JP5237708B2 - マイクロリソグラフィック投影露光装置 - Google Patents

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Description

本発明は、マイクロリソグラフィック投影露光装置に関するものである。
マイクロリソグラフィは、例えば集積回路又はLCDのような微細構造構成部品の生産に用いられる。マイクロリソグラフィプロセスは、照明系と投影対物レンズを備えた投影露光装置と呼ばれる装置で実施される。照明系によって照明されたマスク(=レチクル)の像は、基板の感光層にマスク構造を転写するために、投影対物レンズを用いて、投影対物レンズの像平面に配列され、感光層(フォトレジスト)が塗布された基板(例えばシリコンウェーハ)に投影される。
結像のコントラストを最適化するため、照明系のレチクル面において特に所定の偏光分布を調整することが知られている。しかしながらそれに関して、ウェーハの平面内に生じる強度分布が、照明系において設定された、すなわち、投影対物レンズの物体平面において得られる偏光分布に応じて望ましくない形で変化するという問題が生じる。これに関する原因は投影対物レンズの透過特性が偏光に左右されるという事実にある。偏光依存性透過のその既知の効果は、透過分離又は「ディアテニュエーション(diattenuation)」とも呼ばれる。その効果は、投影対物レンズにおいてレンズに設けられた反射防止層(AR層)やいくつかのミラーに存在する反射率の高い層(HR層)の偏光依存性透過によって生じる。従って、AR層に関して既知のように、TpはTsを超えるが、ここで、Tpは、電界強度ベクトルの振動方向が入射面に対して平行なp成分に関する透過度であり、Tsは電界強度ベクトルの振動方向が入射面に対して垂直なs成分に関する透過度を表わしている。
その問題を明らかにするため、図15a〜cには、それぞれ、レチクル平面又は投影対物レンズ5の物体平面内で設定された偏光分布に依存した走査強度(曲線A2、B2、C2)の、投影対物レンズ5のウェーハ面で得られる位置依存構成を例示した略図が示されている。それに関して、3つの事例全てがレチクル平面における強度分布が均一であるという仮定に基づいているが(曲線A1、B1、C1)、それに関して、図15aに示すレチクル平面では、非偏光が設定されており、図15bに示すレチクル平面では、ラジアル偏光分布を有する偏光が設定されており、図15cに示すレチクル平面では、タンジェンシャル偏光分布が設定されている。
「タンジェンシャル偏光」という用語は、個々の直線偏光ビームの電界強度ベクトルの振動面が光軸に向かう半径に対してほぼ垂直な向きの偏光分布を表わすために用いられる。これに対し、「ラジアル偏光」という用語は、個々の直線偏光ビームの電界強度ベクトルの振動面が光軸に対してほぼ半径方向に向いた偏光分布を表わすために用いられる。
図15a、図15b、図15cの曲線A2、B2、C2を比較することによって明らかなように、それぞれレチクル平面において生じる均一な強度分布にもかかわらず、均一な強度分布は図15aの非偏光照明モードの場合に限ってウェーハ面でも得られるが、図15bと15cに示す投影対物レンズ5の偏光依存性透過によって、それぞれウェーハ面で局部的に変化し、互いにも異なる強度分布が生じている。
照明系と投影対物レンズの両方に関して、強度分布又は偏光状態に影響を及ぼすか又は生じた乱れを補正するための各種アプローチが知られている。
先行技術文献の1つ(例えば特許文献1参照)には、複数位置に配列された、ビーム経路に導入された偏光影響光学素子の形態をとる1つ以上の偏光操作装置によって偏光分布に影響を及ぼす投影露光装置が開示されているが、それらの偏光影響素子の働きは、例えばその素子を回転、偏心、又は、傾斜させて位置を変化させることにより、例えば規定のやり方で光束断面全体にわたる照明系又は投影対物レンズの偏光分布の乱れを補正するように、あるいは、照明系の初期偏光分布を調整するようにも変更している。
先行技術文献の1つ(例えば特許文献2参照)から、照明系に用いられる半径方向偏光子と投影対物レンズに用いられる旋光子の組合せが知られており、後者はラジアル偏光をタンジェンシャル偏光に変換する。
先行技術文献の1つ(例えば特許文献3参照)から、偏光状態に対するその影響を最小限にするか又は最大限にして、他の光学構成部品に関して生じる偏光依存性が補正されるようにほぼ照明系内に1つ以上の反射面を配置することが知られている。
先行技術文献の1つ(例えば特許文献4参照)から、照明系からの射出時に規定の偏光分布を投影対物レンズにおいて望ましい偏光分布に適合させるため、照明系内に偏光変換素子を配置することが知られている。
先行技術文献の1つ(例えば特許文献5参照)から、照明系のひとみ面又はその付近における偏光状態を変換するための光学素子を設けることが知られているが、その光学素子は、可変的に調整可能な回転角で入射直線偏光の偏光方向を回転させることができる、それぞれ、互いに移動可能で、偏光状態を回転させる2つの偏向プリズムから形成された複数の可変旋光素子を備えている。それらの旋光素子によって得られる可変回転角又は偏光状態は、例えば2つの系を互いに整合させるために、例えば偏光状態を測定する装置によって得られる測定結果に従って調整することも可能である。
先行技術文献の1つ(例えば特許文献6参照)から、例えば照明系のREMA対物レンズにおいて光軸に対する傾斜位置に配置された適合するコーティングが施された透過板を偏向ミラーの偏光依存反射を補正するための補正装置として構成することが知られている。
先行技術文献の1つ(例えば特許文献7参照)から、ウェーハにレチクルパターンのほぼ非偏光像を形成できるようにするため、投影露光装置において部分偏光でレチクルパターンを照明することが知られている。
国際公開2005/031467号 A2パンフレット 米国特許第6,774,984 B2号明細書 米国特許出願公開第2005/0152046 A1号明細書 国際公開2005/050325 A1号パンフレット 国際公開2006/077849 A1号パンフレット 米国特許第7,027,235 B2号明細書 米国特許第6,466,303 B1号明細書
本発明の目的は、ウェーハ面において生じる強度分布の望ましくない変化が、照明系において設定された偏光分布に基づいて、最小限に抑えられるマイクロリソグラフィック投影露光装置を提供することにある。
マイクロリソグラフィック投影露光装置は、照明系と投影対物レンズを含み、
− 照明系は、投影露光装置の動作時に、投影対物レンズの物体平面を照明し、投影対物レンズは像平面に前記物体平面の像を形成し、
− 物体平面に入射する光に関する少なくとも1つの偏光分布に対して、物体平面で不均一な強度分布が得られるように、照明系において偏光依存性透過が生じるか又は生じさせられ、その不均一な強度分布が、投影対物レンズの偏光依存透過特性によって、像平面に均一な強度分布をもたらすことを特徴とする。
本出願によれば、像平面における走査強度に関するPV値(「ピークトゥーバリュー」値)と呼ばれるものについて4%未満の値が与えられる場合、像平面における強度分布は均一であるとみなされる。PV値は2%未満が望ましく、0.5%未満がさらに望ましい。強度分布のPV値は最高強度と最低強度の差(PV=Imax−Imin)と定義される。PV=4%のPV値はU=2%の「均一性」値に対応するが、ここで均一性UはU=(Imax−Imin)/(Imax+Imin)と定義され、標準化後の最高強度と最低強度が値1(又は100%)に対して対称であると仮定されている。
本発明による像平面における均一な強度分布の調整、像平面において設定された強度分布の均一性の特性を示すPV値又は均一性に関する前述の値も、それぞれの事例において、投影露光装置にレチクルが取り付けられていない場合の投影露光装置の動作に関連している。
もう1つの態様によれば、本発明は照明系と投影対物レンズを含むマイクロリソグラフィック投影露光装置に関するものであり、
− 照明系は、投影露光装置の動作時に、投影対物レンズの物体平面を照明し、投影対物レンズは像平面に前記物体平面の像を形成し、
− 偏光感応透過特性を有し、偏光依存性透過を生じるか又はもたらす少なくとも1つの補正素子が設けられ、物体平面に入射する光の少なくとも1つの強度分布に関して、補正素子がなければ像平面で得られる強度分布に生じる乱れが少なくとも部分的に補正されるようになっていることを特徴とする。
本発明は、投影露光装置において、規定の強度構成の設定も行う1つ以上の補正素子によって設定することが可能な適合する実施方法によって、フォトレジストで得られる結像結果に対する既存の望ましくない特性又は偏光特性の乱れの影響、すなわち、偏光によって誘起される強度不足の存在を補正するという概念に基づくものである。すなわち、本発明によれば、像平面(すなわちフォトレジストを塗布したウェーハ)において均一な強度分布を得るために、レチクル平面における強度分布を故意に「デチューンする(detuned)」ことが可能である。
本発明には、とりわけ、個々に存在する偏光感応光学素子及びそれらによって生じるディアテニュエーションに関して、照明系と投影対物レンズを互いに別個にではなく、互いに1つのユニットを形成するものとみなす概念が含まれる。従って、例えば結像系において偏光依存透過特性(「ディアテニュエーション」)の個別の補正又は独立した補正を実施して、所定の照明設定又は所定の偏光分布に合わせてレチクル平面における均一な強度分布を設定する代わりに、照明系の偏光感応光学素子全体によって投影対物レンズの像平面に特に意図的に不均一な強度分布を生じさせる。その不均一な強度分布が、投影対物レンズにさらに生じるディアテニュエーションだけによって投影対物レンズの像平面における最終的に適合する均一な強度分布になる。それに関して、上述の偏光依存透過特性及び最大ではない透過については最適化が実施されるので、ある程度の強度損失はおそらく許容される。
偏光状態に感応するか又は適応する1つ以上の素子(又は強度分布の偏光依存性の乱れを補正するための補正素子)が存在するため、もしあれば、強度のフィールド変動を変化させる装置によって施される残差補正が減少するので、応答時間又はスイッチング時間の短縮を実現することも可能である。従って、本発明の実施態様の1つによれば、照明系及び投影対物レンズは、それぞれ、偏光依存透過及び/又は反射特性を有する少なくとも1つの偏光感応光学素子を備えており、照明系の偏光感応光学素子全体及び投影対物レンズの偏光感応光学素子全体が相互に逆ディアテニュエーションを生じる。
従って、本発明の実施態様の1つによれば、照明系及び投影対物レンズは、それぞれ、偏光依存透過及び/又は反射特性を有する少なくとも1つの偏光感応光学素子を備えており、照明系の偏光感応光学素子全体及び投影対物レンズの偏光感応光学素子全体が相互に一致するディアテニュエーションを生じる。それに関して、光学素子は照明系と投影対物レンズの間に配置されるのが望ましく、その光学素子はそれを通過する直線偏光に関して90°±3°の望ましい偏光方向の有効回転を生じさせる。
本発明による概念の実質的な利点は、照明系と投影対物レンズを互いに整合させると、その後で照明系における照明設定又は偏光分布が例えばラジアル偏光からタンジェンシャル偏光に変化した場合に、さらなる操作作業又は測定を実施しなくても、ウェーハ面における所望の均一な強度分布が自動的に保持されるという点にある。というのは、一方における照明系の偏光感応光学素子全体ともう一方における投影対物レンズの偏光感応光学素子全体のディアテニュエーションに関する相反性も保たれるからである。
実施態様の1つによれば、照明系には、光軸と、前記光軸に対して傾斜させて配置された少なくとも1つの平面板を備える補正素子が設けられている。平面板は、それを通過する放射線の偏光状態と入射角に応じた透過特性を備えることが望ましい。
実施態様の1つによれば、投影露光装置の動作時に、像平面内に配置された基板は投影対物レンズに対して所定の走査方向に移動させることが可能であり、光軸に対して少なくとも1つの平面板を傾斜させる回転軸が前記走査方向に対して平行に延びている。
そのように傾斜させられる平面板を用いて、とりわけ照明系において偏光照明設定を利用する場合に生じる、ウェーハ面に偏光で誘起される線形位置依存性強度の構成を補正することが可能である。
実施態様の1つによれば、平面板は誘電体コーティングを施されており、それを用いることにより、平面板を通過する光の状態と入射角に対する平面板の透過特性の所望の依存性が保たれると同時に、s偏光とp偏光に関して透過特性が適正に設定されることによって実効透過損失を最小限に抑えることが可能になる。
実施態様の1つによれば、補正素子は複数の平面板を備えている。それらの平面板は、光軸に対するそれらの傾斜角に関して互いに独立して調整可能であることが望ましい。とりわけ一般に構造空間が制限されているため、こうした構成は、個々の平面板のコンパクト性のおかげで、光の伝搬方向において又は光軸に沿って補正素子がその目的のために必要とする大きい構造空間がなくても、比較的大きい配置角を設定することができるので有利である。
実施態様の1つによれば、投影対物レンズの像平面に配置された基板に塗布された感光層(すなわちフォトレジスト)を含めて、一方における照明系の偏光感応光学素子ともう一方における投影対物レンズの偏光感応光学素子の整合が実施される。確かに、そのフォトレジストは、やはり均一な偏光分布である場合には既に均一に設定されている強度分布に対してオフセットだけをもたらし、フィールド依存性をもたらすことはない。しかしながら、フォトレジストに入射する光に関して偏光分布が局部的に変化する場合には、フレネルの式に従って偏光依存性であるフォトレジストの反射特性によって、フォトレジストが透過分布に対してフィールド依存性の貢献をし、従って、光によってフォトレジストに生じる反応を局部的に変化させることが可能になる。
それに関して、フォトレジストの上述の作用については、例えば、ウェーハ面における強度分布の均一性を測定するために利用され、「スポットセンサ」とも呼ばれ、光入射開口(=ピンホール)、紫外光を可視光に変換するための紫外線変換器、可視光を受光するためのフォトダイオードを備えるセンサを、最初から既にフォトレジストの偏光依存性透過(「ディアテニュエーション」)をシミュレートするように設計しておくといった方法で考慮することが可能であり、例えば、それは、紫外線変換器のフォトダイオード又はガラス板といった形でそのセンサに設けられる誘電体素子の適切な設計によって具現化することが可能である。従ってフォトレジストをシミュレートするこうしたスポットセンサからの信号に基づいて強度分布を設定する場合、フォトレジストに生じる効果を含めると、結像作用に寄与する光の強度分布が均一になる。
実施態様の1つによれば、照明系はHR層が設けられた少なくとも1つの偏向ミラーを備えている。その偏向ミラーは少なくともひとみ面のすぐ近くに配置するのが望ましい。
その場合、偏向ミラーにおける異なる角度が、フィールド面、すなわち、とりわけレチクル平面における異なる位置に対応する。従って、偏向ミラーの反射率の角度依存性を所望のフィールド依存性に変換し、そのようにして投影対物レンズのフィールド依存性を適切に考慮に入れることが可能である。
実施態様の1つによれば、照明系は光軸を備えており、投影対物レンズの物体平面において矩形レチクルフィールドを照明するが、前記矩形レチクルフィールドの縦軸は光軸に対して偏向ミラーを傾斜させる回転軸に対して垂直に配置される。その配置には、偏向ミラーによって反射される光の入射角の変動が大きくなる結果として、投影対物レンズの透過特性に対する整合性が高くなるため、偏向ミラーのHR層のために選択される層設計に伴う複雑度が比較的低くなる可能性もあるという利点がある。
実施態様の1つによれば、照明系及び/又は投影対物レンズにおける少なくとも1つのレンズに、TsがTpを超えることになる反射防止コーティング(AR層)が施されるが、ここでTpは前記コーティングに入射する光のp成分に関する透過度を表わし、Tsはs成分に関する透過度を表わしている。例えば照明系の問題となるレンズに、AR層の通常の作用とは異なるディアテニュエーションが生じる場合、そのようにして、通常の(すなわちTsがTp未満になる)ディアテニュエーションを伴うAR層によって得られる、投影対物レンズにおいて生じるレンズのディアテニュエーションの補正を実現することが可能になるが、そのまた逆も同じである。
以下の説明及び付属の請求項では、本発明のさらなる構成が提示される。
本発明については、添付の図面に示された例を用いてさらに詳細に説明される。
以下では、まず図1a〜図1cにおける概略図に関連して本発明による概念の説明を行うことにする。
それぞれにマイクロリソグラフィック投影露光装置の照明系10と投影対物レンズ20の概略が示された図1a〜図1cには、投影対物レンズ20のレチクル平面と物体平面のそれぞれにおける位置依存性強度構成(曲線D1、E1、F1)と、投影対物レンズ20のウェーハ面と像平面のそれぞれに生じる位置依存性走査強度構成(曲線D2、E2、F2)が図示されている。それに関して、図1a〜図1cは、第1にとりわけレチクル平面における偏光分布が異なっているが、それに関して具体的に云うと、図1aに示すようにレチクル平面に非偏光が生じ、図1bに示すようにレチクル平面にラジアル偏光が生じ、図1cに示すようにレチクル平面にタンジェンシャル偏光が生じる。
さらに、より具体的には、非偏光照明の状況(図1a)に関してのみ、レチクル平面において均一な強度分布が設定されているので(曲線D1)、図1a、図1b、図1cのレチクル面においてそれぞれ設定された強度分布が異なる。対照的に、照明系10は、レチクル平面における位置に応じて変動する強度構成(それぞれ曲線E1とF1)が、レチクル平面において非偏光状態とは異なる偏光分布に関して生じるように設計されている。その強度分布の局部変動は、照明系10における偏光感応光学素子全体、すなわち、具体的にはレンズのAR層とミラーのHR層によって生じる。
投影対物レンズ20には、投影対物レンズ20のウェーハ面に生じる位置依存性強度の構成を決定する、とりわけAR層及び/又はHR層の形態をなす偏光感応光学素子も含まれている。
図1b、図1cから明らかなように、ウェーハ面で得られる強度分布は各場合とも均一である(それぞれ曲線E2とF2)。それは、一方では照明系及びもう一方では投影対物レンズのそれぞれレチクル平面又はウェーハ面における局部強度変動に関して、偏光依存透過特性が正確に相反関係にあり、従って、互いに相殺し合うことによって実現する。本発明によれば、それは、さらに詳細に後述するように、照明系における偏光感応光学素子(具体的にはそれぞれAR層及びHR層)と投影対物レンズにおける偏光感応光学素子全体を適切に整合させることによって実現する。
図2には、照明系の既知構造の略図として、光源210、ズームアキシコンシステム220、その後方にレチクルマスキングシステム(REMA)(不図示)と共に像平面が存在し、その像が光伝搬方向を辿るREMA対物レンズ240によってレチクル平面に配置されたマスク(レチクル)250に形成されるライトインテグレータバー230が示されている。REMA対物レンズ240の構成部分、とりわけ偏向ミラー245には偏光感応HR層が設けられている。
図2に概略が示されているように、この実施形態では、矩形レチクルフィールドFの縦軸(x方向)が、照明系の光軸に対して偏向ミラー245を傾斜又は回転させる回転軸に対して平行に延びている。この場合、走査方向は、矩形レチクルフィールドFの縦軸に対して垂直にすなわちy方向に延びている。この場合、偏向ミラー245の前後のレンズは、簡略化のため図4から省略されている。というのは、ここで考慮すべきはレチクルフィールドFに対する偏向ミラー245の相対位置だけであるためである。
図3には、一例としてx方向における入射角αの関数として偏向ミラー245に生じる反射率の構成が示されている。それに関して、Rsはs偏光に関する反射率を表わし、Rpはp偏光に関する反射率を表わしている。RsとRpは、一定のオフセットを除くと入射角に応じた相補性の構成である。
本発明の態様の1つによれば、偏光ミラー245のHR層は、この場合、照明系の偏光依存透過特性と投影対物レンズの偏光依存透過特性を整合させるように設計されているので、レチクル平面における照明系の偏光依存透過曲線とウェーハ面における投影対物レンズの偏光依存透過曲線が互いに相反性又は相補性の関係になり、従って、ウェーハ面における結果として均一な強度分布が生じる範囲で互いに相殺し合う。偏向ミラー245が照明系のひとみ面に少なくともすぐ近接して配置されているので、偏向ミラー245における異なる角度は、フィールド面、すなわち、とりわけレチクル平面における異なる位置に対応する。偏向ミラー245の反射率の角度依存性は、投影対物レンズ20のフィールド依存性を適正に考慮したフィールド依存性に変換されるので、それは本発明に従って利用される。
偏向ミラー245のHR層の選択は、照明系の偏光依存透過曲線を意図的に整合させることが可能なとりわけ適切な方法であるが、本発明はそれに制限されるわけではない。一般に、照明系の偏光依存透過特性を整合させる場合、その手順は、それぞれAR層(ARコーティング)が施されたレンズとオプションによりHR層(HRコーティング)が施されたミラーを直列に接続することによって基礎が形成されるように実施可能であり、その場合、各レンズ又はミラー表面はある程度の自由度をもたらす。設計は、照明系における透過特性に関して所望の構成が得られるように適応させることが可能である。それに関して、最適化が上述の偏光依存透過特性に関するものであって、最大透過に関するものではないので、強度の低下は容認される可能性もある。
それに関して、例えば照明系においてs偏光成分にスイッチすると(タンジェンシャル偏光分布に関して)(投影対物レンズにおいても全く同様に)、一定のオフセットを除いて、図3に示すように入射角に対する反射率RsとRpの依存性に関して相補構成が自動的に得られるので、一般に、例えばp偏光について(ラジアル偏光分布の場合)、投影対物レンズに対して相補性の偏光依存透過特性に関する最適化を実施すれば十分である。
照明系と投影対物レンズは、照明系に生じる不均一なディアテニュエーションが投影対物レンズにおいて補正又は修正されるように互いに整合させることが可能である。それに関連して、照明系における上述のディアテニュエーションには、AR層によってディアテニュエーションに関するほぼ回転対称構成が得られるが、HR層(ズームアキシコンシステムにおける偏向ミラー又はREMA対物レンズのひとみ面における偏向ミラーの)によってディアテニュエーションに関する一定の非回転対称構成が生じるので、この2つの要因がひとみ面のある(例えば水平)領域におけるディアテニュエーションを増大させ、ひとみ面の他の(例えば垂直)領域におけるディアテニュエーションを低減するという事実に起因する、しばしば観測することが可能な影響を伴うことになる。例えば四極照明設定に関連したその影響は、照明系のレチクル平面に導入される光の不均一な強度分布をもたらすことになる。
次に、照明系におけるディアテニュエーションの上述の不均一な分布を投影対物レンズにおける補正考慮の対象とすることが可能である。それには、例えばマスクにおいて補正を考慮する必要がなくなるという利点がある。
一方では反射屈折投影対物レンズに設けられたミラーがその目的に適している。しかしながら、解説の概念は、基本的に、とりわけ投影対物レンズのAR層に対する補正が考慮される限りにおいて、純粋に屈折性の投影対物レンズで実施することも可能である。それに関して、とりわけ照明系で得られる上述の不均一な強度分布に関して補正が考慮される場合、ひとみに近いレンズは、比較的サブアパーチャが大きく、ディアテニュエーションに関してほぼ回転対称構成を生じるが、フィールドに近いレンズは、比較的サブアパーチャが小さく、(照明される構成部品が比較的小さいので)ひとみに近いレンズの上述の回転対称構成と重ね合わせられるディアテニュエーションに関してほぼ一定の構成を生じるという事実を利用することが可能である。従って、ひとみ及びフィールドに近いレンズ又はそれに設けられたAR層を適正に整合させることによって、照明系に関するディアテニュエーションに関して相反特性を設定することも可能である。
さらに概して云えば、投影対物レンズのひとみに近いレンズに、照明系のひとみに近いレンズに対して逆のディアテニュエーションを生じさせることも可能である。対照的に、投影対物レンズのフィールドに近いレンズには、照明系におけるフィールドに近いレンズに対して又は照明系のミラーに対して逆のディアテニュエーションを生じさせることも可能である(それに関して、ディアテニュエーションの比較的高い一定の構成部品における前述のミラーは、フィールドに近いレンズの作用に相当する)。
図5、図6に関連して解説されるさらなる実施形態によれば、レチクルフィールドFは、図2に関連して既述の構成に対して90°回転しており、その結果、図6に概略を示す構成が生じる。考慮すべきはレチクルフィールドFに対する偏向ミラー245の相対位置だけであるため、偏向ミラー245の前後のレンズは、やはり簡略化のために図6から省略されている。それに関して、矩形レチクルフィールドの縦軸(x方向)は、偏向ミラー245を傾斜又は回転させる回転軸に対して垂直に延びている。換言すれば、図6の場合、矩形レチクルフィールドFの縦方向(x方向)は偏向ミラー245の傾斜も行われるのと同じ面に延びており、その場合、偏向ミラー245は、図5に示すx方向における入射角に対する反射率の依存性構成を生じることになる。
図5、図6に関連して解説の構成には、偏向ミラー245が45°傾斜することによって、x方向に沿った角度が図3の構成に比べてかなり大きく変化し、このため、投影対物レンズの透過特性に対する整合性がはるかに増大するという利点がある。入射角の変化がそのように大きくなる結果として、図4の構成に関連して偏向ミラー245のHR層に採用された層設計の複雑さは比較的わずかなものになる可能性がある。
次に図7を参照して、本発明によるさらにもう1つの態様について述べることにする。この場合、図7には図2と同様の照明系の構造が示されており、互いに対応する又は機能的に同じ要素については500だけ増した参照番号で表示されている。
図2の構成に関連した相違として、図7の場合には、追加光学素子760が光の伝搬方向に対してマスク(レチクル)750の直前に配置されている。光学素子760によって、それを通過する直線偏光の望ましい偏光方向が事実上90°回転する。代替実施形態(不図示)の場合、この光学素子は、光の伝搬方向に対してマスク750の直後に配置することも可能である。一般に、照明系と投影対物レンズの間には、それを通過する直線偏光の望ましい偏光方向を事実上90°±3°回転させる追加光学素子が含まれている。
光学素子760は、例えば、用いられる動作波長(例えば193nm)において十分に半透明な光学的に一軸材料(例えば、フッ化マグネシウムMgF2)の二分の一波長板とすることが可能である。さらに、光学素子760は、光学結晶軸が照明系の光軸に対して平行な向きとなり、その厚さがそれを通過する直線偏光の望ましい偏光方向が円偏光複屈折の効果によって事実上90°(すなわちほぼ90°+N*180°、ここでNはゼロ以上の整数)回転するように選択されている光学的に活性材料(例えば水晶)による平板(旋光子も呼ばれる)とすることも可能である。193nmの波長及び21.6°の温度で約323.1°/ミリメートルの比旋光度を備えた光学的に活性の合成結晶材料を利用すると、その状態は約d≒(278.5+N*557)μmの問題となる平板の厚さに対応することになる。
既知のように、追加光学素子760によって望ましい偏光方向が事実上90°回転する結果として、電界強度ベクトル垂直成分(すなわちs成分)が、電界強度ベクトルの平行成分(すなわちp成分)と共に光学素子760を通過する光によって照明系又は投影対物レンズの系に対して変化する。
図7に示す追加光学素子760を用いる結果として、まず、マスク750を備えたレチクル平面において望ましい照明系における偏光分布の代わりに、それに相当するものとして逆の又は直交する偏光分布を設定しなければならない。従って、レチクル平面において例えばタンジェンシャル偏光分布が求められる場合、光学素子760の作用結果として望ましい偏光方向が事実上90°回転した後、結果として所望のタンジェンシャル偏光分布が生じるようにするには、照明系を通過する光は、追加光学素子760の手前でラジアル偏光分布を有していなければならない。
さらに、図7において採用されている構造の場合、図2の構造に関する状況とは異なり、照明系の偏光依存透過特性と投影対物レンズの偏光依存透過特性の整合は、図7に示す前記偏光依存透過特性が少なくともほぼ同じになるように(従って、相互に相反又は相補関係をなすのではなく)実施される。従って、結果として、図7の構造における追加光学素子760がやはり図2の構造の場合と同様に作用するので、ウェーハ面において均一な強度分布が得られる。
一般に、本発明の場合、フォトレジストで得られる結像結果に対する投影露光装置に生じる望ましくない特性又は偏光特性の乱れの影響、すなわち、偏光によって誘起される強度不足は、規定の強度構成の設定も行う1つ以上の補正素子によって補正される。具体的に云うと、それは、像平面(すなわちフォトレジストを塗布したウェーハ)において均一な強度分布を得るため、レチクル平面における強度分布を意図的に「デチューン」するという点において本発明に基づいて実施される。
以下では、本発明による概念のもう1つの望ましい適用例について述べる。これには、偏光によって誘起されたウェーハ面における強度の線形に不均一な構成の補正が必要となる。こうした位置依存構成における線形成分は、「傾斜」とも呼ばれ、とりわけ照明系において偏光照明設定を利用する場合に生じる。
図16a〜図16cは、その問題の説明に役立つ。まず、図16aは、x方向において(y方向においても)一定のIPS分布(曲線G1)と、レチクルフィールドに非偏光を設定する場合には一定の強度分布(曲線G2)を示している。投影対物レンズ5の通過後、一定の強度分布(曲線G3)も生じる。偏光の影響が生じる限りにおいて、それらには、フィールド構成が生じないか、又は、少なくともウェーハ面におけるフィールドの中心に対して点対称のフィールド構成が生じる。
図16bは、望ましい偏光方向がx方向の直線偏光分布(「x偏光」)と、さらに一定の強度分布を設定することに基づくものである。図16bに示すように、光子はレチクル平面においてx方向に異なる偏光を含んでおり、それがx方向におけるIPS分布(曲線H1)の局部変動に線形に寄与している。
投影対物レンズ5は、ウェーハ上の感光層又はフォトレジストと連係して、弱い偏光子のような働きをし、従って、例えばp偏光よりもs偏光の透過度を低くすることが可能である。それに関して留意すべきは、s偏光成分の式は、電界強度ベクトルの向きが入射面に対して垂直な光成分を表わすのに用いられるが、p偏光成分への言及は、電界強度ベクトルの向きが入射面に対して平行な光成分を表わすという点である。一例として、y偏光に関する双極x設定と呼ばれる設定(すなわち、その範囲内で望ましい偏光方向がy方向に延びる、x方向において互いに相反関係をなす照明極に関する双極照明設定)の場合、投影対物レンズの表面に対してほとんどs偏光だけしか生じない。
レチクル平面における偏光分布は、ウェーハ面において得られる、従ってやはりx方向において線形に変化する強度分布(曲線H3)に変換される。この結果、走査方向(y方向と仮定する)に対して垂直な走査強度に望ましくない線形成分が生じる。図16cに示すようにy偏光に変化すると、対応する逆作用(曲線j3)が生じる。その線形変化の結果、露光装置の動作に伴って像フィールドにおける結像コントラストに望ましくない変動が生じることになる。
前述のように、照明系によってレチクル平面における強度分布が一定であるIPS構成に線形局部変動が生じると、投影対物レンズ5の通過後、ウェーハ面における強度分布に偏光によって誘起される線形局部変動が生じる。本発明によれば、この場合、偏光によって誘起される局部変動の作用は、照明系によって、具体的には、上述の偏光によって誘起される変動の影響を弱めるように、従って、少なくとも部分的にそれを補正するように故意に設定又は「デチューン」されたレチクル平面における強度分布によって補正される。
均一な分布からの逸脱としてのレチクル平面における強度分布の設定(すなわち強度分布の「デチューン」)は、照明系、できればREMA対物レンズのひとみ面に十分な透過特性を備えた適合材料(例えば石英ガラス、SiO2)による誘電体平面板を配置して、照明系の光軸OAに対して規定の角度だけ傾斜させることによって実現する。こうした平面板810の効果については、図8〜図9に関連した非傾斜構成及び図10〜11に関連した傾斜構成に関して述べる。
REMA対物レンズ(そのうちの1つのレンズ820だけしか例示されていない)のひとみ面における平面板810の非傾斜構成を示す図8を参照すると、REMA対物レンズのひとみ面から同じ角度で射出される全てのビーム(例えばビーム1、1’、1”又はビーム2、2’、2”)は、レチクル平面830における同じフィールドポイントに集まる。ひとみ面における対称構成の結果として、例えばビーム2と3が同じ入射角で平面板810に入射するので、それらのビーム2と3は、図9a−図9bに示すようにレチクル平面830の入射点における強度を同じにし、その結果レチクル平面830のフィールド中心に対して対称な強度構成をもたらすことになる。
例えば平面板810を図10に示すように傾斜させると、ビーム2と3の入射角が互いに異なることになる。平面板810の透過率は、フレネルの式に基づいて偏光状態とビームの入射角によって決まる。例えばレチクル平面830の点P20に入射するビームの透過率はレチクル平面830の点P30に入射するビームの透過率とは異なるので、図11a−図11bに示すように、レチクル平面830には平面板810の作用による強度構成の線形局部変動が生じることになる。
平面板810は例えば石英ガラス(SiO2)のような適合する誘電体材料から製造される。平面板810の厚さは、一般に1mmであるが、0.5mm未満が望ましい。平面板810は、s偏光とp偏光の透過特性を調整し、同時に、それを通過する光の状態と入射角に対する透過特性の所望の依存性を維持することによって平面板810における実効透過損失を最小限に抑えるため、誘電体コーティングを施すのが望ましい。一例として、表1には平面板810の誘電体コーティングとして適した層構造が指定されており、個々の層の厚さは、それぞれ光学的厚さとして指定されている(FWOT単位で:FWOT=「全波光学的厚さ」)。
Figure 0005237708
図12には、例証として、単一平面板の形態ではなく、ホルダ905内に配置された複数の(この例では4つの)平面板911〜914から構成される補正素子910の特定の実施形態が示されている。それによれば、平面板911〜914のコンパクト性の結果として、そのために必要なz方向における大きい構造空間がなくても比較的大きい設定角を実現することができるので、z方向における制限された構造空間を考慮することが可能になる。図12に示す補正素子910の構成は、図16に関連して前述のウェーハ面において得られる偏光によって誘起される強度分布の線形局部変動の影響が、主として双極照明設定の外側領域で生じる限りにおいて、やはり有利である。図12の補正素子910を用いると、双極X設定と双極Y設定を互いに別個に考慮することが可能になる。
それに関して、照明系に補正素子910を取り付ける前に、補正素子910の個々の平面板911〜914に適した傾斜角(例えば−20°〜+20°)を互いに別個に設定することが可能である。必要があれば、補正素子910は、全体として照明系から除去するか又は取り替えることが可能である。個々の平面板911〜914は、それぞれ、一般に厚さが0.5mm、半径方向の長さが50mm(一般に200mmである補正素子910の全径の1/4に相当する)、極幅が約60°とすることが可能である。材料と平面板911〜914のコーティングに関しては、図10−図11の実施形態に関する上記説明が同様に当てはまる。
図14は、照明系における補正素子810(又は図12に示す補正素子910)の典型的な構成を示す簡略化された線図である。図14に示すように、照明系950は、ズームアキシコンシステム951、光結合群952、光混合装置953(ここでは単なる例証のためインテグレータバーの形態をなしているが、例えばハニカムコンデンサのような他の何らかの方法で設計することも可能である)、REMA対物レンズ950を備えており、補正素子810はREMA対物レンズ954内のひとみ面に配置されている。
図13には、強度のフィールド変動を修正するための装置930のもう1つの実施形態(補正素子も形成する)が示されている。この強度のフィールド変動を修正するのは(従来のグレーフィルタに関する以外)偏光依存性である、すなわち、偏光によって決まる強度分布変化に対する装置930の効果である。装置930には、この実施形態によれば、そのそれぞれに非対称構造931a又は932aがそれぞれ設けられるか又はコーティングされ、その寸法が動作波長範囲内である、例えば石英ガラス(SiO2)から作られた2つの板931、932が含まれている。典型的な実施形態の場合、これらの非対称構造931a、932aは、例えば、少なくとも部分的に吸収性又は少なくとも部分的に反射性であって、できればクロム(Cr)のような金属材料による楕円領域又は部位であるが、例えば、アルミニウム(Al)又はシリコン(Si)も適合する材料である。板931、932は、この実施形態によれば、互いに対して移動可能である(例えば、板931を板932に対して双頭矢印の方向にすなわち座標系におけるx方向及び/又はy方向に変位させることによって)。
電場ベクトルが構造の長軸(例えば楕円の長軸)に対して平行に振動する場合、これによって、それぞれの構造931a、932aと電磁照明との間の相関作用又は相互作用が強まる。しかしながら、電場ベクトルが構造の長軸(例えば楕円の長軸)に対して垂直に振動する場合、これによって、それぞれの構造931a、932aと電磁照明との間の相関作用又は相互作用が弱まることになる。図13に示す楕円領域の典型的な(ただし制限的ではない)寸法は、楕円の短軸の長さが50nmで、楕円の長軸の長さが200nmである。板上の構造に関する被覆度は、位置及び非偏光に関して得られる所望の吸収効果に従って選択される。もう1つの実施形態によれば、被覆又はコーティングはグリッド偏光子として実現することが可能である。
望ましい実施形態の1つによれば、装置930は、フィールドにおける偏光効果によって生じる強度分布を補正するため、少なくともフィールド面のすぐ近くに配置される。
本発明の説明が特定の実施形態を参照して行われているにしても、例えば個々の実施形態の特徴の組み合わせ及び/又は交換によって、当該技術者にはさまざまな変形実施形態及び代替実施形態が明らかになるであろう。従って、当該技術者には明らかなように、こうした変形実施形態及び代替実施形態も本発明に包含されるものであり、本発明の範囲は添付の請求項及びその同等物の意味するところにおいてのみ制限される。
以上の記載に関連して、以下の各項を開示する。
1.照明系(10)と投影対物レンズ(20)が含まれているマイクロリソグラフィック投影露光装置であって、
− 前記照明系(10)は、前記投影露光装置の動作時に、前記投影対物レンズ(20)の物体平面を照明し、前記投影対物レンズ(20)は像平面に前記物体平面の像を形成し、
− 前記物体平面に入射する光に関する少なくとも1つの偏光分布に対して、前記物体平面に不均一な強度分布が得られるように、前記照明系(10)において偏光依存性透過を生じさせ、その不均一な強度分布が、前記投影対物レンズ(20)の偏光依存透過特性によって、前記像平面に均一な強度分布をもたらすことを特徴とする、
マイクロリソグラフィック投影露光装置。
2.照明系(10)と投影対物レンズ(20)が含まれているマイクロリソグラフィック投影露光装置であって、
− 前記照明系(10)が、前記投影露光装置の動作時に、前記投影対物レンズ(20)の物体平面を照明し、前記投影対物レンズ(20)が像平面に前記物体平面の像を形成し、
− 偏光感応透過特性を有し、偏光依存性透過を生じる少なくとも1つの補正素子(810、910、930)が設けられていて、前記物体平面に入射する光の少なくとも1つの偏光分布に関して、前記補正素子がなければ前記像平面で得られる強度分布に生じる乱れが少なくとも部分的に補正されるようになっていることを特徴とする、
マイクロリソグラフィック投影露光装置。
3.前記像平面における均一な強度分布の形成、又は、前記補正素子がなければ前記像平面において得られる強度分布に生じる乱れの少なくとも部分的な補正が、それぞれ、前記投影対物レンズ(20)の前記物体平面にレチクルが配置されていない前記投影露光装置の状態に関連していることを特徴とする第1項又は第2項に記載のマイクロリソグラフィック投影露光装置。
4.前記照明系に、光軸(OA)と、前記光軸(OA)に対して傾斜させて配置された少なくとも1つの平面板を備える補正素子(810、910)が設けられていることを特徴とする第1項〜第3項のいずれか1つに記載のマイクロリソグラフィック投影露光装置。
5.前記平面板の透過特性が、それを通過する放射線の偏光状態と入射角によって決まることを特徴とする第4項に記載のマイクロリソグラフィック投影露光装置。
6.前記投影露光装置の動作時に、前記像平面に配置された基板を前記投影対物レンズ(20)に対して所定の走査方向(S)に移動させることが可能であり、前記光軸(OA)に対して前記少なくとも1つの平面板を傾斜させる回転軸が前記走査方向(S)に対して平行に延びることを特徴とする第4項又は第5項に記載のマイクロリソグラフィック投影露光装置。
7.前記平面板が誘電体コーティングを施されていることを特徴とする第4項〜第6項のいずれか1つに記載のマイクロリソグラフィック投影露光装置。
8.前記照明系に、少なくとも1つの平面板(931、932)を備えた少なくとも1つの補正素子が含まれ、前記平面板(931、932)が、少なくとも部分的に吸収性及び/又は少なくとも部分的に反射性の材料が少なくとも部分的に塗布された少なくとも1つの表面を備えることを特徴とする第1項〜第3項のいずれか1つに記載のマイクロリソグラフィック投影露光装置。
9.前記少なくとも部分的に吸収性及び/又は少なくとも部分的に反射性の材料が、前記平面板(931、932)上に非対称構造(931a、932a)を形成することを特徴とする第8項に記載のマイクロリソグラフィック投影露光装置。
10.前記非対称構造(931a、932a)が、それぞれ、1.5に前記投影露光装置の動作波長を掛けた値以下の最大寸法を備えており、50nm〜200nmの範囲内が望ましいことを特徴とする第9項に記載のマイクロリソグラフィック投影露光装置。
11.前記補正素子に少なくとも2つの平面板(911〜914、931、932)が含まれることを特徴とする第3項〜第10項のいずれか1つに記載のマイクロリソグラフィック投影露光装置。
12.前記平面板(931、932)が互いに移動可能なように構成されていることを特徴とする第11項に記載のマイクロリソグラフィック投影露光装置。
13.前記平面板(911〜914)が前記光軸(OS)に対して傾斜角に関して互いに個別に調整可能であることを特徴とする第11項又は第12項に記載のマイクロリソグラフィック投影露光装置。
14.前記照明系(10)と前記投影対物レンズ(20)が、それぞれ偏光依存透過及び/又は反射特性を有する少なくとも1つの偏光感応光学素子を備え、かつ前記照明系の偏光感応光学素子全体及び前記投影対物レンズ(20)の偏光感応光学素子全体が相互に逆ディアテニュエーションを生じることを特徴とする第1項〜第13項のいずれか1つに記載のマイクロリソグラフィック投影露光装置。
15.前記照明系(10)及び前記投影対物レンズ(20)が、それぞれ偏光依存透過及び/又は反射特性を有する少なくとも1つの偏光感応光学素子を備え、かつ前記照明系の偏光感応光学素子全体及び前記投影対物レンズ(20)の偏光感応光学素子全体が相互に一致するディアテニュエーションを生じることを特徴とする第1項〜第13項のいずれか1つに記載のマイクロリソグラフィック投影露光装置。
16.前記照明系(10)と前記投影対物レンズ(20)の間に、それを通過する直線偏光の望ましい偏光方向を事実上90°±3°回転させる光学素子(760)が配置されていることを特徴とする第15項に記載のマイクロリソグラフィック投影露光装置。
17.前記偏光感応光学素子がAR層を設けられたレンズ又はHR層が設けられたミラーであることを特徴とする第14項〜第16項のいずれか1つに記載のマイクロリソグラフィック投影露光装置。
18.前記補正素子が少なくともひとみ面のすぐ近くに配置されていることを特徴とする第2項〜第17項のいずれか1つに記載のマイクロリソグラフィック投影露光装置。
19.前記補正素子(930)が少なくとも像面のすぐ近くに配置されていることを特徴とする第2項〜第17項のいずれか1つに記載のマイクロリソグラフィック投影露光装置。
20.前記照明系(10)が少なくとも1つの偏向ミラー(245、745)を有することを特徴とする第1項〜第19項のいずれか1つに記載のマイクロリソグラフィック投影露光装置。
21.前記偏向ミラー(245、745)が少なくともひとみ面のすぐ近くに配置されていることを特徴とする第20項に記載のマイクロリソグラフィック投影露光装置。
22.前記照明系(10)が光軸(OA)を備えており、前記投影対物レンズ(20)の物体平面における矩形レチクルフィールド(F)を照明し、前記矩形レチクルフィールド(F)の縦軸が、前記光軸(OA)に対して前記偏向ミラー(245)を傾斜させる回転軸に対して90°±3°の角度で配置されていることを特徴とする第20項又は第21項に記載のマイクロリソグラフィック投影露光装置。
23.前記照明系(10)及び/又は前記投影対物レンズ(20)における少なくとも1つのレンズに反射防止コーティングが施されていて、そのためT s がT p を超え、ここで、T p が前記コーティングに入射する光のp成分の透過度を表わし、T s がs成分の透過度を表わすことを特徴とする第1項〜第22項のいずれか1つに記載のマイクロリソグラフィック投影露光装置。
24.マイクロ構造化構成部品をマイクロリソグラフィックで生産するためのプロセスであって、
− 感光材料の層が少なくとも部分的に塗布された基板を用意するステップと、
− 複製すべき構造を備えたマスク(250、750)を用意するステップと、
− 第1項〜第23項のいずれか1つに記載のマイクロリソグラフィック投影露光装置を用意するステップと、
− 前記投影露光装置によって前記層のある領域に前記マスク(250、750)の少なくとも一部を投影するステップと
が含まれることを特徴とするプロセス。
25.第24項に記載のプロセスによって生産されるマイクロ構造化構成部品。
本発明の一般概念を説明するための、マイクロリソグラフィック投影露光装置のレチクル平面において設定された、それぞれ、異なる偏光分布についてウェーハ面において得られる局部強度構成の線図である。 照明系の構造の線図である。 本発明の望ましい実施形態の1つに従って設定された、図2の照明系における偏向ミラーの反射率の典型的な入射角依存性を例示したグラフである。 第1の実施形態による図2の照明系における偏向ミラーとレチクルフィールドの相対配置を説明するための線図である。 もう1つの望ましい実施形態に関して、図2の照明系における偏向ミラーの反射率の典型的な入射角依存性を例示したグラフである。 図5の実施形態による偏向ミラーとレチクルフィールドの相対配置に関する線図である。 本発明を実施するためのもう1つの態様について説明するための照明系の構造に関する線図である。 偏光によって誘起される強度分布の望ましくない変動を補正するため、照明系において本発明のもう1つの態様に従って用いられる補正素子の作用を説明する線図である。 偏光によって誘起される強度分布の望ましくない変動を補正するため、照明系において本発明のもう1つの態様に従って用いられる補正素子の作用を説明する線図である。 偏光によって誘起される強度分布の望ましくない変動を補正するため、照明系において本発明のもう1つの態様に従って用いられる補正素子の作用を説明する線図である。 偏光によって誘起される強度分布の望ましくない変動を補正するため、照明系において本発明のもう1つの態様に従って用いられる補正素子の作用を説明する線図である。 本発明のもう1つの望ましい実施形態による補正素子の線図である。 本発明のもう1つの実施形態による強度のフィールド変動を修正するための装置を示す図である。 例証として照明系における本発明による補正素子の構成を示す図である。 従来技術に基づく、異なる偏光分布に関するマイクロリソグラフィック投影露光装置のレチクル平面又はウェーハ面における位置依存強度構成を示す線図である。 従来技術に基づく、異なる偏光分布に関するマイクロリソグラフィック投影露光装置のレチクル平面又はウェーハ面における位置依存強度構成を示す線図である。
10 照明系
20 投影対物レンズ
245 偏向ミラー
250 マスク
745 偏向ミラー
750 マスク
760 光学素子
810 補正素子
910 補正素子
911 平面板
912 平面板
913 平面板
914 平面板
930 補正素子
931 平面板
931a 非対称構造
932 平面板
932a 非対称構造

Claims (24)

  1. 照明系(10)と投影対物レンズ(20)が含まれているマイクロリソグラフィック投影露光装置であって、
    − 前記照明系(10)は、前記投影露光装置の動作時に、前記投影対物レンズ(20)の物体平面を照明し、前記投影対物レンズ(20)は像平面に前記物体平面の像を形成し、
    − 前記照明系(10)が、前記物体平面に入射する光に関する少なくとも1つの偏光分布に対して、前記物体平面に予め定められた不均一な強度分布が得られるような偏光依存性透過特性を有するように構成され、
    − 前記投影対物レンズ(20)が、前記不均一な強度分布が、前記投影対物レンズ(20)の偏光依存透過特性によって、前記像平面に均一な強度分布をもたらすように構成されることを特徴とする、
    マイクロリソグラフィック投影露光装置。
  2. 偏光感応透過特性を有し、偏光依存性透過を生じさせる少なくとも1つの補正素子(810、910、930)が設けられていることを特徴とする、
    請求項1に記載のマイクロリソグラフィック投影露光装置。
  3. 前記像平面における均一な強度分布の形成が、前記投影対物レンズ(20)の前記物体平面にレチクルが配置されていない前記投影露光装置の状態に関連していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のマイクロリソグラフィック投影露光装置。
  4. 前記照明系に、光軸(OA)と、前記光軸(OA)に対して傾斜させて配置された少なくとも1つの平面板を備える補正素子(810、910)が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のマイクロリソグラフィック投影露光装置。
  5. 前記平面板の透過特性が、それを通過する放射線の偏光状態と入射角によって決まることを特徴とする請求項4に記載のマイクロリソグラフィック投影露光装置。
  6. 前記投影露光装置の動作時に、前記像平面に配置された基板を前記投影対物レンズ(20)に対して所定の走査方向(S)に移動させることが可能であり、前記光軸(OA)に対して前記少なくとも1つの平面板を傾斜させる回転軸が前記走査方向(S)に対して平行に延びることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のマイクロリソグラフィック投影露光装置。
  7. 前記平面板が誘電体コーティングを施されていることを特徴とする請求項4〜請求項6のいずれか1つに記載のマイクロリソグラフィック投影露光装置。
  8. 前記照明系に、少なくとも1つの平面板(931、932)を備えた少なくとも1つの補正素子が含まれ、前記平面板(931、932)が、少なくとも部分的に吸収性及び/又は少なくとも部分的に反射性の材料が少なくとも部分的に塗布された少なくとも1つの表面を備えることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載のマイクロリソグラフィック投影露光装置。
  9. 前記少なくとも部分的に吸収性及び/又は少なくとも部分的に反射性の材料が、前記平面板(931、932)上に非対称構造(931a、932a)を形成することを特徴とする請求項8に記載のマイクロリソグラフィック投影露光装置。
  10. 前記非対称構造(931a、932a)が、それぞれ、1.5に前記投影露光装置の動作波長を掛けた値以下の最大寸法を備えており、50nm〜200nmの範囲内が望ましいことを特徴とする請求項9に記載のマイクロリソグラフィック投影露光装置。
  11. 前記補正素子に少なくとも2つの平面板(911〜914、931、932)が含まれることを特徴とする請求項3〜請求項10のいずれか1つに記載のマイクロリソグラフィック投影露光装置。
  12. 前記平面板(931、932)が互いに移動可能なように構成されていることを特徴とする請求項11に記載のマイクロリソグラフィック投影露光装置。
  13. 前記平面板(911〜914)が前記光軸(OS)に対して傾斜角に関して互いに個別に調整可能であることを特徴とする請求項11又は12に記載のマイクロリソグラフィック投影露光装置。
  14. 前記照明系(10)と前記投影対物レンズ(20)が、それぞれ偏光依存透過及び/又は反射特性を有する少なくとも1つの偏光感応光学素子を備え、かつ前記照明系の偏光感応光学素子全体及び前記投影対物レンズ(20)の偏光感応光学素子全体が相互に逆ディアテニュエーションを生じることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1つに記載のマイクロリソグラフィック投影露光装置。
  15. 前記照明系(10)及び前記投影対物レンズ(20)が、それぞれ偏光依存透過及び/又は反射特性を有する少なくとも1つの偏光感応光学素子を備え、かつ前記照明系の偏光感応光学素子全体及び前記投影対物レンズ(20)の偏光感応光学素子全体が相互に一致するディアテニュエーションを生じることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1つに記載のマイクロリソグラフィック投影露光装置。
  16. 前記照明系(10)と前記投影対物レンズ(20)の間に、それを通過する直線偏光の望ましい偏光方向を事実上90°±3°回転させる光学素子(760)が配置されていることを特徴とする請求項15に記載のマイクロリソグラフィック投影露光装置。
  17. 前記偏光感応光学素子がAR層を設けられたレンズ又はHR層が設けられたミラーであることを特徴とする請求項14〜16のいずれか1つに記載のマイクロリソグラフィック投影露光装置。
  18. 前記補正素子が少なくともひとみ面のすぐ近くに配置されていることを特徴とする請求項2〜17のいずれか1つに記載のマイクロリソグラフィック投影露光装置。
  19. 前記補正素子(930)が少なくとも像面のすぐ近くに配置されていることを特徴とする請求項2〜17のいずれか1つに記載のマイクロリソグラフィック投影露光装置。
  20. 前記照明系(10)が少なくとも1つの偏向ミラー(245、745)を有することを特徴とする請求項1〜19のいずれか1つに記載のマイクロリソグラフィック投影露光装置。
  21. 前記偏向ミラー(245、745)が少なくともひとみ面のすぐ近くに配置されていることを特徴とする請求項20に記載のマイクロリソグラフィック投影露光装置。
  22. 前記照明系(10)が光軸(OA)を備えており、前記投影対物レンズ(20)の物体平面における矩形レチクルフィールド(F)を照明し、前記矩形レチクルフィールド(F)の縦軸が、前記光軸(OA)に対して前記偏向ミラー(245)を傾斜させる回転軸に対して90°±3°の角度で配置されていることを特徴とする請求項20又は請求項21に記載のマイクロリソグラフィック投影露光装置。
  23. 前記照明系(10)及び/又は前記投影対物レンズ(20)における少なくとも1つのレンズに反射防止コーティングが施されていて、そのためTsがTpを超え、ここで、Tpが前記コーティングに入射する光のp成分の透過度を表わし、Tsがs成分の透過度を表わすことを特徴とする請求項1〜請求項22のいずれか1つに記載のマイクロリソグラフィック投影露光装置。
  24. マイクロ構造化構成部品をマイクロリソグラフィックで生産するためのプロセスであって、
    − 感光材料の層が少なくとも部分的に塗布された基板を用意するステップと、
    − 複製すべき構造を備えたマスク(250、750)を用意するステップと、
    − 請求項1〜23のいずれか1つに記載のマイクロリソグラフィック投影露光装置を用意するステップと、
    − 前記投影露光装置によって前記層のある領域に前記マスク(250、750)の少なくとも一部を投影するステップと
    が含まれることを特徴とするプロセス。
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