JP5235639B2 - 吸収体及び吸収体の製造方法並びに吸収性物品 - Google Patents

吸収体及び吸収体の製造方法並びに吸収性物品 Download PDF

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Description

本発明は、おむつ、生理用ナプキン等の吸収性物品等に用いられる吸収体に関する。
生理用ナプキンや使い捨ておむつ等の吸収性物品には、排泄液を保持する吸収体が組み込まれており、該吸収体として、パルプ繊維等の繊維及び吸収ポリマー粒子を含有するものが知られている。例えば特許文献1には、上下2枚の吸収素材間に粘着剤を塗布し、該吸収素材間に吸収ポリマー粒子を固着させた吸収体が記載されている。また、特許文献2には、繊維を含んで構成される吸収性シートの内部に、吸収ポリマー粒子を分散配置し且つ該吸収ポリマー粒子を該吸収性シートの構成繊維に接着し固定化した吸収性シートが記載されている。特許文献2に記載の吸収性シートは、湿式抄紙法によって抄造された湿潤繊維ウエブ上に吸収ポリマー粒子を散布し、該吸収ポリマー粒子の上に、別途作製した繊維集合体を重ね合わせ、これらを乾燥し、一体化させることにより得られる。また、特許文献3には、吸収ポリマー粒子を吸収性シートの厚み方向に分散配置し、且つ吸収ポリマー粒子の平均粒径が、該吸収性シートの一面側から他面側に向かうに従って減少するようにした吸収性シートが記載されている。このような吸収体には、実用上十分な液吸収性及び強度を有し、吸収ポリマー粒子が脱落しにくいことが求められる。
ところで、インドネシア、マレーシア等を主な居住圏とするマレー民族に代表される一部の人々には、使用済みの生理用ナプキンを水で洗浄し、吸収した経血等を洗い流してから廃棄する習慣がある。従来、マレー民族居住圏で主に使用されてきた生理用ナプキンは、布製のナプキンや、パルプ繊維を主体とし、吸収ポリマーを含まない吸水性材料で構成されたものであり、このため水洗いが可能であり、吸収した経血等を水で洗い流すことができるものであった。これに対し、特許文献1〜3に記載の如き吸収ポリマーを含む生理用ナプキンは、経血中のヘモグロビン等の着色成分が吸収ポリマーに強固に付着するため、使用後に水で洗浄しても経血を洗い流すことが難しく、水洗いが困難であった。
しかし、吸収ポリマーを含まない生理用ナプキンは、経血の吸収・保持性能が劣るため、例えば吸収性材料表面に吸収された体液が滲み出すいわゆる液戻りを起こすおそれがある。そこで、吸収ポリマーを含んでいない従来の水洗い可能な生理用ナプキンにおいては、パルプ繊維を多量に使用することで吸収性能の不足を補っている。しかしこのような生理用ナプキンはパルプ繊維の嵩高さのために厚くなってしまい、特に折り畳まれ包装されている状態で嵩張りやすくて、持ち歩きに不便であると共に、装着感が悪い。
現在のところ、上述したナプキンの水洗いに関する問題を提起した先行技術文献を本出願人は見出していない。しかし、ナプキンの洗浄習慣がある人々は、上述の居住圏以外の地域にも存在すると考えられ、吸収ポリマーを含有し、薄く且つ水洗いが可能な生理用ナプキンは、広い地域で女性のライフスタイルに大きな影響を与える潜在性を秘めていると考えられる。
特許平5−38350号公報 特開平8−246395号公報 特開2007−167193号公報
従って、本発明の課題は、薄型で、実用上十分な液吸収性及び強度を有し、吸収ポリマー粒子の脱落を生じ難く、柔軟な吸収体及び吸収体の製造方法並びに該吸収体を用いた吸収性物品を提供することにある。更には、水洗い可能な吸収体及び吸収体の製造方法並びに該吸収体を用いた吸収性物品を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決すべく種々検討した結果、吸収体中に含有される吸収ポリマー粒子として、液を吸収したときの膨潤度が低いものを用いることにより、吸収した経血等の血液に起因する吸収体の赤みを該吸収体の水洗いによって大きく低減することができることを知見した。また、このような膨潤度の低い吸収ポリマー粒子を用いると、吸収ポリマー粒子自体の粘着性が低下するため、吸収ポリマー粒子の脱落や吸収体の剥離強度の低下等を招くおそれがあるが、斯かる不都合は、吸収体を湿式抄造体から構成し且つ該湿式抄造体の内部に、乾燥状態の吸収ポリマー粒子の液吸収による膨潤及び膨潤状態の吸収ポリマー粒子の乾燥による縮小を利用して形成した、空隙部を多数形成することにより回避できることを知見した。更に、このような空隙部を吸収体中に多数形成することにより、吸収体の吸収性能及び柔軟性が高まることを知見した。
本発明は、前記知見に基づきなされたものであり、パルプ繊維を主繊維として含有する湿式抄造体を含んで構成され、該湿式抄造体の内部に吸収ポリマー粒子が多数分散配置されている吸収体であって、前記湿式抄造体の内部に、該湿式抄造体の構成繊維に囲まれ且つ1つ以上の前記吸収ポリマー粒子が収容されている空隙部が多数形成されており、該空隙部が、該空隙部に収容されている1つ以上の吸収ポリマー粒子が液を吸収して膨潤した場合のその膨潤状態の該吸収ポリマー粒子を収容可能な大きさを有している吸収体を提供することにより、前記課題を解決したものである。
また本発明は、前記吸収体を具備する吸収性物品を提供することにより、前記課題を解決したものである。
また本発明は、パルプ繊維を主繊維として含有する湿式抄造体を含んで構成され、該湿式抄造体の内部に吸収ポリマー粒子が多数分散配置されている吸収体の製造方法であって、前記パルプ繊維及び前記吸収ポリマー粒子を含む水系分散液を湿式抄紙して湿潤繊維ウエブを形成する工程と、該湿潤繊維ウエブを乾燥して該湿潤繊維ウエブ内の膨潤状態の該吸収ポリマー粒子を縮小させる工程とを有する吸収体の製造方法を提供することにより、前記課題を解決したものである。
本発明によれば、薄型で、実用上十分な液吸収性及び強度を有し、吸収ポリマー粒子の脱落を生じ難く、柔軟な吸収体及び該吸収体を具備する吸収性物品が提供される。斯かる吸収体及び吸収性物品は、吸収ポリマー粒子を適宜選択することによって水洗いが可能に設計することができ、そのように設計したものは、使用後の吸収性物品を水で洗浄してから廃棄する習慣がある人々に好適である。
以下、先ず、本発明の吸収体を、該吸収体を具備する本発明の吸収性物品と共に、その好ましい一実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態の吸収性物品の一実施形態である生理用ナプキンの肌当接面側の斜視図、図2は、図1におけるX−X線断面を模式的に示す断面図、図3は、図2に示す吸収体の一部を模式的に示す断面図である。
本実施形態のナプキン1は、図1に示すように一方向に長い形状をしており、肌当接面を形成する液透過性の表面シート2、非肌当接面を形成する液不透過性又は液難透過性の裏面シート3、及び両シート2,3間に介在された液保持性の吸収体4を具備している。吸収体4は一方向に長い形状(略矩形形状)をしており、その長手方向をナプキン1の長手方向と一致させて、ナプキン1におけるナプキン装着者の排泄部と対向する部位の幅方向中央部に配されている。
尚、本明細書において、肌当接面は、吸収性物品の装着時に装着者の肌側に向けられる面であり、非肌当接面は、吸収性物品の装着時に装着者の肌側とは反対側に向けられる面である。また、長手方向は、吸収性物品又はその構成部材の長手方向に沿う方向であり、幅方向は、該長手方向と直交する方向である。
図2に示すように、表面シート2は吸収体4の肌当接面に配され、裏面シート3は吸収体4の非肌当接面側に配されている。表面シート2及び裏面シート3は、それぞれ従来公知のものと同様の材料から構成することができ、表面シート2としては、例えば親水性の不織布や開孔フィルム等が用いられ、裏面シート3としては、例えば液不透過性又は液難透過性のフィルムシート等が用いられ、この液不透過性のフィルムシートは水蒸気透過性を有していても良い。
吸収体4(湿式抄造体40)は、上下2枚の液透過性のコアラップシート5によってその肌当接面及び非肌当接面が覆われている。このように、吸収体4をコアラップシート5で被覆することは、吸収体4の形状安定性の向上や、吸収体4に含有されている吸収ポリマー粒子の脱落防止などに有効である。コアラップシート5としては、例えば、ティッシュペーパー等の紙や各種不織布、開孔フィルム等を用いることができる。
表面シート2及び裏面シート3は、吸収体4よりも大きな寸法を有し、吸収体4の長手方向両側縁から幅方向外方に延出して一対のフラップ部を形成している。これら一対のフラップ部それぞれは、ナプキン1におけるナプキン装着者の排泄部と対抗する部位において幅方向の外方に更に延出し、一対のウイング部6,6を形成している。各ウイング部6は、ナプキン1の装着時にその非肌当接面がショーツ等の下着のクロッチ部の外表面側に折り返されて用いられ、ウイング部6の非肌当接面には、ナプキン1を下着に固定する粘着部(図示せず)が設けられている。また、裏面シート3の非肌当接面上にも、ナプキン1を下着に固定する粘着部(図示せず)が設けられている。
吸収体4は、図3に示すように、パルプ繊維を主繊維として含有する湿式抄造体40を含んで構成され、該湿式抄造体40の内部に吸収ポリマー粒子42が多数分散配置されている。図3中の符号41は、パルプ繊維等の湿式抄造体40を構成する繊維である。湿式抄造体40は、後述するように、従来公知の湿式抄紙法を利用して製造される繊維集合体であり、パルプ繊維及び多数の吸収ポリマー粒子42を含有し且つ該吸収ポリマー粒子42が液を吸収して膨潤している、湿潤状態の繊維ウエブ(湿潤繊維ウエブ)を乾燥して得られたものである。
湿式抄造体40は、単層構造、即ち1枚のシートであり、特許文献1〜3に記載の如き、2層以上が積層した多層構造ではない。本実施形態における吸収体4は、1層の湿式抄造体40から構成されており、従って吸収体4は単層構造である。吸収ポリマー粒子42は、湿式抄造体40中に層状に分散されているのではなく、図3に示すように三次元状に分散されている。
湿式抄造体40の内部には、該湿式抄造体40の構成繊維41に囲まれ且つ1つ以上の吸収ポリマー粒子42が収容されている空隙部43が多数形成されており、該空隙部43は、該空隙部43に収容されている1つ以上の吸収ポリマー粒子42が液を吸収して膨潤した場合のその膨潤状態の該吸収ポリマー粒子42を収容可能な大きさを有している。多数の空隙部43は、多数の吸収ポリマー粒子42の分散状態と同様に、湿式抄造体40中に三次元状に分散して存在している。空隙部43は、後述するように、乾燥状態の吸収ポリマー粒子42の液吸収による膨潤及び膨潤状態の吸収ポリマー粒子42の乾燥による縮小を利用して形成されたものである。従って、空隙部43の大きさ(容積)は、当該空隙部に収容されている1つ以上の吸収ポリマー粒子が液を吸収して膨潤したときの大きさに略等しく、また空隙部43の形状は、当該空隙部に収容されている1つ以上の吸収ポリマー粒子の膨潤状態の形状に近いものとなっている。尚、図3では、1つの空隙部43に1つの吸収ポリマー粒子42が収容されているが、1つの空隙部に収容されている吸収ポリマー粒子の数は特に制限されず、2つ以上であっても良い。また、空隙部における吸収ポリマー粒子の収容数は、複数の空隙部において互いに異なっていても良い。
このように、吸収体4が湿式抄造体40を含んで構成され且つ該湿式抄造体40の内部に、吸収ポリマー粒子42の膨潤及びその後の縮小を利用して形成された空隙部43が多数形成されていることにより、吸収ポリマー粒子42の脱落が効果的に防止されると共に、吸収ポリマー粒子42として後述するように膨潤度の低いものを用いても、吸収体4(湿式抄造体40)の強度不足を招かず、実用上十分な強度が確保される。従って、吸収体4が液吸収後もナプキンがよれにくくなり、水洗いしても構成繊維41が崩壊し難く、吸収体4は水洗いが可能である。また、斯かる構成の吸収体4は、薄型化が容易で且つ吸収性能及び柔軟性に優れる。これに対し、当該技術分野で従来用いられている乾式の製法による吸収体、例えば特許文献2に記載されている如きサンドイッチ型の吸収体(即ち上下2枚の吸収素材間に吸収ポリマー粒子を、該吸収ポリマー粒子自体の粘着力により固着させた吸収体)や、繊維及び吸収ポリマー粒子を気中で混合して積繊した混合積繊型の吸収体は、液を吸収して湿潤状態となったときに構成繊維がバラバラに崩壊しやすく、よれやすく、水洗いは不可能である。また、特に混合積繊型の吸収体は、乾燥状態であっても吸収ポリマー粒子の脱落を生じやすい。
多数の空隙部43のうちの少なくとも一部の内部には、1つ以上の吸収ポリマー粒子42が構成繊維41に担持された状態で収容されている。ここで、吸収ポリマー粒子が構成繊維に担持されているとは、吸収ポリマー粒子42が、空隙部43内に入り込み、湿式抄造体40(吸収体4)に対して外部から応力が加わっても該吸収ポリマー粒子42の極端な移動や脱落が起こりにくくなっている状態を言う。このとき、吸収ポリマー粒子42は自身の粘着性により構成繊維41に付着し、あるいは構成繊維41は吸収ポリマー粒子42に絡みつき又は引っ掛かりを生じている。本実施形態においては、このような吸収ポリマー粒子42の担持状態が、繊維41及び吸収ポリマー粒子42とは別個の結合剤〔例えば、融着繊維(バインダー繊維)、ホットメルト粘着剤、合成バインダー等〕を用いることなく実現されている。また上述したように、空隙部43は吸収ポリマー粒子42の膨潤及びその後の縮小を利用して形成されたものであるため、湿式抄造体40中に含まれている多数の吸収ポリマー粒子42の大部分(好ましくは、湿式抄造体40中に含まれている多数の吸収ポリマー粒子42の約70重量%以上、更に好ましくは80重量%以上)は、それぞれ個別に空隙部43の内部に存しており、吸収ポリマー粒子42は、空隙部43内の空間に包まれた状態で前記のように繊維41に担持されている。ここで、「個別」とは、1つの空隙部43に複数の吸収ポリマー粒子42が存在している場合をも含む。斯かる構成により、吸収ポリマー粒子42の吸収体4(湿式抄造体40)からの脱落がより一層起こりにくくなり、また、吸収ポリマー粒子42の液吸収による膨潤が阻害されにくいため、吸収体4の液吸収性が向上する。
吸収ポリマー粒子42の形成材料としては、この種の吸収性物品において通常用いられている各種のものを適宜用いることができる。例えば、ポリアクリル酸ソーダ、(アクリル酸−ビニルアルコール)共重合体、ポリアクリル酸ソーダ架橋体、(デンプン−アクリル酸)グラフト重合体、(イソブチレン−無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物、ポリアクリル酸カリウム、並びにポリアクリル酸セシウム等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
吸収ポリマー粒子42の粒子形状は特に制限されず、例えば不定形状、塊状、俵状、球状、あるいは球状等の粒子が凝集した形状等が挙げられる。また、吸収ポリマー粒子42の平均粒径は、吸収ポリマー粒子42の吸収体4(湿式抄造体40)からの脱落のしにくさや吸収性能の観点の他、吸収体4の厚みや空隙部43の大きさ等の観点から、50〜600μm、特に100〜500μmであることが好ましい。また、吸収ポリマー粒子42は、異なる平均粒径のものを2種類以上組み合わせて用いることもできる。吸収ポリマー粒子の平均粒径は例えば次のようにして測定される。
<吸収ポリマー粒子の平均粒径の測定方法>
吸収体に含有されている吸収ポリマー粒子を取り出し、その吸収ポリマー粒子50gを、JIS Z 8801で規定された目開き850、600、500、355、300、250、150の標準篩(例えば東京スクリーン社製の標準篩)及び受け皿を用いて、振とう機(例えばレッチェ社製、AS200型)を用いて篩分けする。振とう条件50Hz、振幅0.5mm、振とう時間10分間とする。振とう後の各ふるい下の受け皿の重量を測定し、風袋重量を差し引いて各ふるい上の吸収ポリマー粒子の重量を算出した。測定は3回行い、平均値をふるい上重量とした。得られた各ふるい上重量を、測定した吸収ポリマー粒子の総重量である50で除して相対頻度を求め、粒度累積曲線を描いた。累積曲線の中央累積値(50%)に相当する粒子径を平均粒径とした。尚、測定は23±2℃、湿度50±5%で行い、測定の前に試料を同環境で24時間以上保存した上で測定する。
吸収ポリマー粒子42は、使用済みのナプキン1(吸収体4)を水洗いしたときに、吸収体4が吸収した経血等の血液に起因する赤みを低減・除去できるようにする観点から、膨潤度の低いものを用いることが好ましい。膨潤度の高い吸収ポリマー粒子は、赤みの主たる原因である血液中のヘモグロビンをその内部に取り込みやすく、吸収ポリマー粒子の内部に取り込まれたヘモグロビンを水洗いで取り除くことは困難であるため、水洗いによって血液に起因する赤みを低減・除去可能な吸収体を設計する上では適していない。一方、膨潤度の低い吸収ポリマー粒子を用いることによる不都合、例えば、吸収ポリマー粒子自体の粘着性の低下に起因する吸収ポリマー粒子の脱落や吸収体の剥離強度、吸収性能の低下等は、上述した空隙部43を多数有する湿式抄造体40の採用により回避することができる。
膨潤度の低い吸収ポリマー粒子としては、具体的には遠心保持量が5〜20g/g、特に5〜15g/gである吸収ポリマー粒子が好ましく用いられる。遠心保持量は次のようにして測定される。
<遠心保持量の測定方法>
遠心保持量の測定は、ナイロン製の織布(メッシュ開き255、三力製作所販売、品名:ナイロン網、規格:250×メッシュ巾×30m)を幅11cm、長さ40cmの長方形に切断して長手方向中央で二つ折りにし、両端をヒートシールして幅11cm(内寸10cm)、長さ20cmのナイロン袋を作製する。測定試料である吸収ポリマー粒子0.5gを精秤し、作製したナイロン袋の底部に均一になるように入れる。試料の入ったナイロン袋を、生理食塩水(0.9重量%塩化ナトリウム水)に浸漬させる。浸漬開始から1時間後にナイロン袋を生理食塩水から取り出し、30分垂直状態に吊るして水切りした後、遠心脱水機(コクサン(株)製、型式H−130C特型)を用いて脱水する。脱水条件は、143G(800rpm)で10分間とする。脱水後、試料の重量を測定し、次式に従って目的とする遠心保持量を算出する。 遠心保持量(g/g)=(a’−b−c)/c ;式中、a’は遠心脱水後の試料及びナイロン袋の総重量(g)、bはナイロン袋の吸水前(乾燥時)の重量(g)、cは試料の吸水前(乾燥時)の重量(g)を表す。測定は3回行い(n=3)、3点の平均値を測定値とした。尚、測定は23±2℃、湿度50±5%で行う。
吸収ポリマー粒子の遠心保持量の調整は、例えば、吸収ポリマー粒子の表面架橋度を調整することによって行うことができる。一般に、吸収ポリマー粒子の表面架橋度が高くなる(表面架橋処理が進む)と、遠心保持量(吸水倍率)は低くなる傾向がある。具体的には例えば、従来の方法によって製造された表面架橋処理済みの吸収ポリマー粒子に対して、再度表面架橋処理(後架橋処理)を施すことにより、遠心保持量を前記範囲に調整することが可能である。また、表面架橋を行う、行わずに関わらず、吸収ポリマー粒子全体の架橋度を高めることでも遠心保持量は調整可能である。尚、本発明に用いられる吸収ポリマー粒子の架橋度(表面架橋度あるいは吸収ポリマー粒子全体の架橋度)は、通常の吸収ポリマー粒子の架橋度と比べても高いレベルにあり、このような高架橋度を実現するためには、架橋剤の量を増やす、反応温度を高める、あるいは反応時間を長く取るなどの方法をとることが好ましい。
尚、本発明において上述したように膨潤度の低い吸収ポリマー粒子を用いる場合、該吸収ポリマー粒子の原料としては、当初から膨潤度の低い吸収ポリマー粒子(当初から遠心保持量が前記範囲内にある吸収ポリマー粒子)のみならず、膨潤度の高い吸収ポリマー粒子(遠心保持量が前記範囲外にある吸収ポリマー粒子)を用いることもできる。膨潤度の高い吸収ポリマー粒子を本発明の吸収体の原料として用いる場合、該吸収体の製造工程において該吸収ポリマー粒子に、水中での膨潤倍率を抑えるための前処理、例えば2価イオンを含む水溶液を吸収させる等の前処理を施すことが好ましい。斯かる前処理により、原料として用いた膨潤度の高い吸収ポリマー粒子に金属架橋が施され、これにより膨潤度の低い吸収ポリマー粒子が得られる。このように、原料として膨潤度の高い吸収ポリマー粒子を用いても、膨潤度の低い吸収ポリマー粒子を含んだ吸収体を製造することが可能である。
湿式抄造体40における吸収ポリマー粒子42の含有量は、湿式抄造体40の全重量に対して、好ましくは5〜80重量%、更に好ましくは10〜70重量%である。特にナプキン1を、厚み(490Pa荷重下における厚み)が3mm以下の薄型ナプキンとする場合には、吸収ポリマー粒子42の前記含有量は、10〜70重量%、特に30〜60重量%とすることが、薄さと吸収性能とのバランスの面で好ましい。
湿式抄造体40は、パルプ繊維を主繊維として含有している。主繊維であるパルプ繊維は、湿式抄造体40の構成繊維41の50重量%以上、好ましくは80〜100重量%を占めている。前記パルプ繊維としては、例えば、針葉樹クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹クラフトパルプ(LBKP)等の木材パルプ、例えばウェアハウザー社製の「HBA」(商品名)やマーセル化パルプ等の嵩高性セルロース繊維;綿、藁、ケナフ等の非木材パルプ;キュプラ、レーヨン等の再生セルロース繊維等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。コストの点からは、木材パルプを用いることが好ましく、特に針葉樹クラフトパルプや嵩高性セルロース繊維が好ましい。
前記パルプ繊維としては、嵩高性セルロース繊維を含んでいることが好ましい。湿式抄造体40の主繊維として嵩高性セルロース繊維を用いることによって、吸収ポリマー粒子42の分散性及び固定化の程度が一層向上する。また、嵩高性セルロース繊維を用いることによって、吸収ポリマー粒子42のゲルブロッキングの発生も抑えることができる。この観点から、湿式抄造体40における主繊維であるパルプ繊維のうち嵩高性セルロース繊維の割合は10〜90重量%、特に30〜80重量%であることが好ましい。尚、嵩高性の繊維とは、繊維形状が、捻れ構造、クリンプ構造、屈曲及び/又は分岐構造等の立体構造をとるか、又は繊維断面が極太(例えば繊維粗度が0.3mg/m以上)である繊維をいう。
湿式抄造体40の構成繊維41に占める嵩高性セルロース繊維の割合が高いほど(併用されるNBKPの割合が低いほど)、湿式抄造体40は嵩高で高空隙(空隙部43の数が多い、及び/又は各空隙部43の容積が大きい)となる。一方、湿式抄造体40の構成繊維41に占める嵩高性セルロース繊維の割合が低いほど(併用されるNBKPの割合が高いほど)、湿式抄造体40は嵩が小さくて低空隙(空隙部43の数が少ない、及び/又は各空隙部43の容積が小さい)となる。高空隙の湿式抄造体40は、液拡散性が高く且つ柔軟性に優れ、低空隙の湿式抄造体40は、厚みの薄型化に特に有効である。従って、嵩高性セルロース繊維とNBKPとの割合を調整することにより、所望の湿式抄造体40を得ることができる。
嵩高性セルロース繊維の好ましいものの例として、繊維粗度が0.3mg/m以上のセルロース繊維が挙げられる。繊維粗度が0.3mg/m以上のセルロース繊維は、嵩高な状態でセルロース繊維が集積するので、吸収ポリマー粒子42を保持し得る嵩高なネットワーク構造が形成され易い。また、液体の移動抵抗が小さく、液体の通過速度が大きくなる。繊維粗度は、0.3〜2mg/m、特に0.32〜1mg/mであることが好ましい。
繊維粗度とは、木材パルプのように、繊維の太さが不均一な繊維において、繊維の太さを表す尺度として用いられるものであり、例えば、繊維粗度計(FS−200、KAJANNIELECTRONICSLTD.社製)を用いて測定される。
繊維粗度が0.3mg/m以上のセルロース繊維の例としては、針葉樹クラフトパルプ〔Federal Paper Board Co.製の「ALBACEL」(商品名)、及びPT Inti Indorayon Utama
製の「INDORAYON」(商品名)〕等が挙げられる。
嵩高性セルロース繊維の好ましいものの他の例として、繊維断面の真円度が0.5〜1、特に好ましくは0.55〜1であるセルロース繊維が挙げられる。繊維断面の真円度が0.5〜1であるセルロース繊維は、液体の移動抵抗が小さく、液体の透過速度が大きくなる。真円度の測定方法は次の通りである。面積が変化しないように、繊維をその断面方向に垂直にスライスし、電子顕微鏡により断面写真をとる。断面写真を画像解析装置〔(株)ネクサス製New Qubever.4.22(商品名)〕により解析し、測定繊維の断面積及び周長を測定する。これらの値を用い、以下に示す式を用いて真円度を算出する。真円度は、任意の繊維断面を100点測定し、その平均値とする。
真円度=4π(測定繊維の断面積)/(測定繊維の断面の周長)2
前述の通り、パルプ繊維として木材パルプを使用することが好ましいが、一般に木材パルプの断面は、脱リグニン化処理により偏平であり、その殆どの真円度は0.5未満である。このような木材パルプの真円度を0.5以上にするためには、例えば、かかる木材パルプをマーセル化処理して木材パルプの断面を膨潤させればよい。
このように、嵩高性セルロース繊維としては、木材パルプをマーセル化処理して得られる真円度が0.5〜1であるマーセル化パルプも好ましい。本発明において用いることのできる市販のマーセル化パルプの例としては、ITT Rayonier Inc.製の「FILTRANIER」(商品名)や同社製の「POROSANIER」(商品名)等が挙げられる。
また、繊維粗度が0.3mg/m以上で、且つ繊維断面の真円度が0.5〜1であるセルロース繊維を用いると、嵩高なネットワーク構造が一層形成され易くなり、液体の通過速度も一層大きくなるので好ましい。
前記パルプ繊維等の、湿式抄造体40の構成繊維41の繊維長は、吸収性能や作製のしやすさの観点から、好ましくは0.1mm〜15mm、更に好ましくは0.2mm〜5mmである。
湿式抄造体40の構成繊維41としては、前記パルプ繊維(嵩高性セルロース繊維)に加えて、非パルプ繊維を用いることができる。非パルプ繊維としては、親水性のものが好ましく、例えば、ポリビニルアルコール繊維、ポリアクリロニトリル繊維等の親水性合成繊維;ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維等の合成繊維を界面活性剤により親水化処理したもの;ナイロン繊維、セルロースジアセテート繊維、セルローストリアセテート繊維等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。非パルプ繊維の割合は、湿式抄造体40の構成繊維41の50重量%以下、特に1〜20重量%であることが好ましい。
湿式抄造体40における繊維41の含有量は、湿式抄造体40の全重量に対して、好ましくは20〜95重量%、更に好ましくは30〜90重量%である。特にナプキン1を、厚み(490Pa荷重下における厚み)が3mm以下の薄型ナプキンとする場合には、繊維41の前記含有量は、30〜90重量%、特に40〜70重量%とすることが、薄さと吸収性能とのバランスの面で好ましい。
湿式抄造体40には、繊維41及び吸収ポリマー粒子42に加えて更に、ポリアミド・エピクロルヒドリン樹脂、ジアルデヒドデンプン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等の湿潤紙力増強剤;分散剤等を配合することもできる。
湿式抄造体40の坪量は、吸収速度、吸収容量、液の拡散、液の透過性等の観点から、好ましくは15〜250g/m2、更に好ましくは50〜120g/m2である。更に吸収容量を高めたい場合には、湿式抄造体40を重ねて多層構造として使用することができる。
また、湿式抄造体40の49Pa(0.5g/cm2)荷重下における厚みは、湿式抄造体40をナプキンに適用した時の薄さ、ナプキン着用時の違和感の観点から、好ましくは0.3〜2.7mm、更に好ましくは0.5〜2.0mmである。厚みは次のようにして測定される。
<厚みの測定方法>
厚み測定器(KES FB3-AUTO-A、カトーテック社製)を用いて測定する。測定対象物を測定台の上にシワや折れ曲がりがないように載置し、該測定対象物に、加圧面積2cm2の加圧板を50sec/mmの速度で押し込んでいき、所望の荷重(例えば測定対象物が湿式抄造体40の場合は49Pa)を掛けた状態での厚みを測定する。尚、測定は22±2℃、湿度65±5%で行う。
また、湿式抄造体40の曲げ剛性は、好ましくは2〜13g、更に好ましくは2〜9gである。湿式抄造体40の曲げ剛性が大きいほど、該湿式抄造体40は曲げにくい。湿式抄造体40の曲げ剛性が斯かる範囲にあることは、その内部に空隙部43が多数形成されていることによるところが大きく、湿式抄造体40の曲げ剛性が斯かる範囲にあることにより、柔軟性に富み、変形しやすい抄造体を得ることができるという効果が奏される。曲げ剛性は、ハンドロメーター(F360A DIGITAL INDICATOR、ユニパルス社製)を用いて測定する。40mm×40mmの湿式抄造体40の試験片を準備し、スリット間隔を10mmに設定した試験台に載置し、測定を行う。測定は5回行い(n=5)、5点の平均値を測定値とした。尚、測定は23±2℃、湿度50±5%で行う。
以下、本実施形態のナプキン1について更に説明する。
ナプキン1の肌当接面側(表面シート2側)には、その長手方向左右両側部に、ナプキン1の長手方向へ延びる防漏溝7,7がそれぞれ形成されている。各防漏溝7は、表面シート2と吸収体4とが、表面シート2側からエンボス等の圧搾手段によって圧密化及び一体化されて形成されている。各防漏溝7は、ナプキン1の縦中心線に関してほぼ対称な形状になっている。各防漏溝7は、それらの前後端が互いに連結しており、これによって全体として閉じた形状をなしている。防漏溝7,7が形成されていることにより、ナプキン幅方向外方に流れる体液等が堰き止られ、ナプキン1の側部からの漏れ(横漏れ)が効果的に防止されると共に、洗浄時におけるナプキンの分解を抑えることができるため、洗浄操作がおこないやすく、血液の洗い流しが容易に行えるようになる。更に、防漏溝7,7が吸収体4の下部付近まで達していることが、洗浄時、吸収体全体に水がいきわたりやすく、且つ、吸収体が偏って血液が残留するのを防止するため好ましい。
ナプキン1の周縁部には、吸収体4の外方に離間した位置にエンドシール部8が形成されている。本実施形態におけるエンドシール部8は、表面シート2と裏面シート3を一体化して形成されている。より具体的には、本実施形態においては、表面シート2、裏面シート3は、吸収体4の周縁部から延出しており、その延出部分において互いに熱エンボス処理により接合されてエンドシール部8が形成されている。エンドシール部8は、ナプキン1の洗浄時(湿潤時)に吸収体4を構成する吸水性材料が流れ出すことを防止する効果がある。エンドシール部8には、吸収体4に用いられる水による膨潤等がおこる材料が配置されていないことが、洗浄時にエンドシール部8の構成材料である各シート材料の分離をおこさない観点から好ましい。また、エンドシール部8は、シート材料の所定部位にホットメルト等の接着剤を配して熱エンボス処理によって形成されることが、シール部の柔軟性及び湿潤時のシール強度を向上・安定化させる観点からより好ましい。
ナプキン1は、上述した構成の吸収体4を備えていることにより、薄型にすることが可能である。ナプキン1の厚みは、0.5〜5mm、特に1〜3mmであることが、着用中の漏れを防ぎながらも違和感がなく、携帯に便利であることから好ましい。ここでいうナプキンの厚みは、490Pa(5g/cm2)荷重下におけるナプキンの厚みを意味し、前記<厚みの測定方法>に従って測定される。尚、荷重490Pa(5g/cm2)は、ナプキン着用中に着用者の体重によって加わる荷重を想定したものである。
本実施形態のナプキン1は、通常のこの種の生理用ナプキンと同様に下着に装着して使用する。本実施形態のナプキン1は、吸収体4が、吸収ポリマー粒子42の膨潤及びその後の縮小を利用して形成された空隙部43を多数有する、1枚のシート状の湿式抄造体40から構成されていることにより、吸収ポリマー粒子42の膨潤度(粘着性)が低いにもかかわらず、該吸収ポリマー粒子42の脱落が起こり難く、且つ吸収体4が実用上十分な強度を有しており、ナプキン1を水洗いしても、繊維41や吸収ポリマー粒子42がバラバラに崩壊し難く、水洗いが可能であり、吸収性能及び柔軟性にも優れる。また、吸収ポリマー粒子42の膨潤度が低い(即ち遠心保持量が10g/g以下である)ため、ナプキン1(吸収体4)の水洗いによって、吸収体4が吸収した経血等の血液に起因する赤みを低減・除去することが可能であり、斯かる観点から、本実施形態のナプキン1は、使用後のナプキンを水で洗浄してから廃棄する習慣がある人々にとって好適に使用できる。また、本実施形態のナプキン1は、吸収体4が上述した構成を有していることにより、厚みを薄く設計することが可能であり、嵩張らず、携帯性及び装着感に優れる。
次に、本発明の吸収体の製造方法について、前記実施形態における吸収体4(湿式抄造体40)の製造方法を例にとり、その好ましい一実施態様に基づき説明する。本実施態様の吸収体の製造方法は、パルプ繊維を主繊維として含有する湿式抄造体を含んで構成され、該湿式抄造体の内部に吸収ポリマー粒子が多数分散配置されている吸収体の製造方法であって、パルプ繊維及び吸収ポリマー粒子を含む水系分散液を湿式抄紙して湿潤繊維ウエブを形成する工程と、該湿潤繊維ウエブを乾燥して該湿潤繊維ウエブ内の膨潤状態の該吸収ポリマー粒子を縮小させる工程とを有している。
前記水系分散液は、湿式抄造体40の構成成分を水に分散又は溶解させて調製される。各成分の水系分散液の調製槽への添加順序は、特に制限されないが、吸収ポリマー粒子42の添加は、前記水系分散液を湿式抄紙する直前、即ち前記水性液を湿式抄紙機の網(ワイヤー)の上に流す直前(抄紙工程におけるワイヤーパートの直前)が好ましい。吸収ポリマー粒子42を斯かるタイミングで調製槽に添加することにより、吸収ポリマー粒子42の分散性が高まり、延いては空隙部43の分散配置が促される。
前記湿潤繊維ウエブは、例えば次のようにして形成することができる。即ち、前記パルプ繊維(嵩高性セルロース繊維)と水との混合物に、必要に応じ前記非パルプ繊維を添加して攪拌した後、更に必要に応じ湿潤紙力増強剤等の添加剤を添加して攪拌し、吸収ポリマー粒子無添加分散液を得る。該吸収ポリマー粒子無添加分散液を湿式抄紙機に導入し、抄紙直前に、該吸収ポリマー粒子無添加分散液に吸収ポリマー粒子42を添加して攪拌した後(即ち前記水系分散液を調製した後)、これを、常法に従って湿式抄紙機の網の上に流して薄く平にすることで、前記湿潤繊維ウエブを形成する。この湿潤繊維ウエブは、湿潤状態の繊維集合体の内部に、吸収ポリマー粒子42が膨潤状態で分散配置されて構成されている。膨潤状態の吸収ポリマー粒子42は、湿潤状態の繊維41によって包囲されている。
次いで、前記湿潤繊維ウエブを乾燥する。湿潤繊維ウエブの乾燥は、通常の湿式抄紙法における抄紙工程のドライヤーパートを利用して行うことができる。湿潤繊維ウエブの乾燥前に、該湿潤繊維ウエブの脱水処理を行うことが好ましい。脱水処理は、通常の湿式抄紙法における抄紙工程のプレスパートを利用して行うことができる。具体的には、先ず、プレスパートにおいて、湿潤繊維ウエブに必要に応じフェルト(毛布)を当てて上下から圧縮することで、該ウエブ中の水分を搾り取り、次いで、ドライヤーパートにおいて、乾燥手段を用いて、脱水処理がなされた湿潤繊維ウエブを乾燥する。前記乾燥手段に特に制限は無く、ヤンキードライヤーやエアースルードライヤー等を用いることができる。また、前記湿式抄紙機は、例えば、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、オントップ抄紙機、ハイブリッド抄紙機または丸網抄紙機等を用いることができる。
このように前記湿潤繊維ウエブを乾燥することにより、該ウエブ中において液を吸収して膨潤状態にある吸収ポリマー粒子42も乾燥される。その際、膨潤状態の吸収ポリマー粒子42は、乾燥に伴ってその粒径が縮小し、乾燥の終わりには、膨潤前の状態(前記調製槽に添加する前の乾燥状態)に略戻るが、繊維41どうしの絡み合いの状態やそれによって形作られる繊維構造体の形状等は、乾燥の前後で実質的に変化せず、その結果、縮小した吸収ポリマー粒子42の周囲に空隙部43が形成される。縮小した吸収ポリマー粒子42の多くは、形成された空隙部43内において、それ自身の粘着性あるいは繊維41の絡みつき又は引っ掛かり等により、空隙部43の界面近傍の繊維41に付着する。こうして湿式抄造体40が得られる。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば、前記実施形態では、吸収体4が1層の湿式抄造体40から構成されていたが、吸収体4は、2層以上の湿式抄造体40を積層してなる多層構造であっても良い。即ち、本発明に係る吸収体は、単層構造でも良く、多層構造でも良い。但し、該吸収体を構成する湿式抄造体は、単層構造、即ち1枚のシートであることが好ましい。
また本発明の吸収体が適用可能な吸収性物品、あるいは本発明の吸収性物品は、生理用ナプキンに制限されず、使い捨ておむつ、失禁パッド、尿取りパッド、ペット用おむつ、ペット用シーツ等にも適用できる。また、本発明の吸収体は、一般的におむつ、ナプキンなどの吸収性物品における排泄物の吸収を担うものに限定されず、吸収量の大小によらず、ある種液体を吸収する目的で使用されるものにも適用可能である。例えば、1)おむつのウエスト周りに配することにより、着用者の汗を吸収させる目的で使用するもの、あるいは2)例えば前記混合積繊型の吸収体(繊維及び吸収ポリマーを気中で混合して積繊した吸収体)を主吸収体として具備する吸収性物品において、該主吸収体の肌当接面側や側縁、あるいはギャザー部等に配することにより、主吸収体を補助し補助的な吸収性を担うもの、等にも使用できる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は斯かる実施例に限定されるものではない。尚、下記実施例1は参考例である。
〔実施例1〕
ミキサーに、パルプ繊維100重量部と、ポリビニルアルコール繊維(非パルプ繊維)2重量部と、水16000重量部とを投入して分散混合した後、更に湿潤紙力補強剤を、前記パルプ繊維の乾燥重量100重量部に対し樹脂成分で0.44重量部となるように前記ミキサーに投入し、分散混合して水系分散液を得た。この水系分散液を水で満たされた湿式抄紙機に移し、湿式抄紙直前で、該水系分散液に吸収ポリマー粒子を添加し、攪拌した後、常法に従って湿式抄紙法により湿潤繊維ウエブを形成した。次いで、この湿潤繊維ウエブに、ろ紙を押し付けて脱水して該ウエブ中の水分を適度に除去した後、ヤンキードライヤーを用い且つ該ドライヤーの表面温度を130℃として該ウエブを乾燥し、坪量80g/m2の湿式抄造体(吸収体)を得た。
前記パルプ繊維として、ウェアハウザー社製の嵩高性セルロース繊維「HBA」(商品名)とNBKPとを重量比でHBA:NBKP=8:2の割合で用い、前記非パルプ繊維として、三昌社製の繊維「フィブリボンド」(商品名)を用い、前記湿潤紙力増強剤として、カイメンGX−3(理研グリーン社製)を用い、前記吸収ポリマー粒子として、市販の生理用ナプキン(商品名「ロリエ」、花王株式会社製)から採集した吸収ポリマー粒子(遠心保持量32g/g、平均粒径400μm)を用いた。また、実施例1の湿式抄造体(吸収体)中における吸収ポリマー粒子の含有量は、該湿式抄造体の全重量に対して37.5重量%であった。
〔実施例2〕
実施例1において、吸収ポリマー粒子として、下記合成方法により得られた表面架橋処理済みの吸収ポリマー粒子(遠心保持量は9g/g、平均粒径320μm)を用いた以外は実施例1と同様にして湿式抄造体(吸収体)を作製し、これを実施例2のサンプルとした。
<吸収ポリマー粒子の合成方法>
攪拌機、還流冷却管、モノマー滴下口、窒素ガス導入管、温度計を取り付けたSUS304製5L反応容器(アンカー翼使用)に分散剤としてポリオキシアルキレンエーテルリン酸エステル0.1%[対アクリル酸重量、有効成分として]を仕込み、ノルマルヘプタン1500mlを加えた。窒素ガスの雰囲気下に攪拌を行いながら90℃まで昇温し、重合開始剤として2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリドの存在下、別途準備したアクリル酸ナトリウム水溶液を反応容器内に滴下し重合を行った。その後、架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル水溶液を添加した。冷却後、ノルマルヘプタンおよび水を除去・乾燥させることにより吸収ポリマー粒子を得た。こうして得られた吸収ポリマー粒子を、前記5L反応容器(アンカー翼使用)に仕込み、更に分散剤としてショ糖脂肪酸エステルを仕込み、ノルマルヘプタン中で窒素雰囲気下、攪拌しながら75℃まで昇温した。その後、前記架橋剤及びエチレングリコールジグリシジルエーテル水溶液を添加し、前記吸収ポリマー粒子の表面架橋処理を行い、冷却後、ノルマルヘプタン及び水を除去・乾燥させることにより、目的とする表面架橋処理済みの吸収ポリマー粒子を得た。
〔比較例1〕
パルプシート(ウェアハウザー社製NBKP)を目開き1mmの篩にかけてほぐし、該篩を通過したパルプ繊維と、実施例1で用いた吸収ポリマー粒子とを交互に積繊して混合積繊体を得、該混合積繊体を押圧して、坪量80g/m2のいわゆる混合積繊型の吸収体を得、これを比較例1のサンプルとした。比較例1の吸収体中における吸収ポリマー粒子の含有量は、該吸収体の全重量に対して37.5重量%であった。
〔比較例2〕
坪量20g/m2の下層台紙(NBKPとLBKPとを重量比でNBKP:LBKP=9:1の割合で含む、ブレンドパルプの湿式抄造体)の一面上に、実施例1で用いた吸収ポリマー粒子を散布坪量が30g/m2となるように均一に散布した後、該吸収ポリマー粒子の上に、坪量30g/m2の上層台紙(NBKPとLBKPとを重量比でNBKP:LBKP=9:1の割合で含む、ブレンドパルプの湿式抄造体)を重ね合わせて積層体を得、該積層体を押圧して、坪量80g/m2のいわゆるサンドイッチ型の吸収体を得、これを比較例2のサンプルとした。比較例2の吸収体中における吸収ポリマー粒子の含有量は、該吸収体の全重量に対して37.5重量%であった。
実施例及び比較例のサンプル(吸収体)について、49Pa(0.5g/cm2)荷重下における厚み、曲げ剛性を、それぞれ前記方法に従って測定した。また、実施例及び比較例の吸収体について、乾燥時及び湿潤時の吸収体崩壊率、被水洗性(水洗いが可能であるか否か)、吸収時間及び風合いを、それぞれ下記方法により測定・評価した。これらの結果を下記表1に示す。
<乾燥時の吸収体崩壊率の測定方法>
縦40mm、横40mmの矩形形状のサンプル(吸収体)を用意してその重量(処理前吸収体重量)を測定し、該吸収体を空気の入ったビニール袋に入れてその重量(処理前総重量)を測定する。そして、ビニール袋の口を閉じた状態で該ビニール袋を手で持って鉛直方向に素早く50回振とうした後、該ビニール袋から吸収体を取り出し、該ビニール袋の重量(処理後袋重量)を測定する。そして、下記式により、乾燥時の吸収体崩壊率を求める。この吸収体崩壊率の値が小さいほど、乾燥状態における吸収体の保形性が高く、また吸収ポリマー粒子の脱落が少なく、高評価となる。前記処理後袋重量の測定は、前記振とう後のビニール袋内の吸収体が、該ビニール袋に入れられる前の当初の形状及び大きさを略維持している場合のみ実施し、該吸収体が分裂していたり、崩れてしまっていたりして、当初の形状及び大きさを維持していない場合には実施せず、「崩壊のため測定不可」とした。 乾燥時の吸収体崩壊率(%)=[(処理前総重量―処理後袋重量)/処理前吸収体重量]×100
<湿潤時の吸収体崩壊率の測定方法>
シャーレに、縦40mm、横40mmの矩形形状のサンプル(吸収体)と、イオン交換水20gとを入れて30分放置後、該吸収体を取り出して上下から吸収紙(キムタオル)で挟んだ状態で2kgの重りを載せて10秒間放置後、重りを取り除いて該吸収体の重量(g)を測定し、これを初期重量とする。次いで、吸収体を縦50mm、横50mmの矩形形状のナイロン製のメッシュ袋に入れ、該メッシュ袋を、攪拌速度800rpmで攪拌中のイオン交換水中に30秒間浸漬した後、該メッシュ袋をイオン交換水から取り出して吸収体を取り出し、該吸収体を上下から吸収紙(キムタオル)で挟んだ状態で2kgの重りを載せて10秒間放置後、重りを取り除いて該吸収体の重量(g)を測定し、これを処理後重量とする。そして、下記式により、湿潤時の吸収体崩壊率を求める。この吸収体崩壊率の値が小さいほど、湿潤状態における吸収体の保形性が高く、また吸収ポリマー粒子の脱落が少なく、高評価となる。前記処理後重量の測定は、イオン交換水から取り出したメッシュ袋内の吸収体が、前記初期重量の測定時の形状及び大きさを略維持している場合のみ実施し、該吸収体が分裂していたり、崩れてしまっていたりして、該初期重量の測定時の形状及び大きさを維持していない場合には実施せず、「崩壊のため測定不可」とした。 湿潤時の吸収体崩壊率(%)={(初期重量―処理後重量)/初期重量}×100
<被水洗性の評価方法>
被水洗性の評価は、水洗い後の吸収体の状態(吸収体の構成成分がバラバラに崩壊しているか否か)と、吸収した血液に起因する赤みの水洗いによる低減程度との2つの指標を使う。前者による被水洗性の評価は、前記<湿潤時の吸収体崩壊率の測定方法>において、メッシュ袋をイオン交換水から取り出したときに該メッシュ袋内を目視で観察し、吸収体が崩壊せずにイオン交換水に浸漬前の形体を保持している(崩壊せず)か、あるいは吸収体がはがれてしまったり、バラバラに崩壊して元の形体を留めていない(崩壊)かを判別することにより行う。また、後者による被水洗性の評価は、下記方法によって測定される赤色度合いa*値によって行う。a*値が小さいほど、血液によって赤色に染まった赤色部分の赤色の度合いが低く、また、a*値が0以下であれば血液が水洗いによってきれいに洗い流されていることを意味する。
<赤色度合いa*値の測定方法>
縦40mm、横40mmの矩形形状のサンプル(吸収体)を、縦50mm、横50mmの矩形形状のナイロン製のメッシュ袋に入れ、該メッシュ袋と馬血10gとをシャーレに入れて30分放置後、該メッシュ袋をシャーレから取り出して2分間水洗いする。2分間のメッシュ袋の水洗いは次の手順で行う。ビーカーを4つ用意してそれぞれに約800mlのイオン交換水を入れて攪拌し、これらのビーカー内の攪拌状態(攪拌速度約500rpm)のイオン交換水中に、吸収体の入ったメッシュ袋を順次浸漬させる。浸漬時間は、初めの2つのビーカーにおいては15秒、3つ目のビーカーにおいては30秒、4つ目のビーカーにおいては1分とする。4つ目のビーカーに浸漬後、メッシュ袋をイオン交換水から取り出して吸収体を取り出し、該吸収体における、馬血によって赤色に染まった赤色部分の最も赤みの強い点5箇所について、分光色差計を用いて赤色度合いa*値を測定する。5つの測定値から最大値及び最小値を除いた3つの測定値の平均を、吸収体の赤色度合いa*値とする。a*値を測定する際は、外光が入らないように、測定サンプルと分光色差計とを隙間なく密接させる。分光色差計としては、日本分光製の簡易型分光色差計「NF333」(ペン型検出器)を用いることができる。
<吸収時間の測定方法>
吸収紙(キムタオル)の上に、縦40mm、横40mmの矩形形状のサンプル(吸収体)を載置し、該吸収体の上に、円筒状の注入部の付いたアクリル板を載せる。アクリル板に設けられた注入部は、内径10mmの円筒状をなし、アクリル板には、長手方向及び幅方向の中心軸に、該円筒状注入部の中心軸線が一致し、該円筒状注入部の内部とアクリル板の表面シート対向面との間を連通する内径10mmの貫通孔が形成されている。次いで、円筒状注入部の中心軸が吸収体の平面視における中心部と一致するようにアクリル板を配置し、1gの血液を、円筒状注入部から注入し、吸収体に吸収させる。血液が吸収体の表面に到達した時点から1gの全量が該吸収体に吸収されるまでの時間(秒)を計測し、これを吸収時間とした。吸収時間の計測は、各サンプルにつき2回行い、それらの平均値を、当該サンプルの吸収時間とした。この吸収時間の値が小さいほど、吸収速度が速く、高評価となる。
<風合いの評価方法>
パネラー5人に実際にサンプル(吸収体)を触ってもらい、官能評価を行った。評価は5段階で、5:柔らかい、4:やや柔らかい、3:どちらともいえない、2:やや硬い、1:硬いとして点数換算を行い、5人の採点の平均点が3点以上のときに柔らかい、3点未満のときに硬いとした。
Figure 0005235639
実施例1及び2の吸収体(湿式抄造体)は、湿潤繊維ウエブを脱水・乾燥して得られたものであり、その内部には、上述した空隙部が多数形成されていた。斯かる構成を有する実施例1及び2の吸収体は、表1の結果から明らかなように乾燥時及び湿潤時の吸収体崩壊率が低く、この結果から、吸収ポリマー粒子の脱落が少なく、強度(保形性)も十分であることがわかる。また実施例1及び2の吸収体は、薄型で、十分な吸収性能を有し、柔軟性も保たれていた。更に実施例2の吸収体は、主として膨潤度の低い(遠心保持量の小さい)吸収ポリマー粒子を用いているため、被水洗性にも優れ、付着した血液を水洗いによってきれいに洗い流すことができることがわかる。これに対し、比較例1及び2の吸収体は、上述した空隙部が実質的に形成されておらず、特に吸収ポリマー粒子の脱落防止や強度(保形性)の点で改善の余地があることがわかる。
図1は、本発明の吸収性物品の一実施形態である生理用ナプキンの肌当接面側(表面シート側)を示す斜視図である。 図2は、図1のX−X線断面を模式的に示す断面図である。 図3は、図2に示す湿式抄造体の一部を模式的に示す断面図である。
符号の説明
1 生理用ナプキン
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
5 コアラップシート
6 ウイング部
7 防漏溝
8 エンドシール部
40 湿式抄造体
41 繊維
42 吸収ポリマー粒子
43 空隙部

Claims (2)

  1. パルプ繊維を主繊維として含有する湿式抄造体を含んで構成され、該湿式抄造体の内部に吸収ポリマー粒子が多数分散配置されている吸収体を具備する吸収性物品であって、
    前記湿式抄造体の内部に、該湿式抄造体の構成繊維に囲まれ且つ1つ以上の前記吸収ポリマー粒子が収容されている空隙部が多数形成されており、該空隙部が、該空隙部に収容されている1つ以上の吸収ポリマー粒子が液を吸収して膨潤した場合のその膨潤状態の該吸収ポリマー粒子を収容可能な大きさを有しており、
    前記吸収ポリマー粒子の遠心保持量が5〜20g/gであり、
    前記湿式抄造体が、前記パルプ繊維及び多数の前記吸収ポリマー粒子を含有し且つ該吸収ポリマー粒子が液を吸収して膨潤している、湿潤状態の繊維ウエブを乾燥して得られたものであり、
    前記吸収体は、下記方法によって評価される水洗い後の状態が「崩壊せず」であり且つ下記方法によって測定される赤色度合いa * 値が0以下である吸収性物品
    ・水洗い後の吸収体の状態の評価方法:シャーレに、縦40mm、横40mmの矩形形状の評価対象の吸収体と、イオン交換水20gとを入れて30分放置後、該吸収体を取り出して上下から吸収紙で挟んだ状態で2kgの重りを載せて10秒間放置後に該重りを取り除き、次いで、該吸収体を縦50mm、横50mmの矩形形状のナイロン製のメッシュ袋に入れ、該メッシュ袋を攪拌速度800rpmで攪拌中のイオン交換水中に30秒間浸漬した後、該メッシュ袋をイオン交換水から取り出して目視で観察し、メッシュ袋内の吸収体が崩壊せずにイオン交換水に浸漬前の形体を保持している場合を「崩壊せず」、吸収体が元の形体を留めていない場合を「崩壊」とする。
    ・赤色度合いa * 値の測定方法:縦40mm、横40mmの矩形形状の評価対象の吸収体を、縦50mm、横50mmの矩形形状のナイロン製のメッシュ袋に入れ、該メッシュ袋と馬血10gとをシャーレに入れて30分放置後、該メッシュ袋をシャーレから取り出して2分間水洗いする。2分間のメッシュ袋の水洗いは次の手順で行う。ビーカーを4つ用意してそれぞれに約800mlのイオン交換水を入れて攪拌し、これらのビーカー内の攪拌状態(攪拌速度約500rpm)のイオン交換水中に、吸収体の入ったメッシュ袋を順次浸漬させる。浸漬時間は、初めの2つのビーカーにおいては15秒、3つ目のビーカーにおいては30秒、4つ目のビーカーにおいては1分とする。4つ目のビーカーに浸漬後、メッシュ袋をイオン交換水から取り出して吸収体を取り出し、該吸収体における、馬血によって赤色に染まった赤色部分の最も赤みの強い点5箇所について、分光色差計を用いて赤色度合いa * 値を測定する。5つの測定値から最大値及び最小値を除いた3つの測定値の平均を、吸収体の赤色度合いa * 値とする。
  2. パルプ繊維を主繊維として含有する湿式抄造体を含んで構成され、該湿式抄造体の内部に吸収ポリマー粒子が多数分散配置されている吸収体の製造方法であって、
    前記パルプ繊維及び前記吸収ポリマー粒子を含む水系分散液を湿式抄紙して湿潤繊維ウエブを形成する工程と、該湿潤繊維ウエブを乾燥して該湿潤繊維ウエブ内の膨潤状態の該吸収ポリマー粒子を縮小させる工程とを有し、
    前記吸収ポリマー粒子の遠心保持量が5〜20g/gであり、
    前記吸収体は、下記方法によって評価される水洗い後の状態が「崩壊せず」であり且つ下記方法によって測定される赤色度合いa * 値が0以下である吸収体の製造方法。
    ・水洗い後の吸収体の状態の評価方法:シャーレに、縦40mm、横40mmの矩形形状の評価対象の吸収体と、イオン交換水20gとを入れて30分放置後、該吸収体を取り出して上下から吸収紙で挟んだ状態で2kgの重りを載せて10秒間放置後に該重りを取り除き、次いで、該吸収体を縦50mm、横50mmの矩形形状のナイロン製のメッシュ袋に入れ、該メッシュ袋を攪拌速度800rpmで攪拌中のイオン交換水中に30秒間浸漬した後、該メッシュ袋をイオン交換水から取り出して目視で観察し、メッシュ袋内の吸収体が崩壊せずにイオン交換水に浸漬前の形体を保持している場合を「崩壊せず」、吸収体が元の形体を留めていない場合を「崩壊」とする。
    ・赤色度合いa * 値の測定方法:縦40mm、横40mmの矩形形状の評価対象の吸収体を、縦50mm、横50mmの矩形形状のナイロン製のメッシュ袋に入れ、該メッシュ袋と馬血10gとをシャーレに入れて30分放置後、該メッシュ袋をシャーレから取り出して2分間水洗いする。2分間のメッシュ袋の水洗いは次の手順で行う。ビーカーを4つ用意してそれぞれに約800mlのイオン交換水を入れて攪拌し、これらのビーカー内の攪拌状態(攪拌速度約500rpm)のイオン交換水中に、吸収体の入ったメッシュ袋を順次浸漬させる。浸漬時間は、初めの2つのビーカーにおいては15秒、3つ目のビーカーにおいては30秒、4つ目のビーカーにおいては1分とする。4つ目のビーカーに浸漬後、メッシュ袋をイオン交換水から取り出して吸収体を取り出し、該吸収体における、馬血によって赤色に染まった赤色部分の最も赤みの強い点5箇所について、分光色差計を用いて赤色度合いa * 値を測定する。5つの測定値から最大値及び最小値を除いた3つの測定値の平均を、吸収体の赤色度合いa * 値とする。
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