JP5236519B2 - 糸条巻取機、及び糸条巻取方法 - Google Patents

糸条巻取機、及び糸条巻取方法 Download PDF

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Description

本発明は、糸条巻取機、及び糸条巻取方法に関する。
トラバース装置で綾振られた糸条をコンタクトローラを介して巻取ボビン上に巻き取ってパッケージを形成する際にいわゆるバルジを防止する技術として、特許文献1では、巻き始めの初期段階において綾角を増加させ、この初期段階の糸層のしまりを緩和することとしている。この特許文献1には、更に、リボンを回避することを目的として、ワインド数が1を下回らないように、徐々に綾角を下げながら巻き終わりに至る旨が記載されている。
特開平9−71367号公報
しかし、上記特許文献1の技術によれば、比較的程度の小さいバルジが発生するような場合では問題なくそのバルジを抑制することができるが、比較的程度の大きいバルジが発生するような場合では、そのバルジを抑制しようとするとどうしてもリボンが発生してしまう。以下、各用語の意味を説明した上で、上記の問題点を更に詳しく説明する。
バルジとは、糸条の巻き付けの積み重ねによってパッケージ端面の中程が膨出する現象である。
リボンとは、糸条がパッケージの周面の同一ルート上で重なるように巻き取られる現象である。このリボンが発生すると、パッケージ端面の綾落ちを引き起こしたり、コンタクトローラの振動を誘発したり、後工程におけるパッケージの解舒不良を招いたり、といった種々の不具合を生じさせる。なお、上記の解舒不良について言えば、特に弾性糸の場合、糸条がパッケージの円接線方向に引っ張られるので上記の解舒不良が特に発生し易く、また、この解舒不良は解舒時の糸切れを招く虞がある。
ワインド数Nとは、上記リボンの発生を予測するための数値である。図3は、ワインド数の定義を説明するための図である。図3に示される長方形90はパッケージの周面の展開面を示し、この展開面上に糸条の巻き付き位置が符号a〜dで示される。ここで、符号Dはパッケージの巻取径、符号Sはストローク、符号WAは綾角であり、πDtanWAは糸条がパッケージの周面上を周方向に1周する間にパッケージの軸方向に進む距離である。図3の例では、糸条の最初の巻き付き位置を符号aで示すと、2周目の巻き付き位置は符号bとなって展開面の右上コーナーに至って反転し、以降、巻き付き位置は破線で示す符号c及び符号dとなる。糸条が図3のような巻き付き位置で巻き取られる場合、糸条はパッケージの周面の同一ルート上で重なるように巻き取られ、即ちリボンが発生する。このリボンの発生を解析するために、ダブルストローク2×Sの間で糸条が何回折り返すかを表す下記式(1)のワインド数Nを用いる。下記式(1)によれば、図3の場合、ワインド数Nは4となる。このようにワインド数Nが整数値となり、なおかつ、特にN=1の場合、糸条同士の局所的な重なりの程度は顕著に大きくなる。このN=1のときのワインド数Nは一般に危険ワインド数Ndと呼ばれており、従って、リボンの発生を防止するには、ワインド数Nが危険ワインド数Ndを避けるようにするのが一般的とされる。
Figure 0005236519
各用語の説明は以上であり、以下、図1及び図2を参照しつつ、本願の課題を改めて説明する。図1は、綾角の増減でバルジを抑制する技術を説明するための図である。図2は、綾角の増減でバルジを抑制しようとした場合に新たに生じる問題点を説明するための図である。各図において、横軸はパッケージの巻取径を示し、縦軸は綾角を示す。
図1(a)にはバルジ対策のない巻き取りが示され、図1(b)には特許文献1に開示のバルジ対策がなされた巻き取りが示される。図中、「N=Nd」で示される二点鎖線は、ワインド数Nが危険ワインド数Ndと一致してしまう条件を図示する。図1(a)の(a1)に示されるように、パッケージの巻取径D(以下、単に巻取径Dとも称する。)の如何に拘わらず一定の綾角WAで巻き取ると、図1(a)の(a2)に示されるように、糸条の巻き付けの積み重ねによってパッケージ端面の中程が膨出し、即ちバルジが発生してしまう。そこで、特許文献1では、図1(b)の(b1)に示されるように、巻き始めの初期段階(巻取径Dが小)では綾角WAを増加させ、この初期段階の糸層の密度を段階的に低くすることとしている。また、巻き終わりの後期段階(巻取径Dが大)では、綾角WAの線がリボンの発生条件を示す二点鎖線を跨がないよう、綾角WAを減少させることとしている。このような巻き取りによれば、図1(b)の(b2)に示されるように、糸条の巻き付けの積み重ねによる糸層の密度の上昇と、綾角WAの増加に伴う糸層の密度の低下とが相殺されて、バルジが抑制されたパッケージが形成されることとなる。
しかし、例えば弾性糸などの糸種の巻き取りでは、巻き締め力が大きいので、図1(a)の(a2)に示されるバルジよりも一層顕著なバルジが発生する。そして、この顕著なバルジをも上記特許文献1の技術で抑制しようとすると、どうしても、図2(c)の(c1)に示されるように、綾角WAを一層大きくしなければならず、この結果、綾角WAの線がリボンの発生条件を示す二点鎖線を跨いでしまって上述したリボンが発生し、図中符号Xで示す交点に対応する巻取径Dのとき、図2(c)の(c2)に示されるようにパッケージ端面で綾落ちが発生したり、上述した解舒不良などの問題が発生してしまう。このように、上記特許文献1の技術では、バルジは抑制できても、糸種によってはリボンの発生を免れない場合がある。
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、バルジを抑制しつつも、糸種の種別に拘わらずリボンの発生を防止する技術を提供することにある。
課題を解決するための手段及び効果
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、本願発明者らは、バルジを抑制する技術を抜本的に見直すべく鋭意研究した結果、例えば図2(d)の(d1)において符号FLで示すように、パッケージ形成中にいわゆるフリーレングスを増減させることに着目した。
ここで、フリーレングスとバルジ抑制効果との関係について説明する。図4は、フリーレングスとトラバース遅れとの関係を示す図である。図4に示されるフリーレングスFL(FL1、FL2)は、トラバース装置のトラバースガイドと係合している糸条がトラバースガイドから解放されて、コンタクトローラの周面に接するまでの糸条の自由長のことである。このフリーレングスFLは、図示の通りトラバースガイドをコンタクトローラに対して離間ないし接近させることで増減させることができる。そして、このフリーレングスFLをFL1からFL2へと増加させると、ボビンの軸方向に直角な直線と、巻き付けられる糸条の走行方向とが成す角度、即ち綾角WAが一定(WA=WA1)であれば、トラバースガイドの軸方向位置と、糸条が実際にパッケージの周面上に受け継がれる軸方向位置との差であるトラバース遅れEはE1からE2へと大きくなる。一方、フリーレングスFLをFL2からFL1へと減少させると、同様に綾角WAが一定であれば、トラバース遅れEはE2からE1へと小さくなる。
これを図4を用いて具体的に説明すると、先ず、綾角WAをWA1とし、フリーレングスFLをFL1とした場合、糸条は軸方向位置N1でコンタクトローラに受け継がれる。このときのトラバース遅れEはE1となる。つまり、糸条は、トラバースガイドがトラバース範囲の端部に達したとしても、実際には、トラバース遅れE1分だけ軸方向中央寄りの位置でパッケージに巻かれる。同様に、綾角WAはそのままWA1とし、フリーレングスFLをFL2とすると、上記のトラバース遅れEはE2となる。従って、フリーレングスFLをFL1からFL2へと増加させると、パッケージの端面は、図中の符号ΔE(=E2−E1)分だけ軸方向中央寄りの位置に形成されることとなる。一方、フリーレングスFLをF2からFL1へと減少させると、同様に、パッケージの端面は、ΔE分だけ軸方向端部寄りの位置に形成されることとなる。即ち、端的に言えば、フリーレングスFLを増加させるとパッケージの巻き幅が減少し、逆に、フリーレングスFLを減少させるとパッケージの巻き幅が増加することとなる。
そして、本願発明は、このフリーレングスFLと、パッケージの巻き幅と、の技術的な連動関係を取り入れることで、図5に示すようにバルジを抑制しようとするものである。図5は、フリーレングスを利用してバルジを抑制する理屈を説明するための図である。図5(a)はフリーレングスを一定とした場合の巻き取りを示し、図5(b)はフリーレングスをFL1→FL2→FL1(ただし、FL1<FL2)と変化させた場合の巻き取りを示す。即ち、上記特許文献1に開示の技術(綾角WAの増減)を取り入れることなくフリーレングスFLを一定で巻き取りを実施した場合、仮に糸条の巻き付けの積み重ねによる巻き締め力がないものとすると図5(a)の左図のように巻き始めから巻き終わりにかけて巻き幅は一定となり、そして実際には、糸条の巻き付けの積み重ねによる巻き締め力によって図5(a)の右図のようにパッケージ端面の中程が膨出し、即ちバルジが発生する。これに対し、フリーレングスFLをFL1→FL2→FL1と変化させた場合、仮に糸条の巻き付けの積み重ねによる巻き締め力がないものとすると図5(b)の左図のように巻き始めから巻き幅が徐々に小さくなり、やがてフリーレングスFLがFL2となると巻き幅は巻き始め当初の巻き幅よりもΔE×2分だけ小さくなり、その後、巻き終わりにかけて巻き幅が徐々に大きくなり、やがてフリーレングスFLが元のFL1となると巻き幅は巻き始め当初の巻き幅に一致する。端的に言えば、パッケージ断面形状が鼓形状となる。従って、実際には、糸条の巻き付けの積み重ねによる巻き締め力によって図5(b)の右図のようにパッケージ端面の中程の凹みが消失し、即ちパッケージ端面が平坦なものとなる。
上記の技術を端的に言えば、糸条の巻き付けの積み重ねによる巻き締め力に起因するバルジを、パッケージ断面形状が鼓形状となるように巻き幅を増減させることで相殺しようとするものである。換言すれば、バルジを、フリーレングスFLの増減で抑制しようとするものである。
上記の技術の着目すべきは、フリーレングスFLを増減することはワインド数Nの望まない変化を招かないことである。ここに、上記技術の、上記特許文献1に対する優位性が認められる。
本願発明の技術的な趣旨は上述した通りであり、次に、前述した課題を解決するための手段とその効果を説明する。
本願発明の第一の観点によれば、パッケージを形成する糸条巻取機は、以下のように構成される。即ち、糸条巻取機は、パッケージ形成中に前記パッケージに接触するコンタクトローラと、前記コンタクトローラに対して糸条の走行方向の上流側に配置されるトラバース装置と、前記パッケージ形成中に、前記コンタクトローラと前記トラバース装置との間にある前記糸条のフリーレングスを変更可能なフリーレングス変更手段と、前記パッケージの巻き始めでは前記フリーレングスを増加させ、その後、巻き終わりにかけて前記フリーレングスを減少させるように前記フリーレングス変更手段を制御する制御手段と、を備える。以上の構成によれば、バルジを抑制できる。また、前記フリーレングスの増減はワインド数の変化を招くことがないので、バルジを抑制しつつ、危険ワインド数を回避した巻き取りが容易に実現できる。なお、危険ワインド数を回避できると、パッケージ端面の綾落ちを引き起こしたり、コンタクトローラの振動を誘発したり、後工程におけるパッケージの解舒不良を招いたり、といった種々の不具合を回避できる。
なお、図2(d)の(d1)において破線で示すように、綾角は一定である場合や、フリーレングスと同様に増減させる場合などが考えられる。
上記の糸条巻取機は、更に、以下のように構成される。即ち、糸条巻取機は、綾角を変更可能な綾角変更手段を更に備える。前記制御手段は、前記パッケージの巻き始めでは前記綾角を増加させ、その後、巻き終わりにかけて前記綾角を減少させるように前記綾角変更手段を制御する。このようにバルジを抑制するに際し、前記フリーレングスの増減と前記綾角の増減とを併用すると、バルジを抑制するためのフリーレングスの増減幅を小さくすることができ、もって、前記フリーレングス変更手段をコンパクトに構成することができる。
本願発明の第二の観点によれば、パッケージ形成中にパッケージに接触するコンタクトローラと、前記コンタクトローラに対して糸条の走行方向の上流側に配置されるトラバース装置と、を用いてパッケージを形成する糸条巻取は、以下のような方法で行われる。即ち、前記コンタクトローラと前記トラバース装置との間にある前記糸条のフリーレングスを、前記パッケージの巻き始めでは増加させ、その後、巻き終わりにかけて減少させる。以上の構成によれば、バルジを抑制できる。また、前記フリーレングスの増減はワインド数の変化を招くことがないので、バルジを抑制しつつ、危険ワインド数を回避した巻き取りが容易に実現できる。なお、危険ワインド数を回避できると、パッケージ端面の綾落ちを引き起こしたり、コンタクトローラの振動を誘発したり、後工程におけるパッケージの解舒不良を招いたり、といった種々の不具合を回避できる。
上記の糸条巻取は、更に以下のような方法で行われる。即ち、綾角を、前記パッケージの巻き始めでは増加させ、その後、巻き終わりにかけて減少させる。このようにバルジを抑制するに際し、前記フリーレングスの増減と前記綾角の増減とを併用すると、バルジを抑制するためのフリーレングスの増減幅を小さくすることができる。
また、前記糸条が弾性糸の場合は、巻き締め力が大きいので前述したように顕著なバルジが発生する。この顕著なバルジを、綾角の増減のみで対処しようとするとリボンを免れないが、フリーレングスの増減によって対処すればリボンを回避することができる。このように、フリーレングスを増減することでバルジを抑制する技術は、前記糸条が弾性糸の場合、特に有益である。
綾角の増減でバルジを抑制する技術を説明するための図 綾角の増減でバルジを抑制しようとした場合に新たに生じる問題点を説明するための図 ワインド数の定義を説明するための図 フリーレングスとトラバース遅れとの関係を示す図 フリーレングスを利用してバルジを抑制する理屈を説明するための図 本願発明の第一実施形態に係るワインダーの正面図 ワインダーのシステム図 パッケージの巻取径に基づいたフリーレングスの制御の内容を示すグラフ 制御プログラムのフロー図 ワインダーの作動図 パッケージの巻き取りの時間とスライドボックスの高さ位置との関係を示すグラフ 本願発明の技術的効果を確認するための試験の試験結果を示すグラフ 図8に類似する図であって、本願発明の第二実施形態における、パッケージの巻取径に基づいたフリーレングス及び綾角の制御の内容を示すグラフ 図9に類似する図であって、本願発明の第二実施形態に係るフロー図
以下、本願発明の第一実施形態に係る糸条巻取機としてのワインダー1を図面に基づいて説明する。図6は、本願発明の第一実施形態に係るワインダーの正面図である。図7は、ワインダーのシステム図である。
ワインダー1は、糸条としての弾性糸2をボビン3に巻き取ってパッケージ4(図10参照)を形成する糸条巻取機である。なお、以下では、弾性糸2を巻き取る糸条巻取機について説明するが、本願発明はこれに限定されず、他の糸種の糸条を巻き取る糸条巻取機とすることもできる。図6に示すように、ワインダー1は、機体フレーム5と、ターレット板6、スライドボックス16、トラバース装置7、コンタクトローラ8、フリーレングス変更手段9、を具備する。図7に示すように、ワインダー1の各構成は、制御部80(制御手段)と電気的に接続されている。制御部80は、演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)と、CPUが実行する制御プログラム及び制御プログラムに使用されるデータが記憶されているROM(Read Only Memory)と、プログラム実行時にデータを一時記憶するためのRAM(Random Access Memory)と、を備える。そして、ROMに記憶された上記制御プログラムがCPUに読み込まれCPU上で実行されることで、制御プログラムは、CPUなどのハードウェアを、フリーレングス変更手段9を制御するための手段や、後述する綾振変更手段を制御するための手段として機能させるようになっている。
ターレット板6は、図6に示すように、機体フレーム5に設けられており、図略の回転駆動装置によって回転軸11を中心に回動可能である。ターレット板6には、ボビン3を装着する2本のボビンホルダ12が回転軸11に対して対称となる位置に突設されている。そして、ターレット板6が上記の回転駆動装置によって回転されることで、上方の巻取位置にあるボビン3を交換することができるようになっている。図7に示すように、ターレット板6に設けられた2本のボビンホルダ12は、夫々駆動モータ27に接続されており、駆動モータ27によって回転される。各駆動モータ27は制御部80に電気的に接続され、もって、制御部80は、駆動モータ27の駆動を制御することで、ボビンホルダ12の回転速度を自在に制御できるようになっている。また、上記のボビンホルダ12にはボビンホルダ回転センサ35が設けられ、このボビンホルダ回転センサ35は制御部80に電気的に接続されている。このボビンホルダ回転センサ35は、ボビンホルダ12の回転速度を検知し、検知信号を制御部80へ送信する。従って、制御部80は、ボビンホルダ回転センサ35から上記の検知信号を受信することで、この検知信号に基づいてボビンホルダ12の回転速度を取得できるようになっている。
スライドボックス16は、図6に示すように、スライドボックス16の両端部に設けられた一対のレール17・17によって機体フレーム5の上下方向に案内され、この方向に移動自在となっている。このスライドボックス16が上昇すると、スライドボックス16に位置固定されたトラバース装置7がコンタクトローラ8から離間し、下降するとトラバース装置7がコンタクトローラ8に対して接近する。このスライドボックス16は、前述したフリーレングス変更手段9によって昇降される。
トラバース装置7は、弾性糸2をトラバースする装置であり、スライドボックス16に対して位置固定されている。トラバース装置7は、トラバース幅が一定の幅に固定される形式のものであって、トラバースカム30と、トラバースガイド31と、トラバースモータ28(図7参照)と、を具備する。トラバースカム30は、スライドボックス16内に回転自在に支持され、周面に螺旋状のトラバースカム溝が設けられている。トラバースガイド31は、トラバースカム30が回転駆動することにより、トラバースカム溝に沿って移動し、トラバースカム30の軸方向に往復運動する。このトラバースガイド31は、走行する弾性糸2を左右に振りながらコンタクトローラ8へ案内する。トラバースモータ28はトラバースカム30を回転駆動するものであって、制御部80と電気的に接続され、もって、制御部80は、トラバースモータ28の駆動を制御することで、トラバースカム30の回転速度を自在に制御できるようになっている。なお、前述した綾角WAはトラバースカム30の回転速度によって決まるので、この意味で、制御部80は、トラバースカム30の回転速度の制御を介して、綾角WAを自在に制御できるようになっている。上述した綾角変更手段は、トラバースカム30と、このトラバースカム30の駆動源であるトラバースモータ28とを含んで構成されている。
コンタクトローラ8は、トラバース装置7に対して、弾性糸2の走行方向の下流側に配置されている。コンタクトローラ8は、パッケージ4の形成中にパッケージ4に従動して回転し、トラバース装置7によって綾振された弾性糸2を受け継いで、パッケージ4の周面に弾性糸2を受け渡すものである。コンタクトローラ8は、アーム13の第1端部13a側に回転自在に支持されている。アーム13の第2端部13bは、スライドボックス16に支持されたスライドバー14に挿通され、スライドボックス16に対して上下方向にスライド自在となっている。即ち、コンタクトローラ8は、アーム13を介し、スライドボックス16に対して上下方向にスライド自在な構成になっている。コンタクトローラ8には、コンタクトローラ8の回転速度を検知する回転センサ40が設けられている。この回転センサ40は制御部80に対して電気的に接続されており、パッケージ4に従動して回転するコンタクトローラ8の回転速度を検知し、検知信号を制御部80に対して送信する。従って、制御部80は、回転センサ40から検知信号を受信することで、この検知信号に基づいてコンタクトローラ8の回転速度を取得できるようになっている。なお、弾性糸2の走行速度を一定に維持するために、即ち、コンタクトローラ8の回転速度ないし周速度が一定となるように、制御部80は、駆動モータ27を適宜に制御する。
フリーレングス変更手段9は、パッケージ4の形成中に、スライドボックス16を昇降させ、コンタクトローラ8とトラバース装置7との間にある弾性糸2のフリーレングスFL(図10参照)を変更可能とするものである。フリーレングス変更手段9は、ボールネジ機構15と、位置検知センサ18と、シリンダ19と、を含んで構成される。ここで、フリーレングスFLとは、トラバース装置7のトラバースガイド31と係合している弾性糸2がトラバースガイド31から解放されて、コンタクトローラ8の周面に接するまでの弾性糸2の自由長のことをいう。
ボールネジ機構15は、スライドボックス16を昇降させるための駆動源であり、ネジ棒20と、ボールナット21と、昇降駆動部22と、から構成されている。ネジ棒20は、機体フレーム5の上下方向に沿って配置され、機体フレーム5に対して回転自在に支持されている。ボールナット21は、ネジ棒20に螺合されると共に、スライドボックス16に対して上に向かって係合するものである。昇降駆動部22はネジ棒20を回転駆動するものであり、昇降駆動部22によってネジ棒20が正逆回転すると、ボールナット21を介してスライドボックス16が昇降する。この昇降駆動部22は、モータ23と、第1ギア24と、ベルト25と、第2ギア26と、から構成されている。モータ23には第1ギア24に接続され、第1ギア24と第2ギア26との間にはベルト25が巻き掛けられ、第2ギア26にはネジ棒20が接続されている。この構成で、モータ23が駆動すると、モータ23の回転駆動力が第1ギア24と、ベルト25と、第2ギア26と、を介してネジ棒20に伝達され、ネジ棒20が回転する。図7に示すように、上記のモータ23は制御部80と電気的に接続され、もって、制御部80は、モータ23を制御できるようになっている。従って、制御部80は、モータ23の制御を介して、スライドボックス16を自在に昇降できるようになっている。
位置検知センサ18は、上記の第2ギア26に対向して設けられ、第2ギア26の所定角度ごとの回転を検知するものである。この位置検知センサ18は制御部80に電気的に接続されており、第2ギア26の所定角度ごとの回転を検知するたびに、検知信号を制御部80へ送信する。従って、制御部80は、位置検知センサ18からの検知信号を受信した回数に基づいて、スライドボックス16の高さ位置、ひいては、スライドボックス16に支持されたトラバース装置7の高さ位置を取得できるようになっている。
シリンダ19は、シリンダ圧によりスライドボックス16の重量の大半を担い、上述の昇降駆動部22によるスライドボックス16の昇降を小さい駆動力で行うためのものである。なお、シリンダ19のシリンダ圧は、エア供給部36により調整される。
このように、フリーレングス変更手段9がトラバース装置7の高さ位置を検知する位置検知センサ18を備えることで、ワインダー1は、位置検知センサ18による検知の結果を適宜にフィードバックしながらトラバース装置7の高さ位置を、ひいては上述したフリーレングスFLを精度良く制御できるようになっている。
図8は、パッケージの巻取径に基づいたフリーレングスの制御の内容を示すグラフである。横軸はパッケージ4の巻取径Dを示し、縦軸はフリーレングスFLを示す。上述した制御部80のROMには、図8に示すような、パッケージの巻取径Dと、フリーレングスFLと、の対応関係FL=f(D)が例えばテーブル形式で記憶されている。この対応関係FL=f(D)は、具体的には、図8に示されるように、パッケージ4の巻き始め、即ち、巻取径DがD1からD2へと至る期間においては、巻取径Dの増加に伴ってフリーレングスFLがFL1からFL2へと急激に増加し、その後、巻き終わりにかけて、即ち、巻取径DがD2からD3へと至る期間においては、巻取径Dの増加に伴ってフリーレングスFLがFL2からFL1へと徐々に減少する。上記のようにパッケージ4の巻き始めにおいてフリーレングスFLを急激に増加し、巻き終わりにかけては徐々に減少させている、換言すれば(D2−D1)<(D3−D2)であるのは、以下の理由による。即ち、巻き始めの糸層は強く圧縮されることとなり、一方、巻き終わりの糸層は殆ど圧縮されない、という関係があるからである。
次に、図8〜10を参照しつつ、ワインダー1の作動を説明する。図9は、制御プログラムのフロー図である。図10は、ワインダーの作動図である。なお、本実施形態では、上記特許文献1とは異なり、バルジを抑制するための綾角WAの増減は採用しないこととする。
図10(a)に示すようにフリーレングスFLがFL1に設定された状態で弾性糸2の巻き取りを開始すると、制御部80は、先ず、現在のパッケージ4の巻取径Dを算出する(S300)。具体的には、制御部80は、回転センサ40から受信した検知信号に基づいてコンタクトローラ8の回転速度を取得し、ボビンホルダ回転センサ35から受信した検知信号に基づいてボビンホルダ12の回転速度を取得する。そして、制御部80は、コンタクトローラ8の回転速度と、ボビンホルダ12の回転速度と、予めROMに記憶されているコンタクトローラ8の直径に基づいて、現在のパッケージ4の巻取径Dを算出する。
次に、制御部80は、パッケージ4の巻取径Dの増分ΔDを算出する(S310)。具体的には、制御部80は、前回上記のS300で算出した過去の巻取径Dと、上記のS300で今回算出したパッケージ4の巻取径Dと、の差分を求めることで、パッケージ4の巻取径Dの増分ΔDを算出する。
次に、制御部80は、図8に示すように巻取径Dに対応したフリーレングスFLを算出する(S320)。具体的には、制御部80は、上記のS300で算出した巻取径Dと、ROMにテーブル形式で記憶されている対応関係FL=f(D)(図8参照)と、に基づいて、図8に示すように巻取径Dに対応したフリーレングスFLを算出する。
次に、制御部80は、フリーレングスFLの変化量ΔFLを算出する(S330)。具体的には、制御部80は、前記上記のS320で算出した過去のフリーレングスFLと、上記のS320で今回算出したフリーレングスFLと、の差分を求めることで、フリーレングスFLの変化量ΔFLを算出する。なお、図8によれば、巻取径DがD1からD2へと至る期間では変化量ΔFLは正の値となる。一方、巻取径DがD2からD3へと至る期間では変化量ΔFLは負の値となる。
次に、制御部80は、スライドボックス16の移動量ΔGを算出する(S340)。具体的には、制御部80は、上記のS310で算出したパッケージ4の巻取径Dの増分ΔDと、上記のS330で算出したフリーレングスFLの変化量ΔFLと、下記式(2)と、に基づいてスライドボックス16の移動量ΔG(ただし、機体フレーム5の上方向を正とする。)を算出する。なお、下記式(2)中のΔFLは、前述したように負の値となる場合もあるので、変化量ΔFLの絶対値が増分ΔDを上回るようであれば、その場合、移動量ΔGは負の値となる。
Figure 0005236519
次に、制御部80は、上記のS340で算出した移動量ΔGに基づいてスライドボックス16を上下方向に移動させる(S350)。具体的には、制御部80は、位置検知センサ18から受信した検知信号に基づいて求められるスライドボックス16の高さ位置が移動量ΔG分、変化するまで、モータ23の駆動を制御してスライドボックス16を昇降させる。
次に、制御部80は、上記のS300で算出したパッケージ4の巻取径Dが所定巻取径Dmaxに至ったかを判断し(S360)、巻取径Dが所定巻取径Dmaxにまだ至っていないと判断した場合は(S360:NO)、処理をS300へと戻す。一方、巻取径Dが所定巻取径Dmaxに至ったと判断したら(S360:YES)、ターレット板6を回転させてボビンチェンジを行い、新たな巻き取りを開始する。
上記の一連の制御によれば、図10に示されるワインダー1の作動が実現される。即ち、図8に示される対応関係FL=f(D)の下、図10に示されるように、巻取径DがD1からD2へと至る期間においてはフリーレングスFLは徐々に増加してFL1からFL2へと至り、巻取径DがD2からD3へと至る期間においてはフリーレングスFLは徐々に減少してFL2からFL1へと至る。
また、上記の一連の制御によれば、スライドボックス16は、図11において実線で示すように昇降される。図11は、パッケージの巻き取りの時間とスライドボックスの高さ位置との関係を示すグラフである。横軸は巻き取りの時間を示し、縦軸はスライドボックス16の高さ位置を示す。図11中、実線は本実施形態に係るスライドボックス16の高さ位置の変化の態様を示し、二点鎖線はフリーレングスFLを一定とした場合のスライドボックス16の高さ位置の変化の態様を示す。二点鎖線が右肩上がりとなっているのは、パッケージ4が巻き太ることによってコンタクトローラ8が押し上げられてもフリーレングスFLを一定に維持できるよう、スライドボックス16を上昇させて、パッケージ4の巻取径Dの増分ΔDを相殺するためである。図中、実線で示されるように、本実施形態では、スライドボックス16は、パッケージ4の巻取径DがD2からD3へと至る期間においては、変化量ΔFLの絶対値が増分ΔDを上回るため、スライドボックス16の移動量ΔGは負の値となり、従って、スライドボックス16は下降することとなる。
以上に、ワインダー1の作動を説明した。次に、本実施形態に係るワインダー1のバルジを抑制する効果を確認するための試験を実施したので、その結果を報告する。
(試験条件)
使用原糸:スパンデックス糸44dtex
綾角WA:巻き始めでは12degとし、巻き終わりでは10degとする。綾角WAを一定とすると巻き取りの終盤でワインド数Nが危険ワインド数Ndに一致してしまう条件だったので、巻き取りの終盤で若干、綾角WAを減少させている。なお、この綾角WAの減少は、バルジの抑制とは関係ない。
フリーレングスFL:図12において二点鎖線で示す通り。
図12は、本願発明の技術的効果を確認するための試験の試験結果を示すグラフである。横軸はパッケージ4の巻取径Dであり、縦軸はパッケージの端面、及び、フリーレングスFLを示す。図12において二点鎖線は、上記試験で採用した対応関係FL=f(D)を示す。図12中、太い実線は上記対応関係FL=f(D)に基づいてフリーレングスFLを増減させた実施例を示し、細い実線はフリーレングスFLを一定(最小)とした比較例を示す。左の縦軸は、ボビン3の端面を基準(原点)とした。図12において、ボビン3の軸方向は紙面上下方向に一致し、ボビン3の径方向は紙面左右方向に一致する。
上記の図12によれば、パッケージ4の巻き始めではフリーレングスFLを増加させ、その後、巻き終わりにかけてフリーレングスFLを減少させると、バルジを十分に抑制できたことが判る。なお、実施例に係るパッケージ4の端面にも、比較例に係るパッケージ4の端面にも、何れにも綾落ちの形跡は認められなかった。
(まとめ)
(請求項1、請求項3)
以上説明したように上記実施形態において、パッケージ4を形成するワインダー1は、以下のように構成されている。即ち、ワインダー1は、パッケージ4形成中にパッケージ4に接触するコンタクトローラ8と、コンタクトローラ8に対して弾性糸2の走行方向の上流側に配置されるトラバース装置7と、パッケージ4形成中に、コンタクトローラ8とトラバース装置7(詳しくは、トラバースガイド31)との間にある弾性糸2のフリーレングスFLを変更可能なフリーレングス変更手段9と、パッケージ4の巻き始めではフリーレングスFLを増加させ、その後、巻き終わりにかけてフリーレングスFLを減少させるようにフリーレングス変更手段9を制御する制御部80と、を備える。以上の構成によれば、バルジを抑制できる。また、前記フリーレングスFLの増減はワインド数Nの変化を招くことがないので、バルジを抑制しつつ、危険ワインド数Ndを回避した巻き取りが容易に実現できる。なお、危険ワインド数Ndを回避できると、パッケージ端面の綾落ちを引き起こしたり、コンタクトローラ8の振動を誘発したり、後工程におけるパッケージ4の解舒不良を招いたり、といった種々の不具合を回避できる。
なお、上記実施形態において、バルジを抑制するための綾角WAの増減は採用しないこととしたが、この綾角WAの増減を併用することとしてもよい。また、綾角WAを一定とするとどうしても巻き終わりの終盤でワインド数Nが危険ワインド数Ndに一致してしまうような場合は、上記の確認試験のように、巻き終わりの終盤で綾角WAを若干減少させることとしてもよい。
また、フリーレングスFLは、図8に示すように、FL1からFL2に増加した後、再び、FL1へと戻すように増減することとしたが、必ずしも、FL1へと戻す必要はない。ただし、パッケージ4の巻き幅を図5(b)の右図のようにパッケージ4の巻取径Dに拘わらず一定とするには、フリーレングスFLをFL1からFL2に増加した後、再び、FL1へと戻すように増減することが好ましい。
また、上記実施形態では、フリーレングスFLの増減を巻取径Dに基づいて、即ち対応関係FL=f(D)で設定しているが、これに代えて、フリーレングスFLの増減を巻き取りの時間tに基づいて、即ちFL=f(t)のかたちで設定してもよい。
また、図8に示されるフリーレングスFLの増減の折り返し地点に対応するパッケージ4の巻取径D2は、糸条の巻取条件に応じて適宜に増減することが好ましい。
(請求項5)
また、上記実施形態では、弾性糸2がボビン3に巻き取られることとした。即ち、糸条が弾性糸2の場合は、巻き締め力が大きいので前述したように顕著なバルジが発生する。この顕著なバルジを、綾角WAの増減のみで対処しようとするとリボンを免れないが、フリーレングスFLの増減によって対処すればリボンを回避することができる。このように、フリーレングスFLを増減することでバルジを抑制する技術は、前記糸条が弾性糸2の場合、特に有益といえる。
次に、本願発明の第二実施形態を、図13及び図14に基づいて説明する。ここでは、本実施形態が上記の第一実施形態と相違する点を中心に説明し、重複する説明については適宜に割愛する。
図13は、図8に類似する図であって、本願発明の第二実施形態における、パッケージの巻取径に基づいたフリーレングス及び綾角の制御の内容を示すグラフである。横軸はパッケージ4の巻取径Dを示し、縦軸はフリーレングスFLと綾角WAを示す。上記第一実施形態では、上述した制御部80のROMに、図8に示すような、パッケージ4の巻取径Dと、フリーレングスFLと、の対応関係FL=f(D)が記憶されているとした。しかし、本実施形態では、上述した制御部80のROMに、図13に示すような、パッケージ4の巻取径Dと、フリーレングスFLと、の別の対応関係FL=g(D)がテーブル形式で記憶されている。上記第一実施形態に係る対応関係FL=f(D)と、本実施形態に係る対応関係FL=g(D)と、の相違点は、前者ではフリーレングスFLがFL1とFL2との間を往復するのに対し、後者ではフリーレングスFLがFL1とFL3(ただし、FL1<FL3<FL2)との間を往復することである。端的に言えば、本実施形態に係る対応関係FL=g(D)は、上記第一実施形態に係る対応関係FL=f(D)と比較して、フリーレングスFLの増減幅が小さい。
また、本実施形態では、上述した制御部80のROMに、図13に示すような、パッケージ4の巻取径Dと、フリーレングスFLと、の対応関係FL=g(D)が記憶されているのに加えて、同じく図13に示すような、パッケージ4の巻取径Dと、綾角WAと、の対応関係WA=h(D)がテーブル形式で記憶されている。この対応関係WA=h(D)は、具体的には、図13に示されるように、パッケージ4の巻き始め、即ち、巻取径DがD1からD2へと至る期間においては、巻取径Dの増加に伴って綾角WAがWA1からWA2へと増加し、一方、パッケージ4の巻き終わり、即ち、巻取径DがD2からD3へと至る期間においては、ワインド数Nが危険ワインド数Ndと一致しないように、巻取径Dの増加に伴って綾角WAがWA2からWA1へと減少する。
次に、図10及び図13、図14を参照しつつ、本実施形態に係るワインダー1の作動を説明する。図14は、図9に類似する図であって、本願発明の第二実施形態に係るフロー図である。なお、本実施形態では、図13にも示す通り、上記特許文献1と同様、バルジを抑制するための綾角WAの増減を採用することとする。
図10(a)に示すようにフリーレングスFLがFL1に設定された状態で弾性糸2の巻き取りを開始すると、制御部80は、先ず、現在のパッケージ4の巻取径Dを算出する(S300)。
次に、制御部80は、パッケージ4の巻取径Dの増分ΔDを算出する(S310)。
次に、制御部80は、図13に示すように巻取径Dに対応したフリーレングスFLを算出する(S320)。具体的には、制御部80は、上記のS300で算出した巻取径Dと、ROMにテーブル形式で記憶されている対応関係FL=g(D)(図13参照)と、に基づいて、図13に示すように巻取径Dに対応したフリーレングスFLを算出する。
次に、制御部80は、フリーレングスFLの変化量ΔFLを算出する(S330)。
次に、制御部80は、スライドボックス16の移動量ΔGを算出する(S340)。
次に、制御部80は、上記のS340で算出した移動量ΔGに基づいてスライドボックス16を上下方向に移動させる(S350)。
次に、制御部80は、図13に示すように巻取径Dに対応した綾角WAを算出する(S360)。具体的には、制御部80は、上記のS300で算出した巻取径Dと、ROMにテーブル形式で記憶されている対応関係WA=h(D)(図13参照)と、に基づいて、図13に示すように巻取径Dに対応した綾角WAを算出する。
次に、制御部80は、現在の綾角WAを、上記のS360で算出した綾角WAへと変更する(S370)。具体的には、制御部80は、回転センサ40から受信した検知信号に基づいてコンタクトローラ8の回転速度を取得する。そして、制御部80は、このコンタクトローラ8の回転速度、即ちパッケージ4の周速を踏まえつつ、現在の綾角WAが上記のS360で算出した綾角WAへと至るように、トラバースモータ28の駆動を制御してトラバースカム30の回転速度を増減する。
次に、制御部80は、上記のS300で算出したパッケージ4の巻取径Dが所定巻取径Dmaxに至ったかを判断し(S380)、巻取径Dが所定巻取径Dmaxにまだ至っていないと判断した場合は(S380:NO)、処理をS300へと戻す。一方、巻取径Dが所定巻取径Dmaxに至ったと判断したら(S380:YES)、ターレット板6を回転させてボビンチェンジを行い、新たな巻き取りを開始する。
(まとめ)
(請求項2、請求項4)
以上説明したように本実施形態において、ワインダー1は、更に以下のように構成されている。即ち、ワインダー1は、綾角WAを変更可能な綾角変更手段を更に備える。制御部80は、パッケージ4の巻き始めでは綾角WAを増加させ、その後、巻き終わりにかけて綾角WAを減少させるように綾角変更手段を制御する。このようにバルジを抑制するに際し、フリーレングスFLの増減と綾角WAの増減とを併用すると、バルジを抑制するためのフリーレングスFLの増減幅を小さくすることができ、もって、フリーレングス変更手段9をコンパクトに構成することができる。
また、トラバース幅を変更することで巻き幅を変える場合と、上記実施形態のようにトラバース幅は一定としフリーレングスFLと綾角WA(即ち、トラバース速度)を変更することで巻き幅を変える場合と、を比較すると、後者は、トラバース幅があくまで一定であることから弾性糸のような糸種でもスムーズに巻き取ることができ、しかも、端面の仕上がりも良好となる。
以上に本発明の好適な実施形態を説明したが、上記の実施形態は以下のように変更して実施することができる。
上記第二実施形態において、図13に示すように、フリーレングスFLの増減の折り返し地点と、綾角WAの増減の折り返し地点と、は共にパッケージ4の巻取径DがD2となったときとした。しかし、これに代えて、フリーレングスFLの増減の折り返し地点と、綾角WAの増減の折り返し地点と、を時間軸でずらしてもよい。
また、上記第二実施形態において、図13に示すように、綾角WAは、巻き取りの開始時点と終了時点で共にWA1とした。しかし、開始時点における綾角WAと終了時点における綾角WAとを同じ値にするのに代えて、異なる値としてもよい。
1 ワインダー
2 弾性糸
4 パッケージ
7 トラバース装置
8 コンタクトローラ
80 制御部

Claims (5)

  1. パッケージを形成する糸条巻取機であって、
    パッケージ形成中に前記パッケージに接触するコンタクトローラと、
    前記コンタクトローラに対して糸条の走行方向の上流側に配置されるトラバース装置と、
    前記パッケージ形成中に、前記コンタクトローラと前記トラバース装置との間にある前記糸条のフリーレングスを変更可能なフリーレングス変更手段と、
    前記パッケージの巻き始めでは前記フリーレングスを増加させ、その後、巻き終わりにかけて前記フリーレングスを減少させるように前記フリーレングス変更手段を制御する制御手段と、
    を備えることを特徴とする糸条巻取機。
  2. 請求項1に記載の糸条巻取機であって、
    綾角を変更可能な綾角変更手段を更に備え、
    前記制御手段は、前記パッケージの巻き始めでは前記綾角を増加させ、その後、巻き終わりにかけて前記綾角を減少させるように前記綾角変更手段を制御する、
    ことを特徴とする糸条巻取機。
  3. パッケージ形成中にパッケージに接触するコンタクトローラと、前記コンタクトローラに対して糸条の走行方向の上流側に配置されるトラバース装置と、を用いてパッケージを形成する糸条巻取方法であって、
    前記コンタクトローラと前記トラバース装置との間にある前記糸条のフリーレングスを、前記パッケージの巻き始めでは増加させ、その後、巻き終わりにかけて減少させる、
    ことを特徴とする糸条巻取方法。
  4. 請求項3に記載の糸条巻取方法であって、
    綾角を、前記パッケージの巻き始めでは増加させ、その後、巻き終わりにかけて減少させる、
    ことを特徴とする糸条巻取方法。
  5. 請求項3又は4に記載の糸条巻取方法であって、
    前記糸条は弾性糸とする、
    ことを特徴とする糸条巻取方法。
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