JP5229167B2 - ラジカル重合用組成物及びポリマーの製造方法 - Google Patents

ラジカル重合用組成物及びポリマーの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ラジカル重合用組成物及び該ラジカル重合用組成物を用いたポリマーの製造方法に関する。
従来より、過酸化物、アゾ化合物などの種々のラジカル重合開始剤が開発され、その一部が、現在、市販されている。
前記過酸化物は、開始剤効率が高く、持続的にラジカルを生成させることができ、しかも、アゾ化合物に比べて安価であることから、有効なラジカル重合開始剤として幅広く使用されている。しかし、前記過酸化物は、金属との接触や高濃度の濃縮で爆発しやすく、安全面でアゾ化合物に劣り、また、光照射による光ラジカル重合に対しては、開始剤として機能しないか、もしくは、機能してもその効率が極めて低いものが多い。
一方、前記アゾ化合物は、熱によるラジカル重合に対してだけでなく、光照射による光ラジカル重合に対しても開始剤として作用する反面、開始剤効率が低く、しかも高価であることから、コスト面で問題がある。
さらに、前記過酸化物及び前記アゾ化合物のいずれの開始剤も単独では、重合をリビング的に進行させることはできず、ブロック共重合体を定量的に合成するラジカル重合開始剤としては、適さない。
前記過酸化物乃至前記アゾ化合物と、他の化合物と、を触媒として併用した、種々のリビングラジカル重合系が見出されている。このリビングラジカル重合は、ポリマーの分子量を精密に制御できる方法として、新しいポリマー分子設計や新素材の開発において、必要不可欠な方法になりつつある。その中には、原子移動ラジカル重合、可逆的付加−解裂連鎖移動重合をはじめ、ニトロキシルラジカルを触媒とする重合系等がある。ニトロキシルラジカルを触媒とする重合系は、いずれも熱に対しては有効な重合系であるが、光重合が進行しない。
また、アルコキシアミンを用いたラジカル重合(例えば、特許文献1及び2参照)は、ニトロキシルラジカルを触媒とする重合系と同様に、いずれも熱に対しては有効な重合系であるが、光重合に対しては極めて効率が低い。
光重合は、熱重合に比べ、エネルギーの観点から環境への負荷が少ない。また、熱重合では不可能な、局所的な反応が可能である等のメリットがある。このような光重合のメリットを活かして、以前から分子量を制御できる光リビングラジカル重合系の開拓が盛んに行われており、いくつかの重合系が見出されている。しかし、それらの系は、分子量の制御ができなかったり、単量体の転化率が30%以下に限られていたり、あるいは、環境への負荷が大きいフッ化アルキルを触媒に使用しなければならない等の問題があった。
本発明は、光によりラジカル重合が効率的かつ十分に進行し、分子量が制御されたポリマーを得て、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、熱に対してだけでなく、熱よりも環境に対して負荷が少なく、かつ局所的な反応も可能である光に対しても効率よく反応するラジカル重合用組成物及びポリマーの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、熱に対するリビングラジカル重合の開始剤として従来より用いられてきた、下記一般式(1)で表される、アゾ系開始剤から生成するラジカルとニトロキシルラジカルとのアルコキシアミン付加体を重合開始剤とし、さらに、下記一般式(2)で表される光酸発生剤とを併用して光重合することにより、特定のラジカル重合性化合物(単量体)に対するリビング重合が著しく促進され、分子量分布の狭いポリマーが得られることを見出し、本発明を完成した。
前記一般式(1)中、R及びR2は、アルキル基を表し、該アルキル基は、エーテル基、エステル基、アミド基、カルボニル基及び水酸基の少なくともいずれかを含んでいてもよい。Rは、シアノ基を表す。また、Rは、水素原子及びアルキル基のいずれかを表し、該アルキル基は、アルコキシ基、エーテル基、エステル基、アミド基、カルボニル基及び水酸基の少なくともいずれかを含んでいてもよい。
前記一般式(2)中、R及びRは、水素原子及びアルキル基のいずれかを表し、該アルキル基は、ハロゲン基、アルコキシ基、及びフェノキシ基の少なくともいずれかを含んでいてもよい。
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては以下の通りである。即ち、
<1> 下記一般式(1)で表される化合物と、下記一般式(2)で表される化合物とを含むことを特徴とするラジカル重合用組成物である。
前記一般式(1)中、R及びR2は、アルキル基を表し、該アルキル基は、エーテル基、エステル基、アミド基、カルボニル基及び水酸基の少なくともいずれかを含んでいてもよい。Rは、シアノ基を表す。また、Rは、水素原子及びアルキル基のいずれかを表し、該アルキル基は、アルコキシ基、エーテル基、エステル基、アミド基、カルボニル基及び水酸基の少なくともいずれかを含んでいてもよい。
前記一般式(2)中、R及びRは、水素原子及びアルキル基のいずれかを表し、該アルキル基は、ハロゲン基、アルコキシ基、及びフェノキシ基の少なくともいずれかを含んでいてもよい。
<2> ラジカル重合性化合物を更に含む前記<1>に記載のラジカル重合用組成物である。
<3> 一般式(1)で表される化合物が光ラジカル重合開始剤である前記<1>から<2>のいずれかに記載のラジカル重合用組成物である。
<4> ラジカル重合性化合物が光リビングラジカル重合する前記<1>から<3>のいずれかに記載のラジカル重合用組成物である。
<5> ラジカル重合性化合物が、メタクリル酸エステル誘導体及びビニルエステル誘導体のいずれかである前記<1>から<4>のいずれかに記載のラジカル重合用組成物である。
<6> 前記<1>から<5>のいずれかに記載のラジカル重合用組成物を用いたことを特徴とするポリマーの製造方法である。
本発明によれば、光によりラジカル重合が効率的かつ十分に進行し、分子量が制御されたポリマーを得て、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、熱に対してだけでなく、熱よりも環境に対して負荷が少なく、かつ局所的な反応も可能である光に対しても効率よく反応するラジカル重合用組成物及びポリマーの製造方法を提供することができる。
図1は、実施例1の重合において、メタクリル酸メチルの各転化率で得られたポリマーのGPC曲線である。 図2は、実施例1の重合において、重合時間に対するメタクリル酸メチルの転化率の1次プロットである。
以下、本発明のラジカル重合用組成物及び該ラジカル重合用組成物を用いたポリマーの製造方法に関する詳細について具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に何ら拘束されることはなく、以下の事例以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜実施し得る。
(ラジカル重合用組成物)
本発明のラジカル重合用組成物は、少なくとも、ラジカル重合開始剤及び光酸発生剤を含有してなり、ラジカル重合性化合物、さらに必要に応じて、その他の成分を含有してなる。
<ラジカル重合開始剤>
前記ラジカル重合開始剤としては、下記一般式(1)で表される化合物である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記一般式(1)中、R及びR2は、アルキル基を表し、該アルキル基は、エーテル基、エステル基、アミド基、カルボニル基及び水酸基の少なくともいずれかを含んでいてもよい。Rは、シアノ基を表す。また、Rは、水素原子及びアルキル基のいずれかを表し、該アルキル基は、アルコキシ基、エーテル基、エステル基、アミド基、カルボニル基及び水酸基の少なくともいずれかを含んでいてもよい。
前記アルキル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、炭素数1〜12が好ましく、炭素数1〜10がより好ましく、炭素数1〜6が特に好ましい。
前記炭素数が12を超えると、開始剤効率の低下や単量体への溶解性が低下することがある。一方、前記炭素数が、特に好ましい範囲内であると、開始剤効率や溶解性の点で有利である。
前記一般式(1)で表される化合物としては、例えば、下記構造式(1)の1−シアノ−(1−メチルエトキシ)−4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(CMTMP)、1−シアノ−(1−メチルプロポキシ)−4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−シアノ−シクロヘキシロキシ−4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどが挙げられる。
前記一般式(1)で表される化合物は、例えば、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)と、アゾ系開始剤とを溶媒中で反応させることにより合成することができる。
前記一般式(1)で表される化合物を合成するために用いられるTEMPOは、4位に置換基が結合していてもよい。前記置換基の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルキル基、アルコキシ基、エーテル基、エステル基、アミド基、カルボニル基、水酸基などが挙げられる。
前記一般式(1)で表される化合物を合成するために用いられるアゾ系開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20℃〜120℃の範囲に10時間半減期温度を有するアゾ開始剤を使用することが好ましい。
前記アゾ系開始剤の具体例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2´−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2´−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2´−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル、1,1´−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2´−アゾビス−[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2´−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、などが挙げられる。
前記一般式(1)で表される化合物を合成するための溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、芳香族系溶媒、アルコール系溶媒、などが挙げられる。
前記芳香族系溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ベンゼンが好ましい。
前記アルコール系溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、メタノールが好ましい。
前記一般式(1)で表される化合物の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ラジカル重合性化合物総量1モルに対して、0.001モル〜0.05モルが好ましく、0.002モル〜0.01モルがより好ましい。
前記使用量が、0.001モル未満であると重合速度が極めて遅くなることがあり、0.05モルを超えると、高分子量体が得られ難いことがある。一方、前記使用量がより好ましい範囲内であると、重合速度の制御が可能である、かつ高分子量体を得やすいという点で有利である。
前記一般式(1)で表される化合物におけるアルコキシアミン構造中のC−O−N結合のC−O間の結合が、光照射によりC・と・O−Nに均一に解裂し、2種類のラジカルを生成する。このラジカルのうち、C・ラジカルがラジカル重合性化合物に付加して重合を開始する。一方、・O−Nは、前記ラジカル重合性化合物の重合によって生成した生長ラジカルと結合する。しかし、生長ラジカルと・O−Nラジカルとの間に生じる結合力は弱いので、この生長ラジカルと・O−Nラジカルとの間で、再結合−解離を繰り返す。この繰り返し反応で、結合が解離したときに、生長ラジカルと・O−Nラジカルとの間にラジカル重合性化合物が挿入し、重合が進行する。
前記一般式(1)で表される化合物は、この開始剤から生じる一方のラジカル(C・ラジカル)が重合の真の開始剤として作用し、もう一方のラジカル(・O−Nラジカル)が生長ラジカルの制御剤として作用する。
<光酸発生剤>
前記光酸発生剤としては、下記一般式(2)で表される限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記光酸発生剤の添加により、重合速度が著しく加速される。
前記一般式(2)中、R及びRは、水素原子及びアルキル基のいずれかを表し、該アルキル基は、ハロゲン基及びエーテル基の少なくともいずれかを含んでいてもよい。
前記一般式(2)で表される光酸発生剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、種々の化合物への溶解性の高い、下記一般式(3)で表される、 芳香族にアルキル基が置換されたヨードニウム塩を使用することがより好ましい。
ここで、nは、メチレン基の数を示す整数である。
アルキル基の長さC2n+1としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、メチレン基の数nが0〜20であることが好ましく、メチレン基の数nが10〜14であることがより好ましい。
前記メチレン基の数nが20を超えると、単量体への溶解性が低下することがある。一方、前記数nがより好ましい範囲内であると、単量体への溶解が容易であるという点で有利である。
前記一般式(3)で表される化合物としては、例えば、nが0である、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、アルキル基C2n+1のnが10〜14であるビス(アルキルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェートなどが挙げられる。
前記光酸発生剤の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、分子量制御の点で、前記一般式(1)の化合物1モルに対して、1モル以下が好ましい。
<ラジカル重合性化合物>
前記ラジカル重合性化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタクリル酸エステル誘導体、ビニルエステル誘導体などが挙げられる。
前記メタクリル酸エステル誘導体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸アルキル、メタクリル酸パーフルオロアルキル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸2−ジメチルアミノエチル、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ビニルエステル誘導体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酢酸ビニル、クロロ酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(ポリマーの製造方法)
本発明のポリマーの製造方法では、本発明のラジカル重合用組成物を用いてラジカル重合を行う。
前記ポリマーの製造方法に用いられる光源としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、高圧水銀ランプであることが好ましく、400W以上の出力を持つ超高圧水銀ランプであることがより好ましい。
また、前記ポリマーの製造方法の温度範囲としては、5℃〜40℃が好ましく、15℃〜30℃(室温)がより好ましい。
前記ポリマーの製造方法で得られたポリマーの数平均分子量(Mn)は、多くの場合、単分散ポリメタクリル酸メチル標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)により測定した値で、約10,000〜70,000であり、また、分子量分布(Mw/Mn)は1.6〜1.8である。ただし、重合性化合物の転化率が60%を超えると、分子量分布は、1.9〜2.3となる。
即ち、前記ポリマーの製造方法を用いることにより、特定の重合性化合物に対してリビング重合を進行させて、分子量分布の狭いポリマーを製造することができる。
(合成例1)
<ラジカル重合開始剤の合成>
ベンゼン(和光純薬工業株式会社製)を、20質量%の濃硫酸で5回洗浄後、水、5質量%の水酸化ナトリウム水溶液、水の順序で洗浄し、ナトリウム存在下で蒸留することによって不純物を除去して精製した。この精製したベンゼン30mLに、アゾビス(イソブチロニトリル)1gと、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル1.81gとを加えて溶解させた。この混合物を脱気封管し、70℃のオイルバス中で16時間反応させた。その後、開封し、エバポレーターでベンゼンを除去した。この粗成物から、体積比で50:1の石油エーテル:酢酸エチルの混合溶液を溶離液として、酸化アルミニウムを用いるカラムクロマトグラフィにより生成物を単離した。この生成物をヘキサンから3回再結晶することにより、目的とする重合開始剤である、下記構造式(1)で表される1−シアノ−(1−メチルエトキシ)−4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(CMTMP)0.615gを白色結晶として得た。構造の決定は核磁気共鳴スペクトル(商品名:300 FT NMR スペクトロメーター、Varian製)により行った。各シグナルの値は以下の通りである。1.18(6H,s),1.26(6H,s),1.40(2H,m),1.69(6H,s),1.92(2H,m),3.33(3H,s),及び3.45ppm(1H,m)。
(実施例1)
<メタクリル酸メチルの光リビングラジカル重合>
メタクリル酸メチル単量体(和光純薬工業株式会社製)を、5重量%の水酸化ナトリウム水溶液で洗浄後、水素化カルシウム存在下で減圧蒸留することによって、ラジカル重合禁止剤を除去して精製した。この精製したメタクリル酸メチル単量体の1mLに、ラジカル重合開始剤としての1−シアノ−(1−メチルエトキシ)−4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(CMTMP)12mgと、光酸発生剤としてのビス(アルキルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェートの50重量%プロピレンカーボネート溶液72mgとを加えて溶解させた。ここで、ビス(アルキルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェートのアルキル基C2n+1の鎖長nは、10〜14である。この混合物を脱気封管し、室温で500Wの超高圧水銀ランプ(ワコム製)により7.0Aの出力の元で、7時間光照射を行った。その後開封し、塩化メチレン5mLを加え、固化した生成物を完全に溶解させた。この塩化メチレン溶液をヘキサン500mLに滴下し、生成したポリメタクリル酸メチルを単離した。得られたポリマーを減圧乾燥することにより、624mgのポリメタクリル酸メチルを得た。このポリマーの数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)は、標準ポリメタクリル酸メチル換算で、それぞれ、Mn=19,200及びMw/Mn=1.96であった。
なお、ポリマーの分子量測定は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)によって以下の条件で測定した。
<GPCによる分子量測定条件>
・装置:GPC−8020(東ソー製)
・カラム:TSK G2000HXL、G4000HXL及びG6000HXL(東ソー製)
・温度:40℃
・溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
・流速:1.0mL/分
・試料:濃度0.5%の試料を1mL注入
以上の条件で測定したポリマーの分子量分布から、単分散ポリメタクリル酸メチル標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して、ポリマーの数平均分子量Mn、重量平均分子量Mwとして算出した。
メタクリル酸メチルの各転化率で得られたポリマーのGPC曲線を図1に示す。図1より、転化率の増加にしたがって、GPC曲線の溶出時間が早くなっている(転化率は右から、17%、33%、48%、55%、67%、94%である)ことが分かる。また、重合時間に対するメタクリル酸メチルの転化率の1次プロットを図2に示す。重合時間に対して転化率の1次プロットが直線的に増加し、重合がリビング的に進行したことが示唆された。
(比較例1)
<メタクリル酸メチルの光ラジカル重合>
実施例1に記載の方法で精製したメタクリル酸メチル1mLに、アゾビス(イソブチロニトリル)の8mgを溶解させた。この混合物を脱気封管し、室温で500Wの超高圧水銀ランプ(ワコム製)により7.0Aの出力の元で、95分間光照射を行った。その後、開封し、塩化メチレン10mLを加え、固化した生成物を完全に溶解させた。この塩化メチレン溶液を500mLのメタノールに加え、沈澱したポリマーをろ別、乾燥することにより、861mgのポリメタクリル酸メチルを得た。このポリマーの数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)は、標準ポリメタクリル酸メチル換算で、それぞれ、Mn=64,000及びMw/Mn=4.98であった。
(実施例2)
<酢酸ビニルの光リビングラジカル重合>
酢酸ビニル単量体(和光純薬工業株式会社製)を、10重量%の水酸化ナトリウム水溶液で洗浄後、水素化カルシウム存在下で減圧蒸留することによってラジカル重合禁止剤を除去して精製した。この精製した酢酸ビニル単量体の1mLに、ラジカル重合開始剤としての1−シアノ−(1−メチルエトキシ)−4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(CMTMP)と、光酸発生剤としてのビス(アルキルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェートの50重量%プロピレンカーボネート溶液72mgとを加えて溶解させた。ここで、ビス(アルキルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェートのアルキル基C2n+1の鎖長nは10〜14である。この混合物を脱気封管し、室温で500Wの超高圧水銀ランプ(ワコム製)により7.0Aの出力の元で、2時間光照射を行った。その後、開封し、塩化メチレン10mLを加え、固化した生成物を完全に溶解させた。この塩化メチレン溶液をエバポレーターで除去後、ベンゼン20mLを加えて凍結乾燥することにより、715mgのポリ酢酸ビニルを得た。このポリマーの数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)は、標準ポリメタクリル酸メチル換算で、それぞれ、Mn=38,700及びMw/Mn=2.09であった。
(比較例2)
<酢酸ビニルの光ラジカル重合>
実施例2に記載の方法で精製した酢酸ビニル単量体1mLに、アゾビス(イソブチロニトリル)の8mgを溶解させた。この混合物を脱気封管し、室温で500Wの超高圧水銀ランプ(ワコム製)により7.0Aの出力の元で、100分間光照射を行った。その後、開封し、塩化メチレン10mLを加え、固化した生成物を完全に溶解させた。この塩化メチレン溶液をエバポレーターで除去後、ベンゼン20mLを加えて凍結乾燥することにより、761mgのポリ酢酸ビニルを得た。このポリマーの数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)は、標準ポリメタクリル酸メチル換算で、それぞれ、Mn=59,900及びMw/Mn=3.06であった。
(比較例3)
<メタクリル酸メチルの光ラジカル重合>
実施例1に記載の方法で精製したメタクリル酸メチル1mLに、実施例1に記載のCMTMP12mgを溶解させた。この混合物を脱気封管し、室温で500Wの超高圧水銀ランプ(ワコム製)により7.0Aの出力の元で、24時間光照射を行った。その後開封し、塩化メチレン5mLを加え、生成物を完全に溶解させた。この塩化メチレン溶液からエバポレーターにより塩化メチレンを除去し減圧乾燥することにより、生成物15mgを得た。生成物の数平均分子量はMn=187であった。数平均分子量がMn=187であることにより、十分に重合が進行していないことが判った。
本発明のラジカル重合用組成物は、ラジカル重合開始剤が熱によるラジカル重合の開始剤として作用するだけでなく、光照射によるラジカル重合の開始剤としても機能し、さらに、特定の重合性化合物(単量体)に対して重合をリビング的に進行させることができるので、各種界面活性剤、異種ポリマーを混合する際の相溶化剤、繊維の表面改質剤、塗料及び染料の分散安定剤、建築用セメントの分散剤、薬物輸送システムの薬物運搬体などの多くの用途に使用されるブロック共重合体の合成に好適に利用可能である。
特開2004−67680号公報 特表2002−506895号公報 特表2005−532442号公報 米国特許第4581429号明細書
K. Matyjaszewski, J. Xia, Chem. Rev. 2001, 101, 2921. G. Moad, E. Rizzardo, S. H. Thang, Acc. Chem. Res. 2008, 41, 1133. C. J. Hawker, A. W. Bosman, E. Harth, Chem. Rev. 2001, 101, 3661 T. Otsu, T. Matsunaga, T. Doi, A. Matsumoto, Eur. Polym. J. 1995, 31, 67. T. Otsu, A. Kuriyama, Polym. J. 1985, 17, 97. M. Imoto, T. Otsu, J. Yonezawa, Makromol. Chem. 1960, 36, 93. N. Ueda, M. Kamigaito, M. Sawamoto, Polym. Prepr. Jpn. 1997, 46, 149.

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)で表される化合物と、下記一般式(2)で表される化合物とを含むことを特徴とするラジカル重合用組成物。
    前記一般式(1)中、R及びR2は、アルキル基を表し、該アルキル基は、エーテル基、エステル基、アミド基、カルボニル基及び水酸基の少なくともいずれかを含んでいてもよい。Rは、シアノ基を表す。また、Rは、水素原子及びアルキル基のいずれかを表し、該アルキル基は、アルコキシ基、エーテル基、エステル基、アミド基、カルボニル基及び水酸基の少なくともいずれかを含んでいてもよい。
    前記一般式(2)中、R及びRは、水素原子及びアルキル基のいずれかを表し、該アルキル基は、ハロゲン基、アルコキシ基、及びフェノキシ基の少なくともいずれかを含んでいてもよい。
  2. ラジカル重合性化合物を更に含む請求項1に記載のラジカル重合用組成物。
  3. ラジカル重合性化合物が光リビングラジカル重合する請求項2に記載のラジカル重合用組成物。
  4. ラジカル重合性化合物が、メタクリル酸エステル誘導体及びビニルエステル誘導体のいずれかである請求項2から3のいずれかに記載のラジカル重合用組成物。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載のラジカル重合用組成物に光を照射することを特徴とするポリマーの製造方法。
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