JP5231479B2 - 熱変色性筆記具 - Google Patents

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本発明は、熱変色性筆記具に関する。詳細には、内部に熱変色性インキを収容し且つ一端に前記熱変色インキが吐出可能なペン先を備えた軸筒と、前記軸筒のペン先側に装着可能なキャップとからなる熱変色性筆記具に関する。
従来、特許文献1には、熱変色性インキによる筆跡を摩擦熱で熱変色させるための摩擦体を、キャップの頂部に設ける構成や、軸胴の後端に設ける構成が記載されている。
特開2004−148744号公報
前記従来の熱変色性筆記具は、摩擦体と被筆記面(例えば紙面)とが、一定面積を有する面状に接触するため、摩擦時の比較的大きな荷重が必要となる。もし、摩擦時の荷重(即ち摩擦体に加える力)が小さい場合(例えば、老人、女性、子供等が使用する場合)、熱変色性インキの筆跡を確実に熱変色できないおそれがある。
本発明は、前記従来の問題点を解決するものであり、熱変色性インキの筆跡を小さな荷重で容易に熱変色させることができる摩擦部を備えた熱変色性筆記具を提供しようとするものである。
本願の第1の発明は、内部に熱変色性インキを収容し且つ一端に前記熱変色インキが吐出可能なペン先21を備えた軸筒2と、前記軸筒2のペン先21側に装着可能に一端が開口されたキャップ3とからなる熱変色性筆記具であって、前記キャップ3の開口端に、前記熱変色性インキの筆跡を摩擦しその際に生じる摩擦熱で該筆跡を熱変色可能な摩擦部31を設けたこと(請求項1)を要件とする。
前記第1の発明の熱変色性筆記具1は、キャップ3の開口端に摩擦部31を設けたことにより、摩擦時、摩擦部31と被筆記面とが点状または線状に接触するため、比較的小さな摩擦荷重で容易に熱変色性インキの筆跡を熱変色させることができ、特に、熱変色性インキの筆跡の比較的小さな面積を熱変色させる場合に最適となる。
本願の第2の発明は、前記第1の発明において、摩擦部31を、キャップ3の開口端の外周縁部に環状に設けること(請求項2)を要件とする。
前記第2の発明の熱変色性筆記具1は、摩擦部31を、キャップ3の開口端の外周縁部に環状に設けることにより、キャップ3の開口端の外周縁部のいずれの部分でも摩擦することができ、摩擦前に摩擦部31の位置を確認する必要がない。
・摩擦部
尚、本発明で、前記摩擦部31は、軟質材料から構成されることが好ましい。前記摩擦部31を構成する軟質材料とは、弾性を有する合成樹脂(ゴム、エラストマー)が挙げられ、例えば、シリコーン樹脂、SBS樹脂(スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体)、SEBS樹脂(スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体)、フッ素系樹脂、クロロプレン樹脂、ニトリル樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)等が挙げられる。
前記摩擦部31を構成する弾性を有する合成樹脂は、高摩耗性の弾性材料(例えば、消しゴム等)からなるものよりも、摩擦時に消しカスが生じない低摩耗性の弾性材料からなることが好ましい。
また、本発明で、キャップ3と摩擦部31の構成は、キャップ3摩擦部31をキャップ3と別部材により構成するとともに、それを圧入、嵌着、係着、螺着、接着、溶着または2色成形による一体成形によりキャップ3に設ける構成、または、キャップ3全体が摩擦部31と共通の材料(合成樹脂)からなる構成でもよい。
・ペン先
尚、本発明で、前記ペン先21は、例えば、ボールペンチップ、繊維束の樹脂加工体、繊維束の熱融着加工体、フェルト加工体、パイプ状ペン体、先端にスリットを有する万年筆型板状ペン体、毛筆ペン体、合成樹脂の多孔質気泡体、軸方向のインキ誘導路を有する合成樹脂の押出成形体等が挙げられる。
・熱変色性インキ
尚、本発明において、前記熱変色性インキは、可逆熱変色性インキが好ましい。前記可逆熱変色性インキは、発色状態から加熱により消色する加熱消色型、発色状態または消色状態を互変的に特定温度域で記憶保持する色彩記憶保持型、または、消色状態から加熱により発色し、発色状態からの冷却により消色状態に復する加熱発色型等、種々のタイプを単独または併用して構成することができる。
また、前記可逆熱変色性インキに含有される色材は、従来より公知の(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、及び(ハ)前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体、の必須三成分を少なくとも含む可逆熱変色性組成物をマイクロカプセル中に内包させた可逆熱変色性マイクロカプセル顔料が好適に用いられる。
本発明では、図4に示すように、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで異なる経路を辿って変色し、完全発色温度(t1)以下の低温域での発色状態、または完全消色温度(t4)以上の高温域での消色状態が、特定温度域〔t2〜t3の間の温度域(実質的二相保持温度域)〕で記憶保持できる色彩記憶保持型熱変色性インキが適用されることが好ましい。図4において、ΔHは、ヒステリシスの程度を示す温度幅(即ちヒステリシス幅)を示す。ΔHの値が小さいと、変色前後の両状態のうち一方の状態しか存在しえない。ΔHの値が大きいと、変色前後の各状態の保持が容易となる。
本発明では、前記熱変色性インキの摩擦部の摩擦熱による変色温度は、25℃〜95℃(好ましくは36℃〜95℃)に設定される。即ち、本発明では、前記高温側変色点〔完全消色温度(t4)〕を、25℃〜95℃(好ましくは、36℃〜90℃)の範囲に設定し、前記低温側変色点〔完全発色温度(t)〕を、−30℃〜+20℃(好ましくは、−30℃〜+10℃)の範囲に設定することが有効である。それにより、常態(日常の生活温度域)で呈する色彩の保持を有効に機能させることができるとともに、可逆熱変色性インキによる筆跡を摩擦部による摩擦熱で容易に変色することができる。
前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料は、粒子径の平均値が0.5〜5.0μm、好ましくは1〜4μmの範囲にあることが好ましい。平均粒子径が5.0μmを越える系では、ボールペンチップや多孔質ペン体の毛細間隙からの流出性が低下し、平均粒子径が0.5μm以下の系では高濃度の発色性を示し難くなる。
前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料は、インキ組成物全量に対し、2〜50重量%(好ましくは3〜40重量%、更に好ましくは、4〜30重量%)配合することができる。2重量%未満では発色濃度が不充分であり、50重量%を越えるとインキ流出性が低下し、筆記性が阻害される。
本発明の熱変色性筆記具は、キャップ開口端の摩擦部により、小さな摩擦荷重で容易熱変色性インキの筆跡を熱変色させることができ、特に、熱変色性インキの筆跡の小面積を熱変色させたい場合に最適となる。
本発明の第1の実施の形態の要部縦断面図である。 図1のキャップの拡大縦断面図である。 本発明の第2の実施の形態の要部縦断面図である。 熱変色性インキの変色挙動を示す説明図である。
<第1の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態を図1及び図2に示す。
本発明の熱変色性筆記具1は、軸筒2と、キャップ3とからなる。
・軸筒
前記軸筒2の一端には、ペン先21が設けられ外部に突出される。前記軸筒2の内部には、熱変色性インキが収容される。前記熱変色性インキが前記ペン先21より外部に吐出され、熱変色性インキの筆跡が得られる。
前記熱変色性インキは、低温側変色点(完全発色温度t1)が−30℃〜−10℃の範囲の任意の温度に設定され、高温側変色点(完全消色温度t4)が60℃〜80℃の範囲の任意の温度に設定され、ヒステリシス幅ΔHが40℃〜60℃の範囲を示す可逆熱変色性インキが採用される。
・キャップ
キャップ3は、一端が開口され、且つ、他端が閉鎖された有底円筒体からなる。前記キャップ3は、前記合成樹脂(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネイト等)の射出成形体により得られる。
前記キャップ3の開口端より軸筒2のペン先21側が装着される。前記キャップ3の開口端の外周縁部には、軟質材料(例えば、SBS樹脂、SEBS樹脂)よりなる摩擦部31が、圧入、嵌着、係着、螺着、接着、溶着または2色成形等により固着される。前記摩擦部31を用いて、前記熱変色性インキの筆跡を摩擦し、その際に生じる摩擦熱で前記熱変色性インキの筆跡を熱変色させることができる。
本実施の形態の熱変色性筆記具1は、キャップ3の開口端に摩擦部31を設けたことにより、摩擦時、摩擦部31と被筆記面とが点状または線状に接触するため、比較的小さな摩擦荷重で容易に熱変色性インキの筆跡を熱変色させることができ、特に、熱変色性インキの筆跡の比較的小さな面積を熱変色させる場合に最適となる。
前記摩擦部31は、キャップ3の開口端の外周縁部に環状(即ち周状に連続した形状)に形成される。それにより、キャップ3開口端の外周縁部の環状の摩擦部31いずれの部分でも摩擦することができ、摩擦前に摩擦部31の位置を確認する必要がない。
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態を図3に示す。
本実施の形態の熱変色性筆記具1は、第1の実施の形態の熱変色性筆記具1に、軸筒2の尾端(反ペン先側端部)に摩擦部22を設け、キャップ3の閉塞端に摩擦部32を設けた構成であり、所望する熱変色面積に適した外形状の摩擦部31・32・22を選択して使用することができる。尚、他の構成は、第1の実施の形態と共通であるため説明は省略する。
1 熱変色性筆記具
2 軸筒
21 ペン先
22 摩擦部
3 キャップ
31 摩擦部
32 摩擦部

Claims (1)

  1. 内部に熱変色性インキを収容し且つ一端に前記熱変色性インキが吐出可能なペン先を備えた軸筒と、前記軸筒のペン先側に装着可能に一端が開口されたキャップとからなる熱変色性筆記具であって、
    キャップの開口端に、熱変色性インキの筆跡を摩擦しその際に生じる摩擦熱で該筆跡を熱変色可能な摩擦部を設けたことを特徴とする熱変色性筆記具。
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