JP5241215B2 - 航空機エンジンノズルの流体のパッシブ誘導システムおよび方法 - Google Patents

航空機エンジンノズルの流体のパッシブ誘導システムおよび方法 Download PDF

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Description

本発明は、エンジンノズルの流体をパッシブに導くためのシステムおよび方法に関する。特定の実施形態では、流体はノズルシェブロンの効果を空気力学的にエミュレートすることができ、および、または実効ノズル出口面積を変更することができる。
航空機製造産業では、厳しさが増大する雑音規制規則を満足させるために航空機により生じる雑音を減少させることが強く求められている。航空機エンジンは航空機の全体の雑音に大きく影響している。したがって、特に航空機エンジンは航空機製造業者の雑音減少努力の目標となっている。航空機エンジンは進歩した高度のバイパス比のエンジンの結果としてかなり静かになってきている。これらのエンジンはジェット排気ガスから直接ではなく、エンジンで駆動される前方に設置されたファンによりエンジンのコアの周囲で推進されるバイパス空気流から全体の推力のかなりの比率が得られる。この方法は、純粋のターボジェットエンジンおよび低いバイパス比のエンジンと比較したとき顕著に航空機雑音を減少させるが、エンジンおよび航空機に対する政府の規則はさらにエンジン雑音の減少の要求を続けている。
エンジン雑音の減少の1つの方法は、エンジンの出口の高速ガスと周囲の自由空気流との混合量を増加させることである。図1はこの効果を生成するように設計されたシェブロンを有するノズル20を示している。シェブロンは一般的にノズルのリップにある種の形式の、典型的には三角形の鋸歯状部を含んでおり、それは長さ方向の断面で湾曲を有し、それは隣接する気流を多少混合させる。シェブロンは内面または外面の上流境界層の厚さ程度の量だけ内方または外方に突出している。一般的にシェブロンプラットホームの形状は台形または方形のいずれかである。ノズル20はコア流ダクト22を有し、それを通ってエンジンコア流が導かれ、ファン流ダクト24がコア流ダクト22を囲んで環状に配置され、それを通ってファン空気流が流れる。ファン流ダクト24の出口の開口はファン流シェブロン19を含み、コア流ダクト22の出口の開口はコア流シェブロン18を含んでいる。シェブロンは典型的にノズル直径の長さスケールでエンジン流が周囲の自由空気流と混合される比率を増加させることによって低周波雑音を減少させる。
上記の方法は、シェブロンを含まないノズルと比較して雑音を減少させるが、雑音基準を満足させるにはさらに雑音の減少が望まれている。
以下、本発明の概要を説明するが、これは本発明の理解を容易にするために行なわれるものであり、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的範囲を限定することを意図するものではない。
本発明の特徴は、エンジンノズルの周囲を流れる流体がパッシブに導かれるシステムおよび方法にある。本発明の1実施形態によるシステムは、航空機のターボファンエンジンに取付け可能なノズルを含み、そのノズルは、第1の流体路を囲む第1の流体路壁と、第2の流体路を囲む第2の流体路壁とを備えている。第1の流体路はエンジン排気生成物を受けるように配置され、第2の流体路はエンジンのバイパス空気を受けるように配置されている。第1の流体路壁は第1と第2の流体路の間に位置され、第2の流体路壁は第2の流体路と周囲の雰囲気の空気流体路との間に位置している。第1と第2の流体路壁の少くなくも1つには多数の流体通路が設けられている。それらの多数の流体通路は流体路壁の内側の流体路から流体路壁の外側の対応する流体路に流体路壁を通ってパッシブにガスを導くように配置されている。隣接する流体通路は円周方向に隣接して間隔を隔てて設けられ、それらの出口開口は流体路壁の外側の流体路との境界に設けられている。
さらに、本発明の1特徴では、個々の出口開口は対応する閉鎖装置を有し、システムはさらに、閉鎖装置と結合されて出口開口を開閉するアクチュエータを備えている。さらに特定の実施形態では、流体路壁内の対応する流体路は後方に延在する突出部(例えばシェブロン)を含まない後部エッジで終端している。さらに別の特徴では、個々の流体通路はその流体通路を通って流れる流体にエネルギを付加する装置を含んでいない。
本発明の別の特徴は、航空機エンジンを動作させる方法に関する。そのような方法の1つでは、航空機のターボファンエンジンからの排気ガス生成物を対応するエンジンノズルの第1の流体路に沿って導き、エンジンの周囲にエンジンノズルの第2の流体路に沿ってバイパス空気を導く。この方法ではさらに、(a)円周方向の間隔をおいた位置で第1の流体路から第2の流体路にパッシブにガスを導き、または(b)円周方向で間隔をおいた位置で第2の流体路から周囲の空気流へガスを導き、或いは(c)前記の(a)および (b)の両方の流体路でパッシブにガスを導く。
さらに別の特徴では、本発明の方法は周囲の空気流との境界面に位置している円周方向で間隔をおいて設けられている出口開口を通ってパッシブにガスを導く。この方法ではさらに、バイパス空気に対する実効出口開口面積を減少させるために境界面において出口開口を選択的に閉じ、エンジンにより生成された推力と周囲の大気の状態に対応した方法で出口開口を選択的に再開放するステップを含んでいる。
本発明の特徴は、航空機のノズルが1つの流体路から別の流体路へ流体をパッシブに、すなわち受動的に導くシステムおよび方法にある。特定の構成ではノズルのシェブロンの効果をエミュレートし、実効ノズル面積を変化させるために使用されることができる。特定の実施形態の詳細を図2乃至7を参照にして以下説明する。説明を簡明にするために、従来からよく知られており、そのようなシステムおよび方法と関係している構造およびプロセスの詳しい説明は省略されている。さらに、以下の説明では本発明の異なる特徴についての幾つかの実施形態が記載されているが、本発明の幾つかの別の実施形態はここで記載されているものとは異なる形態、或いは異なるコンポーネントを有することができる。したがって、本発明は付加的な素子を使用することも可能であり、或いは図2乃至7を参照にして以下説明する幾つかの素子なしに実施されることも可能である。
一般的に、パッシブに、すなわち受動的に導かれる流体は、以下の結果の1以上の組合せを実現するために使用されることができる。第1に、流体は「ハードウエア」(例えば金属または複合体)シェブロンを直接エミュレートするように構成されたジェットを形成するために多重流体通路を通って導かれることができる。そのジェットは離陸におけるジェット雑音或いは巡航期間中の衝撃雑音を減少させるために使用されることができる。一般的に、流体通路の設計は、どの雑音を大きく減少させるのかに応じて異なる。これは少なくとも部分的に離陸と巡航期間中の外部流体速度が異なることによる。したがって、設計者は前述の雑音発生源の1つを特に目的とするように流体路を設計し、或いは流体路を調節可能な幾何学的形状にし、それによって両方の雑音発生源に(少なくとも部分的に)対応する。
第2に、ノズル出口における速度勾配を減少させ、外部流体流と部分的に混合するためにジェットが混合されるように流体通路が構成されることができる。これにより渦発生効果を生じることなくジェット雑音と衝撃雑音の両者を減少できることが予測される。この場合にも流体通路の形状は調節可能である。
第3に、流体通路はノズルの実効面積を変化させるために使用されることができる。可変面積の適用は主としてファン雑音の減少を目的とするものであるが、また、ある程度のジェット雑音の減少にも有効である。この場合にも、流体通路の幾何学的形状は調節可能にされることができる。特定の飛行状態でファン性能を最適にするためにスロットが調節されるときでさえも、少なくとも若干のジェット雑音の減少が期待される。これら、およびその他の特徴は以下図2乃至7を参照にして説明される。
図2は、翼202 、胴体201 、推進システム203 を有する商用ジェット航空機を示している。示されている推進システム203 は翼202 に取付けられて支持された2個のターボファンエンジン210 を有しているが、他の実施形態ではエンジン210 は胴体201 または他の航空機の機体構造により支持されてもよい。各エンジン210 はナセル204 に収容されており、それは入口205 とノズル220 を含んでいる。ノズル220 は以下詳細に説明する特別な特徴を有しており、それにより雑音を減少させ、および、または1以上の選択された方法でノズルの出口面積を変更させる。
図3は、ナセル204 および関連するエンジン210 の1つの簡単化された概略的な断面図である。説明のために、エンジン210 の多くの内部構造は概略的な、或いは簡単化された形式で示されている。エンジン210 はコンプレッサ212 を含み、それは入口205 から周囲空気を受取る。コンプレッサ212 は圧縮された空気を燃焼器214 に送り、この燃焼器214 中で空気は燃料と混合され、点火され膨張してタービン213 を通過する。排気生成物はノズル出口コーン215 の周囲の第1の、コア流体路222 に沿ってタービン213 を通過して排出される。第1の流体路222 は第1の壁221 により外側が囲まれ、タービン213 の後方に位置する第1の流体路出口226 で終端している。
タービン213 は分離された部分を含み、その1つはコンプレッサ212 を駆動し、他の1つはコンプレッサ212 の前方に位置するファン211 を駆動する。ファン211 は第2の、すなわちファン流体路224 に沿ったエンジン210 のコアの周囲のバイパス空気を駆動する。第2の流体路224 は第1の壁221 によって内側が囲まれ、第2の壁223 により外側が囲まれている。第2の壁223 は第2の流体路出口227 で終端されている。
第1の壁221 および、または第2の壁223 は流体通路を有しており、それらは壁内の対応する流体路から流体を壁の外側の対応する流体路へ受動的に導く。例えば、第1の壁221 は第1の流体通路228 を有し、それは第1の流体路222 から第2の流体路224 へ流体を受動的に導く。第1の流体通路228 はしたがって第1の流体路222 の出口226 の上流で、第2の流体路出口227 の下流に位置される。第2の壁223 は第2の流体通路240 を有し、それは第2の流体路224 からナセル204 の周囲を流れる周囲の空気流体路225 へ流体を受動的に導く。2つの流体通路228 ,240は図3では概略的に示されているが、図5を参照にして詳しく後述するように図3で示されたものよりは空気力学的な形状を有している。
流体通路228 ,240を通って受動的に導かれる流体は幾つかの機能中の1以上の機能を提供する。例えば、これらの流体通路を通って導かれる流体は、図1で説明した機械的シェブロンにより生成される混合効果を空気力学的にエミュレートする円周方向で間隔をおいて形成されたジェットの形態を取る。したがって、これらのジェットは隣接する流体間の混合を高め、それによってエンジン音を減少させる。別の実施形態では、流体通路は出口面積が実効的に増加され、それを通ってエンジンで駆動された流体が通過する。特定の実施形態では、この効果は第2の、すなわちファン流体路224 に適用され、ファン空気流に利用できる出口面積を増加させる。換言すれば、第2の流体路224 は第2の流体路出口227 で利用可能な出口面積を補足する。さらに別の実施形態では、この方法は、第2の流体路224 に付加してまたはその代わりに第1の、コア流体路222 に対して使用されることもできる。
図4の(A)はノズル220 の側面図であり、第2の壁223 に設けられた第2の流体通路240 の代表的な実施形態を示している。第2の流体通路240 は第2の流体路224 からの流体を受動的に大気空気流体路225 へ導いている。個々の第2の流体通路240 は第2の壁223 の内面に位置する入口開口241 と第2の壁223 の外面に位置する出口開口242 とを有している。第2の流体路224 に沿って導かれたファン空気流体は典型的に空気流体路225 中の周囲の空気よりも高い圧力を有しているから、矢印Aで示されているように第2の流体通路240 を通って大気空気流体路225 中に引出される。
図4の(A)に示された特定の実施形態において、出口開口242 の隣接対は鏡像の台形状で互いの方向に傾斜して形成されている。この構成は機械的シェブロンをエミュレートするために隣接する第2の流体通路240 を通って互いの方向に流れる対応する流体通路を形成する。上述のようにこの効果はファン流体流と周囲空気流との混合を増加させる。別の実施形態においては、出口開口242 および、または第2の流体通路240 の形状を異ならせることもできる(例えば出口開口242 は方形、三角形、または楕円形でもよい)。
図4の(B)は図4の(A)に示されたノズル220 の端面図である。この図4の(B)に示されているように、出口開口242 は第2の壁223 の外面と一致して位置している。したがって出口開口242 は後方に面した段部を含んでいない。以下詳細に説明するように、この構成は第2の流体通路240 を使用して第2の流体路224 に沿ったファン流体路に対して利用可能な出口面積を制御することを容易にする。
図5は第2の壁223 中に設けられている第2の流体通路240 を示した部分的な概略断面図である。第2の流体通路240 は平滑な形状の入口開口241 と上述したような第2の壁223 の外面と一致して位置している出口開口242 とを含んでいる。したがって出口開口242 の上流に位置している上流表面243 は出口開口242 の下流に位置している下流表面244 と同様のほぼ平滑な、形状の平面である。出口開口242 を出た流体流はコアンダ(Canda)効果の結果として下流表面244 に接したまま維持される。
第2の流体通路240 が主としてシェブロンの混合効果をエミュレートする形状に構成されるとき、それらは全てのエンジンおよび航空機動作設定において開かれたままである (少なくとも1実施形態において)。別の実施形態では、第2の流体通路240 は特定のエンジン設定および、または飛行状態で閉じられるようにすることもできる。そのような実施形態では、ノズル220 が閉鎖装置250 を含み、それは出口開口242 を閉じるように選択的に動作可能である。この実施形態の1特徴では、閉鎖装置250 は出口開口242 に位置するドア251 を含み、矢印Bで示されるように前方にスライドするとき出口開口242 を開き、後方にスライドするとき出口開口242 を閉じる。ドア251 は閉じた位置で上流表面243 および下流表面244 とほぼ平滑な連続した外形を形成する。別の実施形態では、ドア251 は別の方法(例えば折り畳みまたは回転)で移動されることもできる。アクチュエータ252 (図5に概略的に示されている)がドア251 に結合されて動作してドア251 を開閉する。例えば円周方向に延在し、円周方向で間隔を有している出口開口242 はそれぞれ分離したドア251 を含み、共通のアクチュエータ252 が全てのドア251 を一時に駆動するために使用されることができる。別の実施形態では、個々のアクチュエータ252 が各ドアを制御し、或いはクラッチの配置が特定の個々のドア251 或いはドア251 のサブセットを選択的に開閉するために使用されることもできる。1実施形態では、ドア251 は完全に開いた状態と完全に閉じた状態との間でのみ移動する。別の実施形態では、ドア251 は、出口開口242 の寸法および形状について所望の制御レベルを含むファクタに応じて選択的に部分的に開かれて配置されることができる。
制御装置253 (これも概略的に示されている)はアクチュエータ252 に結合されて動作し、ドア251 の運動を制御し、1以上の入力装置254 から入力を受けることができる。1実施形態では1または複数の入力装置254 はドア251 を選択的に開閉するためにパイロットにより手動で制御されることができる。別の実施形態では、入力装置254 は航空機エンジンの状態や航空機の飛行状態(例えば離陸、上昇、巡航、下降、着陸)を自動的に検出し、制御装置253 に対応する入力を与える1以上のセンサを含むことができる。この実施形態では、制御装置253 はパイロットの介入なしに自動的にドア251 の運動を制御することができる。しかし所望ならばパイロットは制御装置253 を無効にすることもできる。
上述したように、出口開口242 は機械的シェブロンの効果をエミュレートするように流体を導くように配置されるとき、出口開口242 は全ての航空機の動作中開かれたままにすることもできる。例えば、別の場合には、出口開口242 により生成された混合により得られる雑音減少が出口開口242 の幾つかを閉じることによって強化されることが決定されたならば、制御装置253 はそうするように使用されることができる。例えば、場合によっては、ノズル220 の下半分でドア251 を閉鎖し、または部分的に閉鎖するが上半分のドア251 は開いたままにすることもできる。別の実施形態では、雑音減少が著しい飛行中の状態においてドア251 を閉じることが望ましい可能性があり、例えば、そのようにして推進システムの効率が改善される可能性がある。
別の動作モードでは、第2の流体通路242 は第2の流体路224 に沿って導かれたファン空気流に対して実効出口面積を制御するために使用されることができる。この実施形態の1特徴では、隣接する出口開口242 は図4の(A)に示されているように互いにの方向に傾斜しないで、直接後方に流体を導くように配置されている。この実施形態のさらに別の構成では出口開口242 は第2の流体路出口227 から十分離れた上流に位置しており、そのため隣接する流体通路240 を通る流体は第2の流体路出口227 に到達する前に互いに混合される。したがって、混合される流体流が一般的に円周方向で連続したファン流体流のシェットを生成することが期待される。さらに、ファン流体流の円周方向でほぼ連続しているジェットは、出口開口242 の組合わされた出口面積によって与えられたファン流体流の出口面積の有効な増加を示している。さらに、円周方向でほぼ連続しているファン空気流のジェットは出口開口242 の組合わされた出口面積により与えられたファン空気流出口面積の有効な増加を生じている。この構成で予測される利点は、実効出口面積が大きくなることにより第2の流体路出口227 の流体速度が減少され、そのためこの流体により生成される雑音が減少することである。図6および7は後述するような予測される効果を示している。
ある実施形態では、第2の流体通路240 の同じ配置が異なった状態で出口面積を増加させ、またはシェブロンエミュレーションを増加させるように能動的に制御されることもできる。例えば、出口面積を最大に増加させるために、第2の流体通路240 の全てが開かれてもよい。シェブロンエミュレートでは交互に第2の流体通路240 が閉じられることができる(円周方向で交互に)。
図6は航空機ノズルの軸方向後方の距離の関数として擾乱を示しているグラフである。記号260 は2つの非対称ノズルに対する実験データを示している。曲線261aは類似したノズルに対する予測された擾乱値を示しており、その予測は実験データの大まかな追跡であることを示している。曲線262aは類似したノズルに対する予測された擾乱値を示しており、その予測は実験データの大まかな追跡を示している。曲線262aは図5に示されたのとほぼ類似した断面形状を有する円周方向で間隔を隔てられた流体通路240 を有するノズルに対する予測された擾乱値を示している。それは第2の流体路出口227 において(例えば共に混合される隣接流体流からの流れを有する)ほぼ連続的な流体流を提供するように配置されている。図6は、ノズル(例えばX軸に沿った0−3ノズル直径)の出口に特に近接した図5に示された流体通路240 のないものに比較して予想される擾乱レベルが一般的に低いことを示している。
図7はパッシブな流体通路のない(曲線261b)ノズルとパッシブな流体通路のある(曲線262b)ノズルとに対する周波数の関数として予想される雑音値を示している。その結果は離陸状態について示されている。図7に示されるように図5に示された流体通路240 の存在は広い種々の周波数にわたってジェット雑音が減少されることが予想される。
前述の実施形態の少なくとも幾つかのものの1つの特徴は、機械的シェブロンをエミュレートするように構成された流体通路を有するノズルは機械的シェブロン自体を含む必要がないことである。この構成の利点は、流体通路が機械的シェブロンに比較して振動に曝されて、金属疲労が生じることが少くなることが期待され、それ故、損傷を受けることが少くなり、メンテナンスの必要が減少することが期待される。
少なくとも幾つかの実施形態の付加的な特徴は、流体通路が調節可能にできることである。例えば、前述のように閉鎖装置が使用されて選択的に流体路を開閉することが可能である。この実施形態で予測される利点は流体通路が雑音と性能の両方の目的に合致するように制御されることができるので、それは飛行条件を変化させることを可能にする。閉鎖装置は流体通路の出口開口において流体通路を閉じるドアを含むことができる。この構成の利点は流体通路が閉じられたとき後方に面した段部が残らないことである。代わりに流体通路が閉じたとき、ドアは流体が通過する壁の外面と連続してほぼ平滑に延在する。
この実施形態の少なくとも幾つかの別の特徴は、流体通路を通過する流体に対してエネルギを付加する装置を流体通路が含まないことである。例えば、流体通路は、エンジンからの圧縮された空気の流出により加圧される高圧室その他の装置を含まない。その代わりに、流体通路は選択されたノズル壁(例えば第1の壁221 または第2の壁223 )内のガスとそれらの壁の外部のガスとの間の圧力差に依存している。この構成の利点は、流体通路に与えられる空気流の能動的な加圧のための装置を有する従来の装置よりも構成や設置が簡単であり、コンプレッサその他のエンジンセクションから空気を分流する必要がなく、したがってエンジン性能が向上できることである。
上述した実施形態の少なくとも幾つかのさらに別の特徴は、流体通路、特に第2の流体通路240 が互いに十分に近接して、第2の流体路の出口227 から十分離れた上流に配置されることができ、そのため第2の壁223 の外面に沿ったほぼ連続的なジェットを混合させることができることである。幾つかの既存の装置とは異なって流体通路240 は第2の流体路224 からのみ流体流を受取り、周囲空気流体路225 からの空気を受取る上流から流体流を受取らない。したがってこの構成は第2の流体路224 の出口面積を増加させるのに有効である。上述のようにこの構成は出口速度の減少によりエンジン雑音を減少させることができることが期待される。増加されたノズル出口面積の付加的に予想される効果は、ファンに対する背圧の減少である。背圧の減少はファンブレード上の流体の流れを改善し、ファン自体により発生される雑音を減少させることができる。
上述した構成のさらに別の特徴は、エンジン性能が向上することである。例えば、高推力状態(例えば離陸時)では第2の流体路224 の出口面積が増加されることが望ましい。他の飛行状態(例えば巡航時)では減少された出口面積が性能を改善する可能性がある。それ故、少なくとも幾つかの実施形態では、閉鎖装置はエンジン推力設定および、または飛行状態に応じて流体路の面積の調節(例えば流体路の開閉)を行うことができる。
以上の説明から、説明のためにここに記載されている本発明の特定の実施形態が説明されたが、種々の変形、変更が本発明の技術的範囲を逸脱することなく可能であることが認識されるであろう。例えば、第2の流体路に関して上述した流体通路はまた、第1の流体路に対して適用することもできる。流体通路は図示された以外の異なった形状および、または構造を有する内部形状および出口開口を有することができる。特定の実施形態の文脈で説明された本発明の特徴は他の実施形態では組合わされ、或いは除去されてもよい。例えば、流体通路は、雑音減少が改善され、性能が向上するのであれば、ある円周方向の位置では集中され、別の位置では分散されて配置されてもよい。さらに、本発明のある実施形態に関連した利点はそれらの実施形態に関して説明したが、他の実施形態もまたそのような利点を有する可能性もあり、本発明の技術的範囲に含まれる全ての実施形態がそのような利点を有することは必要ない。したがって、本発明は特許請求の範囲の記載以外により限定されるものではない。
また、本発明は以下に記載する態様を含む。
(態様1)
航空機のターボファンエンジンに取付け可能な航空機ノズルを具備し、
そのノズルは、第1の流体路を囲み、エンジン排気生成物を受けるように配置されている第1の流体路壁と、
第2の流体路を囲み、エンジンのバイパス空気を受けるように配置されている第2の流体路壁と、
第1と第2の流体路壁の少くなくも1つに設けられている多数の流体通路とを備え、
第1の流体路壁は第1と第2の流体路の間に位置し、第2の流体路壁は第2の流体路と周囲空気流の流体路との間に位置し、
前記多数の流体通路は、流体路壁の内側の流体路から流体路壁の外側の対応する流体路に流体路壁を通ってパッシブにガスを導くように配置され、隣接する流体通路は円周方向で隣接して間隔を隔てて設けられた出口開口を前記流体路壁の外側の対応する流体路との境界に設けられている航空機システム。
(態様2)
前記流体路はガスを後方に導くような形状である態様1記載のシステム。
(態様3)
前記流体路壁内の対応する流体路は後端で終端しており、それは離れた後方の突出部を含んでいない態様1記載のシステム。
(態様4)
個々の出口開口はその出口開口に対応する閉鎖装置を有し、システムはさらに出口開口を開閉するように閉鎖装置に結合されて動作するアクチュエータを備えている態様1記載のシステム。
(態様5)
さらに、エンジンの状態と飛行状態の少なくとも一方に対応する入力信号を送信するように構成された入力装置と、
アクチュエータと入力装置とに結合されて入力信号を受信し、入力信号に少なくとも部分的に基づいてアクチュエータの動作を命令する制御装置とを備えている態様4記載のシステム。
(態様6)
出口開口は第1の流体路壁中に設けられている態様1記載のシステム。
(態様7)
出口開口は第2の流体路壁の後部エッジの後方に位置する態様6記載のシステム。
(態様8)
出口開口は第2の流体路壁中に設けられている態様1記載のシステム。
(態様9)
さらに、個々の出口開口と連結されて流体を流通させて出口開口において個々の出口開口を開閉するように動作する閉鎖装置と、
その閉鎖装置に結合されて、閉鎖装置の動作を指令する制御装置とを備え、航空機ノズルは出口開口が閉じられたとき第1の出口面積を有し、出口開口が開かれたとき第1の出口面積よりも大きい第2の出口面積を有している態様8記載のシステム。
(態様10)
個々の流体通路は、対応する出口開口の上流の隣接する流体路に対しては流通可能ではない態様9記載のシステム。
(態様11)
航空機ターボファンエンジンからの排気ガス生成物を対応するエンジンノズルの第1の流体路に沿って導き、
エンジンの周囲にエンジンノズルの第2の流体路に沿ってバイパス空気を導き、
(a)円周方向の断続した位置において第1の流体路から第2の流体路にパッシブにガスを導き、または(b)断続的に円周方向に沿って間隔を隔てられた位置において第2の流体路から周囲の空気流へガスを導き、または(c)前記(a)および(b)の両方の流体路からガスを導く航空機エンジンの動作方法。
(態様12)
パッシブなガスの誘導においては、(a)第1の流体路、(b)第2の流体路、または(c)前記(a)および(b)の両流体路から除去された後のガスに対してエネルギを付加することなくガスを導く態様11記載の方法。
(態様13)
パッシブなガスの誘導は、エンジンノズルにより支持されているシェブロンの使用なしで行なわれるガスと周囲空気流との混合を含んでいる態様11記載の方法。
(態様14)
パッシブなガス誘導は、第1の流体路、第2の流体路、または第1、第2の両流体路の出口におけるシェブロンの存在により生じる流体混合を少なくとも部分的にエミュレートしている態様11記載の方法。
(態様15)
第2の流体路から周囲空気流へのパッシブなガス誘導は、周囲空気流の速度よりも大きくバイパス空気流の速度よりも小さい速度を有するガスを導く態様11記載の方法。
(態様16)
パッシブなガスの誘導は、周囲空気流との境界に位置している円周方向で間隔を隔てられた複数の出口開口を通って第2の流体路からガスを導き、さらに、バイパス空気に対して実効出口面積を減少させるように境界部において出口開口を選択的に閉じ、エンジンによって生成される推力と周囲空気流の状態に対応するように出口開口を選択的に再度開放する態様11記載の方法。
従来技術により構成されたノズルの概略図。 本発明の1実施形態により構成されたノズルを有する航空機の概略図。 本発明の実施形態により設けられた流体通路を有するエンジンとノズルの簡単化された概略断面図。 本発明の1実施形態によるバイパス流体流と周囲空気流との間に位置された流体路を有するエンジンノズルの側面図(A)とそのエンジンノズルの端面図(B)。 本発明の1実施形態で構成された特性を有する流体通路の概略断面図。 本発明の実施形態による特性を有するノズルに対する予測される擾乱レベルを示すグラフ。 本発明の実施形態による特性を有するノズルに対する予測される雑音レベルを示すグラフ。

Claims (16)

  1. 航空機のターボファンエンジン(210)に取付け可能な航空機ノズル(220)を具備し、
    そのノズルは、第1の流体路(222)を囲み、エンジン排気生成物を受けるように配置されている第1の流体路壁(221)と、
    第2の流体路(224)を囲み、エンジンのバイパス空気を受けるように配置されている第2の流体路壁(223)と、
    第1と第2の流体路壁の少なくとも1つに設けられている多数の流体通路(228、240)とを備え、
    第1の流体路壁は第1と第2の流体路の間に位置し、第2の流体路壁は第2の流体路と周囲空気流の流体路との間に位置し、
    前記多数の流体通路は、流体路壁の内側の対応する流体路から流体路壁の外側の対応する流体路に流体路壁を通ってガスを受動的に導くように構成され、第2の流体路壁において隣接する流体通路(240)は円周方向で隣接して間隔を隔てて設けられた出口開口(242)であって、前記流体路壁の外側の対応する流体路との境界を形成するように設けられている出口開口を有し、隣接した流体通路の出口開口の隣接対は、鏡像の形状であり、前記ノズルの軸方向に対して互いの方向に斜めに傾斜が付けられ、それにより、機械的シェブロンによって生成される混合効果を空気力学的に促進するために、隣接する流体通路を通る対応する流れが互いの方向に向けられる航空機システム。
  2. 前記流体通路(228、240)は平滑な形状の入口開口(241)と出口開口(242)とを含み、出口開口はガスを後方に導くように、第の流体路壁(223)の外面と一致して位置している、請求項1記載のシステム。
  3. 前記流体路壁内の対応する流体路は前記ノズルの真っ直ぐな後端で終端している、請求項1または2に記載のシステム。
  4. 個々の出口開口(242)はその出口開口において対応する閉鎖装置(250)を有し、システムはさらに出口開口を開閉するように閉鎖装置に動作可能に結合されたアクチュエータ(252)を備えている請求項1ないし3のいずれか一項記載のシステム。
  5. さらに、エンジンの状態と飛行状態の少なくとも一方に対応する入力信号を送信するように構成された入力装置(254)と、
    アクチュエータ(252)と入力装置(254)とに動作可能に結合されて入力信号を受信し、入力信号に少なくとも部分的に基づいてアクチュエータの動作を命令する制御装置(253)とを備えている請求項4記載のシステム。
  6. 出口開口は第1の流体路壁に設けられる請求項1に記載のシステム。
  7. 出口開口は第2の流体路壁(223)の後部エッジの後方に位置する請求項6に記載のシステム。
  8. 出口開口(242)は第2の流体路壁中に設けられている請求項1に記載のシステム。
  9. さらに、個々の出口開口(242)と連結されて流体を流通させて出口開口において個々の出口開口を開閉するように動作する閉鎖装置(250)と、
    その閉鎖装置に動作可能に結合されて、閉鎖装置の動作を指令する制御装置(253)とを備え、
    航空機ノズル(220)は出口開口が閉じられたとき第1の出口面積を有し、出口開口が開かれたとき第1の出口面積よりも大きい第2の出口面積を有している請求項8記載のシステム。
  10. 個々の流体通路(228、240)は、対応する出口開口(242)の上流の隣接する流体路に対しては閉鎖される請求項9記載のシステム。
  11. 航空機ターボファンエンジン(210)からの排気ガス生成物を対応するエンジンノズル(220)の第1の流体路(222)に沿って導き、
    エンジンの周囲にエンジンノズルの第2の流体路(224)に沿ってバイパス空気を導き、
    (a)円周方向の断続した位置において第1の流体路から第2の流体路へ、あるいは、(b)断続的に円周方向に沿って間隔を隔てられた位置(242)において第2の流体路から周囲空気流へ、ガスを受動的に導くか、または、前記(a)および(b)にガスを受動的に導き、
    円周方向の断続した位置の隣接対は、鏡像の形状であり、前記ノズルの軸方向に対してお互いの方向に斜めに傾斜が付けられ、それにより、機械的シェブロンによって生成される混合効果を空気力学的に促進するために、隣接する流体通路を通る対応する流れが互いの方向に向いている、航空機エンジンの動作方法。
  12. 受動的にガスを導くことは、第一と第二との流体路内のガスの圧力差及び/または第二の流体路内のガスと周囲空気流との圧力差を用いることによって、(a)第1の流体路(222)、(b)第2の流体路(224)、または、前記(a)および(b)の両流体路から除去された後のガスを導くことを含む請求項11記載の方法。
  13. 受動的にガスを導くことは、エンジンノズル上でガスと周囲空気流との混合を含み、前記エンジンノズルは真っ直ぐな後端を有する請求項11記載の方法。
  14. 受動的にガスを導くことは、第1の流体路(222)、第2の流体路(224)、または第1、第2の両流体路の出口におけるシェブロンの存在により生じる流体混合を少なくとも部分的に空気力学的に促進する請求項11記載の方法。
  15. 第2の流体路(224)から周囲空気流に受動的にガスを導くことは、周囲空気流の速度よりも大きくバイパス空気流の速度よりも小さい速度を有するガスを導くことを含む請求項11記載の方法。
  16. 受動的にガスを導くことは、周囲空気流との境界に位置している円周方向で間隔を隔てられた複数の出口開口(242)を通って第2の流体路(224)からガスを導くことを含む方法であって、さらに、バイパス空気に対して実効出口面積を減少させるように境界部において出口開口(242)を選択的に閉じ、エンジンによって生成される推力と周囲の大気の状態に対応するように出口開口を選択的に再度開放することを含む請求項11記載の方法。
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