図1に本発明を適用した、カラー画像を形成可能な多色画像形成装置である画像形成装置の概略を示す。画像形成装置100は、カラーレーザプリンタとファクシミリとの複合機であるが、他のタイプのプリンタ、ファクシミリ、複写機、複写機とプリンタとの複合機等、他の画像形成装置であっても良い。画像形成装置100は、外部から受信した画像情報に対応する画像信号に基づき画像形成処理を行なう。これは画像形成装置100がファクシミリとして用いられる場合も同様である。画像形成装置100は、一般にコピー等に用いられる普通紙の他、OHPシートや、カード、ハガキ等の厚紙や、封筒等の何れをもシート状の記録媒体としてこれに画像形成を行なうことが可能である。
画像形成装置100は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に色分解された色にそれぞれ対応する像としての画像を形成可能な複数の像担持体としての潜像担持体である円筒状の感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKを並設したタンデム構造を採用したタンデム構造、言い換えるとタンデム方式の画像形成装置である。
感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKは、同一径であり、画像形成装置100の本体99の内部のほぼ中央部に配設された無端ベルトである転写搬送ベルトとしての転写ベルト11の外周面側すなわち作像面側に、等間隔で並んでいる。
感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKは、転写ベルト11の移動方向であるA1方向の上流側からこの順で並設されている。各感光体ドラム感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKはそれぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像を形成するための、画像形成部としての作像部たる画像ステーション60Y、60M、60C、60BKに備えられている。
各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに形成された可視像すなわちトナー像は、矢印A1方向に移動する転写ベルト11によって搬送される記録媒体である転写媒体たる転写紙に対しそれぞれ重畳転写されるようになっている。
転写ベルト11に対する重畳転写は、転写ベルト11により転写紙がA1方向に移動する過程において、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに形成されたトナー像が、転写紙の同じ位置に重ねて転写されるよう、転写ベルト11を挟んで各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKのそれぞれに対向する位置に配設された転写チャージャとしての転写器12Y、12M、12C、12BKによる電圧印加によって、A1方向上流側から下流側に向けてタイミングをずらして、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKと転写ベルト11と対向位置である転写位置にて行われる。
転写ベルト11は、その全層をゴム剤等の弾性部材を用いて構成した弾性ベルトである。転写ベルト11は、単層の弾性ベルトであっても良いし、その一部を弾性部材とした弾性ベルトであっても良いし、従来から用いられている、フッ素系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂等を用いても良く、非弾性ベルトであっても良い。
画像形成装置100は、4つの画像ステーション60Y、60M、60C、60BKと、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKの上方に対向して配設され、転写ベルト11を備えた転写搬送装置であるベルトユニットとしての転写ベルトユニット10とを有している。
画像形成装置100はまた、感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKと転写ベルト11との間に向けて搬送される転写紙を積載したシート給送装置61と、シート給送装置61から搬送されてきた記録紙を、画像ステーション60Y、60M、60C、60BKによるトナー像の形成タイミングに合わせた所定のタイミングで、感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKと転写ベルト11との転写部に向けて繰り出すレジストローラ対13と、転写紙の先端がレジストローラ対13に到達したことを検知する図示しないセンサとを有している。
画像形成装置100はまた、トナー像を転写された転写紙に同トナー像を定着させるためのローラ定着方式の定着ユニットとしての定着装置6と、定着装置6を経た転写紙を本体99の外部に排出する排紙ローラ7と、本体99の側部に配設され排紙ローラ7により本体99の外部に排出された転写紙を積載する排紙部としての排紙トレイ17と、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナーを充填されたトナーホッパとしての図示しないトナーボトルとを有している。
画像形成装置100はまた、図示しないCPUと、図示しないROM、RAM等の記憶手段等とを備え、図2に示すように、感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKの駆動制御など、画像形成装置100の動作全般を制御する制御手段40を有している。
図1に示すように、転写ベルトユニット10は、転写ベルト11の他に、転写ベルト11を巻き掛けられた、複数の巻き掛け部材としての、駆動部材である駆動ローラを兼ねた転写入口ローラ72と、従動ローラ73とを有している。
転写ベルトユニット10はまた、転写ベルト11に対向して配設され転写ベルト11を除電する除電手段としての除電器74と、A1方向において除電器74より上流側で転写ベルト11に対向して配設され位置ズレ検知モードにおいて転写ベルト11上に形成された各色によるパターンを検知する位置ズレ検知センサ75と、A1方向において除電器74より下流側で転写ベルト11に対向して配設され転写ベルト11上をクリーニングする図示しない転写クリーニングブラシを備えた転写ベルトクリーニング装置としてのクリーニング装置18とを有している。
転写入口ローラ72は、図示しない駆動源としてのモータの駆動により回転駆動され、これによって、転写ベルト11がA1方向に回転駆動される。転写入口ローラ72は図示しない電源に接続され、転写ベルト11が転写紙を静電吸着するよう転写ベルト11を帯電する帯電手段としての帯電ローラとして機能するようになっている。
従動ローラ73は、転写ベルト11が一定の張力で回転駆動されるように転写ベルト11を付勢するテンションローラとして機能するようになっている。
除電器74は、転写入口ローラ72によって帯電された転写ベルト11表面上の電荷を除電し、転写ベルト11上のパターンその他のトナー、紙粉等がクリーニング装置18によって除去され易い状態とする。
位置ズレ検知センサ75は、位置ズレ検知モードにおいて画像ステーション60Y、60M、60C、60BKのそれぞれによって転写ベルト11上に形成された各色のパターンをそれぞれ検知して、画像ステーション60Y、60M、60C、60BKそれぞれによる画像形成位置の位置ズレを読み取る。読み取られた位置ズレに基づき、この位置ズレが解消されるように、制御手段40によって、画像ステーション60Y、60M、60C、60BKによる画像形成位置が調整される。位置ズレ検知センサ75には反射型フォトセンサまたは透過型フォトセンサが用いられる。
定着装置6は、図示しない熱源を有する加熱ローラである定着ローラ62と、定着ローラ62に圧接された加圧ローラ63とを有しており、トナー像を担持した転写紙を定着ローラ62と加圧ローラ63との圧接部である定着部に通すことで、熱と圧力との作用により、担持したトナー像を転写紙の表面に定着するようになっている。
シート給送装置61は、転写紙を積載した給紙カセットである給紙トレイ15と、給紙トレイ15上に積載された転写紙を送り出す給紙コロ16とを有している。
画像ステーション60Y、60M、60C、60BKについて、そのうちの一つの、感光体ドラム20Yを備えた画像ステーション60Yの構成を代表して構成を説明する。なお、他の画像ステーションの構成に関しても実質的に同一であるので、以下の説明においては、便宜上、画像ステーション60Yの構成に付した符号に対応する符号を、他の画像ステーションの構成に付し、また詳細な説明については適宜省略することとし、符号の末尾にY、M、C、Kが付されたものはそれぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像形成を行うための構成であることを示すこととする。
感光体ドラム20Yを備えた画像ステーション60Yは、感光体ドラム20Yの周囲に、図中時計方向であるその回転方向B1に沿って、転写器12Yと、感光体ドラム20Yをクリーニングするためのクリーニング手段としてのクリーニング装置70Yと、感光体ドラム20Yを高圧に帯電するための帯電手段としての帯電器である帯電装置30Yと、感光体ドラム20Yを現像するための現像手段としての現像装置50Yとを有している。
画像ステーション60Yはまた、感光体ドラム20Yの上方に配設され、方向B1における帯電装置30Yと現像装置50Yとの間の位置において感光体ドラム20Yに露光を行う書き込み手段である光書き込み装置としての書込装置たる光走査装置8Yを有している。光走査装置8Yは、感光体ドラム20Yの表面によって構成された被走査面をそれぞれ走査して露光し、静電潜像を形成するための、画像信号に基づくレーザービームとしてのレーザー光であるビームLYを発するものである。
画像ステーション60Yはまた、図2に示すように、感光体ドラム20Yを回転駆動する駆動源としてのモータ81Yを備えモータ81Yの駆動力により感光体ドラム20Yを回転駆動する駆動ユニットとしての像担持体駆動装置80Yを有している。像担持体駆動装置80Yの詳細については後述する。
以上のような構成により、感光体ドラム20Yは、B1方向への回転に伴い、帯電装置30Yにより表面を一様に帯電され、光走査装置8からのビームLYの露光走査によりイエロー色に対応した静電潜像を形成される。この静電潜像の形成は、ビームLYが、紙面垂直方向である主走査方向に走査するとともに、感光体ドラム20YのB1方向への回転により、感光体ドラム20Yの円周方向である副走査方向へも走査することによって行われる。
このようにして形成された静電潜像には、現像装置50Yにより供給される帯電したイエロー色のトナーが付着し、イエロー色に現像されて顕像化され、現像により得られたイエロー色の可視画像たるトナー像は、転写器12YによりA1方向に移動する転写紙に転写され、転写後に残留したトナー等の異物はクリーニング装置70Yにより掻き取り除去され備蓄されて、感光体ドラム20Yは、帯電装置30Yによる次の帯電に供される。
他の感光体ドラム20C、20M、20BKにおいても同様に各色のトナー像が形成等され、形成された各色のトナー像は、転写器12C、12M、12BKにより、A1方向に移動する転写紙上の同じ位置に順次転写される。
感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKと転写ベルト11との間に搬送されてきた転写紙は、シート給送装置61から繰り出され、レジストローラ対13によって、センサによる検出信号に基づいて、感光体ドラム20Y上のトナー像の先端部が転写ベルト11に対向するタイミングで送り出されたものである。
転写紙は、すべての色のトナー像を順次転写され、担持すると、転写ベルト11から剥離して定着装置6に進入し、定着ローラ62と加圧ローラ63との間の定着部を通過する際、熱と圧力との作用により、担持したトナー像を定着され、この定着処理により、転写紙上に合成カラー画像たるカラー画像が形成される。定着装置6を通過した定着済みの転写紙は、排紙ローラ7を経て、排紙トレイ17上にスタックされる。一方、転写紙の搬送を終えた転写ベルト11は、除電器74によって除電されてからクリーニング装置18によってクリーニングされ、次の転写紙の搬送に備える。
画像形成装置100において、像担持体駆動装置80Y、80M、80C、80BKは互いに略同様の構成となっている。以下、像担持体駆動装置80Y、80M、80C、80BKを像担持体駆動装置80として説明する。またこれに伴い、感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKを感光体ドラム20として説明し、モータ81Y、81M、81C、81BKをモータ81として説明する。
図3に示すように、像担持体駆動装置80は、モータ81と、モータ81の回転数を感光体ドラム20の回転に求められる回転数に減じて感光体ドラム20に伝達し感光体ドラム20を駆動するための減速装置82と、減速装置82と感光体ドラム20とを連結するカップリング83とを有している。
モータ81は、その出力軸であるモータ軸81aと、このモータ軸81aの先端にカップリングとしてのフレキシブルジョイント110を介して連結された駆動軸86とを有している。駆動軸86は、モータ81における出力の回転中心軸上に位置しモータ81によって回転駆動され、実質的にモータ81の出力軸言い換えるとモータ81の駆動力を伝達する伝達用シャフトとして備えられていれば良く、モータ軸81a自体によって構成しても良い。フレキシブルジョイント110は、モータ軸81aと駆動軸86との偏心や偏角を吸収しながら回転駆動力を伝達する一体型のジョイントであり、オルダムタイプ、ディスクタイプ、ユニバーサルジョイントタイプ又は軸方向にスライド可能なユニバーサルジョイントタイプなどによって構成される。
カップリング83は、感光体ドラム20の回転中心をその回転中心とする軸21の端部に配設されたカップリング83aと、減速装置82の出力軸84の端部に配設されカップリング83aと噛み合うカップリング83bとを有している。カップリング83は、カップリング83aとカップリング83bとが着脱自在であることによって分離可能となっている。カップリング83aとカップリング83bとは、噛み合った状態ではガタなく嵌合し、また軸21と出力軸84が同軸上に位置するため、カップリング83において感光体ドラム20の回転精度の低下は無視できる程度となっている。
ここで、かりに、減速装置82が歯車を用いてモータ81の回転を減速するものであるとすると、上述のように、バックラッシュに起因して感光体ドラム20の回転速度の変動が生じうる。感光体ドラム20の回転速度が変動すると、画像の位置ズレや濃度ムラによる筋等が発生して画像品質が低下するため問題である。この問題は、画像形成装置100のように、各色のトナー像を重ね合わせて画像を得る構成においては色ずれとして際立って現れるため、感光体ドラム20の回転速度は高精度に行う必要がある。また、減速装置82が遊星ローラを用いてモータ81の回転を減速するものであるとすると、上述のように、小型化、低コスト化が困難となる。
そこで、減速装置82は、感光体ドラム20を正確且つ滑らかに駆動するとともに、比較的小型で低コストの機構とするために、出力軸84に固定支持され感光体ドラム20の回転中心をその回転中心とし、言い換えると感光体ドラム20と同軸に設けられ、駆動軸86に当接する駆動伝達部材としての回転伝達用ホイールであるホイール85であって、駆動軸86の回転半径よりも大きな回転半径を有するホイール85を備えている。減速装置82は、このホイール85を駆動軸86によって感光体ドラム20と一体回転するように回転駆動することで、歯車、遊星ローラを用いることなく、駆動軸86とホイール85との摩擦を利用して減速を行うものとなっている。駆動軸86とホイール85とは、少なくとも互いに当接する部分がその回転中心を軸中心とする円柱状をなし、この円柱状の部分の円周面86a、85aにおいて互いに当接している。この方式では、駆動伝達が滑らかな円周面同士によって行われるため、バックラッシュなど歯車による駆動伝達で生じる回転ムラが抑制される。しかも、円周面の表面を精度良く仕上げることが歯車加工より容易であり、真円度等では歯車よりも一桁高い精度が容易に得られるため、駆動伝達が極めて正確且つ滑らかに行われるという利点がある。
ただし、円周面86a、85a同士の摩擦で駆動の伝達を行うには、円周面86a、85a同士を圧接した状態としなければならないが、単に駆動軸86、ホイール85の配置位置の調整によって円周面86a、85a同士を圧接した状態とすると、上述のように、駆動軸86やホイール85の回転速度の変動を抑制しつつ駆動伝達を行うことが難しい。
そのため、減速装置82は、駆動軸86をホイール85の回転中心に向けて押圧する圧接規制手段としての押圧規制手段88を備えている。なお、この押圧規制手段88には、後述するように種々の構成例があるが、各構成例に共通して、ホイール85の回転方向への駆動軸86のずれを規制するために、駆動軸86に所定の態様で係合し駆動軸86を円周面85aに押圧する規制部材を備えている。図3に示した構成例における規制部材は駆動軸86に当接し駆動軸86に従動回転する従動部材としての2つの圧接コロ87aを備えたものとなっている。
減速装置82は、出力軸84、ホイール85の他に、ホイール85及び押圧規制手段88を内蔵しモータ81を支持したハウジング89と、出力軸84をハウジング89に対し回転自在に支持したベアリング90と、ハウジング89内部において出力軸84に固定支持され出力軸84の回転中心をその回転中心とする、言い換えると出力軸84と同軸に設けられたエンコーダディスク91と、エンコーダディスク91の周縁を受け入れるようにハウジング89内面に固定支持され出力軸84の回転数言い換えると回転速度を検知する回転速度検出手段としてのエンコーダセンサ92とを有している。
減速装置82はまた、ハウジング89内部の下方に位置しホイール85の周縁を受け入れる凹部93aを有するオイル貯め部材93と、凹部93aに貯容され凹部93aに進入したホイール85の、円周面85aを含む周縁が浸される潤滑剤としてのオイル94と、エンコーダセンサ92の出力に基づいてモータ81の回転速度、タイミング等を制御するためのモータ制御回路41とを有している。
駆動軸86は、金属製で焼入れ焼き戻しの熱処理が施されたシャフト状の部材であり、モータ軸81aにフレキシブルジョイント110を介して連結されている。駆動軸86としては一般的に針状コロ軸受に使われる針状コロを用いると、熱処理、寸法精度ともに安定であり好ましい。なお、駆動軸86を、モータ軸81a自体によって構成する場合には、モータ軸81aの先端を熱処理して必要寸法に加工することで、駆動軸86を形成する。
ホイール85は、金属製で焼入れ焼き戻しの熱処理が施されたディスク状の部材で、出力軸84に圧入で固定されている。出力軸84に対するホイール85の固定態様は他の態様であってもよい。ホイール85は円周面85aが出力軸84の同軸上に位置することが重要であるため、出力軸84への固定後に切削加工することで、必要な精度を出している。ホイール85の素材となる金属材料としては、転がり軸受けに用いられるSUJ2などの材料が、硬度、耐磨耗性の点で好ましい。
ハウジング89は、本体99の側板89aの一部と、側板89aに固定された駆動側板89bとを有している。側板89a、駆動側板89bは本体99に対して不動の不動体であり、ハウジング89も本体99に対して不動の不動体となっている。モータ81は駆動側板89bに固定支持されている。
ベアリング90は、側板89a、駆動側板89bのそれぞれに配設され、出力軸84を2箇所で回転自在に支持している。カップリング83bは、側板89a側の、ハウジング89外部において、出力軸84に固定されている。
エンコーダディスク91は、出力軸84の、側板89aとホイール85との間に位置している。エンコーダディスク91は、放射状のスリットを多数設けられている。
エンコーダセンサ92は、側板89a内面に固設されている。エンコーダセンサ92は、エンコーダディスク91のスリットを検出することで出力軸84の回転数を検知する。
モータ制御回路41は、感光体ドラム20の回転数を一定に保つため、エンコーダセンサ92によって検知された出力軸84の回転数に基づき、この回転数を一定に保つように駆動軸86の回転数をフィードバック制御する回転速度制御手段として機能するものであり、制御手段40の一機能として実現されている。
このようなフィードバック制御は、感光体ドラム20の駆動が、駆動軸86とホイール85との摩擦によって行われるために行う。すなわち、摩擦伝達では、モータ81の回転数を一定に保っても、感光体ドラム20の回転数は、ホイール85の径の加工精度や磨耗、さらには微小な滑り等の影響でモータ81の回転数に一致するとは限らず、ズレが生じ得るために行う。
かかるフィードバック制御は、図4に示すブロック線図の構成にしたがって行われる。
はじめに感光体ドラム20上に適正な画像を形成するための、感光体ドラム20の回転速度の目標値がモータ制御回路41に設定されると、これに基づいて、モータ制御回路41のコントローラ42により駆動信号が発生し、この信号によってモータ81のドライバ43を駆動し、ドライバ43からの通電によりモータ81が駆動される。モータ81の回転数は駆動軸86とホイール85との回転半径の比、いわゆる減速比によって減速されて出力軸84に伝達される。出力軸84の回転速度は、出力軸84と同軸に設けられたエンコーダディスク91のスリットを検出することでエンコーダセンサ92(図4においては「エンコーダ」と図示)により発生するパルス周期によって検出される。このパルス周期はモータ制御回路41に入力され、このパルス周期が一定となるようにコントローラ42により駆動信号がドライバ43に向けて発生される。
このように、エンコーダセンサ92のパルス出力をモータ制御回路41に入力し、感光体ドラム20の回転数が目標の一定値になるように、モータ81の回転数を制御することで、駆動軸86の周面86a、ホイール85の周面85aの径、形状が、その加工精度、磨耗等によってばらついても、感光体ドラム20の回転速度が正確に一定に保たれる。
押圧規制手段88は、圧接コロ87a、87aの他、圧接コロ87a、87aを支持した支持部材であるブラケットとしての圧接アーム95と、圧接アーム95を駆動側板89bに搖動自在に支持した圧接アーム支点としての軸96と、その一端が圧接アーム95に当接し圧接コロ87a、87aが駆動軸86を押圧するように圧接アーム95を軸96中心に付勢し駆動軸86を円周面85aに押圧する押圧部材(加圧部材)としての圧接スプリングであるバネ97と、バネ97を位置決めするネジ98とを有している。上記軸96は、駆動軸86の押圧のための押圧規制手段88の揺動の支点となる押圧揺動支点部材である。
圧接コロ87a、87aはそれぞれ、金属製で焼入れ焼き戻しの熱処理が施された、圧接アーム95によって支持された軸87a1を有し、この軸87a1によって回転自在に支持されている。圧接コロ87a、87aはそれぞれ、通常の玉軸受、針状のコロ軸受で構成することが可能である。
圧接コロ87a、87aはそれぞれ、駆動軸86の回転中心に平行な周面により、駆動軸86を挟むようにして駆動軸86に当接している。圧接コロ87a、87aと駆動軸86との接点は、駆動軸86の、ホイール85に対向する側の周面とは逆側の周面において2箇所となっている。これにより、駆動軸86は、ホイール85との接点を合わせて計3箇所の接点で位置保持されており、その位置ズレが防止されている。
また、圧接コロ87a、87aとの接点の位置は、この接点において圧接コロ87a、87aが駆動軸86を円周面85aに向けて押圧する力の合力が、駆動軸86がホイール85の回転中心に向かう方向とするように、駆動軸86の回転中心とホイール85の回転中心とを結ぶ直線に対して対称な位置となっている。これにより、圧接コロ87a、87aとの接点によって生じる押圧力において、駆動軸86を、かかる直線に交差する方向へ移動させる力が打ち消され、駆動軸86の位置決めがさらに精度良く行われるとともに、駆動軸86がホイール85にまっすぐに押圧される。
ネジ98は、その一端部にバネ97の他端が当接し、また先端部が、固定ブラケットとして機能する駆動側板89bに螺合することによって駆動側板89bに支持されている。よって、駆動側板89bに対するネジ98の螺合位置を調整することで、バネ97による圧接アーム95の付勢力が調整され、これによって駆動軸86に対するバネ97による圧接コロ87a、87aの押圧力が調整され、駆動軸86とホイール85との圧接力が調整され、これらの間の摩擦力が調整される。
ここで、駆動軸86の回転軸(軸心)とホイール85の回転軸(軸心)との平行度が維持されないとスキュー角が生じ、回転駆動に伴って各軸にスラスト方向の力が生じてしまう。
図23は駆動軸86とホイール85との接触部の概略図である。図23(a)は同接触部の概略正面図、図23(b)は両回転軸の平行度が維持されているときの同接触部の概略上面図、図23(c)は両回転軸の平行度が維持されていないときの同接触部の概略上面図である。図23(a)において、駆動軸86はモータ81による回転駆動力によって矢印C2方向に回転している。一方、ホイール85は駆動軸86からの回転伝達によって矢印B2方向に回転している。このとき、ホイール85には駆動軸86との当接部で回転駆動力Tが作用する。一方、駆動軸86には、ホイール85の回転駆動力Tの反力Rが作用する。駆動軸86に反力Rが作用しても、2個の圧接コロ87aを介して圧接アーム95で駆動軸86をホイール85に押圧してその位置を保持するため移動することはない。図23(b)において、駆動軸86の回転軸とホイール85の回転軸とは平行度が維持されているので、回転駆動力Tはその作用方向がホイール85の回転方向と一致し、スムーズな回転駆動力の伝達がなされる。2個の圧接コロ87aは、同一部材である圧接アーム95で隣接して支持されているため、これらの圧接コロ87a間の平行度の精度は高く構成されている。また、駆動軸86は、2個の圧接コロ87aに挟まれて支持されるため、圧接コロ87aとの平行度の精度は高いものとなっている。従って、図23(c)に示すように、圧接コロ87a及び駆動軸86が、ホイール85に対して平行度が維持されない状態が発生しやすい。図示の例で駆動軸86の回転軸とホイール85の回転軸とがスキュー角θで偏心しているものとすると、ホイール85には回転駆動力Tの分力として回転軸方向(図中右方向)にスラスト力Ts(=Tsinθ)が作用し、駆動軸86には反力Rの分力として回転軸方向(図中左方向)にスラスト力Rs(=Rsinθ)が作用する。また、駆動軸86の回転軸方向に作用したスラスト力Rsは圧接コロ87aや圧接コロ87aを支持する圧接アーム95にも作用する。これらのスラスト力Ts、Rsは、駆動伝達ロスになるばかりでなく、各回転体の軸方向の移動を生じ、接触による発熱や破損の原因となり、減速装置82の寿命を低下させるおそれがある。
そこで、減速装置82は、押圧規制手段88が、駆動軸86に生じたスラスト力Rsを利用して圧接アーム95を揺動可能に構成され、圧接コロ87a及び駆動軸86の各回転軸とホイール85の回転軸との平行度を自動的に矯正できるようになっている。
図3(b)に示すように、本実施形態の減速装置82は、上記各回転軸の平行度が自動的に調整されるよう押圧規制手段88が揺動するように、押圧規制手段88の揺動の支点を有する軸調整揺動支点部111と、押圧規制手段88の揺動をガイドする軸調整揺動ガイド部120とを備えている。軸調整揺動支点部111には、駆動軸86をホイール85の回転中心に向けて押圧するための加圧部材としてのバネ97が設けられている。また、軸調整揺動ガイド部120には、上記駆動軸86の押圧のための押圧規制手段88の押圧揺動の支点となる押圧揺動支点部材としての軸96と、軸96を回転可能に支持する支持部材としての軸支持ブラケット112とが設けられている。上述したように圧接アーム95は軸96を支点として、バネ97によって付勢されている図中左側が図中上下方向に揺動可能になっている。更に、軸96が貫通するように係合する軸支持ブラケット112の支持孔として、圧接アーム95の長手方向に延びた長孔112aが形成されている。この長孔112aの長手方向に軸96が移動することにより、ネジ98を軸調整用の揺動の支点として、圧接アーム95の図中右側が紙面に対して手前側と奥側方向にも揺動可能になっている。
図5は駆動軸86とホイール85との当接部近傍の概略上面図であり、(a)は圧接コロ87a及び駆動軸86の回転軸とホイール85の回転軸とにスキュー角が生じ圧接アーム95の図中下側が左側に傾いている状態の概略上面図、(b)は圧接アーム95が揺動して平行度を自動的に矯正した概略上面図、(c)は圧接アーム95の図中下側が右側に傾いている状態の概略上面図である。
図5(a)において、圧接アーム95に形成されたネジ貫通孔95bにネジ98が設けられ、このネジ98の中心軸を揺動支点98aにして圧接アーム95は揺動する。圧接コロ87aは圧接アーム95に支持されているので圧接アーム95と一体で揺動する。また、駆動軸86は一方の端部がフレキシブルジョイント110で片持ち支持されているので、2個の圧接コロ87aでホイール85に押圧された状態では、駆動軸86の回転軸の傾きの動きに追従して圧接コロ87a及び圧接アーム95がともに揺動する。駆動軸86と圧接コロ87a及び圧接アーム95は一体で揺動支点98a回りにキャスターのように揺動するので、揺動支点98aは、駆動軸86の回転時に駆動軸86に作用する反力Rの向きの位置、すなわち、駆動軸86の設置位置から反力Rの向きに離れた位置に設けられる。また、圧接アーム95は揺動支点98aと反対側(図中下側)に配設された軸96で一対の軸支持ブラケット112に支持されている。この軸支持ブラケット112の間隔(スパン)は、圧接アーム95の揺動範囲内で接触しないように設定されている。図示の例では、駆動軸86の回転軸がホイール85の回転軸に対して左斜め上方に傾いてスキュー角が生じており、回転駆動により駆動軸86に反力R及びスラスト力Rsが作用する。このスラスト力Rsは駆動軸86を図中右方向に寄せる力として作用し、駆動軸86と圧接コロ87a及び圧接アーム95が矢印Yrの方向に揺動する。この揺動にともなって駆動軸86の回転軸とホイール85の回転軸とのスキュー角が小さくなり、スラスト力Rsも小さくなる。スキュー角がゼロになった時点でスラスト力Rsもゼロになり、揺動が停止する。すると、図5(b)に示すように、駆動軸86の回転軸とホイール85の回転軸との間でスキュー角がない平行度が良好な状態に自動的に矯正された状態で回転駆動を行う。
また、図5(c)は図5(a)の状態とは逆に駆動軸86の回転軸がホイール85の回転軸に対して右斜め上方に傾いてスキュー角が生じており、回転駆動により駆動軸86に反力R及びスラスト力Rsが作用する。このスラスト力Rsは駆動軸86を図中左方向に寄せる力として作用し、駆動軸86と圧接コロ87a及び圧接アーム95が矢印Ylの方向に揺動する。これにより、上述した動作と同様にして、図5(b)に示すように、駆動軸86の回転軸とホイール85の回転軸との間でスキュー角がない平行度が良好な状態に自動的に矯正された状態で回転駆動を行う。
図6は、上記図3とモータ81の取り付け部分の構成が異なる他の減速装置の構成例を示している。この構成例では、モータ81を駆動側板89bに取り付ける構成に代えて、圧接アーム95に取り付ける構成を用いている。同図において単に符号を付した部分は上記の構成と同様の構成であり、説明を省略する。
図6において圧接アーム95をモータ81を取り付け可能な形状に構成し、モータ81を直接取り付ける。この構成では、圧接アーム95はモータ81、駆動軸86及び圧接コロ87aと一体となって揺動支点98a回りに揺動する。駆動軸86はモータ軸81aに固設し、又は、モータ軸81aを駆動軸86として形成してもよく、上記フレキシブルジョイント110を設けないので構成部品の削減ができ、コストダウンに有利である。
図7は、図6の構成の減速装置における駆動軸86とホイール85との当接部近傍の概略上面図であり、(a)は圧接コロ87a及び駆動軸86の回転軸とホイール85の回転軸とにスキュー角が生じ圧接アーム95の図中下側が左側に傾いている状態の概略上面図、(b)は圧接アーム95が揺動して平行度を自動的に矯正した概略上面図、(c)は圧接アーム95の図中下側が右側に傾いている状態の概略上面図である。
図7(a)において、回転駆動により駆動軸86に対して図中右方向に作用するスラスト力Rsにより、圧接アーム95はモータ81、駆動軸86及び圧接コロ87aと一体となって揺動支点98a回りに矢印Yr方向に揺動し、図7(b)に示すように、駆動軸86の回転軸とホイール85の回転軸との間でスキュー角がない平行度が良好な状態に自動的に矯正された状態で回転駆動を行う。
また、図7(c)において、回転駆動により駆動軸86に対して図中左方向に作用するスラスト力Rsにより、圧接アーム95はモータ81、駆動軸86及び圧接コロ87aと一体となって揺動支点98a回りに矢印Yl方向に揺動し、図7(b)に示すように、駆動軸86の回転軸とホイール85の回転軸との間でスキュー角がない平行度が良好な状態に自動的に矯正された状態で回転駆動を行う。
図8に、揺動可能に構成された押圧規制手段88の他の構成例を示す。この構成例では、軸支持ブラケット112を変形しにくい部材を用いる構成に代えて、可撓(かとう)性を有する平板状の部材を用いる構成としている。この構成では、装置の簡素化と低コストに有利である。平板状の軸支持ブラケット112としては、板バネ材として用いられるSPCC鋼板、りん青銅、SUS304−CSP等の金属材料により製造することができる。また、変形させたい部位の板厚を他の部位よりも薄くして可撓部位112bを形成しておいてもよい(図8(c)参照)。
図8(a)の概略正面図において、圧接アーム25の軸96は、一対の平板状の軸支持ブラケット112によって支持されており、圧接スプリング97の加圧力を支持する。平板状の軸支持ブラケット112は、図8(b)の概略上面図に示すように、矢印F方向に変形を許容するものであり、図8(c)の概略側面図に示すように、圧接アーム95は軸支持ブラケット112の変形により揺動が可能となる。上記軸96、軸支持ブラケット112及び長孔112aは軸調整揺動ガイド部120を構成する。
図9に、揺動可能に構成された押圧規制手段88の更に他の構成例を示す。この構成例では、圧接アーム95を支持する軸95を用いる構成に代えて、回転コロを用いて支持する構成となっている。圧接アーム95はネジ98が設けられた端部と反対側の端部の上面をフランジ113によって回転自在に支持された2個のコロ114によって圧接スプリング97の加圧力を支持するとともに、圧接アーム95の揺動支点98a回りの矢印Y方向の揺動を支持する。コロ114を用いることにより圧接アーム95の揺動がよりスムーズに行え、より小さなスラスト力Rsに反応して揺動し、駆動軸86の回転軸とホイール85の回転軸とより高精度な平行度を実現することができる。なお、コロ114の個数は、各コロの加圧方向の耐圧から任意に設定することができる。上記フランジ113とコロ114とは軸調整揺動ガイド部120を構成する。
上記図9の例はコロ114として球状のコロを用いているが、円筒状のコロを用いることもできる。
図10に、コロ114として球状のコロを用いる構成に代えて、円筒状のコロを用いる構成を示す。図10(a)の概略正面図において、フランジ114にはコロ114として円筒状コロ114bが配設されている。円筒状コロ114bは圧接アーム95と線接触するので球状のコロに比べて耐圧が高いものとなっている。また、図10(b)の概略上面図に示すように、円筒状コロ114の回転軸を揺動支点98aに向けて配設すると摺動抵抗の低減に有利である。
図11に、揺動可能に構成された押圧規制手段88の更に他の構成例を示す。この揺動手段では、ネジ98を揺動支点とする構成に代えて、圧接アーム95の図中右側を揺動支点にする構成となっている。この構成では、ホイール85を矢印B1方向に回転させる場合に有利である。
図11(a)の概略正面図において、フランジ113の先端部を半球状の凸部113aを設け、圧接アーム95にこの凸部113aと摺動嵌合可能な凹部95cを形成することで、圧接スプリング97の加圧力を支持する。また、図11(b)の概略上面図において、圧接アーム95はネジ98の貫通孔を長孔95dで形成してあるため、フランジ113の凸部113aの最先端部を揺動支点113bとして、ネジ98側(図中上側)が矢印Y方向に揺動可能となる。上記ネジ98と長孔95dとは軸調整揺動ガイド部121を構成する。なお、フランジ113の凸部113aと圧接アーム95の凹部95cとの間で良好な摺動が得られるように、これらの材質は摩擦係数が低く、耐摩耗性に優れた材料とすることが望ましい。具体的には、ポリアセタール、ナイロン、テフロン(登録商標)などをベースにした樹脂材料、含油焼結などの金属材料を用いることが好ましい。また、フランジ113に凹部を形成し。圧接アーム95に半球状の凸部を形成する構成でもよい。
図12に、揺動可能に構成された押圧規制手段88の更に他の構成例を示す。この押圧規制手段88では、規制部材として、圧接コロ87a、87aに代えて、駆動軸86を支持する支持部材87bを用いている。同図において単に符号を付した部分は上記の構成と同様の構成であり、説明を省略する。
支持部材87bは、駆動軸86との接点が、駆動軸86の、ホイール85に対向する側の周面とは逆側の周面において少なくとも生じるように、駆動軸86がホイール85に当接する側とは逆側から駆動軸86に当接し支持することで、駆動軸86をホイール85に当接するように支持した部材であり、駆動軸86を位置決めした状態で支持するために駆動軸86を受け入れ嵌合する窪みである嵌合部87b1を有している。
支持部材87bはバネ97による押圧力により駆動軸86をホイール85に加圧する加圧部材としても機能している。支持部材87bは、駆動軸86の回転に対し、嵌合部87b1において摺動するようになっている。そのため、支持部材87bの材質は、樹脂あるいは金属の、軸受の材料とすることが望ましい。具体的には、ポリアセタール、ナイロン、テフロン(登録商標)などをベースにした樹脂材料、含油焼結などの金属材料を用いることが好ましい。ここでの注意点は、支持部材87bが磨耗しても、駆動軸86がホイール85との接点における周面85aの接線方向に移動しないようにしっかりと固定されることが重要であることである。
図13に、嵌合部87b1の具体的な種々の形状を示す。
図13(a)は嵌合部87b1がU字型の溝として支持部材87bに形成されている支持部材87bの形状を示しており、この形状では、駆動軸86との接点を、面である接触面とし、比較的広く取ることが出来るため、磨耗に対して有利である。
図13(b)は嵌合部87b1がV字型の溝として支持部材87bに形成されている支持部材87bの形状を示しており、駆動軸86との接点は同図(a)に示した例よりも少ないが、磨耗しても駆動軸86の位置がしっかりと固定される点で有利である。
図13(c)は嵌合部87b1が多角形、具体的にはホームベース状の溝として支持部材87bに形成されている支持部材87bの形状を示しており、この形状では、駆動軸86との接点が同図(b)に示した例よりも多いため、各接点における面の接触圧が分散されるため、磨耗に対して有利である。
以上述べた各圧接手段88において、規制部材と駆動軸86との接点は、図3に示した構成のように、2箇所に限らず、図13(c)に示したように3箇所以上にしても良く、また図13(a)に示したようにかかる接点を面で構成することで3箇所以上にしても良い。また、接点は、図13に示した例においてもそうであるように、駆動軸86の回転中心とホイール85の回転中心とを結ぶ直線に対して対称な位置とすることが望ましい。
オイル貯め部材93は、駆動軸86とホイール85との間、並びに駆動軸86と圧接コロ87aもしくは支持部材87bとの間をオイル94により潤滑させた状態とする潤滑手段として機能する。駆動軸86、ホイール85、圧接コロ87a、支持部材87bは、高剛性、高耐久性、回転伝達の滑らかさを得るために、上述のように、焼入れ等の熱処理を施した金属材料等によって形成されている。そのため、これらの部材間には潤滑剤が必要であることから、オイル貯め部材93にオイル94を蓄え、ホイール85をこれに常時浸すとともに、ホイール85の回転により、ホイール85を介してオイル94をホイール85と駆動軸86との接点に供給し、また駆動軸86の回転により、駆動軸86を介してオイル94を駆動軸86と圧接コロ87aあるいは支持部材87bとの接点に供給している。
オイル94としては、一般的な工業用オイルを用いてもよいが、本形態では、摩擦伝達駆動用オイルとして知られた公知のトラクションオイルを用いている。トラクションオイルは、極圧状態でガラス化する傾向の潤滑剤であり、極圧下で摩擦係数を0.1程度に維持する。よってトラクションオイルは滑り開始トルクを高めることに優れており、駆動軸86とホイール85との間での摩擦による駆動伝達すなわち転がり摩擦による駆動伝達に適している。トラクションオイルを用いると、高圧力時の摩擦係数が通常のオイル使用時の摩擦係数に対し50%高まり、伝達可能なトルクも50%高まる。
ここで、伝達トルクと圧接力の関係について述べると、ホイール85として直径が60mmのものを用いて、1N・m(約10Kg・cm)のトルク伝達を行なう場合、駆動軸86とホイール85との圧接部では、1/0.03=33.3Nの摩擦力が必要となる。摩擦力は加圧力と摩擦係数μの積であるから、オイル94としてトラクションオイルを用いた場合の加圧力は33.3/0.1=333N(約33.3Kg)以上で伝達が出来ることになる。
このような構成の減速装置82における減速比について述べる。駆動軸86の軸径は、少ないトルクであれば直径1mm程度でホイール85を駆動するのに十分である。駆動軸86の軸径が直径1mmであるとき、減速比を1/20とすると、ホイール85の直径は20mmとなり、減速装置82が非常に小型となる。かりに、駆動軸86の軸径が直径4mmであるとしても、減速比が1/20のときのホイール85の直径は80mmに収まり、感光体ドラム20の相互間隔が100mm程度の場合は、それぞれの感光体ドラム20に対する減速装置82の配置スペースが十分に確保される。なお、感光体ドラム20の相互間隔については、感光体ドラム20の通常の直径が30mm〜60mmであり、それぞれの感光体ドラム20に上述のような現像手段やクリーニング手段等を設けることを考慮すると、かかる相互間隔は70mm〜100mmであることが一般的である。よって、駆動軸86の軸径を直径4mmとしても各感光体ドラム20に対する減速装置82の配置スペースが十分に確保されることが分かる。
以上のような構成の像担持体駆動装置80の動作を簡略に説明する。
駆動源であるモータ81が駆動されると、駆動軸86が回転する。駆動軸86は、押圧規制手段88によりホイール85に対しホイール85の円周方向、回転方向へのずれを規制された状態で圧接されるとともに、上記押圧規制手段88の揺動手段によりホイール85の回転軸に対する平行度が維持されながら、ホイール85に回転駆動力を伝達する。その回転駆動力によりホイール85は回転し、ベアリング90、90にて回転自在に支持されている出力軸84を回転させることにより、カップリング83を介して軸21が回転し、感光体ドラム20が回転する。また、ホイール85はオイル貯め部材93に貯められたオイル94により駆動伝達面である円周面85aが潤滑されている。出力軸84上に設けたエンコーダディスク91の回転をエンコーダセンサ92にて読取ることにより出力軸84の回転変動を検出し、モータ制御回路41はエンコーダセンサ92で検出した出力軸84の回転変動を打ち消すようにモータ81を駆動するフィードバック制御を行なう。
減速装置82では、歯車を用いていないため歯車に起因するバックラッシュが防止され、また押圧規制手段88によって駆動軸86とホイール85との間の摩擦が確保されるために駆動軸86自身とホイール85自身との位置調整によりこれらを互いに押圧する必要がなくこれらの回転変動が抑制されることで、回転ムラのない駆動伝達が行われる。また、押圧規制手段88を備えるものの、遊星ローラ機構を用いないため、装置の小型化が可能となっている。
図14、図15により、感光体ドラム20の回転ムラの発生状況を、歯車を用いた減速装置を使用した場合と本形態の減速装置82を使用した場合とで比較する。
図14は、歯車を用いた減速装置を使用した場合であって、一段減速の場合の回転ムラの発生状況を示しており、同図(a)は回転数の変動を時間軸で示す図、同図(b)は回転むらを周波数分析した図となっている。また、図15は、減速装置82を使用した場合の回転ムラの発生状況を示しており、同図(a)は回転数の変動を時間軸で示す図、同図(b)は回転むらを周波数分析した図となっている。
歯車減速の場合は、図14(a)から、歯ごとの振動が発生し、また、同図(b)から、周波数分析ではC:感光体軸一回転周期、D:モータ軸一回転周期、E:歯車の一歯周期の回転むら及びその高次周波数での変動が発生することがわかる。
これに対し、減速装置82を使用すると、図15(a)から、図14(b)においてEとして現れていた歯車の一歯周期の回転むらすなわち歯のピッチの回転変動が当然のことながら無くなり、また図15(b)から、C:感光体軸一回転周期、D:モータ軸一回転周期の回転むらも、低減されていることが分かる。これは、駆動軸86、ホイール85の真円度の向上やモータ81のロータによって発生するフライホイール効果等によって、もたらされたと考えられる。このように、減速装置82を使用すると、安定した駆動が得られる。
モータ81のロータによるフライホイール効果が発生する理由について説明する。
まず通常のフライホイールの効果について説明すると、フライホイールは一般に感光体ドラムのような被駆動部と一体回転するように構成されており、被駆動部の回転速度が変動しようとするときにはフライホイールも一緒にその回転速度が変動しようとすることとなるが、フライホイールの慣性モーメントはかかる変動に対するブレーキとして作用するように大きく設定されているため、被駆動部の回転速度の変動も抑制されることとなる。これが通常のフライホイール効果である。
次に、通常の歯車減速器の場合は歯車にはバックラッシュが必要であり、モータの回転は通常は正確に感光体等の被駆動部に伝達されるが、被駆動部に急に負荷が掛かったり、あるいは被駆動部が外力によって先送りされるような状態が発生したときにはバックラッシュによってモータと被駆動部の回転が離れてしまい、被駆動部自体がフリーに動く状態が発生するのが一般的である。従って歯車駆動ではモータのロータが持つ慣性モーメントがフライホイールとして働くことは無い。
これに対し、減速装置82では、歯車を用いておらず、駆動伝達部が摩擦により常時接触しているためバックラッシュは存在しない。よって被駆動部に外力が加わってその回転角が変動しようとする場合は減速比の逆数の増速比でモータ81のロータを回転させないと被駆動部の回転変動が起こらない。そこで、ロータの回転モーメントの大きさを見てみると、慣性モーメントは通常のフライホイールと比較して小さな値ではあるが、ロータが持つ慣性モーメントはモータの増速比の2乗倍した値となるため、モータの増速比が10倍では慣性モーメントは100倍に、増速比20倍では慣性モーメントに400倍に相当するため、ロータでも、通常の大型フライホイールと同等の効果が得られることとなる。なお、モータの回転が正確に制御され、回転むらが少ない状態で維持されることが条件となる。
以下、図16乃至図22に、本発明を適用可能な減速装置82の種々の変形例をそれぞれ示す。各変形例において、すでに説明した構成と同様の構成には同じ符号を付し、適宜説明を省略する。
図16に示す減速装置82について説明する。図3に示した減速装置82ではモータ81の支持態様が固定支持による不動の支持態様とされているのに対して、図16に示す減速装置82ではモータ81の支持態様が変位可能な支持態様となっている。具体的には、図3に示した減速装置82ではモータ81が不動体である駆動側板89bに固定支持されているのに対して、図16に示す減速装置82ではモータ81を支持する不動体である駆動側板89bに対しモータ81を変位可能に支持した変位手段44を有している。
変位手段44は後述するように種々の構成例があるが、いずれも、その配設目的は、駆動軸86、モータ軸81aの位置が、これらの直径の誤差や磨耗によって僅かに変動する可能性を考慮し、駆動軸86、モータ軸81aが本来の回転中心からずれて回転し、これらに曲げ応力が働いた場合に、変位手段44よってかかる応力を吸収するようにモータ81を変位させることで、駆動軸86、モータ軸81aの破損が生じたり、駆動軸86とホイール85との間の摩擦力に変動が生じたりすることを緩和し、ホイール85に対する駆動軸86の安定した圧接力を維持することである。
図16に示した変位手段44は、弾性部材としてのゴム44aを備えており、モータ81は、このゴム44aを介して駆動側板89bに支持され、駆動側板89bに対して変位可能となっている。ゴム44aはリング状をなしており、モータ81はこのゴム44aを駆動側板89bとの間に挟むようにして、図示しないねじによってねじ止めされている。なおモータ81の設置態様はこれに限らず、たとえばモータ81をゴム44aに接着しゴム44aを駆動側板89bに接着するようにしても良い。
変位手段44を有していることにより、上述の曲げ応力が働いた場合に、ゴム44aの弾性変形によってかかる応力を吸収するようにモータ81が変位し、これによって駆動軸86、モータ軸81aの破損が生じたり、駆動軸86とホイール85との間の摩擦力に変動が生じたりすることを緩和し、ホイール85に対する駆動軸86の安定した圧接力を維持する。
図17に示す減速装置82は、図3、図12に示した構成例と異なる構成の押圧規制手段88を備えている。具体的には、図17に示した押圧規制手段88は、規制部材として、図3に示した圧接コロ87a、図12に示した支持部材87bのような、駆動軸86に当接、摺接の態様で係合した規制部材ではなく、駆動軸86に嵌合した態様で係合し、駆動軸86を圧接アーム95に対して回転自在に支持した軸受87cを備えている。同図において、軸受87cは、駆動軸86の軸方向においてホイール85の両側で、いわゆる両持ちの態様で、駆動軸86を回転自在に支持している。
この構成では、両持ちの状態で駆動軸86を支持し、円周面85aに押圧するので、その軸方向の全体にわたって摩擦による駆動伝達の効率が向上する。また規制部材が駆動軸86に摺接することがないため、駆動軸86への負担が軽減されている。なお、駆動軸86は細い軸状の部材であるため、ホイール85との圧接によって生じる曲げモーメントによる撓みや破損を防止ないし軽減するために、軸受87c、87c相互間の間隔は可能な限り狭くすることが好ましい。軸受87cには通常の玉軸受、ニードル軸受等を用いることが可能である。
図18に示す減速装置82は、図17に示した軸受87cを用いた押圧規制手段88と、図16に示した変位手段44とを同時に有する構成例を示したものとなっており、かかる押圧規制手段88、変位手段44の機能が同時に発揮されるようになっている。
図19に示す減速装置82は、図17に示した軸受87cを用いた押圧規制手段88の別の構成例を示しており、この構成例の押圧規制手段88では、軸受87cは、駆動軸86の軸方向においてホイール85に対しモータ81本体とは逆側の片側で、いわゆる片持ちの態様で、駆動軸86を回転自在に支持している。
この構成では、図17に示した両持ちによる駆動軸86の支持態様に比して押圧規制手段88の小型化が可能となり、減速装置82、像担持体駆動装置80の小型化が可能となる。またこの構成では、片持ちであるため、両持ちである場合に比べて、駆動軸86の先端がモータ81本体を中心に矢印Dで示すように僅かに搖動可能となっている。そのため、上述の曲げ応力が働いた場合に、かかる応力がより吸収されやすく、駆動軸86、モータ軸81aの破損が生じたり、駆動軸86とホイール85との間の摩擦力に変動が生じたりすることをより緩和し、ホイール85に対する駆動軸86のより安定した圧接力が維持される。
なお、片持ちの態様は、図19に示したのと逆、すなわち、軸受87cは、駆動軸86の軸方向においてホイール85に対しモータ81本体側で駆動軸86を支持していても良いが、図19に示した態様で片持ちのほうが、上述の曲げ応力への対応が良好である。
図20に示す減速装置82は、図19に示した軸受87cを用いた押圧規制手段88と、図16に示した変位手段44とを同時に有する構成例を示したものとなっており、かかる押圧規制手段88、変位手段44の機能が同時に発揮されるようになっている。
図21に示す減速装置82は、図20に示した減速装置82と比べて、変位手段44が、ゴム44aを備えていることに加え、押圧規制手段88が駆動軸86をホイール85に押圧する、図中下方である第1の方向E1にモータ81を付勢する付勢部材としてのバネ44bと、このバネ44bを支持したブラケット44cとを備えている構成例を示している。
モータ81は、ゴム44aにより、第1の方向E1に弾性的に変位可能となっているため、バネ44bによって第1の方向E1に加圧することで、ホイール85の軸方向に対する駆動軸86の軸方向の平行度を向上した状態で駆動軸86が円周面85aに圧接される。平行度の向上のため、バネ44bによる付勢力は、駆動部86とホイール85との接点を中心にバネ97による付勢力の回転モーメントに釣り合う回転モーメントを生じさせる大きさとされている。なお、バネ44bは、駆動軸86をホイール85に押圧する機能を有するため押圧規制手段88に備えられた付勢部材であるともいえる。
図22に示す減速装置82は、図21に示した減速装置82と比べて、変位手段44が、ゴム44aを備えておらず、その一方で、バネ44b、ブラケット44cを備えていることに加え、図中上方であり第1の方向E1と逆の第2の方向E2にモータ81を付勢する付勢部材としてのバネ44dと、このバネ44dを支持したブラケット44eとを備えている構成例を示している。
モータ81は第1の方向E1、第2の方向E2においては、バネ44b、44dのみによって支持されており、バネ44dは、モータ81を下方から支持するために配設されている。バネ44bがモータ81を第1の方向E1に付勢する付勢力はバネ44dがモータ81を第2の方向E2に付勢する付勢力よりも大きく、これら付勢力の合力は、図21に示した変位手段44におけるバネ44bがモータ81を第1の方向E1に付勢する付勢力と等しくなっている。このような構成でもホイール85の軸方向に対する駆動軸86の軸方向との平行度を向上した状態で駆動軸86が円周面85aに圧接される。この場合も、バネ44bは、駆動軸86をホイール85に押圧する機能を有するため押圧規制手段88に備えられた付勢部材であるともいえる。
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
たとえば、押圧規制手段は、従動部材と軸受との何れか一方のみでなく、これらの双方を備えていてもよい。変位手段は、第2の付勢部材を有する場合にも、弾性部材を備えていてもよい。
また、本発明は、中間転写体上に順次、各色のトナー像を重ね合わせて転写し、重ね合わされたトナー像を一括して記録媒体に転写するいわゆる中間転写方式の画像形成装置にも適用可能である。本発明は、1つの感光体ドラム上に順次各色のトナー像を形成して各色トナー像を順次重ね合わせてカラー画像を得るいわゆる1ドラム方式の画像形成装置にも適用可能である。本発明は、モノクロのみの画像形成が可能な画像形成装置にも適用可能である。
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
以上、本実施形態によれば、駆動源としてのモータ81によって回転駆動される駆動軸86に回転軸方向の力が発生したとき、その駆動軸86を駆動伝達部材としてのホイール85側に押圧する押圧規制手段88が揺動することにより、駆動軸86の回転軸とホイール85の回転軸との平行になるように両回転軸の平行度が自動矯正される。しかも、上記押圧規制手段88を揺動させるための機構は、上記両回転軸の平行にするために押圧規制手段88の構成部品の精度を高めたり組立精度を高めたりする場合に比してより低コストで製造することができる。よって、製造コストの増加を抑制するとともに、摩擦による駆動伝達を行う部材の回転軸方向のずれを抑え、回転速度の変動をより確実に抑制しつつ駆動伝達を行うことができる。
また、上記実施形態によれば、押圧規制手段88の揺動の支点を有する軸調整揺動支点部111と、押圧規制手段88の揺動をガイドする軸調整揺動ガイド部120とを備え、軸調整揺動支点部111は、駆動軸86の設置位置から、その駆動軸86の回転時に駆動軸86が駆動伝達部材としてのホイール85から受ける反力の向きに離れた位置に設けられている。これにより、駆動軸86の回転時に駆動軸86に作用する回転軸方向への力に応じて、軸調整揺動支点部111の支点を中心に、圧力規制手段88が軸調整揺動ガイド部120でガイドされてキャスターのように揺動し、駆動軸86の回転軸がホイール85の回転軸との平行度を維持するように自動的に矯正される。
また、上記実施形態によれば、押圧規制手段88は駆動源としてのモータ81を保持していることにより、押圧規制手段88と駆動軸86に連結されるモータ81とが一体的に揺動するので、上記ホイール85の回転軸に対する駆動軸86の回転軸の平行度の自動矯正がモータ81によって阻害されることがない。
また、上記実施形態によれば、駆動軸86は、カップリングとしてのフレキシブルジョイント110を介して駆動源としてのモータ81から駆動伝達されることにより、上記駆動軸86の回転軸の自動矯正が行われるときフレキシブルジョイント110のところで駆動軸86の回転軸とモータ81の出力軸とが傾くことができるので、上記ホイール85の回転軸に対する駆動軸86の回転軸の平行度の自動矯正がモータ81によって阻害されることがない。
また、上記実施形態によれば、軸調整揺動支点部111は、駆動軸86を駆動伝達部材としてのホイール85の回転中心に向けて押圧するための加圧部材としてのバネ97を有し、軸調整揺動ガイド部120は、駆動軸86の押圧のための押圧規制手段88の押圧揺動の支点となる押圧揺動支点部材としての軸96と、軸96を回転可能に支持する支持部材としての軸支時ブラケット112とを有する。これにより、駆動軸86を押圧するための押圧揺動機構と、上記駆動軸86の回転軸がホイール85の回転軸との平行度を維持するように自動的に矯正するための軸調整揺動機構とを一体的に構成することができるので、製造コストの増加を更に抑制することができる。
また、上記実施形態によれば、軸支持ブラケット112が、上記押圧規制手段88の軸調整揺動時に押圧揺動支点部材としての軸96が移動可能に係合する長孔112aが形成されているので、軸96が長孔112aに回転又は摺動しながら嵌合支持され、上記押圧規制手段88の軸調整揺動をスムーズに行うことができる。
また、上記実施形態によれば、軸支持ブラケット112を、押圧揺動手段88の軸調整揺動に応じて変形可能に構成することにより、その揺動に伴う軸支持ブラケット112と軸96との摺動を低減でき、部品の長寿命化を図ることができる。
また、上記実施形態によれば、上記押圧揺動支点部材がコロ114であり、そのコロ114を支持するように軸支持ブラケット112を構成することにより、圧接アーム95との接触部で転がり接触し摺動摩擦を低減できる
また、上記実施形態によれば、上記コロとして球体コロ114又は円筒コロ114bを用いることにより、安価な市販品を用いて構成することができ、製造コストの増加を更に抑制することができる。
また、上記実施形態によれば、軸調整揺動ガイド部121を、駆動軸86を駆動伝達部材としてのホイール85の回転中心に向けて押圧するための加圧部材としてのバネ97と、そのバネ97を支持する加圧支持部材としてのネジ98と、そのネジ98と係合する係合部とを有するように構成し、軸調整揺動支点部111を、駆動軸86の押圧のための押圧規制手段88の揺動の支点となる押圧揺動支点部材としての半球状の凸部113aを有するフランジ113と、そのフランジ113の凸部113aを回転可能に受けて支持する支持部としての凹部95cとを有するように構成することにより、駆動軸86の回転方向が逆の場合であっても、駆動軸86がキャスターのようにホイール85に追従し、駆動軸86の回転軸がホイール85の回転軸との平行度を維持するように自動的に矯正することができる。
また、上記実施形態によれば、前記係合部に、押圧規制手段88の軸調整揺動時に加圧支持部材としてのバネ97が移動可能に係合する長孔95dを形成することにより、簡易な構成で圧接アーム95が揺動支点113bを支点にして揺動できる。
また、上記実施形態によれば、前記規制部材としての圧接コロ87aは、ホイール85円周面に対向する位置に設けられ、この位置において駆動軸86を規制しており、圧接コロ87aと駆動軸86との接点を、駆動軸86のイール85に対向する側の周面とは逆側の周面に少なくとも2箇所有することにより、圧接コロ87aにより駆動軸86を撓ませることなくホイール85の円周面の全幅にわたって当接させ駆動軸86の位置決めを良好に行い摩擦による滑らかな駆動伝達を用いながら回転速度の変動を抑制しつつ確実に駆動伝達を行うことができるとともに、歯車に比べて高減速比で小型とすることが可能であり、またモータのロータをフライホイールとして機能させ回転変動を抑制することが可能な減速装置を提供することができる。
また、上記実施形態によれば、前記接点の位置は、同接点において押圧規制手段88としての圧接コロ87aが駆動軸86をホイール85の円周面に向けて押圧する力の合力が、駆動軸86がホイール85の回転中心に向かう方向とする位置であることにより、かかる接点を形成する圧接コロ87aにより駆動軸86の位置決めをより良好に行うことができる。
また、上記実施形態によれば、前記接点の位置は、駆動軸86の回転中心とホイール85の回転中心とを結ぶ直線に対して対称な位置であることにより、かかる接点を形成する圧接コロ87aにより駆動軸86の位置ずれを高度に抑制し位置決めを良好に行うことができる。
また、上記実施形態によれば、前記圧接コロ87aは駆動軸86に当接し駆動軸86に従動回転可能な2つの圧接コロ87aであることにより、2つの圧接コロ87aによって駆動軸86の磨耗を抑制することができる。
また、上記実施形態によれば、前記2つの圧接コロ87aは玉軸受又はコロ軸受であることにより、回転の良好な2つの圧接コロ87aにより駆動軸86の磨耗を更に抑制することができる。
また、上記実施形態によれば、前記規制部材としての支持部材87bは、略U型又は略V型又は多角形型の窪み87b1を有し、この窪み87b1において前記駆動軸86に当接することにより、比較的簡易な構成の規制部材により駆動軸86の位置決めを容易に良好に行うことができる。
また、上記実施形態によれば、前記規制部材は、駆動軸86を、この駆動軸86の軸方向においてホイール85の両側で回転自在に支持した軸受87cであることにより、、かかる軸受87cによって回転自在かつ高い位置決め精度で支持された駆動軸86により、高い効率での摩擦による滑らかな駆動伝達を用いうことができる。
また、上記実施形態によれば、前記規制部材は、駆動軸86を、この駆動軸86の軸方向においてホイール85に対し駆動源としてのモータ81とは逆側において回転自在に支持した軸受87cであることにより、かかる軸受87cによって回転自在かつ比較的簡易な構成で支持された駆動軸86により、摩擦による滑らかな駆動伝達を用いうことができる。
また、上記実施形態において、駆動軸86はその根元部に軸径を細めた可撓部としてのU字状の溝を有するように構成してもよい。この場合は、駆動軸86の撓みにより駆動軸86とホイール85との当接を良好に行うことができる。
また、上記実施形態によれば、駆動源としてのモータ81を支持するための不動体89に対し、モータ81を変位可能に支持した変位手段を有することにより、変位手段によってホイール85との当接により駆動軸86が撓むことを抑制しつつ、ホイール85との当接を良好に行うことができる。
また、上記実施形態によれば、前記変位手段が、前記駆動源81を前記不動体89に対し変位可能に支持した弾性部材44aを有することにより、弾性部材44aによってホイール85との当接により駆動軸86が撓むことを抑制しつつ、ホイール85との当接を良好に行うことができるうことができる。
また、上記実施形態によれば、前記変位手段は、押圧規制手段88が駆動軸86をホイール85に押圧する第1の方向に、駆動源としてのモータ81を付勢する付勢部材44bを有することにより、付勢部材44bによって駆動軸86、ホイール85それぞれの回転中心軸の互いの平行度を向上することが可能となる。
また、上記実施形態によれば、前記付勢部材は、駆動源としてのモータ81を第1の方向に付勢するための第1の付勢部材44bと、モータ81を第1の方向とは逆の第2の方向に付勢するための第2の付勢部材44dとを有し、第1の付勢部材44bがモータ81を第1の方向に付勢する付勢力は第2の付勢部材44dがモータ81を第2の方向に付勢する付勢力よりも大きくなるように構成することにより、第1、第2の付勢部材44b、44dによってモータ81を支持しながら駆動軸86、ホイール85それぞれの回転中心軸の互いの平行度を向上することが可能となる。
また、上記実施形態によれば、駆動軸86及びホイール85が金属製であり、駆動軸86とホイール85の円周面との間を潤滑剤により潤滑させた状態とする潤滑手段を有することにより、駆動軸86及びホイール85の変形、磨耗を抑制することができる。
また、上記実施形態によれば、前記潤滑剤としてトラクションオイルを用いることにより、駆動軸86とホイール85との摩擦係数を高めつつこれらの磨耗を抑制することができる。
また、上記実施形態によれば、ホイール85の回転速度を検出する回転速度検出手段としてのエンコーダセンサ92と、このエンコーダセンサ92が検知する前記回転速度を一定に保つように駆動軸86の回転速度を制御する回転速度制御手段としてのモータ制御回路41とを有することにより、摩擦による滑らかな駆動伝達を用いながらホイール85の回転速度を一定に保つように制御を行うことができる。
また、本発明は、かかる減速装置82と、前記駆動軸86を有する前記駆動源81とを有し、前記ホイール85を介して前記駆動源81の駆動力により像担持体としての感光体ドラム20を回転駆動する像担持体駆動装置80にあるので、摩擦による滑らかな駆動伝達を用いながら回転速度の変動を抑制しつつ確実に駆動伝達を行うことができるとともに、歯車に比べて高減速比で小型とすることが可能であり、またモータのロータをフライホイールとして機能させ回転変動を抑制することが可能な減速装置82により、駆動源81の回転速度を高度に一定の状態で減速して感光体ドラム20を駆動することで、感光体ドラム20を高い精度で一定速度で駆動することができ、良好な画像形成に寄与することができる像担持体駆動装置80を提供することができる。
また、本発明は、かかる像担持体駆動装置80と、この像担持体駆動装置80によって回転駆動される感光体ドラム20とを有する画像形成装置100にあるので、摩擦による滑らかな駆動伝達を用いながら回転速度の変動を抑制しつつ確実に駆動伝達を行うことができるとともに、歯車に比べて高減速比で小型とすることが可能であり、またモータのロータをフライホイールとして機能させ回転変動を抑制することが可能な減速装置82を備えた像担持体駆動装置80により、駆動源81の回転速度を高度に一定の状態で減速して感光体ドラム20を高い精度で一定速度で駆動することができ、良好な画像形成を行うことができる画像形成装置100を提供することができる。