本発明は、オブジェクト識別方法並びに読み取りデバイスに関する。
識別テクノロジーは、部分的には蔓延した著作権侵害面で製造者と消費者の利益を保護することの必要性の増加により近年では急速に成長している。オブジェクトが識別される方法は、バーコードのような視覚的に知覚できる情報から電磁波を使用して情報を送信する複雑な高周波同一性(ID)(RFID)タグまでの範囲に亘ることができる。識別又はブランド保護のために使用される他の共通のデバイスの例は、ホログラム、及び磁気ストライプから蛍光インク、及び紙や繊維のシート内のミクロンサイズの散乱粒子や均一なファイバのような機械的に読み取り可能なタグを含む。
識別テクノロジーへの関心が続く主な理由の一つは、全ての製品についての海賊行為の発生率の上昇であり、−World Trade Organization(世界貿易機関)は、全世界の取引の5乃至7%が偽造品であると推定している。一般的に偽造されているアイテムは、幾つかの例を挙げると、パスポートのような個人的ドキュメント、証明書、労働許可、ビザ及び運転免許証、紙幣のような金融商品、クレジットカード及び小切手、オイルフィルタのようなエンジニアリングコンポーネント、ブレークディスク及びガスケット、ソフトウエア、音楽及び音声のようなコンテンツ、メモリチップ、全コンピュータ及びテレビジョンのような電子商品、ハンドバッグ及び香水のような高級品、調合薬、インプラント及び機器のような生物医学商品とかを含む。時々大規模な偽造品の”蔓延“が、既存の偽造品防止方法は、特に、コピー方法が革新的に益々複雑になっているので、有効ではなことの明白な証拠である。
これらの問題に鑑み、異なるタイプのアイテムに適するように特に構成される識別のより安全なシステムの必要性が明らかになっている。例えば、パスポート、証明書、労働許可、ビザ及び運転免許証のような個人的ドキュメント、並びにATMカード、クレジットカード、通貨、小切手、及び取引時点での商取引の他の証券のような商業証券を確実に証明することの必要性がある。更に、ソフトウエア及び音楽の会社にとって、コンパクトディスク(CD)及びデジタル多用途ディスク(DVD)のようなアイテムの指紋採取を独自に行って著作権を侵害されたコピーの伝播を防止することができることは有益である。宝石、芸術品及び骨董品のような商品価値の高い品物が取引される更に他の例では、そのような品物を受け取った当事者がクレジットを発行する前に、その品物の同一性を突き止めることができることは極めて重要である。ブランドデザイナーのアパレル、時計、ステーショナリ、及びレーザー製品のような高級品購入する消費者は、例えば、彼ら(彼女ら)が購入しようとしている商品の真贋を決定できることによって利益を得る。同時に、疑わしい贋物の同一性の証明は、人がオブジェクト自体の識別情報を読み取ることが必要であるに過ぎない時にストリートで売られている偽物の識別は大規模に実現可能である。
典型的には、製品メーカーは、製品のシリアル番号のような独自の識別子を各製品に識別の手段として割り当て貼る。しかしながら、製造者が製造するオブジェクト上に何らかの識別保全を実施しようとしている製造者が直面する問題は、独自の識別子を何百万の個々のアイテムに提供するために非常に用途の広いコピー防止の識別タグを作ることは困難なことである。現在、オブジェクトに貼られた本物のシリアル番号は、一旦そのシリアル番号を識別することができると、容易にコピーされ且つ偽物に使用されることができる。より複雑な2次元バーコードを含む単一のバーコードは、そのバーコードの印刷パターンをコピーすることによって複製されることができる。このような識別子の再生の容易さに起因して、それらの複製を防止するために識別子の精巧さを改良する試みがなされており、そうすることにおいて、識別子が使用されている製品の偽物作りを妨げるのみならず、認証の手段を提供する。
独自のシリアル番号を種々の方法で機械読み取り可能セキュリティデータの形態として製品に又はパッケージに埋め込むことが試みられており、それによって、埋め込まれたセキュリティデータは、引き続いて読み取られて製品を証明するために及び/又は不正の使用を制御するために使用される。例えば、ソフトウエア製品の場合、埋め込みセキュリティデータは、ユーザがユーザのマシンにソフトウエアのインストール中に許可されていることを保障するために使用されることができる。金融やアクセスカード(例えば、デビット/クレジットカード、キーカード、社員証)の場合、埋め込みセキュリティデータは、例えば、ドアー、端末又は確実な取引を起動するために使用されることができる。
他のコピー保護と認証方法は、光学ホログラムのような、再生が困難である微小な機能を印刷又はスタンプすることを含む。例えば、米国特許第5,729,365号は、機能サイズの範囲を有する個々のコンピュータ生成ホログラムパッチのアレイを備えるマイクロリソグラフタグを開示している。これらのパッチは、適切な波長のレーザーで且つ適切な傾き角度で読み取られることができる識別情報を含む。
更に他の方法は、蛍光顔料やサーモクロミックインクのような、独自の物理的刺激を受けると検出可能な可視応答を現す材料及びインクを使用している。例えば、米国特許第6,264,107号は、約450nmと約1050nmの間の範囲内の波長を有する光を発する燐光性材料より成るマーカーを記述している。
偽造防止、認証及び改ざん防止のための電磁タグやマーカーの使用は、従来の技術で公知である。高周波識別(REID)タグやラベルは、オブジェクトに貼られるか或いは埋め込まれる。次に、オブジェクトは、そのタグの識別コードを突き止め、それをデータベースの既知の値と比較することができるリーダデバイスによって走査されることができる(例えば、米国特許第6201474号に示されるように)。
ステガノグラフィ(“データ隠蔽”とも呼ばれる)は、偽物作成と著作権侵害に対抗するための他の方法である。ステガノグラフィの一つの特定の形態は、電子透かしと呼ばれ、それは、機械読み取り可能識別情報をホストに埋め込むためにホスト信号やホストオブジェクトに収差を生成するプロセスである。ホストは、埋め込みコードが通常の観察者が見た時や再生した時に感知できない或いは略感知できないが、自動検出プロセスを介して検出されることができるように変更されてもよい。種々の電子透かしスキームは、例えば、ページ上の微細なライン、ワード、又は印刷文字の文字シフトを介して、任意のデジタルや印刷メディア上に電子透かしを埋め込むために使用される。透かしの符号化を復号化スキームの例は、米国特許第5,862,260号に示されている。
オブジェクトや品物に直接マークすることよりも、偽造防止及び認証目的のために解析されることができる物理的特性を有するラベルをオブジェクトに貼ることが一般的に知られている。例えば、米国特許第4.558,318号は、機械読み取り可能な識別番号を表す穿孔を保持する検証タグを記述している。
バイオメトリックスの分野において、人の識別は、人の生命を介して実質的に変化しない彼の/彼女の生理的特徴(例えば、米国特許第6,356,649号を参照)に基づいてパターン認識を介して実行される。例えば、人の指紋は、走査され、次の検証のためにデータベースへ格納される。指紋とは別に、顔や体の特徴と共に目の虹彩のパターンが識別目的で使用されている。
下にあるバイオメトリックスのアイデアは、宝石のような非生物オブジェクトに拡大されている。宝石識別のために、Collectors Universe,In.からのGemprintTMテクノロジーは、低電力レーザを使用してダイヤモンドの独自の反射と屈折を捕獲している。ダイヤモンドの異なるファセットを形成する時にダイヤモンドに付されるカットの僅かな差に起因して、独自の屈折パターンが、光源が各ダイヤモンドを通して光らせる時に各ダイヤモンドによって生成される。結果としての反射と屈折パターンは、記録され、その画像が、後でそのダイヤモンドの同一性を検証するためにデータベースに格納される。
発明が解決しようとする課題および課題を解決するための手段
これらの識別方法の存在にも拘わらず、継続する努力がそれらの制限を克服するために必要であるので、具体的な制限は、これらの方法においてなお存在する。本発明の目的は、従来の技術の方法とデバイスの欠点の幾つかを扱う、オブジェクトを識別する代替の方法を提供する。とりわけ、この目的は、各独立の請求項に定義される方法、目的、及びシステムによって解決される。
第1の態様において、本発明は、識別情報を有するオブジェクトを識別する方法を提供し、ここでは、その識別情報は、そのオブジェクトの同一性を検証するために使用される。本方法は、
第1のセットの識別情報と第2のセットの識別情報を備える少なくとも二セットの識別情報を有するオブジェクトを提供し、前記第1のセットの識別情報の少なくとも一つの識別機能は、前記第2のセットの識別情報の少なくとも一つの識別機能に関して、前記オブジェクトの異なる表面、側、又は面上に配置されるか又は中に組み込まれ、それによって、前記オブジェクトが識別されるように構成し、
前記第1のセットの識別情報の前記少なくとも一つの識別機能と前記第2のセットの識別情報の前記少なくとも一つの識別機能とは、互いに関して、固定された相対的空間位置に配置され、前記固定された相対的空間位置は、前記オブジェクトを識別するためのシグネチャを引き出すために使用され、
読み取りデバイスを提供し、前記読み取りデバイスは、前記オブジェクトの異なる表面、側、又は平面上に配置されるか又は中に組み込まれた前記少なくとも二セットの識別情報の各々の前記少なくとも一つ識別機能から信号を読み取るように構成され、且つ前記読み取りデバイスは、それが読み取られるべき前記第1のセットの識別情報の第1の離散的エリアと読み取られるべき第2のセットの識別情報の第2の離散的エリアとの間の空間関係を定義するように構成され、
前記読み取りデバイスを使用して、前記第1のセットの識別機能の内の前記少なくとも一つの識別機能の特性の少なくとも一つ特徴を決定し、それによって、第1の信号を得、
前記読み取りデバイスを使用して、前記第2のセットの識別機能の内の前記少なくとも一つの識別機能の特性の少なくとも一つ特徴を決定し、それによって、第2の信号を得、
前記第1と第2の信号を使用して、処理ユニットを使用して前記オブジェクトのための少なくとも一つのシグネチャを引き出す/形成する/発生する(それによって、本質的に又は明白に機能の空間関係)ことを特徴とする。
第1のセットの識別情報の識別機能と第2のセットの識別情報の識別機能が互いに関連して配置される固定された相対的空間位置は、ここでは、”機能の空間関係“とも称される。この機能の空間関係は、機械決定可能であり、且つオブジェクトの同一性を検証するために使用される。
上述のように、読み取りデバイスは、読み取られるべき第1のセットの識別情報の第1の離散的エリアと読み取られるべき第2のセットの識別情報の第2の離散的エリアとの間の空間関係を定義するように構成される。読み取られるべき第1のセットの識別情報の第1の離散的エリアと読み取られるべき第2のセットの識別情報の第2の離散的エリアとの間のこの空間関係は、ここでは、”読み取り”の空間関係とも称される。
ここで使用される用語“識別情報”は、(常に)読み取られることができる任意の機械読み取り可能情報を指す。識別情報は、一つ又はそれより多くの機械識別可能“識別機能”よりなる。識別機能は、制限するわけではないが、例えば、磁界強度、静電容量、コンダクタンス、蛍光性、反射性、又は色のような一つ又はそれより多くの常に測定可能物理的特徴を表示する。従って、識別は、一連のドット、ラインパターン、単純なタイミングマーク(単数又は複数)、1−D及び2−Dバーコード、ホログラフ機能、及び紙や繊維内に含まれるファイバのようなランダムなマーキングであってもよい。識別機能の他の例は、磁性粒子、散乱量子ドット、バブル、ボイド、物理的アンジュレーション及び粗さ、又は連続材料内のドメインや領域(例えば、磁気ドメイン)を含む。識別機能としてバブルの使用は、米国特許出願第2003−0014657号に記述されている。識別機能を形成することができるランダムに分布される材料の他の例は、PCT出願WO87/00604や米国特許第4,682,794号に記述されているもののような、層の一つ又はそれより多くの端に配置された二つの端を有する一枚の紙や連続光パイプにランダムに分散されたファイバ含む。他の識別機能の例は、制限されるわけではないが、米国特許出願第2005−017082A1号や国際特許出願WO2005/008284号に記述される磁性又は電気導電性材料を充填された多孔性材料や係属中のPCT出願PCT/SG2005/00012号に記述されるランダムに分布された材料や粒子であり、これらの内容は参照によりここに組み込まれる。用語“識別情報”は、“識別タグ“や”識別ラベル”や“識別パターン”のような他のより多くの具体的用語を包含する。シンボルやパターンが区別可能な印刷特徴を有することで十分であるが、アルファベットや数字の意味のような異なる意味を有する異なるシンブルやパターンを割り当てることが可能であり、それによって、一連の文字やパターンは、そのタグやオブジェクトに関して有意な情報を得るために逐次解読されることができる。
一セットの識別情報の一つ又はそれより多くの機能の特性の少なくとも一つの特徴(例えば、大きさ)を決定することによって、そのセットの識別情報を表す信号が得られる。ここで定義される用語“信号”は、読み取り装置によって行われる測定されるものを指す。バーコードの例では、光のビームがそのバーコード上を通過する時にそのバーコードの表面を横切る反射特性を決定することから得られる信号は、反射性の信号である。層内に分散されたランダムな磁性粒子を有する磁気層の例では、磁気読み取り要素がその層を横切って走査する時に測定されることができる信号は、磁界強度である。導電性識別機能が使用される場合、電界強度が測定されることができる。光学活性粒子が識別層にランダムに分散されている場合、蛍光性や発光強度が測定されてもよい。或いは、RFIDタグが使用される場合、タグによって生成される高周波信号が測定されてもよい。他の可能な特徴が他のタイプの識別情報から測定されることができる。
識別情報は、少なくとも部分的に、複数のランダムに分布された粒子が存在する識別層よりなってもよい。ランダムに分布された粒子は、例えば、磁界強度、静電容量、又はコンダクタンスのような、一つ又はそれより多くの常に測定可能な物理的特性を表示する物質よりなることができる。粒子のランダムな配置に起因して、特定のセットの識別情報に特有な信号が、識別層の一部上の磁界強度の大きさのような、これらの特性の特徴を読み取り装置で決定することによって得ることができる。また、ここでは、"ランダムに分布された粒子“は、物理的に別々の粒子を意味していると理解されるが、連続する材料内の機能や変化(これらが本質的にランダムである又は高く無秩序とされている限り)を意味していると理解される。例えば、"ランダムに分布された粒子”は、空隙、バブル、又は連続する材料を有する磁気ドメインや、反射率や電気特性を変化する領域を含む。
他の態様では、本発明は、識別タグが取り付けられることができるオブジェクトを識別するための識別タグを提供する。そのタグは、少なくとも二つのセットの識別情報よりなり、前記少なくとも二つセットの識別情報は、第1のセットの識別情報と、第2のセットの識別情報よりなり、これらの情報の各々は、識別タグの異なる表面、側、又は平面に配置され、前記第1の識別情報の識別機能と前記第2の識別情報の識別機能は、互いに関して固定された相対的空間位置に配置され、前記固定された相対的空間関係は、オブジェクトを識別するために使用される。
他の態様では、本発明は、識別タグが取り付けられることができるオブジェクトを識別するための識別タグを提供する。そのタグは、少なくとも第1のセットの識別情報よりなり、且つオブジェクトは、少なくとも第2のセットの識別情報よりなる。各セットの識別情報がオブジェクトの異なる表面、側、又は平面内に配置されるようにタグがオブジェクトに取り付けられると、前記第1雄セットの識別情報の識別機能と前記第2のセットの識別情報の識別機能は、互いに関して固定された空間関係に配置され、前記固定された空間関係は、オブジェクトを識別するために使用される。
本発明の他の態様は、少なくとも二つのセットの識別情報を含むオブジェクト、そのオブジェクトを識別するための識別システム、及びそのオブジェクトの識別機能を読み取るための読み取りデバイスに関する。
本発明において、少なくとも二つのセットの識別情報の識別機能は、各々識別タグ、オブジェクト、又は、その両者、又は組み合わされる場合は二つ又はそれより多くのオブジェクトの異なる表面、側、又は平面内に含まれる。それらのセットの識別情報及び機能の空間関係は共に偽造防止及び改ざん防止目的(又は改ざんの証拠を提供する)のためにそのオブジェクトに特有の識別データを提供する。
読み取りデバイスは、それらのセットの識別機能から信号を読み取りそれらの空間関係を決定するように構成される。それらのセットの識別情報から読み取られた信号は、オブジェクトを独自に識別するための"シグネチャ“を形成するように機能の空間関係を使用して、直接的に、間接的に又は本質的に組み合わされるかリンクされる。機能の空間関係を使用して組み合わせる又はリンクすることは、機能の空間関係が大きく変化される場合、オブジェクトのシグネチャが異なることを意味する。これらのセットの識別情報の元の読み取りから引き出されるシグネチャは、データ格納手段、例えば、データベースを形成することが好ましいメモリデバイスに格納されることができる。このシグネチャは、オブジェクトやタグの”事前格納された基準シグネチャ"と称される。オブジェクトの引き続く読み取りから得られるシグネチャは、事前格納された基準シグネチャに対して比較され、そのオブジェクトが本物である及び/又は改ざんされていないことを保障する。
シグネチャは、第1と第2の信号の相関性のある数値データ、及び二セットより多くの識別情報がオブジェクトに配置されている場合は、第1、第2、及び更なる信号の相関関係のある数値データを含む、オブジェクト上の任意のセットの識別情報の読み取りから得られた信号の相関性のある数値データよりなることができる。
有利なことは、本発明者らは、既存の相対的空間位置と元のセットの識別情報における識別機能のアラインメント(位置合わせ)が構築されたコピー内に維持されるように二つ又はそれより多くの別個の位置に配置されたセットの識別情報を十分に正確に構築することが困難であることを発見した。この知見により、タグやオブジェクトの真偽を決定するために、それらのセットの識別情報及びそれらの機能の空間関係から独自のシグネチャを形成することができる。二つのセットの識別情報の間の相対的配置がマイクロスケール又はそれ以上まで位置合わせ誤りに対して解析されることができるので、本発明は、実際上コピー防止の簡単な識別方法を提供する。
ここで、用語“オブジェクト”は、中に又は上に複数のセットの識別情報が組み込まれる又は配置される個別のオブジェクト/タグを指す。用語“オブジェクト”は、価価値のあるアイテムを識別する目的のために単一のオブジェクトを効果的に形成するように組み合わされた二つ又はそれより多くのオブジェクト(タグ又は複数のタグを含む)を指す。用語“オブジェクト”は、ある文脈では、識別されるべき又は識別タグがつけられた品物を指す。
本発明に従う方法では、識別される又は識別可能とされるように構成されるオブジェクトは、少なくとも第1のセットの識別情報と第2のセットの識別情報を備え、これらの少なくとも二つの識別情報の機能の空間関係は、オブジェクトの同一性を突き止めるために使用される。この文脈において、オブジェクトは、識別情報がオブジェクト上に付着又はオブジェクト内に組み込まれる時に識別されるように構成される。複数のセットの識別情報が識別タグ上に形成され、引き続いてオブジェクト上に付着される場合も同様である。上記定義に従って、これらのセットの識別情報は、例えば、光学的に読み取り可能なパターン、磁界強度パターンを提供する磁気ストリップ、表面上に蛍光強度パターンを提供するタグ表面上の散乱された蛍光粒子を含む任意の機械読み取り可能パターンよりなる。識別されるようには構成されないオブジェクトは、固有の機能よりなることができるが、上記定義に従って、これらの固有の機能は、識別にオブジェクトを適合させるように働かない。
識別層を使用する本発明の一実施の形態において、その識別層は、要素Fe、Ni、Co、それらの合金、酸化物、それらの混合物及び組み合わせから導出される複数のランダムに分布された磁性又は磁化可能粒子よりなる。磁性粒子の各々は、磁界を出すので、複数のランダムに分布された磁性粒子は、独自の磁界強度パターンを提供する。従って、このような識別層の読み取りは、磁界強度を読み取りすることを備え、それによって、磁界強度信号を得る。また、識別層にランダムに分布された導電性及び/又は半導体粒子又は例えば発光性を有するタンダムに分布された光学的にアクティブ粒子を使用することが可能である。粒子は、約10ナノメートルと約500ミクロンメートルの間の最大寸法を有することができる。好適な実施の形態において、これらのランダムに分布された粒子は、金属、セラミックス及びそれらの組み合わせからなる群から選択されたホストバインディング材料中に一緒に保持されることができる。出版された米国特許出願番号第2005−0017082号は、そのような識別層とそれらを製造する方法を詳細に記述している。識別情報よりなる識別タグの更なる詳細が、以下に詳細に記述される。
異なるタイプの識別情報(バーコード、磁気タッグ、RFIDタグ、蛍光粒子タグ及び電導性粒子タグ)を使用する異なる可能性を考えると、異なる組み合わせの異なるセットの識別情報の識別機能同士間の相対的空間位置は、制限されるわけではないが、バーコードとバーコード、バーコードと磁気タグ、バーコードと蛍光性タグ、磁気タグと磁気タグ、磁気タグと蛍光性タグ等のような組み合わせを含むオブジェクトを識別するために使用されることができる。
使用される識別情報のタイプに関係なく、第1と第2の識別情報の両方は、オブジェクトの、又はタグ上の、又は両方の異なるセットの表面、側、又は平面内に配置又は含まれる。配置の幾つかの組み合わせが可能である。一実施の形態では、第1のセットの識別情報は、(頂表面のような)オブジェクトの第1の表面上に配置され且つ第2のセットの識別情報は、(横表面や底表面のような)オブジェクトの第2の表面上に配置される。例えば、第1と第2のセットの識別情報の両方は、オブジェクトの表面に直接印刷されてもよいし、接着剤シート上に印刷され且つオブジェクトの表面上に貼られてもよい。この方法と共に使用されるべきタグ中のそのような配置の実施は、一セットの識別機能を各端に有するストリップである。このようなストリップは、オブジェクトの一部への取り付けのためにループを形成するようの折り曲げられることができる(図15を参照)。
他の実施の形態において、第1のセットの識別情報は、オブジェクトの第1の側に配置され、且つ第2のセットの識別情報は、オブジェクトの第2の側に配置され、前記第1と第2の側は、同じ平面にある。例えば、これらのセットの識別情報は、ロッド形状のオブジェクトやバー形状のオブジェクト上に印刷されることができ、それによって、オブジェクトの表面を画定する同じ筒状面上にあるが、それらは、オブジェクトの異なる物理的側に配置されることができる。
更なる実施の形態において、第1のセットの識別情報は、オブジェクト内の平面内に配置され、第2のセットの識別情報は、オブジェクトの一表面上に配置される。例えば、矩形のブロック形状のオブジェクトやタグにおいて、第1のセットの識別情報は、オブジェクトやタグ内の平面に埋め込まれることができ、それによって、それは、視覚的に感知できないが、第2のセットの識別情報は、タグの表面上に配置される。
更に他の実施の形態において、オブジェクト上に配置されるタグの表面上に配置された第1のセットの識別情報を有することが意図され、且つ第2のセットの識別情報は、タグ内の平面内に配置される。また、この配置は、識別情報が存在し得るシート状の材料同士間に挟まれた複数の識別層の一つを有するタグの形態で実施される。
これらのセットの識別は、球形オブジェクトやダイヤモンドのような多小表面オブジェクト上に配置される場合に、オブジェクトの一側に配置された識別情報がオブジェクトの他の側に配置される識別情報から反対の方向へ向くことができるように、オブジェクトの側に配置されることができる。一実施の形態において、そのセットの識別情報は、クレジットカード、トラベルチケット、又はコンパクトディスクの平らなエッジのような、オブジェクトの厚みを画定するオブジェクトのエッジ上に配置される識別層よりなる。このような配置において、識別層の読み取り可能な部分は、そのもっとも寸法が小さいところに配置される。この部分は、識別層に含まれる識別機能を読み取るためにアクセス可能であるように露出される。より好ましくは、識別機能は、識別機能がトラックから有意に読み取られることができるに過ぎないように識別層のもっとも薄い寸法を露出するトラックから読み取られる。このような識別層を形成する方法の例が以下に記述される。これに関して、二つのセットの識別情報は、隠されてもよいし、視界から覆われてもよく、或いはそれは、読み取りのために完全に露出されてもよい。もし隠される場合、識別情報は、機械的に露出されることができる。例えば、識別層は、支持及び/又はカバー層が使用されるならば、その層の最も薄い寸法が読み取りのために露出されるまで、単純な切り込み、識別層や層構造を研磨や磨耗させることのような適切な機械的手段によって露出されることができる。
上述の識別層よりなる識別情報は、単独でその最も薄い寸法から読み取られることができる。また、識別層は、その最も薄い寸法からと他のセットの識別情報が得られることができる“主表面”からの両方から読み取られることができることが可能である。"主表面“は、ここでは、より大きな又は周囲よりも高くなった表面として定義される。例えば、図1aにおいて、バーコードシンボルによって占有される表面は、この定義では、"主表面”であると考えられるが、識別層を露出するトラックは、ここで使用されている定義では、狭いエッジであり、"主表面”を構成しない。このように、本発明において、識別されるべきオブジェクトや識別タグの"主表面"エリアよりもう通常かなり小さな表面を有する表面は、読み取り可能識別層を露出するトラックを提供するための表面として一般的に使用される。
各セットの識別情報の識別機能を読み取るために使用される読み取りデバイスは、そのセットの識別情報をから要求される信号を得るように構成される。例えば、そのセットの識別情報がバーコードよりなる場合、そのセットの識別情報の識別機能の特性の特徴を決定するために使用される読み取りデバイスは、識別機能、例えば、バーコード上のクロバーを読み取るように構成される。バーコードのような印刷パターンの読み取りは、例えば、バーコードから反射率を測定するように使用されることができるレーザスキャナのような従来のスキャナで実行されることができる。そのセットの識別情報がランダムな磁性粒子を有する磁気ストリップよりなる場合、使用される読み取りデバイスは、例えば、ガウスメータや磁気計のような磁界強度リーダよりなることができる。蛍光読み取りは、蛍光計から得られ、残留計(residumeter)は、静的な場強度測定を決定するために使用されることができ、トランスポンダは、RFID信号を決定するために使用されることができる等である。
読み取りデバイスは、前記少なくとも二つのセットの識別情報を読み取るための一つ又はそれより多くの読み取り要素を有することができる。二つの類似のタイプの識別情報(例えば、オブジェクト上に配置された二つの光学的に読み取り可能なコード)を読み取る目的で、読み取りデバイスは、唯一つの読み取り要素よりなることができ、その場合、読み取りは、逐次実行されなければならず、例えば、第2のセットの識別情報は、第1のセットの識別情報の後に読み取られる。しかしながら、この場合、二つの類似する読み取り要素、各々がオブジェクト上の識別情報の位置に対応する、を有する読み取りデバイスを使用することが可能である。二つの異なるタイプの識別情報が存在する(例えば、磁気ストリップと光学的に読み取り可能なコード)場合、読み取りデバイスは、二つの異なる読み取り要素よりなることができる。しかしながら、他の実施の形態では、第1と第2のセットの識別情報が同じタイプである場合、読み取りデバイスは、単一の読み取り要素よりなっていてもよい。磁気読み取り要素や光学的に読み取り可能な要素のようなこの単一の読み取り要素は、例えば、二つのセットの識別情報の各々を読み取るために(読み取りデバイスによって定義される)二つの固定位置同士間を移動可能であることができる(自動化されていても手作業で移動されてもよい)。このように、この実施の形態では、読み取り要素がシフトできるこれら二つの位置は、読み取られるべき二つのセットの識別情報の二つの離散エリア同士間の空間関係を定義する構成を提供する。唯一つの読み取り要素を有する読み取りデバイスの他の実施の形態では、この読み取り要素は、静止されており、その読み取りデバイスは、読み取り要素が二つのセットの識別情報の各々の識別機能から識別機能の特徴を受け取るように設計される。例えば、読み取りデバイスは、例えば、鏡を備える光学経路を有し二つのセットの識別情報の各々の識別機能によって引き起こされる反射光や蛍光放射のような光学特徴を静止読み取り要素へ送るように設計されることができる。他の実施の形態では、各々が読み取り要素よりなる二つのリーダは、単一の読み取りデバイスを形成するように物理的且つ電気的に連結されてもよい。
識別情報から要求される信号を得るように構成されることとは別に、上述のように、読み取りデバイスは、そのデバイスによって読み取られるべき識別情報の少なくとも二つの離散エリアの空間関係(先に定義されたように、これは読み取り空間関係として既知である)を定義する構成を有する。これは、読み取りデバイスがオブジェクト上の各セットの識別情報の位置に対応するように配置されたその読み取り要素(単数又は複数)を有することを意味する。例えば、第1のセットの識別情報がオブジェクトの側に配置され、第2のセットの識別情報がオブジェクトの頂部に配置されるならば、読み取りデバイスは、オブジェクトの頂部からそのセットの識別情報を読み取るように配置された第1の読み取り要素とオブジェクトの側からそのセットの識別情報を読み取るように配置された第2の読み取り要素を有することができる(図1Cを参照)。或いは、且つ上で説明されたように、単一の読み取り要素は、二つのセットの識別情報を読み取るために設けられた二つの位置の間を移動できるか又は読み取りデバイスは、読み取られるべき特徴を静止単一読み取り要素に向けるための光学的経路を備えることができる。読み取りデバイスは、一般的に、読み取られるべき識別情報のエリアの少なくとも一つの座標を定義し、例えば、それは、そのエリアがオブジェクトのコーナーやエッジかどの程度はなれているかを定義できる。他の実施の形態では、読み取りデバイスは、絶対長スケールを定義できる及び/又は読み取られるべきオブジェクトに対して形状に関して相補的であることができる。
第1のセットの識別情報の少なくとも一つの識別機能と第2のセットの識別情報の少なくとも一つの識別機能との間の相対的空間位置は、処理ユニットによって、第1の信号と第2の信号からシグネチャを発生するために使用されることができる。これは、第1の信号及び/又は第2の信号を、例えば、時間の関数又は空間ドメインとして得ることによってなされる。そうすることによって、例えば、第1の時間ドメインデータの値のセットと第2の時間ドメインデータの値のセットが得られる。その時間ドメインにおいて又は相対位置に関して(例えば、空間ドメインにおいて)第1の信号及び/又は第2の信号から捕獲されるデータは、正規化されることができる。或いは、数学関数は、データに当て嵌められることができる。第1と第2の信号を使用してシグネチャを形成することは、第1の信号データを使用して基準機能を決定し且つこれらの基準機能を使用して第2の信号データを正規化又は標準の空間ドメインへマッピングすることを含む。データがマッピングされる標準のドメインは、各オブジェクトに対して同じであってもよいし異なっていてもよい。上述のように、データは、それらのセットの識別情報に含まれる識別機能の選択された特性の特徴に関連する。少なくとも一つ、複数(例えば、少なくとも2つ以上)の、又は第1のセットの識別情報の各識別機能(又は各識別機能から読み取られたデータ)を、それに空間的に位置合わせされる、少なくとも一つ、複数の、又は第2のセットの識別情報の各識別機能を関連付けることによって、それらの二つのセットの識別情報の間の相対的空間位置が決定されることができる。第1と第2の識別情報の識別機能に適用される用語“位置合わせされる”は、平行又は垂直に位置合わせされた識別機能を指すのみならず、識別機能同士間の他の任意の位置合わせを含み、例えば、これらの機能は水平方向から互いに対して45°の角度
で位置合わせされる。更に、位置合わせは、同じ物理的サイズである識別情報のセットで可能であるのみならず、それは、各セットの識別情報に対する読み取り期間が異なっている(例えば、同じRFIDタグからの電磁信号が物理的により大きなバーコードからの反射率信号に関連付けられる)ように異なるサイズの識別情報のセットで可能である。
従って、各セットの識別情報の識別機能同士間の空間的位置合わせに基づいて第1の信号を第2の信号へ関連つける又は相関させるための任意の適切なスキームが使用されることができる。このようなスキームの例は、タグ/オブジェクト上の特定位置に配置される各セットの識別情報の識別機能を表す各信号からのデータを相関することである(空間相関)。また、この空間的位置合わせは、同じ時間で互いの非常に短い時間(例えば、マイクロ秒以内)で取られる各信号からのデータポイントを関連すけることによって間接的に決定されることができる(時間相関)。更なる例は、以下に記述される。
一実施の形態では、第1のセットの識別情報の少なくとも一つの識別機能の読み取りの時間を計る。各セットの識別情報の読み取りの時間を計ることは、時間ドメインデータをもたらす。この用語“時間ドメインデータ“は、読み取りが行われた時間に関連付けられた物理量の読み取りを指す。それによって、一セットの第1の時間ドメインデータが得られ、そこでは、第1及び/第2のセットの識別情報の読み取りから測定される物理量の特徴(例えば、値)が時間の関数として表される。従って、第1のセットの識別情報の少なくとも一つの識別機能の時間を計った読み取りは、第1のセットの時間ドメインデータをもたらし、第2のセットの識別情報の少なくとも一つの識別機能の時間を計った読み取りは、第2のセットの時間ドメインデータをもたらす。
一セットの識別情報の識別機能の読み取りの時間を計ること、例えば、バーコードを横切る反射率値の読み取りの時間を計ることによって、アナログの反射率信号が得られる。この情報は、測定される物理量を表す一セットの生のデータ及び測定が行われた一セットの対応する時間データとして記録されることができる。アナログ信号をデジタル信号へ変換することによって、例えば、アナログ−デジタルコンバータ(ADC)を使用して事前に決定されたサンプリングレートに設定された読み取りを処理することによって、離散的データが指定の時間間隔での読み取りから得られる。この離散的データは、例えば、基準マーカーやタイミングマークを提供すること及び機能の空間関係を測定することを含む種々の機能を提供する。マーカーが一セットの識別情報において表される場合、それは、他のセット(単数又は複数)の識別情報から機能の相対的空間位置が求められるべき基準ポイントとして働くことができる。
任意の適切な方法、例えば、数値的方法は、正規化又はフィッティング(当て嵌め)によって第1と第2の信号から得られるデータを解析するために使用されることができる。例えば、アナログ信号は、信号が数式の形態で時間の関数として表すことができるフィッティング関数によってモデル化/フィッティングされることができる。例えば、IDバーコードを読み取るとき、ラベルのダークエリア(例えば、ダークバー)の中間点の位置が補間関数(後でより詳細に説明される)によって識別されることができ、中間点は、単一のダークバーコード機能を表すために取られることができる。
幾つかの実施の形態では、フィッティング関数は、第1と第2の信号に対するデータを補間する又は補外することができる任意の数学関数から選択されることできる。一般的に、補間又は補外は、実験から得られる離散的セットの既知のデータポイントから数学的関数を公式化することよりなり、それによって、新たなデータポイントは、その関数から計算されることができる。データをモデル化/フィッティング又は正規化するために使用されることができる関数の例は、多項式関数、スプライン関数、スペクトル関数(例えば、ウエーブレット関数やフーリエ関数)及び多変数関数を含む。補間目的のために、例えば、線形補間関数、多項式補間関数、及び多変数補間関数が使用されることができる。
前述のように、補間に効果的であることが判った多項式関数の一つのクラスは、スプライン関数よりなる。スプライン補間関数は、データポイントの全体の範囲にわたって段階的に各セットの間隔をモデル化するために一連の低次の多項式を補間式として使用する。区分多項式は、それらが実験データを補間するために滑らかに一緒にフィットするように選択される。例えば、我々が、6個のポイントを補間するために三次スプラインを使用すると、我々は、全ての2点間の間隔をモデル化するために区分的三次元曲線を使用できる。これらの曲線を一緒につなぎ合わせるために、我々は、隣接する三次曲線の2次と1次の導関数のエンドポイントと等しい各区分的三次曲線のエンドポイントで2次と1次導関数を設定し、それによって連続2次導関数を提供する。これによって、各ポイントを通過する滑らかな曲線が提供され、このように、それらのポイントを補間する。スプラインに関するもっと多くの情報が必要ならば、以下の標準のテキストを参照されたい:Bartels,R.H.;Beatty,J.C.;及びBarsky,B.A."An Introduction to Splines for Use in Computer Graphics and Geometric Modeling.”San Francisco,CA:Morgan Kaufmann,1998;de Boor, C.”A Practical Guide to Splines.”New York:Springer−Verlag,1978;Dierckx,P.”Curve and Surface Fitting with Splines.”Oxford, England:Oxford University Press 1993.
更なる実施の形態において、読み取りは、時間に関して行われる。第1のセットの識別情報の第2のセットの識別情報への相関は、最初に第1の信号から基準ポイントを決定し、この基準ポイントを使用して第2のセットの識別機能から読み取られた信号を正規化することによって達成される。この実施の形態では、この機能の空間関係は、基準機能に関して読み取られた識別機能の位置を補間することによって間接的に決定されることができる。正規化された信号は、事前に格納された基準シグネチャとして使用されることができる。各基準点や識別機能は、事前に決定された基準に基づいて選択されることができる。選択の基準の例は、第1の時間ドメインデータ中の最大値、最小値、及びこれらの最大値と最小値の間の中間点を選択することを含む。この文脈において、用語“基準ポイント”又は"基準機能"は、第2のセットの識別情報中の識別機能との相関のためのノードとして働く第1のセットの識別情報の識別機能を指す。ここで使用される用語"基準”は、オブジェクトの事前に格納された基準シグネチャに対する基準を意味しない。
また、擬似時間非依存相関は、複数セットの識別情報を同時に読み取ることによって、実行されることができる。一実施の形態では、読み取りデバイスにおける二つの独立読み取り要素(中央処理ユニットによって制御される)は、各々は、夫々、同時に第1と第2のセットの識別情報を読み取るように作られ、それによって、読み取りから得られるデータは、位置セットの生のデータに対する数学的演算を実行することを必要とすることなく、互いに直接にマッチングされることができる(従って、相関されることができる)。この用語"同時に“によって、我々は、各々が各読み取りデバイスで読み取られる、二つ又はそれより多くのセットの識別情報の識別機能の同時読み取りを指すのみならず、一つの読み取りデバイスの逐次読み取りによって制限されている場合、単一の読み取りデバイスを使用して第1のセットの識別情報と第2のセットの識別情報からの交互に行われるデータの読み取りも指し、従って、リーダがオブジェクトに関して移動して種々のセンサから(例えば、種々のセットの識別機能から)の交互読み取りを指す。"同時”読み取りが、実際に異なるセンサからの交互の読み取りである上の記述において、読み取りは、互いに非常に短い時間内(通常ミクロン秒内)に生じ、それによって、データの解釈のために、これらの読み取りは、実際上同時に起こる。
幾つかの実施の形態では、識別情報のセットの読み取りは、同様の方向に実行されることができる、即ち、読み取りは、一定方向に実行される。或いは、読み取りは、異なる方向へ実行されてもよい。
処理ユニットは、適切なサンプリングレートで複数の識別情報の識別機能の読み取りをサンプリングするために、即ち、読み取りデバイスが識別情報を横切って移動される時に二つの別個のセットの識別情報から同時に取られる読み取りを処理するために使用される。現在使用されることができる処理ユニットの例は、例えば、ATMEL、Freescale Semiconductors and Analog Devicesのようなメーカーから入手可能な16ビットや32ビットのマイクロコントローラのような任意のマイクロコントローラを含む。読み取り中の読み取り要素と識別機能との間の相対速度、及び/又は走査速度(識別情報の走査は、読み取り要素を必ずしも移動することなく行われる)は、その読み取りからデータを捕獲するための処理ユニットのサンプリングレートを決定するために使用されることができる。読み取りデバイスによる第1のセットの識別情報の読み取りから引き出される速度についての情報は、第2のセットの識別情報からデータを捕獲するためにサンプリングレートを制御するために使用されることができる。
読み取り要素と前記第1のセットの識別情報との間の相対速度及び/又は走査速度が読み取りデバイスで決定される一実施の形態において、第1のセットの識別情報は、標準のフォーマットよりなる。ここでは、“標準のフォーマット”は、識別情報がその識別情報についての予測知識を得ることが可能となる事前定義されたフォーマットよりなることを意味する。例えば、(1D)バーコードは、そのような標準フォーマットである。理由は、バーコードは、2進(黒か白)であること、それらのバーコードは、標準の厚みのものである(即ち、薄いバーが1単位厚である場合、厚いバーが2単位厚、且つ非常に厚いバーが3単位厚であり、例えば、2.5単位厚のバーはない)ことは事前に定義されるからである。特定のバーコードに割り当てられたバーコード番号が未知であっても、このバーコードの事前定義された情報は既知である。従って、意図的にランダムな分布となる処理によって作られる、中にランダムに分布された材料を有する層は、ここで使用される、"標準のフォーマット“ではない。
上の二つのパラグラフで述べられているように、データ捕獲速度の現場制御は、非常に有用であり、ある時には、実際的状況において必須である。例えば、本発明者等は、(図20aに示されるような)オブジェクトからバーコード及び磁気識別情報を読み取るため使用されるバーコード読み取り要素と磁気読み取り要素(図20bに示されるような)を組み込む手持ちタイプ読み取りデバイスを構成した。読み取りデバイスは、以下のように働く:そのデバイスがオブジェクトへ運ばれた時、バーコード読み取り要素は、それが白色反射表面上に位置されたことを感知する(即ち、読み取り要素がバーコードの始まり前にオブジェクト上に位置される)。ユーザがオブジェクトを横切るようにリーダを通すと、バーコードセンサは、バーコードの始まりを表す白と黒の領域の間の迅速は変化を感知する。この場合、読み取りデバイスのマイクロコンピュータ(処理ユニット)は、バーコードセンサと磁気センサの両方からデータを捕獲し(且つ記憶する)ことを開始するようにプログラムされている。マイクロプロセッサのチップは、一般的にメモリ容量が制限されており、且つ捕獲し且つ記憶するデータが多すぎる場合、メモリのオーバーフローが発生するので、データ捕獲のこの開始は、非常に重要であることは明らかである。また、データを捕獲する速度を知ることも重要である。例えば、ユーザが読み取りデバイスをゆっくりと通している場合、データ捕獲は、比較的ゆっくりとなされる。理由は、1)均一なゆっくりとした捕獲速度は、バーコードと磁気識別情報の両方の正確な読み取りのために十分なデータをサンプリングできるため、及び2)データ捕獲が相対的に遅くない場合、マイクロプロセッサのメモリがその読み取りが終了する前にオーバーフローする可能性があるためである。しかしながら、通常、手動で通す場合、通す速度(即ち、読み取り要素と読み取られるそのセットの識別機能との間の相対速度)は、読み取りの開始から読み取りの終了までに大きく変化する。即ち、ユーザが静止位置から通しを開始しているならば、読み取りデバイスは、典型的には、始めは非常にゆっくりと移動しているが、通し中、読み取りデバイスは、通常、読み取りの終了に向かって、読み取りデバイスがかなりの速度で移動している間、移動中加速される。データ捕獲(と記憶)速度は、バーコード読み取りの始めに定義される比較的ゆっくりとした速度に維持されるならば、十分なデータを捕獲してそれらのセットの識別情報を適切に読み取るためには遅すぎるということが起こり得る。従って、本発明の方法を使用して読み取り中のデータ捕獲速度を更新及び変更することによって、読み取り中に適切なデータ捕獲(と記憶)速度が使用されることが可能となる。ここで述べられているように、両要素の通す速度が同じ(又は少なくとも互いに関連する)である場合、第1のセットの識別情報(この場合はバーコード)から決定される通す速度は、両セットの識別情報を読み取る読み取り要素のためにデータ捕獲速度を調節するために使用されることができる。この文脈において、信号を読み取るために、読み取りデバイスと従って読み取り要素(単数又は複数)が移動され、且つ識別するように構成されるオブジェクトが止まっていうるか、或いはその逆に、オブジェクトが移動され、且つ読み取りデバイスと読み取り要素(単数又は複数)が固定されることができることが言える。勿論、識別情報を読み取りながら、読み取りデバイスとオブジェクトの両方を移動することが可能である。
更に、処理ユニットは、読み取りシグネチャのデータを将来の検証チェックのために更新された事前格納された基準シグネチャとして格納することによって事前格納された基準シグネチャを更新するように構成されることができる。より長い期間の間、識別タグ又は識別されるように構成されるオブジェクトを使用する時に、識別タグの集中的な使用の結果として、トラックや識別層全体の磨耗が生じる。このような磨耗は、特徴シグネチャの変化を引き起こす。事前格納された基準シグネチャが常に一定のままである静的システムにおいて、このような磨耗の影響は、識別タグがそのシステムによって認識されないという結果となる。このように、本発明の一実施の形態で使用される動的システムは、検出されたシグネチャにおける変更を更新し、事前格納された基準シグネチャとしてこの更新されたシグネチャを格納する。このように、識別層の材料の磨耗に起因する時間経過に従う小さな変化は、考慮され、磨耗の結果として有効ではないタグやオブジェクトの誤った区分が回避されるので、システムの機能性が改良される。
そのセットの識別情報の読み取りから引き出されるデータは、ハードディスクやメモリチップのようなデータ記憶媒体に格納されることができる。そのデータは、生のデータ、圧縮されたデータ、及び/又は暗号化されたデータとして格納される。格納によって、処理ユニットは、引き続いてそのデータに対して任意の必要な数学的手順を実行でき、それによって、第1のセットと第2のセットの識別情報との間の相対的空間位置を決定でき、或いは証明を行う時には、一セットの新たに読み取られたシグネチャと事前格納された基準シグネチャとの間のマッチングを決定できる。
事前格納された基準シグネチャが読み取りデバイスのメモリに永続的に格納されることは必要ない。むしろ、読み取りデバイスは、それが、例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)やインターネットのようなワイドエリアネットワーク(WAN)からアクセスされることができる遠隔データ記憶媒体に格納される事前格納された基準シグネチャを受信することができるように設計されることができる。或いは、読み取りデバイスは、タグが取り付けられるオブジェクトや識別されるべきオブジェクトに格納された事前格納基準シグネチャを受信できる。この文脈で、オブジェクトやタグは、追加的に、更なる情報、例えば、オブジェクトのプライス、その製造者の名前等を格納できる。このような情報は、従来のバーコード、2次元バーコード、磁気ストリップ又はメモリチップに含まれることができる。このように、読み取りデバイスは、従来のバーコード、2次元バーコード、磁気ストリップやメモリチップを読み取るように構成されることができる。
しかしながら、より一般的には、読み取りデバイスは、それが事前格納された基準シグネチャを格納する遠隔デバイス(コンピュータのような)に読み取られたシグネチャを送ることができるように設計されることができる。この遠隔デバイスは、シグネチャ同士を比較し、そのアイテムを識別し且つ要求される追加の情報を提供する応答を送り返えす。実際の読み取りデバイス自体は、しばしば、通信デバイスを介して(例えば、携帯電話、インターネットへ接続されるコンピュータ、又は固定ライン通信デバイスを介して)遠隔デバイスと通信する。この実施の形態では、遠隔デバイスは、メッセージを読み取りデバイス自体へ送り返す必要はないが、むしろメッセージは、通信デバイスへ送り返され、次に、その情報をユーザへ表示する。例えば、読み取りデバイスが、携帯電話を介して通信すると、遠隔デバイスは、メッセージを携帯電話へ送り返すことのみが必要である。携帯電話は、その情報を実際の読み取りデバイス自体へ送り返すことなくユーザへその情報を表示できる。
エラーを扱うことができる更に強固なシステムを提供するために、第1及び/又は第2のセットの識別情報の一方又は両方は、第1のセットの識別情報及び/又は第2のセットの識別情報の読み取り値がそれらの実際の値と対応するか否かを決定するためにエラー扱い情報を含むことができる。これは、以下の例において後で述べられるように、チェックサム値をそれらのセットの識別情報へ含ませることによって達成されることができる。
一実施の形態において、オブジェクトの同一性は、証明或いは検証されることができる。識別情報を有するオブジェクトの同一性を検証又は証明するステップは、オブジェクトから読み取られるシグネチャをデータベースに格納された事前格納された基準シグネチャと突合せすることによって達成される。更に、検証は、いずれかのセットの識別情報の識別機能の読み取りから得られる個々の信号をチェックすること(即ち、読み取られた磁気信号を認証された磁気信号に対して突合せすること)又は識別情報内の他の情報(例えば、種々のバーコードパターンに割り当てられた0、1、2、3、4、5から9のような数字の意味)をチェックすることを含むことができる。
上記に説明されたように、読み取りデバイスは、それが、読み取られるべき第1のセットの識別情報の第1の離散的エリアと、読み取られるべき第2のセットの識別情報の第2の離散的エリアとの間の空間関係(先に定義されているように、これは、読み取りの空間関係と称される)を定義するように構成される。各離散的エリアは、読み取られるべき全セットの識別情報の一部分よりなることができ、又は、それは、読み取られるべき全セットの識別情報の全体よりなってもよい。事前格納された基準シグネチャを確立するためにそれらのセットの識別情報を読み取る時に、識別情報の全体からの信号は、完了のために読み取られることができる。しかしながら、後で検証を行う時は、それらのセットの識別情報の一部分からシグネチャを読み取るだけで十分である。この読み取られたシグネチャは、事前格納された基準シグネチャの小部分と相関される。
読み取りデバイスが、第1と第2のセットの識別情報を読み取ることからアナログ信号を得る場合、認証は、時間ドメインにおける読み取られたシグネチャを表すグラフをチェックし、それを事前格納基準シグネチャの時間ドメイングラフ表示に対して突合せすることよりなる事が可能である。引き続いて、読み取りシグネチャを表すグラフと事前格納された基準シグネチャとの間のオーバーラップのエリアが計算される。読み取りにおける起こり得るランダムでシステム的なエラーを考えると、グラフ同士は完全には整合されず、閾値突合せ値が設定される。読み取られたシグネチャが対応する事前格納された基準シグネチャとは、所定の閾値(即ち、オーバーラップの量は、十分には高くなく、例えば、信号同士間の差が、0.1%、1%、3%、5%、10%、20%又は識別目的に対しては適切であると見做される任意の他の値である)を超えて異なる場合、認証は、失敗である。或いは、認証は、アナログ信号がない場合、実行されてもよい。この場合、第1と第2のセットの識別情報の同時読み取りからのシグネチャは、読み取られたシグネチャと事前格納された基準シグネチャとの間のオーバーラップのエリアを決定することを必要とせず、事前格納された基準シグネチャに対して直接的にチェックされる。事前格納された基準シグネチャは、任意の適切なデータ記憶媒体(典型的には、メモリチップやハードディスクドライブ)に格納されることができ、本目的のための適切な任意の方法を使用してアクセスされることがより好ましい。例えば、データ記憶媒体への遠隔地からのアクセスは、2乃至2の例を挙げると、インターネット(General Packet Radio Services、GPRS、プロトコルのようなモバイルアクセスを含む)、固定ラインアクセス、ローカルエリアネットワーク、ブルーツースプロトコル、ショートメッセージサービス(SMS)やマルチメディアメッセージ送信サービス(MMS)信号を使用して実行されることができる。
数ミリメートル以内、数百ミクロンメートル未満、数十ミクロンメートル、又は好ましくは、数ミクロンメートル未満の正確な突合せが得られることを突き止めるために、読み取りデバイスによって提供される信号の読み取りの解像度は、高いことが好ましい。
本発明の更に他の実施の形態は、オブジェクトに対して二つ以上の事前格納された基準シグネチャを格納することを含む。オブジェクトのシグネチャが、引き続いて読み取られる場合、例えば、読み取られたシグネチャがデータベース中に格納された全ての事前格納された基準シグネチャに対して比較される。例えば、異なる読み取りデバイスでオブジェクトに対する事前格納された基準シグネチャとして使用されるべきシグネチャを読み取りする場合に、それは、少なくとも二つの(複数の)読み取りデバイスが使用されることができることを意味する。複数の読み取りデバイスは、それらの各々が第1のセットの識別情報の第1の離散的エリアと第2のセットの識別情報の第2の離散的エリアとの間の空間関係を定義するように構成される。構成におけるこの違いは、本質的に又は意図的に導入される。例えば、種々の読み取りデバイスの読み取り要素は、互いに関して意図的に僅かに位置ずれされることができる。これは、各読み取りデバイスに対する読み取りの空間関係が僅かな差を定義することを意味する。その結果、各読み取りデバイスからのシグネチャが僅かに異なっている。全てのこれらの事前格納シグネチャを格納し且つそれらをオブジェクトの引き続く検証のために使用することによって、検証をより強固にする。例えば、識別機能のトラックを読み取ることを考察する。第1の読み取りデバイスの読み取り要素が、完全に位置合わせされる場合、それは、"位置合わせされたシグネチャ"と呼ばれることができるシグネチャを提供する。第2の読み取りデバイスの読み取り要素が、左側へ僅かに位置ずれ(例えば、約1ミクロンメートル、10ミクロンメートル、50ミクロンメートル、又は100ミクロンメートルだけ)されている場合、それは、"右シグネチャ”と呼ばれることができるシグネチャを提供する。第3の読み取りデバイスの読み取り要素が、右側へ僅かに位置ずれ(例えば、約1ミクロンメートル、10ミクロンメートル、50ミクロンメートル、又は100ミクロンメートルだけ)されている場合、それは、"右シグネチャ"と呼ばれることができる。位置合わせされたシグネチャ、左シグネチャ、及び右シグネチャを事前格納された基準シグネチャとして格納することによって、これが、以下で述べられるように、方法とシステムの強固さを増加する。多くの読み取りデバイスが商売のために製造されている場合、各デバイス間で幾らかの公差とばらつきがある。製造プロセスにおける最大許容位置合わせずれを±50ミクロンメートルと仮定すると、ずれた読み取り(少なくとも±50ミクロンメートルのずれを含む)に対応する一つ又はそれより多くのセットの事前格納された基準シグネチャを格納することによって、最もずれて位置合わせされて製造されたリーダでさえ読み取られたシグネチャと良好に整合する対応する事前格納された基準を有することが意味される。二つ以上の事前格納された基準信号を引き出すための複数の読み取りデバイスを使用することの更なる使用例は、読み取り要素自体がそれらの特徴において幾らかのばらつきを有する(例えば、磁気センサの感度が変化する場合)場合である。読み取り要素の範囲を有する一セットの読み取りデバイスを使用することによって、読み取り要素の集まりで可能なシグネチャのスペクトルが記録されることができる。この実施の形態では、このように、引き続いて読み取られたシグネチャが特定のオブジェクト又はオブジェクトの集まりに関連する事前格納されたシグネチャの少なくとも幾つか又は全てと比較されることができる。
バーコード又はシリアル番号のようなシリアル化識別情報、2進又は16進の情報、又はオブジェクトに割り当てられた英数字コード(例えば、名前)が、複数のセットの識別情報の内の一つとして使用される、本発明の更なる実施の形態において、且つ読み取りデバイスが十分に、完全に、又は正確には、バーコードやシリアル化識別情報を読み出さない場合、処理ユニットが別個に入力された又は走査された補充情報に基づいて読み取られた信号の失われた部分を再生できる。例えば、識別情報が、バーコードと関連する番号の場合、そのバーコードは、他のデバイスで走査されることができ且つ関連する番号は、補充情報として使用されて読み取られた信号の部分から欠落しているデータや重要なコンポーネント(基準ポイントのような)を再生することができる。次に、再生されたデータやコンポーネントは、前記オブジェクトを識別するためにシグネチャを形成するために使用される。
他の実施の形態では、バーコードや他のシリアル化識別情報は、主要なキーとして使用され、このキーで、事前格納された基準シグネチャが格納及び/又は検索される。
本発明は、これまで、第1と第2の識別情報に関連して記述されたが、オブジェクト上に一つ又はそれよりも更に多くのセットの識別情報を含むことが可能である。更なるセット(単数又は複数)の情報が、第1の二セットの識別情報を含む表面、側、又は平面を含むオブジェクトの任意の表面、平面又は側に配置されることができる。或いは、この少なくとも第3のセットの識別情報は、第1と第2のセットの識別情報が配置される又は組み込まれるものとは異なるオブジェクトの第3の表面、平面又は側に配置される又は含まれることができる。更なるセットの識別情報を有することによって、識別情報のセキュリティがより強力になる。理由は、三つ又はそれより多くのセットの識別情報の全てが、互いに関して特定の相対的な空間位置に配置されることが必要であるからである。この実施の形態では、更なるセットの識別情報の識別機能は、前記第1と前記第2のセットの識別情報の識別機能に対して固定された更なる相対空間位置に配置され、且つオブジェクトが本発明の方法を使用して識別されるために、更なるセットの識別情報の識別機能同士間の相対的空間位置が第1のセットの識別情報の機能を集計するために使用されることができ、更なるセットの識別情報は、第2のセットの識別情報を集計するために使用されることができ、それによって、認証に達するために、二つ又はそれより多くのレベルのセキュリティを効果的に確立することができる。
本発明は、宝石、デザイナーレベルアパレル、レーザー商品、ハイエンド高級時計、並びにコンパクトディスク、デジタルビデオディスクを含む信頼性又は識別ラベルを有することから利益を得ることができる任意のタイプのオブジェクトに対して適用可能である。他のオブジェクトは、エンジニアリングコンポーネント、繊維製品、オブジェクトの回りのパッケージ、容器やベッセルに対するシール、クレジットカード、証明書、紙幣、セキュリティアクセスカード、車両のキーカード、パスポート、IDカード、リードフレーム、電子デバイスパッケージ、又はメディアディスク、又はそれらの組み合わせ(例えば、製品とその組み合わせパッケージ)を含む。
他の態様では、本発明は、上述のような識別方法が適用可能な識別タグ、その方法に従って識別されるように構成されるオブジェクトを提供する。以下において、本発明の識別タグとオブジェクトの好適な実施の形態が記述される。また、これらの実施の形態は、読み取りデバイス、識別構成、識別システム、識別タグを形成する方法、及び識別情報を読み取るための方法に適用可能である。
本発明に従って、識別タグは、本発明の方法に従ってオブジェクトを識別するために提供される。識別タグは、第1のセットの識別情報と第2のセットの識別情報よりなる少なくとも二セットの識別情報よりなる。第1のセットの識別情報と第2のセットの識別情報は、各々、タグやオブジェクトの異なる表面、側、又は平面内に配置される。第1のセットの識別情報の識別機能と第2のセットの識別情報の識別機能は、互いに関して、固定の相対的空間位置に配置され、前記固定の相対的空間位置は、オブジェクトを識別するためのシグネチャを形成する/引き出す又は発生するために使用される。
一実施の形態において、少なくとも一セットの識別情報は、光学的に読み取り可能なパターンよりなる。印刷ドット、連続した数字のマトリックス、1次元バーコード、及び、例えば、Aztic Code、Code1、Code49、PDF417、QR Code、Super Code、及びUltra Codeのような2次元バーコードのような種々の印刷シンボルを含む、任意の光学的に読み取り可能なパターンが、この目的で使用される。
他の実施の形態では、第1のセットの識別情報と第2のセットの識別情報の少なくとも一方は、読み取り可能な識別機能が配置される少なくとも一つの識別層から引き出される。この目的のために、識別層は、任意のタイプの適切な材料の、又は測定可能な物理量に関して定量化可能な一つ又はそれより多くの特性を有する材料の組み合わせの層よりなる。
識別層(単数又は複数)は、その層(単数又は複数)の少なくとも部分的に、複数のランダムに分布された粒子を備えることができる。幾つかの実施の形態では、識別層は、孔を有するホスト材料よりなり、そこでは、これらの孔の少なくとも幾らかは、粒子を含む。以下に説明されるように、粒子は、磁性又は磁化可能材料よりなるか又は実質的に導電性材料より成る。他の実施の形態では、マトリックスにランダムに分散されていてもよいし、粒子は、スパッタリング/イオン注入(実施例を参照)によって提供されてもよい。このような粒子で(高く)無秩序化された構造を提供して識別層内に識別機能を画定することによって、識別情報は、極端に高い努力及び/又はコストでしか模倣できず、それによって、識別システムのセキュリティを改良する。
一実施の形態において、識別情報は、少なくとも部分的に、複数のランダムに分布された磁性又は磁化可能粒子よりなる。磁性(又は磁化可能)粒子をランダムに分布された及び/又は配向された粒子として実施することによって、磁気読み取りヘッドは、識別層を露出するトラックに沿って移動する読み取り要素として使用されることができ、それによって、磁性(又は磁化可能)粒子によって引き起こされる磁界分布から形成される識別機能からの信号を読み取り、それによって、安価で且つ高い信頼性の識別構造を提供する。
磁性を示す任意の材料が、制限されるわけではないが、フェリ磁性体、反磁性体及び強磁性体のような磁性体を含む、識別層に使用されることができる。使用される磁性体は、制限されるわけではないが、Fe、Ni、Co、Gd、Dy、対応する合金、酸化物及びそれらの混合物のような強磁性体、及びMnBi、CrTe、EuO、CrO2及びMnAsのような他のコンパウンドを含む。磁力によって影響される他の材料が考えられる。そのような材料の例は、フェリ磁性材料、例えば、スピネル、ガーネット、及びマグネタイトのようなフェライトを含む。Ce、Cr、Pt、B、Ndのような合金(例えば、Nd−Fe−B、Nd−Fe−Co−B、Nd−Pr−Fe−Co−Ti−Zr−B)、Sm(例えば、SmCo5)、及びAlNiCo、パーマアロイ、及びミューメタルのような合金のような磁性媒体に一般的に使用さえる他の材料も考えられる。
磁性粒子を支持するために、支持層が識別層の下に配置されることができる。更に、タグやオブジェクトは、カバー層を備えることができ、それによって、識別層は、支持層とカバー(頂部)層との間に配置される。原則として、識別層と互換性のある全ての材料が支持及び/又はカバー層として使用されることができる。適切な材料の例は、制限されるわけではないが、プラスチックス、金属、セラミックス、繊維製品、革や木のような自然の材料及びそれらの組み合わせを含む。適切なプラスチックスの例は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、バッグ、クレジットカード、パッキング材料、シート等のようなプラスチック商品の製造用に一般的に使用されるポリ(メタ)アクリレートのようなポリマー材料を含む。適切なセラミックスは、制限されるわけではないが、ガラス、アルミナ、シリカ、ボーンチャイナ、エナメル、及びガラス原料を含む。
支持層(2層構造の場合)やサンドイッチ構造(3層構造の場合)の使用によって、識別層は、構造的に支持され、下から電磁的にシールドされ、且つサンドイッチ構造の場合、頂部からシールドされる。
識別タグの層構造は、前記底層と前記頂層との間に配置される少なくとも一つの更なる識別層を備えることができる。一つ又はそれより多くの追加の識別層を設けることによって、識別機能が、複数の識別層に分割ことができ、それによって、識別層に含まれる情報を真似るために必要な努力がこのように顕著に増加されるので、セキュリティを更に増加する。更に、この対策は、システムに冗長性を導入し、更に、識別タグの信頼性を増加する。
層構造は、前記識別層と前記更なる識別層との間に配置される少なくとも一つの中間層を備えることができる。この構成を使用することによって、異なる識別層が、互いから空間的に分離され、前記識別層(単数又は複数)に位置される情報の個別の及び/又は同時の読み取りが可能となる。このように、本発明の識別タグやオブジェクトの信頼性を改良する更なる冗長性が含まれる。
識別層が存在する更なる実施の形態において、本発明のタグやオブジェクトは、識別機能の読み取り処理中読み取り要素の位置合わせを容易にする頂部層と底部層との間に配置された位置合わせ層を備えることができる。
ランダムに分布された磁性粒子は、孔が少なくとも部分的に充填される多孔性ホスト材料に設けられ、ホスト材料は、実質的に非磁性材料である。一般的に、少なくとも実質的に非磁性(磁気的に不活性)又は実質的に絶縁性である任意の多孔性ホスト材料が、本発明において使用されることができる。通常、このホスト材料は、孔内の材料のホスト材料の他の領域への移行が防止される又は僅かであるために良好な機械的、熱的、且つ化学的安定性を有する。更に、ホスト材料の安定性が、孔内の材料の酸化と望ましくない化学的変更を最小にする。このような特性によって、タグから得られる磁気的、電気的、又は電磁的信号が独自に識別可能なまま維持される。例えば、適切なホスト材料は、米国特許第5,139,884号、第5,035,960号や、Nielsch等のJournal of Magnetism and Magnetic Materials 249(2002)234−240に記述されるようにアルミニウムフィルムの陽極酸化によって準備される多孔性アルマイトよりなることができる。このように、タグのホスト材料は、アルミナであることができる。
他の適切なホスト材料は、多孔性ポリマーフィルム(通常、一つのコンポーネントが選択的に除去された2ブロック又は3ブロック共重合体)又は多孔性シリコンや多孔性III−V材料(例えば、Foll等、Advanced Materials,15,183−198(2003)を参照)のような多孔性半導体材料を含む。本発明で多孔性ホスト材料としての使用に適するIII−V材料の例は、GaAs、InP及びAlAsを含む。他の適切なホスト材料は、ゼオライトである。適切なゼオライトの例は、ゼオライトミネラル群のメンバのいずれか一つ、例えば、クリプチライト、菱沸石、フィリップサイト、及びモルデナイトを含む。他の適切な材料は、酸化ケイ素、酸化亜鉛、及び酸化すずのような無機酸化物を含む。
一セットの識別情報が磁性粒子よりなる場合、そのような一セットの識別情報の読み取りは、磁性粒子によって生成された磁界の少なくとも一つ特徴を読み出すことよりなる。磁界パターンは、識別層中の磁性粒子の無秩序に高く依存する。この場合、無秩序は、識別層の特性の少なくとも一つ、例えば、サイズ、形状及び孔の配向、孔同士間の距離、孔充填のパーセント、及び識別層中の磁性材料のクリスタル配向に関連されることができる。例えば、多孔性ホスト材料が使用される場合、無秩序は、ホスト材料単独の特徴であることができる。例として、異なる孔サイズと孔間距離を有するホスト材料が使用されることができ、この材料の孔は、磁化材料で(等しく)充填されることができる。また、無秩序が孔内の材料の充填度を変化することによって生成される秩序だった孔を有するホスト(材料)を使用することができる。勿論、無秩序構造を有する識別層を使用し、例えば、充填孔のパーセンテージ又は(磁性材料の場合)タグ内の材料のクリスタルの配向を変化することが可能である。タグやオブジェクトの識別層内の無秩序を生成するように操作されることができる上記特性は、自由度として考えられることができる。
一実施の形態では、識別層は、トラックの前記部分の磁界(信号)の少なくとも一つの特徴の各決定に先立って、磁界を受ける。この実施の形態では、識別層内の磁性材料は、各読み取りの前に、磁界下で再磁化されることができる。これは、容易な読み取りのためのトラックの磁界信号を増加する。この目的のために、単純なバー磁石によって生成されるような、又はソレノイドや磁石の組み合わせによって発生される磁界のような、均一であるが異質の磁界が識別層を再磁化するために使用されることができる。
加えて又は或いは、本発明の識別タグやオブジェクトは、複数の導電性又は半導電性粒子よりなることができる。電導性材料は、制限されるわけではないが、Cu、Sn、Fe、Ni又はそれらの合金のような金属を含む。半導電性材料の例は、幾つかの例を挙げると、(ポリ)シリコン、ガリウム砒素、窒化ガリウム、白金シリサイド、窒化珪素、又はシクローム(SiCr)を含む。本実施の形態に従い、磁気読み取りヘッドは、前記粒子の少なくとも幾つかを通過して電流を流すことによって電磁界分布から形成される識別機能を読み取るために識別層をサンプリングするための読み取り要素として使用されることができる。同様に、識別層内の位置の関数としてランダムに分布された導電性又は半導電性粒子の抵抗性、導電性、インピーダンス等のような電気パラメータは、適切な読み取りデバイス(導電性センサのような)を使用して検出されることができる。多孔性ホスト材料の場合、その孔は、導電性粒子が充填されることができ、磁性粒子に関連して上記にリストアップされ、実質的に絶縁性であるホスト材料のいずれもが使用されることができる。
加えて又は或いは、識別タグやオブジェクトは、複数の光学的に反射性の、吸収性の、又は活性の粒子よりなる識別層よりなることができる。ランダムに分布された光学的に読み取り可能な識別機能は、例えば、紙に含まれたファイバ、光学ファイバ又は光パイプ、又は透明なポリマー内にかなりランダムに分布されたバブルを含むことができる。本出願における"光学的に活性の“によって、粒子がそれらの粒子を通過する又はそれらから反射される光の波長及び/又は偏向面を変化するが意味される。この実施の形態に従って、光学検出器は、識別機能を読み取るために識別層から形成されるトラックをサンプリングするための読み取り要素として使用されることができる。これらの識別機能は、例えば、幾つかの例を挙げれば、特定の波長で蛍光を発する粒子、偏向平面を変化するカイラル粒子、又は異なる波長で蛍光を発する及び/又は相互作用の光の偏向面を変化する粒子の混合物から形成されることができる。
本発明は、システムの信頼性とセキュリティを更に向上するために、磁性及び/又は磁化可能及び/又は導電性及び/又は半導電性及び/又は光学的に活性の粒子の組み合わせを含むことができる。例えば、ある場合、光学的な検証と磁性的検証の組み合わせが実施されることができる。典型的には、識別層に存在する平均粒子は、約10ナノメートルから約500ミクロンメートルの間の最も大きな寸法(制限されるわけではない)を有することができる。
本発明の更に他の実施の形態において、識別タグやオブジェクトは、複数の識別層を含み、各層は、識別機能よりなり、そこで、各識別層は、他の識別層から独立して読み取り可能である。個別の層を読み取ることによって、異なる種類の情報が、本発明の識別タグやオブジェクトに配置されることができる(例えば、識別機能及びタグが取り付けられることができる製品のプライスのような追加の情報やそのような製品に関する背景情報)。
更なる実施の形態において、これらのセットの識別情報の一方又は両方が、保護コーティングによって被覆される。原則として、損傷(例えば、化学的及び/又は機械的劣化)から識別情報を物理的に保護するのに適する全ての材料は、この材料が識別機能の少なくとも幾つかが読み取られることを妨げない限り、使用されることができる。保護コーティングを形成できる適切な材料の例は、制限されるわけではないが、テフロンコーティングのようなポリマーコーティング、剛性ポリマー、ゾルゲル、酸化物、窒化物のような蒸着材料、アモルファスダイヤモンド、ダイヤモンド状カーボンのようなダイヤモンド状材料(フィルム)、4面体のアモルファスカーボン、又はスパンコートラッカーを含む。この保護コーティング(層)は、“硬質"材料であってもよい。"硬質"材料は、ここでは、好ましくは、平方メートル当り50メガニュートン、即ち、50MN/m2、以上の体積降伏応力を有する材料として定義される。硬質材料として働く適切なポリマーの例は、タフで透明であることの利点を有するポリメチルメタクリートである。ポリメチルメタクリートの単一のコーティング層は、単量体のメチルメタクリートの溶液にタグを浸漬するか又はそれをスピンコーティングすることによって生成されることができる。単量体溶液は、コーティング中又はその後に重合される。
上記で開示された識別タグやオブジェクトの種々の実施の形態を形成する方法は、例を通してここで記述される。これらの実施の形態は、読み取り要素へ、識別システムへ、識別構成へ、及び識別情報を読み取るための方法へ適用されることができる。
オブジェクトの厚みを定義するオブジェクトのエッジに配置された識別層を有する一セットの識別情報よりなり、識別層の読み取り可能部分がその最も薄い寸法に配置される、識別タグの実施の形態の一つは、識別層の頂部に配置されるカバー層を形成することによって製造されることができる。更に、前記少なくとも一つの識別層が底層と頂層との間に配置される層構造が形成される。そうすることで、例えば、ラミネート構造体が、底層と頂層との間に挟まれた識別層を有することによって生成されることができ、挟まれた識別層の最も薄い寸法を露出するトラックが、挟まれた層のエッジに配置される。このトラックは、任意の適切な技術によって、例えば、2乃至2の例を挙げれば、切断すること、薄く削ること及び/又は研磨することによって形成されることができる。
ラミネート構造体は、異なる部品に切断されることができ、そこでは、部品の各々は、別個の識別タグやオブジェクトを形成できる。次に、切断されたエッジは、読み取り可能な識別機能よりなる識別層の最も薄い寸法を露出するトラックを含む。
上述のように、識別層は、少なくとも部分的に、複数のランダムに分布された粒子よりなることができる。この識別層は、多孔性マトリックスを形成し、この多孔性マトリックスの孔を適切な材料で充填して前記無秩序な構造体/粒子と生成することによって形成されることができる。
このような、多孔性マトリックス、即ち、多くのランダムに分布された孔を有するソリッドボディは、例えば、多孔性マトリックスが磁性又は磁化可能材料でできている場合、識別層を形成し、空隙や孔は、情報層から引き出される検出された信号の変調を導く。或いは、多孔性材料が非磁性である場合、孔は、磁性又は磁化可能材料で充填或いは少なくとも部分的に充填される。半導体材料、導電性材料、並びに光学的活性材料を含む他のタイプの材料が孔を充填するために使用されることができる。
或いは、識別構造体は、多孔性マトリックスや基板にイオンを注入することによって製造されることができる。本実施の形態に従うと、熱的にアニールされた注入イオンが統計的に分布した構成は、典型的には、識別構造を形成するために使用される。このランダムな分布は、熱的アニール語の注入イオンのランダムな合体の結果である。
或いは、識別構造体は、二成分ポリマーの相分離を使用して製造されることができる。この実施の形態によれば、二相系は、層を形成するために使用され、次に、二相は、自動的に分離される。これらの相の一方は、除去されることができ、次に、結果としてのキャビティ(又は孔)は、識別層の一部を形成するための材料が導入されることができる場所として使用される。
本発明の更なる態様は、識別されるべきタグやオブジェクト上の第1のセットの識別情報と第2のセットの識別情報の識別機能を読み取るための読み取りデバイスを含む。このような読み取りデバイスは、オブジェクト上に配置された又は内に組み込まれた第1のセットの識別情報と読み取るために構成された少なくとも一つの読み取り要素と第2のセットの識別情報を読み取るために構成された少なくとも第2の読み取り要素を備える。読み取りデバイスは、オブジェクトの異なる表面、側、又は平面上に配置された又は中に組み込まれた少なくとも二セットの識別情報から少なくとも二個の信号を読み取るように構成される。
読み取りデバイスの他の態様は、その構成が読み取られるべき識別情報の少なくとも二つの離散的エリアの空間関係を定義することである。換言すれば、読み取りデバイスの読み取り要素は、それらの各々が各セットの識別情報が配置される位置に対応するオブジェクト上の指定の位置で走査するように読み取りデバイスに固定的に位置決めされる。
一実施の形態において、読み取りデバイスは、更に、第1の信号と第2の信号を相関する又は関連付けるための処理ユニットを備え、それによって、第1のセットの識別情報の識別機能と第2のセットの識別情報の第2の識別機能との間の相対的空間位置についての情報を得る。処理ユニットは、例えば、ATMEL、Freescale Semiconductors and Analog devicesのような製造業者から入手可能な16ビットや32ビットのマイクロコントローラのような、読み取られた信号を処理するために一つ又はそれより多くのマイクロコントローラを備える。
他の実施の形態では、読み取りデバイスは、更に、第1と第2のセットの識別情報上を前記第1と前記第2の読み取り要素を案内するためにガイド手段を備える。ガイド手段は、オブジェクトの一部を受け取るように構成されるスロットを備える。
更に他の実施の形態では、本発明は、オブジェクトを識別するための識別システムに関する。このシステムは、本発明に従う識別タグを備え、この識別タグは、前記識別タグが貼り付けられるオブジェクトを識別するために使用され、更に、識別タグに符号化された識別情報を読み取るための本発明に従う読み取りデバイスを備える。
実際の実施では、本システムは、製品の製造の起源を確立するために使用されることができる。一つの例示的用途では、調合薬の起源を確立することである。薬剤の起源は、調合薬の製造で使用され原料にタグ付けし並びに各々が独自のシグネチャを有する本発明に従う識別タグを有する最終製品のパッケージにタグ付けすることによって調合薬の起源を維持するのを助ける。原料の納入から始まって、製品の小売店の棚への製品の最終配送までの製造プロセス中の対策をチェックすることを実施することによって、本システムは、全体の供給チェーンが追跡及びトレースされることができる。
一実施の形態において、原料は、本発明に従う識別タグでタグ付けされたバレル内に配される。各独自に識別されたバレルのシグネチャは、ローカルネットワーク上で又はワイドネットワーク上でアクセス可能なデータベースに記録される。読み取りデバイスは、原料製造設備に配置され、それによって、入ってくるバレルが読み取られることができ、且つ原料製造設備からのその出発が追跡されてデータベースで更新される。種々の場所からの原料が中央の調合薬製造設備に到着すると、バレルの到着が読み出され、データベースに記録される。このように、調合薬になる全ての原料が説明される。調合薬が製造されると、調合薬がパッケージされた全てのボトルがタグ付けされ、シグネチャが再び読み出され、データベースに格納される。これらのボトルの卸売業者への配送後に、卸売業者は、データベースにアクセス及び照会でき、受け取っているボトルがデータベースに製造業者が記録しているもの(即ち、認証データ)と整合することを決定できる。
このように、他の実施の形態では、識別システムは、更に、オブジェクトの同一性を検証する時、読み取られたシグネチャを認証しようとするユーザからの質問を処理できるコンピュータプログラムを更に備える。このようなプログラムは、認証データに関する標準的な質問を実行できる。コンピュータプログラムは、読み取ったシグネチャを認証しようとするユーザからの質問を処理するために使用されることができる。このコンピュータプログラムは、読み取られたシグネチャと事前格納された基準シグネチャとの間の整合性を決定するのに適する任意の方法を組み込むことができる。
本発明のこれらの態様は、以下の記述、図面及び制限するものではない例に鑑みより十分に理解することができる。
例示の実施の形態は、添付の図面を参照して、単に非制限例に過ぎないものを介して記述される。
図1aは、識別タグの斜視図であり、図1bは、その識別タグの読み取りを示し、図1cは、識別タグの識別情報を読み取るために使用される読み取りデバイスの斜視図である。
図2aは、ランダムに分散された磁性粒子よりなる識別機能から磁気データを読み取ることから得られるアナログ信号を示す。この図は、1Dバーコードの黒と白のバーに対してプロットされたアナログ信号を示す。図2bは、識別機能が誤って位置合わせされた時のアナログ信号とバーコードバーの誤位置合わせを示す。
図3aは、二つの光学タグがオブジェクトを挟む時の配置を示し、図3bは、オブジェクトが光学識別タグと識別層との間に挟まれた時の配置を示す。
図4aと図4bは、ループに配置されることができるストリップの形状を有するタグの好適な実施の形態を示す。
図5a及び図5bはタグがループに配置されることができるストリップの形状に配置される更なる好適な実施の形態を示す。
タグがバーやロッドの形態である場合の実施の形態を示す。
図7と図8は、一セットの識別情報がタグと価価値のあるアイテムとの間のインターフェースに配置される場合のタグを示す。
改ざんされると容易に損傷されうる改ざん防止タグ構成を示す。
識別情報を有する複数のオブジェクトが価価値のあるアイテムの異なる側に配置され手いるオブジェクトを示す。
上に位置セットの識別情報を有するオブジェクトと他のセットの識別情報を含む印刷タグを示す。
識別タグが非平面である場合の本発明の実施の形態を示す。
RFIDタグが一セットの識別情報として存在するループタグを示す。
図14aは、IDバーコードの一部の読み取りのグラフ表示を示し、図16bは、バーコード読み取り中二つの事例で光学センサによって調べられるIDバーコードのエリアを示す。
信号の解析が如何になされるかを説明するためにバーコードの読み取りの信号の一部のグラフ表示を示す。
信号の解析が如何になされるかを説明するためにバーコードの読み取りの信号の一部のグラフ表示を示す。
図17aと17bは、信号の解析が如何になされるかを説明するためにバーコードの読み取りの信号の一部のグラフ表示を示す。
二つの識別層でタグ付けされたオブジェクトを示し、これらの識別層の一方は、主表面を介して読み取られることができ、且つ他方はそのエッジを介して読み取られることができ、且つそのオブジェクトを読み取るための読み取りデバイスを示す。
識別情報の楕円形エリアと識別情報の三角形エリアでタグ付けされたオブジェクトを示す。
図20aは、更なるセットの識別情報を含む一片の矩形断面材料に隣接して配置された第1のセットの印刷情報を有するオブジェクトを示し、図20bは、そのようなオブジェクトを読み取るための読み取りデバイスを示す。
図21aは、個別のセットの識別情報の読み取りから空間ドメインデータへの時間ドメインデータの正規化を示す。図21b乃至21dは、誤位置合わせを有するタグから読み取られたシグネチャが事前格納されたシグネチャに対してミスマッチングされた種々の状況を示す。
図22aと図22bは、読み取られたシグネチャが事前格納された基準シグネチャとどのようにマッチングされるかを図形的に示す。
不透明な平面にランダムに分布された磁性粒子が埋め込まれたオブジェクトを示す。
コンパクトなニッケルフレークを使用し且つ長尺状のニッケルフレークを使用する識別層を生成するためのプロセスを示す。
識別層を製造するためのロールツーロールプロセスを示す。
識別層を製造するための任意のステップを示す。
アルミニウムフォィルを使用する識別層の製造の準備を示す。
アルミニウムフォイルに無秩序化したホスト材料を形成するための陽極酸化プロセスを示す。
アルミニウムフォイルを陽極酸化した後の孔形成と孔充填のステップを示す。
本発明のオブジェクトを識別するための方法の一実施の形態を示すフロー図である。
図1は、本発明の一実施の形態に従うオブジェクト(又はタグ)を示す。図1aにおいて、識別されるように構成されたオブジェクト(識別タグ自体として理解されることができる)100は、その頂部表面102に光学的識別機能(フィーチャー:feature)101を有する。このオブジェクトは、更なる識別機能、即ち、平面103内に含まれる識別層を含む。これらの識別機能は、ランダムに分布された磁性粒子、又は、例えば、平面に散乱された光ファイバのような光学的に読み取られる機能のような磁気機能を有する。物理的なアンジュレーションのような他の常に識別可能な機能が用いられてもよい。二セットの識別情報の機能同士間の相対的空間位置は、オブジェクトを識別するためのシグネチャを確立するために使用されることができる。図面から判るように、平面103の識別情報は、その識別情報が露出されるオブジェクトのエッジに沿って読み取られることができる。
図1bは、第1に上述の平面内に含まれる磁気機能よりなる識別層110と第2に識別タグ109の表面に配置されるバーコードシンボル130を有する識別タグ109上の二セットの識別情報の読み取りを示す。識別層110は、頂部層112と底部層111との間に配置される。識別層110が沿って読み取られているエッジは、読み取りが実行されている時に識別層に沿って読み取りデバイスの移動を案内するためのトラックとして働くことができる。このトラックは、頂部層と底部層とによって形成されるエッジによって定義され、それが読み取られるべき時に読み取りデバイスのスロットに嵌ることができる。或いは、そのトラックは、頂部層と底部層との間に定義される溝によって形成されてもよく、それによって、その溝に嵌るプローブのような突起を有する読み取り要素は、識別層110を調べ読み取るように使用されることができる。このようなシステムは、突出とトラック113の読み取りにおける直接の利益、即ち、製造の容易さ、例えば、機械的な案内を介する検出の容易さと読み取りの容易さを提供する。
識別層110は、磁性粒子121を備える。読み取り要素108Aが読み取り方向122に沿って移動する時、磁性粒子121の磁界強度を表す第1の読み取り信号123Aが検出される。同様に、読み取り要素108Bが読み取り方向122に沿って移動する時、バーコードシンボル130の反射率を表す第2の読み取り信号123Bが検出される。トラック113は、識別層110の一部を露出し、読み取り要素108Aがその中の識別情報にアクセスできる。印刷パターンは、(上記のように)その主表面からアクセス可能であり、それによって、読み取り実行中に読み取り要素108Bを案内するトラックを必ずしも必要としない。しかしながら、必要ならば、層のエッジは、読み取り要素108Bが印刷パターンを横切って正確に移動されること保障するためのガイドとして使用されることができる。
一般的に、得られる信号は、識別情報の物理的特性の読み取りである。読み取りは、例えば、磁界、反射率、電磁界、電界、電気導電性、電気容量、電気インダクタンス、電磁波長、電磁波振幅、電磁極性、又はそれらの組み合わせにおける変動の読み取りである。第1のセットの識別情報からの信号を第2のそれらの機能の空間的関係から得られる第2の信号に対して相関することによって、シグネチャが確立される。測定される物理的特性に関係なく、一般的に、変動は、検出器のセンサ要素が、好ましくは、少なくともトラックの全幅を横切るように延出するように、このトラックのより長い寸法に沿って決定される。更に、一セットの識別情報の識別機能の読み取りは、その識別情報の一部に実行されてもよい。例えば、バーコードが2.4cmの長さである場合、読み取りデバイスによって読み取られるべき識別情報上の離散的エリアがバーコードの先頭部分の約1cmの区画であってもよいし、例えば、他の任意の選択された開始ポイントであってもよい。
図1cは、識別タグ100の表面102と平面103の両方内に含まれる識別情報を読み取るように構成される読み取りデバイス104の一例である。この読み取りデバイスは、オブジェクトが中を通過するのに十分な幅のスロット105を備える。スロットの上エッジには、光学読み取り要素106があり、これは、例えば、バーコード読み取り要素であってもよい。この光学要素は、オブジェクト100がスロット15を通過するようにスライドすると、光学識別機能107を読み取るように位置決めされる。同様に、スロットの他のエッジの他の読み取り要素107は、平面103内に含まれる識別機能を読み取るように位置決めされる。識別機能101と平面103内の識別機能は、スロット105を通過するようにオブジェクト100をスライドさせるか又は反対にオブジェクトを静止状態に保持して読み取りデバイスを移動することによって同時に読み取られることができる。
図2は、例えば、バーコードのような一セットの識別情報を読み取ることから得られるデータが、第2又は更なるセットの識別情報の特定の値を作成するための基準のフレームを如何に提供できるかを図形的に示す。この例において、バーコードの読み取りは、他の識別機能から読み取られた時間ドメインにおけるデータを正規化するためのタイミングマーキングとして働くことができる信号202を提供できる。例として、磁性識別層と取り上げると、磁界強度信号201は、オブジェクト100がスロット105を通過する時に読み取り要素107によって読み取られる磁界強度に置ける変動を読み取ることによって捕獲されることができる。図2aは、2個の別個の信号がオブジェクトを識別する独自のシグネチャを形成するように如何に組み合わされるかを示す。これは、特に、磁気のピークの相対位置をバーコードから同時に読み取られた白/黒遷移に対してプロットすることによって達成されることができる。磁界強度信号201からのピーク203は、左バーから約100ミクロンメートルにある二つのダークバー同士間に位置される。この正確な位置は、高解像度走査の基づいて容易に決定されることができる。それは、これら二つの信号の組み合わせ、即ち、磁気信号がオブジェクトのシグネチャを形成するバーコードによって提供されるタイミングマークと関連付けられることである。標準のIDバーコードが、約250ミクロンメートル幅である白と黒のバー(例えば、標準2.4cm長12デジットUPCバーコード)を有することが一般的である。図21に関連して記述されるピースワイズ線形補間関数のような幾つかの基本補間関数で、バーコード識別機能を使用して磁気ピークの位置をこの距離の約10分の1以上の解像度まで、即ち、読み取りデバイスと要素の解像度に依存する25ミクロンメートル内にマッチングすることが実行可能である。これは、光学式マウスで使用されるような光学的位置決めシステムを使用して更に改良されることができる。例えば、先進の光学コンポーネントによって作られる製品は、2乃至3ミクロンメートルのような微細な良好な解像度を有する。
このようにオブジェクトを識別することによって、偽造者がバーコートと磁気識別層の両方を正確に再生できたとしても、それらは、磁気識別機能をバーコード識別機能と正確に位置合わせしなければならない。これは、困難なタスクである。これに関して、バックサイドアライナーのようなマイクロエレクトロニックス工業のために開発されたテクノロジーは、フォトリソグラフィックマークを光学的に平らなシリコンウエハの前側と後ろ側に1ミクロンメートル以上の精度で位置合わせできることに留意される。しかしながら、これらのシステムは、高価で、例えば、一般のバーコード印刷システムや磁性粒子の位置合わせでの使用に容易には適用されることはできない。その結果、例えば、100ミクロンメートル以上の精度で、偽物の製品の識別機能を一般的なプラスチック、紙や金属基板の異なる表面や平面に意図的にコピーや位置合わせを行うことは困難である。
図2bは、偽造者が両セットの位置合わせ情報を正確に複製できても一方のセットを他方のセットに対して正確に位置合わせできない場合、二セットの間の識別情報の誤位置合わせを示している。磁界強度信号201のピーク203は、右へ僅かにシフトされることが見られる。この誤位置合わせは、非常に僅かである(多分、肉眼では検出されない)が、読み取りデバイスで読み出され、事前格納された基準シグネチャと比較されることによって、検出されることができる。オブジェクトに適用されるべきセキュリティの必要レベルによって、検出の精度は、変化されることができ、高いレベルの識別セキュリティを実行するための50μm未満からより低いレベルの識別セキュリティを必要とするに過ぎないより低いコストの200μmへ変化する。より高い精度は、高い解像度を有する読み取り装置によって達成されることができ、より低い精度は、比較的低い解像度の読み取り装置で達成されることができる。従って、読み取りデバイスとデータベース(又は、メモリデバイス、メモリチップ、又は情報を格納する他の方法)を使用してオブジェクトの事前格納された基準シグネチャ(前記事前格納シグネチャは、識別機能の空間的関係に依存する)を格納することによって、偽造防止対策の強力なツールである。
本発明は、磁気識別層とバーコードを使用する文脈で上記例に記述されたが、他の組み合わせもまた可能である。図3aは、本発明の更なる実施の形態を示し、そこでは、二つのストリップの材料301と303は、それらの上にバーコードのような光学マーキングが印刷されている。次に、それらは、価価値のあるアイテム302(例えば、一片の繊維や金属)の各側に貼り付けられる(例えば、糊付けや熱接合、溶接や縫い合わせを使用して)。一緒に接合されると、価価値のあるアイテムを含むストリップの材料は、本発明に従ってオブジェクトを形成する。このオブジェクトを読み取るように構成された読み取りデバイス304は、スロットの各側に二つの光学的読み取り要素を含む。容易に再生可能な1Dバーコードが両ストリップの材料に識別情報として使用されることができるけれども、そのオブジェクトを偽造するか或いは改ざんすることは困難である。大部分で材料の各ストリップに印刷されたものと同一である二つのバーコードを印刷するか、バーコードを一方のオブジェクトから他方のオブジェクトへ移動することは実行可能であるけれども、二つのセットの識別情報の互いに対する元の位置合わせに保持するタスクは困難である。それらを正確に位置合わせするために、最初にストリップを価価値のあるアイテムに接合し、次にバーコードをそれらの上にバーコードを印刷するか又はバーコードを最初に印刷し、次に、それらを価価値のあるアイテムに正確に接合することが必要である。最初のオプションは、困難である。理由は:a)特殊な二つの側の位置合わせプリンタが必要であり、多分、より重要なことは、b)価価値のあるアイテム(例えば、金属オブジェクト及び服飾)を扱い且つそれらを特殊な印刷機械へ送るのは実用的ではない。第2のオプションでは、即ち、最初に印刷し、次に、ストリップを価価値のあるアイテムに貼り付けることでは、小さなストリップをオブジェクトに正確に接合しようとすることは、困難である。
図3bは、図3aと同様な実施の形態を示す。図3bにおいて、オブジェクトは、識別機能を含む平面327を含む材料ストリップ323、或いは、識別層としてここでは知られている、と組み合わされる材料ストリップ321上に光学的な識別機能を含む。平面327のエッジから識別機能を読み取るように構成される読み取り要素326を有する読み取りデバイスが示されている。このようなオブジェクトの改ざん防止特性を更に向上するために、平面327は、強力に価価値のあるアイテムに接合されるが、材料ストリップ323には弱く接合される。その結果、誰かが価価値のあるアイテムを偽物で交換することによってオブジェクトを改ざんしようとすると、識別機能を含む平面は、それが材料ストリップの代わりに、元の価価値のあるアイテムに粘着するので、非常に移動し難い。種々の組み合わせが使用されることができることは、当業者には明らかである。例えば、各々が識別機能の平面を有する二つのつとリップが価価値のあるアイテムの頂面と底面に接合されることができ、それは、図3aに示されたのと類似の実施の形態である。
図4は、本発明の実施の形態に従う識別タグを示す。図4aに示されるように、材料のストリップ401は、一つの表面に二セットの識別情報402と403を有する。このストリップは、図4bに示されるように、ストリップの端を一緒に接合することによってループを形成するように使用される。ループを形成することによって、識別機能402が識別機能403から異なる表面に配置されるようになる。この接合された構成は、本発明で定義されるオブジェクト404を構成する。この構成は、この構成において接合されたユニットの異なる表面上にある二セットの識別機能を有する。ループ形成プロセス中に、材料ストリップは、価価値のあるアイテム(又はアイテムの一部)を通過又は周りを通過させられてストリップをアイテムに貼り付けるループを形成する。例えば、ループは、ラベル付け目的では、一セットの眼鏡(或いは、一対の眼鏡として知られる)の鼻のブリッジ構造部の周りに強く回される。このようなタグのセキュリティを改良するために、材料のストリップの端405と406が簡単には一列に並ばず、その2セットの識別情報の位置合わせの困難さを増すことが好ましい。図4では、ストリップの両端は、ストリップが最終構成に接合される場合にそれらを一列に並べることが困難であるようにこれらの端が反対方向に先細りになるようにカットされていることが示されている(図4bは、エッジが一列に並ばない接合構成の例を示している)。
上述のようにオブジェクトを改ざんするために(例えば、真正の眼鏡フレームを偽のものに交換するために)、誰かが、:a)材料ストリップのループを切断して再度それを接合してそれが気付かれないようにすることが必要である;又は、b)誰かが、それ自体から材料を外し、それを偽のアイテムに巻きつけて、次に、それを再び接合することが必要である。切断されたストリップを再び接合することは、例えば、材料ストリップ401が薄いプラスチックや気付かれる再結合マークを作ることなく再結合することが困難な何らかの他の材料からできている場合、そうすることが困難である。オブジェクト上の各側の識別機能を適切に再位置合わせするために十分に正確にこれを行うことは極端に困難である。これは、材料のストリップの端405と406が図示されるようにまたは何らかの他の適切な形態で切断される場合、特に困難である。
図5aは、識別タグの更なる実施の形態を示す。ここで、オブジェクトを形成するように接合する前の材料のストリップ501が示される。このストリップは、透明であり、それが両セットの識別情報502と503に一緒に接合されると、一方の側から読み取られることができる(即ち、読み取りデバイスは、オブジェクトの両側上を通過する読み取り要素を持つ必要はない)。更に、ストリップの異なる側に二セットの識別情報を印刷することにより、印刷された領域の一方が、二つの端が接合されるインターフェースにあり、ストリップの何らかの改ざん、例えば、ストリップを開く動作は、マーキングの一体性を破壊又は少なくとも変更しそれによって、それらは、後で適切に読み取られることができない。
図5bは、識別タグの更に他の実施の形態を示す。オブジェクトを形成するように接合する前の材料のストリップ521が示される。ストリップは、その頂表面上に光学マーキング522を有し、且つ他の表面上にランダムに分布された磁性粒子523を含む非磁性バインダを有する。一緒に接合されると、オブジェクトは、光学読み取り要素と磁気読み取り要素を含む読み取りデバイスを使用して読み取られることができる。
図6aは、識別タグの更なる実施の形態を示す。ここで、矩形横断面を有する識別タグ601(今後、"バータグ"として知られる)は、三つの表面に光学マーキング602、603、及び604を有する。このタグは、糊付けや、半田付け、又はモードル時にそのベースにアイテムを埋め込むような適切な手段(図示せず)を使用して価価値のあるアイテムに取り付け又は埋め込まれる。このタグは、例えば、正方形スロットの周りに位置される三つの光学読み取り要素を有する読み取りデバイスを使用して読み取られることができる。或いは、タグが透明の場合、読み取り要素は、二つの反対側の表面から光学マーキングを読み取るために使用されることができる。このようなタグを容易に製造するための一つの方法は、正方形の横断面物品の側にバーコードステッカーを貼り付けることである。
図6bは、本発明の更なる実施の形態を示す。ここでは、円形断面を有する識別タグ621(以降、"ロッドタグ"として知られる)は、同じ表面の三つの側に光学マーキング602、603、及び604を有する。このタグは、熱接合(図示せず)のような何らかの適切な手段を使用して価価値のあるアイテムに貼り付ける又は埋め込まれることができる。このタグは、例えば、円形スロット周りに位置される三つの光学読み取り要素を有する読み取りデバイスを使用して読み取られることができる。このようなタグを容易に製造するための一つの方法は、円形横断面物品の側にバーコードステッカーを貼り付けることである。
先行する図面から、の幾つか(二つ以上)の側、表面、又は平面内に含まれる識別機能は、本発明下でオブジェクトを形成するために組み合わせで使用されることができることは明白である。更に、実際上、任意の形状のオブジェクトが適切であり、例えば、三角形、“T”や“H”横断面オブジェクトは、偽造者が識別機能を位置合わせするのが困難であることは明白である。
図7aは、価価値のあるアイテム704への接合前のオブジェクト(又はタグ)701を示す。オブジェクトは、透明の材料から作られ、その頂表面と底表面に夫々光学識別情報702と703を有する。オブジェクトは、透明材料から作られるので、頂表面上のセットの光学識別情報と底表面上のセットの識別情報は、オブジェクトが価価値のあるアイテムに取り付けられると共に、読み取られることができる。底表面上の光学識別情報703は、オブジェクトが価価値のあるアイテムから除去されると、その識別機能の少なくとも幾つかが、剥離する代わりに、価価値のあるアイテムに付着したまま残り、オブジェクトの残りがある(或いは、読み取ることが不可能となる)ように設計されることができる。これは、多くの既存の改ざん防止ラベルが動作することと同様であり、この効果を達成するための方法は、当該技術において周知である。
図7bは、図7aに示されるものと同様なオブジェクト(又はタグ)を示す。この場合、オブジェクト721は、表面上の識別機能723と組み合わされる平面にある識別機能722を備える。また、価価値のあるアイテム724に接合される前のオブジェクトが示される。
図8aは、透明な材料のストリップ801上に配置される一セットの識別機能802と、価価値のあるアイテム自体804に配置される第2のセット803を示す。接合に先立って、このようなオブジェクトのコンポーネントが存在する、例えば、異なる表面、側、又は平面上の二セットの識別機能802と803が存在しても、本発明に従う"オブジェクト“が存在しない。図8aに示されるすべてのコンポーネントが一緒に接合されると、接合されたコンポーネントは、本発明に従うオブジェクトを形成する。ここで、価価値のあるアイテムは、本発明のオブジェクトの一部を形成する。改ざん防止目的のために、価価値のあるアイテムに接合された識別機能803を有することが好ましいので、これらの機能は、ストリップ801が強制的に価価値のあるアイテムから外されるとしても、少なくとも部分的に価価値のあるアイテム804に取り付けられたままである。上記例において、804は、価価値のあるアイテムであることは必要ないが、代わりに、価価値のあるアイテムに取り付けられるべき複合オブジェクトに他の部分であってもよいことは、当業者にとっと明白である。
図9は、本発明の更なる実施の形態を示す。ここでは、各々がそれ自体のセットの識別機能903と904を有する材料の二つの別個のストリップ901と902は、価価値のあるアイテム905に接合される。接合されたユニットは、二セットの識別機能903と904が異なる(例えば、物理的に)表面に存在するが一つのユニット、即ち、オブジェクト、の一部であるので、本発明に従うオブジェクトを形成する。
図10aは、本発明の他の実施の形態を示す。これは、図8に示される実施の形態に類似する。一セットの識別情報1002が、材料のストリップ1001上に印刷される。しかしながら、第2のセットの識別情報1003は、価価値のあるアイテム1004上に、即ち、材料のストリップの頂表面上に対して直交する表面上に配置される。この例では、各セットの識別情報は、異なる表面上に位置される。
図10bは、本発明の他の実施の形態を示す。これは、図9に示される実施の形態に類似する。各々がそれ自体のセットの識別機能1003と1004を備える二つの別個の材料のストリップ1001と1002は、各々、価価値のあるアイテム1005の表面に接合される。接合されたユニットは、二セットの識別機能1003と1004が異なる表面に存在するが一つのユニット、即ち、オブジェクト、の一部であるので、本発明に従うオブジェクトを形成する。図9とは異なり、図10bの識別機能は、互いに垂直である平面上にある。
図11は、本発明の他の実施の形態を示す。これは、図8に示される実施の形態に類似する。図11aは、一緒に接合される前のコンポーネントを示す。また、接合に先立って、オブジェクトの構成要素が存在する、即ち、異なる表面、側、又は平面上に、二セットの識別機能1102と1103が存在するとしても、"オブジェクト“は、本発明に従って存在しない。一セットの識別機能1102は、材料のストリップ1102上に存在するが、第2のセット1103は、価価値のあるアイテム自体1104上にある。図11bは、図11aに示される全てのコンポーネントが一緒に接合された状態を示す。接合されたコンポーネントは、本発明に従うオブジェクトを形成する。また、価価値のあるアイテムは、オブジェクトの一部を形成する。図8に示される場合と異なり、ここでは、材料のストリップ1101は、透明である必要はない。
図12は、本発明の他の実施の形態を示す。図12aは、本発明に従うオブジェクト1201の横断面図を示す。このオブジェクトは、その中に埋め込まれた識別機能1202の平面を示す。図12bは、平面図でオブジェクト1201を示す。更なるセットの識別機能1203は、オブジェクトの一表面上に見られることができる。図12cは、オブジェクトを読むように構成された読み取りデバイス1221を示す。読み取りデバイスは、その二つの読み取り要素1222と1223が、夫々、識別機能1202と1203を読み取るように位置合わせするように形成される。
図13は、本発明の他の実施の形態を示し、そこでは、RFIDチップ1302(能動又は受動RFIDチップであることができる)は、(磁性材料、524のような)識別の他の手段と連携して識別の手段の一つとして使用され、この場合、例のフォーマット404を使用する。RFIDチップは、基準マーキングやタイミングマークを提供できる。例えば、RFIDタグが、識別情報524をマッピングするための座標として機能できる規則的なRF波を送信する時である。例えば、RF信号の強度プロファイルが、一部に記録され、且つ他の情報を関連付けるべき信号を提供するために使用される。
この実施の形態は、小さなアンテナ(別個にRFIDチップに取り付けられ且つ形成されるオブジェクトの一平面上の、又はオンチップアンテナとして)を有することによって実現されることができ、このアンテナは、RFIDチップからオブジェクトの最も離れたポイントでゼロ又はゼロ近くまで減少されるに十分な信号のみを提供する。一つのスキームは、リーダがRFIDチップ上を又はそれ近くを通過すると、RFIDチップを起動して識別情報を送信し、次に、一連のオン/オフ、矩形波形や正弦波形を送信し、リーダがリーダから離れ且つ他の識別材料に沿って移動する時に、その信号の減衰が測定されて連続位置決めセンサとして使用されることができる。これは、信号が検出不能又は決定された閾値未満になった時のピーク(RFIDリーダがRFIDチップのオーバーヘッドを通過する時)又はエンドポイントに関連する。
図14aは、標準IDバーコードのセクション1401を示す。このセクションは、広い黒色バー1410、狭い白色バー1411、及び狭い黒色バー1412よりなる。このバーコードのセクションの下方に、ペンタイプバーコードリーダ(このようなセンサの例は、Agilent HBCS−1100光学センサである)で使用されるバーコードセンサから得られる典型的な対応するアナログ信号1402が示される。Agilent HBCS−1100光学センサの場合、より高い出力信号がより低い感知された反射率に対応し、従って、ここで議論されている例では、黒色バーは、信号の最大値として示され、白色バーとして最小値が対応する。しかしながら、明らかに異なっているセンサは、即手された反射率に基づいて異なる信号を提供し、黒色領域が最大値か最小値に対応するか否かは、本発明にとって意味はない。この信号は、センサが白色エリアから黒色バー1410への変化を読み取る時は、上昇信号強度よりなる。その後、センサが黒色バー1410から黒色の反射を読み取ると、信号は停滞期1404になる。次に、センサが黒色バー1410から白色バー1411への遷移を読み取ると、信号は、スロープ1405で減少する。次に、白色バー1412に対応する最大値1406に達する。その後、センサが次の黒色バー1412を感知し始めると、信号は、再び、スロープ1407に沿って減少する。次に、信号は、黒色バー1412から読み取られた最大値信号に対応する最大値1408に達する。その後、センサが、黒色バー1412の後の白色エリアへ戻る遷移を感知すると、再び、スロープ1409に沿って減少する。
図14aから知られるように、最大値(1404と1408)は、同じ強度を示さない。同様に、最大値(1406と信号セグメントの始めと終わりに示される最大値)もまた、同じ強度の最大値ではない。これは、バーコードセンサの解像度が、バーコード中の最も小さなバーを完全に解像するのに十分なように微細ではない場合の典型的な状態である。図14bに概略的に示されるように、その図は、バーコードのセクション、即ち、広い黒色バー1420、狭い黒色バー1421及びこれらのバーの間の白いエリアよりなるセクションを描いている。センサは、円形領域上のバーコードの反射率を感知する。円形領域1422は、センサが広い黒色バー上を通過する時に、そのセンサによって感知される領域を示す。円形領域1423は、センサが狭い黒色バー上を通過する時に、そのセンサによって感知される領域を示す。図面から理解されるように、センサが、広い黒色バー上を通過する場合、そのセンサによって感知される領域は、完全に黒色であるが、センサが狭い黒色バー上を通過する時は、その感知領域は、決して完全には黒色ではなく、常に、感知されるエリア内にいくらか白色がある。このことは、センサが狭い黒色バー上を移動する時の最大信号は、センサが狭い黒色バー上を移動する時の最大信号よりも大きいことを意味する。これはまた、異なる幅の白色エリアに対する信号の最小限に対しては真実である。センサが十分な解像度を有するがそれがバーコード上に適切に焦点が当てられていない場合や、得られたデータポイントの数がバーコード中の最も狭いバーを十分に解像するのに十分ではない場合、この種の状態が生じる。例えば、狭いバーに対して2乃至3個のデータポイントしか得られない場合、得られるデータポイントが、センサが黒色エリアに十分に位置合わせされる時には対応しないので、最大値は、適切には記録されない恐れがある。これは、走査速度が高い又はデータ捕獲速度が比較的遅い場合に生じる。最大値と最小値の強度は、バーコードの退色や変色、汚れや傷のような損傷の他の形態や、バーコードセンサとバーコードとの間の位置合わせ誤りのような物理的問題によって影響され得る。得られる信号のノイズは、これらの条件によって影響され得る。ここでは、その状態がIDバーコードに対して記述されたが、この状態は、例えば、2Dバーコード及び文字コードを含む他の識別機能に対して種々の形態で生じる。
本発明は、二つのセットの識別機能の間で正確な位置の検知に依存するので、通常、識別機能の位置が正確に決定されることが保障される。1Dバーコード例を使用して、本発明者等は、黒色エリアと白色エリアの遷移ポイントに中心又は黒色バーと白色バーの中間点が正確に決定されることができ位置的な基準ポイントとして使用されることができることを見つけ出した。任意の適切な数学的な方法がこの目的で使用されることができる。図15は、バーの位置がその反射率信号から如何に決定されるかを示す。この図は、黒色バーを感知することに対応する感知信号1500の一部を示す。黒色バーと白色バーの間の遷移の中心を得る単純な方法は、信号の平均を決定し、次に、各遷移がこの平均値を横切る場所を検出することである。しかしながら、この方法は、それが、選択された平均値に対して高い感度を有するので、かなり不正確であることがわかった。例えば、平均が高過ぎ、図15に示される例で1501の場合、黒色バーは、狭すぎるように現れ(黒色バーの測定幅は、図に示されるようにW1である)、他方、白色バーは広すぎるように現れる。反対に、平均が低過ぎる場合、白色バーは狭過ぎるように現れ、黒色バーは、広過ぎるように現れる(黒色バーの測定幅は、図に示されるようにW2である)。二つの測定の間の誤差は、グレーの影付け領域1503によって描かれており、これは、正確な平均が見つけられない場合、その誤差が顕著になることを強調している。正確な平均を見つけることは、困難である。理由は、バーコードは、その長さに沿って変色し、事実上、その長さにわたって平均が変化することになるからである。更に、平均を決定することは困難である。理由は、必ずしも、その平均が読み取られたデータの全ての平均ではないからである(もしそうでないならば、白色と黒色の正確に等しい領域が読み出され、それらの反射率がバーコードの全長に渡って均一であることが意味される)。
しかしながら、本発明の文脈において、黒色と白色のバーの中間位置を測定することは、選択された平均値に対する感度を減少することがわかった。また、図15に示される平均1501と1502を使用して、中間ポイントは、測定幅W1とW2の中間点を測定することによって、見つけられる。これらの幅は、両方とも、黒色バーの中心を与える。このことは、測定のために平均線が使用される場合、感知された他の識別機能の位置と比較するために、バー(黒色と白色の両方)同士の中間点を関連位置として使用することは、幾つかの実施の形態において、信頼性を高める。
図16は、センサが黒色バーを感知する場合のセンサ信号1600の一部を示す。この図では、白いから黒色への遷移のスロープ1603の角度と黒色から白色への遷移のスロープ1605の角度が等しくない(これは、例えば、バーのスロープ1605に沿う白色は、バーの1603側ほど反射しない、例えば、何らかの汚れや局所的変色が生じた)。この状態で黒色バーに対する正確な中間ポイントを得るための一方法は、以下に記述される。スロープ163の最小ポイント1610と最大ポイント1611、及びスロープ1605の最小ポイント1613と最大ポイント1612が見つけられる。スロープ1605に対しする平均強度(この図では、これは、Y軸上にプロットされる)は、ポイント1610と1611の平均強度(即ち、Y軸値)によって与えられる。同様に、スロープ1605の平均強度は、ポイント1612と1613の平均強度によって与えられる。これらの計算に基づいて、1603の平均値は、ライン1601として概略的に示され、1605の平均値は、ライン1602によって示される。次に、スロープ1603と1605の中間点のX軸値は、スロープ1603のライン1601との交点によって及び1605の1602との交点によって与えられる。次に、黒色バー(1604によって表される)の中間ポイント(X軸上の)は、二つのスロープの中間ポイント同士間の中間のポイントによって与えられる。
一セットの識別機能の基準ポイントが決定されると、それらは、他のセットの又は複数の他のセットの識別機能(図2に示されるように)の相対位置をプロットするために使用されることができる、即ち、それらは、他のセットの識別機能から得られたデータを正規化するために使用されることができる。
セットの識別機能からデータを同時に測定することが有利であることがわかった。理由は、識別機能の位置は、互いに比較されることが必要であり、これは、同じマイクロプロセッサをプログラムして各セットの識別情報の読み取りからデータを得ることによって達成されるからである。例えば、リーダ内のマイクロプロセッサは、バーコードセンサから一つのポイント、次に、他のセンサから一つのポイントを読み取ることができる(例えば、センサは、一セットの識別機能から磁界の強度を測定する)。次に、全ての有用なデータが収集されるまでこのプロセスを繰り返す。このように、異なるセットの識別機能から受信されたデータを、互いに関して比較し且つ正規化するのは容易である。理由は、種々のセンサから得られたデータポイント同士間の時間は、正確に相関されるからである。例えば、1Dバーコードからデータを得ているリーダは、ランダムなセットの磁性粒子から得られるデータを正規化するためにこのアプローチを使用し、且つ少なくとも10個のデータポイントがバーコードの各黒色と白色のバーに対してサンプリングされると、磁気信号の少なくとも10個の対応するデータポイントが、同時に得られる。このことは、磁気データポイントの位置が、各黒色と白色のバーの幅の約1/10の精度でバーコード中のバーの位置に関して既知である(リーダが各バー上を均一な速度で通過すると仮定すると)ことを意味する。従って、バーコード中の黒色バーの平均サイズが約500μmと仮定すると、磁気データの遺著の精度は、約±50μmの領域内にあることができる(リーダがオブジェクト上を均一な速度で通過すると仮定すると)。
図17aは、センサが黒色バーを感知する場合の読み取られた信号1700の一部を示す。図17bは、センサが同じ黒色バーを感知するが、バーコードとセンサの相対動作がより遅い(例えば、センサは、バーコード上をよりゆっくりと移動される)場合の読み取られた信号1710の対応する部分を示す。図から理解されるように、信号1700と1710は、1710がX軸方向へより"伸ばされている“こと以外同じである(ここで、Y軸は、センサによって記録された信号の強度を表し、X軸は、時間を表す)。センサがより遅く移動されているので、バーを横切るのにかかる時間は、明らかに長くなる。センサがバーコード上を手で移動される場合、センサが異なる読み取り同士間で移動される及び同じ読み取り内で移動される場合の速度でばらつきがある(即ち、センサは、バーコード上を完全に均一な速度では移動されない)。リーダ内のマイクロプロセッサが、均一なレート(即ち、データ読み取り同士間での均一な時間)でデータを捕獲している場合、1710と比較して、1700に対して比較的少ないデータポイントが捕獲される。
極端な場合、これは、1700の場合においてバーを適切に解像するためにはデータポイントの捕獲数が少な過ぎ、他方、1710の場合、バーコードの終わりが読み取られる前にマイクロプロセッサのメモリが完全に使用されるようにデータポイントの捕獲数が多すぎる(即ち、メモリの"オーバーフロー")。これを防止するための一つの方法は、リーダとバーコードとの間の相対運動を推定するために、白色と黒色(1701と1711)の間及び黒色と白色(1702と1712)との間の遷移のスロープを使用することである。これらの遷移のスロープは、速度が同じである多くの場合に比較的均一であるので、リーダがそのポイントでバーコードに関して移動している速度を推定するためにこれらのスロープの勾配が、使用されることができる。例えば、急勾配が測定される(1702と1712)とマイクロプロセッサがデータを読み取っているレートは、高くあるべきである(十分なデータポイントをサンプリングするために)。他方、スロープが浅い(1711と1712)場合、データサンプリングレートはより低くあるべきである(メモリのオーバーフローを防止するために)。バーコード上のリーダの速度は、手で読み取りが行われる場合、均一ではないので、マイクロプロセッサは、スロープが認識される毎に、読み取り速度(スロープの勾配から計算される)に従ってサンプリングレートを動的に調節するようにプログラムされることができる。これによって、バーコード沿う全てのポイントで適切なデータサンプリングレートが使用されることができる。各読み取りのサンプリングレートやサンプリング時間が格納される限り、これによって、必要に応じて、データが時間ドメインにおいて表されることができる。
二つの異なるタイプの識別情報の読み取りの実行において、識別機能の位置が互いに対して比較或いは正規化されるべきことを保障することが重要である(必ずではないが、各データが位置に関係しない場合、そのデータを測定した時に)。一方のセットの識別機能が既知の量(例えば、黒色と白色との遷移スロープが非常に均一な識別機能であるバーコード)であり、他方のセット(単数又は複数)の識別情報が未知の量(例えば、種々のサイズのランダムに分散された磁性粒子から得られる信号及び均一であるべき任意の識別機能を予想することが困難又は不可能である形状)である場合、既知と未知の識別機能の両方に対するデータサンプリングは、既知の識別機能にとって最適であるように決定されたレートによって決定されることができる。換言すれば、バーコードサンプリングのために使用されるサンプリングレートは、バーコートセンサがバーコードに関して移動するのと同じ磁気データに対する相対速度で他のセンサが移動すること、及び磁気データを解像するために必要な解像度がバーコードデータのそれと類似することを前提に、その他のセンサからの磁気情報をサンプリングするために使用されることができる。必要な解像度が、バーコードデータよりも高い又は低い場合、それに比例して高い又は低いサンプリングレートが使用されることができる(例えば、バーコードサンプリングレートがそのポイントでどのように決定されようとも2倍だけ)。
図17に関連する上記パラグラフにおいて、遷移1701,1702,1711及び1712のスロープが実際の走査中に走査速度を推定するために如何に使用されることができるが記述される。スロープの勾配は、走査速度が一定の場合、比較的均一であるべきであることが前提となる。しかしながら、図16に関連して、スロープは、バーコードの変色等によって影響を及ぼされることがあることが知られている。その結果、本発明者らは、遷移の長さに渡って捕獲されたデータポイントの数を使用して走査速度を計算することがより正確になることを見つけた。例えば、1秒当たりX個のデータポイントのデータ捕獲速度を使用して、P個のポイントが1603遷移中(即ち、スロープの底からスロープの頂点迄)に捕獲された場合、遷移は、P/X秒かかった。レーダが1605遷移に到達する時にリーダが(バーコードに対して)この同じ速度で移動されているならば、その遷移が(即ち、異なるスロープの)変色バーへ達したとしても、遷移中に捕獲されたポイントの数がP個であることが期待される。これは、センサが新たなバーの感知を開始し遷移を開始し、センサがその新たなバーを完全に感知した時に終了する(即ち、センサがもはや古いバーを見ることがない時)、即ち、遷移の開始と終了ポイントは、感知されたエリアの幅に関連する物理的現象であり、バー自体の実際の色に対して反応するのではないためである。遷移中に捕獲されたデータポイントの数を計算することによって、遷移のスロープの勾配を使用するよりも一層正確な推定値を得ることが可能となった。
前述の議論は、1Dバーコードの形態における光学的パターンを扱ったが、これらの光学的パターンは、純粋に説明を簡単にするために選択された。説明されたものと類似の方法が読み取られるべき識別機能のタイプがどのようなものであるかに関係なく使用されることができることは、当業者によって理解される。例えば、光学文字認識、2Dバーコードの長さ、及び固定インターバルタイミングマーク(ここでは、例えば、これらのマークは光学的、磁気的、又はテクスチャ的である)に適用する。
バーコードが基準位置ポイントを識別して第2のセットの識別機能から信号を正規化するために使用される場合、バーコードの読み取り誤りは、読み取られたシグネチャを事前格納されたデータベース(又は他のデータ記憶媒体)に格納されたその事前格納された基準シグネチャと適切にマッチングして読み取られたシグネチャを識別することが困難であることを意味する。この問題を処理するために、エラー処理対策が以下のパラグラフで考察される。
エラー処理のための一つの対策は、ユーザが別個にバーコード番号を(打ち込むこと又は入力)できることを含む。或いは、他のデバイスが、別個にバーコードを読み取りそして読み取られた情報を調停のために送るために使用されることができる(例えば、遠くからバーコードの大部分を読み取り、そのバーコードにある小さな欠陥に影響されない走査レーザリーダ)。バーコードの重要な部分が正確に読み取られたと仮定すると、読み取られたシグネチャを関連する事前格納された基準シグネチャを比較するために読み取られたシグネチャを正規化するのに必要な位置的データを再生するために黒色と白色バーのバー遷移ポイントと中間ポイントを再生することがしばしば可能となる。更に、例えば、1D Universal Product Code ("UPC”)タイプバーコードは、三つのセットのタイミングマーク、を有し、これらは、狭い白色バーによって分離された二つの狭い黒色バーよりなる。バーコードの始めに一セットのこのようなタイミングマークがあり、中心に一つと端に一つある。更に、バーコードにある数字は、それらが容易には混同されないことを保障するように選択された黒色と白色のバーの既知の組み合わせよりなる。更に、バーコードの最後の数字は、“チェックサム”、例えば、読み取られたものが正確なものであることをチェックするために数字の残りの部分から計算される数字である。例えば、12桁のUPCバーコードは、実際には、一つのチェックサム数字が続くユーザによって定義されることができる11個の数字を有する。チェックサムの数字の値は、3倍(奇数の数字の合計、例えば、数字1,3,5,7,9,11)+(偶数の数字の合計、例えば、数字2,4,6,8,10)+チェックサムは、10の倍数:によって求められる。例えば、11桁の数字"00123456807"を取る。奇数の3倍=3x(0+1+3+5+8+7)=72及び偶数の合計=(0+2+4+6+0)=12、従って、その二つの合計=72+12=84である。84よりも大きな最も近い10の倍数は、90である。84+6=90であり、チェックサム数字は6となる。従って、全12桁UPCバーコード数字は、“001234568076”である。
更に、バーの厚み(白色か黒色)は、互いに整数倍として選択され、それによって、バーコード中の最も狭いバーは、1単位幅であり、バーコードは、2単位幅及び3単位幅のバーを含むが、例えば、1.5単位や2.5単位幅を含まない。最も狭い白色バーが、"0"であると定義され、最も狭い黒色バーが"1"であると定義されると、12桁のUPCバーコード中の数字5は、”0110001”(もし、それが、中間点の前に生じると)である。これは、数字”5”が最も狭い白色バーとして定義され、中間厚みの黒色バー(一行中の二つの“1”、即ち、狭い黒色バー二つの厚みを有する黒色バー)が続き、非常に広い白色バー(即ち、もっとも狭い白色バー三つの厚みを有する白色バー)が続き、最も狭い黒色バーが続く。数字"5"のこの定義は、"0101111"(バーコードの中間ポイントの前にそれが生じると)として定義される数字”6”から明確に異なる。"0"(複数)と"1"(複数)の明確に異なる組み合わせを有する数字(複数)を定義することによって、任意の数字が、任意の他の数字に対して混同されることが起こらず、更に、チェックサムを有することによって、混同の可能性を更に遠ざける(チェックサムは、その数字が正確であるとして受け入れられる前に、加わることが必要であるので)。
バーコードが誤って読み取られる(例えば、一つのバーが汚されて他のバーから区別できないように損傷される)場合がある。通常に従来の用途では、例えば、スーパーマーケットのキャッシャーデスクで、バーコードが誤読され、ユーザ(例えば、スーパーマーケットのキャッシャー)がバーコードを手作業でキー入力することが必要な場合、キー入力された数字が、実際にスキャナーで読み取られた数字と比較されることなく、正確であるとして受け入れられる。しかしながら、スキャナーによって読み取られた位置的データが正確であることを保障するために、走査されたデータが格納されることができ、且つキー入力された数字が、誤った(又は不正確に読み取られた)情報又は情報の(重要なコンポーネント)(例えば、基準ポイント)を再生するために使用される。バーコードタイミングや位置的データを再生することの一前提(条件)は、距離が短い場合、スキャナーがバーコードに関して移動する速度が大きくは変化しないということである。換言すれば、バーコードの開始と終わりでの走査速度は、大きく異なる(理由は、バーコードの開始と終わりとの間の距離は、通常、数センチメートル離れているので)が、一個の狭いバーの距離を横切る場合(典型的には、約200ミクロンメートル幅である)、走査の速度は大きくは変化しない。短い距離で速度を変化するためには、加速度が極端に高いことが必要であるので、この前提は、一般的には有効である。狭いバー(或いは2乃至3個のバー上でもよい)の幅上の速度は、線形である(即ち、バーの始めの速度とバーの終わりの速度が何であるかを知るならば、これらの二つのポイント間の速度がバーの始めの速度からバーの終わりの速度への線形遷移であると仮定されることができる)という前提が受け入れられることがわかる。例えば、走査データが一つのバーを失っている(キー入力情報が、バーコードが走査されるはずであったものが何であるかを発生するのでその特定のバーがなくなっていることを知る)場合、バーがあるべきところの初めと終わりの速度を知ることができ、且つバーの中間ポイントがあるべきところを非常に正確に推定できる。この種の再生を達成するために、走査データ(生データ自体又は対応データ、例えば、読み取られたバーの(複数)の中間ポイントや遷移ポイントの位置についての情報)を格納しそしてそれを読み取られたものと比較することが必須である。バーコード位置情報を再生する能力は、われわれの解決策を一層より強固なもの及び商業上価値のあるものにする。理由は、バーコードが正確に読み出されない場合でも、読み取られたシグネチャが事前格納された基準シグネチャと比較されることができるからである。
バーコードや機械読み取り可能なシリアル番号の何らかの他の形態(又は、英数字コードのようなシーケンシャル情報)が一セットの識別機能として使用される場合、事前格納された基準シグネチャは、事前格納された基準シグネチャ(データベースにおいて、"主キー"がデータベース内の情報にアクセスするための主ソースである)に迅速にアクセスするために、そのシリアル番号(又は他のシーケンシャル情報)を“主キー"(又はインデックス番号)を使用してデータ格納媒体内に格納されることができる。これは、シグネチャが、そのシリアル番号(又は他のシーケンシャル情報)に対応する事前格納された基準シグネチャに対してマッチングされるに過ぎないことを意味する。これによって、入ってくるシグネチャをデータベースの全ての事前格納された基準シグネチャに対してマッチングしようとする必要なく、シグネチャマッチングが非常に迅速になされることができる。また、これによって、入ってくるシグネチャが他の関係のない事前格納された基準シグネチャに対して比較されないので、誤ったマッチングを生じる可能性が減少される。
図18は、図18bに示されるのと同様な実施の形態を示す。違いは、図18が、二セットの磁気識別情報を含むことである。図18において、材料のストリップ1800は、その上表面に磁気識別機能1801を含む。平面1807は、第2のセットの磁気識別機能を含む。この平面は、第2の材料ストリップ1803によって被覆される。それらは、図3aに関連して記述された方法を使用して価価値のあるアイテム1802のいずれかの側に付着される。一緒に接合されると、その二セットの磁気識別情報によって識別される価価値のあるアイテムは、本発明に従うオブジェクトを形成する。オブジェクトを読み取るように構成される読み取りデバイス1804は、夫々、識別機能1801及び平面1807内に含まれるものを読み取るように位置決めされる二つの磁気読み取り要素1805と1806を含む。例えば、磁気識別機能は、書き込み可能磁気ストリップ(クレジットカードにおいて使用されるような)、印刷磁気バーコード、又は非磁性マトリックス材料にランダムに分散された磁性粒子から形成されることができる。一例として、識別機能1801は、書き込み可能磁気ストリップから形成され、平面1807に含まれる識別機能は、非磁性材料にランダムに分散される磁性粒子から形成される。また、この概念は、非磁気識別機能に適用可能であり、例えば、1801と1807に含まれるものの両方は、ランダムに分散された光学的に光を発する粒子であってもよい。
図19は、図10aに示されるものと類似の実施の形態である。しかしながら、図19の場合において、識別機能は、線形トラックを形成しない。図19において、オブジェクト1901(この場合、オブジェクトはラベルである)は、楕円エリアの識別情報1902を含む。ラベルが価価値のあるアイテム1904に貼り付けられ、このアイテムは、三角形エリアの識別機能1903を有する。識別機能は、例えば、各セットの識別機能上を同時に読み取り要素をラスター(raster)することによって又は読み取り要素が識別機能を掃引される時に、各エリアの全幅をカバーするに十分な幅である読み取り要素の一線形掃引によって、又は本質的に2次元エリアを"画像形成”できる1個の読み取り要素(又は一グループの要素)によって読み取られることができる。
図20は、本発明の更なる実施の形態を示す。図20aは、価価値のあるアイテム(図示せず)に貼り付けられるように構成されるオブジェクト2003(この場合、オブジェクトはラベルである)を示す。このラベルは、一セットの識別機能2001を含む材料の矩形断面片2000よりなる。矩形断面材料は、第2のセットの識別機能2004(この例では、1Dバーコード)及び更なる情報が印刷可能なエリア2005(ここで印刷される情報は、機械読み取り可能である必要はなく、且つここで与えられる定義に従って"識別情報“として考えられる必要もない、この情報は、会社名、ロゴ、製造日、バッチ及びシリアル番号及び本発明とは別のデバイスによって読み取られることができる又は人々によって読み取られるように設計されることができる他の情報含むことができる)を含む材料のフィルム2002に取り付けられている。このラベルは、その裏面(即ち、図には示されていない、2000、2004及び2005を含む側とは反対の表面)上の接着剤層を有する。
図20bは、図20aに示されるオブジェクト2003を読み取るように構成されるリーダ2010を示す。このリーダは、識別機能2001を読み取るように構成される読み取り要素2011と識別機能2004を読み取るように構成される読み取り要素2013を含む。
また、偽物を作る又は改ざんすることが疑われないある状況下において、少なくとも一セットの識別機能の内の唯一セットのみの測定/感知を実行することが意図される。例えば、そのオブジェクトが図20aに示されるもののようなラベルであるならば、それが、材料のリールに巻き取られている長いロールのフィルム(多くのラベルが現在このフォーマットで供給される)上に互いに隣り合って付着した複数のレベルの形態で顧客(この場合、多分、価価値のあるアイテムの製造者)に供給されることと思われる。この場合、それが、偽造を防止しようとしている製造者自体であると仮定すると、彼らの製造ラインで使用されるラベルと製造される製品が本物であることが前提となっている。従って、レベルが製造ラインで製品に付着されるとそれらのラベルは本物であることをチェックする必要はない。この場合、製品に付着されているラベルを識別するために一セットの識別情報を読み取るだけであることは有利である。一例として、製造工場で使用されているラベルのリール2003を考える。製造現場に到着する前は、各ラベルは、その識別機能が読み出され、例えば、それらのラベルが製造中にデータベールに格納されるその事前格納された基準シグネチャを有する。データベースは、例えば、各ラベルのシリアル番号(即ち、バーコード自体に対応するラベルに印刷されたバーコード)(今後、"ラベル番号"と呼ばれる)、及びその特定のラベルに対して識別機能2001の対応する事前格納基準シグネチャを含む。製造ラインにおいて、ラベルが付着されている製品のバッチとシリアル番号のような、人間が読み取られる情報をエリア2005に印刷することは有利である(これによって、読み取りデバイス及びレベル番号と事前格納された基準シグネチャを格納するデータベースへの接続なしにラベルが読み取られる)。製造ラインでラベルに印刷される情報をラベル番号とその事前格納基準シグネチャと共にデータベースへ格納することは有利である。また、製造プロセスが製造シリアル番号に対して事前格納されたラベルシリアル番号に対して許可する場合に有利である。これは、追加の情報がラベルに印刷されるすぐ前に又は直後にラベル番号を読み取る(ラベルのシグネチャを読み取ることは必ずしも必要ない)ことによって達成される。
高速製造ラインにおいて、この情報は、非接触レーザレーザ走査バーコードリーダを使用して、又はシリアル番号がRFIDチップに格納される場合、RFIDリーダを使用してデータを読み取ることによって、1D又は2Dバーコードから読み取られる。例えば、非磁性材料にランダムに分布された磁性粒子のような識別情報は、通常、より遅い接触ベースの読み取りを必要とする。このような情報を読み取ることは、製造ラインをスローダウンしシステムを機械的な詰まりを生じる可能性がある(理由は、接触読み取りデバイスは、非接触読み取りデバイスよりも詰まる傾向が強いからである)。更に、シグネチャが既にデータベースに格納されており、この例では、正当な製造ラインであり、ラベルの認証は、今時点で関係ないので、シグネチャを再び読み取ることは必要ない。
次に、これらのセットの情報は、ラベル番号と事前格納された基準シグネチャを既に格納しているデータベースへ送信される。これらのセットの情報は、データベースにリンクされ、それによって、データベースがラベル番号を使用して照会されると、ラベルの他の情報がそれに関連付けられる。また、更なる情報が、データベースに格納されることができ、且つこれら三つのセットの情報、例えば、製品が製造された時間と日付、製品が誰のものか又は誰に売られるか、製品の満了日、その保証の地理的範囲等に関連付けられる。
ラベルに関連付けられるラベル番号を有することは、失った、盗まれた、又は損傷されたデータベース中のラベルを除去または停止することが容易である。例えば、ラベルのリールが失われたことが報告されると、これらのラベルは、それが信用できないことを示すフラグをデータレコードに単に立てるだけでデータベースから直ちに"無力化“される。このようなラベルが引き続いて読み取られると、データベースの保持者やユーザは、ラベルが想像通り破壊された(例えば)ことが警告され、データベースシステムは、エラーメッセージを読み取りデバイスに戻し、ラベルが疑わしことを述べる。この種の警報システムは、製品の警告やリコールや製品が工場から出荷された後のその製品について利用可能な情報のような問題に取って非常に有用である。データベースにおけるフラグによって、データベースはラベルについての新たな関連情報をラベルが読み取られた後直ちに読み取りデバイスに戻されることができる。
図21は、同じオブジェクトの別個の読み取りから得られるデータを正規化するための一方法を示す。この例では、オブジェクトは、二セットの識別情報を有し、第1のセットは、1Dバーコードであり、第2のセットは、ランダムに分散された磁性粒子から引き出される。"バーコード読み取り1“は、バーコードの第1の読み取りから得られるデータ(ピークは、黒色バーが検出された時のセンサからのデータを表し、谷は、白色バーが検出された時のセンサからのデータを表す)を示す。"磁気読み取り1”は、磁気識別情報の同時の第1の読み取りから得られるデータを示す。ここで使用される用語"同時“は、上記のように定義される。データのX軸は、第1のデータポイントが得られた時間を表し、Y軸は、センサから読み取られた信号の強度を表す(それによって、ベーコードデータは、バーコードセンサからの信号の強度を表し、磁気データは、磁気センサから得られるデータの強度を表す)。データが、同じマイクロプロセッサによって同時に読み取られるので、"バーコード読み取り1”と"磁気読み取り1“からの対応するデータは、夫々のセットの識別情報に沿う対応する位置からのものである。例えば、バーコードセンサから一つのデータを取り且つ同時に磁気センサから対応するデータを取ることが可能である。マイクロプロセッサにおいて、マイクロ秒内に互いの読み取りを取ることができることは全く普通のことであり、例えば、ATMELAT91SAM7S64マイクロプロセッサは、例えば、2.4マイクロ秒毎に、アナログデジタルデジタルコンバータ(ADC)からデータポイントを捕獲でき、それは、実質的に、即座や同時として、即ち、同時にと考えられる。次に、例えば、バーコードセンサから捕獲されるデータポイント数300は、磁気信号のデータポイント数300が磁気センサから捕獲されると同時に捕獲された。
上記議論において、データポイントは、それらのセットの識別機能に沿う対応する相対位置から取られた。図1aに示されるように構成されるオブジェクトを図1cに示されるように構成されるリーダと共に使用することによって、バーコード識別機能と磁気識別機能に関してバーコードセンサと磁気センサの相対位置が固定される。読み取りデバイスの複数の読み取りデバイスは、それらが、各セットの識別情報が配置される場所に対応するオブジェクト上の指定の位置を走査するように配置される。読み取りデバイスの読み取り要素の位置を固定することによって、同じ時間値を有するデータポイント(即ち、同時に読み取られるデータポイント)は、互いに対応するように取られる。換言すれば、バーコードから読み取られるデータポイントと磁気センサによって同時に取られたデータポイントは、夫々、バーコードと磁気識別機能に沿う対応する位置から取られる(明らかに許容範囲内にある)。
同じ時間値を有するデータポイントをマッチングする上記方法は、バーコードセンサと磁気センサによって同時に得られるデータを直接に相関することができ、それによって、図21aに示されるように、同時に読み取られたデータポイントは、バーコード/磁気識別情報に沿う対応する位置からであると仮定される。この相関によって、同じオブジェクトの別個の読み取りから取られたデータが、位置的基準ポイントを使用して空間的ドメイン(即ち、オブジェクト上のその物理的位置に対してプロットされたデータ)に対してマッピングされることができ、比較されることができる。即ち、別個の読み取りから引き出されたシグネチャが互いに比較される。
図21aにおいて、白色バーの中ポイントは、位置的基準ポイントとして使用される。図21aにおいて破線は、白色バーの中間ポイントに対応する(即ち、示されるバーコード読み取り(Barcode Readings)の最小値)。バーコード読み取り1(Barcode Reading1)及び磁気読み取り1(Magentic Reading1)において、データは、時間ドメイン(Time Domain)(即ち、データが読み取られた相対時間に対してプロットされたデータ)にあり、第1のデータポイントは、時間"0"で得られ、最後のデータポイントは、時間“T1”で得られる。磁気データの"空間マッピング1”(“Spatial Mapping 1”)は、位置的基準ポイントを使用して得られた磁気データを”標準“空間ドメイン(Spatial Domain)”にマッチングすることによって達成される。標準空間ドメインは、磁気データが、その相対時間の代わりに、相対位置に対してプロットされるならば、磁気データが見えるものである。二つのセットの識別情報の間の位置は相対的であるので、各磁気読み取りの開始位置が“0”単位に標準化され、位置の終わりは“1”単位に標準化される(図21aの“空間ドメイン”エリアに示される)。この場合、磁気読み取りの開始位置は、常に第1の位置的基準ポイントがバーコード読み取りより得られる時に一致するように取られ、終了位置は、最後の位置的基準ポイントが得られる所に一致する。バーコードが既知であるので、空間ドメイン中のバーコードの長手に沿って位置的基準ポイントの相対位置もまた既知である。区分的線形マッピング方法が使用される場合、リーダが二つの隣接する位置的基準ポイント同士間を移動する速度は線形であると仮定される。そうであるならば、第1の基準ポイントが検出された時間は、時間”0”(図21aに示されるように)として取られ、次の基準ポイントは、時間“H”で検出されるが、その基準ポイントは、第1の基準ポイントから“J”単位であると既知である(バーコード数が既知であるので、バーの中間ポイントもまた既知である)ので、取られた全ての時間は、読み取りの開始と第1の位置的基準ポイントとの間で以下の式を使用してそれらの対応する空間位置に対してマッピングされるべきである。
データの空間位置=t(データポイントが捕獲された実際の時間)xJ/H.
引き続く基準ポイント同士間で得られたデータは、読み取りに沿う個別のデータの時間/位置に適合する式を使用して類似の区分的直線的にマッピングされる。バーコード読み取り1から得られた基準ポイントを使用する磁気読み取り1のマッピングがオペレーション“空間マッピング1”によって図21aに図形的に表される。磁気読み取り1に対するこの空間的ドメインデータは、”シグネチャ1(Signature1)“として図21aに図形的に示される、オブジェクトの第1の読み取りにおいてデータから読み取られるシグネチャを表す。これは、オブジェクトに対して事前格納された基準シグネチャとしてデータベースに格納されることができる、即ち、データベースは、少なくともデータの主キーとして使用されているバーコード番号と引き続く読み取りが比較される事前格納された基準シグネチャであることができるシグネチャ1(Signature1)を含むことができる。
オブジェクトの引き続く読み取りから得られるデータは、”バーコード読み取り2(Barcode Reading2)“と”磁気読み取り2(Magetic Reading2)“として図形的に示される。この読み取りは、相対時間”0”で開始し、相対時間“T2”で終了する。”空間マッピング2(Spatial Mapping 2)“は、そのデータが空間マッピング1に対して記述されたのと同様の区分的線形方法を使用してシグネチャ1と同じ標準”空間ドメイン(Spatial Domain)”に対してどのようにマッピングされるかを図形的に示す。標準空間ドメインに対してマッピングされた磁気データは、オブジェクトから読み取られた第2のシグネチャ(”シグネチャ2(Signature2)”として図面に示されている)よりなる。この例では、独自のバーコード番号は、全てのオブジェクトに対して使用されると仮定され、従って、読み取られたバーコード番号は、オブジェクトがシグネチャ2をシグネチャ1のみ(オブジェクトに対して事前格納された基準シグネチャとして使用されることができる)に比較されることによって本物であることが確認されることを保障するために使用されることができる、即ち、読み取られたシグネチャは、同じバーコード番号に関連する事前格納された基準シグネチャと比較することが必要であるに過ぎない。明らかに、多くのオブジェクトが同じバーコード番号を有する場合、入力シグネチャは、そのバーコード番号に関連する全ての事前格納された基準シグネチャと比較されてどれがマッチングするかを知り、それによって、それがどのオブジェクトかを識別する。この状態、即ち、多くの事前格納された基準シグネチャが同じバーコード番号と関連付けされる状態は、例えば、複数の製品がバッチでマークされる、即ち、多くの製品の一つのバッチが同じバーコード番号を有するが、個々のアイテムが異なるシグネチャを有する場合に、使用されることができる。
上記で与えられた例は、区分的線形マッピングを記述しているが、例えば、多項式ベースのマッピング、スプラインマッピング等の任意の関連するマッピング方法を使用することが考察されてもよい。更に、幾つかの場合、読み取られた磁気データの強度(即ち、Y軸)を正規化することも有用であり、これを行う単純な方法の例は、データの強度を標準“0”から“1”間隔に対してマッピングし、そこでは、書く読み取り毎に、読み取られた最低(Y軸)データが”0”の値にマッピングされ、最も高いデータが”1”の値にマッピングされ、これはまた、この標準に対するデータの線形マッピング(又は任意の他の適切なマッピング)を使用することによってなされることができる。
補間関数が、図21aに示されるように、信号やシグネチャをモデル化するために如何に使用されうるかを示すために、以下の例が記述される。基準ポイント(即ち、バーコードにおけるバーの中間点)間を補間するための一つの方法は、曲線(例えば、多項式)を読み取られた基準ポイントデータへ当て嵌めることである、即ち、曲線は、基準ポイントが読み取られる時間対読み取り要素によって基準ポイント同士間を移動される距離をモデル化する。例えば、補間を使用して、信号の離散データが曲線に当て嵌められる。曲線(即ち、数学的に記述される関数)が得られると、それは、基準ポイント以外のポイントにおける時間対位置を予測するために使用されることができる。例えば、4個の基準ポイントの各々が1単位離間される単純なケースを考察する。一番目のユニットが時間(“T”)=0でリーダによって読み取られ(又は認識され)、二番目が時間T=1単位であり、三番目がT=4単位であり、及び最後がT=9単位である。データは、X=T^0.5の数学関数(ここで、Xは、第1の基準ポイントから移動した距離である)に当て嵌められる。この式で、基準ポイントが読み取られた時間同士間の任意の時間にリーダがどれだけ移動したかを予測できる。例えば、T=1.5単位の時間で、それが第1の基準ポイントから(1.5)^0.5=1.225の距離だけ移動した。この補間によって、磁気データ(例えば)が読み取られる基準ポイントに関して読み取られた場所をモデル化するデータが得られる。
図21b、21c、及び21dは、図1aに示されるように、識別タグから得られる種々の読み取りを描いている。図21(i)に図形的に示されるように、第1のセットの識別情報は、バーコードよりなり、第2のセットの識別情報は、ランダムに分布された磁性粒子よりなる識別層(以降、”磁気層“)よりなる。バーコードの読み取りは、バーコードの黒色バーと白色スペースの位置を示すAbarによって表される第1の信号(以降、”バーコード信号“)生じる。磁気層の読み取りは、バーコードの読み取りが実行されている時に同時に実行され、その読み取りは、磁気層の一部に沿う磁界強度の大きさを表す離散的値Amagよりなる第2の信号(以降、”磁気信号”)を生じる。同時に読み取られた第1の信号の値を第2の信号の値に相関することによって、黒色バーが基準マーキングとして働いて磁気信号内の指定の値をマークアウトすることを知ることができる。これによって、磁気信号の特定のポイントがバーコードの黒色バーに関連付けられて、それによって、Amag中の値の選択が可能とされる。それが、シグネチャを形成する選択された値Amagである。このシグネチャは、バーコード中の識別機能と磁気層中の識別機能との間相対空間位置を使用し、それに基づいてオブジェクトが本発明の一実施の形態に従って識別されるべきである。シグネチャを事前格納された基準シグネチャに対して検証することとは別に、個々の読み取られた信号、即ち、磁気信号かバーコードからの反射率信号を格納された夫々の検証磁気や反射率信号に対してマッチングされることができる。
読み取られたデータから引き出されるシグネチャがそれに対応する事前格納されたシグネチャを形成しない幾つかのシナリオが存在する。図21b(ii)は、同じバーコードから得られるが、特に情報へシフトされた磁気層に関して誤って位置合わせされた読み取られたバーコード信号Rbarを示す。この状態は、バーコードがその元の位置から除去され、次に、そのオブジェクトへ再付着された場合に生じる。バーコードの位置の変更に起因して、バーコード中の5個の黒色バーが全体的に異なるセットの値を読み取られた磁気信号Rmapにマークアップし、その結果、事前格納された基準シグネチャから完全に異なる読み取られたシグネチャとなる。図21cは、バーコードが磁気層に対して適切に再位置合わせされるが、そのバーの一つが誤って位置合わせされた状態を描く。次に、この誤って位置合わせされたバーは、Asignatureにおけるのとは異なる読み取られた磁気信号Rmagにおける値に対して相関され、その結果、非マッチング読み取りシグネチャとなる。この状態、即ち、一つ又はそれより多くの誤って位置合わせされたバーを有することは、バーコードが再取り付け中に引き伸ばされたりしわくちゃにされたりした材料のフィルム上にある時に生じる。図21dは、磁気層が偽造され、それから引き出される信号が信号Amagとは完全にはマッチングしない状態を描く。バーコードと磁気層が非常に良好に位置合わせされるが、バーコード中の黒色バーが磁気層上の正確な位置を指すが、これらの位置が、Asignature中の磁界強度値とは異なる磁界強度値を現し、従って、非マッチングシグネチャとなる。
図22aは、シグネチャ(事前格納されたシグネチャと事前格納された基準シグネチャに対してマッチングされるべき読み取られたシグネチャ)が互いに比較されてそれらがマッチングするか否かを知る方法を示す。二つのシグネチャの一部が示される:それらの一部の両方は、類似する位置に一つのピークと高さを有する。事前格納された基準シグネチャのピーク下のエリアは、”Area Aref”として示され、読み取られたシグネチャ下のエリアは、”Area Aread”として示される。各ピーク下のエリアは、台形法のような単純な数値積分法を使用して容易に計算されることができる。Area Arefは、”Area Aover”によって示されるように、Area Areadとオーバーラップする。それらのデータを比較する一つの方法は、以下の式を使って、二つのピーク下にある全エリアと比較されるオーバーラップエリアが如何に多く存在するかを知ることである。
比較値=2xArea Aover/(Area Aref+Area Aread)
ピーク同士間に完全なマッチングがある(即ち、それらが、X軸とY軸の両方に関して全く同じである)場合、比較値(Comparison Value)は、1に等しく、他方、全くマッチングがない場合、即ち、オーバーラップがない場合、Comparison Valueは、0に等しい。予め決定された閾値Comparison Valueは、例えば、閾値Comparison Valueが、0.9に選択されるとシグネチャがマッチングするか否かを決定するために使用され、計算されたComparison Valueが0.9よりも上の場合、シグネチャは、マッチングするシグネチャであると決定され(即ち、オブジェクトの同一性が検証され)、他方、計算されたComparison Valueがこの値より低い場合、シグネチャは、その基準に従ってマッチングせず、オブジェクトはそのシステムによって本物と認められない。
本発明の用途を示す図示の例において、図1aに示されるように、識別タグは、UPC12バーコードとランダムに分布された磁性粒子を有する磁気層が付着される。バーコードの反射率信号と磁気層の磁界強度信号が読み取られる。バーコードと磁気ストリップの信号強度が、時間に対してプロットされた(時間ドメインデータ)。時間ドメインデータを図21に関連して記述された方法に従って空間ドメインデータへ変換することによって、そこでは、バーコード信号は、磁界強度信号を正規化するための位置基準として使用され、シグネチャが得られ、事前格納基準シグネチャとして格納される。引き続いて、同様の手順が、読み取りシグネチャを得るために識別タグに対して変更することなく(しかし、読み取り要素の互いに対する意味のある僅かな位置合わせ誤差を有する)同じ識別タグに対して実行された。図22bから理解されるように、読み取りシグネチャ2201のピークは、ピークの破裂した部分に示されるように、約100μmの位置合わせ誤差を有する事前格納された基準シグネチャ2202のピークとマッチングした。従って、相対的な空間位置は、約100μm又はそれ以上の精度で決定されることができる。マッチングの精度は、高い解像度の読み取りデバイスを使用して、100μm未満、又は50μm未満、又は、25μm未満まで更に改良されることができる。
上記方法は、単純ではあるが、あるタイプのデータに対しては有効なマッチングアルゴリズムである。文字通り、例えば、ウェーブレット及び他のスペクトル方法を使用して、信号認識、パターン認識又はデータマッチングの多くの異なるタイプが記述される。マッチング方法の有効性は、マッチングされるべきデータのタイプに依存する。理想的には、マッチングアルゴリズムは、データ(シグネチャ)の期待される形態に基づき、読み取りデバイスの強みと弱みの知識を持って選択されるべきである。例えば、読み取りデバイスは、その空間解像度においては非常に正確であるが、読み取り信号の強度は、温度によって変化してもよい。このため、より大きな重み(重要度)は、ピークの位置(又は、信号の他の識別機能特徴)が、信号の実際の強度以外で互いにマッチングするという事実におかれることができる。例えば、磁気及びバーコード信号を読み取る幾つかのデバイスでの実験の幾つかでは、磁気センサが全読み取り中にオブジェクトと近くに接触していない場合、磁界が非常に素早く減衰するので、強度マッチングにおけるよりも空間マッチングにおいてより良好である。このように、磁界のピークが明確であるが、その強度が先の読み取りとは完全にはマッチングせず、その位置が良好にマッチングする。
図23は、本発明の更なる実施の形態に従うオブジェクトを示す。図23aは、オブジェクトの等角図を示しているが、図23bは、オブジェクトの正面から見た横断面図(即ち、等角図に示される正面)を提供する。ここで、ランダムに分布された磁性粒子を含む平面2307は、価価値のあるアイテム2307に埋め込まれている。平面は、識別機能2301のトラックを露出するオブジェクトの頂表面と交差する。また、平面は、オブジェクトの側壁と交差して、識別機能の第2のトラック2304を露出する。識別機能2301と2304は、材料の同じ平面内に含まれるが、それらは、オブジェクトの異なる表面によって露出され且つそれから読み出され、従って、それらは、我々の定義に従って、オブジェクトの異なる表面内に”含まれる”又は”配置される“。この実施の形態において、材料の平面は、中心で破壊され、識別機能が有意に読み取られることができる。
識別層を有する識別タグを製造する又はオブジェクト上に識別層を直接に形成する種々の例示の方法が以下に記述される。
図24A乃至図24Dは、このようなタグやオブジェクトを生成するために使用されることができるプロセスを示す。最初に、図24Aに示されるように、ニッケルフレーク2400がポリマーのラミネートシート2401の側を含む糊上に払い落とされる。次に、図24Bに示されるように、他のラミネートシート402が上に重ねられ、材料のスタックが、そのスタックを110℃で最も低い事前設定速度(スピード1)で従来のオフィスステーショナリラミネータを通過させることによって一緒にラミネートされる。次に、エッジの横断面は、図24Cに示されるように、識別層のトラック2403を含む滑らかな表面が露出されることを保障するために研磨される。次に、このエッジは、図24Dに示されるように、信号2404を提供するために磁界センサを使用して読み取られることができ、そこでは、粒子は、信号のピークと一致する磁界のピークを生じさせる。適切な磁界センサは、誘導ヘッド、AMRヘッド、GMRヘッド及び光磁気Kerr効果検出器を含む。図24F乃至図24Hに描かれる本発明のタグやオブジェクトを製造するためのプロセスは、識別層の平面に配置される長尺状のニッケルフレーク、ファイバ、又はウィスカーが使用されることを除いて図24A乃至図24Dの場合と同一である。ニッケルフレークの異なるサイズと形状のために、トラックを読み取ることから得られる信号2404は、勿論、図24Dのものとは異なっている。長尺形状は、トラックから検出される磁気信号が実質的に面外磁気信号であり、信号の検出をより容易にすると共にタグを偽造するのを一層困難にするという追加の利点を与える。
本発明のタグやオブジェクトは、ここで述べられるような、バッチプロセスにおいてのみならずロールツーロールプロセスにおいても容易に製造されることができる。図25は、ワイサイドポリマーラミネートのロール2501を含む、これらのタグやオブジェクトを製造するためのロールツーロールプロセスを示す。このような場合、ロールプロセスのレートと粒子ディスペンサー2500からの粒子のパルス堆積は、各セットの識別情報間の長さと空間を定義する。円形ブラシ2502を通過した後、スタンピング/プレシングのためのロール2503を通過し、制限するわけではないが、110℃の温度で働くラミネートロール2505が続く。更に、破棄パス2504が実行されるエッジトリミングのために設けられる。ピンチロール2510の後に研磨デバイス2506と読み取り/インデックス付けデバイス2507を含むことによって、これらのタグやオブジェクトを製造し、ラインでそれらを読み取り且つインデックス付けし、高ボリュームで且つ低コストのために使える状態にあるリールにそれらを巻くことが可能である。最後に、仕上げポリマーロール2508が、多分、参照番号2509によって提供される第2のキャリアフィルムやバッキィングロール上に生成される。
図26を参照して、本発明の第3の実施の形態に従う識別タグを製造するためのオプションステップが述べられる。図26に示されるように、ラミネートの幅広のウエブ2600を生成し、切断デバイス2601を使用してストリップに切断することが可能であり、それによって、多数の識別層2602が露出され、矢印2603によって指示される後での使用のために、個々で、研磨され、読み出され、インデックス付けされ、格納される。
以下において、図27を参照して、本発明の一実施の形態に従う識別タグを製造するための方法中の図が記述される。図27A乃至図27Eは、図27Aに示されるアルミニウムフォィル2700を使用して、ラミネートタグを準備する例示のプロセスを示す。最初に、アルミニウムフォィル2700が、脱イオン化水が続くイソプロパノール(IPA)と共に柔らかい雑巾で拭かれる。次に、図27Bに示されるように、フォイル2700は、二つのポリマーラミネートシート2701と2702の間に置かれ、それによって、それは、糊側と接触し、そこで、フォイル2700の一部が突出する。図27Cに示されるように、材料のスタックは、それを、例えば、110℃で且つ最も低い事前設定速度(スピード1)で従来のオフィスステーショナリラミネータを通過させることによって一緒にラミネートされる。次に、ラミネートされたフィルム2703は、Struers EpoFixを使用してエポキシモールド内に取り付けられて、例えば、朝まで、図27Dに示されるように、放置されて硬化する。準備の最後のステップは、2ステップ研磨である。このサンプルは、グレード500から1200へ、次に、2400へ、更に、4000へと研磨紙を使って連続的に研磨され、その後、3ミクロンビーズと1ミクロンビーズを有するダイヤモンド懸濁液使用して微細研磨が続く。図27Eは、このように準備されたラミネートAlフィルムの底面図である。
次に、図28に示されるように、サンプルとPtメッシュ2801がビーカー1500内に配置され、コールドプレート2802の温度が熱制御デバイス2802を使用して、例えば、4℃の望ましい温度に設定される。溶液の温度が、その設定温度に達すると、150Vに設定された電源2803が、突出フォイル2700をタグ前駆体として使用して、図示のように、接続される。この陽極酸化プロセスは、アルミニウム含有層のエッジにランダムに分布された孔を有する無秩序な多孔性アルミナを生成する。これに続いて、サンプルは、拡幅溶液(例えば、5重量%燐酸)中に置いて孔を望ましいサイズに拡大する。最後に、サンプルとPtメッシュ2801は、30gNiSO4∙6H2O、4.5gNiCl2∙6H2O、及び4.5gH3BO3含有Niメッキ溶液中に置かれる。メッキ電圧は、例えば、−1.4Vに設定される。メッキ後、Niは、孔にランダムに充填される。この領域が、望ましい識別層を構成する。
図29は、孔形成と孔充填方法のステップを示す、本発明の上記実施の形態に従う識別タグを製造するための例示の方法中の図を示す。図29Aは、ラミネートシート2701と2702との間のアルミニウムフォィル2700の一部を示す。図29Bは、陽極酸化方法ステップ後の図29Aのアレイを示し、それによって、孔2900がアルミニウムフォィル2700に形成される。図29Cは、ニッケルメッキ方法ステップ後の図29Bのアレイを示し、それによって、ニッケル粒子2901がアルミニウムフォィル2700の孔2900の幾つかに形成される。図29Dは、図29Cに示される識別タグ上の読み取り要素によって捕獲される信号2910を示す。従って、図29A乃至図29Dは、識別層を含むタグを形成するプロセスを示す。ラミネート中の磁性粒子を使用して上のケースに対して記述されたように、この識別層(又は、より正確には、その中に含まれる識別機能)は、適切な磁界検出器を使用して識別層のトラックから読み取られることができる。
最後に、図30は、識別情報を有するオブジェクトを識別する方法3000を示し、そこでは、識別情報は、そのオブジェクトの同一性を検証するために使用される。この方法は、少なくとも二セットの識別情報を有するオブジェクトを提供することを備えるステップ3002を備える。このオブジェクトは、第1のセットの識別情報と第2のセットの識別情報を備え、そこでは、第1のセットの識別情報の少なくとも一つの識別機能は、第2のセットの識別情報の少なくとも一つの識別機能に関して、そのオブジェクトの異なる表面、側又は平面上に配置されるか又はその中に組み込まれる。それによって、オブジェクトは、識別されるように構成される。第1のセットの識別情報の少なくとも一つの識別機能と第2のセットの識別情報の少なくとも一つの識別機能は、互いに関して固定された相対的空間位置に配置され、前記固定された相対的空間位置は、オブジェクトを識別するためのシグネチャを引き出すために使用される。
本方法は、読み取りデバイスが設けられるステップ3004を備える。この設けるステップ3004は、ステップ3002の前又はその後に実行されることができる。読み取りデバイスは、オブジェクトの異なる平面、側又は平面上に配置される又はその中に組み込まれる少なくとも二セットの各々の少なくとも一つの識別機能から信号を読み取るように構成される。更に、読み取りデバイスは、それが読み取られるべき第1のセットの識別情報の第1の離散的エリアと読み取られるべき第2のセットの識別情報の第2の離散的エリアとの間の空間関係を定義するように構成される。読み取りデバイスを使用して、第1のセットの識別情報の少なくとも一つの識別機能の特性の少なくとも一つの特徴がステップ3006で決定される。それによって、第1の信号が得られる。読み取りデバイスを使用して、第2のセットの識別情報の少なくとも一つの識別機能の特性の少なくとも一つの特徴がステップ3008で決定される。それによって、第2の信号が得られる。ステップ3006と3008は、同時に又は任意の望ましい順序で逐次実行されることができる。次に、前記第1と前記第2の信号を使用して、ステップ3010で、少なくとも一つのオブジェクトに対するシグネチャが処理ユニットによって引き出される。
本発明が好適な実施の形態に関して述べられたが、以下の請求項で述べられる本発明の精神と範囲から離れることなく、多くのバリエーション及び変更が行われることができることが理解されるべきである。