JP5229460B2 - 切削工具 - Google Patents

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本発明は、切削工具の切削振動を検知して切削状態を把握する切削工具に関する。
切削工具は、金属または非金属を切削加工する旋盤、フライス、マシニング等の切削加工装置に取り付けられるものであり、切削工具の交換時期を判定するために切削状態をモニタリングする必要があった。
そこで、従来の切削工具では、その切削振動を検知する際には、切削工具の切削刃部付近に加速度ピックアップを内蔵して切削振動を検知して切削状態を把握していた。
しかしながら、加速度ピックアップが内蔵される部位は過酷な環境であるために、頻繁に加速度ピックアップが正常に機能しなくなり切削振動を検知できなくなっていた。しかも、加速度ピックアップは高価であり、該加速度ピックアップを頻繁に交換することは困難であった。
なお、切削工具の切削振動を検知する従来技術として特許文献1には、切削工具本体の内部に、切削工具本体に生じる切削方向と工具送り方向の振動を感知する少なくとも2個以上の加速度センサーを設けた切削工具が開示されている。
また、特許文献2には、切削工具に近接し配置された切削音を測定する集音マイクと、切削工具のホルダーに取付けられた切削振動を測定するピックアップ及び切削時に発生する応力を測定する応力計と、これらの電気信号をデジタル信号に変換する信号変換装置及びファジィ推論部を有するコンピュータと、その出力装置とを備えた検知装置が開示されている。
特開平10−109204号公報 特開平7−308847号公報
上述したように、従来の切削工具では、切削刃部付近に加速度ピックアップを内蔵して、切削振動を検知する方法を採用していたが、加速度ピックアップが過酷な環境下に配置されるため頻繁に不具合を起こし、改善する必要があった。
また、特許文献1の切削工具でも、切削工具本体内で、切削刃部に近接する部位に加速度センサーが配置されるために、加速度センサーが頻繁に不具合を起こす虞があり、上述した課題を解決することはできない。
さらに、特許文献2の検出方法においても、切削時の過酷な環境下に集音マイクや応力計が配置されているために、特許文献1と同様に、集音マイクや応力計が頻繁に不具合を起こす虞があり、上述した課題を解決することはできない。しかも、特許文献2の検出方法は、構造が複雑であり採用することはできない。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、簡易な構成で、振動センサーが切削時の過酷な環境に晒されることなく切削振動を検知することのできる切削工具を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明は、切削工具の切削振動を検知して切削状態を把握する切削工具であって、該切削工具本体内に挿通されて、先端部が切削刃部からの切削振動が伝達される位置に配置される伝達ロッドと、該伝達ロッドの基端部に接触され、該伝達ロッドからの切削振動を検知する振動センサーと、を備え、前記伝達ロッドの先端部は、前記切削工具本体の、前記切削刃部に近接する部位に接触される先端コマに接続されることを特徴とするものである。
このように構成することにより、振動センサーを切削工具の切削刃部から離れた位置に配置し、該切削刃部からの切削振動を、伝達ロッドを介して振動センサーにより検知するので、振動センサーが切削時の過酷な環境に晒されることはない。
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した発明において、前記伝達ロッドの外周面と、該伝達ロッドが挿通される、前記切削工具本体の開口の内周面との間に隙間を設けることを特徴とするものである。
このように構成することにより、切削工具本体からの振動が伝達ロッドに伝達されるのを防ぐ。
請求項3に記載した発明は、請求項1または2に記載した発明において、前記振動センサーは、コンデンサマイクロホンであり、弾性部材により囲まれた状態で前記切削工具本体内に支持されることを特徴とするものである。
このように構成することにより、安価なコンデンサマイクロホンにて、切削振動を検知することができる。
本発明の請求項1に記載した発明によれば、振動センサーが切削時の過酷な環境に晒されることはないので、振動センサーが頻繁に不具合を起こすことはない。しかも、構成が簡易であるために実用的である。
請求項2に記載した発明によれば、切削工具本体からの振動が伝達ロッドに伝達されないので、切削刃部からの純粋な切削振動を振動センサーにより検知することができる。
請求項3に記載した発明によれば、安価なコンデンサマイクロホンを採用するので、さらに実用的になる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図1及び図2に基いて詳細に説明する。
本発明の実施の形態に係る切削工具は、切削時、切削刃部からの切削振動を検知して切削状態を把握するもので、旋盤等に取付けられて使用される切削バイト1に採用されている。
本切削バイト1は、図1に示すように、切削バイト本体(切削工具本体)2内に挿通されて、先端部が超硬チップ(切削刃部)3からの切削振動が伝達される位置に配置される伝達ロッド4と、該伝達ロッド4の基端部に接触され、該伝達ロッド4からの切削振動を検知するコンデンサマイクロホン(振動センサー)5とを備えている。
切削バイト1の切削バイト本体2の先端部には、切削刃部として超硬チップ3が付設されている。また、切削バイト本体2には、長手方向に沿って断面略円形の開口7が貫通されている。
伝達ロッド4は、切削バイト本体2の開口7の先端内周面に接触され、切削バイト本体2の逃げ面に露出される先端コマ6と、該先端コマ6に先端部が一体的に接続され、切削バイト本体2の開口7の内周面と隙間をあけて挿通される伝達軸部8とから構成されている。
先端コマ6は、振動の減衰を抑制すべく硬い金属材料が選定され、例えば鉄系で構成される。先端コマ6は、断面円形状に形成され、その一端面は切削バイト本体2の逃げ面と略面一になるように傾斜して形成される。一方、先端コマ6の他端面には伝達軸部8の先端部が固着される凹部6aが形成される。
伝達軸部8は、振動の減衰を抑制すべく硬い金属材料が選定され、例えば鉄系で構成される。伝達軸部8は、断面円形状の中実状または中空状に形成される。また、伝達軸部8は、その先端部に先端コマ6が連設されると共に、その基端部にコンデンサマイクロホン5と接触される円板状の接触部9が連設される。
なお、本実施の形態では、先端コマ6と伝達軸部8とを別体で構成し、伝達軸部8の先端部を先端コマ6の凹部6aに嵌合固着しているが、先端コマ6と伝達軸部8とを一体的に形成してもよい。
本実施の形態では、振動センサーとしてコンデンサマイクロホン5が採用されている。なお、振動センサーは、伝達ロッド4からの切削振動を検知できるセンサーであれば良く、加速度ピックアップ等を採用してもよい。また、セラミックブザーを振動センサーとして採用してもよい。
コンデンサマイクロホン5は、切削バイト本体2の開口7内で、切削加工装置側に配置され、弾性部材10により囲まれた状態で切削バイト本体2に支持される。また、コンデンサマイクロホン5の一端面に伝達ロッド4の基端部に設けた円板状の接触部9が接触される。
そして、このコンデンサマイクロホン5に振動収録装置(図示略)が接続されて、その表示部に切削振動がモニタリングされ、切削バイト1の切削状態が把握される。
次に、本発明の実施の形態に係る切削工具が切削ドリル1aに採用される形態を説明する。
本切削ドリル1aは、図2に示すように、切削ドリル本体(ホルダー)11内に、伝達ロッド4が挿通される開口7が軸線に対して傾斜して設けられる。また、伝達ロッド4の先端部には、切削ドリル本体11の開口7のドリル15(切削刃部)側先端の内周面に当接される先端コマ12が一体的に固着されている。
そして、切削ドリル本体11の開口7に隙間を介して伝達ロッド4が挿入されて、伝達ロッド4の先端部に固着された先端コマ12がドリル15に近接して配置される。
また、コンデンサマイクロホン5は、切削ドリル本体11の軸孔内で、切削加工装置側に配置されて、弾性部材10で囲まれるようにして切削ドリル本体11に支持される。そして、コンデンサマイクロホン5の一端面に伝達ロッド4の基端部に設けた円板状の接触部9が接触される。
そして、本発明の実施の形態に係る切削工具として採用される切削バイト1(又は切削ドリル1a)は、切削バイト本体2(又は切削ドリル本体11)内に挿通されて、先端部が超硬チップ3(又はドリル15)からの切削振動が伝達される位置、すなわち、先端部の先端コマ6が超硬チップ3(又はドリル15)に近接する位置に配置される伝達ロッド4と、該伝達ロッド4の基端部に接触され、該伝達ロッド4からの切削振動を検知するコンデンサマイクロホン5とを備えているので、切削時の切削振動を伝達ロッド4を介してコンデンサマイクロホン5により検知することができ、切削状態を把握することができる。
これにより、コンデンサマイクロホン5が、切削時の過酷な環境下に晒されることがなく、頻繁に不具合を起こすことはない。しかも、切削バイト1(又は切削ドリル1a)は、簡易な構成であるので実用的である。
また、本発明の実施の形態では、伝達ロッド4の伝達軸部8の外周面と、切削バイト本体2(又は切削ドリル本体11)に設けた開口7の内周面との間に隙間が設けられているので、切削バイト本体2(又は切削ドリル本体11)からの振動が伝達ロッド4に伝達されることがなく、超硬チップ3(又はドリル15)からの純粋な切削振動をコンデンサマイクロホン5により検知することができる。
図1は、本発明の実施の形態に係る切削工具が切削バイトに採用された場合の断面図である。 図2は、本発明の実施の形態に係る切削工具が切削ドリルに採用された場合の断面図である。
符号の説明
1 切削バイト(切削工具),1a 切削ドリル(切削工具),2 切削バイト本体(切削工具本体),3 超硬チップ(切削刃部),4 伝達ロッド,5 コンデンサマイクロホン(振動センサー),7 開口,9 接触部,11 切削ドリル本体(切削工具本体),15 ドリル(切削刃部)

Claims (3)

  1. 切削工具の切削振動を検知して切削状態を把握する切削工具であって、
    該切削工具本体内に挿通されて、先端部が切削刃部からの切削振動が伝達される位置に配置される伝達ロッドと、
    該伝達ロッドの基端部に接触され、該伝達ロッドからの切削振動を検知する振動センサーと、を備え、
    前記伝達ロッドの先端部は、前記切削工具本体の、前記切削刃部に近接する部位に接触される先端コマに接続されることを特徴とする切削工具。
  2. 前記伝達ロッドの外周面と、該伝達ロッドが挿通される、前記切削工具本体の開口の内周面との間に隙間を設けることを特徴とする請求項1に記載の切削工具。
  3. 前記振動センサーは、コンデンサマイクロホンであり、弾性部材により囲まれた状態で前記切削工具本体内に支持されることを特徴とする請求項1または2に記載の切削工具。
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