JP5236876B2 - 装飾用リング - Google Patents

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Description

本発明は白金又は白金合金からなる装飾用物品及びその製造方法に関する。
従来から、貴金属としての価値が高いという理由で、リング(指輪)やブレスレット、ネックレス等の装飾用物品の素材には白金や白金合金が用いられている。しかし、高純度の白金はビッカース硬度(Hv)が50〜60であり、一般的なPt900(Pd10%)の白金合金のビッカース硬度(Hv)は70〜80であり、非常に柔らかくて傷つきやすく、その柔らかさ故に加工性にも劣るということが知られている。そうしたことから、白金や白金合金を硬化させるための種々の技術が提案されており、硼素等を用いて硬度を上昇させることは公知技術として知られている。
例えば特許文献1に開示された硬化技術では、装飾しようとする物品を、炭化硼素及び硼砂とこれら化合物に対して50重量%以上の割合で配合された塩類との混合物と一緒に接触した状態で加熱することで、当該物品の表面全体にわたって硼素を侵入させ、当該物品を硬化させている(特許請求の範囲等参照)。
特許第2987314号公報
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、表面が硬化されて表面に傷が付き難くすることはできるものの、当該物品は内部が柔らかいままで変形しやすいという問題がある。変形が容易に起これば、二次加工等を行う際にかかる物理的な力で変形が起こり、形状修正等の加工が必要になる他、日常の使用においても変形を起こし、装身具としての価値を下げてしまうという問題がある。
実際に本出願人が特許文献1に開示された硬化技術の追試を行ってみたところ、物品の表面に対し高硬度の硬化層を形成することはできたものの、内部領域の硬度は白金や白金合金自体の硬度と比較して数値的にそれほど変動がなく、当該物品の内部は柔らかいままであった(下記実施例の実験4参照)。
本発明の目的は、表面を硬化させて表面に傷が付き難くするのみならず、内部まで硬化させて変形し難くすることである。
上記課題を解決するため、本発明は、
所定の厚さを有しかつ白金又は白金合金からなる装飾用リングにおいて、
硼素供与物質及び珪素供与物質が非接触なまま共存した状態で、前記硼素供与物質及び前記珪素供与物質とともに加熱処理され、前記硼素供与物質中の硼素が当該装飾用リングの表面から厚さ方向の中心部にわたり拡散浸透し、前記珪素供与物質中の珪素が当該装飾用リングの表面近傍に拡散浸透し、
前記珪素供与物質中の珪素の濃度が当該装飾用リングの厚さ方向の中心部より表面で高く、
加熱処理後の表面及び厚さ方向の中心部の各ビッカース硬度(Hv)がともに120以上であることを特徴としている。
本発明では、硼素供与物質が加熱処理を受けて硼素を蒸気化し、その硼素が装飾用リングの表面のみならず厚さ方向の中心部にも拡散浸透しているので、当該装飾用リングは表面に加えて内部も硬化する。そのため、当該装飾用リングにおいては、表面を硬化させて表面に傷が付き難くするのみならず、内部まで硬化させて変形し難くすることができる。
特に、本発明では、上記事項に加えて、珪素供与物質が加熱処理を受けて珪素を蒸気化し、その珪素が装飾用リングの表面近傍に拡散浸透するため、当該装飾用リングは表面が更に硬化する。そのため、当該装飾用リングにおいては、表面に傷が顕著に付き難くすることができ、物理的な力による変形も顕著にし難くすることができる。
さらに、本発明では、加熱処理後の表面及び厚さ方向の中心部のビッカース硬度(Hv)が120以上であり、表面と内部とで一定の値以上の硬度が保持されているから、さらに傷が付き難く、身に付けられた状態においてもつぶれたり変形したりし難くなる。
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための最良の形態について説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲は以下の実施形態、実施例及び図示例に限定されるものではない。
本発明に係る装飾用物品は、リング(指輪)、ブレスレット、ネックレス、ペンダント、ブローチ、チェーン、イヤリング、ピアス等の装飾用小物の物品に適用されるもので、特にリング(指輪)に好適に適用されるものである。当該装飾用物品は白金又は白金合金からなり、不可避的不純物を含むものである。市場に流通している状態では、当該装飾用物品は白金からなる場合には「Pt1000」のホールマークが付され、0.3重量%までの他の元素(白金以外の元素)の混入が公差として認められている。他方、白金合金からなる場合には当該装飾用物品は「Pt900」,「Pt950」等のホールマークが付され、そのホールマークに対応して白金の純度が90%,95%等となっている。
当該装飾用物品は、硼素供与物質が非接触なまま共存した状態でその硼素供与物質とともに加熱処理され製造されている。「硼素供与物質」としては加熱を受けて硼素(B)を蒸気化する物質であれば適用可能であり、例えば酸化硼素(B2O3),硼酸(H3BO3),硼砂(Na2B4O7)等が好適である。「硼素供与物質が非接触なまま共存した状態」とは、硼素供与物質が、硬化させようとする物品とは離間した状態で、その物品が存在する加熱処理装置(例えば電気炉)の内部に同時に存在するという意味であり、硼素供与物質中に硬化させようとする物品を埋め込むというように、硼素供与物質と硬化させようとする物品とが直接的に接触するという意味ではない。
当該装飾用物品は、硼素供与物質に加えて、当該硼素供与物質及び珪素供与物質が非接触なまま共存した状態でそれら硼素供与物質及び珪素供与物質とともに加熱処理され製造されてもよい。「珪素供与物質」としては加熱を受けて珪素(Si)を蒸気化する物質であれば適用可能であり、例えば珪素(Si)等が好適である。「硼素供与物質及び珪素供与物質が非接触なまま共存した状態」とは、上記と同様の内容であり、硼素供与物質と珪素供与物質とが、硬化させようとする物品とは離間した状態で、その物品が存在する加熱処理装置(例えば電気炉)の内部に同時に存在するという意味である。硼素供与物質と珪素供与物質は、硬化させようとする物品と離間させ、互いに別々にされた状態で存在させるのが好ましい。
以上の構成を具備した装飾用物品は、加熱処理後の表面及び内部のビッカース硬度(Hv)が90以上であり、表面と内部とで一定の値以上の硬度が保持されている。そのため、当該装飾用物品は現実に表面に傷が付き難く、身に付けられた状態においてもつぶれたり変形したりし難くなっており、さらにビッカース硬度(Hv)が120以上であれば、さらに傷が付き難く、つぶれたり変形したりし難くなる(下記実施例の実験5参照)。
次に、本発明に係る装飾用物品の製造方法について説明する。
始めに、硬化させようとする物品を準備し、その物品を電気炉等の加熱処理装置の内部に収容する。それと同時に、その加熱処理装置の内部に硼素供与物質(硼素供与物質及び珪素供与物質)を物品とは非接触な状態で共存させて収容する。
この状態において、加熱処理装置を稼働させ、硬化させようとする物品と硼素供与物質(硼素供与物質及び珪素供与物質)とを加熱処理する。加熱処理中、硼素供与物質のみを用いた場合には、硼素供与物質は加熱を受けて硼素を蒸気化し、その硼素が当該装飾用物品の表面のみならず内部の領域に拡散浸透する。硼素供与物質及び珪素供与物質の両方を用いた場合には、硼素供与物質は上記と同様に加熱を受けて硼素を蒸気化し、その硼素が当該装飾用物品の表面のみならず内部の領域に拡散浸透する。他方、珪素供与物質は加熱を受けて珪素を蒸気化し、その珪素が当該装飾用物品の表面近傍に拡散浸透する。
なお、加熱温度,加熱時間は硬化させようとする物品の態様(形状や大きさ等)に応じて適宜変更可能であるが、例えば当該装飾用物品としてリングを適用した場合には、加熱温度を1000℃程度とする場合は加熱時間を5時間程度とするのがよく、加熱温度を1350℃程度とする場合には加熱時間は3時間程度でよい。
加熱処理が終了したら、硬化させようとした物品を、加熱処理装置から取り出して又は加熱処理装置の内部に存在させたままで冷却し、これにより本発明に係る装飾用物品の製造が完了する。
以上の本実施形態では、硬化させようとする物品に対し硼素供与物質を加熱処理に供した場合には、硼素供与物質が硼素を蒸気化してその硼素が当該装飾用物品の表面のみならず内部の領域にも拡散浸透しているので、当該物品は表面に加えて内部も硬化する(下記実施例の実験1,3参照)。そのため、当該装飾用物品においては、表面を硬化させて表面に傷が付き難くするのみならず、内部まで硬化させて変形をし難くすることができ、二次加工等を行う際にかかる物理的な力による変形防止や日常の使用においても変形を起こしにくいため、装身具としての価値を高める効果がある。
他方、硬化させようとする物品に対し硼素供与物質に加えて珪素供与物質をも加熱処理に供した場合には、硼素供与物質に起因する硼素が当該装飾用物品の表面と内部とに拡散浸透するのに加えて、珪素供与物質が珪素を蒸気化してその珪素が当該装飾用物品の表面近傍に拡散浸透するから、当該装飾用物品は表面が更に硬化する(下記実施例の実験1〜3参照)。そのため、当該装飾用物品においては、表面に傷が付くことや変形を顕著にし難くすることができる。
更に、本発明に係る装飾用物品の製造方法によれば、硬化させようとする物品を単に、硼素供与物質(硼素供与物質及び珪素供与物質)とともに加熱処理するだけであるから、表面に傷が付き難くて変形し難い装飾用物品を、大掛かりな装置を必要とせずに現実的に数時間の加熱処理で容易に製造することができる。
[実験1]
本実験1では、「白金」リングを粉体状の酸化硼素(硼素供与物質)や粉体状の珪素(珪素供与物質)と一緒に加熱処理して当該白金リングの表面と内部との硬度を測定し、白金リングの硬度アップ性について検証した。
(1)試料の作製
リング状を呈した焼鈍材である複数本の白金リングA(Pt1000(Pt純度99.95%),厚さ1.6mm,幅3.9mm)を準備した。
そのままの状態の白金リングAであって加熱処理を施さないものを「試料10(O材)」とした。
4本の白金リングAを粉体状の酸化硼素と一緒に非接触な状態で電気炉内に収容して800℃で5時間にわたって加熱処理し、その後に冷却した。これら白金リングAを「試料11a〜11d」とした。4本の白金リングAを粉体状の酸化硼素と一緒に非接触な状態で電気炉内に収容して1000℃で5時間にわたって加熱処理し、その後に冷却した。これら白金リングAを「試料12a〜12d」とした。4本の白金リングAを粉体状の酸化硼素と一緒に非接触な状態で電気炉内に収容して1100℃で5時間にわたって加熱処理し、その後に冷却した。これら白金リングAを「試料13a〜13d」とした。
4本の白金リングAを粉体状の酸化硼素,粉体状の珪素と一緒に非接触な状態で電気炉内に収容して1100℃で5時間にわたって加熱処理し、その後に冷却した。これら白金リングAを「試料14a〜14d」とした。
(2)硬度の測定
ビッカース硬度計を用いて試料10,11a〜11d,12a〜12d,13a〜13d,14a〜14dの表面と内部とのビッカース硬度(Hv)を測定した。内部の硬度の測定は各試料10,11a〜11d,12a〜12d,13a〜13d,14a〜14dを切断しておこなった。製造条件と併せて各試料10,11a〜11d,12a〜12d,13a〜13d,14a〜14dの測定結果を表1に示す。
表1中、硬度の欄の「内部1〜6」は6つの測定点を示すもので、「内部1」は表面から(厚さ方向に向けて)約0.20mmの深さの測定点を示し、「内部2〜6」は内部1の測定点から厚さ方向に向けて約0.25mm間隔で測定した測定点を示し、内部3と内部4との各測定点の間に厚さ方向の中心部が存在する
(表4,6,9も同様である)。
なお、表1に示す試料11a〜11d,12a〜12d,13a〜13d,14a〜14dの硬度は、各試料11a〜11d,12a〜12d,13a〜13d,14a〜14dごとの平均値である。
(3)まとめ
試料10と試料12a〜12d,13a〜13dとの比較から、加熱処理前のビッカース硬度(Hv)が50であったのに対し、酸化硼素との加熱処理後の硬度は90,130程度にまで上昇した。こうして得られた試料12a〜12d,13a〜13dは肌荒れも少なく、簡単なバレル加工・バフ研磨加工で鏡面が得られた。
試料11a〜11dと試料12a〜12d,13a〜13dとの比較から、加熱温度が1000℃以上であれば、酸化硼素から硼素が蒸気化して白金リングAの内部まで拡散浸透し、硬度が顕著に上昇すると判断することができた。
試料12a〜12dと試料13a〜13dとの測定結果から、表面と内部とで硬度の差が少なく、加熱温度が1000℃以上の範囲で100℃程度異なっても、硼素が均等に内部まで拡散浸透していると判断することができた。
試料13a〜13dと試料14a〜14dとの比較から、試料13a〜13dは表面から内部にかけて硬度の差が少ないのに対し、試料14a〜14dは表面の硬度が顕著に高く内部の硬度は表面より低くなっていた。そのため、試料14a〜14dの表面は珪素リッチな状態になっていると判断することができた。
以上から、白金リングの表面と内部とについて硬度を向上させるには、硼素供与物質と非接触な状態で加熱処理するのが有用であることがわかり、特に硼素供与物質と珪素供与物質との両方を非接触な状態で加熱処理すると表面の硬度が更に上昇することがわかった。
[実験2]
本実験2では、粉体状の酸化硼素,粉体状の珪素と一緒に加熱処理した白金リングの表面と内部との硬度を厚さ方向と幅方向とで測定するとともに、当該白金リングの元素分布を測定し、白金リングの硬度アップ性と元素分布特性とについて検証した。
(1)試料の作製
10本の白金リングAを粉体状の酸化硼素,粉体状の珪素と一緒に非接触な状態で電気炉内に収容して1350℃で3時間にわたって加熱処理し、その後に冷却した。これら白金リングAを「試料20a〜20j」とした。試料20a〜20jのその他の製造条件を表2に示す。
(2)硬度の測定
ビッカース硬度計を用いて試料20a〜20dの表面と内部とのビッカース硬度(Hv)を測定した。表面の硬度を表3に、厚さ方向の内部の硬度を表4に、幅方向の内部の硬度を表5にそれぞれ示す。表3に示す表面の硬度の測定では、各試料20a〜20dについて任意に2点を選択して、各点の硬度とそれら平均値とを算出した。
なお、表4,表5に示す試料20a〜20dの硬度は各試料20a〜20dの平均値である。
表5中、硬度の欄の「内部1〜15」は15個の測定点を示すもので、「内部1」は表面から(幅方向に向けて)約0.20mmの深さの測定点を示し、「内部2〜15」は内部1の測定点から幅方向に向けて約0.25mm間隔で測定した測定点を示し、そのなかでも「内部8」の測定点が幅方向の中心部に相当する。
(3)元素分布の測定
試料20aを切断してその切断面(表面〜内部)を電子線マイクロアナライザ(EPMA,Electron Probe Micro-Analysis)で面分析した。その分析結果を図1に示す。図1(a)は硼素の分布を示し、図1(b)は珪素の分布を示す。
(4)まとめ
表面の硬度アップ性については、加熱処理前のビッカース硬度(Hv)が50であったのに対し(実験1の試料10参照)、表3に示す通り、酸化硼素,珪素との加熱処理後の硬度は180程度にまで上昇した。内部の硬度アップ性については、表4,5に示す通り、中心部のビッカース硬度(Hv)が133程度と内部まで硬化しており、内部から表面に向かって硬度が高くなっていた。
他方、元素分布特性については、図1(a)に示す通りに硼素は内部全体にわたって均等に拡散浸透しており、図1(b)に示す通りに珪素は表面近傍で濃度が高いことがわかる。
[実験3]
本実験3では、実験1の白金リングを「白金合金」リングに代えて実験1と同様の操作をおこない、白金合金リングの硬度アップ性について検証した。
(1)試料の作製
白金リングAに代えて、複数の白金合金リングB(Pt900(Pt純度90%,Cu5%,Pd5%),厚さ1.6mm,幅3.9mm)と、複数の白金合金リングC(Pt950(Pt純度95%,Cu5%),厚さ1.6mm,幅3.9mm)とを、準備した。白金合金リングB,Cも白金リングAと同様にリング状を呈した焼鈍材である。
そのままの状態の白金合金リングBであって加熱処理を施さないものを「試料30(O材)」とした。
4本の白金合金リングBを粉体状の酸化硼素,粉体状の珪素と一緒に非接触な状態で電気炉内に収容して1100℃で5時間にわたって加熱処理し、その後に冷却した。これら白金合金リングBを「試料31a〜31d」とした。
そのままの状態の白金合金リングCであって加熱処理を施さないものを「試料32(O材)」とした。
4本の白金合金リングCを粉体状の酸化硼素,粉体状の珪素と一緒に非接触な状態で電気炉内に収容して1100℃で5時間にわたって加熱処理し、その後に冷却した。これら白金合金リングCを「試料33a〜33d」とした。
(2)硬度の測定
実験1と同様に、ビッカース硬度計を用いて試料30〜33の表面と内部とのビッカース硬度(Hv)を測定した。製造条件と併せて各試料30,31a〜31d,32,33a〜33dの測定結果を表6に示す。
なお、表6に示す試料31a〜31d,33a〜33dの硬度は各試料31a〜31d,33a〜33dの平均値である。
(3)まとめ
試料30と試料31a〜31dとの比較から、加熱処理前のビッカース硬度(Hv)が135であったのに対し、酸化硼素,珪素との加熱処理後の中心部(内部3,4の間)のビッカース硬度(Hv)は166程度にまで上昇しており、内部から表面に向かって硬度が高くなっていた。こうして得られた試料31a〜31dは肌荒れも少なく、簡単なバレル加工・バフ研磨加工で鏡面が得られた。
これと同様に、試料32と試料33a〜33dとの比較から、加熱処理前のビッカース硬度(Hv)が125であったのに対し、酸化硼素,珪素との加熱処理後の中心部(内部3,4の間)のビッカース硬度(Hv)は168程度にまで上昇し、内部から表面に向かって硬度が高くなっていた。こうして得られた試料33a〜33dも肌荒れが少なく、簡単なバレル加工・バフ研磨加工で鏡面が得られた。
以上から、白金リングに代えて白金合金リングを適用しても(素材を白金から白金合金に変更しても)、実験1と同様の効果を奏することがわかった。
[実験4]
本実験4では、特許文献1の実施例1(段落番号0031参照)に開示されている方法に従い、白金リング,白金合金リングを粉体状の炭化硼素等と一緒に接触した状態で加熱処理して当該白金リング,白金合金リングの表面と内部との硬度を測定し、従来品の硬度アップ性について検証した。
(1)試料の作製
始めに、複数本の白金リングAと白金合金リングCとを準備し、そのままの状態の白金リングAを「試料40」と、そのままの状態の白金合金リングCを「試料50」とした。
これとは別に他の試料を作製するため、始めにステンレス製のるつぼを755℃で1時間空焼きした。その後、当該るつぼ中に、炭化硼素,硼砂,塩化ナトリウム,塩化カリウムの混合粉体と、3本の白金リングA(21.93g/3本)と、1本の白金合金リングC(6.63g)とを入れて、当該混合粉体中に各白金リングAと白金合金リングCとを埋め込んだ。当該混合粉体中の組成比等を表7に示す。
その後、混合粉体を軽く押し固めてるつぼにステンレス製の蓋を被せ、当該るつぼを電気炉内に収容し、750℃で3時間にわたって加熱処理し、加熱が終了した後にるつぼから取り出して湯洗した。これら3本の白金リングを「試料41〜43」と、1本の白金合金リングを「試料51」とした。
(2)硬度の測定
実験1と同様に、ビッカース硬度計を用いて試料40〜43,50,51の表面と内部とのビッカース硬度(Hv)を測定した。各試料40〜43,50,51の表面の測定結果を表8に、内部の測定結果を表9にそれぞれ示す。
表8に示す表面の硬度の測定では、各試料40〜43,50,51について任意に3点又は4点を選択し、その各点の硬度とそれら平均値とを算出した。表9に示す内部の硬度の測定では、各試料40,43,50,51を測定対象とし、試料43,51については任意の2点の測定点(表8中の表面1,表面3に対応する測定点)に対応する点で内部の硬度を測定した。
(3)まとめ
試料40と試料43との比較から、表8に示す通り、加熱処理前の表面のビッカース硬度(Hv)が54程度であったのが加熱処理により100程度に上昇しているものの、表9に示す通り、内部(中心部)のビッカース硬度(Hv)は60程度から68程度と変動して加熱処理前と加熱処理後とで大差がなかった。
同様に、試料50と試料51との比較から、表8に示す通り、加熱処理前の表面のビッカース硬度(Hv)が125程度であったのが171程度に上昇しているものの、表9に示す通り、内部(中心部)のビッカース硬度(Hv)は127程度から135程度と変動して加熱処理前と加熱処理後とで大差がなかった。
以上から、特許文献1の実験1に開示されている方法は、内部の硬度を上昇させるのにそれほど有用でないことがわかる。
さらに、上記実験1に記載の硬化方法(試料14a〜14d参照)と本実験4に記載の従来の硬化方法(試料41〜43,51参照)とにおける4本のリング(白金リング)を硬化させるのにかかる試薬の代金について検討してみると、上記実験1に記載の硬化方法では必要とする試薬の種類,重量が少ないのに対し、実験4に記載の従来の硬化方法では試薬の種類が多く、装飾用物品を埋め込むために試薬の量も多く必要となる。そのため、上記実験1では試薬代が1.55円程度で済んだものが、実験4では1422円程度掛っている。当然に、硬化させる装飾用物品の数が増えれば増える程、実験1における試薬代金と実験4における試薬代金との差は多額となる。以上から、本発明に係る製造方法は経済性の面でも顕著に優れているといえる。
[実験5]
本実験5では、白金リングを圧縮試験に供して表面及び内部(中心部)のビッカース硬度(Hv)が120以上であれば、つぶれや変形に対して有効であるか否かを検証した。
具体的には、実験1の13a〜13dと同様に作製した試料13’と、実験1の試料14a〜14dと同様に作製した試料14’と、実験4と同様に作製した試料43’(試料43と類似した性質を有している。)とを試験対象として選択し、これら3つの試料13’,14’,43’を公知の圧縮試験機にセットして30Kgfに達するまで荷重を加えながら強度試験に供した。
その結果、試料13’は211.7N(21.6Kgf)の荷重で変形を開始し、試料14’は264.6N(27.0Kgf)で変形を開始し、試料43’は143.1N(14.6Kgf)の荷重で変形を開始した。すなわち、試料13’は試料43’より1.5倍程度の強度を有し、試料14’は試料43’より1.8倍程度の強度を有していた。30Kgfの荷重をかけ終えた後の各試料13’,14’,43’の様子を図2に示す。
以上から、表面及び内部(中心部)のビッカース硬度(Hv)が120以上であれば、つぶれや変形に対して有効であることがわかった。
試料20aのEPMA分析データ結果を示す図面である。 試料13’,14’,43’の圧縮試験結果を示す図面(実写図)である。

Claims (1)

  1. 所定の厚さを有しかつ白金又は白金合金からなる装飾用リングにおいて、
    硼素供与物質及び珪素供与物質が非接触なまま共存した状態で、前記硼素供与物質及び前記珪素供与物質とともに加熱処理され、前記硼素供与物質中の硼素が当該装飾用リングの表面から厚さ方向の中心部にわたり拡散浸透し、前記珪素供与物質中の珪素が当該装飾用リングの表面近傍に拡散浸透し、
    前記珪素供与物質中の珪素の濃度が当該装飾用リングの厚さ方向の中心部より表面で高く、
    加熱処理後の表面及び厚さ方向の中心部の各ビッカース硬度(Hv)がともに120以上であることを特徴とする装飾用リング
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