JP5232546B2 - マットレス装置 - Google Patents

Description

この発明はスプリングユニットの上下面に弾性部材を設け、これらの積層体を外装体によって被覆して構成されるマットレス装置に関する。

一般に、マットレス装置はスプリングユニットを有する。このスプリングユニットはコイルスプリングを行列状に配置してヘリカル線で連結し、上下面の周縁部に枠線を取付けた構造、或いは１本の線材で複数のコイル部を一列に連続して形成した複数のばね体を並設し、これらばね体をヘリカル線で連結し、複数のばね体がなす上面と下面の周縁に枠線を連結した構造などが知られている。

上記スプリングユニットの上下面にはウレタンフォームなどによって形成されたシート状の弾性部材が積層され、この積層体は外装体によって被覆される。外装体は、弾性部材を被覆した上下一対の鏡地及びスプリングユニットの外周面を被覆したまち地からなり、このまち地の上下端が上記鏡地の周縁部に縫合されている。

このような構成のマットレス装置を利用して利用者が就寝すると、そのスプリングユニットの内部空間や弾性部材に利用者の身体からの湿気や空気中に含まれる湿気がこもり、カビの発生を招くということがある。

さらに、スプリングユニットの上下面にはウレタンフォームなどによって作られた弾性部材がスプリングユニットと擦れて損傷するのを防止するため、圧縮綿やサイザルなどの保護材を介して上記弾性部材が積層される。

そのため、保護材と弾性部材が擦れたり、保護材とスプリングユニットが擦れて塵埃が発生し、その塵埃が弾性部材の内部に溜まるということがある。さらに、大気中の塵埃が外装体を通って内部に入り込み、弾性部材の内部に溜まるということもある。

弾性部材が塵埃を含んだ状態で、利用者がマットレス装置に横たわったり、寝返りを打つなどして弾性部材が圧縮されると、その内部に含まれた塵埃が外装体を通って外部に出てきて好ましくないということがある。

特許文献１では敷き布団（マットレス装置）の長手方向一方から空気又は温風を吸入させ、他方から湿った空気を排出することが示されている。
実開昭５５−１２０３５２号公報

特許文献１に示されるように、マットレス装置の長手方向の一方から空気又は温風を吸入させ、他方から湿った空気を排出することで、マットレス装置の内部の湿気を除去することが可能である。

しかしながら、マットレス装置の長手方向一方から空気又は温風を吸入させ、他方から排出させるだけでは、空気又は温風の大部分はマットレス装置の内部を単に通過するだけとなってしまう。

そのため、スプリングユニットの上下面に弾性部材が積層された構造のマットレス装置の場合、弾性部材の内部に含まれた湿気を短時間で確実に除去することができないということがあるばかりか、弾性部材の内部に溜まった塵埃はほとんど除去することができないということがある。

この発明は、スプリングユニットの内部は勿論のこと、スプリングユニットに積層された弾性部材の内部の湿気や塵埃を確実に、しかも比較的短い時間で除去することができるようにしたマットレス装置を提供することにある。

この発明は、スプリングユニットと、
通気性を有する材料によって形成されて上記スプリングユニットの上下面に設けられた弾性部材と、
上記弾性部材よりも通気抵抗の高い材料によって形成されて上記スプリングユニットの外周面を被覆したまち地及びこのまち地よりも通気抵抗の低い材料によって形成されて上記弾性部材を被覆した上下一対の鏡地を有し、この鏡地の周縁部が上記まち地の上下端に縫合された外装体と、
この外装体の上記まち地に形成された接続部に着脱可能に接続され上記外装体によって被覆された上記スプリングユニットの内部空間に吸引力を作用させて上記上下一対の鏡地から上記弾性部材を介して外気を吸引して排出する吸引手段を具備し、
上記弾性部材はシート状のウレタンフォームであって、このウレタンフォームは表面のスキン層が除去されて通気性を備えていることを特徴とするマットレス装置にある。

上記接続部はファスナによって開閉可能に形成されていることが好ましい。

上記まち地は布地の内面に樹脂フィルムがラミネートされていることが好ましい。

この発明によれば、まち地に形成された接続部に接続された吸引手段を作動させると、外気は通気抵抗の高いまち地からは内部にほとんど吸引されず、通気抵抗の低い鏡地から弾性部材を通って内部に吸引されて排出される。

そのため、吸引手段の吸引力によって生じる外気の流れのほとんどは鏡地から弾性部材を通って内部に吸引されて排出されるから、その外気の流れによって弾性部材に含まれた湿気や塵埃を確実に、しかも良好に除去することが可能となる。

以下、この発明の一実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図１はベッド装置１を示す。このベッド装置１は基台２を有し、この基台２の長手方向一端にヘッドボード３が立設されていて、上記基台２の上面にはマットレス装置４が載置されている。

上記マットレス装置４は、図２乃至図４に示すスプリングユニット７を有する。このスプリングユニット７は並設された複数のばね体８によって構成されている。上記ばね体８は、図４に示すように１本の線材によって複数のコイル部９及び隣り合うコイル部９の上端を上部連結杆部１１で連結し、下端を下部連結杆部１２で連結して形成されている。

並設された複数のばね体８は、それらの上下端面を並設方向と交差する方向に設けられたヘリカル線１３によって連結され、上下面の外周縁には図２と図３に示すように枠線１６がクリップ１６ａによって取付けられている。

図２に示すように、上記構成のスプリングユニット７の上下面には圧縮綿やサイザルなどの保護材１４が積層され、これら保護材１４にはシート状の弾性部材１５が重合されている。弾性部材１５はたとえばウレタンフォームなどによって成形されている。この弾性部材１５は、成形時に表面に形成されるスキン層が除去されている。それによって、弾性部材１５は通気性を備えている。弾性部材１５の通気性は成形時の発泡度合に応じて設定することができる。

上記スプリングユニット７、保護材１４及び弾性部材１５の積層体は外装体１７によって被覆されている。この外装体１７は上記スプリングユニット７の外周面を被覆したまち地１８及び上下一対の弾性部材１５をそれぞれ被覆した鏡地１９を有する。一対の鏡地１９の周縁部は上記まち地１８の上下端にテープエッジ２１によって縫合されている。

上記まち地１８は上記弾性部材１５よりも通気抵抗の高い材料によって形成されている。たとえば、図６に示すように布地１８ａの内面に樹脂フィルム１８ｂをラミネートすることで、上記弾性部材１５よりも通気抵抗が高くなる状態、つまりほとんど通気性のない状態に形成されている。

上記鏡地１９は上記まち地１８のように樹脂フィルム１８ｂがラミネートされていない布地によって形成されている。それによって、上記鏡地１９は上記まち地１８よりも通気抵抗が低くなっている。つまり、十分な通気性を備えている。なお、鏡地１９の通気性を向上させるため、鏡地１９を比較的硬質な繊維を立体状に編成した布地を用いるようにしてもよい。

図１と図５に示すように、上記マットレス装置４の長手方向の一端面、つまり上記ヘッドボード３と反対側の端面にはまち地１８を上下方向に開口した接続部２２が形成されている。つまり、接続部２２はマットレス装置４の内部空間と外部を連通している。上記まち地１８の内面の上記接続部２２に対応する部分には、布地を縫合した筒状の差込口２２ａ（図２に破線で示す）が上記まち地１８と一体的に設けられている。

上記まち地１８の上記接続部２２を形成するために切断された箇所にはファスナ２３が設けられている。それによって、上記接続部２２は上記ファスナ２３によって開閉することができるようになっている。

上記接続部２２から上記差込口２２ａには図１に示す吸引手段としての掃除機２４に一端が接続された蛇腹状の吸引ホース２５の他端が挿入保持される。上記掃除機２４を作動させると、上記マットレス装置４の内部空間が上記吸引ホース２５を通じて吸引されるようになっている。

上記構成のマットレス装置４によれば、まち地１８は通気抵抗の高い材料によって形成され、鏡地１９はまち地１８よりも通気抵抗の低い材料によって形成されている。そのため、上記掃除機２４によってマットレス装置４の内部空間が吸引されると、その吸引力によって鏡地１９から通気性を備えた弾性部材１５を通じて外気が吸引されるものの、まち地１８は通気性がほとんどないから、まち地１８を通じて外気がマットレス装置４の内部に吸引されるということがない。

すなわち、上記吸引ホース２５を介して上記掃除機２４の吸引力がマットレス装置４の内部空間に作用すると、その吸引力のほとんどが鏡地１９及び弾性部材１５を通じて外気を吸引する吸引力として作用する。つまり、マットレス装置４の内部空間には鏡地１９及び弾性部材１５を通じて外気が吸引され、まち地１８からはほとんど外気が吸引されるということがない。

掃除機２４を作動させたときに外気がマットレス装置４の内部に吸引されて外部に輩出される状態を図２に矢印Ａで示す。
したがって、掃除機２４によってマットレス装置４の内部空間に吸引されて接続部２２に接続された吸引ホース２５から外部に排出される外気によって弾性部材１５に含まれる湿気や塵埃を効率よく確実に除去することができる。

上記吸引ホース２５が接続される上記まち地１８に形成された接続部２２はファスナ２３によって開閉できるようになっている。そのため、上記接続部２２に掃除機２４の吸引ホース２５を接続しないとき、つまりマットレス装置４を通常に使用するときには接続部２２を閉塞することができるから、外観的に良好である。

この発明は上記一実施の形態に限定されず、たとえばスプリングユニットに積層される弾性部材はスキン層が除去されたウレタンフォームに限られず、他の材料、たとえば綿などであってもよく、要は通気性を備えた材料で形成されていればよい。

また、吸引手段としては掃除機に代わり、吸引ポンプをマットレス装置の接続部に着脱可能に接続するようにしてもよい。

この発明の一実施の形態のベッド装置を示す斜視図。 図１のベッド装置に用いられるマットレス装置の内部構造を示す一部断面した側面図。 スプリングユニットの一部を示す平面図。 スプリングユニットのばね体を示す斜視図。 マットレス装置のまち地の接続部が形成された部分を拡大して示す正面図。 外装体のまち地を示す拡大断面図。

符号の説明

７…スプリングユニット、８…ばね体、１４…保護材、１５…弾性部材、１７…外装体、１８…まち地、１９…鏡地、２２…接続部、２２ａ…差込口、２４…掃除機（吸引手段）。

Claims (3)

1. スプリングユニットと、
   通気性を有する材料によって形成されて上記スプリングユニットの上下面に設けられた弾性部材と、
   上記弾性部材よりも通気抵抗の高い材料によって形成されて上記スプリングユニットの外周面を被覆したまち地及びこのまち地よりも通気抵抗の低い材料によって形成されて上記弾性部材を被覆した上下一対の鏡地を有し、この鏡地の周縁部が上記まち地の上下端に縫合された外装体と、
   この外装体の上記まち地に形成された接続部に着脱可能に接続され上記外装体によって被覆された上記スプリングユニットの内部空間に吸引力を作用させて上記上下一対の鏡地から上記弾性部材を介して外気を吸引して排出する吸引手段を具備し、
   上記弾性部材はシート状のウレタンフォームであって、このウレタンフォームは表面のスキン層が除去されて通気性を備えていることを特徴とするマットレス装置。
2. 上記接続部はファスナによって開閉可能に形成されていることを特徴とする請求項１記載のマットレス装置。
3. 上記まち地は布地の内面に樹脂フィルムがラミネートされていることを特徴とする請求項１記載のマットレス装置。

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