ツインクラッチ等を用いずに運転者の違和感を抑制するという目的を、アクセル・センサの検出信号に基づきアクセル・ペダルの特定の操作態様に応じて変速アクチュエータを動作させる変速制御部により実現した。
[マニュアル・トランスミッション]
図1は、本発明実施例1の変速操作装置を適用するマニュアル・トランスミッションを変速アクチュエータと共に示す断面図、図2は、ガイド・プレートの平面図、図3は、セレクト・プレートを主に示す一部を透視した平面図である。
図1で示すマニュアル・トランスミッション1は、本発明実施例の変速操作装置2により操作される。マニュアル・トランスミッション1は、複数段の歯車組からなりシンクロナイズ機構による同期を介した噛合可動部としてのカップリング・スリーブ3,5,・・の選択的な移動により変速を行なわせる構造である。
マニュアル・トランスミッション1は、一般的なマニュアル・トランスミッションに適用したものであり、シフト・レバー7を、運転者操作のものからリンク機構連動のものに変更した。
カップリング・スリーブ3,5の選択的な移動は、シフト・レバー7の動作により、シフト・ロッド9、シフト・フォーク11,13を介して行われる。
マニュアル・トランスミッション1には、エンジンからトルク伝達が行われ、その断続は、発進クラッチ15により行われる。発進クラッチ15は、クラッチ・アクチュエータ17の動作で切断される構成となっている。クラッチ・アクチュエータ17は、電動モータ及びギヤ機構などにより構成されている。但し、クラッチ・アクチュエータ17として、電動モータ等以外の油圧動作の機構等を用いることもできる。
シフト・レバー7は、球面軸受け19によりトランス・ミッション・ケース21側に支持され、いわゆるHパターンと呼ばれる操作形態により球面軸受け19を中心にXY方向に変速動作を行う構成である。シフト・レバー7の下端は、ストライキング・ロッド20の一端側に結合され、ストライキング・ロッド20の他端に、連携ロッド22を介して前記シフト・ロッド9が連動構成されている。
従って、シフト・レバー7のX方向(紙面直交方向)の動作でストライキング・ロッド20の回転を惹起し、連携ロッド22を介してシフト・ロッド9を軸回転させ、セレクト操作が行なわれる。シフト・ロッド9のY方向の動きでストライキング・ロッド20、連携ロッド22を介してシフト・ロッド9を軸方向移動させ、シフト操作が行なわれる。
シフト・レバー7の動作は、変速アクチュエータであるシフト・モータ23及びセレクト・モータ25により行われる。
シフト・モータ23は、後述するシフト連動ワイヤ43と共にシフト変速アクチュエータ24を構成し、セレクト・モータ25は、後述するセレクト連動ワイヤ45と共にセレクト変速アクチュエータ30を構成する。
シフト・モータ23及びセレクト・モータ25の回転は、変速制御部である変速コントローラ26により制御される。変速コントローラ26には、変速位置検出センサ28及びアクセル・センサ100からの検出信号が入力されるようになっている。
変速位置検出センサ28は、カップリング・スリーブ3,5が変速位置に移動したことを検出するものである。すなわち、変速位置検出センサ28は、ストライキング・ロッド20の回転及び移動を検出し、この検出信号により変速コントローラ26がマニュアル・トランスミッション1の変速段を判断する。
アクセル・センサ100は、エンジン回転を制御するアクセル・ペダル102の操作を検出するものであり、回転角からアクセル開度を検出する。
前記シフト・レバー7を動作させると前記のようにカップリング・スリーブ3,5の選択的な移動が行われる。この移動は、ガイド・プレート27によりガイドされる構成となっている。ガイド・プレート27は、トランス・ミッション・ケース21側に固定されている。
シフト・モータ23及びセレクト・モータ25は、本実施例において電動モータで構成され、車体側のモータ・ブラケット29,31に取り付けられている。両モータ23,25の出力軸33,35には、駆動アーム37,39が取り付けられている。駆動アーム37,39とシフト・レバー7,セレクト・プレート41との間に、シフト連動ワイヤ43,セレクト連動ワイヤ45が介設されている。
シフト 連動ワイヤ43及びセレクト連動ワイヤ45は、ワイヤ・インナ47,49及びワイヤ・アウタ51,53からなっている。シフト連動ワイヤ43は、後述するコイル・スプリング61,63と共に緩衝部58を構成し、シフト反力を緩衝する。セレクト連動ワイヤ45は、後述するコイル・スプリング73,75と共に待ち機構56を構成し、一方のガイド部、例えば2速のガイド部81等におけるセレクト動作の動作エネルギを蓄積する。
駆動アーム37とシフト・レバー7との間では、シフト連動ワイヤ43のワイヤ・インナ47が、駆動アーム37及びシフト・レバー7に結合部相対回転自在に結合されている。連動ワイヤ47の一端側は、モータ・ブラケット29の固定側である壁部55を貫通し、壁部55の両側でワイヤ・アウタ43にばね受け57,59が固定されている。ばね受け57,59と壁部55との間に、弾性体としてコイル・スプリング61,63が介設されている。ワイヤ・アウタ51は、シフト連動ワイヤ43の他端側において固定側であるトランス・ミッション・ケース21側のワイヤ・ブラケット65に固定されている。
駆動アーム39とセレクト・プレート41との間では、セレクト連動ワイヤ45のワイヤ・インナ49が、駆動アーム39及びセレクト・プレート41に結合部相対回転自在に結合されている。セレクト連動ワイヤ45の一端側は、モータ・ブラケット31の固定側である壁部67を貫通し、壁部67の両側でワイヤ・アウタ53にばね受け69,71が固定されている。ばね受け69,71と壁部67との間に、弾性体としてコイル・スプリング73,75が介設されている。ワイヤ・アウタ53は、セレクト連動ワイヤ45の他端側において固定側であるトランス・ミッション・ケース21側のワイヤ・ブラケット77に固定されている。
図2のように、ガイド・プレート27は、6段変速用を示し、1〜6段のシフト・ポジションに応じた前進用のガイド部79,81,83,85,87,89と後退用のRのガイド部91とニュートラル用のガイド部93とを備えている。なお、ガイド・プレート27のガイド部の数は、マニュアル・トランスミッション1の段数に図示上厳密には一致していないが、実際の設計では厳密に一致させるものである。
このガイド・プレート27により、シフト・レバー7を、前記変速アクチュエータであるシフト・モータ23及びセレクト・モータ25により動作させるとき、一方のガイド部、例えば2速のガイド部81からニュートラル用のガイド部93を介して他方のガイド部である3速のガイド部83へシフト動作からセレクト動作を経てシフト動作させるようにガイドすることができる。すなわち、ガイド・プレート27により、前進用のガイド部79,81,83,85,87,89と後退用のRのガイド部9とへシフト・セレクト動作をガイドすることができる。
図3のように、セレクト・プレート41は、セレクト部材を構成し、トランス・ミッション・ケース21側にセレクト・プレート支持軸95を介して回転自在に支持されている。セレクト・プレート41には、第1,第2,第3,第4傾斜ガイド面97,99,101,103が設けられている。第1傾斜ガイド面97は、変速段の2速から3速及び4速から5速へのシフト・アップのガイド、第2傾斜ガイド面99は、5速から4速及び3速から2速へのシフト・ダウンのガイド、第3傾斜ガイド面101は、1速飛びの1速から3速及び3速から5速へのガイド、第4傾斜ガイド面103は、Rから1速へのガイド、1速飛びの6速から4速及び4速から2速への飛び変速のガイドを行う。
図3の変速パターンは、A列に1速2速 、B列に3速4速、C列に5速6速、D列に後退のポジションRを設定している。
図3では、セレクト・プレート41によりシフト・レバー7が3速、4速間のニュートラル位置にあることを示している。なお、図3では、説明上、各変速段のシフト・レバー7を全て図示している。この状態では、シフト・モータ23の正逆回転によりニュートラル位置Nから3速、4速の何れへもセレクト・プレート41の動作なしにシフトさせることができる。1速−2速,3速−4速,5速−6速間でも、セレクト・プレート41の動作なしにシフトさせることができる。
シフト・レバー7を2速から3速及び4速から5速、5速から4速及び3速から2速、1速飛びの1速から3速及び3速から5速、1速飛びの6速から4速及び4から2速、Rから1速へのシフト時は、セレクト・プレート41が動作する。
例えば、2速から3速へのシフトでは、セレクト・モータ25の設定値として2速から3速へのセレクト距離に応じた回転により駆動アーム39を介してセレクト連動ワイヤ45のワイヤ・インナ49が引かれる。このワイヤ・インナ49の引きによりセレクト・プレート41がセレクト・プレート支持軸95を中心に回転しようとしてシフト・レバー7をX方向へ付勢する。この付勢によりシフト・レバー7は、ガイド部81内でX方向に押し付けられる。
同時にワイヤ・インナ49の引きによりセレクト連動ワイヤ45の湾曲が壁部67及びワイヤ・ブラケット77間で引き延ばされ、セレクト連動ワイヤ45が全体的にモータ・ブラケット31側へ移動する。このセレクト連動ワイヤ45の移動によりコイル・スプリング73が圧縮され、エネルギが蓄えられる。
また、シフト・モータ23が2速から3速へのシフトのために回転するとセレクト連動ワイヤ45のワイヤ・インナ47が駆動アーム37を介してY方向へ押し出される。このワイヤ・インナ47の押し出しによりシフト・レバー7がガイド部81内でX方向に押し付けられたままニュートラル位置N側へY方向へのみ移動する。
このY方向への移動によりシフト・レバー7がガイド部81から外れるとセレクト・モータ25側のコイル・スプリング73が弾性復帰し、セレクト連動ワイヤ45の湾曲が壁部67及びワイヤ・ブラケット77間で瞬時に元に戻り、セレクト・モータ25が予め回転してワイヤ・インナ49を押し出した量(セレクト距離)に応じてセレクト・プレート41が瞬時に回転する。
このセレクト・プレート41の回転によりシフト・レバー7が第1傾斜ガイド面97に摺動ガイドされ、シフト・モータ23の回転によるワイヤ・インナ47の押し出しと相俟って、3速のガイド部83へ向かってニュートラル用のガイド部93を斜めに最短距離を移動し、且つ3速のガイド部83へ入り込む。
従って、シフト・レバー7がシフト・モータ23及びセレクト・モータ25による駆動で操作されるにも関わらず、運転者がマニュアル操作で2速から3速へ素早くシフト・アップする最短の滑らかな移動軌跡を実現することができる。
これに対し、シフト・レバー7がシフト・モータ23及びセレクト・モータ25による駆動で操作されるとき、一般的にはシフト・レバー7が2速のガイド部81内をY方向へ移動し、ニュートラル用のガイド部93に位置したときX方向へ直角に3速側のニュートラル位置まで移動する。ここで再びY方向へ直角に移動して3速のガイド部83内に位置決められる。このような移動により、シフト・レバー7は、鉤状のいわゆるHパターンの移動軌跡を取る。
このシフト・モータ23及びセレクト・モータ25の駆動によるシフト・レバー7の移動に際し、シフト・モータ23は、ニュートラル位置で一旦停止し、セレクト・モータ25がシフト・レバー7のX方向の移動のための駆動を開始する。このシフト・レバー7のX方向の移動のための駆動終了後、シフト・モータ23がシフト・レバー7のY方向の移動のための駆動を開始する。
従って、素早いシフト操作のときにシフト・モータ23に急激な加減速が要求される。このため、シフト・モータ23及びセレクト・モータ25の急加減速のための大電力を必要とし、また慣性質量相当の大きなトルクがシフト・モータ23及びセレクト・モータ25に働く。結果として、現実的にはシフト・モータ23及びセレクト・モータ25による素早い変速動作は実現困難な状況となっていた。
この比較から明らかなように、本実施例では、シフト・モータ23及びセレクト・モータ25を用いたシフト・レバー7の操作でありながら、運転者の操作感に応じた的確、迅速な操作を行わせることが可能となる。
シフト・レバー7が2速から3速へ素早く移動し停止すると、ワイヤ・インナ47に停止の際の駆動力及び反力が衝撃として伝達される。この場合、シフト連動ワイヤ43の壁部55及びワイヤ・ブラケット65間での湾曲が若干縮み或いは延びることで上記同様にコイル・スプリング63或いは61が撓み、衝撃を吸収することができる。
すなわち、急激なレバー操作によりマニュアル・トランスミッション1の内部変速機構がシンクロナイズ機構に衝突するとき、操作系に加わる衝撃力を緩和するとともに、コイル・スプリング61,63によりシフト・モータ23の運動エネルギをコイル・スプリング61,63の撓みエネルギに変換し、適正なシンクロナイズ加圧力と時間とを生み出し、スムーズで素早い変速動作を可能とする。
かかる動作は、4速から5速、5速から4速及び3速から2速、1速飛びの1から3速及び3速から5速、1速飛びの6速から4速及び4速から2速、Rから1速へのシフトにおいても連動ワイヤ43,45及びコイル・スプリング61,63,73,75、セレクト・プレート41の第1,第2,第3,第4傾斜ガイド面97,99,101,103との共働によりほぼ同様に行われる。
[変速操作装置]
図4は、変速操作装置のブロック図、図5は、同変速操作装置を適用したステアリング・ホイールの正面図、図6は、ステアリング・ホイールを変速コントローラと共に示す図5のVI−VI線矢視断面図、図7は、図5のVII−VII線矢視におけるステアリング・ホイールの断面図、図8は、変速操作部及び操作反力モータを示す正面図である。
図4のように、変速操作装置2は、前記変速コントローラ26を備え、この変速コントローラ26の入力ポートに、変速操作部105と、発進クラッチ・スイッチ107と、クラッチ・キャンセル・スイッチ109と、飛びスイッチ111と、後退許可スイッチ113と、変位位置検出センサ28と、エンジン回転数センサ114と、機能選択スイッチ116と、ニュートラル・スイッチ118と、アクセル・センサ100とが接続されている。変速コントローラ26の出力ポートには、操作反力モータ115と、シフト・モータ23と、セレクト・モータ25と、クラッチ・アクチュエータ17と、エンジン・コントローラ117とが接続されている。
変速コントローラ26は、MPU(Micro Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備え、変速操作部105の変速操作信号に基づいて前記シフト・モータ23及びセレクト・モータ25の動作を制御する。
また、変速コントローラ26は、アクセル・センサ100の検出信号に基づき前記アクセル・ペダル102の特定の操作態様に応じて前記変速アクチュエータである前記シフト・モータ23及びセレクト・モータ25の動作を制御する。
変速コントローラ26は、本実施例においてクラッチ制御部でもあり、変速操作部105の変速操作信号の入力により発進クラッチ15を切断動作させると共に変速操作部105の変速操作信号の入力終了により発進クラッチを接続動作させるようにクラッチ・アクチュエータ17を制御する。
変速操作部105は、シフト・モータ23及びセレクト・モータ25の動作を制御するために変速操作信号を出力可能であり、図5〜図8のように変速パドル部119及び変速回転角センサ121を備えている。
変速パドル部119は、アップ・パドル123及びダウン・パドル125を一体に形成したものであり、操作反力モータ115の駆動軸に取り付けられている。変速パドル部119には、アップ・パドル123側においてステアリング・ホイール・ボス129との間に図7のようにリターン・スプリング126が介設されている。変速パドル部119は、アップ・パドル123及びダウン・パドル125の何れを引き操作しても手を離せばリターン・スプリング126の付勢力により中立位置へ自動的に復帰する。
操作反力モータ115は、ステアリング装置におけるステアリング・ホイール127のステアリング・ホイール・ボス129に取り付けられている。
変速回転角センサ121は、アップ・パドル123又はダウン・パドル125の操作による操作反力モータ115の駆動軸の正逆回転角を検出し、その回転角を変速コントローラ26へ入力する。変速コントローラ26は、変速回転角センサ121からの信号によりアップ・パドル123及びダウン・パドル125の操作量、操作速度を判断する。
変速コントローラ26は、本実施例において操作反力制御部でもあり、前記カップリング・スリーブ3,5移動に際する反力に応じた操作反力を発生させるように前記操作反力モータ115を制御する。操作反力モータ115は、本実施例の操作反力発生部を構成し、例えば電動モータで構成されている。この操作反力モータ115は、前記変速操作部5のアップ・パドル123又はダウン・パドル125の操作に対し前記カップリング・スリーブ3,5移動に際する反力に応じた操作反力を付与可能となっている。
カップリング・スリーブ3,5移動に際する反力は、前記マニュアル・トランスミッション1のシンクロナイズ機構の作動に起因する。例えば、変速操作によりシンクロナイズ機構が働くとき操作反力モータ115が駆動され、駆動軸を介してアップ・パドル123又はダウン・パドル125に操作反力を付与する。本実施例では、アップ・パドル123又はダウン・パドル125の操作力に逆らうトルク又は振動トルクを操作反力として発生させる。
このため、シフト操作が終了していないことがアップ・パドル123又はダウン・パドル125を介して手に伝わる。
操作反力制御部として変速コントローラ26は、前記変速位置検出センサ28がカップリング・スリーブ3,5の変速位置への移動を検出したとき前記操作反力を前記シンクロナイズ機構の作動に起因する反力より減少又は増大させる。操作反力を減少させるときは、負の力を発生させることもできる。
本実施例では、アップ・パドル123又はダウン・パドル125の操作反力を減少させ、カップリング・スリーブ3,5がシンクロナイズ機構での同期後にシフト完了の情報を手に伝達することができる。
アップ・パドル123又はダウン・パドル125の操作反力を増大させる場合は、アップ・パドル123又はダウン・パドル125の操作に対して操作反力モータ115により逆方向のトルクを発生させる。
変速回転角センサ121は、本実施例において操作状態検出センサでもあり、前記アップ・パドル123又はダウン・パドル125の操作力又は操作速度の少なくとも一方として、操作速度を検出する。操作速度は、変速回転角センサ121の検出する回転角から回転角速度が求められ、この回転角速度から回転速度すなわち操作速度が求められる。
変速制御部として変速コントローラ26は、前記変速回転角センサ121が検出する前記アップ・パドル123又はダウン・パドル125の操作力又は操作速度の少なくとも一方として、操作速度に応じて前記シフト・モータ23及びセレクト・モータ25の動作力又は動作速度の少なくとも一方として、動作速度を制御する。
すなわち、アップ・パドル123又はダウン・パドル125が早く操作されればその操作速度に応じてシフト・モータ23及びセレクト・モータ25の回転速度が増大し、素早い動作が行われる。
発進クラッチ・スイッチ107は、クラッチ・パドル部131及びクラッチ回転角センサ133からなっている。クラッチ・パドル部131には、変速パドル部119と同様にステアリング・ホイール・ボス129との間に図7のようにリターン・スプリング135が介設されている。クラッチ・パドル部131を引き操作しても手を離せばリターン・スプリング135の付勢力により中立位置へ自動的に復帰する。
クラッチ・パドル部131の左右いずれかを引くと、クラッチ回転角センサ133が操作に応じた回転角を検知し、変速コントローラ26へ出力する。変速コントローラ26は、クラッチ制御部としてアップ・パドル123又はダウン・パドル125の操作とは無関係にクラッチ・アクチュエータ17を制御し発進クラッチ15を断続する。
クラッチ・パドル部131がゆっくりと操作されると発進クラッチ15もこれに応じてゆっくりと断続され、クラッチ・パドル部131が早くと操作されると発進クラッチ15もこれに応じて早く断続される。例えば、クラッチ・パドル部131を引いて発進クラッチ15を切断した後、クラッチ・パドル部131を素早く離すと発進クラッチ15は、素早く接続され、同ゆっくり離すと同徐々に接続される。
クラッチ・キャンセル・スイッチ109、飛びスイッチ111、後退許可スイッチ113、機能選択スイッチ116、ニュートラル・スイッチ118は、ステアリング装置におけるステアリング・ホイール127のスポーク部136に設けられている。
クラッチ・キャンセル・スイッチ109は、変速コントローラ26による変速操作部105の変速操作に応じた発進クラッチ15の断続制御をキャンセルするものであり、ON操作により変速操作部105を操作しても発進クラッチ15は断続されず、OFF操作により変速操作部105の変速操作により発進クラッチ15が自動的に断続される。
飛びスイッチ111は、前記変速操作部105操作時に同時操作させることで前記変速制御部である変速コントローラ26が前記シフト・モータ23及びセレクト・モータ25の動作を制御して前記変速段を1速飛びに変速させる。例えば、1速飛びの1速から3速及び3速から5速、6速から4速及び4速から2速へのシフト・アップ、シフト・ダウンを行わせる。
後退許可スイッチ113は、前記変速操作部105操作時の同時操作の有無により前記変速制御部105が前記シフト・モータ23及びセレクト・モータ25の動作を制御して前記変速段の後退段Rへの変速の許可及び禁止を選択する。例えば、変速操作部105操作時に後退許可スイッチ113を同時に操作してONとしたときのみ変速コントローラ26は、シフト・モータ23及びセレクト・モータ25を制御して後退段Rへの変速を許可する。
機能選択スイッチ116は、クラッチ制御部としての変速コントローラ26とエンジン制御部としてのエンジン・コントローラ117とを選択して制御可能とする。
ニュートラル・スイッチ118は、変速位置がどのポジションにあっても、操作により直ちにニュートラルNのポジションにシフトさせる。
エンジン回転数センサ114は、エンジンの回転数を検出して変速コントローラ26へ入力する。
エンジン・コントローラ117は、車速信号など各種センサの入力によりエンジンを総合的に制御すると共に、変速操作部105の変速操作信号により変速コントローラ26を介しエンジンの燃料カット又は点火カットを行う。
[変速操作]
変速操作は、後述する変速操作部105の、アップ・パドル123又はダウン・パドル125の操作により行われる。
図3の変速パターンは、上記のようにA列 、B列、C列、D列を設定している。例えば、1速へのシフト・ダウンのためダウン・パドル125を引き付けると、変速操作信号として変速回転角センサ121の信号が変速コントローラ26へ入力される。この信号の入力により、クラッチ・アクチェタ17により発進クラッチ15が自動的に切られる。同時に変速コントローラ26から変速回転角センサ121の信号に応じた信号でシフト・モータ23及びセレクト・モータ25に信号が出力され、シフト・レバー7が1速2速間へ移動すると共に1速側へシフト動作する。
このときシンクロナイズ機構が働いていると、ダウン・パドル125に操作反力が発生し、シフト動作が終了すると反力は消滅する。
ダウン・パドル125を放すと発進クラッチ15が結合され、シフト・ダウン操作が終了する。
次にシフト・アップのため、アップ・パドル123を引き付けると、同様に発進クラッチ15が自動的に切れ、シフト・モータ23、セレクト・モータ25が逆回転し、シフト・レバー7を2速に移動させる。アップ・パドル123を放せば、発進クラッチ15が自動的に接続され、シフト・アップが終了する。
アップ・パドル123を再び引き付けると、発進クラッチ15が切れると共にシフト・レバー7は、シフト・モータ23及びセレクト・モータ25の駆動により上記のように3速へ円滑に移動する。アップ・パドル123を放せば発進クラッチ15が接続され、3速へのシフト・アップは終了する。
なお、既存のマニュアル・トランスミッションへの適用では、2速から3速への変速時、始めにシフト・モータ23のみ作動させ、シフト・レバー7がN位置へ移動したことを位置センサーが検出し、この検出によりセレクト・モータ25が回転を始め、シフト・レバー7をA列からB列に移動させるように動作させることも可能である。さらにN位置からはシフト・モータ23によりシフト・レバー7が3速に移動し、アップ・パドル123を放せば発進クラッチ15が接続され、シフト・アップは終了する。
[アクセル・ペダル・シフト]
図9は、アクセル・ペダルの特定の操作態様を示すアクセル開度変化のタイムチャートである。
図9のように、変速コントローラ26は、前記アクセル・ペダル102の特定の操作態様として一定時間内にアクセル開度θが全閉となる場合に、前記シフト・モータ23、セレクト・モータ25により前記マニュアル・トランスミッション1をシフト・アップさせる。
また本実施例において、変速コントローラ26は、前記アクセル・ペダル102の特定の操作態様として一定時間内にアクセル開度θが一定以上に大きくなってから収束する場合に、前記シフト・モータ23、セレクト・モータ25により前記マニュアル・トランスミッション1をシフト・ダウンさせる。
シフト・アップの一例としては、一定時間であるTu1−Tu2間に任意のアクセル開度θux1よりアクセル全閉θminとなることをアクセル・ペダル102の特定の操作態様として変速コントローラ26に設定する。
この設定により、アクセル・ペダル102を少し踏み込んで離せば(アクセル全閉θmin)変速コントローラ26の制御により発進クラッチ15が切られ、マニュアル・トランスミッション1が1速にシフト・アップされ、次いで発進クラッチ15が接続される。
この接続により、アクセル・ペダル102を踏み込めば、1速での走行を行うことができる。なお、1速へのシフトは、アップ・パドル123を用いて行わせることもできる。
1速での走行においてアクセル・ペダル102を離せば変速コントローラ26の制御により発進クラッチ15が切られ、マニュアル・トランスミッション1が2速にシフト・アップされ、次いで発進クラッチ15が接続される。
この接続により、アクセル・ペダル102を踏み込めば、2速での走行を行うことができる。
同様に、アクセル・ペダル102の操作により3速、4速、5速、6速へとシフト・アップさせることができる。
このように、シフト・アップをアクセル・ペダル102のアクセル全閉θminへの戻しにより行わせるが、一般的なマニュアル操作によるシフト・アップにおいても、変速時は必ずアクセル・ペダル102をアクセル全閉θminに戻すため、2〜6速へのシフト・アップにおけるアクセル操作としては、何ら変更されることはない。
しかも、アクセル・ペダル102のアクセル全閉θminへの戻しは、運転者の意志によるため、例え2次加速度が大きくても運転者が違和感を覚えることが抑制される。
また、アクセル・ペダル102の操作に集中することができ、変速後にアクセル・ペダル102の踏み込み操作に迅速に移行することができる。このため、加速も円滑に行われ、運転者が違和感を覚えることが抑制される。
シフト・ダウンの一例としては、一定時間であるTd1−Td2間に任意のアクセル開度θdx1より設定点θdx2を上回り、一定時間であるTd2−Td3間に設定点θdx3となることをアクセル・ペダル102の特定の操作態様として変速コントローラ26に設定する。
この設定により、例えば4速走行中にアクセル・ペダル102を急激に踏み込んでから戻してシフト・ダウンの操作態様を満たすと、変速コントローラ26の制御により発進クラッチ15が切られ、マニュアル・トランスミッション1が3速にシフト・ダウンされ、次いで発進クラッチ15が接続される。
この接続により、アクセル・ペダル102を踏み込めば、4速から3速へシフト・ダウンさせて高速走行などでの加速走行を行わせることができる。
同様に、その他の変速位置において同様の操作によりシフト・ダウンさせることができる。
一般に、アクセル・ペダル102の急激な踏み込み操作により加速感が得られないとき、運転者はシフト・ダウンの必要性を感じ、アクセル・ペダル102を一旦戻し、シフト・ダウンを行うことがある。
したがって、図9で示すシフト・ダウンの態様は、一般的なマニュアル操作によるシフト・ダウンにおけるアクセル操作に近似し、シフト・ダウンにおけるアクセル操作として、運転者の違和感を抑制することができる。
しかも、シフト・ダウンにより2次加速度が大きくても運転者の意志によるため違和感を覚えることが抑制される。
また、アクセル・ペダル102の操作に集中することができ、シフト・ダウン後にアクセル・ペダル102の踏み込み操作へ迅速に移行することができる。このため、加速も円滑に行われ、運転者が違和感を覚えることが抑制される。
なお、シフト・ダウンは、一般のキック・ダウン・スイッチの構成を採用することもできる。
また、アクセル・ペダル102の特定の操作態様として変速コントローラ26に設定するのは、シフト・アップ、シフト・ダウンの他、ニュートラル等も同様に行わせることができる。
このように、変速が運転者の意思により行われるので、変速時の違和感を運転者に与えない。また実施例の変速操作装置2は、車両停止のための減速時や、長い下り坂等の場合、変速コントローラ26がエンジン回転、アクセル開度等を判断し、運転者の意思が無くても自動的に変速する等の完全自動機能化することもできる。
すなわち、車両の走行状態を検出する走行状態検出部としてのエンジン回転数センサ114、アクセル・センサ100等を備え、前記変速コントローラ26は、長い下り坂走行などの車両の走行状態を考慮して前記シフト・モータ23、セレクト・モータ25の動作を行わせ、完全自動機能化することができる。
本実施例の変速操作装置によれば、変速のための シフト・レバーやクラッチ・ペタルの操作を不要とし又は少なくし、その上運転者に変速時の違和感を与えない。
また従来のマニュアル・トランスミッションをベースとするため、安価であり、オートマチック・トランスミッションに比べ、効率が良く燃費が良いことは周知の事実である。
さらに、ツインクラッチ等を使用せず、構造が簡単で軽量且つ安価である。
[操作反力]
通常、マニアル・トランスミッションには、変速を円滑にするため慣性タイプの同期装置(シンクロナイズ機構)が装着されている。このため同期が終了するまで、カップリング・スリーブ3,5は所定位置にとどまりシフト操作は終了しない。従ってシフト・ロッド9及びシフト・フォーク11,13も所定の位置に停止している。この状態を変速位置検出センサ28が検出し、変速コントローラ26の制御により操作反力モータ115がアップ・パドル123又はダウン・パドル125の操作力に逆らうトルクまたは振動トルクを発生させる。このためシフト操作が終了していないことがアップ・パドル123又はダウン・パドル125を介して手に伝わる。
同期が完了し、カップリング・スリーブ3,5、シフト・ロッド9、シフト・フォーク11,13が所定の位置に移動すると、変速位置検出センサ28の検出に応じて変速コントローラ26が操作反力モータ115を制御してトルクを減少させるかまたは逆方向のトルクを発生させ、シフト完了の情報を手に伝達する。
[クラッチ断続]
変速時、カップリング・スリーブ3,5の噛み合いクラッチ部分に負荷トルクが存在していると、摩擦力により噛み合いクラッチを操作できない。またシンクロナイズ機構による同期も難しい。従って、変速時には上記のように一時的に発進クラッチ15を切り離し、トルクを消滅させる必要がある。この場合の発進クラッチ15の断接は素早く行う必要がある。また車両の発進時は切り離された発進クラッチ15を滑らせながら徐々に結合する必要がある。微速運転の場合は、発進クラッチ15を滑らせるいわゆる半クラッチを使用する必要がある。このように使用状況により、発進クラッチ15の結合スピードは使い分ける必要がある。
本実施例の場合、変速操作部5を操作すると、直ちに変速回転角センサ121の検出信号が変速コントローラ26に送られ、クラッチ・アクチェタ17を作動させ、発進クラッチ15を切り離す。このため、変速部の負荷トルクが消滅し上記変速動作をスムーズに行うことができる。
変速動作終了後、アップ・パドル123又はダウン・パドル125を放してゆくと、その動きを変速回転角センサ121が細かく検出する。この検出に応じて変速コントローラ26がクラッチ・アクチェタ17に出力し、アップ・パドル123又はダウン・パドル125の動きに連動して発進クラッチ15の接続を行わせることができる。
従って、アップ・パドル123又はダウン・パドル125から指を素早く放せば、発進クラッチ15は素早く接続され、ゆっくり放せば徐々に接続される。すなわち、上記したように素早い変速操作、緩やかな発進、急発進等に必要なクラッチ操作を自由に使い分けることができる。
更に発進クラッチ専用の発進クラッチ・スイッチ107を設けることで、シフト操作せず発進クラッチ15のみの断接をし、或いは半クラッチ状態を作り出すことも可能である。また従来のクラッチ・ペタルをそのまま残す組み合わせも可能である。このため熟練したドライバーの技量を十分に生かすことが可能である。
更に、エンジン回転角センサ114の検出によるエンジン回転数が設定値以下になると、変速コントローラ26からクラッチ・アクチェタ17に信号が送られ、発進クラッチ15が切り離され、エンストを防止することができる。また後退速Rにシフトされた等、特定の場合、クラッチ・アクチェータ17にエンジン回転数に感応した出力命令、例えば、エンジン回転数の2乗に比例したクラッチ結合力を発揮するようなエネルギを与えるようにして自動発進クラッチとすることもできる。
[クラッチ・キャンセル等]
クラッチ・キャンセル・スイッチ109は、アップ・パドル123又はダウン・パドル125を操作しても発進クラッチ15が反応しないように切り替えるためのものである。クラッチ・キャンセル・スイッチ109を操作せずOFFであるときは、アップ・パドル123又はダウン・パドル125の操作及び発進クラッチ15の断続が連動する。クラッチ・キャンセル・スイッチ109を操作してONにすると、アップ・パドル123又はダウン・パドル125の操作及び発進クラッチ15の断続が連動しないポジションに切り替えることができる。
上記したように変速時には噛み合いクラッチ部への負荷トルクを排除する必要があり通常それは発進クラッチ15の操作により行う。しかし、レース等で、すばやい変速が必要なとき、発進クラッチ15を切り離し、再び結合していると無駆動時間が長くなりタイムロスにつながる。
このような場合、一般的に発進クラッチ15は接続させたまま、アクセル操作等で負荷を抜き一瞬にシフト動作を終了するような高度なテクニックが使用される。
この高度なテクニックに対応可能にするためクラッチ・キャンセル・スイッチ109を設け、上記連動、非連動を使い分けできるようにする。
他に、クラッチ・キャンセル・スイッチ109に複数のポジションを設けて、発進時のみアップ・パドル123又はダウン・パドル125と発進クラッチ15とが連動させ、或いはシフト・ダウン時のみ連動させる構成にすることも可能である。
機能選択スイッチ116の操作により、変速コントローラ26によるアップ・パドル123又はダウン・パドル125と発進クラッチ15との連動、エンジン・コントローラ117による制御とを選択することができる。この場合、エンジン・コントローラ117は、前記変速操作部105の変速操作信号によりエンジンの燃料カット又は点火カットを行なわせることが可能である。
運転状態を検知しプログラム制御によりアップ・パドル123又はダウン・パドル125と発進クラッチ15との最適な連動を自動的に切り替えるようにすることもできる。
後退許可スイッチ113の同時操作時のみ後退速へシフト・ダウンさせることができる。例えば3速、2速、1速、ニュトラルNと順次シフト・ダウンし、続けてダウン・パドル125を操作をしても、後退許可スイッチ113を同時に操作しない限り、後退速Rへシフト操作することができない。
ニュートラル・スイッチ118を操作すると、直ちにクラッチ・アクチェタ17及びシフト・モータ23が駆動され、変速位置がどのポジションにあってもニュートラルNのポジションにシフトされる。
飛びスイッチ111を操作してアップ・パドル123又はダウン・パドル125を操作すると、一段飛び越してシフト・アップ又はシフト・ダウンさせることができる。
なお、クラッチ・キャンセル・スイッチ109、飛びスイッチ111、後退許可スイッチ113、機能選択スイッチ116、ニュートラル・スイッチ118は、選択的に或いは全てを省略することができる。
[実施例1の効果]
本発明実施例1の変速操作装置2は、複数段の歯車組からなりカップリング・スリーブ3,5,・・の移動による結合を介し変速を行なわせ断続可能な発進クラッチ15の接続によりエンジンの出力を変速して伝達するマニュアル・トランスミッション1と、前記カップリング・スリーブ3,5,・・を移動させるシフト・モータ23、セレクト・モータ25と、前記発進クラッチ15を断続させるクラッチ・アクチュエータ17とを備えた変速操作装置2において、エンジン回転を制御するアクセル・ペダル102の操作を検出するアクセル・センサ100と、前記アクセル・センサ100の検出信号に基づき前記アクセル・ペダル102の特定の操作態様に応じて前記クラッチ・アクチュエータ17及びシフト・モータ23、セレクト・モータ25を動作させる変速コントローラ26とを備えた。
シフト・アップの一例としては、一定時間であるTu1−Tu2間に任意のアクセル開度θux1よりアクセル全閉θminとなることをアクセル・ペダル102の特定の操作態様として変速コントローラ26に設定する。
シフト・ダウンの一例としては、一定時間であるTd1−Td2間に任意のアクセル開度θdx1より設定点θdx2を上回り、一定時間であるTd2−Td3間に設定点θdx3となることをアクセル・ペダル102の特定の操作態様として変速コントローラ26に設定する。
このため、運転者の意図に応じたアクセル操作によりシフト・モータ23、セレクト・モータ25を動作させマニュアル・トランスミッション1を変速させることができるから、変速完了後に車両の2次加速度が大きくなっても運転者に用意があり、違和感になることを抑制することができる。
また、アクセル・ペダル102の操作に集中することができ、シフト・ダウン後にアクセル・ペダル102の踏み込み操作へ迅速に移行することができる。このため、加速も円滑に行われ、運転者が違和感を覚えることが抑制される。
前記変速コントローラ26は、前記アクセル・ペダル102の特定の操作態様が一定時間内にアクセル開度が全閉θminとなる場合に前記シフト・モータ23、セレクト・モータ25により前記マニュアル・トランスミッション1をシフト・アップさせる。
このように、シフト・アップをアクセル・ペダル102のアクセル全閉θminへの戻しにより行わせるが、一般的なマニュアル操作によるシフト・アップにおいても、変速動作時は必ずアクセル・ペダル102をアクセル全閉θminに戻すため、2〜6速へのシフト・アップにおけるアクセル操作としては、何ら変更されることはない。
しかも、アクセル・ペダル102のアクセル全閉θminへの戻しは、運転者の意志によるため、例え2次加速度が大きくても運転者が違和感を覚えることが抑制される。
また、アクセル・ペダル102の操作に集中することができ、変速後にアクセル・ペダル102の踏み込み操作に迅速に移行することができる。このため、加速も円滑に行われ、運転者が違和感を覚えることが抑制される。
前記変速コントローラ26は、前記アクセル・ペダル102の特定の操作態様が一定時間内にアクセル開度が一定以上に大きくなってから収束する場合に前記シフト・モータ23、セレクト・モータ25により前記マニュアル・トランスミッション1をシフト・ダウンさせる。
このように、シフト・ダウンをアクセル・ペダル102の急激な踏み込み操作と、その時運転者がシフト・ダウンの必要性を感じ、アクセル・ペダル102を戻し、シフト・ダウンするアクセル操作は、一般的なマニュアル操作によるシフト・ダウンにおけるアクセル操作に近似し、シフト・ダウンにおけるアクセル操作として、運転者の違和感を抑制することができる。
しかも、シフト・ダウンにより2次加速度が大きくても運転者の意志によるため違和感を覚えることが抑制される。
また、アクセル・ペダル102の操作に集中することができ、シフト・ダウン後にアクセル・ペダル102の踏み込み操作へ迅速に移行することができる。このため、加速も円滑に行われ、運転者が違和感を覚えることが抑制される。
前記シフト・モータ23、セレクト・モータ25は、運転者のマニュアル操作により前記カップリング・スリーブ3,5,・・を移動させるためにシフト・レバー7をシフト動作又はシフト・セレクト動作させる。
このため、シフト・モータ23、セレクト・モータ25のマニュアル操作も可能とし、より汎用性が向上する。
走行状態検出部としてのエンジン回転数センサ114、アクセル・センサ100等を備え、前記変速コントローラ26は、長い下り坂走行などの車両の走行状態を考慮して前記シフト・モータ23、セレクト・モータ25の動作を行わせ、完全自動機能化することができる。
[その他]
上記実施例では、シンクロナイズ機構を備えたマニュアル・トランスミッション1としたが、シンクロナイズ機構を備えず、ドグ・クラッチを噛合可動部とし、その移動による結合を介し変速を行なわせるマニュアル・トランスミッションにも適用することができる。
実施例では、動力源として電動モータを使用しているが、その他油圧、空圧、それらの電動との組み合わせも可能である。