JP5232170B2 - 自動車用シートベルト巻き取り装置に用いるブロック機構作動用のセンサユニット - Google Patents

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Description

本発明は、請求項1の前段部分(プレアンブル)に基づく、自動車車両のシートベルト巻き取り装置用に用いるブロック機構を作動するためのセンサユニットに関する。
上記のようなセンサユニットは、所定の大きさのセンサ要素と、センサ要素が変位可能状に取り付けられている容器と、センサ要素をベルト巻き取り装置に設けられたブロック機構と連結するための連結機構を有する。その結果、ブロック機構は、連結機構を介して容器内のセンサ要素の変位により作動可能であり、これによってベルト巻き取り装置の変位をブロックする。
このようなセンサユニットにおいて、センサ要素は、車両の通常操作状況下では、センサ要素自体の重量を介して、対応する与えられたセンサユニットの容器内の所定の位置に保持される。そして、例えば車両の強い制動動作の結果、または衝突の際に、車両の減速による加速力が、重力の作用方向と交差する方向へとセンサ要素に作用する場合、容器内に存在するセンサ要素は、その静止位置から変位し、シートベルト巻き取り装置に設けられたブロック機構が起動するように、センサ要素の下流に構成された連結機構に作用する。このようにして、シートベルト巻き取り装置は、更なる(回転式)変位に対して、ブロックされ、その結果、シートベルト巻き取り装置に設けられたシートベルトは、更なるベルト引出を阻止され、当該シートベルトを使用している車両乗員は、安全に車両座席に保持される。
このようなセンサユニットにおけるセンサ要素は、概ね金属製球体として形成され、センサ要素に付属の容器は、通常樹脂製であり、球体を取り付けるための(椀型)領域を有する。この点、ベルト巻き取り装置のブロック機構がセンサ要素の下流側に構成された連結機構により起動され、ベルト巻き取り装置がブロックされるようなある閾値を車両の減速度が超過する場合に(車両の通常操作状況下では重力によって実質的には静止位置に保持されている)、センサ要素が、変位または偏向されることが保証される限りにおいて、他の構造的システムも考慮し得る。
容器のベアリング表面は、重量と交差状に作用する力によって、特に球体であるセンサ要素の容易な変位を促すように、例えば、適切な素材の選択、あるいは研磨によって形成される。
このようなセンサユニット(または車両高感度センサユニットとも称される)は、センサ要素をその取り付けられる容器内側表面に固着させるおそれのある、特に(粘性のある)液状物質による汚染から保護されるべきである。センサ要素の固着によってブロック機構の作動が遅延されるため、結果として、かなりのベルト引き出しの後でベルト巻き取り装置がようやくブロックされるという事態も生じかねない。
本発明は、汚染に対する感度を低減したセンサユニットを構築することを課題とする。
本発明に基づき、この課題は、請求項1の特徴を有するセンサユニットを構成することにより実現される。
請求項1によれば、センサ要素は、表面に、最小粗面深さが0.1μm(ミクロン)、ないしは0.1μmよりも大きな粗面深さを有しており、センサ要素は、当該表面を介して対応する容器内に取り付けられる。
本発明は、とりわけセンサ要素表面につき、0.2μmの最小粗面深さ、特に0.4μmの最小粗面深さで構成することが好ましい。
本発明におけるセンサ要素表面の最小粗面深さは、当該センサ要素の表面(または少なくとも当該表面の主要部分)につき、当該表面の粗さの平均化された深さの最小値(すなわち平均粗面深さ)と理解される。すなわち、最小粗面深さについて「値x」と表示した場合、センサ要素の表面の平均化された粗さ深さ(「平均粗面深さ」)が少なくとも所定の値xであることを意味する。
特に(金属製)センサ球体の場合、センサ要素の粗面深さが上記のように増すことにより、センサユニット内あるいはセンサユニットの容器内へと外的物質が侵入した際に、センサ要素が対応する容器表面に固着してしまう危険が減少する。その結果、センサユニットは、全体として、外的物質によって起こるセンサ機能障害に対して強くなる。
センサ要素が構成される容器は、例えば、センサ要素を可動的に収容するために設けられたハウジングとして形成され、また、この容器は、開口部または開放状の上部表面を有し、当該開口部を通って、センサ要素に影響を及ぼす連結機構が対応するブロック機構に導かれている。
容器またはハウジングは、ベアリング部を有し、当該ベアリング部は、センサ要素を可動状に取り付けるべく、センサ要素に面したベアリング部の内側表面によって形成されたベアリング領域を規定し、特に、(断面図にて示された)ベアリング領域は、センサ要素に作用する重力の方向沿いにテーパされている。重力の効果のため、センサ要素は、車両の正常な操作状況下ではベアリング領域の真上に重なって静止し、車両の激しい速度変化の場合に生じる横方向作用力の効果によって、またセンサ要素がブロック機構を作動させるような方法で連結機構に影響を及ぼす効果によって、センサ要素は、ベアリング領域沿いに持ち上げられる。
連結機構は、例えば、センサ要素に影響を及ぼす、特にレバー形状のステアリング要素(ステアリング・レバーないし操作要素とも称呼)を有することが好ましい。そして当該ステアリング・レバーの下流側に歯止めが配され、当該歯止めは、ステアリング・レバーに一体状に形成され、またはステアリング・レバーに(柔軟に)連結されているのが好まし。この場合の歯止めは、ブロック機構を起動し作動させベルト巻き取り装置をブロックするべく、ブロック機構に係合可能である。
ブロック機構は、例えばつめ歯車の周りに回転する歯によって形成される係合凹部を有するつめ歯車を有し、センサ要素の偏向の結果として歯止めが操作される際、当該つめ歯車に連結機構の歯止めが係合可能である。つめ歯車への、より詳細には、つめ歯車の係合凹部への歯止めの係合のため、つめ歯車はブロックされる。即ち、つめ歯車は、その回転軸周りの更なる回転を妨げられる。つめ歯車をベルト巻き取り装置と連結することにより、また例えば、つめ歯車を共通の回転軸周りに取り付けることにより、同時に、ベルト巻き取り装置はブロックされ、その結果、更なるベルトの引き出しが不可能となる。
本発明の更なる詳細と利点は、図を基にして、実施例に関する以下の記述により明確にされる。
図は、容器1、当該容器内に配置された金属製で球形のセンサ要素2、およびセンサユニットをブロック機構4と連結するべく、センサ要素2の下流に構成された連結機構3を有するセンサユニットの概略的断面図を示し、当該ブロック機構を介して、車両のベルト巻き取り装置5はブロック可能とされててる。
容器1は、球形のセンサ要素2を取り付けるべく、少なくとも1つのベアリング領域12を備えたベアリング部10を有し、当該ベアリング部はセンサ要素2に影響を及ぼす重量Gの方向にテーパされている。また、当該ベアリング部上にて、ベアリング領域12上の周辺線L沿いに、基本的に線的にセンサ要素2の表面20によってセンサ要素2が保持されるよう、重量Gの影響下にてセンサ要素2は支持される。特にベアリング領域12はセンサ要素表面20に対応した湾曲を有しているが、概略的に見れば、センサ要素2は、ベアリング部10のベアリング領域12上にセンサ要素自体を静止状に保持可能であることが理解される。
容器1は、更にベアリング部10の対向側にセンサ要素2を包囲する壁部14を有し、当該壁部には開口部16が設けられ、当該開口部を通って、連結機構3がセンサ要素2からブロック機構4に向けて誘導されている。
センサ要素2は、連結機構3を介して、ベルト巻き取り装置5に設定されたブロック機構4と操作上連結されている。この連結機構3は、入力側(センサ要素側)に椀型要素30を有し、当該椀型要素は、ベアリング領域12から離間した側の表面部分にてセンサ要素表面20を部分的にハウジング囲み、軸Aの周りに回動可能状であり容器1に取り付けられているステアリング・レバー32によって、連結機構3の出力側歯止め34に連結されている。歯止め34は、ステアリング・レバー32の一体状の要素を形成し、ブロック機構4を起動する(ブロックする)ためにブロック機構に係合可能なスプロケット36が設けられている。
ブロック機構4は、当該ブロック歯車4の周方向沿いに連続的に構成されている歯44と歯44の間に位置する間隙46によって形成された外側周縁42に、ブロック凹凸44、46を有する。間隙46は、係合凹部として働き、当該凹部に、歯止め側に位置づけられたスプロケット36が、ブロック機構4を形成するブロック歯車40をブロックするために係合可能である。
ブロック歯車40は、ベルト巻き取り装置5(当該装置に関しては図ではベルトコイル50のみが示されている)と共に回転軸Dの周りに回動可能状に取り付けられ、歯止め側スプロケット36のブロック歯車40係合凹部46への係合によってブロック歯車40をブロックすることにより、同時にベルト巻き取り装置5もブロックされる。すなわちブロック機構4の作動状態において、あるいは、歯止め34がスプロケット36によりブロック歯車40の係合凹部46の一つに係合する際、ブロック歯車40並びにベルト巻き取り装置5は、両者の共通の回転軸Dの周りに回転することができないように制止される。これは特に、ベルト巻き取り装置5に構成された安全ベルトSの更なる引出が妨げられることを意味する。
このようなセンサユニットの作用は以下のとおりである。即ち、車両速度の断続的な変化を起こす加速の際、例えば、強い制動動作または事故の結果として、横方向力Qが、球によって形成されたセンサ要素2の重量Gに対し直交方向に作用し、それによってセンサ要素2が横方向力Qの方向沿いの構成要素と共に、対応するベアリング領域12沿いに変位し、よって、センサ要素2は同時に重量Gに抗して持ちあげられる。この動作によって、センサ要素2は、連結機構3の椀型要素30に作用する。横方向力Qによって生じるセンサ要素2の偏向は、椀型要素30を介して、連結機構3のステアリング・レバー32を軸Aの周りに逸脱させ、ステアリング・レバー32に設けられた歯止め34のスプロケット32が、ブロック歯車40のブロック凹凸44、46のベアリング凹部46に係合する。これによって、ブロック歯車40に連結されたベルト巻き取り装置5のブロック、厳格にはベルト巻き取り装置5のベルトコイル50の所望のブロックが実現される。
このような構成にて、ブロック機構4の反応時間、即ち、センサユニット1、2、3内への横方向力Qの発揮とブロック機構4の作動、即ち、ブロック歯車40をロックする間の時間経過は、外的物質、特に(粘性)液体物質がセンサ要素2を取り付けた容器1内に侵入した場合には遅延する可能性がある。その場合は、ハウジング側のベアリング部10のベアリング領域12上にて球状表面20を有するセンサ要素2を形成する球体の密着性が増し、その結果、センサ要素2は、わずかに遅延して、横方向力Qの作用により、図に示された静止位置外に偏向される。
センサユニット1、2、3の反応時間の遅延を防止するため、センサ要素2は、センサ表面20に、少なくとも0.1μmの平均粗面深さを有し、特に、少なくとも0.2μmで、特に好ましくは約0.4μmの平均粗面深さを有する。これによって、センサ要素2の表面20とベアリング部10の(研磨された)ベアリング領域12との間の外的物質により生じる密着力は、相応に低減可能であり、その結果センサユニット1、2、3の反応時間は、上記外的物質によりほとんど影響されないという結果が得られる。
本発明では、「自動車用乗員保護システムのシートベルト巻き取り装置のためのブロック機構を作動させるためのセンサユニットであって、センサ要素(2)と、前記センサ要素(2)が、当該センサ要素の重量(G)の作用方向と交差する方向に作用する力(Q)の衝撃により偏向されるように、前記センサ要素(2)を変位可能に取り付ける容器(1)と、前記センサ要素(2)と、前記シートベルト巻き取り装置(5)のブロック機構(4)とを連結し、これにより前記センサ要素(2)の偏向によってブロック機構(4)が起動されるように構成した連結機構(3)を有し、前記センサ要素(2)は、少なくとも当該センサ要素表面(20)が前記容器(1)のベアリング面(12)に保持される領域において、少なくとも0.1μmの平均粗面深さを有するセンサユニットであって、或いは請求項1に記載のセンサユニットであって、前記センサ要素(2)の平均粗面深さは、前記センサ要素表面(20)において0.1μmより大きいことを特徴とするセンサユニット」という態様(態様1)を採り得る。
また本発明では、「前記態様1に記載のセンサユニットであって、前記センサ要素(2)の平均粗面深さは、前記センサ要素表面(20)において、少なくとも0.2μmであることを特徴とするセンサユニット」という態様(態様2)を採り得る。
また本発明では、「前記態様2に記載のセンサユニットであって、前記センサ要素(2)の平均粗面深さは、前記センサ要素表面(20)において、少なくとも0.4μmであることを特徴とするセンサユニット」という態様(態様3)を採り得る。
また本発明では、「請求項1から7、前記態様1から3のいずれかに記載のセンサユニットであって、前記連結機構(3)はステアリング・レバー(32)を有し、当該ステアリング・レバーは、前記センサ要素(2)の偏向によって変位されるべく前記センサ要素(2)と接触するとともに、前記ブロック機構(4)を作動させるべく前記センサ要素(2)の偏向により生じた変位を介して前記ブロック機構(4)に係合されていることを特徴とするセンサユニット」という態様(態様4)を採り得る。
また本発明では、「前記態様4に記載のセンサユニットであって、前記ステアリング・レバー(32)は、軸(A)の周りに回動可能に取り付けられていることを特徴とするセンサユニット」という態様(態様5)を採り得る。
センサユニットの概略的断面図を示す。
1 容器
2 センサ要素
3 連結機構
4 ブロック機構
5 ベルト巻き取り装置
10 ベアリング部
12 ベアリング領域
14 壁
16 開口部
20 センサ要素表面
30 連結機構要素
32 ステアリング・レバー
34 歯止め
36 スプロケット
40 歯車
42 歯車周縁
44 歯車凸部
46 歯車凹部
50 ベルトコイル
A 軸
D 回転軸
G 重量
L ベアリング周辺線
Q 横方向力
S 安全ベルト

Claims (10)

  1. 自動車用乗員保護システムのシートベルト巻き取り装置のためのブロック機構を作動させるためのセンサユニットであって、
    センサ要素(2)と、
    前記センサ要素(2)が、当該センサ要素の重量(G)の作用方向と交差する方向に作用する力(Q)の衝撃により偏向されるように、前記センサ要素(2)を変位可能に取り付ける容器(1)と、
    前記センサ要素(2)と、前記シートベルト巻き取り装置(5)のブロック機構(4)とを連結し、これにより前記センサ要素(2)の偏向によってブロック機構(4)が起動されるように構成した連結機構(3)を有し、
    前記センサ要素(2)は、少なくとも当該センサ要素表面(20)が前記容器(1)のベアリング面(12)に保持される領域において、少なくとも0.1μmの平均粗面深さを有することを特徴とするセンサユニット。
  2. 請求項1に記載のセンサユニットであって、前記センサ要素(2)が金属製であることを特徴とするセンサユニット。
  3. 請求項1または2に記載のセンサユニットであって、前記センサ要素(2)は、球によって形成されていることを特徴とするセンサユニット。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載のセンサユニットであって、前記センサ要素(2)は、当該センサ要素(2)の重量(G)によって保持位置に保持されるとともに、交差方向に作用する力(Q)によって当該位置から偏向されることを特徴とするセンサユニット。
  5. 請求項1から4のいずれか一項に記載のセンサユニットであって、前記センサ要素(2)のための前記ベアリング面(12)は、前記センサ要素(2)における重量(G)の作用方向にテーパ状に構成されていることを特徴とするセンサユニット。
  6. 請求項1から5のいずれか一項に記載のセンサユニットであって、前記センサ要素(2)のための前記容器(1)はハウジングとして形成されていることを特徴とするセンサユニット。
  7. 請求項6に記載のセンサユニットであって、前記ハウジング(1)は、開口部(16)を有し、当該開口部を介して前記連結機構(3)が前記ブロック機構(4)にガイドされることを特徴とするセンサユニット。
  8. 請求項1から7のいずれか一項に記載のセンサユニットであって、前記連結機構(3)は歯止め(34)を有し、当該歯止めは、前記ブロック機構(4)を作動させるべく、前記ブロック機構(4)の少なくとも1つの係合凹部(46)に係合可能であることを特徴とするセンサユニット。
  9. 請求項1から8のいずれか一項に記載のセンサユニットであって、前記ブロック機構(4)は前記ベルト自動巻き取り装置(5)に連結したブロック歯車(40)を有し、これにより、前記シートベルト巻き取り装置(5)がブロック歯車(40)のロックによりブロック可能であることを特徴とするセンサユニット。
  10. 請求項1から7のいずれか一項に記載のセンサユニットであって、前記ブロック機構(4)は、前記ベルト自動巻き取り装置(5)に連結したブロック歯車(40)を有し、前記ブロック歯車(40)は、少なくとも一つの係合凹部(46)が設けられており、前記連結機構(3)は、歯止め(34)を有し、前記歯止め(34)は、前記少なくとも1つの係合凹部(46)に係合可能であり、これにより、前記ベルト自動巻き取り装置(5)が前記ブロック歯車(40)のロックによりブロック可能であることを特徴とするセンサユニット。



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