JP5228895B2 - 流体軸受装置の軸受部材の製造方法およびその方法により製造された流体軸受装置の軸受部材 - Google Patents

流体軸受装置の軸受部材の製造方法およびその方法により製造された流体軸受装置の軸受部材 Download PDF

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Description

本発明は、流体圧により回転軸を軸承する流体軸受装置の軸受部材の製造方法およびその方法により製造された流体軸受装置の軸受部材に関する。
例えば研削盤の砥石軸(回転軸)には、流体軸受装置として動圧流体軸受装置もしくは静圧流体軸受装置が使用されている。しかし、動圧流体軸受装置は、回転軸が回転しているときは高い軸受剛性を発生するが、回転軸が回転していないときは軸受剛性が発生しない。一方、静圧流体軸受装置は、回転軸が回転していないときでも高い軸受剛性を発生するが、軸受部材の静圧発生溝部の形状や供給油圧によって軸受剛性が規定されてしまう。そのため、より高い軸受剛性を常に発生させる必要がある場合は、動圧流体軸受装置と静圧流体軸受装置の両方の特性を持つ複合型の流体軸受装置が使用されている。
かかる複合型の流体軸受装置としては、例えば、特許文献1に記載されているように、軸受部材の内周面には、絞りノズルを備えた油供給孔が溝底に開口したU字形溝(静圧発生溝部)が形成されている。このU字形溝は脚部が軸回転方向又はその逆方向を向いて形成されている。U字形溝の両側には、脚部と平行した排油溝が形成されている。U字形溝に囲われた四辺形の軸受面域は動圧発生用ランド(動圧発生部)となっている。油供給孔からは絞りノズルで減圧調整された潤滑油がU字形溝に流出し、U字形溝と回転軸の外周面とによる空間を満して静圧を発生した後、軸受部材の内周面と回転軸の外周面との間で絞られて排油溝に流出し、外部に排出される。それにより静圧流体軸受として機能すると共に、U字形溝と回転軸の外周面とによる空間を満した潤滑油は、動圧発生用ランドと回転軸の外周面との間の隙間に流入して回転軸の回転において、動圧発生用ランドの軸受面とその半径より軸受隙間分だけ小径となる回転軸の外周面との間における潤滑油の楔作用により動圧が発生して、流体軸受に動圧効果も加わる。
さらに、例えば、特許文献2に記載されているように、動圧発生用ランドの軸受面と回転軸の外周面との間の軸受隙間を軸回転方向に対して徐々に小さくなるような楔状となるように動圧発生用ランドの軸受面を加工しておくことにより、回転軸の回転において上記軸受隙間に存在する潤滑油の楔作用による動圧をより効果的に発生させることができる。
特開平10−259823号公報(段落0002,0003、図9) 特開平10−227312号公報(段落0003,0021、図3,9)
楔状の軸受隙間を有する軸受部材を製造する際には、軸受部材の素材である基材に形成した動圧ランドに例えば円弧長さ30mm〜40mmに対し最大隙間10μm〜20μmの楔状の軸受隙間を高精度に形成する必要がある。このため、研削工具の送りと基材の位相を同時制御する内径研削加工により軸受隙間を動圧ランドに形成しているが、設計仕様通りの軸受剛性を得るために高精度の軸受隙間を動圧ランドに形成する場合は研削加工時間が長くなる傾向にある。
本発明は、高精度の軸受隙間を動圧発生部に簡易に形成することができる流体軸受装置の軸受部材の製造方法およびその方法により製造された流体軸受装置の軸受部材を提供することである。
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明の構成上の特徴は、流体圧により回転軸を軸承する流体軸受装置の軸受部材の製造方法において、前記軸受部材の素材である基材に前記軸受部材の内周面および外周面をを形成する周面形成ステップと、前記基材の内周面に溝を複数形成して静圧発生溝部を周方向に複数形成すると共に、前記静圧発生溝部で囲まれた動圧発生部に楔状の軸受隙間を形成するために、前記静圧発生溝部に対応する前記基材の外周面に溝を複数形成して軸受隙間形成用溝部を形成する溝形成ステップと、前記基材の内部を密閉し、前記静圧発生溝部と前記軸受隙間形成用溝部との間の最薄肉部分が塑性変形する圧力を前記基材の内周面に加え、前記動圧発生部に前記軸受隙間を形成する加圧ステップと、を含むことである。
請求項2に記載の発明の構成上の特徴は、請求項1において、前記溝形成ステップは、前記基材の内周面に、軸方向に延びる第1静圧溝および該第1静圧溝の両端から周方向に延びる第2、第3静圧溝でなる静圧発生溝部を周方向に複数形成すると共に、前記基材の外周面に、前記第1静圧溝と対向する軸方向に延びる第1形成用溝および前記第2、第3静圧溝と対向する周方向に延びる第2、第3形成用溝並びに該第2、第3形成用溝の先端間を接続する軸方向に延びる第4形成用溝でなる軸受隙間形成用溝部を形成するステップであることである。
請求項3に記載の発明の構成上の特徴は、請求項1において、前記溝形成ステップは、前記基材の内周面に、軸方向に延びる第1静圧溝および該第1静圧溝の両端から周方向に延びる第2、第3静圧溝並びに該第2、第3静圧溝の先端間を接続する軸方向に延びる第4静圧溝でなる静圧発生溝部を周方向に複数形成すると共に、前記基材の外周面に、前記第1静圧溝と対向する軸方向に延びる第1形成用溝および前記第2、第3静圧溝と対向する周方向に延びる第2、第3形成用溝でなる軸受隙間形成用溝部を形成するステップであることである。
請求項4に記載の発明の構成上の特徴は、流体軸受装置の軸受部材が、請求項1〜3の何れか一項に記載の流体軸受装置の軸受部材の製造方法により製造されたことである。
請求項1に係る発明によれば、軸受部材の素材である基材の内周面に溝を複数形成して静圧発生溝部を周方向に複数形成すると共に、静圧発生溝部で囲まれた動圧発生部に楔状の軸受隙間を形成するために、静圧発生溝部に対応する基材の外周面に溝を複数形成して軸受隙間形成用溝部を形成し、静圧発生溝部と軸受隙間形成用溝部との間の最薄肉部分が塑性変形する圧力を基材の内周面に加えて軸受隙間を形成している。これにより、動圧発生部の変位量を測定管理しながら基材内周面への加圧力を調整管理して楔状の軸受隙間を形成することができるため、従来の内径研削加工による場合と比較して高精度の楔状の軸受隙間を簡易に形成でき、製造効率を大幅に向上させることができる。よって、軸受剛性および軸受能力が高い流体軸受装置を低コストで製造することができる。このように動圧発生部の軸受面と回転軸の外周面との間の軸受隙間を軸回転方向に対して徐々に小さくなるような楔状となるように動圧発生部の軸受面を塑性変形させているので、回転軸の回転において上記軸受隙間に存在する潤滑油の楔作用による動圧をより効果的に発生させることができる。
請求項2に係る発明によれば、軸方向に延びる第1静圧溝および該第1静圧溝の両端から周方向に延びる第2、第3静圧溝でなる静圧発生溝部、即ち略Uの字形状でなる静圧発生溝部を基材の内周面に周方向に複数形成すると共に、第1静圧溝と対向する軸方向に延びる第1形成用溝および第2、第3静圧溝と対向する周方向に延びる第2、第3形成用溝並びに該第2、第3形成用溝の先端間を接続する軸方向に延びる第4形成用溝でなる軸受隙間形成用溝部、即ちロの字形状でなる軸受隙間形成用溝部を基材の外周面に形成している。これにより、第1、第2、第3静圧溝の底部と第1、第2、第3形成用溝の底部との間の部分が最も薄肉の部分となり、第4形成用溝の底部と内周面との間の部分が次に薄肉の部分となるので、上記最薄肉部分が塑性変形する圧力を基材内周面に加えるのみにより、動圧発生部に楔状の軸受隙間を高精度に形成することができる。
請求項3に係る発明によれば、軸方向に延びる第1静圧溝および該第1静圧溝の両端から周方向に延びる第2、第3静圧溝並びに該第2、第3静圧溝の先端間を接続する軸方向に延びる第4静圧溝でなる静圧発生溝部、即ちロの字形状でなる静圧発生溝部を基材の内周面に周方向に複数形成すると共に、第1静圧溝と対向する軸方向に延びる第1形成用溝および前記第2、第3静圧溝と対向する周方向に延びる第2、第3形成用溝でなる軸受隙間形成用溝部、即ち略Uの字形状でなる軸受隙間形成用溝部を基材の外周面に形成している。これによっても、第1、第2、第3静圧溝の底部と第1、第2、第3形成用溝の底部との間の部分が最も薄肉の部分となり、外周面と第4静圧溝の底部との間の部分が次に薄肉の部分となるので、上記最薄肉部分が塑性変形する圧力を基材内周面に加えるのみにより、動圧発生部に楔状の軸受隙間を高精度に形成することができる。
請求項4に係る発明によれば、流体軸受装置の軸受部材を請求項1〜3の何れか一項に記載の流体軸受装置の軸受部材の製造方法により製造しているので、軸受剛性および軸受能力が高い低コストな流体軸受装置を得ることができる。
以下、本発明の第1の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、流体軸受装置の円筒状の軸受部材10は、例えば研削盤の砥石台に設けられている軸受ハウジング1内に嵌着されている。この軸受部材10には、砥石軸(回転軸)20が油圧により回転可能に軸承されている。
図2(A),(B)に示すように、軸受部材10の内周面10aには、軸方向に延びる第1静圧溝11aおよび該第1静圧溝11aの両端から周方向に延びる第2、第3静圧溝11b,11cが周方向に複数凹設されている。即ち、一対の第2、第3静圧溝11b,11cは軸方向に離間しており、第1静圧溝11aは第2、第3静圧溝11b,11cの周方向の一端側を接続している。第1、第2、第3静圧溝11a,11b,11cは、静圧を発生させる略Uの字形状(コの字等を含む形状)の静圧ポケット(静圧発生溝部)11であり、略Uの字状の静圧ポケット11に囲まれた部分は、動圧を発生させる動圧ランド(動圧発生部)12である。このような静圧ポケット11と動圧ランド12を1組として複数組が軸受部材10の内周面10aに周方向に一定間隔で形成されている。
中心軸に位置しているときの回転軸20と動圧ランド12との軸受隙間16は、回転方向に対して徐々に小さくなるような楔状、即ち静圧ポケット11の第1静圧溝11aから第2、第3静圧溝11b,11cの周方向の他端側に向かって隙間が徐々に小さくなるような楔状に形成されている。また、静圧ポケット11の軸方向両側には、第2、第3静圧溝11b,11cと平行な環状溝13a,13bが全周にわたって凹設され、各静圧ポケット11の周方向間には、第1静圧溝11aと平行であり2つの環状溝13a,13bを接続して各静圧ポケット11を分離する分離溝13cが周方向に複数凹設されている。環状溝13a,13bおよび分離溝13cは、油を排出するドレン溝13である。
図3に示すように、軸受部材10の外周面10bには、第1静圧溝11aと対向する軸方向に延びる第1形成用溝14aおよび第2、第3静圧溝11b,11cと対向する周方向に延びる第2、第3形成用溝14b,14c並びに該第2、第3形成用溝14b,14cの先端間を接続する軸方向に延びる第4形成用溝14dが周方向に複数凹設されている。第1、第2、第3、第4形成用溝14a,14b,14c,14dは、詳細は後述するが、動圧ランド12の内周側に楔状の軸受隙間16を形成するためのロの字形状の軸受隙間形成用溝14である。軸受隙間形成用溝14には、静圧ポケット11の第1静圧溝11aに開口されている供給口11dに連通する連通孔14eが穿孔されている。このような軸受隙間形成用溝14は、軸受部材10の外周面10bに静圧ポケット11に対向して形成されている。そして、各軸受隙間形成用溝14は、周方向に延びる連結溝14fにより連結されている。
図1に示すように、軸受ハウジング1には、軸受隙間形成用溝14に対応する上部位置に油の供給路1aが設けられ、ドレン溝13の環状溝13a,13bに対応する下部位置に油の排出路1b、1cが設けられている。油供給ポンプPは軸受ハウジング1の供給路1aに接続されている。また、油槽Tは軸受ハウジング1の排出路1b、1cに接続されている。
以上のような構成の流体軸受装置の作用を説明する。油供給ポンプPから軸受ハウジング1の供給路1aに潤滑油が供給されると、軸受部材10の外周面10bに形成された軸受隙間形成用溝14から絞り作用をなす連通孔14eで減圧調整されて供給口11dに潤滑油が供給される。そして、この供給口11dから軸受部材10の内周面10aに形成された静圧ポケット11(第1静圧溝11aから第2、第3静圧溝11b,11c)に潤滑油が流出し、静圧ポケット11(第1、第2、第3静圧溝11a,11b,11c)と回転軸20の外周面とによる空間を満して静圧を発生した後、軸受部材10の内周面10aと回転軸20の外周面との間で絞られてドレン溝13(環状溝13a,13bおよび分離溝13c)に流出して外部に排出される。それにより静圧流体軸受として機能する。
さらに、静圧ポケット11(第1、第2、第3静圧溝11a,11b,11c)と回転軸20の外周面とによる空間を満した潤滑油は、動圧ランド12の軸受面と回転軸20の外周面との間の軸受隙間16にも流入しているので、回転軸20の回転において、軸回転方向に対して徐々に小さくなるような楔状となるように形成された軸受隙間16における潤滑油の楔作用により動圧が発生して、流体軸受に動圧効果も加わる。
このように動圧ランド12の内周側の軸受隙間16を楔状に形成しているので、該軸受隙間16に潤滑油が導入され易くなり、軸受剛性の安定性や負荷能力をより一層向上させることが可能となる。また、動圧ランド12の回転方向にドレン溝13(分離溝13c)を形成しているので、回転軸20の回転が高速であっても動圧ランド12において流体摩擦により発熱する潤滑油をドレン溝13(分離溝13c)にて回収することができ、軸受部材10の熱膨張による悪影響を抑制することができる。
次に、流体軸受装置の軸受部材10の製造方法について説明する。図4に示すように、内周面10aおよび外周面10bを形成して軸受部材10の素材である基材10Aを製作し、この基材10Aに静圧ポケット11(第1、第2、第3静圧溝11a,11b,11c)、供給口11d、ドレン溝13(環状溝13a,13bおよび分離溝13c)、軸受隙間形成用溝14(第1、第2、第3、第4形成用溝14a,14b,14c,14d)、連通孔14eを形成する。この時点での基材10Aには、動圧ランド12の内周側に楔状の軸受隙間16はまだ形成されていない。なお、軸受隙間形成用溝14に囲まれた部分、即ち動圧ランド12の外径は、楔状の軸受隙間16を形成する際の逃げとなるように基材10Aの外径よりも若干小径に形成する。なお、供給口11dおよび連通孔14eは、軸受隙間16を形成した後に加工するようにしても良い。
そして、基材10Aの内周面10aに油圧を掛けるためのジグ30を用意する。このジグ30は、基材10Aの内径よりも若干小径の円筒部31と基材10Aの両端面10c,10dと密着して基材10Aの内部を密閉するフランジ部32,33を備えている。フランジ部32は円筒部31の左端面と一体化されており、フランジ部33は円筒部31の右端面にネジ等により固定されている。そして、フランジ部32の端面略中央から円筒部31の軸方向の略中央に至り、そこから直角に2方向に折れて円筒部31の外周面31aに貫通する油路34が穿設されている。フランジ部32の端面略中央の油路34の供給口34aには、油圧ポンプOPがチューブTUにより接続されている。
そして、基材10Aの連通孔14eを詰栓等により塞ぎ、フランジ部33が外された円筒部31を基材10Aの内部に挿入し、円筒部31の右端面にフランジ部33をネジ等により固定する。このとき、フランジ部32,33の内端面と基材10Aの両端面10c,10dとの間にはシール部材が介在される。これにより、基材10Aの内部は密閉されることになる。なお、供給口11dおよび連通孔14eを後加工する場合は上記詰栓は不要となる。続いて、動圧ランド12の外周面のうち、回転軸20の回転方向に対し第4形成用溝14dよりも前方側にある第1形成用溝14aの縁部の外周面に例えばダイアルゲージGのプローブ先端を接触させる。
そして、このダイアルゲージGにより第1形成用溝14aの縁部の外周面の変位量を測定管理しながら、油圧ポンプOPを作動させて基材10Aの内周面10aに掛ける加圧力を調整管理していく。この油圧は、基材10Aの最も薄肉部分となる静圧ポケット11の第1、第2、第3静圧溝11a,11b,11cの底面とこれらの底面に対向する軸受隙間形成用溝14の第1、第2、第3形成用溝14a,14b,14cの底面との間の部分(最薄肉部分)15aを塑性変形させる圧力であり、流体軸受装置に供給される圧力(例えば数MPa)よりも遥かに高い圧力(例えば数十MPa)である。
これにより、図5に示す上記最薄肉部分15aの次に薄肉部分となる軸受隙間形成用溝14の第4形成用溝14dの底面と該底面に対向する内周面10aとの間の部分(薄肉部分)15bを支点として、動圧ランド12が外側に迫り出すように変形していく。なお、最薄肉部分15aを塑性変形させるとき、そのスプリングバックで戻る分を勘案して変形させるようにする。そして、ダイアルゲージGにより第1形成用溝14aの縁部の外周面の変位が所定量に達したとき、油圧ポンプOPの作動を停止して油圧を除去する。これにより、動圧ランド12の内周側には、回転軸20の回転方向に対して徐々に小さくなるような楔状、即ち静圧ポケット11の第1静圧溝11aから第2、第3静圧溝11b,11cの周方向の他端側に向かって隙間が徐々に小さくなるような楔状、例えば円弧長さwが30mm〜40mmのとき最大隙間hが10μm〜20μmとなる楔状の軸受隙間16が形成される。以上により、流体軸受装置の軸受部材10の製造が完了する。
次に、本発明の第2の実施の形態を、第1の実施の形態を示す図2および図3に対応させた図6および図7に基づいて説明する。なお、第1の実施の形態と同一構成部材は同一番号を付して詳細な説明は省略する。
図6(A),(B)に示すように、軸受部材40の内周面40aには、軸方向に延びる第1静圧溝41aおよび該第1静圧溝41aの両端から周方向に延びる第2、第3静圧溝41b,41c並びに該第2、第3静圧溝41b,41cの先端間を接続する軸方向に延びる第4静圧溝41dが周方向に複数凹設されている。即ち、一対の第2、第3静圧溝41b,41cは軸方向に離間しており、第1静圧溝41aは第2、第3静圧溝41b,41cの周方向の一端側を接続し、第4静圧溝41aは第2、第3静圧溝41b,41cの周方向の他端側を接続している。第1、第2、第3、第4静圧溝41a,41b,41c,41dは、静圧を発生させるロの字形状の静圧ポケット(静圧発生溝部)41であり、ロの字状の静圧ポケット41に囲まれた部分は、動圧を発生させる動圧ランド(動圧発生部)42である。このような静圧ポケット41と動圧ランド42を1組として複数組が軸受部材40の内周面40aに周方向に一定間隔で形成されている。
中心軸に位置しているときの回転軸20と動圧ランド42との軸受隙間46は、回転方向に対して徐々に小さくなるような楔状、即ち静圧ポケット41の第1静圧溝41aから第4静圧溝41dに向かって隙間が徐々に小さくなるような楔状に形成されている。また、静圧ポケット41の軸方向両側には、第2、第3静圧溝41b,41cと平行な環状溝13a,13bが全周にわたって凹設され、各静圧ポケット41の周方向間には、第1静圧溝41aと平行であり2つの環状溝13a,13bを接続して各静圧ポケット41を分離する分離溝13cが周方向に複数凹設されている。環状溝13a,13bおよび分離溝13cは、油を排出するドレン溝13である。
図7に示すように、軸受部材40の外周面40bには、第1静圧溝41aと対向する軸方向に延びる第1形成用溝44aおよび第2、第3静圧溝41b,41cと対向する周方向に延びる第2、第3形成用溝44b,44cが周方向に複数凹設されている。第1、第2、第3形成用溝44a,44b,44cは、動圧ランド42の内周側に楔状の軸受隙間46を形成するための略Uの字形状(コの字等を含む形状)の軸受隙間形成用溝44である。軸受隙間形成用溝44には、静圧ポケット41の第1静圧溝41aに開口されている供給口11dに連通する連通孔14eが穿孔されている。このような軸受隙間形成用溝44は、軸受部材40の外周面40bに静圧ポケット41に対向して形成されている。そして、各軸受隙間形成用溝44は、周方向に延びる連結溝14fにより連結されている。以上のように静圧ポケット41(第1、第2、第3、第4静圧溝41a,41b,41c,41d)をロの字形状に形成し、軸受隙間形成用溝(第1、第2、第3形成用溝44a,44b,44c)を略Uの字形状に形成することによっても、第1の実施の形態の軸受部材10と同様の製造方法により動圧ランド42の内周側に楔状の軸受隙間46を形成することができる。
図8(A)は、第1の実施の形態の流体軸受装置の動圧ランド12にて周方向に発生する動圧Paのみの変化を示す図、同図(B)は、第2の実施の形態の流体軸受装置の動圧ランド42にて周方向に発生する動圧Pbのみの変化を示す図である。同図(A)に示すように、第1の実施の形態の流体軸受装置の静圧ポケット11(第1、第2、第3静圧溝11a,11b,11c)を略Uの字形状に形成し、軸受隙間形成用溝14(第1、第2、第3、第4形成用溝14a,14b,14c,14d)をロの字形状に形成することにより動圧ランド12の内周側に形成した楔状の軸受隙間16によれば、動圧ランド12にて第2、第3静圧溝11b,11cの先端付近で最大となって第2、第3静圧溝11b,11cの先端から第1静圧溝11aに向かうに従って低下する動圧Paを発生させることができる。
一方、同図(B)に示すように、第2の実施の形態の流体軸受装置の静圧ポケット41(第1、第2、第3、第4静圧溝41a,41b,41c,41d)をロの字形状に形成し、軸受隙間形成用溝(第1、第2、第3形成用溝44a,44b,44c)を略Uの字形状に形成することにより動圧ランド42の内周側に形成した楔状の軸受隙間46によれば、動圧ランド42にて第4静圧溝41d付近で最大となって第4静圧溝41dから第1静圧溝41aに向かうに従って低下する動圧Pbを発生させることができる。このように、ロの字形状に形成した静圧ポケット41の第4静圧溝41dの影響により、第2の実施の形態の流体軸受装置の動圧ランド42は、第1の実施の形態の流体軸受装置の動圧ランド12よりも円周方向長さが短くなるため動圧発生能力が若干低下する(Paの最大値>Pbの最大値)が、実用には十分耐える能力を備えている。
なお、上述した実施形態では、静圧ポケット11を略Uの字形状もしくはロの字形状に形成し、軸受隙間形成用溝14をロの字形状もしくは略Uの字形状に形成した場合を説明した。しかし、静圧ポケット11は略Uの字形状(第1、第2、第3静圧溝11a,11b,11c)に形成し、軸受隙間形成用溝14を第1静圧溝11aと対向する第1形成用溝14aおよび第2、第3静圧溝11b,11cの先端を結ぶ部分と対向する第4形成用溝14dのニの字形状に形成しても、最薄肉部分15aと薄肉部分15bを形成できるので、動圧ランド12の内周側に楔状の軸受隙間16を形成することができる。
さらに、静圧ポケット11はロの字形状(第1、第2、第3、第4静圧溝11a,11b,11c,11d)に形成し、軸受隙間形成用溝14を第1静圧溝11aと対向する第1形成用溝14aのみを形成しても、最薄肉部分15aと薄肉部分15bを形成できるので、動圧ランド12の内周側に楔状の軸受隙間16を形成することができる。
また、上述した実施形態では、静圧ポケット11を分離するドレン溝13の分離溝13cを形成した分離型の流体軸受装置について説明したが、分離溝13cを形成しない非分離型の流体軸受装置としてもよい。この非分離型の流体軸受装置では、動圧ランドの面積が大きくなって発生する動圧も大きくなるため、軸受剛性および減衰性が高くなる。また、流体軸受装置を研削盤の砥石軸に適用する場合について説明したが、回転軸を有する装置であれば適用可能である。
本発明の実施形態に係る流体軸受装置を示す概略断面図である。 (A)および(B)は第1の実施の形態の軸受部材の内周面を示す断面側面図およびA−A線断面図である。 第1の実施の形態の軸受部材の外周面を示す側面図である。 第1の実施の形態の軸受部材の製造直前を示す断面側面図である。 第1の実施の形態の軸受部材の製造直後を示す軸直交方向の断面図である。 (A)および(B)は第2の実施の形態の軸受部材の内周面を示す断面側面図およびA−A線断面図である。 第2の実施の形態の軸受部材の外周面を示す側面図である。 (A)および(B)は第1の実施の形態の軸受部材および第2の実施の形態の軸受部材の動圧の発生状態を示す図である。
符号の説明
1…軸受ハウジング、1a…供給路、1b、1c…排出路、10A…基材、10,40…軸受部材、10a,40a…内周面、10b,40b…外周面、11,41…静圧ポケット、11a,11b,11c…第1、第2、第3静圧溝、41a,41b,41c,41d…第1、第2、第3、第4静圧溝、11d…供給口、12,42…動圧ランド、13…ドレン溝、13a,13b…環状溝、13c…分離溝、14.44…軸受隙間形成用溝、14a,14b,14c,14d…第1、第2、第3、第4形成用溝、44a,44b,44c…第1、第2、第3形成用溝、14e…連通孔、15a…最薄肉部分、15b…薄肉部分、16.46…軸受隙間、20…回転軸、30…ジグ、31…円筒部、32,33…フランジ部、P…油供給ポンプ、T…油槽、G…ダイアルゲージ、OP…油圧ポンプ。

Claims (4)

  1. 流体圧により回転軸を軸承する流体軸受装置の軸受部材の製造方法において、
    前記軸受部材の素材である基材に前記軸受部材の内周面および外周面を形成する周面形成ステップと、
    前記基材の内周面に溝を複数形成して静圧発生溝部を周方向に複数形成すると共に、前記静圧発生溝部で囲まれた動圧発生部に楔状の軸受隙間を形成するために、前記静圧発生溝部に対応する前記基材の外周面に溝を複数形成して軸受隙間形成用溝部を形成する溝形成ステップと、
    前記基材の内部を密閉し、前記静圧発生溝部と前記軸受隙間形成用溝部との間の最薄肉部分が塑性変形する圧力を前記基材の内周面に加え、前記動圧発生部に前記軸受隙間を形成する加圧ステップと、を含むことを特徴とする流体軸受装置の軸受部材の製造方法。
  2. 請求項1において、前記溝形成ステップは、前記基材の内周面に、軸方向に延びる第1静圧溝および該第1静圧溝の両端から周方向に延びる第2、第3静圧溝でなる静圧発生溝部を周方向に複数形成すると共に、前記基材の外周面に、前記第1静圧溝と対向する軸方向に延びる第1形成用溝および前記第2、第3静圧溝と対向する周方向に延びる第2、第3形成用溝並びに該第2、第3形成用溝の先端間を接続する軸方向に延びる第4形成用溝でなる軸受隙間形成用溝部を形成するステップであることを特徴とする流体軸受装置の軸受部材の製造方法。
  3. 請求項1において、前記溝形成ステップは、前記基材の内周面に、軸方向に延びる第1静圧溝および該第1静圧溝の両端から周方向に延びる第2、第3静圧溝並びに該第2、第3静圧溝の先端間を接続する軸方向に延びる第4静圧溝でなる静圧発生溝部を周方向に複数形成すると共に、前記基材の外周面に、前記第1静圧溝と対向する軸方向に延びる第1形成用溝および前記第2、第3静圧溝と対向する周方向に延びる第2、第3形成用溝でなる軸受隙間形成用溝部を形成するステップであることを特徴とする流体軸受装置の軸受部材の製造方法。
  4. 請求項1〜3の何れか一項に記載の流体軸受装置の軸受部材の製造方法により製造されたことを特徴とする流体軸受装置の軸受部材。
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