JP5242330B2 - マイクロリアクタ用導入管、マイクロリアクタ用導入管の製造方法及マイクロリアクタ - Google Patents
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マイクロリアクタとは、数〜数百μmの微小流路を有する混合器の総称である。このマイクロリアクタによれば、2種或いはそれ以上の反応液をすばやく均質に混合でき、温度や反応時間を精密に制御できる。また、反応に用いる原料は少なくて済み、廃棄物を減らすことができるので、環境負荷を低減できる。
例えば、特許文献1には、独立した流路から複数の反応液を合流部に導入し、合流部において複数の反応液を接触させて反応させる混合器(マイクロリアクタ)が開示されている。具体的には、合流部において、特定の形状をした複数のノズルから導入された一方の反応液が柱状体(島部)を形成し、この柱状体の外周に他の反応液を射出して一方の反応液間に充填するものである。
すなわち、特許文献1では、合流部において2種の反応液で層流が形成されるようにし、これにより反応液間の界面面積が大きくなるようにしている。
したがって、特許文献1に記載のマイクロリアクタにより、反応効率等の面で期待通りの効果は得られないと考えられる。
管状の反応部において複数の反応液を接触させて反応させるマイクロリアクタにおいて前記複数の反応液を前記反応部に導入するためのマイクロリアクタ用導入管であって、
外部管をなし、第1反応液を導入する第1導入管と、
前記第1導入管内に挿管され、前記第1反応液と異なる第2反応液を導入する複数の第2導入管と、で構成され、
一端側には、前記反応部の一端部に接続されるようにテーパ状に縮径された流路部を有し、
前記縮径された流路部の端面において、前記第1導入管及び前記第2導入管は、同一面上に配され、
前記縮径された流路部においては、前記第1および第2導入管からなる断面形状の相似性が保持されたままテーパ状に縮径されている、
ことを特徴とする。
好ましくは、前記縮径された流路部は、前記第1及び第2導入管を局所的に加熱し当該加熱箇所が延伸されてなることを特徴とする。
また、好ましくは、前記縮径された流路部の端面の径は、前記縮径された流路部以外の径に対して5%以上であることを特徴とする。
さらに好ましくは、前記縮径された流路部は、テーパ角が180°以下の傾斜を有することを特徴とする。
第1反応液を導入する第1導入管内に前記第1反応液と異なる第2反応液を導入する複数の第2導入管を挿管する第1工程と、
前記第1導入管及び第2導入管を局所的に加熱する第2工程と、
前記第1導入管及び第2導入管の軸方向に所定の張力を加えることにより前記第1導入管及び第2導入管の局所的に加熱されて溶融した部分を延伸して縮経部を形成する第3工程と、
前記第3工程における延伸されていない導入管部分と前記縮径部とを残して導入管を切断する第4工程と、を備えることを特徴とする。
前記第3工程では、前記加熱部に関して対称な縮径部を形成し、
前記第4工程では、前記加熱部近傍で切断することを特徴とする。
また、好ましくは、前記縮径部の切断面を研磨し、前記縮径部の端面の径を所定の径とする第5工程を備えることを特徴とする。
さらに好ましくは、前記所定の径を延伸前の径に対して5%以上とすることを特徴とする。
前記マイクロリアクタ用導入管と、
前記マイクロリアクタ用導入管に複数の反応液を供給する反応液供給部と、
前記マイクロリアクタ用導入管を介して導入される複数の反応液を反応させる反応部と、を備えることを特徴とする。
図1は、本実施形態に係る混合器の全体構成の一例を示す概略図である。
図1に示すように、本実施形態の混合器1は、反応液供給部10(A液供給部11、B液供給部12)、導入管20、反応部30、生成物貯留部40、を備えて構成される。
B液供給部12は、シリンジポンプ112、B液供給管122、連結部123、を備える。B液供給部11において、シリンジに収容されたB液は、シリンジポンプ112からB液供給管122に注入され、連結部123を介して接続された、後述するガイドパイプ21に供給される。
シリンジポンプ111、121により反応液の注入量を調整することで、導入管20における反応液の流量(流速)を制御することができる。
石英ガイドパイプ21の管壁には、管内にB液を導入するための開口部21Aが形成されており、この開口部21Aにスウェージロック123を介してB液供給管122が連結されている。石英ガイドパイプ21の反応液導入側の寸法は、例えば、外径1.0mm、内径0.9mmとされる。
石英チューブ22は、連結部113を介してA液供給管112に連結されており、分流器13Aにより個々の石英チューブ22、22、・・にA液が供給される。石英チューブ22の反応液導入側の寸法は、例えば、外径0.2mm、内径0.15mmとされる。
図2は、縮径部20Aを拡大して模式的に示した説明図である。図2では、縮径部20Aの形状がわかりやすいように、石英ガイドパイプ21と、例えば中央に配置される石英チューブ22だけを示している。また、石英ガイドパイプ21と石英チューブ22の肉厚は無視している。
図3は、導入管20の断面形状を示す説明図である。図3(a)は図2におけるa−a断面図であり、図3(b)は図2におけるb−b断面図である。ただし、図3(a)、(b)の縮尺は同じではなく、相似形が保持されていることを示しているに過ぎない。
本実施形態では、後述する図4に示すように、光ファイバの線引き技術を利用して縮径部20Aを形成するので、石英ガイドパイプ21と石英チューブ22の縮径比率は同じとなる。縮径比率とは、図4における延伸加工前の管径に対する延伸加工後の管径の比率である。図2において、縮径比率はφ12/φ11、φ22/φ21で表されるので、φ12/φ11=φ22/φ21となる。すなわち、縮径部20Aにおいては、図3に示すように断面形状の相似性が保持されたまま、テーパ状に縮径されている。
なお、個々の石英チューブ22、22、・・に関しては、厳密には、配列位置に応じて縮径比率は異なるが、断面形状の相似性はほぼ保持されると考えられる。
例えば、延伸加工前において、石英ガイドパイプ21の内径が0.9mm、石英チューブ22の内径が0.15mmの場合、縮径部20Aの先端における縮径比率を10%とすると、延伸加工後の石英ガイドパイプ21の内径は0.09mm、石英チューブ22の内径は0.015mmとなる。
また、縮径部20Aの端面は、石英ガイドパイプ21と石英チューブ22が同一面上に配されるように加工されている。なお、縮径部20Aの端面は、導入管20の反応液送出端面であり、反応液の反応が開始する合流部となる。
反応部30において、導入管20から送出されたA液とB液は層流を形成し、界面で接触することにより反応が進行する。このときの反応条件は、反応液の流速と反応時間(反応部30の流路長)で制御される。
反応部30において生成された反応生成物は、反応物回収管42を介して回収容器41に回収される。
そして、導入管20は、B液(第1反応液)を導入する石英ガイドパイプ(第1導入管)21と、石英ガイドパイプ21内に挿管され、B液と異なるA液(第2反応液)を導入する複数の石英チューブ(第2導入管)22、22、・・と、で構成され、導入管20の一端側(反応液送出端側)に、一つの例として延伸加工によりテーパ状に縮径された縮径部(流路部)20Aを有している。
また、導入管20の反応液送出端(合流部)では、石英ガイドパイプ21と石英チューブ22は同一面上に配されている。
以上の構成を有することにより、導入管20から反応部30に送出されたA液及びB液は、反応部30において安定で直線的な層流を形成する。
図4は、導入管の製造工程の一例について示すフローチャートである。また、図5〜図8は、図4における各工程について具体的に示す説明図である。
図4において、ステップS1では、石英ガイドパイプ21に石英チューブ(マイクロチューブ)22を挿管する(図5参照)。例えば、外径、 mm、内径0.9mmの石英ガイドパイプの場合、外径0.2mm、内径0.1mmのマイクロチューブを約20本挿管する。このときの導入管20の断面は、図3に示すような状態となる。図3では、石英ガイドパイプ21に石英チューブ21を19本挿管している。
なお、加熱方法は、誘導加熱コイル50による誘導加熱に限定されず、石英ガイドパイプ21及び石英チューブ22を径方向に均一に加熱できる方法であればよい。例えば、加熱用バーナを導入管20の外周に沿って複数設けることが考えられる。
このとき、引張治具(チャック)により石英ガイドパイプ21を把持して軸方向に引っ張ることとなるが、石英チューブ22も石英ガイドパイプ21と一体的に延伸されるように、端部において石英ガイドパイプ21に固着しておく。
ステップS5では、管径が所望の径となるように縮径部20Aの切断面を砥石60で研磨する(図8参照)。これにより、縮径部20Aの切断面において、石英ガイドパイプ21と石英チューブ22は同一面上に配される。このとき、研磨しても石英ガイドパイプ21内における石英チューブ22の配列は変化せず、径のみが変動することとなる。ここで、研磨により実現する管径は、例えば、この導入管20を使用する混合器の用途に応じて適宜設計される。なお、ステップS4の切断後に高精度な切断面が得られる場合は、ステップS5の研磨工程については、必ずしも必要でない。
また、導入管20の全体長は、縮径されていない部分を切断することで適宜調整される。また、導入管20の縮径部20Aとは反対の端(反応液導入端)は、混合器1の反応液供給部11と連結可能な形状に加工される。
すなわち、本実施形態では、光ファイバの線引き技術を混合器用導入管20の微細加工技術に応用している。
また、石英ガイドパイプ21又は石英チューブ22の寸法を適宜変更するとともに、延伸加工、研磨加工を適当に行うことにより、反応液の流路を部品精度によって構築することができ、任意な流路配置が可能となる。
これにより、1回の製造工程で2本の導入管20を製造することができるので、導入管20の製造効率が向上する。
上記実施形態では、導入管20の縮径部20Aは全体に亘ってテーパ状に形成されている(図2参照)が、図9に示すように、テーパ部20A1と、テーパ角がほぼ0°の直胴部20A2からなる形状としてもよい。これにより、反応部30では一層安定した層流が形成されることとなり、さらに反応効率を向上することができる。
例えば、図4における加熱・延伸工程(ステップS3、S4)を多段階にすることにより、比較的容易に図9に示すような縮径部20Aを形成することができる。
そこで、例えば、内径5mm以上の石英ガイドパイプ21に、変形しない管径(例えば、外径1mm以上)の石英チューブ22を挿管し、これを加熱・延伸して縮径すれば、均一で微小(例えば、外径1mm程度)な管径を有する導入管20を作製できる。そして、この導入管20を用いて図4のステップS2以降の工程を行うことで、上記問題を解消できる。
また、上記実施形態では、横型の混合器について説明したが、縦型の混合器においても同様に本発明を適用できる。
10 反応液供給部
20 導入管(混合器用導入管)
20A 縮径部(縮径された流路部)
21 石英ガイドパイプ(第1導入管)
22 石英チューブ(第2導入管)
30 反応部
40 生成物貯留部
Claims (10)
- 管状の反応部において複数の反応液を接触させて反応させるマイクロリアクタにおいて前記複数の反応液を前記反応部に導入するためのマイクロリアクタ用導入管であって、
外部管をなし、第1反応液を導入する第1導入管と、
前記第1導入管内に挿管され、前記第1反応液と異なる第2反応液を導入する複数の第2導入管と、で構成され、
一端側には、前記反応部の一端部に接続されるようにテーパ状に縮径された流路部を有し、
前記縮径された流路部の端面において、前記第1導入管及び前記第2導入管は、同一面上に配され、
前記縮径された流路部においては、前記第1および第2導入管からなる断面形状の相似性が保持されたままテーパ状に縮径されている、
ことを特徴とするマイクロリアクタ用導入管。 - 前記第1および複数の第2導入管は断面が円形であることを特徴とする請求項1に記載のマイクロリアクタ用導入管。
- 前記縮径された流路部は、前記第1及び第2導入管を局所的に加熱し当該加熱箇所が延伸されてなることを特徴とする請求項1又は2に記載のマイクロリアクタ用導入管。
- 前記縮径された流路部の端面の径は、前記縮径された流路部以外の径に対して5%以上であることを特徴とする請求項1乃至3に記載のマイクロリアクタ用導入管。
- 前記縮径された流路部は、テーパ角が180°以下の傾斜を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のマイクロリアクタ用導入管。
- 反応部において複数の反応液を接触させて反応させるマイクロリアクタにおいて前記複数の反応液を前記反応部に導入するためのマイクロリアクタ用導入管の製造方法であって、
第1反応液を導入する第1導入管内に前記第1反応液と異なる第2反応液を導入する複数の第2導入管を挿管する第1工程と、
前記第1導入管及び第2導入管を局所的に加熱する第2工程と、
前記第1導入管及び第2導入管の軸方向に所定の張力を加えることにより前記第1導入管及び第2導入管の局所的に加熱されている部分を延伸して縮経部を形成する第3工程と、
前記第3工程における延伸されていない導入管部分と前記縮径部とを残して導入管を切断する第4工程と、
を備えることを特徴とするマイクロリアクタ用導入管の製造方法。 - 前記第2工程では、前記第1導入管及び第2導入管の端部近傍を除く部分を加熱し、
前記第3工程では、前記加熱部に関して対称な縮径部を形成し、
前記第4工程では、前記加熱部近傍で切断することを特徴とする請求項6に記載のマイクロリアクタ用導入管の製造方法。 - 前記縮径部の切断面を研磨し、前記縮径部の端面の径を所定の径とする第5工程を備えることを特徴とする請求項6又は7に記載のマイクロリアクタ用導入管の製造方法。
- 前記所定の径を延伸前の径に対して5%以上とすることを特徴とする請求項8に記載のマイクロリアクタ用導入管の製造方法。
- 請求項1から5のいずれか一項に記載のマイクロリアクタ用導入管と、
前記マイクロリアクタ用導入管に複数の反応液を供給する反応液供給部と、
前記マイクロリアクタ用導入管を介して導入された複数の反応液を反応させる反応部と、を備えることを特徴とするマイクロリアクタ。
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