JP5229724B2 - 波長可変レーザ光源装置 - Google Patents

波長可変レーザ光源装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5229724B2
JP5229724B2 JP2008158517A JP2008158517A JP5229724B2 JP 5229724 B2 JP5229724 B2 JP 5229724B2 JP 2008158517 A JP2008158517 A JP 2008158517A JP 2008158517 A JP2008158517 A JP 2008158517A JP 5229724 B2 JP5229724 B2 JP 5229724B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
phase adjustment
wavelength
laser light
light source
tunable laser
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2008158517A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009302488A (ja
JP2009302488A5 (ja
Inventor
博康 佐々木
英生 有本
陽一郎 五十嵐
英之 桑野
武 山下
Original Assignee
日本オクラロ株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 日本オクラロ株式会社 filed Critical 日本オクラロ株式会社
Priority to JP2008158517A priority Critical patent/JP5229724B2/ja
Publication of JP2009302488A publication Critical patent/JP2009302488A/ja
Publication of JP2009302488A5 publication Critical patent/JP2009302488A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5229724B2 publication Critical patent/JP5229724B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Semiconductor Lasers (AREA)

Description

本発明は、主に光通信に用いられる波長可変レーザ光源装置に関し、特に、波長可変レーザ光源装置に含まれる半導体光増幅器の位相調整領域に関する。
近年、データ通信容量の拡大に伴い、1本の光ファイバで波長の異なる複数の光信号を伝送する光波長多重通信システムが普及している。この光波長多重通信システムの光源には、一定の範囲内で出力光の波長を切り替えることのできる波長可変光源が用いられることが多くなっている。
このような波長可変光源の構成の1つに、利得領域を含む半導体光増幅器と、透過波長体域が可変の波長選択フィルタと、を組み合わせた外部共振器型の波長可変レーザ光源がある。
半導体光増幅器は、半導体レーザとほぼ同じ構造を有する半導体素子であるが、その導波路の一方端面の反射率が半導体レーザに比べて小さいため、それ単体ではレーザ発振しない。外部共振器型の波長可変レーザ光源は、この半導体光増幅器の一方端面側に配置された反射体(たとえば反射ミラー)と、半導体光増幅器の他方端面と、で構成される共振器を用いてレーザ発振する。
レーザ発振時、共振器内には両反射面(半導体光増幅器の一方端面外側に設けられた反射体と半導体光増幅器の他方端面)で節となる1以上の定在波が生じる。この定在波の波長は、共振器の共振波長(キャビティモード波長)と呼ばれる(図3(a)参照)。共振器の共振波長は、共振器の真空換算の長さ(以下「実効長」という)、すなわち共振器の物理的長さと共振器の光路上に配置された光学部品の屈折率とによって定まる。
共振器の光路上には、特定の共振波長だけが安定的に選択されるよう、透過波長帯域が可変の波長選択フィルタが配置されている。外部共振器型の波長可変レーザ光源では、この波長選択フィルタの透過ピーク波長(透過率が最大となる波長)を変更することにより、発振波長を可変選択できるようになっている。
なお、波長選択フィルタとして、2以上の波長選択フィルタを用いることもある。たとえば、特許文献1には、透過波長帯域が固定された波長選択フィルタと透過波長帯域が可変の波長可変フィルタとを組み合わせた外部共振器型の波長可変レーザ光源が開示されている。また、共振器の光路上に、波長可変フィルタ(第1の波長選択フィルタ)と、非特許文献1に開示されたITUグリッド波長を透過ピーク波長とするITUグリッドフィルタ(第2の波長選択フィルタ)と、を組み合わせて配置することもある。これは、(1)波長可変フィルタの透過波長帯域の確度および安定性が許容される誤差より大きい、(2)ある波長に設定した波長可変フィルタの透過波長帯域または反射波長帯域がキャビティモードの波長の間隔に対して広く、波長可変フィルタだけで単一のキャビティモードを安定的に選択することが困難である、などの理由による(図3参照)。
共振器の共振波長(キャビティモード波長)が波長選択フィルタの透過ピーク波長から少しでもずれると、レーザ光源の光出力強度が大きく低下する。この共振波長のずれを補正する方式には、共振器の物理的長さを変える方式と共振器の光路上に配置された光学要素の屈折率を変える方式がある。
後者の方式を実現する方法の1つとして、半導体光増幅器の一部に外部から印加される信号に応じて屈折率が変化する領域を設け、この領域に印加する信号を調整することによって半導体光増幅器を透過する光の位相を変化させるという方法がある。この方法は、透過光の位相の変化に応じて共振器の実効長が変化することを利用したものである。このため、外部信号に応じて屈折率が変化する領域は、位相調整領域と呼ばれる。
この点、特許文献2および3には、互いに独立して制御される位相調整領域と光増幅領域(利得領域)とを含む半導体素子が開示されている。また、特許文献4には、別個の位相調整要素を共振器内に配置した構成が開示されている。
特開2006−216791号公報 特開平03−129890号公報 特開平07−335965号公報 米国特許6205159 工藤耕治、他9名、"広帯域波長可変レーザ・モジュールの最近の進展"、信学技報OPE2005−50、2005年、p.25−30 JENS BUUS、他2名、"TUNABLE LASERDIODES AND RELATED OPTICAL SOURCES"、Wiley-IEEE press、2005年、p.98、ISBN:978-0-471-20816-7
図4は、外部共振器型の波長可変レーザ光源における利得領域電流と光出力強度との関係を示す図である。図4(「位相調整なし」の線)に示すように、位相調整を行わなければ、レーザ光源の光出力強度は、共振波長と波長選択フィルタの透過ピーク波長とのずれの大きさに応じて大きく変動する。すなわち、共振波長と波長選択フィルタの透過ピーク波長とが一致する点で極大に、発振波長が切り替わるモードホップ境界で極小になるよう、光出力強度が上下に変動する。
これに対し、位相調整領域による位相調整を行うと、共振波長と波長選択フィルタの透過ピーク波長とのずれが補正されるため、図4(「位相調整あり」の線)に示すように、光出力強度の上下変動が解消される。
位相調整領域を含む従来の半導体光増幅器では、位相調整領域による位相調整量の上限(以下「位相調整可能量」という)が2π程度であった。これは、波長選択フィルタの透過ピーク波長の変更(チャネル切替)によって生じる最大1波長周期分の共振波長ずれを補正するために必要とされる位相調整量である。
ただし、共振波長のずれは、チャネル切替だけでなく、レーザ光源の光出力強度の設定変更または経時劣化による光出力強度の補償によっても生ずる。これは、光出力強度を制御するために半導体光増幅器の利得領域に印加される駆動電流を調整すると、半導体光増幅器の発熱量(消費電力)が変化し、それに伴って半導体光増幅器の屈折率が変化し、結果的に共振器の実効長が変化するからである。
しかしながら、従来の外部共振器型の波長可変レーザ光源では、光出力強度の設定変更または経時劣化による光出力強度の補償などに伴う駆動電流の大幅な変更が考慮されていないため、共振波長のずれが2πを超えるような駆動電流の変更がなされると、モードホップによって光出力強度の変化が不連続になる場合があった(図4参照)。このため、従来の外部共振器型の波長可変レーザ光源では、共振波長のずれが2πを超えるような駆動電流の変更を伴う光出力強度の設定変更や経時劣化による光出力強度の補償に対応することができなかった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、モードホップを起こすことなく光出力強度を制御することができる波長可変レーザ光源装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る波長可変レーザ光源装置は、印加される駆動電流に応じて利得が変化する利得領域と、印加される位相調整信号に応じて屈折率が変化する位相調整領域と、を有する半導体光増幅器と、前記半導体光増幅器の一端面から出力される光を反射する反射面と、前記半導体光増幅器の他端面と前記反射面とで構成される共振器の光路上に配置された、透過波長帯域が可変の波長選択フィルタと、を含み、前記共振器の実効長に応じた波長のレーザ光を前記共振器から出力する外部共振器型の波長可変レーザ光源装置であって、前記レーザ光の光強度が最大となるよう、前記位相調整領域に印加される位相調整信号を調整する位相調整手段と、前記レーザ光の光強度が所定値となるよう、前記利得領域に印加される駆動電流を調整する利得制御手段と、をさらに含み、前記位相調整領域の位相調整可能量は、前記波長選択フィルタの透過波長帯域の変更に応じて変化する前記レーザ光の光強度を最大化するための前記位相調整手段による制御に必要とされる第1の位相調整量と、前記利得制御手段による前記駆動電流の調整に応じて変化する前記共振器の実効長を補正するための前記位相調整手段による制御に必要とされる第2の位相調整量と、の和以上であることを特徴とする。
本発明によれば、位相調整領域の位相調整可能量が、波長選択フィルタの透過ピーク波長の変更(チャネル切替)に起因する共振波長ずれを補正するために必要とされる位相調整量以上であるため、モードホップを起こすことなく光出力強度を制御することができる。
また、本発明の一態様では、前記利得制御手段は、前記所定値の設定変更に応じて、前記駆動電流を調整する。
この態様によれば、モードホップを起こすことなく、光出力強度を所望の強度に設定することができる。
また、本発明の一態様では、前記利得制御手段は、前記半導体光増幅器の経時劣化による前記レーザ光の光強度の低下を補償するよう、前記駆動電流を調整する。
この態様によれば、モードホップを起こすことなく、経時劣化による光出力強度の低下を補償することができる。
また、本発明の一態様では、前記位相調整領域の位相調整可能量は、前記第1の位相調整量と前記第2の位相調整量の和に、前記レーザ光のスペクトル線幅を所定幅だけ拡大するための前記位相調整手段による前記位相調整信号の振動に必要とされる第3の位相調整量をさらに加えた量以上である。
この態様によれば、モードホップを起こすことなく、レーザ光のスペクトル線幅を所定幅だけ拡大することができる。
また、本発明の一態様では、前記半導体光増幅器は、InPで構成され、前記位相調整領域の位相調整可能量は、5.5π以上である。
本発明によれば、位相調整領域の位相調整可能量が、波長選択フィルタの透過ピーク波長の変更(チャネル切替)に起因する共振波長ずれを補正するために必要とされる位相調整量以上であるため、モードホップを起こすことなく光出力強度を制御することができる。このため、駆動電流の大幅な変更を伴う光出力強度の設定変更や経時劣化による光出力強度の補償に対応する波長可変レーザ光源装置を提供することができる。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る外部共振器型の波長可変レーザ光源100の構成を示すブロック図である。
同図に示すように、波長可変レーザ光源100は、半導体光増幅器11、共振器レンズ12、第1の波長選択フィルタ14a、第2の波長選択フィルタ13、反射ミラー15、光線16、第1レンズ17、ビームスプリッタ18a,18b、第3の波長選択フィルタ19、ホトダイオード20a,20b、第2レンズ21、光ファイバ22、駆動部30、および波長制御部32を含んで構成される。
半導体光増幅器11は、印加される駆動電流に応じて利得が変化する利得領域11aと、印加される位相調整信号に応じて屈折率が変化する位相調整領域11bと、この2つの領域を半導体光増幅器11の長手方向に貫通する光の導波路11eと、を含むInPで構成で構成された半導体素子である。半導体光増幅器11の端面11cは高反射率コーティングされており、端面11dは低反射となるよう形成されている。
利得領域11aは、半導体レーザと同様、誘導放出により光の増幅を行う。誘導放出による光の増幅率(利得)は、後述する駆動部32から利得領域11aに印加される駆動電流に応じて変化する。
位相調整領域11bは、後述する波長制御部11bから印加される位相調整信号に応じて導波路11eの屈折率が変化するという特性を有する。位相調整信号に応じて導波路11eの屈折率が変化すると、導波路11eを伝搬する光の位相が変化する。
半導体光増幅器11の端面11d側には反射ミラー15が配置されており、半導体光増幅器11の端面11cと反射ミラー15の表面とにより、レーザ共振器10が構成されている。レーザ共振器10の共振波長(キャビティモード波長)は、レーザ共振器10の実効長によって定まり、離散値となる(図3(a)参照)。なお、共振波長の平均の周期は、100pm程度である。平均と記載したのは、波長選択フィルタの群遅延特性によって、周期に粗密が生じるからである。
レーザ共振器10の光路上には、共振器レンズ12、第1の波長選択フィルタ14a、および第2の波長選択フィルタ13が配置されている。半導体光増幅器11の端面11dから出射された光線16は、共振器レンズ12でコリメート光に変換され、第2の波長選択フィルタ13、第1の波長選択フィルタ14aを透過して反射ミラー15に達する。反射ミラー15の表面で反射された光は、再度、波長選択フィルタ14a,13を透過し、共振器レンズ12を経て半導体光増幅器11に戻る。なお、第1の波長選択フィルタ14aと第2の波長選択フィルタ13は、これらの表面で反射された光線が半導体光増幅器11に戻って不要なレーザ共振器を形成しないよう、入射光線の光軸に対して傾けて配置される。
第2の波長選択フィルタ13は、国際電気通信連合(International Telecommunication Union:ITU)によって勧告されたITUグリッド波長を透過波長とする周期的な透過特性を有するフィルタである(図3(c)参照)。第2の波長選択フィルタ13の透過ピーク波長の周期は、約400pmまたは800pmである。
第1の波長選択フィルタ14aは、外部からの制御によって透過ピーク波長を変更することができる波長可変フィルタである(図3(b)参照)。第1の波長選択フィルタの透過ピーク波長は、動作対象とする波長帯域内(たとえば、Cバンドと呼ばれる波長帯域では1528〜1568nm)に1つだけである。このため、第1の波長選択フィルタ14aの透過ピーク波長を変更することにより、第2の波長選択フィルタによって選択される複数のITUグリッド波長の中から1つのITUグリッド波長を選択する(チャネルを切り替える)ことができる。
なお、レーザ発振波長を所望のITUグリッド波長とするためには、共振波長(図3(a)参照)、第2の波長選択フィルタ13の透過ピーク波長(図3(b)参照)、および第1の波長選択フィルタ14aの透過ピーク波長のすべてが、所望のITUグリッド波長と完全に一致するまたは許容誤差内に収まる状態にしなければならない。
半導体光増幅器11の端面11c側には、第1レンズ17、ビームスプリッタ18a,18b、第2レンズ21、光ファイバ22が配置されている。半導体光増幅器11の端面11cから出射された光線23は、第1レンズ17によってコリメート光線に変換される。このコリメート光線は、ビームスプリッタ18a,18bによってその一部が分岐され、第2レンズ21で収束されて光ファイバ22に入射結合する。
ビームスプリッタ18aで分岐された光線は、第3の波長選択フィルタ19を透過してホトダイオード20aに入射する。ホトダイオード20aは、入射した光線をその光強度に応じた光電流(電気信号)に変換する。
ビームスプリッタ18bで分岐された光線は、ホトダイオード20bに入射する。ホトダイオード20bは、入射した光線をその光強度に応じた光電流に変換する。ホトダイオード20bで生成される光電流の大きさは、光ファイバ22に入射するレーザ光の光強度に比例する。すなわち、ホトダイオード20bで生成される光電流は、波長可変レーザ光源10aから出力されるレーザ光の光強度のモニタ信号として利用できる。
第3の波長選択フィルタ19は、その透過ピーク波長がITUグリッド波長の間隔と同期し、かつ透過ピーク波長がITUグリッド波長からずれるように設定されたフィルタである。このため、第3の波長選択フィルタ19を透過した光線を受光するホトダイオード20aで生成される光電流と、第3の波長選択フィルタ19を透過しない光線を受光するホトダイオード20bで生成される光電流と、を比較することによって、レーザ光の波長ずれを検出することができる。なお、ビームスプリッタ18a,18bと、第3の波長選択フィルタ19と、ホトダイオード20a,20bと、で構成される機能ユニットは、波長ロッカと呼ばれ、波長可変レーザ光源に一般的に用いられるユニットである。
駆動部30は、波長可変レーザ光源100から出力されるレーザ光の光強度が所定値となるよう、ホトダイオード20bで生成される光電流(モニタ信号)の大きさに基づいて、利得領域11aに印加される駆動電流を調整する。
波長制御部32は、波長可変レーザ光源100から出力されるレーザ光の光強度が最大となるよう、ホトダイオード20bで生成される光電流(モニタ信号)の大きさに基づいて、位相調整領域11bに印加される位相調整信号を調整する。波長制御部32による位相調整は、ピークサーチと呼ばれる制御の1つである。
上記のとおり、第1の波長選択フィルタ14aの透過率特性と第2の波長選択フィルタ13の透過率特性とを重ね合わせた透過率特性における透過ピーク波長に近い共振波長(キャビティモード波長)が、波長可変レーザ光源100の発振波長となる。したがって、第1の波長選択フィルタ14aと第2の波長選択フィルタ13とを組み合わせたフィルタの透過ピーク波長が所望のITUグリッド波長に合致するように設定されていれば、発振波長の所望ITUグリッド波長からのずれは、波長可変レーザ光源100から出力されるレーザ光強度の低下となって現れる。また、発振波長がITUグリッド波長からずれると、2以上の発振波長が併存するマルチモードとなったり、モードホップが生じたりする場合がある。
このような現象を避けるため、波長制御部32は、波長可変レーザ光源100から出力されるレーザ光の光強度が最大となるよう位相調整領域11bに印加される位相調整信号を調整することによって、共振波長(キャビティモード波長)を所望のITUグリッド波長に合致させるようにしている。
波長可変レーザ光源100で生じる共振波長ずれには、以下に示す少なくとも5つの要因が考えられる。
第1の要因は、波長選択フィルタ(ここでは第1の波長選択フィルタ14a)の透過ピーク波長の変更、すなわちチャネル切替である。チャネル切替を行うと最大で1波長周期の共振波長ずれが生じる。このため、モードホップを起こすことなく、チャネル切替に起因する共振波長ずれを補正するためには、位相調整領域11bに最低2π程度の位相調整量が必要となる。
第2の要因は、波長可変レーザ光源100の光出力強度の設定変更である。これには、利得領域11aに印加される駆動電流の調整が必要となるため、半導体光増幅器11の発熱量(消費電力)が変化し、それに伴って半導体光増幅器11の屈折率が変化し、結果的にレーザ共振器10の実効長が変化するからである。
発明者らの見積もりによれば、モードホップを起こすことなく、波長可変レーザ光源100の光出力強度の設定変更に起因する共振波長ずれを補正するためには、前記の位相調整量の最低2πでは不足で、位相調整領域11bに2.6π〜3π程度の位相調整量が必要となる。
第3の要因は、半導体光増幅器11の経時劣化による光出力強度の補償である。これにも、第3の要因と同様、利得領域11aに印加される駆動電流の調整が必要となるため、半導体光増幅器11の発熱量(消費電力)の変化に伴って、レーザ共振器10の実効長が変化するからである。
発明者らの見積もりによれば、モードホップを起こすことなく、半導体光増幅器11の経時劣化による光出力強度の補償に起因する共振波長ずれを補正するためには、位相調整領域11bにさらに2π程度の位相調整量が必要となる。たとえば、初期状態より駆動電流が20%増加した場合を半導体光増幅器11の寿命と設定すると、駆動電流20%未満の増加に対して位相調整を行う必要がある。初期の駆動電流を300mAとすると、駆動電流が360mA(初期駆動電流300mAの120%)になるまでに、60mAの駆動電流の増加に対応する約2πの位相調整が必要となる。
第4の要因は、誘導ブリルアン散乱(Stimulated Brillouin Scattering:SBS)対策として行われるレーザ光の周波数変調(Frequency Modulation:FM)である。光ファイバ22に数dBm以上の狭スペクトルの光線を入射すると、SBSと呼ばれる現象によって、その大部分が光ファイバ22の入射端に戻され、光ファイバ22で伝送されるレーザ光の光強度が低下してしまう。特に、外部共振器型の波長可変レーザ光源100では、共振器長が長いため出力される光のスペクトル線幅が狭く、SBSの影響を受けやすい。このSBSを抑制するためにはレーザ光のスペクトル線幅を所定幅だけ拡大すればよく、このために行われるのがレーザ光の発振波長を短周期で振動させる周波数変調である。
SBS対策として行われる周波数変調による波長の偏移は最大で±5pm程度、変調信号の周波数は数10k〜100kHz程度である。キャビティモードの波長周期、すなわち位相量2πに相当する波長シフトの大きさは、レーザ共振器10の構成や使用している光学部品の特性によって異なるが、おおよそ30〜40pmである。キャビティモードの周期を30pmとすると、モードホップを起こすことなく、周波数変調を行うためには、位相調整領域11bに0.67πの位相調整量が必要となる。
第5の要因は、波長可変レーザ光源100を構成する光学部品の組み立て時以降の位置ずれによる共振器長の変化である。光学部品の位置ずれによる共振器長の変化の大きさを定量的に求めることは困難であるが、光学部品の位置ずれによる共振器の損失と共振器長の変化とが関連付けられる場合があるので、このケースについて検討した。
レーザ共振器10の光軸に対して垂直となるように配置される反射ミラー15は、反射ミラー15を固定する接合材の変形や波長可変レーザ光源100の外部装置への取り付けにより印加される外力などによって、その傾きが徐々に変化する場合がある。反射ミラー15が傾くと、レーザ共振器10の損失が増えるとともに、共振器長も変化する。発明者らの机上計算によれば、この角度ずれが約0.01度になると、共振器光学系での損失が1dB増加する。反射ミラー15の接合部と光線の反射位置の中心まで1mmの距離があるとすると、0.01度の傾き変化は、共振器長で0.17μmの変化に対応し、これを位相の変化に換算すると0.22πとなる。すなわち、レーザ共振器10での損失1dBを許容値とすると、位相調整領域11bに0.22π程度の位相調整量が必要となる。
上記第1〜第5の要因に起因する共振波長ずれを補正するために必要とされる位相調整量を合算すると、約5.5πとなる。この値は種々の仮定を設けて見積もられた位相調整量を単純加算したものであり、上述の内容を前提とした場合に必要となる位相調整領域11bの位相調整可能量である。レーザ光源の構成、動作条件、用いる部品の特性などが異なる場合には、必要とされる位相調整領域11bの位相調整可能量も異なる値となることは言うまでもない。
本実施形態では、位相調整領域11bの位相調整可能量が、波長選択フィルタの透過ピーク波長の変更(第1の要因)に起因する共振波長ずれを補正するために必要とされる位相調整量と、波長可変レーザ光源100の光出力強度の設定変更(第2の要因)に起因する共振波長ずれを補正するために必要とされる位相調整量と、半導体光増幅器11の経時劣化による光出力強度の補償(第3の要因)に起因する共振波長ずれを補正するために必要とされる位相調整量と、SBS対策として行われるレーザ光の周波数変調(第4の要因)で必要とされる位相調整量と、波長可変レーザ光源100を構成する光学部品の位置ずれ(第5の要因)に起因する共振波長ずれを補正するために必要とされる位相調整量と、の和(たとえば5.5π)以上となるよう、半導体光増幅器11が形成されている。
このため、波長可変レーザ光源100では、モードホップを起こすことなく、光出力強度を所望の強度に設定したり、経時劣化または外部環境の変化による光出力強度の低下を補償したり、SBS対策のためレーザ光に周波数変調を施したりすることができる。
なお、位相調整領域11bの位相調整可能量は、半導体光増幅器11を構成する半導体材料の物性および位相調整領域11bの物理的長さと構造に依存する。たとえば、InPで構成される半導体光増幅器11において、位相調整領域11bの位相調整可能量を5.5π以上とするためには、位相調整領域11bの長さを0.5mm以上にすればよい。このため、上記「位相調整領域11bの位相調整可能量」は「位相調整領域11bの長さ」と、「位相調整量」は「位相調整量に対応する長さ」と、それぞれ読み替えてもよい。
次に位相調整領域の長さに関して説明するが、長さは位相調整領域の構造などによって変わるので、絶対的な条件ではない。
屈折率の変化量をΔnとすると、長さLの位相調整領域における片道分の位相変化量ΔΦは、下式で算出される。
Figure 0005229724
ここで、Γは光の閉じ込め係数である。非特許文献2において、屈折率の変化量が0.02ないし0.04という値が示されている。閉じ込め係数を0.1、屈折率の変化量を0.04、ΔΦ=2.75π(片道分)として必要とするLを算出すると、L=533μmとなる。この値は上記条件の下での計算値であり、絶対的な値ではない。位相調整領域の構造や不純物濃度が異なれば、閉じ込め係数Γや屈折率変化量が違ってくるので、上記の値は参考値であり、本発明の意図するところは、位相変化量にある。
以上説明した波長可変レーザ光源100によれば、位相調整領域11bの位相調整可能量が、波長選択フィルタの透過ピーク波長の変更(第1の要因)に起因する共振波長ずれを補正するために必要とされる位相調整量以上であるため、モードホップを起こすことなく光出力強度を制御することができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、利得領域と位相調整領域とを有する半導体光増幅器を含む外部共振器型の波長可変レーザ光源全般に広く適用可能である。
たとえば、波長可変レーザ光源100を構成する第1の波長選択フィルタ14aおよび反射ミラー15に代えて、その両機能を備える反射型の波長選択フィルタを用いてもよい(図2に示す波長可変レーザ光源110の第1の波長選択フィルタ14b参照)。こうすれば、反射ミラー15が不要となる。
また、上記波長可変レーザ光源100では、第1〜第5の要因のいずれに起因する共振波長ずれの補正にも対応できるよう位相調整領域が形成されているが、第2〜第5の要因に起因する共振波長ずれについてはそのいずれかに対応できるよう位相調整領域を形成してもよい。
本発明の実施形態に係る外部共振器型の波長可変レーザ光源のブロック図である。 本発明の他の実施形態に係る外部共振器型の波長可変レーザ光源のブロック図である。 発振波長を決定する要素(共振波長、波長可変フィルタ、ITUグリッドフィルタ)の波長特性を示す図である。 外部共振器型の波長可変レーザ光源における利得領域電流と光出力強度との関係を示す図である。
符号の説明
11 半導体光増幅器、11a 利得領域、11b 位相調整領域、11c,11d 端面、11e 導波路、12 共振器レンズ、13 第2の波長選択フィルタ、14 第1の波長選択フィルタ、15 反射ミラー、16,23 光線、17 第1レンズ、18 ビームスプリッタ、19 第3の波長選択フィルタ、20 ホトダイオード、21 第2レンズ、22 光ファイバ、30 駆動部、32 波長制御部、100,110 波長可変レーザ光源。

Claims (5)

  1. 印加される駆動電流に応じて利得が変化する利得領域と、印加される位相調整信号に応じて屈折率が変化する位相調整領域と、を有する半導体光増幅器と、
    前記半導体光増幅器の一端面から出力される光を反射する反射面と、
    前記半導体光増幅器の他端面と前記反射面とで構成される共振器の光路上に配置された、透過波長帯域が可変の波長選択フィルタと、
    を含み、前記共振器の実効長に応じた波長のレーザ光を前記共振器から出力する外部共振器型の波長可変レーザ光源装置であって、
    前記レーザ光の光強度が最大となるよう、前記位相調整領域に印加される位相調整信号を調整する位相調整手段と、
    前記レーザ光の光強度が所定値となるよう、前記利得領域に印加される駆動電流を調整する利得制御手段と、
    をさらに含み、
    前記位相調整領域の位相調整可能量は、
    前記波長選択フィルタの透過波長帯域の変更に応じて変化する前記レーザ光の光強度を最大化するための前記位相調整手段による制御に必要とされる第1の位相調整量と、
    前記利得制御手段による前記駆動電流の調整に応じて変化する前記共振器の実効長を補正するための前記位相調整手段による制御に必要とされる第2の位相調整量と、
    の和以上であ
    前記位相調整可能量は5.5π以上である、
    ことを特徴とする波長可変レーザ光源装置。
  2. 請求項1に記載の波長可変レーザ光源装置において、
    前記利得制御手段は、前記所定値の設定変更に応じて、前記駆動電流を調整する、
    ことを特徴とする波長可変レーザ光源装置。
  3. 請求項1または2に記載の波長可変レーザ光源装置において、
    前記利得制御手段は、前記半導体光増幅器の経時劣化による前記レーザ光の光強度の低下を補償するよう、前記駆動電流を調整する、
    ことを特徴とする波長可変レーザ光源装置。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の波長可変レーザ光源装置において、
    前記位相調整領域の位相調整可能量は、
    前記第1の位相調整量と前記第2の位相調整量の和に、前記レーザ光のスペクトル線幅を所定幅だけ拡大するための前記位相調整手段による前記位相調整信号の振動に必要とされる第3の位相調整量をさらに加えた量以上である、
    ことを特徴とする波長可変レーザ光源装置。
  5. 請求項1に記載の波長可変レーザ光源装置において、
    前記半導体光増幅器は、InPで構成され、
    前記位相調整領域の長さは、0.5mm以上である、
    ことを特徴とする波長可変レーザ光源装置。
JP2008158517A 2008-06-17 2008-06-17 波長可変レーザ光源装置 Active JP5229724B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008158517A JP5229724B2 (ja) 2008-06-17 2008-06-17 波長可変レーザ光源装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008158517A JP5229724B2 (ja) 2008-06-17 2008-06-17 波長可変レーザ光源装置

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2009302488A JP2009302488A (ja) 2009-12-24
JP2009302488A5 JP2009302488A5 (ja) 2010-07-08
JP5229724B2 true JP5229724B2 (ja) 2013-07-03

Family

ID=41549043

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008158517A Active JP5229724B2 (ja) 2008-06-17 2008-06-17 波長可変レーザ光源装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5229724B2 (ja)

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3149943B2 (ja) * 1990-11-19 2001-03-26 キヤノン株式会社 半導体レーザ及びその駆動方法
JP3707774B2 (ja) * 1996-05-22 2005-10-19 松下電器産業株式会社 光ディスクシステム
JP2002043698A (ja) * 1999-12-22 2002-02-08 Yokogawa Electric Corp Shgレーザ光源及びshgレーザ光源の変調方法
JP5008831B2 (ja) * 2005-02-03 2012-08-22 住友電工デバイス・イノベーション株式会社 レーザ装置、レーザ装置の制御装置、レーザ装置の制御方法、レーザ装置の波長切換方法およびレーザ装置の制御データ
JP2006286955A (ja) * 2005-03-31 2006-10-19 Eudyna Devices Inc レーザモジュール、レーザ装置、レーザ装置の制御装置、レーザ装置の制御情報、レーザ装置のプログラムおよびレーザ装置の制御方法
JP2009087956A (ja) * 2005-12-15 2009-04-23 Nec Corp 外部共振器型波長可変レーザとそれに内蔵する半導体光増幅器

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009302488A (ja) 2009-12-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5772989B2 (ja) レーザ素子
US9722397B2 (en) Tunable laser and tunable laser module
US8000359B2 (en) Laser device and controlling method therefor
US9436022B2 (en) Modulated light source
US9793684B2 (en) Laser apparatus
US20020015433A1 (en) Tunable frequency stabilized fiber grating laser
US20070133638A1 (en) Coherent light source and optical device
US20070268568A1 (en) Laser module and method of controlling wavelength of external cavity laser
US20060109873A1 (en) External cavity laser having improved single mode operation
JP6508956B2 (ja) 変調光源
JP2006060206A (ja) 複数の安定したモードを有する外部共振器レーザ
JP2004047638A (ja) 波長可変半導体レーザの波長制御装置および方法
JPWO2019160064A1 (ja) 光モジュール、その波長制御方法およびそのキャリブレーション方法
JP6221139B2 (ja) 光学レーザー装置及び当該装置においてレーザー発振モードを生成する方法
JP2001185808A (ja) 波長可変光源装置
JP4713073B2 (ja) 波長可変レーザ及びその制御方法
JP6778526B2 (ja) 光素子
US20090086774A1 (en) Control device, laser device, wavelength converting method, and program
JP6540097B2 (ja) 波長可変レーザ装置
WO2015085544A1 (zh) 一种激光器
JP5229724B2 (ja) 波長可変レーザ光源装置
US20050111498A1 (en) Mode behavior of single-mode semiconductor lasers
JP2006019516A (ja) 波長可変レーザ及びその制御方法
JP3391229B2 (ja) 外部共振器型半導体レーザ光源
JP2004193556A (ja) 単一モード動作を向上させた外部キャビティレーザー

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100513

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100513

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20111124

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20121204

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130201

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130219

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130312

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160329

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5229724

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250