JP5233616B2 - 回転ホイール式連続押出装置及び金属押出材の製造方法 - Google Patents
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Description
一般的に回転ホイール式連続押出装置は、回転ホイールの外周面に形成された溝の一部をシュー及びフィードプレートの各内周面で覆って形成した素材案内通路と、この素材案内通路の下流端を塞ぐように溝内に突設されたアバットメントと、フィードプレートに形成されて素材案内通路の下流端に開口する素材案内孔と、回転ホイールとの間にフィードプレートを挟むように配置されたダイスに形成されて素材案内孔に連通する成形孔とを備えている。
外木達也、外2名、「回転式連続押出法による銅異形材加工技術」、銅と銅合金、日本伸銅協会、2005年8月、第44巻、第1号、p.128−131
なお、この品質低下を回避するために、ダイスの成形孔の形状に合わせてフィードプレートを個別に製造することも考えられるが、フィードプレートは高価で難削性のニッケル基耐熱合金によって製作されているため、金属押出材の製造コストが高くなってしまう。
また、様々な形状の成形孔に対応するようにアタッチメントを製作・交換すればよいため、高価なフィードプレートを交換することなく様々な形状の金属押出材の製造が可能となる。したがって、金属押出材の製造コストの増加を抑制することができる。
このようにアタッチメントをフィードプレート内に収容することで、フィードプレートとダイスとの間にアタッチメントを取り付ける領域を確保する必要がなくなるため、回転ホイール式連続押出装置をコンパクトに構成して、その小型化を図ることができる。
また、アタッチメントの容積を小さく抑えることができるため、アタッチメントの製造に使用する材料を削減して、金属押出材の製造コスト削減をさらに図ることができる。
すなわち、押出用素材は、素材案内通路の下流端から素材案内孔に入り込む際に300℃程度に加熱されるが、上述の熱間工具鋼でアタッチメントを形成することで、金属押出材の製造に対して十分な耐熱強度を確保できる。また、熱間工具鋼はニッケル基耐熱合金よりも安価で加工しやすいため、金属押出材の製造コストをさらに削減できる。尚、アタッチメントの前記硬度は、アタッチメント素材の焼き戻し処理を前述の温度範囲内において行った後、ロックウェル硬度計を用いて測定すればよい。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る回転ホイール式連続押出装置1には、回転軸線Cを中心とし矢印A方向に回転駆動可能な回転ホイール10が設けられている。回転ホイール10の外周面には、その周方向にわたって、押出加工されるワイヤー状の押出用素材Wを案内するための溝11が設けられている。押出用素材Wは、この溝11内に配置され、該回転ホイール10の回転駆動と、該溝11と押出用素材Wとの摩擦力とによってこの回転ホイール10に牽引されてA方向に送られていくように構成されている。
略矩形板状に形成されたシュー14は、回転ホイール10の周方向の所定の長さ範囲にわたってハウジング13にて位置決め状態に保持されている。このシュー14は、回転ホイール10の外周面に摺接して、この外周面に対する溝11の開口を塞ぐように配置されている。回転ホイール10に摺接するシュー14の内周面14aは、回転ホイール10の外周面に対してその周方向に沿って所定長さだけ摺接するように曲面状に形成されている。
したがって、これら溝11、シュー14の内周面14a及びフィードプレート15の内周面15aによって、押出用素材Wを回転ホイール10の溝11内に配した状態でA方向に案内する素材案内通路16が形成されている。
このアバットメント17は、図2,3に示すように、素材案内通路16の下流端を塞ぐように溝11内に突出して該溝11の内面と若干の間隙を空けて配置され、素材案内通路16の下流端において溝11の内面付近を除く中央部分で押出用素材Wを堰き止めるよう構成されている。
そこで、これらのバリを除去するためアバットメント17のさらに回転方向下流側には、図1に示すようにスクレーパー18が設けられている。このスクレーパー18は、その鋭利な先端部分を溝11の内面及び前記回転ホイール10の外周面に摺接可能に形状を成形されており、付着したバリを削り取るよう構成されている。
また、フィードプレート15には、その内周面15aと反対側の面15b(以下「外面15b」と呼ぶ)から窪む有底の収容穴20が形成されており、素材案内孔19はこの収容穴20の底面20aに開口している。E方向に直交する収容穴20の断面は、素材案内孔19とフィードプレート15の内周面15aの縦幅方向(F方向)に等しく、また、素材案内孔19よりも上記内周面15aの横幅方向(G方向)に長い扁平な矩形形状となっている。
ここで、一対の拡幅テーパ面22は、E方向に沿う貫通孔21の中途部分から収容穴20の底面20aまで形成されているため、フィードプレート15の内周面15aに対する素材案内孔19の開口部分は、貫通孔21の断面形状に等しい形状に形成されている。
以上のことから、素材案内孔19の断面形状は、フィードプレート15の内周面15aに対する開口部分と、収容穴20の底面20aに対する開口部分とで相互に異なる。
ダイス25は、回転ホイール10との間にフィードプレート15を挟むように配置されている。ダイス25には、素材案内孔19に対応する位置からE方向に貫通する成形孔27が形成されており、押出用素材Wがこの成形孔27を通ることにより所望の断面形状を有する金属押出材Sへと成形され、E方向へ送出されるよう構成されている。そして、E方向に直交する成形孔27の断面は、フィードプレート15の貫通孔21の断面形状と比較してG方向に長く、さらに、G方向に直交する縦幅方向(F方向)に短い扁平な矩形形状に形成されており、これにより、成形孔27を通過して成形される金属押出材Sは平板形状を呈することになる。
ここで、素材案内孔19に対向する孔部32の上流側開口部32aの断面は、略十字形状の素材案内孔19の断面を含むように略矩形状に形成されている。具体的に、上流側開口部32aの断面形状は、フィードプレート15の貫通孔21や収容穴20の縦幅方向に等しく、かつ、収容穴20の底面20aにおける一対の拡幅テーパ面22の横幅寸法と等しくなるように形成されている。また、成形孔27に対向する孔部32の下流側開口部32bの断面は、成形孔27の断面形状に一致するように形成されている。
以上のように構成されるアタッチメント31は、フィードプレート15との間、及び、ダイス25との間に隙間が生じないようにバックアップリング26を介して押し付け状態で固定されている。
図1,2において、ワイヤー状の押出用素材Wは、A方向に回転駆動される回転ホイール10の溝11にコイニングロール12によって押し付けられる。この押出用素材Wは、回転ホイール10の回転駆動に伴う押出用素材Wと溝11との間の摩擦力により牽引されて、素材案内通路16に送り込まれる。この素材案内通路16の回転方向下流端はアバットメント17により堰き止められており、送り込まれる押出用素材Wによりその通路内が高圧化されている。そして、押出用素材Wは摩擦・変形加熱による塑性変形を受けながらフィードプレート15の素材案内孔19へと圧入されていき、アタッチメント31の孔部32を通過してダイス25の成形孔27からE方向へと押し出されることで、成形孔27の形状に対応する平板状の金属押出材Sへと成形される。
ここで、押出用素材Wは、素材案内通路16の下流端から素材案内孔19に入り込む際に300℃程度に加熱されるが、前述したように、アタッチメント31は焼き戻し温度が550℃以上700℃以下であり、この温度以下では十分な耐熱強度を有しているため、金属押出材Sの製造に対して十分な耐熱強度を確保できる。
また、孔部32の内面を先細テーパ面33により構成することで、孔部32の上流側開口部32aから下流側開口部32bに到達するまでの間に段差部分がなくなるため、押出用素材Wが上流側開口部32aから下流側開口部32bに到達するまでの間に堰き止められることを防止できる。
そして、押出用素材Wは、拡幅テーパ面22を有する素材案内孔19において、孔部32に向かうにしたがい、G方向に漸次広げられるように変形する。その後、先細テーパ面33を有する孔部32において、成形孔27に向かうにしたがい、F方向に漸次狭められるように変形する。すなわち、押出用素材Wは、素材案内孔19及び孔部32を通過する際に、フィードプレート15の内周面15aに対する素材案内孔19の開口部分における断面形状から成形孔27における断面形状まで連続的に変形することになる。
押出用素材Wは素材案内孔19に圧入された後から成形孔27から押し出されるまでの間に堰き止められないため、デッドメタルの発生を抑制でき、金属押出材Sの品質低下を防止することができる。
また、金属押出材Sの品質低下を防止するアタッチメント31はフィードプレート15に対して着脱可能に取り付けられるため、上述した断面形状の成形孔27に限らず、様々な形状の成形孔27に対応するようにアタッチメント31を製作・交換すればよい。したがって、高価なフィードプレート15を交換することなく様々な断面形状の金属押出材Sの製造が可能となり、結果として、金属押出材Sの製造コストの増加を抑制することができる。
また、アタッチメント31をフィードプレート15内に収容することで、フィードプレート15とダイス25との間にアタッチメント31を取り付ける領域を確保する必要がなくなるため、回転ホイール式連続押出装置1をコンパクトに構成して、その小型化を図ることができる。
10 回転ホイール
11 溝
14 シュー
14a 内周面
15 フィードプレート
15a 内周面
16 素材案内通路
17 アバットメント
19 素材案内孔
20 収容穴
20a 底面
25 ダイス
27 成形孔
31 アタッチメント
32 孔部
32a 上流側開口部
32b 下流側開口部
33 先細テーパ面
Claims (3)
- 回転ホイールの外周面に形成された溝の一部をシュー及びフィードプレートの各内周面で覆って形成した素材案内通路と、前記素材案内通路の下流端を塞ぐように前記溝内に突設されたアバットメントと、前記フィードプレートに形成されて前記素材案内通路の下流端に開口する素材案内孔と、前記フィードプレートの内周面と反対側の外面側に配置されて前記素材案内孔に連通される成形孔を形成したダイスとを備えた回転ホイール式連続押出装置において、
前記フィードプレートには、その前記外面から窪む有底の収容穴が形成され、前記収容穴には、前記素材案内孔と前記成形孔とを連通する孔部を形成したアタッチメントが収容されるとともに、前記アタッチメントは前記収容穴に着脱自在に取り付けられており、
前記素材案内孔は、貫通孔と、前記貫通孔の内面から窪むように形成され、前記収容穴の底面に向かうにしたがい漸次広がる一対の拡幅テーパ面とを有しており、
前記アタッチメントの前記素材案内孔に対向する前記孔部の上流側開口部の断面形状は、少なくとも前記素材案内孔以上の大きさに形成され、かつ、前記成形孔に対向する前記孔部の下流側開口部の断面形状は、前記成形孔と略一致するように形成され、
前記孔部の内面は、前記上流側開口部と前記下流側開口部とを滑らかに接続するテーパ面を有することを特徴とする回転ホイール式連続押出装置。 - 前記アタッチメントが、焼き戻し温度が550℃以上700℃以下で、HRC50以上の硬度を有する熱間工具鋼からなることを特徴とする請求項1に記載の回転ホイール式連続押出装置。
- 請求項1又は請求項2に記載の回転ホイール式連続押出装置を用いた金属押出材の製造方法であって、
金属材料からなる押出用素材を前記素材案内通路の下流端側から前記フィードプレートの素材案内孔に圧入し、前記アタッチメントの孔部を通過させて前記ダイスの成形孔から押し出すことで、前記成形孔に対応する断面形状に成形することを特徴とする金属押出材の製造方法。
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