JP5238174B2 - モータ制御装置および洗濯機 - Google Patents

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本発明は、回転座標上での制御が可能なモータ制御装置およびこれを用いた洗濯機に関する。
近年、洗い、濯ぎおよび脱水運転を行うためにダイレクトドライブ方式のブラシレスモータを備え、モータ制御装置によりそのモータを回転座標(dq座標)上でベクトル制御する洗濯機が用いられている。このような洗濯機では、回転速度を広範囲に且つ高精度に制御できるため、消費電力および運転中の振動が低減する。
特許文献1には、洗い運転時に倍電圧整流回路を選択し、脱水運転時に昇圧整流回路を選択する洗濯機が開示されている。この洗濯機によれば、脱水運転時に十分な昇圧電圧を確保できるので、d軸電流を最小(例えば0)に制御しても高速回転による脱水運転が可能となる。従って、脱水運転時のモータ電流を小さくして消費電力の低減を図ることができる。
特開2001−252494号公報
しかしながら、高トルクが必要な負荷領域でモータの巻数を増やし、高速回転が必要な負荷領域でモータの巻数を減らすようにモータ巻線を切り替えるシステムなどでは、高速回転領域においてd軸電流を最小にすることが必ずしも効率を最大にすることにならないという問題がある。例えば、上述した特許文献1ではd軸電流を最小に制御するようになっているが、これは銅損を最小にする目的で行われており、鉄損に関しては考慮されていない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、鉄損と銅損を考慮してモータを高効率で運転できるモータ制御装置およびこれを用いた洗濯機を提供することにある。
請求項記載のモータ制御装置は、半導体スイッチング素子を備え、モータの電機子巻線に対しそのスイッチング状態に応じた電圧を出力する電力変換手段と、この電力変換手段によりモータが運転状態にあるときにモータの鉄損と銅損をそれぞれ算出する鉄損算出手段および銅損算出手段と、モータの回転速度を検出する回転速度検出手段と、各運転状態において前記算出された鉄損と銅損の合計が最小となるように前記電機子巻線に対する出力電圧の振幅を制御し、指令回転速度と検出回転速度との差分に基づいて出力電圧の位相を制御する電圧制御手段とを備えていることを特徴とする。
請求項記載の洗濯機は、洗い、濯ぎおよび脱水運転を行うための回転駆動力を発生させるモータと、このモータを制御する前記モータ制御装置とを備えていることを特徴とする。
本発明によれば、運転状態におけるモータの鉄損と銅損の総損失が最小となるように制御されるので、鉄損が大きくなる高速回転においてもモータおよび洗濯機を高効率で運転できる。
(第1の実施形態)
以下、モータ制御装置をドラム式洗濯機に適用した場合の第1の実施形態について図1ないし図4を参照しながら説明する。
まず、ドラム式洗濯機の全体構成を図4を用いて説明する。ドラム式洗濯機1の外殻をなす外箱(筐体)2の前面部には、中央部に扉3が設けられ、上部に、多数のスイッチや表示部(何れも図示せず)を備えた操作パネル4が設けられている。扉2は、外箱1の前面中央部に形成された洗濯物出し入れ口5を開閉するものである。
外箱2の内部には、円筒状をなす水槽6が配設されている。この水槽6は、その軸方向が前後方向(図4では左右方向)となる横軸状で且つ前上がりの傾斜状に配設され、弾性支持装置7により弾性的に支持されている。水槽6の内部には、円筒状をなすドラム(回転体)8が水槽6と同軸状に配設されている。このドラム8は、洗濯の他、脱水および乾燥に共用の槽として機能するもので、胴部のほぼ全域に小孔9が多数形成され(図4に一部のみ示す)、胴部の内周部にはバッフル10が複数設けられている(図4に1つのみ示す)。
水槽6およびドラム8は、それぞれ前面部に洗濯物出し入れ用の開口部11、12を有し、水槽6の開口部11は前記洗濯物出し入れ口5にベロー13により水密に連ねられ、ドラム8の開口部12はその水槽6の開口部11に臨んでいる。ドラム8の開口部12の周囲部には、バランスリング14が設けられている。
上記水槽6の背面部には、ドラム8を回転駆動するモータ15が配設されている。モータ15はアウタロータ形のブラシレスDCモータ(永久磁石同期モータ)であり、そのステータ16が、水槽6の背部中央部に取り付けられた軸受ハウジング17の外周部に取り付けられている。ステータ16には、三相の巻線18(電機子巻線に相当)が巻回されている。
モータ15のロータ(回転子)19は、ステータ16を外側から覆うように配置され、中心部に取り付けられた回転軸20が上記軸受ハウジング17に軸受21を介して回転可能に支承されている。軸受ハウジング17から突出した回転軸20の前端部はドラム8の背部の中央部に連結されている。すなわち、モータ15のロータ19が回転すると、ロータ19と一体にドラム8も回転する構成(いわゆるダイレクトドライブ方式)となっており、ドラム8内に収容された洗濯物に対して回転力を作用させることで、洗い運転、濯ぎ運転、脱水運転を行う。
水槽6の下面部には水溜部22が設けられており、この水溜部22の内部に洗濯水加熱用のヒータ23が配設され、水溜部22の後部に、排水弁24を介して排水ホース25が接続されている。
水槽6の上部には温風生成装置26が設けられ、背部には熱交換器27が設けられている。温風生成装置26は、ケース28内に配設された温風用ヒータ29、ケーシング30内に配設されたファン31、ファン31をベルト伝動機構32を介して回転駆動するファンモータ33で構成され、ケース28とケーシング30とは連通されている。ケース28の前部にはダクト34が接続され、ダクト34の先端部は、水槽6内の前部に突出してドラム8の開口部12に臨んでいる。
ここで、温風用ヒータ29とファン31とにより温風が生成され、その温風はダクト34を通してドラム8内に供給される。ドラム8内に供給された温風はドラム8内の洗濯物を加熱するとともに水分を奪い、熱交換器27側へ排出される。
熱交換器27は、上部が上記ケーシング30内と連通し、下部が水槽6内と連通しており、水が上部から注ぎ入れられて流下することで、内部を通る空気中の水蒸気を冷却し凝縮させて除湿する水冷式である。この熱交換器27を通った空気は再び温風生成装置26に戻され、温風化されて循環する。
図1は、モータ15の回転を制御する制御装置35(モータ制御装置に相当)の構成を示す機能ブロック図である。ここで、後述する制御用マイコン36とインバータ回路37を除く構成部分は、DSP(Digital Signal Processor)が実行するソフトウェア処理により実現されている。これら制御用マイコン36とDSPとにより駆動制御手段が実現されている。DSPには、入出力ポート、シリアル通信回路、電流検出信号などのアナログ信号を入力するためのA/D変換器、PWM処理を行うためのタイマなどが具備されている。
モータ15の巻線18(18u、18v、18w)は、図2に示す結線状態とされている。すなわち、洗濯機1が洗い運転または濯ぎ運転の場合には、図2(a)に示すようにリレー接点38u、38v、38w(巻線切替手段に相当)を介してY(スター)結線とされ、洗濯機1が脱水運転の場合には、図2(b)に示すようにリレー接点38u、38v、38wを介してΔ(デルタ)結線とされる。リレー接点38u、38v、38wは、制御用マイコン36から出力される切替信号Sbにより切り替えられるようになっている。
モータ15には、ロータ19の磁極位置を検出するための位置センサ39が取り付けられている。本実施形態で用いる位置センサ39は、ロータ19に配設された永久磁石の磁界を検出するホールICからなり、例えば60度(電気角)ごとに磁極位置を検出するようになっている。位置・速度検出部40(回転速度検出手段に相当)は、角度補間処理および回転速度検出処理を実行し、角度分解能を高めたロータ19の回転位相角θおよび回転速度ωを演算する。
洗濯機1の運転全般を制御する制御用マイコン36は指令回転速度ωrefを出力し、減算器41は、その指令回転速度ωrefとモータ15の検出回転速度ωとの減算結果である回転速度偏差Δωを出力するようになっている。そして、PI制御器42は、その回転速度偏差Δωを入力として比例積分演算を行い、指令q軸電流Iqrefを生成するようになっている。本実施形態でいうq軸電流、d軸電流は、それぞれ静止座標系(αβ座標系)に対して回転位相角θを有して回転する回転座標系で表されるトルク分電流、励磁分電流を表している。
減算器43、44は、それぞれ後述する指令d軸電流Idrefと座標変換器45から出力されるd軸電流Idとの減算結果である電流偏差ΔId、指令q軸電流Iqrefと座標変換器45から出力されるq軸電流Iqとの減算結果である電流偏差ΔIqを出力するものである。PI制御器46、47は、この電流偏差ΔId、ΔIqをそれぞれ入力して比例積分演算を行い、指令d軸電圧Vd、指令q軸電圧Vqを生成するようになっている。
座標変換器48は、回転座標変換および二相−三相変換を併せて行うもので、回転位相角θに基づいて、回転座標系の二相の指令電圧Vd、Vqを静止座標系の三相の指令電圧Vu、Vv、Vwに変換するものである。PWM信号生成部49は、指令電圧Vu、Vv、Vwに基づいてPWM信号Vup、Vun、Vvp、Vvn、Vwp、Vwnを生成し、それらをインバータ回路37に出力するようになっている。
そのインバータ回路37(電力変換手段に相当)は、6個のIGBT50(半導体スイッチング素子に相当)が三相フルブリッジ接続された構成を備えており、その直流電源線51、52には図示しないコンバータから100Vの交流電源を倍電圧全波整流した直流電圧が印加されるようになっている。
電流検出器53、54、55は、インバータ回路37の出力線に設けられたホールCTであって、モータ15の巻線18に流れる電流Iu、Iv、Iwを検出するようになっている。この電流検出器53、54、55からの電流検出信号は、DSP内部のA/D変換器(図示せず)に入力されてディジタルデータに変換される。座標変換器45は、回転座標変換および三相−二相変換を併せて行うもので、回転位相角θに基づいて、静止座標系の三相の電流Iu、Iv、Iwを回転座標系の二相の電流Id、Iqに変換するようになっている。
続いて、指令d軸電流Idrefを生成するための構成を説明する。
鉄損算出部56(鉄損算出手段に相当)および銅損算出部57(銅損算出手段に相当)は、それぞれモータ15が運転状態にあるときにモータ15の鉄損Piおよび銅損Pcを算出するものである。d軸電流制御部58(d軸電流制御手段に相当)は、加算器59、遅延器60、減算器61、PI制御器62およびリミッタ63から構成されている。
加算器59は、算出した鉄損Piと銅損Pcを加算してモータ15の総損失Pallを出力し、遅延器60(図中Z−1で示す)は、その総損失Pallを1制御周期だけ遅延させる。減算器61は、現制御周期で算出した総損失Pallから前制御周期で算出した総損失Pall0を減算し、PI制御器62は、その変化分ΔPallと直前の指令d軸電流Idrefpreの変化符号とに基づいて比例積分演算を行い、指令d軸電流Idrefpreを出力する。この指令d軸電流Idrefpreは、リミッタ63において適切な範囲内への制限処理が施された上でd軸電流Idrefとして出力される。
制御用マイコン36は、洗濯機1が洗い運転または濯ぎ運転の場合にはLレベルの切替信号SaおよびY結線とするための切替信号Sbを出力し、脱水運転の場合にはHレベルの切替信号SaおよびΔ結線とするための切替信号Sbを出力する。スイッチ64は、切替信号SaがLレベルのときに一定の指令d軸電流Idref1を減算器43に伝達し、切替信号SaがHレベルのときにd軸電流制御部58から出力される指令d軸電流Idrefを減算器43に伝達するようになっている。
次に、本実施形態の作用について図3も参照しながら説明する。
制御装置35のDSPは、図示しないメモリに記憶された制御プログラムを実行することにより、所定の制御周期ごとに、d軸電流制御を含むモータ15の制御演算を実行する。洗濯機1が洗い運転または濯ぎ運転の場合には低速、高トルク運転が必要であり、モータ15の巻線18は図2(a)に示すY結線とされる。このとき、制御装置35は、鉄損算出部56、銅損算出部57およびd軸電流制御部58の演算処理を停止し、一定の指令d軸電流Idref1(例えば0)を用いて速度制御および電流制御を実行する。
これに対し、洗濯機1が脱水運転の場合には高速、低トルク運転が必要であり、モータ15の巻線18は図2(b)に示すΔ結線とされる。制御装置35は、鉄損算出部56、銅損算出部57およびd軸電流制御部58での演算を実行して、鉄損と銅損の合計を最小とする損失最小化制御、速度制御および電流制御を実行する。巻線18がΔ結線とされると、各相の実効的な巻数がY結線のときの1/31/2となり誘起電圧が低下するため、より高い回転速度まで回転可能となる。
鉄損算出部56は、(1)式により鉄損Piを算出する。この(1)式は、理論的に導出されるヒステリシス損および渦電流損からなる鉄損と実際に発生する損失(機械損を除く)とが一致するように決めた近似式である。K1はモータ15の磁気回路の構成により決まる定数で、K2は巻線18の構成などにより決まる定数である。
Pi=K1・ω1.8(1+K2・Id) …(1)
銅損算出部57は、(2)式により銅損Pcを算出する。Rは1相当たりの巻線抵抗値である。
Pc=R・I=R(Id+Iq) …(2)
これらの式から分かるように、鉄損Piは、回転速度ωの1.8乗に比例するため、高速回転領域で非常に大きくなるが、(1)式にはd軸電流Idの比例項が存在するので、同じ回転速度と同じトルクを持つ負荷点では、d軸電流Idを負の方向に大きくするほど鉄損Piが低減する。ただし、d軸電流Idを増やすと銅損Pcが増加する。
図3は、一定の回転速度とトルクを持つ負荷点における電流位相と鉄損Pi、銅損Pc、総損失Pallとの関係を示している。横軸に示す電流位相において、左端のd軸電流Idは0であって、右にいくほどd軸電流Idが負の方向に増加して電流位相が進む。上述した鉄損Piと銅損Pcとの関係から、鉄損Piと銅損Pcを加算した総損失Pallは、d軸電流Idの増加とともに減少し、d軸電流がIdmのときに最小値となり、d軸電流Idがさらに増加すると逆に増大する傾向を示す。
鉄損Piと銅損Pcを加算した総損失Pallを最小とする損失最小化制御は、d軸電流Idを図3に示すIdmに制御するものであり、d軸電流Idの変化に伴い生じる鉄損Piの減少分と銅損Pcの増加分とが等しくなる状態となるようにd軸電流Idを制御することと等価である。d軸電流制御部58は、総損失Pallが最小となるように直接的に指令d軸電流Idrefを演算する。
図3に示すように、指令d軸電流Idrefが0とIdm(<0)との間にある場合には、指令d軸電流Idの増加に伴って総損失Pallは減少する。PI制御器62は、指令d軸電流Idrefpreの増加中に変化分ΔPallが負になると、指令d軸電流Idrefpreをさらに負の方向に増やして指令d軸電流IdrefをIdmに近付ける。
一方、指令d軸電流IdrefがIdmよりも大きい場合には、指令d軸電流Idrefの増加に伴って総損失Pallは増大する。PI制御器62は、指令d軸電流Idrefpreの増加中に変化分ΔPallが正になると、指令d軸電流Idrefpreを減らしてIdmに近付ける。また、指令d軸電流Idrefpreの減少中に変化分ΔPallが負になるときも、指令d軸電流Idrefpreを減らしてIdmに近付ける。その結果、指令d軸電流Idrefは常にIdmに制御され、総損失Pallが最小となる。
以上説明したように、本実施形態の制御装置35は、モータ15が運転状態にあるときにモータ15の鉄損Piと銅損Pcとを加算した総損失Pallを算出し、総損失Pallが最小となるように指令d軸電流Idrefを設定しd軸電流Idを制御(損失最小化制御)するので、モータ15ひいては洗濯機1の運転効率を高めることができる。
洗濯機1が洗い運転または濯ぎ運転の場合には、低速、高トルク運転となるので銅損Pcが支配的となり鉄損Piは小さくなるのに対し、洗濯機1が脱水運転の場合には、高速、低トルク運転となるので鉄損Piが非常に大きくなる。制御装置35は、巻線18がΔ結線とされる脱水運転時に上記損失最小化制御を実行するので、鉄損の影響が大きくなる高速運転領域での効率を高めることができる。
鉄損算出部56は、理論的に導出されるヒステリシス損および渦電流損からなる鉄損Piと実モータでの損失(機械損を除く)とが一致するように決めた近似式を用いているので、鉄損Piの算出精度が高く且つDSPの演算量が少ないという利点がある。
(第2の実施形態)
次に、モータ制御装置をドラム式洗濯機に適用した場合の第2の実施形態について図5および図6を参照しながら説明する。
図5は、モータ15の回転を制御する制御装置65の構成を示す機能ブロック図であり、図1と同一部分には同一符号を付して示している。制御装置65は、鉄損Piと銅損Pcの合計を最小とする損失最小化制御を実行するd軸電流制御部66(d軸電流制御手段に相当)を備えている。このd軸電流制御部66は、メモリ66a(記憶手段に相当)を備えており、回転速度ω、d軸電流Idおよび指令q軸電流Iqrefを入力して指令d軸電流Idrefを出力するようになっている。
モータ15が運転される負荷範囲は、図6に示すように回転速度ωとトルクとに基づいて複数の負荷領域に区分されており、メモリ66aには、その区分された各負荷領域ごとにモータ15の鉄損Piと銅損Pcの合計を最小とするd軸電流Idmがテーブル形式で記憶されている。低速、高トルクの負荷領域に対しては、鉄損Piが小さくなるのでd軸電流Idmは小さく設定されており、高速、低トルクの負荷領域に対しては、鉄損Piが大きくなるのでd軸電流Idmはより大きく設定されている。
洗濯機1の運転に伴い制御装置65がモータ15を駆動制御するとき、d軸電流制御部66は、d軸電流Idと指令q軸電流Iqrefとからトルクを算出し、回転速度ωと算出したトルクに対応するd軸電流Idmをメモリに記憶されたテーブルから読み出して指令d軸電流Idrefとする。このことは、回転速度ωと算出したトルクから負荷領域を判定し、判定した負荷領域に対応するd軸電流Idmを読み出して指令d軸電流Idrefとすることに等しい。
本実施形態によっても、鉄損Piと銅損Pcとを加算した総損失Pallを最小に制御できるので、モータ15ひいては洗濯機1の運転効率を高めることができる。また、制御周期ごとの鉄損Piと銅損Pcの演算および比例積分演算が不要となるので、DSPの処理負担を軽減することができる。なお、洗濯機1が洗い運転または濯ぎ運転の場合にはテーブルを参照することなく指令d軸電流Idrefを0とし、洗濯機1が脱水運転の場合にのみd軸電流制御部66を用いて指令d軸電流Idrefを制御するように構成してもよい。
(第3の実施形態)
次に、本発明のモータ制御装置をドラム式洗濯機に適用した場合の第3の実施形態について図7ないし図9を参照しながら説明する。
図7は、モータ15の回転を制御する制御装置67の構成を示す機能ブロック図であり、図1と同一部分には同一符号を付して示している。制御装置67は、電圧制御部68を備えている。この電圧制御部68(電圧制御手段に相当)は、加算器59、遅延器60、減算器61、PI制御器69、リミッタ70、減算器41およびPI制御器71から構成されており、鉄損Piと銅損Pcの合計が最小となるように巻線18に対する電圧振幅Vampを制御するとともに、回転速度ωが指令回転速度ωrefと一致するように電圧位相Vphsを制御する。
PI制御器69は、総損失Pallの変化分ΔPallと直前の指令電圧振幅Vamppreの変化符号とに基づいて比例積分演算を行い、指令電圧振幅Vamppreを出力する。この指令電圧振幅Vamppreは、リミッタ70において適切な範囲内への制限処理が施された上で指令電圧振幅Vampとして出力される。PI制御器71は、回転速度偏差Δωを入力して比例積分演算を行い指令電圧位相Vphsを出力する。dq軸電圧生成部72は、これら指令電圧振幅Vampと指令電圧位相Vphsとから指令d軸電圧Vdと指令q軸電圧Vqを生成する。その他の構成は、図1に示したものと同様である。
図8は、モータ15を起動して一定トルクの下で定速度制御に移行し、その途中でd軸電流Idを負の方向に増やしたときの回転速度ω、電圧振幅Vampおよびd軸電流Idの波形例を示している。時刻t0から電圧振幅Vampを増やすとそれにほぼ比例して回転速度ωが上昇し、やがて時刻t1から定速度制御に移行する。その後、時刻t2からd軸電流Idを負の方向に徐々に増やして電流位相を進めると弱め界磁制御となるので、低トルク、定速度制御の下で電圧振幅Vampが減少する。
図9は、一定の回転速度とトルクを持つ負荷点における電流位相と電圧振幅Vampとの関係を示している。横軸は、図3と同様であって、右にいくほどd軸電流Idが負の方向に増加して電流位相が進む。上述したように、d軸電流Idを徐々に増やして電流位相を進めると弱め界磁制御となるので、低トルク、定速度制御の下で電圧振幅Vampが減少する。
これら図8、図9および第1の実施形態で説明した図3を参照すれば、PI制御器71が回転速度偏差Δωに応じて電圧位相Vphsを制御すると、それに伴って電流位相が制御され、回転速度ωの制御が可能となる。例えば回転速度偏差Δωが正の場合には、電圧位相Vphsを進めることにより電流位相が進み、d軸電流Idが負の方向に増加して弱め界磁となる。その結果、回転速度ωが上昇する。
また、図3と図9を併せて見ると、鉄損Piと銅損Pcを加算した総損失Pallは、電圧振幅Vampの低下とともに減少しやがて最小値となり、電圧振幅Vampがさらに低下すると逆に増大する傾向を示す。つまり、PI制御器69が総損失Pallの変化分ΔPallに応じて電圧振幅Vampを制御すると、それに伴って総損失Pallの制御が可能となる。
例えば、指令電圧振幅Vamppreの減少中に変化分ΔPallが負になると指令電圧振幅Vamppreを減らし、指令電圧振幅Vamppreの減少中に変化分ΔPallが正になると指令電圧振幅Vamppreを増やして総損失Pallを最小値に近付ける。また、指令電圧振幅Vamppreの増加中に変化分ΔPallが負になると指令電圧振幅Vamppreを増やし、指令電圧振幅Vamppreの増加中に変化分ΔPallが正になると指令電圧振幅Vamppreを減らして総損失Pallを最小値に近付ける。
以上説明したように、本実施形態の制御装置67は、モータ15が運転状態にあるときにモータ15の鉄損Piと銅損Pcとを加算した総損失Pallを算出し、総損失Pallが最小となるように指令電圧振幅Vampを設定するとともに、回転速度偏差Δωに基づいて電圧位相Vphsを制御するので、モータ15ひいては洗濯機1の運転効率を高めることができる。電圧制御部68による損失最小化制御は、第1の実施形態と同様に洗濯機1が脱水運転の場合にのみ実行するようにしてもよい。その他、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
(その他の実施形態)
なお、本発明は上記し且つ図面に示す各実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のように変形または拡張が可能である。
鉄損算出部56は、(1)式とは異なる演算式、例えばヒステリシス損と渦電流損の厳密な演算式を用いて鉄損Piを算出してもよい。
d軸電流制御部58および電圧制御部68は、総損失Pallの微分値に基づいて総損失Pallの最小値を探索する制御としてもよい。この場合、遅延器60と減算器61に替えて微分器を備えればよい。また、第1、第3の実施形態において、他の構成により総損失Pallの最小値探索制御を実行してもよい。
第1の実施形態で、モータ15の運転時は常に上記損失最小化制御を実行してもよい。
位置センサ39は、ホールICに替えてロータリエンコーダやレゾルバなど用いてもよい。また、三相分の電流Iu、Iv、Iwを検出することに替えて、三相のうちの何れか二相例えばV相、W相の電流Iv、Iwを検出するようにしてもよい。
モータ制御装置は、洗濯機(ドラム式洗濯機に限られない)のみならず洗濯乾燥機のモータ、種々の機器に搭載されたモータに対しても適用できる。汎用インバータ装置として構成してもよい。
巻線切替手段は必要に応じて設ければよい。
1の実施形態を示す制御装置の機能ブロック図 巻線の結線状態を示す図 電流位相と鉄損、銅損、総損失との関係を示す図 ドラム式洗濯機の縦断側面図 2の実施形態を示す図1相当図 区分された負荷領域を示す図 本発明に係る第3の実施形態を示す図1相当図 回転速度、電圧振幅、d軸電流の波形図 電流位相と電圧振幅との関係を示す図
符号の説明
図面中、1はドラム式洗濯機(洗濯機)、15はモータ、18、18u、18v、18wは巻線(電機子巻線)、35、65、67は制御装置(モータ制御装置)、37はインバータ回路(電力変換手段)、38u、38v、38wはリレー接点(巻線切替手段)、40は位置・速度検出部(回転速度検出手段)、50はIGBT(半導体スイッチング素子)、56は鉄損算出部(鉄損算出手段)、57は銅損算出部(銅損算出手段)、58、66はd軸電流制御部(d軸電流制御手段)、66aはメモリ(記憶手段)、68は電圧制御部(電圧制御手段)である。

Claims (5)

  1. 半導体スイッチング素子を備え、モータの電機子巻線に対しそのスイッチング状態に応じた電圧を出力する電力変換手段と、
    この電力変換手段により前記モータが運転状態にあるときに前記モータの鉄損と銅損をそれぞれ算出する鉄損算出手段および銅損算出手段と、
    前記モータの回転速度を検出する回転速度検出手段と、
    各運転状態において前記算出された鉄損と銅損の合計が最小となるように前記電機子巻線に対する出力電圧の振幅を制御し、指令回転速度と検出回転速度との差分に基づいて前記出力電圧の位相を制御する電圧制御手段とを備えていることを特徴とするモータ制御装置。
  2. 前記電圧制御手段は、所定の制御周期ごとに、今回算出した鉄損と銅損の合計と前回算出した鉄損と銅損の合計との差分を比例積分演算することにより前記出力電圧の振幅指令を得ることを特徴とする請求項1記載のモータ制御装置。
  3. 前記鉄損算出手段は、前記モータの回転速度ω、d軸電流Idおよび定数K1、K2を用いて、鉄損Piを
    Pi=K1・ω 1.8 (1+K2・Id)
    により算出することを特徴とする請求項1または2記載のモータ制御装置。
  4. 前記モータの電機子巻線の結線状態を切り替える巻線切替手段を備え、
    この巻線切替手段により切替可能な結線状態のうち、前記電力変換手段により通電される電機子巻線の巻数が少ない状態となる結線状態に切り替えられたときに、前記鉄損と銅損の合計を最小とする損失最小化制御を実行するように構成されていることを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載のモータ制御装置。
  5. 洗い、濯ぎおよび脱水運転を行うための回転駆動力を発生させるモータと、
    このモータを制御する請求項1ないし4の何れかに記載のモータ制御装置とを備えていることを特徴とする洗濯機。
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