JP5242949B2 - 藻類へのケイ酸成分供給方法 - Google Patents

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本発明は、魚介類を養殖する際に餌料として利用される藻類を培養する際に用いられる、藻類へのケイ酸成分供給方法に関する。
珪藻類(付着珪藻類や浮遊珪藻類)等は、貝類、甲殻類、棘皮動物類等を養殖する際に餌料として用いられ、あるいは、動物プランクトンを餌料とする魚介類を養殖する場合においても、動物プランクトンの餌料として用いられる。したがって、この種の魚介類の養殖において用いられる珪藻類等を十分量供給するためには、珪藻類等を安定的に培養できる技術を確立することが重要である。
とりわけ珪藻類を培養する際には、培養液中にケイ酸成分を供給することが必須であり、従来は、水ガラスやメタケイ酸ナトリウムを適宜添加する方法が採用されていた(例えば、下記特許文献1(特に段落[0061]等)参照)。
特開2004−187675号公報
しかしながら、水ガラスやメタケイ酸ナトリウムのようなアルカリ金属ケイ酸塩は、いずれも水に対し難溶で、溶解させた後でも水中の無機成分(例えば、カルシウム)と反応して沈殿を生じるため、過剰に投入すると白濁、泥塊の発生を引き起こしやすい、という問題があった。
特に、大型の培養槽において珪藻類を培養する場合には、培養槽内に設けられた排水設備やエアレーション装置に沈殿物が堆積したり付着したりするため、十分なメンテナンスをしないと、それらの設備の機能が低下したり故障したりする、といった問題があった。また、自然界においては、湖底や海底の泥状化を招く要因になるおそれもあった。さらに、沈殿物となったケイ酸成分は、植物プランクトンに利用されないため、ケイ酸成分の損失となり、無駄が多いという問題もあった。
ここで、単に沈殿物の発生を抑制するだけであれば、アルカリ金属ケイ酸塩の投入量を抑制するという方法もある。しかし、このような方法では、培養液中のケイ素が不足して珪藻類の増殖率が低下することがあり、さらに、珪藻類が水中のケイ素を消費し尽くしてしまうようなことがあると、水中のケイ素が欠乏したことが原因で珪藻類が死滅してしまうおそれもあった。
また、珪藻類がケイ素を消費する程度に合わせて、常に適量のアルカリ金属ケイ酸塩を投入し続けることができれば、アルカリ金属ケイ酸塩の投入量が過大になったり過少になったりしないが、珪藻類が水中のケイ素をどの程度消費したのか、あるいは、系内にケイ素が残存しているのか否か、といったことを見た目で判断するのは容易なことではなかった。
さらに、アルカリ金属ケイ酸塩は高いアルカリ性を示すため、高濃度のケイ酸塩水溶液を調製した場合には、取り扱いに関する安全性の問題もあり、濃度やpHの管理が難しい、という欠点もあった。
こうした事情から、珪藻類の大量培養を(例えば、10L(リットル)以上の培養)行いたい場合には、アルカリ金属ケイ酸塩の継続的な添加は、現実的にはきわめて困難であり、新たな培養技術の開発が求められていた。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、珪藻類等、ケイ素を必要とする藻類へケイ素を持続的に供給することができ、仮に過剰に投入しても沈殿の発生を招きにくく、ケイ素の欠乏を招かないように管理することが容易で、取り扱いも容易な藻類用ケイ酸成分供給剤を使用する、藻類へのケイ酸成分供給方法を提供することにある。
以下、本発明において採用した特徴的構成について説明する。
本発明の藻類へのケイ酸成分供給方法は、生育にケイ酸を必要とする藻類を閉鎖された水系内で培養する際に、当該藻類にケイ酸成分を与える方法であって、前記藻類が生息する水とは別の系内であらかじめアルカリ金属ケイ酸塩と鉱酸とを反応させて得られたケイ酸ゲルを主成分とする藻類用ケイ酸成分供給剤を、前記藻類が生息する水(但し、真水を除く。)の中に投入するとともに、前記水へのケイ酸成分の溶出を促すために、前記ケイ酸ゲルに対して外力を作用させて前記ケイ酸ゲルを前記水中において振動させることを特徴とする。
本発明において、ケイ酸ゲルは、アルカリ金属ケイ酸塩水溶液と鉱酸とを反応させる湿式製造法により得られる。アルカリ金属ケイ酸塩としては、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウムなどを用いることができ、鉱酸としては、塩酸、硫酸、硝酸などを用いることができるが、工業的にはケイ酸ナトリウムおよび硫酸を用いるのが好ましい。
また、本発明において、ケイ酸ゲルとしては、含水ケイ酸ゲルあるいはシリカキセロゲルを用いると好ましい。含水ケイ酸ゲルは、反応工程においてシリカコロイド粒子がシロキサン結合により三次元的な網目構造を形成し、構造中に水を包含している状態となったものである。また、シリカキセロゲルは、含水ケイ酸ゲルを乾燥することにより、乾燥に伴って収縮したゲルが、もはや収縮しなくなる状態にまで至ったものである。これらは、いずれの状態でも使用でき、両者の中間的な状態のものでも使用することができる。ただし、ケイ酸をより早く高濃度で放出させることができるという点では、含水ケイ酸ゲルを用いることがより好ましい。
本発明において用いるケイ酸ゲルの形状は、破砕状、球状、あるいは、その他どのような形状でもよく、その粒子の大きさも、使用形態に合わせて任意に用いることができる。ただし、ケイ酸溶出速度は、ケイ酸ゲルの粒子径に依存するため、即効性を求める場合は、粒子径の小さいものがよい。また、過度に粒子径が小さくなると粉塵を発生させやすくなる傾向があるので、粉塵の発生が抑制されて取り扱いが容易になる点では、ある程度粒子径の大きいものがよい。
また、本発明において、藻類用ケイ酸成分供給剤は、ケイ酸ゲルを主成分するものであるが、主成分以外に藻類の増殖に必要な成分を含んでいてもよい。そのような成分としては、窒素、リン、鉄などの供給源となる各種塩類を挙げることができる。
また、本発明において、藻類用ケイ酸成分供給剤は、どのようなかたちで水中へ投入されてもよいが、継続的な管理を行う上では、粒子状のケイ酸ゲルを、ケイ酸ゲルは通過不能かつケイ酸ゲルから溶出したケイ酸成分は通過可能な隙間を有する容器に充填し、容器とともに藻類が生息する水中に投入するとよい。ケイ酸ゲルは通過不能かつケイ酸ゲルから溶出したケイ酸成分は通過可能な隙間を有する容器は、液体透過性のある容器であればなんでもよく、例えば、網などによって形成された容器を用いるとよい。この他には、藻類の培養容器外にケイ酸ゲルを充填した第2の容器を設置し、この第2の容器を通した培養液を培養容器に添加する、といった方法をとってもよい。
このような容器に藻類用ケイ酸成分供給剤を充填する場合、ケイ酸ゲルを容器内で攪拌して、その攪拌量を調節することにより、ケイ酸ゲルから溶出して容器外へと放出されるケイ酸成分の放出量を変化させることもできる。攪拌は、回転翼による攪拌、エアレーションによる攪拌などいずれでもよく、こうした攪拌を行うことにより、更に効果的なケイ酸の溶出が可能となる。
以上のような藻類用ケイ酸成分供給剤を、藻類が生息する水中に投入すれば、藻類にケイ酸成分を与えることができ、藻類を増殖させることができる。
特に、ケイ酸ゲルから溶出するケイ酸成分は、水中のケイ酸濃度に応じて微量ずつ溶解するので、水中のケイ酸濃度が過剰に高くなることがなく、それ故、アルカリ金属ケイ酸塩を水中に投入した場合とは異なり、溶出したケイ酸に起因する沈殿を生じることがない。
より詳しくは、アルカリ金属ケイ酸塩を水中に投入した場合、系内に拡散したアルカリ金属ケイ酸塩は、系内の予期しない場所でゲル化あるいはその他の水不溶性の沈殿物を生成してしまうという問題がある。これに対し、本発明のケイ酸成分供給方法の場合、主成分となるケイ酸ゲルは、藻類が生息する水中とは別の系内であらかじめアルカリ金属ケイ酸塩と鉱酸とを反応させて得られたものなので、ケイ酸ゲルから溶出するケイ酸成分が系内に拡散しても、系内の予期しない場所でゲル化あるいはその他の水不溶性の沈殿物を生成することはない。また、ケイ酸ゲルは、長期的には100%水中へ溶解し、残渣が残ることもない。
したがって、培養槽において藻類を培養する場合に、培養槽内に設けられた排水設備やエアレーション装置に沈殿物が堆積したり付着したりすることがなく、このような沈殿物に起因して、それらの設備の機能が低下したり故障したりする、といったことがなくなる。
また、本発明のケイ酸成分供給方法の場合、過剰に水中へ投入しても、水中のケイ酸濃度が過剰に高くなることはないので、水中への投入量を厳密に調節する必要がない。したがって、投入量を過度に抑制しすぎたことに起因して、藻類の増殖率が低下したり、水中のケイ素が欠乏して藻類が死滅してしまったりするのを、容易に回避することができる。
また、本発明のケイ酸成分供給方法の場合、アルカリ金属ケイ酸塩水溶液を使用する方法とは異なり、固形分であるケイ酸ゲルを水中へ投入するので、水中への投入後もケイ酸ゲルの存在を目視にて確認することができる。したがって、ケイ酸ゲルの投入後に、まだケイ酸ゲルが残っているかどうかを目で見て確認することができ、投入したケイ酸ゲルの残量が少なくなってきたら藻類用ケイ酸成分供給剤を追加投入するなどの管理が容易になる。
さらに、本発明のケイ酸成分供給方法で用いるケイ酸ゲルは、中性を示すため、高いアルカリ性を示すアルカリ金属ケイ酸塩に比べ、その取り扱いがきわめて容易であり、安全性も高い。
以上説明したように、本発明のケイ酸成分供給方法によれば、藻類へケイ素を供給することができ、仮にケイ酸成分供給剤を過剰に投入しても沈殿の発生を招きにくく、ケイ素の欠乏を招かないように管理することが容易で、ケイ酸成分供給剤の取り扱いも容易になる。
次に、本発明の実施形態について、具体的な例を挙げて説明する。
[実施形態1]
アルカリ金属ケイ酸塩水溶液と鉱酸を用い、公知の方法(例えば、特開昭62−207712号、または特開昭64−33012号に記載の方法等)により、含水ケイ酸ゲルを調製した。すなわち、ケイ酸ナトリウム水溶液(SiO2 17重量%)と、1.95mol/lの硫酸とを連続的に混合し、空中でゲル化を行い、これを水を満たした水槽で受け、十分な洗浄を行い粒子径2−10mmの球状含水ケイ酸ゲルを調製した。
得られた含水ケイ酸ゲルは、180℃乾燥機により減量を測定したところ、含水量は80%であった。またイオン交換水100mLに5gの含水ケイ酸ゲルを入れ、10分攪拌後の水のpHは6.2であった。
この含水ケイ酸ゲル30gを1Lのビーカーに入れ、400mLの天然海水を投入し、室温にて1時間スターラーにて攪拌をおこなった。
上澄み海水を採取しICP発光分析法によりケイ素濃度を測定したところ、天然海水原液のケイ素濃度は0.7ppmであった。また、含水ケイ酸ゲルを添加した海水のケイ素濃度は63ppmであった。
[実施形態2]
実施形態1で調製した含水ケイ酸ゲル50gを1000mLの天然海水に投入し、時々攪拌しながら7日間静置した。また、比較として、ソーダガラスカレット50gを1000mLの天然海水に投入したもの、および、何も投入していない1000mLの天然海水原液も、同様に7日間静置した。
上澄み海水を採取しICP発光分析法によりケイ素濃度を測定したところ、静置後の海水のケイ素濃度は、原液0.7ppmに対し、含水ケイ酸ゲルを投入したものは、100ppmに達した。また、カレットを投入したものは34ppmであった。
[実施形態3]
実施形態1で調製した含水ケイ酸ゲルを培養液に添加して、中心目珪藻類の一種であるキートセロスを培養した(以下、試験区と称する。)。
培養方法は、10L規模のバッチ式通気培養法とし、通気口にナイロンメッシュの袋(本発明でいう「ケイ酸ゲルは通過不能かつケイ酸ゲルから溶出したケイ酸成分は通過可能な隙間を有する容器」の一例)を付け、その中に約10g程度の含水ケイ酸ゲルを入れた。この方法により、通気により含水ケイ酸ゲルが振動し、より培養液中にSiが溶けやすくなる。
培養液の組成は、海水1Lに対しNaNO3:600mg,NaH2PO4・4H2O:40mg,Fe−EDTA:38.4mg,MnCl2・4H2O:1.44mg,CuSO4・5H2O:80μg,ZnSO4・7H2O:184μg,CoCl2・6H2O:80μg,Na2MoO4・2H2O:50.4μg,ビタミンB12:4μg,ビオチン:4μg,チアミンHCl:800μgとした。この液に含水ケイ酸ゲルを入れる。
接種後のキートセロス密度は,約50万個/mLである。
培養は、バッチ式連続通気で、室温:25℃,照度:蛍光灯により約5000lx・連続照明の条件下で行った。
また、比較のため、ギラード処方4倍液(ケイ酸源としてメタケイ酸ナトリウムを含む)で作製した培養液を用いて、キートセロスを培養した(以下、対照区と称する。)。
なお、ギラード処方4倍液の組成は、海水1Lに対しNaNO3:600mg,NaH2PO4・4H2O:40mg,Fe−EDTA:38.4mg,Na2SiO2・9H2O:120mg,MnCl2・4H2O:1.44mg,CuSO4・5H2O:80μg,ZnSO4・7H2O:184μg,CoCl2・6H2O:80μg,Na2MoO4・2H2O:50.4μg,ビタミンB12:4μg,ビオチン:4μg,チアミンHCl:800μgである。
試験区、対照区ともに、ノーバウエル型血球計数盤での計数測定により、10,16,20日目の増殖密度を測定した。その結果を、図1(a)に示す。
また、試験区、対照区ともに、比色法(ヘテロポリ・ブルー法)により、10,16,20日目のSi濃度を測定した。その結果を、図1(b)に示す。
この結果から、含水ケイ酸ゲルを培養液中に添加した場合は、メタケイ酸ナトリウムを添加した対照区と比較して、Si濃度は高く維持でき、かつキートセロスの増殖も良好であることがわかる。
[実施形態4]
実施形態3と同条件の試験区および対照区について、含水ケイ酸ゲルまたはメタケイ酸ナトリウムを添加してから20日間培養したキートセロスを対象にして、色素の差異と、クロロフィルa含量を調べた。
試験区および対照区から20mLの培養液を採集し、細胞密度を計数した後、直径47mmのGF/Fフィルター(ワットマン社製)で吸引濾過して細胞のみを回収した。
クロロフィルaは蛍光光度計(ターナー社製)による蛍光法または分光光度計(島津製作所製)による測定法で測定した。
20日間培養後の培養液が入ったガラス瓶を目視にて観察すると、試験区は明らかに対照区よりも色が濃く、高密度でキートセロスが存在していることがわかる。
また、フィルター上に回収されたキートセロスを目視にて観察したところ、試験区は濃い茶色を呈したのに対し、対照区は薄い茶色を呈した。これは細胞内の葉緑体の発達の差異によるものと思われる。
また、クロロフィルa含量は、試験区が0.22−0.24(pg/細胞)であったのに対し、対照区は0.12−0.16(pg/細胞)であった。
通常、葉緑体が発達した細胞は、タンパク質や脂質含量が高く、栄養価も高いと考えられている。したがって、含水ケイ酸ゲルの使用は、高栄養の珪藻類の生産に寄与するものと考えられる。
[実施形態5]
実施形態1〜4で使用した含水ケイ酸ゲルに代えて、ナイロンメッシュに収納したシリカキセロゲル(JIS A型、粒径:約1.7mm−4.0mm)を、レースウエイ方式の屋外大型培養槽に投入して珪藻類を培養したところ、珪藻類は良好に増殖した。
また、上記と同じシリカキセロゲルを、透明なポリカーボネイト培養槽に投入して珪藻類を培養したところ、珪藻類は良好に増殖した。
さらに、上記と同じシリカキセロゲルを、付着珪藻を増殖させる波板に装着して珪藻類を培養したところ、珪藻類は良好に増殖した。
[実施形態6]
実施形態1〜4で使用した含水ケイ酸ゲルに代えて、シリカゾルをレースウエイ方式の屋外大型培養槽に投入して珪藻類を培養したところ、珪藻類は良好に増殖した。
[実施形態7]
ウニやナマコなどの付着幼生の餌料として有用な付着珪藻類ナビキュラ(Navicula ramossima)の単種培養を行った。培養は500mL規模でのバッチ式通気培養とした。
培養液は、実施形態3の試験区および対照区と同様のものとした。ただし、試験区においては、実施形態1で調製した含水ケイ酸ゲルを500mL培養液に10g入れた。
なお、実施形態1で調製した含水ケイ酸ゲルの性能のみをメタケイ酸ナトリウムと比較するため、培養器中にはプラスチック板などの付着基質を入れずに、ナビキュラだけを単種培養した。培養条件は12日間、25℃、連続照明とした。
付着珪藻類の生産量を正確に求めることは極めて難しい。そこで、実施形態7においては、次のような方法で付着珪藻類の生産量を測定することにした。3日目から12日目まで、3日目ごとに培養器を激しく攪拌して培養器に付着した細胞を浮遊させ、浮遊した細胞を含む一定量の培養液を回収し、キャピラリー遠心管を用いて回収できた細胞体積(培養液1mL当りの細胞体積)で測定した。
回収できた細胞体積の変化を図2に示す。図2から明らかなように、試験区では、きわめて順調にナビキュラが生育し、3日目の段階では対照区よりも細胞体積が少なかったにもかかわらず、9日目の段階では対照区よりも細胞体積が多くなり、その後も順調に増殖した。
また、試験区および対照区のそれぞれで増殖したナビキュラの細胞群を、顕微鏡で観察したところ、両区間で特に差異は認められなかった。
これらの結果から、ナビキュラは、ケイ酸源として実施形態1で調製した含水ケイ酸ゲルを添加しても、メタケイ酸ナトリウムを添加したものとの比較において、何ら遜色なく増殖するものと考えられる。
[変形例等]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の具体的な一実施形態に限定されず、この他にも種々の形態で実施することができる。
例えば、上記実施形態では、珪藻類の一種であるキートセロスやナビキュラを培養する例等を示したが、本発明の藻類用ケイ酸成分供給剤は、他の浮遊珪藻類や付着珪藻類、あるいはケイ酸を栄養塩類として取り込む藻類(例えばシヌラ類)に対して用いることもできる。
また、上記実施形態では、培養槽の方式や形態について特定のものを例示したが、培養槽の具体的な方式や形態は任意であり、例えば、屋外型のものや屋内型のものどちらでもよく、また、その規模も比較的小規模なものから大規模なものまで任意に利用することができる。
さらに、上記実施形態では、通気により含水ケイ酸ゲルを振動させることで、培養液中にSiが溶けやすくなるように構成した事例を示したが、攪拌用の羽根を回転させてケイ酸ゲルを攪拌するなどの方法でも、培養液中にSiが溶けやすくなるようにすることができる
(a)は、培養液中のキートセロスの増殖密度の変化を示すグラフ、(b)培養液中のSi濃度の変化を示すグラフ。 培養液中のナビキュラの細胞体積の変化を示すグラフ。

Claims (3)

  1. 生育にケイ酸を必要とする藻類を閉鎖された水系内で培養する際に、当該藻類にケイ酸成分を与える方法であって、
    前記藻類が生息する水とは別の系内であらかじめアルカリ金属ケイ酸塩と鉱酸とを反応させて得られたケイ酸ゲルを主成分とする藻類用ケイ酸成分供給剤を、前記藻類が生息する水(但し、真水を除く。)の中に投入するとともに、前記水へのケイ酸成分の溶出を促すために、前記ケイ酸ゲルに対して外力を作用させて前記ケイ酸ゲルを前記水中において振動させ
    ことを特徴とする藻類へのケイ酸成分供給方法。
  2. 前記ケイ酸ゲルは、粒子状で、前記ケイ酸ゲルは通過不能かつ前記ケイ酸ゲルから溶出した前記ケイ酸成分は通過可能な隙間を有する容器に充填され、前記容器とともに前記藻類が生息する前記閉鎖された水系内の水中に投入される
    ことを特徴とする請求項1に記載の藻類へのケイ酸成分供給方法。
  3. 前記閉鎖された水系内の水中への通気を行うことにより、前記ケイ酸ゲルを前記水中において振動させる
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の藻類へのケイ酸成分供給方法。
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