JP5236568B2 - 酸素酸イオン収着材、その製造方法およびイオン収着処理方法 - Google Patents
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Description
(1)アニオン収着性基が導入された基体重合体の水への親和性は必要であるが、水に溶解したり、大きく膨潤することは収着材構造の破壊をもたらしてアニオン収着効率の低下や流水経路の詰まりを起こすこともあるため、水への親和性が適切に制御されていること
(2)アニオン収着性基が密集しているほどアニオン収着能が高まることから、酸素酸イオン収着性基は密集させること
(3)アニオン収着性基の密集したアニオン収着部に、イオン溶液が迅速に拡散できる間隙を有さすようにすること
などである。
前記アニオン収着部は、支持基材における液透過性を妨げず、アニオン収着部の表面積が増すような形状であれば、膜状、棒状、アメーバ状など形は問わないが、例えば、10〜1000nmの幅あるいは直径を有するミクロゲル状であることが望ましい。
この酸素酸イオン収着性のカチオン性基としては、アミノ基、イミノ基、第3級アミノ基などのアミノ基、それらの塩酸などの無機酸や酢酸、シュウ酸などの有機酸とのアンモニウム塩の基、第4級アンモニウム基、ピリジン基、ピリジニウム基などのカチオン性基などが挙げられる。
(1)2個以上の反応性基を有するカチオン性化合物をそれと反応する2個以上の反応性基を有する反応性化合物を反応させてカチオン性基を有する高分子物を合成する方法
(2)1種または2種以上のカチオン性基を有する単量体を(共)重合体させてカチオン性基を有する高分子物を合成する方法
(3)反応性高分子物にカチオン性を有する反応性化合物を反応させてカチオン性基を有する高分子物を合成する方法
が挙げられ、さらに、カチオン性基を無機酸や有機酸の塩にすることによって酸素酸イオン収着効率の向上や液のpHの変動を抑えることができることから、
(4)上記(1)〜(3)で得られたカチオン性基を有する高分子物の1級〜3級アミノ基あるいはピリジン基を酸で中和したアンモニウム塩の基、ピリジニウム塩の基を有する高分子物にする方法
も好ましい方法である。
(1)の合成方法は、縮合反応による上記カチオン性高分子の合成反応であり、それに使用される一方の成分である2個以上の反応性基を有するカチオン性化合物としては、
(イ)アルキル(C1〜C6)アミン、ジアルキル(C1〜C6)アミン、(ジまたはトリ−)アルキレン(C2〜C4)(トリまたはテトラ−)アミン、(モノまたはジ−)アルキル(C1〜C4)(ジまたはトリ−)アルキレン(C2〜C4)(トリまたはテトラ−)アミンなどの低分子アミン類
(ロ)アリルアミン、ジアリルアミン、ジアリルメチルアミン、ジアリルジメチルアミン、ビニルアミン、ビニルメチルアミンからなるカチオン性基を有する単量体の(共)重合体、ポリエチレンイミンなどの重合体アミン類
(ハ)ポリオルニチン、ポリリジンなどのポリアミノ酸類
など、従来公知の分子量が凡そ500〜10万の低分子アミノ化合物から高分子アミノ化合物が挙げられる。
具体的には、ポリエポキシ化合物としては、エピハロヒドリン;アルキレングリコール(C2〜C6)、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスルトール、ジペンタエリスルトール、ソルビトールなどの多価アルコール類のポリグリシジルエーテル;ポリアルキレングリコール(C2〜C3)ポリグリシジルエーテル;フェノール、クレゾール、ビスフェノール類、フェノールノボラック類、クレゾールノボラックなどのフェノール類のポリグリシジルエーテル;アジピン酸、フタール酸などのポリカルボン酸ポリグリシジルエステル;アリルグリシジルエーテル(共)重合体などが挙げられる。ポリメチロール化合物としては、ポリメチロールメラミン、ポリアルコキシ(C1〜C4)メラミンなど、ポリイソシアネート化合物としては、トリメチロールプロパン−イソホロンジイソシアネートアダクト、トリメチロールプロパン−ヘキサメチレンジイソシアネートアダクトなど、のポリカルボン酸無水物としては、ブタンテトラカルボン酸ジアンハイドライド、ピロメリット酸ジアンハイドライドなど、ポリアルデヒド化合物としては、ホルムアルデヒド、グリオキザールなど、ポリカルボジイミド化合物としては、ソルビトールポリカルボジイミドなどのポリカルボジイミド化合物などが挙げられる。
また、熱硬化成樹脂の初期縮合物あるいはプレポリマーも使用される。例えば、公知のエポキシ基を有するポリグリシジル化ポリフェノール縮合物、ポリグリシジル化ポリアルコール縮合物、ポリグリシジル化ポリアミン縮合物などのエポキシ系樹脂初期縮合物、メチロール基やアルコキシメチル基を有するメラミン系樹脂初期縮合物、イソシアネート基を有するウレタン系樹脂などである。
さらに、上記の重合反応において、3次元網目構造を構築するために、上記(2)で挙げた多官能性単量体を用いて共重合体とすることで、アニオン収着部内部での化学的な架橋密度を増大させることができる。
支持基材に水が透過するための空隙が存在することにより、この支持基材に固定された前述のアニオン収着部にイオンが迅速に接近できる。このような支持基材に用いることのできる材料としては、特に限定するわけではないが、具体的には、例えば、各種木材系セルロースパルプ、木綿繊維、麻繊維などの天然繊維系素材からなる単繊維(フィブリル)、わた、糸、織布、不織布など;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ビニロン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、カーボン繊維などの合成繊維系素材からなるフィブリル、わた、糸、織布、不織布など;ポリエチレン、ポリプロピレン、ABS、ナイロン、ポリブチレンテレフタレートなどの合成樹脂系素材からなるフィルム、成形体、連続多孔質(開放孔)体、粒状体、粉状体など;シリカ、タルク、炭酸カルシウム、セメント、コンクリートなどの無機材料からなる連続多孔質体、粒状体、粉状体など;鉄材、アルミ材などの金属質素材からなるフィルム、連続多孔質体、粒状体、粉状体など多様な材料から、目的に応じて多様な形態を選ぶことができる。ワタ状のものや不織布状などの形態が特に好ましい。支持基材に存在する前記した空隙は、例えば、前記ワタ状の集合体の単位である繊維と繊維の間の空隙や、前記多孔体における細孔などのことである。
以上に説明したような構造を有する酸素酸イオン収着材において、支持基材とアニオン収着部の割合(アニオン収着部/支持基材)は、例えば、体積比基準で、0.05/1〜3/1の範囲であることが望ましい。前記範囲よりもアニオン収着部が少ないとアニオン収着容量が小さくなり、大きすぎるとアニオン収着部へのイオン拡散が小さくなり、また支持基材の目詰まりを引き起こすおそれがある。
酸素酸イオンを含む処理原水の脱イオン処理方法としては、従来公知の処理方法に準ずるものであるが、好ましい処理方法を挙げる。
(1)酸素酸イオン収着材を水処理装置中に充填し、上部から流入させ充填物中を流下し下部から流出させる処理方法
(2)酸素酸イオン収着材や酸素酸イオン収着材組成物を水処理装置中に充填し、下部から注入して充填物中を上昇し、上部からオーバーフローさせる処理方法
などが挙げられる。
具体的には、前記したようにメッキ産業などから出る工場廃液や生活、畜産、水産、農業、流通などの分野で排出される排水中に含まれる各種の廃液に含有される各種イオン中に含まれる酸素酸イオンであり、例えば、硼酸イオン、メタホウ酸イオン、燐酸イオン、亜燐酸イオン、ピロ燐酸イオン、砒酸イオン、亜ヒ酸イオン、硫酸イオン、亜硫酸イオン、セレン酸イオン、亜セレン酸イオン、塩素酸イオン、臭素酸イオン、ヨウ素酸イオンなどからなる非金属元素の酸素酸イオンおよびウラン酸イオン、チタン酸イオン、スズ酸イオン、バナジン酸イオン、メタバナジン酸イオン、クロム酸イオン、二クロム酸イオン、モリブデン酸イオン、タングステン酸イオン、マンガン酸イオン、過マンガン酸イオンなどからなる金属元素の酸素酸イオンが挙げられる。上記酸素酸イオン中で、特に、燐酸イオン、クロム酸イオン、硼酸イオン、砒酸イオンなどの収着に好適である。
本発明にかかる酸素酸イオン収着材の酸素酸イオン収着性は、用いる酸素酸イオン収着性基や収着するイオンの種類によっては、pH依存性を示す場合がある。例えば、酸素酸イオン収着性基としてアミノ基が導入された酸素酸イオン収着材を用いてリン酸や6価クロム酸などの酸素酸イオンを収着する場合、pH2〜8、より好ましくはpH3〜8で優れた収着性を示す。そして、収着後に再びイオンを回収したい場合や酸素酸イオン収着材を再生したい場合には、前記pH範囲から外れるように、使用後の酸素酸イオン収着材を酸やアルカリで洗浄することにより、前記使用後の酸素酸イオン収着材から収着されたイオンを容易に溶離することもできるのである。
従来のリン酸排水の処理方法は、例えば、排水のpHを調整したのちに凝集剤を加えてフロックを形成させ、さらにpH調整したのちに凝集剤を加えて沈殿を生ぜしめ、最後に固液分離により沈殿物を除去するというプロセスを採用しており、処理が多工程に亘り、非常に煩雑で大規模な装置を必要とする。これに対して、本発明の処理方法は、リン酸排水を貯蔵した排水槽中の排水を、本発明の酸素酸イオン収着材を充填したイオン捕集槽へと導入し、通過後のイオンの除去された溶液をそのまま放流することができる。
両方法を対比すれば明らかなように、本発明にかかる酸素酸イオン収着材を用いれば、処理が簡素化でき、装置も小規模とすることができる。さらに、本発明にかかる酸素酸イオン収着材を用いた方法ではリン酸イオンは荷電により酸素酸イオン収着材に収着されているため、化学的洗浄により簡易に収着材を再生し、かつ、リン酸を回収することができる点において、経済的・環境的にも、イオンを凝集沈殿させて分離除去する従来法にはない利点を有するものである。
[実施例1]
横型のシグマ型攪拌ブレードと蒸気加熱ジャケットを装備したニーダー中に充分に叩解した含水した針葉樹セルロースパルプを純分で10部を仕込み、そこへポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(エポキシ当量:185)0.75部を水50部で希釈したエポキシ化合物水溶液を添加し、充分に含浸させた。そこへポリアリルアミン(重量平均分子量:15000、アミン当量57.1)15%水溶液10部を添加し、ゆっくり攪拌して混合し、パルプに充分に含浸させた。ニーダー中の温度を70℃に昇温して3時間攪拌し、ポリアリルアミンのジエポキシ化合物による網状化反応を行った。ついで常温に冷却し、10%塩酸水溶液を添加してpHを6に調整し、アミノ基を中和し、塩酸塩とした。生成物をニーダーから取り出し、水で十分に洗浄し水溶性の反応物および未反応物を除去し、セルロースパルプを支持体とする架橋ポリアリルアミン塩酸塩の加工処理物を得た。以下、「酸素酸イオン収着材−1」と称する。pHを指標とする酸/アルカリ中和滴定で測定した結果、酸素酸イオン収着性基が3.50×10-3mol/gの割合で含まれていることが分かった。
予め、ポリアリルアミン(重量平均分子量:3000)20%水溶液4.65部にポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(エポキシ当量:551)0.34部を徐々に添加し、均一に混合し、部分的に反応させたプレポリマーを調製した。(以下、「ポリアミン−エポキシ混合水溶液−1」と称する。)実施例1と同様にしてニーダー中に充分に叩解した含水した針葉樹セルロースパルプを純分で10部を仕込み、そこへ上記で使用したポリエチレングリコールジグリシジルエーテル1.00部を水50部で希釈したエポキシ化合物水溶液を添加し、充分に含浸させた。そこへ上記で得たポリアミン−エポキシ混合水溶液−1を添加し、ゆっくり攪拌して混合し、充分に含浸させた。さらにニーダー中の温度を70℃に昇温して3時間攪拌し、ポリアリルアミンのジエポキシ化合物による網状化反応を行った。ついで常温に冷却し、10%塩酸水溶液を添加してpHを6に調整し、未中和のアミノ基をほぼ中和し、塩酸塩とした。生成物をニーダーから取り出し、水で十分に洗浄し水溶性の反応物および未反応物を除去し、セルロースパルプを支持体とする架橋したポリアリルアミン塩酸塩の加工処理物を得た。以下、「酸素酸イオン収着材−2」と称する。pHを指標とする酸/アルカリ中和滴定で測定した結果、酸素酸イオン収着性基が3.00×10-3mol/gの割合で含まれていることが分かった。
ポリアリルアミン(重量平均分子量:3000)20%水溶液150g(0.525g当量)に10%塩酸水溶液95.9g(0.263モル)を添加して部分中和させた。そこへエチレングリコールジグリシジルエーテル(エポキシ当量:132)20%水溶液69.4g(0.105g当量)を添加し、均一に混合した。(以下、「ポリアミン−エポキシ混合水溶液−2」と称する。)ニーダー中に充分に叩解した含水した針葉樹セルロースパルプを純分で200gを仕込み、そこに上記で得たポリアミン−エポキシ混合水溶液−2を添加し、ゆっくり攪拌して混合し、充分に含浸させた。ニーダー中の温度を70℃に昇温して3時間攪拌し、ポリアリルアミンのジエポキシ化合物による網状化反応を行った。ついで常温に冷却し、10%塩酸水溶液を添加してpHを6に調整し、未中和のアミノ基をほぼ中和し、塩酸塩とした。生成物をニーダーから取り出し、水で十分に洗浄し水溶性の反応物および未反応物を除去し、セルロースパルプを支持体とする架橋したポリアリルアミン塩酸塩の加工処理物を得た。以下、「酸素酸イオン収着材−3」と称する。pHを指標とする酸/アルカリ中和滴定で測定した結果、酸素酸イオン収着性基が0.80×10-3mol/gの割合で含まれていることが分かった。
ニーダー中に充分に叩解した含水した針葉樹セルロースパルプを純分で10部を仕込み、そこへヘキサメトキシメチルメラミン50%メタノール溶液1.5部を水50部で希釈したメチロールメラミン化合物水溶液を添加し、充分に含浸させた。そこへポリアリルアミン(重量平均分子量:15000)15%水溶液10部を添加し、ゆっくり攪拌して混合し、パルプに充分に含浸させた。反応液を含浸したパルプを取り出し、送風乾燥機中で90℃にて乾燥し、ついで180℃にて30分間加熱してポリアリルアミンのメチロール化合物による網状化反応を行った。ついで常温に冷却した。処理パルプを水中に添加し、解砕し、10%塩酸水溶液を添加してpHを6に調整し、アミノ基を中和し、塩酸塩とした。アミン処理したパルプをろ過し、水で十分に洗浄し、水溶性の反応物および未反応物を除去し、セルロースパルプを支持体とする架橋ポリアリルアミン塩酸塩の加工処理物を得た。以下、「酸素酸イオン収着材−4」と称する。pHを指標とする酸/アルカリ中和滴定で測定した結果、酸素酸イオン収着性基が0.70×10-3mol/gの割合で含まれていることが分かった。
ポリプロピレン繊維からなる多孔質な不織布50部に、ポリアリルアミン(重量平均分子量:15000)15%水溶液18.93部(0.0497g当量)を含浸させた。ついでポリグリセロールポリグリシジルエーテル(グリセロールの平均重合度:約3、エポキシ当量:183)10%水溶液12.13部(0.0066g当量)を添加し、10分間保ち、充分含浸させた。ついで熱風乾燥機中で、80℃で予備乾燥した後、120℃で30分間加熱処理を行い、ポリアリルアミンの網状化反応を行った。
ついで1%塩酸水溶液中に浸漬してアミノ基を中和し、塩酸塩とした。水で十分に洗浄して、水溶性の反応物および未反応物を除去し、ポリプロピレン繊維の不織布を支持体とする架橋したポリアリルアミン塩酸塩の加工処理物を得た。以下、「酸素酸イオン収着材−5」と称する。pHを指標とする酸/アルカリ中和滴定で測定した結果、酸素酸イオン収着性基が0.70×10-3mol/gの割合で含まれていることが分かった。
(シリカ:500g、PAA30g+EGG13.88=43.88g)
粉体混合機中に合成非晶質シリカ(平均粒径:230μm、吸油量:2ml/g)500gを仕込み、攪拌しながら実施例3で使用したポリアミン−エポキシ混合水溶液−1を219.4gを滴下し、混合して吸収させた。60℃にて2時間混合を続け、シリカ表面にポリアリルアミンの網状化反応を行った。ついで1%塩酸水溶液中に浸漬してアミノ基を中和し、塩酸塩とした。水で十分に洗浄して、水溶性の反応物および未反応物を除去し、シリカ粉末を支持体とする架橋したポリアリルアミン塩酸塩の加工処理物を得た。以下、「酸素酸イオン収着材−6」と称する。pHを指標とする酸/アルカリ中和滴定で測定した結果、酸素酸イオン収着性基が0.60×10-3mol/gの割合で含まれていることが分かった。
実施例1で得られた酸素酸イオン収着材−1の0.02g(モル)を、F-、Cl-、NO2 -、Br-、NO3 -、PO4 3-、SO4 2-をそれぞれ10ppm含む混合イオン水溶液1L(pH6.8)に加えて、20分間撹拌したのち、各イオンの濃度を測定した。
その結果、PO4 3-は5.8ppm、SO4 2-は6.5ppmに減少し、他のイオンは初期濃度(10ppm)のままであった。さらに、酸素酸イオン収着材に収着された上記PO4 3-、SO4 2-は、0.01M水酸化ナトリウム水溶液を酸素酸イオン収着材に流すことで、ほぼ100%溶離させることができた。以下のアニオン収着試験でも同様に溶離回収が可能である。
酸素酸イオン収着材−1の0.02gを直径15mmのカラムに詰めて、pH6.8の条件で、100ppmリン酸水溶液を1ml/minの速度で流した。カラム中の酸素酸イオン収着材がPO4 3-を収着し、カラムを通じて流れた水溶液中にPO4 3-はしばらく検出されなかった。そして、800秒後に初めてPO4 3-が検出された。この結果から、酸素酸イオン収着材−1のリン酸イオン捕集量は、酸素酸イオン収着材1g当たり66.5mgであることが分かった。
pHを様々に変えたこと以外はアニオン収着試験2と同様の条件で、酸素酸イオン収着材−1を充填したカラムにリン酸水溶液を流し、カラム通過後の溶液中のPO4 3-濃度を測定し、その収着率を算出したところ、pH3〜8で優れた収着能を示すことが分かった。pH3以下では収着能は失われPO4 3-を溶離する。
酸素酸イオン収着材−1の0.01gを直径15mmのカラムに詰めて、濃度10ppmのCrO4 2-含有水溶液(pH6)を1ml/minの流速で流し、カラム通過後の溶液中のCrO4 2-濃度を測定したところ、0.02ppmに減少した。
酸素酸イオン収着材−1の0.2gを濃度10ppmの砒素溶液(pH6.5)中に浸漬し、2時間撹拌した。5分で89%、30分で95%除去できたことが分かる。
上記の実施例7〜11のアニオン収着試験については、それぞれの実施例において使用した酸素酸イオン収着材−1に代えて実施例2〜3で得られた酸素酸イオン収着材−2〜−3を使用しても同様の結果が得られた。また、酸素酸イオン収着材−1に代えて参考例4〜6で得られた酸素酸イオン収着材−4〜−6を使用しても同様の結果が得られた。
Claims (11)
- 水処理用の酸素酸イオン収着材であって、
第1級アミノ基、第2級アミノ基および第3級アミノ基、並びにこれらのアミノ基の酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を有する重合体が、3次元網目構造を形成しているアニオン収着部と、前記アニオン収着部を固定支持する、セルロースパルプからなる支持基材と、を備え、
前記アニオン収着部は、アリルアミン、ジアリルアミン、ジアリルメチルアミン、ジアリルジメチルアミン、ビニルアミンおよびビニルメチルアミンからなる群より選択される少なくとも1種の単量体を重合させてなる重合体アミンが、ポリエポキシ化合物で架橋された構造であることを特徴とする酸素酸イオン収着材。 - 前記重合体アミンが、ポリアリルアミンである請求項1に記載の酸素酸イオン収着材。
- 前記ポリエポキシ化合物が、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルおよびエチレングリコールジグリシジルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種のポリグリシジルエーテルである請求項1または2に記載の酸素酸イオン収着材。
- 前記官能基が、前記アミノ基の酸塩である請求項1〜3のいずれか1項に記載の酸素酸イオン収着材。
- 前記酸素酸イオンが、燐酸イオン、硫酸イオン、クロム酸イオンおよび砒酸イオンからなる群より選択される少なくとも1種の酸素酸イオンである請求項1〜4のいずれか1項に記載の酸素酸イオン収着材。
- 第1級アミノ基、第2級アミノ基および第3級アミノ基、並びにこれらのアミノ基の酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を有する重合体が、3次元網目構造を形成しているアニオン収着部と、前記アニオン収着部を固定支持する、セルロースパルプからなる支持基材と、を備えた水処理用の酸素酸イオン収着材の製造方法であって、
アリルアミン、ジアリルアミン、ジアリルメチルアミン、ジアリルジメチルアミン、ビニルアミンおよびビニルメチルアミンからなる群より選択される少なくとも1種の単量体を重合させてなる重合体アミンを、ポリエポキシ化合物で架橋することにより、前記アニオン収着部を形成することを特徴とする酸素酸イオン収着材の製造方法。 - 前記重合体アミンを前記ポリエポキシ化合物により架橋して、第1級アミノ基、第2級アミノ基および第3級アミノ基からなる群より選択される少なくとも1種のアミノ基を有する重合体の3次元網目構造を形成し、
更に前記アミノ基を酸で中和して前記アミノ基の酸塩を形成する請求項6に記載の酸素酸イオン収着材の製造方法。 - 前記アミン重合体が、ポリアリルアミンであり、前記ポリエポキシ化合物が、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルおよびエチレングリコールジグリシジルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種のポリグリシジルエーテルである請求項6または7に記載の酸素酸イオン収着材の製造方法。
- 酸素酸イオンを含む原水のイオン収着処理方法であって、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の酸素酸イオン収着材に、前記酸素酸イオンを含む原水を接触させて、前記原水に含まれる前記酸素酸イオンを、前記酸素酸イオン収着材に収着させることを特徴とするイオン収着処理方法。 - 水処理装置中の原水に、前記酸素酸イオン収着材を加えて撹拌するか、或いは水処理装置中に充填された前記酸素酸イオン収着材に前記原水を接触させる請求項9に記載のイオン収着処理方法。
- 前記酸素酸イオン収着材が充填された水処理装置の上部から前記原水を流入させ、前記水処理装置中を流下させ、前記水処理装置の下部から流出させるか、或いは前記水処理装置の下部から前記原水を注入して、前記水処理装置中を上昇させ、前記水処理装置の上部からオーバーフローさせる請求項10に記載のイオン収着処理方法。
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