波数を、前記検出された誘導モータの巻線温度に応じて抑制し、この抑制した周波数を指令周波数として設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の作業車の走行制御装置。
  4. 前記走行体上に設けられ、上下方向に伸縮作動させて昇降移動可能に取り付けられた昇降装置と、
    前記昇降装置が前記走行体上に格納されているか否かを検出する格納検出手段とを備え、
    前記インバータ制御手段は、前記傾斜角検出手段により検出された傾斜角が所定角以上で、前記格納検出手段により前記昇降装置の格納状態が検出されているときに、前記モータ温度検出手段により検出された前記誘導モータの巻線温度が予め設定された許容温度以上の場合、前記走行指令値に基づき設定される周波数を、前記検出された誘導モータの巻線温度に応じて抑制し、この抑制した周波数を指令周波数として設定することを特徴とする請求項3に記載の作業車の走行制御装置。
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