JP5236266B2 - 歯科矯正用のワイヤ保持装置及び歯科矯正装置 - Google Patents

歯科矯正用のワイヤ保持装置及び歯科矯正装置 Download PDF

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Description

本発明は、歯科矯正用のワイヤ保持装置及び歯科矯正装置に関する。詳しくは、歯科矯正用ワイヤを歯列の内側表面に固定するために用いられる歯科矯正用のワイヤ保持装置と、そのワイヤ保持装置を用いた歯科矯正装置に関する。
歯科矯正治療は、復元力のある歯科矯正用ワイヤ(以下、単にワイヤという)を歯に固定し、そのワイヤの復元力によって歯を所望の位置に移動させ、歯列を整えていく。このとき、ワイヤを歯列の内側表面に固定するために、ワイヤ保持装置が用いられる(例えば、特許文献1)。
特許文献1のワイヤ保持装置は、環状のバンドと、そのバンドの外周面に固定されているワイヤ挿入部を備えている。特許文献1のワイヤ保持装置は、ワイヤ挿入部を歯列の内側に向けた状態で、バンドを歯に装着することによって歯に固定される。ワイヤ挿入部には、ワイヤを挿入する取付孔が形成されている。ワイヤは、取付孔に挿入されることによって、ワイヤ保持装置に固定される。
特開平8−275960号公報
特許文献1に開示されたワイヤ保持装置は、ワイヤが取付孔に挿入されることによってワイヤを保持している。しかしながら、ワイヤを単に取付孔に挿入しただけでは、歯列の内側に配置されているワイヤは、舌や口内に入った食物が当たることによってワイヤ保持装置から脱落してしまう場合がある。
本発明は上述した事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、ワイヤが脱落することを防止することができるワイヤ保持装置を提供することである。
本発明の歯科矯正用のワイヤ保持装置は、一方の面が歯の表面に取り付けられるベース部と、それぞれがベース部の他方の面から突出しており、所定の間隔を空けて配された少なくとも一対の突起部と、突起部の少なくとも一方に、その突起部を、ベース部の他方の面に対して平行に貫通すると共にその一端が他方の突起部に向かって開口するネジ孔と、そのネジ孔と螺合し、その先端が突起部間に突出した状態と、突起部間から退避した状態とに切換えられる雄ネジと、を備えており、突起部間のスロットには、歯科矯正用ワイヤが挿通され、雄ネジの先端が突起部間に突出した状態では、スロットに挿通されたワイヤが、雄ネジとスロットの内周面に挟持されることによって、スロットに挿通されたワイヤがスロットから脱落することが防止されることを特徴とする。
本明細書に開示される別の歯科矯正用のワイヤ保持装置は、所定の間隔を空けて配された少なくとも一対の突起部を有しており、その突起部間のスロットに歯科矯正用ワイヤを挿通して保持する。このワイヤ保持装置の突起部の少なくとも一方には、その突起部を貫通すると共にその一端が他方の突起部に向かって開口するネジ孔と、そのネジ孔と螺合し、その先端が突起部間に突出した状態と、突起部間から退避した状態とに切換えられる雄ネジと、を備えている。そして、雄ネジの先端が突起部間に突出した状態では、スロットに挿通されたワイヤがスロットから脱落することが防止されるようになっている。
この歯科矯正用のワイヤ保持装置では、ワイヤがワイヤ保持装置のスロットに挿通されると、雄ネジを突起部に形成されたネジ孔に挿し込み、雄ネジの先端を突起部間に突出させる。これによって、スロットに挿通されたワイヤがスロットから脱落することが防止される。このワイヤ保持装置では、ネジ孔に螺合している雄ネジによってワイヤの脱落を防止している。そのため、ワイヤに舌等が当たることによってワイヤが容易に外れることを防止することができる。このワイヤ保持装置は、長期に亘って安定してワイヤを保持することができる。また、このワイヤ保持装置では、ネジ孔に雄ネジを挿し込むだけでよいため、ワイヤをワイヤ保持装置に脱着する作業を容易に行うことができる。
このワイヤ保持装置では、雄ネジの先端が突起部間に突出した状態では、スロットに挿通されたワイヤが、雄ネジとスロットの内周面に挟持されていることが好ましい。この構成によれば、ワイヤがワイヤ保持装置に対して移動することを防止することができる。
このワイヤ保持装置は、雄ネジを除いて、純チタンで作製されていることが好ましい。ワイヤ保持装置の各部を純チタンで作製することにより、人体に悪影響を及ぼすことを低減できる。
なお、本明細書中、「純チタン」には、構成成分の100%がチタン金属であるものの他に、不可避的な不純物を含有するチタンをも含んでいる。
このワイヤ保持装置の雄ネジは、六角ネジであることが好ましい。ワイヤ保持装置は、歯に接着された状態のまま、長時間連続して使用される場合がある。連続した装着が長期に亘る場合、ワイヤ保持装置の使用中にワイヤ保持装置からワイヤが脱落しないようにする必要がある。雄ネジが六角ネジの場合、他のネジと比較してより強い締付トルクを付与することができる。これにより、ワイヤに付与される雄ネジとスロットの内周面との挟持力を強くすることができる。
本発明は、上記したワイヤ保持装置を好適に用いる歯科矯正装置を提供する。本発明の歯科矯正装置は、歯列の内側に取付けられ、歯列弓を拡大する装置である。この歯科矯正装置は、歯の内側の表面に接着された少なくとも1つの請求項1から4のいずれか1項に記載のワイヤ保持装置と、そのワイヤ保持装置のスロットに挿通されたワイヤを備えていることを特徴とする。
この歯科矯正装置に用いられるワイヤ保持装置は、雄ネジをネジ孔に螺合させるだけで、ワイヤがスロットから脱落することを防止するができる。そのため、歯科矯正装置の取り付け作業時間が短縮される。これにより、取り付け作業中の患者の負担を軽減することができる。また、この歯科矯正装置のワイヤは、一旦患者に取り付けられると、長時間に亘って連続して装着されたままとされることが多い。この歯科矯正装置のワイヤ保持装置では、ワイヤを長期に亘って安定して保持することができる。そのため、歯科矯正装置のメンテナンスの回数を低減することができる。
また、上記の歯科矯正装置に用いられるワイヤは、低ヤング率で高弾性変形能なチタン合金で作製されていることが好ましい。
ワイヤを歯列の内側に取付けて歯列弓を拡大する場合、外力が作用しない状態で患者の歯列弓の幅よりも広い幅を有する形状にワイヤの形状を調整し、患者に装着する。すなわち、ワイヤが歯列弓に装着された状態では、ワイヤは弾性変形し、ワイヤの復元力が歯に作用する。歯は、ワイヤの復元力によって所望の位置に移動する。ワイヤは一旦ワイヤ保持装置に装着されると、所望の歯列弓形状になるまで取替えないことが理想である。そのため、ワイヤは、弾性変形能が高く、歯列弓の幅が広がっても(即ち、ワイヤに付与された歪が小さくなっても)復元力が低下しにくいことが望まれる。
一般的に使用されている歯科矯正用ワイヤを用いた従来の歯科矯正装置では、例えば図7に示すような形状にワイヤ200を調整(変形)する。ワイヤ200は、CoCr製である。ワイヤ200は、ワイヤ部202と、ワイヤ部202をワイヤ保持装置に固定するための取付部204を有している。ワイヤ部202には、4つの巻きバネ部206が形成されている。巻きバネ部206は、ワイヤ200の弾性変形能を高めるために形成されている。しかしながら、従来のワイヤ200を歯列弓の内側に配置すると、巻きバネ部206が患者の口腔内に当たり、患者に与える不快感が大きい。患者の不快感を低減させるためには、できるだけワイヤが簡素な形状であることが好ましい。
低ヤング率で高弾性変形能なチタン合金で作製されているワイヤは、ワイヤに巻きバネ部を形成しなくても、充分な弾性変形能を有することができる。したがって、ワイヤは、巻きバネ部のない簡素な形状とすることができる。また、ヤング率が低いため、歯列弓の拡大に伴ってワイヤのひずみが小さくなっても、復元力が低下することを抑制することができる。
ここで、「低ヤング率で高弾性変形能なチタン合金」とは、従来のチタン合金や鉄鋼材料と比較して、ヤング率が小さく、ひずみの変化に対して応力の変化が小さく、弾性変形能の大きいチタン合金をいう。
本発明のワイヤ保持装置では、ワイヤを安定して保持することができ、ワイヤの取付作業回数を減少することができる。これにより、ワイヤ取付作業によって、患者にかかる負担を低減することができる。
本発明の歯科矯正装置では、ワイヤの形状を簡素にすることができる。これにより、本発明の歯科矯正装置を装着している患者の不快感を低減することができる。
以下、本発明を具現化した実施例について図面を参照して説明する。最初に実施例の主要な特徴を記載する。
(形態1)歯科矯正用のワイヤ保持装置は、ベース部を有している。ベース部の一方の面には、一対の突起部が設けられ、突起部間がスロットとされている。ベース部の他方の面は、その表面全体が凹凸に形成されている。
本発明の一実施例に係る歯科矯正用ワイヤ保持装置10を説明する。図1は、ワイヤ保持装置10のワイヤ50を保持する側の面から見た正面図である。図2は、図1のII−II断面図である。図1及び図2のワイヤ保持装置10は、ワイヤ50を保持した状態を示している。ワイヤ保持装置10は、ベース部30と、ベース部30の表面に設けられたワイヤ保持部20を備えている。
図2によく示されるように、ワイヤ保持部20は、ベース部30の表面から立設された2つの突起部21,22を有している。第1突起部21はベース部30の上側中央に設けられている。第2突起部22はベース部30の下側中央に設けられている(図1及び図2に示す上側を「上」、下側を「下」とする)。第1突起部21と第2突起部22とは、上下方向に一定の間隔(ワイヤ50の直径よりも広い間隔)を空けて配されている。第1突起部21と第2突起部22の間には、左右方向(図1で示す左右方向)に伸びるスロット33が形成されている。
第1突起部21には、スロット33と略直交する方向に第1突起部21を貫通するネジ孔21aが形成されている。ネジ孔21aには、突起部21の上側から下側に向かってネジ23が取付けられている。ネジ23は、全長に亘って略同一のネジ径で形成されている。ネジ23の一方の端(図2の下端)は、円錐形状を有している。ネジ23はステンレス鋼で作製されている。ネジ23は、ネジ孔21aのネジ溝に螺合する。ネジ23の長さは、ネジ孔21aの軸方向長さよりも長くなるように設定されている。図3に示すように、ネジ23の他方の端(図2の上端)には、六角形の穴が形成されている。すなわち、ネジ23は六角ネジである。ワイヤ50は、スロット33の底面と、第2突起部22の上面と、ネジ23の円錐形状の外周面に挟持されることによって、ワイヤ保持装置10に固定されている。
ベース部30の裏面には、歯の表面と接着される接着面31が形成されている。接着面31(即ち、ワイヤ保持部20の反対側の面)には、微小な凹凸32が一面に形成されている。
ワイヤ保持装置10は、ベース部30とワイヤ保持部20を別々に製作した後に結合して製作することができる。あるいは、削り出しや鋳造等によってベース部30とワイヤ保持部20を一体に製作することもできる。
ワイヤ保持装置10に用いられる素材には、従来から歯科矯正用ワイヤ保持装置に用いられてきた種々の素材を用いることができる。また、ワイヤ保持装置10を純チタンで製作することができる。ワイヤ保持装置10を純チタンで製作すると、人体への悪影響が少ない点で好ましい。ワイヤ保持装置10を純チタンで製作する場合、ワイヤ保持装置10を鋳造等によって一体に製作することが好ましい。ワイヤ保持装置10を一体に製作することで、機械加工等を無くすことができるためである。接着面31の凹凸32は、機械加工や化学的な表面処理等の種々の方法によって形成することができる。
次に、ワイヤ保持装置10の使用方法について説明する。ワイヤ保持装置10を使用して歯科矯正を行うためには、まず、ワイヤ保持装置10の接着面31を歯の表面に接着する。具体的には、歯の表面を前処理してから、接着剤によってワイヤ保持装置10の接着面31を歯に接着する。この際、接着面31には凹凸32が形成されているため、ワイヤ保持装置10と歯を強固に接着することができる。
歯にワイヤ保持装置10を接着すると、次に、ワイヤ保持装置10のスロット33に歯科矯正用のワイヤ50を取付ける。スロット33にワイヤ50を取付ける場合、図4に示すように、まず、ネジ23の下端と第2突起部22との間隔が、挿通されるワイヤ50の直径よりも大きくなるようにネジ23を配置する。この状態で、ワイヤ50が、第1突起部21(ネジ23の下端)と第2突起部22との間を通り、スロット33に挿通される。次に、図2に示すように、ネジ23を締め付けて、ネジ23の下端を第2突起部22に向かって移動させる。ネジ23は、その下端がワイヤ50に接触する。ネジ23は、その締付トルクが所定値となるまで締め付けられる。ネジ23がネジ孔21aに締付けられた状態(図2に示す状態)では、ネジ23の下端と第2突起部22との間隔が、ワイヤ50の直径よりも小さくなり、スロット33からワイヤ50が脱落することが防止される。このように、ワイヤ50をワイヤ保持装置10に脱着する場合、ネジ23をネジ孔21aに対して移動させるだけでよい。そのため、ワイヤ50のワイヤ保持装置10への脱着を容易に行うことができる。
図5は、ワイヤ保持装置10を用いた歯科矯正装置80を上側の歯の模型に取り付けた状態を示す写真である。
歯科矯正装置80は、一対のワイヤ保持装置10と、ワイヤ保持装置10に保持されるワイヤ50を有している。ワイヤ保持装置10は、左右の第2大臼歯150の内側の表面に接着されている。ワイヤ保持装置10は、ワイヤ50を保持している。これにより、ワイヤ50は、歯列140に対して所定の位置に固定されている。ワイヤ50は、患者の歯列弓に合わせて所定の形状に弾性変形されて取付けられている。ワイヤ50は、低ヤング率で高弾性変形能なチタン合金で作製されている。これにより、ワイヤ50は、図7で示したような、巻きバネ部206を形成することなく、要求される弾性変形能を達成することができる。また、ヤング率が低いため、歯列弓の幅が拡大することによってワイヤ50のひずみ量が低下しても、ワイヤ50の復元力の大幅な低下を抑制することができる。
ワイヤ50に用いられる低ヤング率で高弾性変形能なチタン合金としては、例えば、特許3282809号、3375083号等に開示されているチタン合金や、豊通マテリアル株式会社が販売するチタン合金(登録商標ゴムメタル)がある。このチタン合金について、簡単に説明する。
このチタン合金は、全体を100質量%とした場合、以下に示す組成を有する。
(1)30〜60質量%のVa族(バナジウム族)元素のうちの1種以上の元素
(2)1〜20質量%のジルコニウム(Zr)とハフニウム(Hf)とスカンジウム(Sc)の1種以上の元素
(3)0.08〜0.6質量%の酸素(O)
(4)0.05〜1.0質量%の炭素(C)
(5)1〜20質量%のモリブデン(Mo)、1〜20質量%の鉄(Fe)、1〜20質量%の錫(Sn)、0.1〜3質量%のアルミニウム(Al)のうちの1種以上の元素
(6)0.01〜1.0質量%のホウ素(B)
なお、ワイヤ50に用いることができるチタン合金には、上記に示す成分の全てが含まれている必要は必ずしもなく、いくつかの成分を選択することができる。例えば、(1)と(2)とチタン(Ti)からなるチタン合金であってもよい。
このチタン合金は、粉末冶金(具体的には、焼結法、熱間静水圧(HIP)法等)によって製造することができる。
焼結法の場合、原料粉末は、純金属粉末及び/又は合金粉末の2種以上を混合する。粉末の平均粒径は、100μm以下であることが好ましく、45μm以下であればより緻密な焼結体が得やすくなる。この粉末の混合には、V型混合機、ボールミルや振動ミル等を使用することができる。
焼結法では、原料粉末を所定形状の成形体に成形し、その成形された成形体を加熱して焼結させる。粉末の成形には、例えば、金型成形、CIP成形(冷間静水圧プレス成形)、RIP成形(ゴム静水圧プレス成形)等を用いることができる。
成形体の焼結は、真空又は不活性ガスの雰囲気でなされることが好ましい。また、焼結温度は、合金の融点以下で、しかも成分元素が十分に拡散する温度域で行われることが好ましく、例えば、その温度範囲は1200℃〜1400℃である。また、その焼結時間は2〜16時間であることが好ましい。したがって、チタン合金の緻密化と生産性の効率化を図る上で、1200℃〜1400℃かつ2〜16時間の条件で焼結工程を行うことができる。なお、焼結後は熱間加工を行うことにより、焼結合金の空孔等を低減して組織を緻密化させることができる。
HIP法の場合、原料粉末は、上記成分を含む合金粉末であることが好ましい。この合金粉末は、例えば、ガスアトマイズ法や、REP法(回転電極法)、PREP法(プラズマ回転電極法)、あるいは溶解法により製造されたインゴットを水素化した後粉砕する方法、さらにはMA法(機械的合金化法)等により、製造することができる。
HIP法では、上記原料粉末を所定形状の容器に充填し、HIP法を用いて容器内の粉末を加圧固化させる。使用する容器は、例えば、金属製でも、セラミック製でも、ガラス製でもよい。また、真空脱気して、原料粉末を容器に充填、封入することが好ましい。
粉末の加圧固化は、拡散が容易で粉末の変形抵抗が小さく、しかも、前記容器と反応しにくい温度領域で行われることが好ましい。例えば、その温度範囲は900℃〜1300℃とすることができる。また、成形圧力は、充填粉末が十分にクリープ変形できる圧力であることが好ましく、例えば、その圧力範囲は50〜200MPa(500〜2000気圧)とすることができる。HIPの処理時間は、粉末が十分にクリープ変形して緻密化し、かつ、合金成分が粉末間で拡散できる時間が好ましく、例えば、その時間は1時間〜10時間とすることができる。
図6には、上記組成及び製造方法で作製されたチタン合金の応力−ひずみ曲線の一例を応力−ひずみ曲線Aとして示している。図6には、比較例として、歯科矯正に用いられる一般的な鋼材の応力―ひずみ曲線Bも示している。図6に示すように、このチタン合金は、鋼材と比べ、ヤング率は小さく、また、ひずみの増加及び減少に対して、応力の変化が低く抑えられている。つまり、このチタン合金は、優れた高弾性変形能を有するものである。
このチタン合金で作製されたワイヤ50は、ヤング率が小さく、高弾性変形能を有している。そのため、図5に示すように、ワイヤ50の弾性変形能を高める構成を採る必要がなく、ワイヤ50を歯列弓の内側に沿って配置することができる。これにより、歯科矯正装置80を装着された患者の違和感を小さくすることができる。
また、ワイヤ50は、ワイヤ保持装置10に保持(固定)されているため、長期間連続で装着されていても、スロット33からワイヤ50が脱落する心配がなく使用することができる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
例えば、上記実施例のワイヤ保持装置は、従来のワイヤ保持装置と同様に、純チタン以外の金属材料やセラミクスにより作製されてもよい。この場合、ワイヤ保持装置の歯の表面と接着する面には、機械加工、又は、メッシュ状の部材を貼り付けることにより、表面に凹凸を形成してもよい。
また、上記ネジ23の上端にフック等を形成し、スプリングや輪ゴムを掛け止めることができるようにしてもよい。
さらに、本実施例では、ネジ孔21aはスロット33の上側の第1突起部21にのみ形成されていたが、第2突起部22の、第1突起部21のネジ孔21aと対向する位置にネジ孔を形成し、ネジを第1突起部21と第2突起部22の両方のネジ孔に締め付けるようにしてもよい。この構成では、第1突起部21と第2突起部22との間を完全に閉じた状態にすることができるため、より確実にワイヤを保持することができる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は、複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
本実施例に係る歯科矯正用のワイヤ保持装置の一実施例を示す正面図。 図2のII−II断面を示す断面図。 本実施例に係る歯科矯正用のワイヤ保持装置の雄ネジを示す斜視図。 本実施例に係る歯科矯正用のワイヤ保持装置にワイヤを挿通する状態を示す断面図。 本実施例に係る歯科矯正用のワイヤ保持装置を用いた歯列弓を拡大する歯科矯正装置を示す写真。 本実施例に用いられるチタン合金の応力―ひずみ曲線を示すグラフ。 歯列弓を拡大する歯科矯正装置に用いられる従来のワイヤを示す写真。
符号の説明
10:ワイヤ保持装置
20:ワイヤ保持部
23:ネジ
30:ベース部
31:接着面
33:スロット
50:ワイヤ
80:歯科矯正装置

Claims (5)

  1. 科矯正用ワイヤを保持する歯科矯正用のワイヤ保持装置であって、
    一方の面が歯の表面に取り付けられるベース部と、
    それぞれがベース部の他方の面から突出しており、所定の間隔を空けて配された少なくとも一対の突起部と、
    突起部の少なくとも一方に、その突起部を、ベース部の他方の面に対して平行に貫通すると共にその一端が他方の突起部に向かって開口するネジ孔と、
    そのネジ孔と螺合し、その先端が突起部間に突出した状態と、突起部間から退避した状態とに切換えられる雄ネジと、を備えており、
    突起部間のスロットには、歯科矯正用ワイヤが挿通され、
    雄ネジの先端が突起部間に突出した状態では、スロットに挿通されたワイヤが、雄ネジとスロットの内周面に挟持されることによって、スロットに挿通されたワイヤがスロットから脱落することが防止されることを特徴とするワイヤ保持装置。
  2. 雄ネジを除く各部が純チタンにより作製されていることを特徴とする請求項に記載のワイヤ保持装置。
  3. 雄ネジは六角ネジであることを特徴とする請求項1又は2に記載のワイヤ保持装置。
  4. 歯列の内側に取付けられ、歯列弓を拡大する歯科矯正装置であって、
    歯の内側の表面に接着された少なくとも1つの請求項1からのいずれか1項に記載のワイヤ保持装置と、
    そのワイヤ保持装置のスロットに挿通されたワイヤと、
    を備えていることを特徴とする歯科矯正装置。
  5. ワイヤが、低ヤング率で高弾性変形能なチタン合金で作製されていることを特徴とする請求項に記載の歯科矯正装置。
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