以下、発明を実施するための最良の形態(実施形態とも称する)について説明する。なお、説明は以下の順序、すなわち、
1.第1実施形態(高輝度ブロックの輝度値を測光セルの輝度値で修正する例)、
2.第2実施形態(高輝度ブロックの輝度値に関する修正対象領域を拡大する例)、
3.第3実施形態(高輝度ブロックの輝度値を測距センサの輝度値で修正する例)、
4.変形例等
の順序で行う。
<1.第1実施形態>
<1−1.構成概要>
図1は、本発明の実施形態に係る撮像装置1(1A)の外観構成を示す正面図である。この撮像装置1は、レンズ交換式一眼レフレックスタイプのデジタルカメラとして構成されている。
図1に示すように、撮像装置1は、カメラ本体部(カメラボディ)2を備えている。このカメラ本体部2に対して、交換式の撮影レンズユニット(交換レンズ)3が着脱可能である。
撮影レンズユニット3は、主として、鏡胴36ならびに鏡胴36の内部に設けられるレンズ群37(図2参照)及び絞り等によって構成される。レンズ群37(撮影光学系)には、光軸方向に移動することによって焦点位置を変更するフォーカスレンズ等が含まれている。
カメラ本体部2は、撮影レンズユニット3が装着される円環状のマウント部Mtを正面略中央に備え、撮影レンズユニット3を着脱するための着脱ボタン89を円環状のマウント部Mt付近に備えている。
また、カメラ本体部2は、正面左端部に撮影者が把持するためのグリップ部14を備えている。グリップ部14の上面には露光開始を指示するためのレリーズボタン11が設けられている。グリップ部14の内部には電池収納室とカード収納室とが設けられている。電池収納室にはカメラの電源として、例えばリチウムイオン電池などの電池が収納されており、カード収納室には撮影画像の画像データを記録するためのメモリカード90(図2参照)が着脱可能に収納されるようになっている。
レリーズボタン11は、半押し状態(S1状態)と全押し状態(S2状態)の2つの状態を検出可能な2段階検出ボタンである。レリーズボタン11が半押しされS1状態になると、被写体に関する記録用静止画像(本撮影画像)を取得するための準備動作(例えば、AF制御動作等)が行われる。また、レリーズボタン11がさらに押し込まれてS2状態になると、当該本撮影画像の撮影動作が行われる。詳細には、撮像素子5(後述)を用いて被写体像(被写体の光像)に関する露光動作が行われ、その露光動作によって得られた画像信号に所定の画像処理を施す一連の動作が実行される。このように、撮像装置1は、レリーズボタン11が半押し状態S1にされると撮影準備指令が付与されたものとみなし、レリーズボタン11が全押し状態S2にされると撮影指令が付与されたものとみなす。
また、カメラ本体部2の背面の略中央には、背面モニタ12(図2参照)が設けられている。背面モニタ12は、例えばカラー液晶ディスプレイ(LCD)として構成される。
背面モニタ12は、撮影条件等を設定するためのメニュー画面を表示すること、および再生モードにおいてメモリカード90に記録された撮影画像を再生表示することなどが可能である。また、この撮像装置1の背面モニタ12においては、ライブビュー画像が表示される。具体的には、撮像素子7(後述)によって取得された時系列の複数の画像(すなわち動画像)が、ライブビュー画像として表示される。
<1−2.機能ブロック>
つぎに、図2を参照しながら、撮像装置1の機能の概要について説明する。図2は、撮像装置1の機能構成を示すブロック図である。
図2に示すように、撮像装置1は、AFセンサモジュール20、操作部80、全体制御部101、フォーカス駆動制御部121、ミラー駆動制御部122、シャッタ駆動制御部123、タイミング制御回路124、およびデジタル信号処理回路53等を備える。
操作部80は、レリーズボタン11(図1参照)を含む各種ボタンおよびスイッチ等を備えて構成される。操作部80に対するユーザーの入力操作に応答して、全体制御部101が各種動作を実現する。
AFセンサモジュール(単にAFモジュールとも称する)20は、ミラー機構6を介して進入してきた光を用いて、位相差方式の合焦状態検出手法により被写体の合焦状態を検出することが可能である。AFモジュール20は、焦点位置検出装置とも称される。
全体制御部101は、マイクロコンピュータとして構成され、主にCPU、メモリ、及びROM(例えばEEPROM)等を備える。全体制御部101は、ROM内に格納されるプログラムを読み出し、当該プログラムをCPUで実行することによって、各種機能を実現する。
詳細には、全体制御部101は、読出制御部111、AF制御部113および露出制御部115等を有している。
読出制御部111は、撮像素子5,7(後述)で光電変換作用により生成された電荷を電気信号として撮像素子5,7から読み出す動作を制御する。読み出された電気信号は、画像信号として生成される。
露出制御部115は、撮像素子5,7に関する露出制御を実行する。例えば、EVFモード(後述)においては、露出制御部115は、撮像素子7の画像信号等に基づいて被写体に関する測光値(被写体輝度)を求め、当該被写体輝度に基づいて撮像素子7の露出制御を実行する。また、露出制御部115は、撮像素子7の画像信号等に基づいて撮像素子5(後述)の露出制御をも実行する。
AF制御部(合焦制御部)113は、AFセンサモジュール20およびフォーカス駆動制御部121等と協動して、フォーカスレンズの位置を制御する合焦制御動作(AF動作)を行う。AF制御部113は、AFモジュール20による測距結果に基づき、フォーカス駆動制御部121を用いてAF動作を実現する。具体的には、AF制御部113は、AFモジュール20によって検出される合焦レンズ位置に基づいてAF動作を実行する。位相差方式のAFモジュール20を用いることによれば、非常に高速に合焦レンズ位置を求めることができる。
また、フォーカス駆動制御部121は、全体制御部101と協働して合焦制御動作を実現する。具体的には、フォーカス駆動制御部121は、全体制御部101から入力される信号に基づいて制御信号を生成しモータM1を駆動する。これにより、撮影レンズユニット3のレンズ群37に含まれるフォーカスレンズが移動される。また、フォーカスレンズの位置は、撮影レンズユニット3のレンズ位置検出部39によって検出され、フォーカスレンズの位置を示すデータが全体制御部101に送られる。このように、フォーカス駆動制御部121は、フォーカスレンズの光軸方向の動き等を制御する。
また、ミラー駆動制御部122は、ミラー機構6が光路から退避した状態(ミラーアップ状態)とミラー機構6が光路を遮断した状態(ミラーダウン状態)との状態切替を制御する。ミラー駆動制御部122は、全体制御部101から入力される信号に基づいて制御信号を生成しモータM2を駆動することによって、ミラーアップ状態とミラーダウン状態とを切り替える。
シャッタ駆動制御部123は、全体制御部101から入力される信号に基づいて制御信号を生成しモータM3を駆動することによって、シャッタ4の開閉を制御する。
タイミング制御回路124は、撮像素子5等に対するタイミング制御を行う。
撮像素子(例えばCCDセンサ(単にCCDとも称する))5は、撮影レンズユニット3からの被写体の光像(被写体像)を光電変換作用により電気的信号に変換する受光素子であり、本撮影画像に係る画像信号(記録用の画像信号)を生成して取得する。
撮像素子5は、タイミング制御回路124から入力される駆動制御信号(蓄積開始信号および蓄積終了信号)に応答して、受光面に結像された被写体像の露光(光電変換による電荷蓄積)を行い、当該被写体像に係る画像信号を生成する。また、撮像素子5は、タイミング制御回路124から入力される読出制御信号に応答して、当該画像信号を信号処理部51へ出力する。また、タイミング制御回路124からのタイミング信号(同期信号)は、信号処理部51及びA/D(アナログ/デジタル)変換回路52にも入力される。
信号処理部51は、ISO感度の調整動作に相当するゲイン調整動作等を実行する処理部である。撮像素子5で取得された画像信号に対して信号処理部51により所定のアナログ信号処理が施されると、当該アナログ信号処理後の画像信号はA/D変換回路52によってデジタル画像データ(画像データ)に変換される。この画像データは、デジタル信号処理回路53に入力される。
デジタル信号処理回路53は、A/D変換回路52から入力される画像データに対してデジタル信号処理を行い、撮像画像に係る画像データを生成する。デジタル信号処理回路53は、黒レベル補正回路、ホワイトバランス(WB)回路、γ補正回路等を備え、各種のデジタル画像処理を施す。なお、デジタル信号処理回路53によって処理された画像信号(画像データ)は、画像メモリ55に格納される。画像メモリ55は、生成された画像データを一時的に記憶するための、高速アクセス可能な画像メモリであり、複数フレーム分の画像データを記憶可能な容量を有する。
本撮影時には、画像メモリ55に一時記憶される画像データは、全体制御部101において適宜画像処理(圧縮処理等)が施された後、メモリカード90に記憶される。
また、この撮像装置1は、撮像素子5とは別の撮像素子7(図4も参照)をさらに備えている。撮像素子7は、いわゆるライブビュー画像取得用(動画取得用)の撮像素子としての役割を果たす。撮像素子7も、撮像素子5と同様の構成を有しており、被写体の光像を光電変換して画像信号を生成する。ただし、撮像素子7は、ライブビュー用の画像信号(動画像)を生成するための解像度を有していればよく、通常、撮像素子5よりも少ない数の画素で構成される。
撮像素子7で取得された画像信号に対しても、撮像素子5で取得された画像信号と同様の信号処理が施される。すなわち、撮像素子7で取得された画像信号は、信号処理部51で所定の処理が施され、A/D変換回路52でデジタルデータに変換された後、デジタル信号処理回路50で所定の画像処理が施され、画像メモリ55に格納される。
また、撮像素子7で取得され画像メモリ55に格納される時系列の画像データ(ライブビュー用の撮影画像)は、全体制御部101によって適宜VRAM(不図示)に順次に転送され、当該時系列の画像データに基づく画像が背面モニタ12に表示される。これによって、構図決めを行うための動画的態様の表示(ライブビュー表示)が実現される。
図3は、露出制御部115に関連する機能ブロックを示す図である。
図3に示すように、露出制御部115は、輝度算出部151と高輝度ブロック検出部152と輝度値修正部153と露出データ算出部154と露出動作制御部155とを有している。
輝度算出部151は、複数の測光ブロックBLi(図12参照)の輝度値のそれぞれを、当該複数の測光ブロックのそれぞれに属する画素(各測光ブロックの内部画素)の画素値に基づいて算出する処理部である。測光ブロックBLiは、撮像素子7等による取得画像(画像データ)GAの撮像領域が区分されて生成された部分領域である。
高輝度ブロック検出部152は、複数の測光ブロックのうちその輝度値が所定の閾値BVthよりも大きな測光ブロックである「高輝度ブロック」(「飽和ブロック」とも称する)を検出する処理部である。
輝度値修正部153は、測光センサ79(後述)による測定輝度値を用いて、高輝度ブロックの輝度値を修正する処理部である。
露出データ(露出制御データ)算出部154は、高輝度ブロックを含む複数の測光ブロックの修正後の輝度値に基づいて、露出制御用のパラメータ(露出制御データ)を決定する。例えば、撮像素子7における電子シャッタのシャッタスピード、および信号処理部51におけるゲインの値(ISO感度に相当する)などを決定する。
露出動作制御部155は、露出データ算出部154によって決定された露出制御データに基づく露出動作を制御する処理部である。具体的には、露出動作制御部155は、撮像素子7における電子シャッタのシャッタスピードをタイミング制御回路124に対して指示すること、およびISO感度に相当するゲイン値を信号処理部51に対して指示することなどを実行する。
<1−3.撮影動作>
<概要>
つぎに、この撮像装置1における構図決め動作を含む撮影動作について説明する。
上述したように、この撮像装置1においては、ファインダ光学系等で構成される光学ファインダ(光学ビューファインダ(OVF)とも称される)を用いて構図決め(フレーミング)を行うことが可能である。また、この撮像装置1においては、背面モニタ12に表示されるライブビュー画像を用いて構図決めを行うことも可能である。なお、撮像素子7および背面モニタ12を利用して実現されるファインダ機能は、被写体の光像を電子データに変換した後に可視化するものであることから電子ビューファインダ(EVF)とも称される。
図4および図5は、撮像装置1の断面図である。図4は、OVFを用いた構図決め動作を示しており、図5は、EVFを用いた構図決め動作を示している。
図4等に示すように、撮影レンズユニット3から撮像素子5に至る光路(撮影光路)上にはミラー機構6が設けられている。ミラー機構6は、撮影光学系からの光を上方に向けて反射する主ミラー61(主反射面)を有している。この主ミラー61は、例えばその一部または全部がハーフミラーとして構成され、撮影光学系からの光の一部を透過する。また、ミラー機構6は、主ミラー61を透過した光を下方に反射させるサブミラー62(副反射面)をも有している。サブミラー62で下方に反射された光は、AFモジュール20へと導かれて入射し、位相差方式のAF動作に利用される。
撮影モードにおいてレリーズボタン11が全押し状態S2にされるまで、換言すれば構図決めの際には、ミラー機構6はミラーダウン状態となるように配置される(図4および図5参照)。そして、この際には、撮影レンズユニット3からの被写体像は、主ミラー61で上方に反射され観察用光束としてペンタミラー65に入射する。ペンタミラー65は、複数のミラー(反射面)を有しており、被写体像の向きを調整する機能を有している。また、ペンタミラー65に入射した後の、観察用光束の進路は、上記の両方式(すなわちOVF方式およびEVF方式)のいずれを採用して構図決めを行うかに応じて異なっている。これについては後述する。操作者は、選択した所望の方式によって構図決めを行うことが可能である。
一方、レリーズボタン11が全押し状態S2にされると、ミラー機構6はミラーアップ状態となるように駆動され、露光動作が開始される。被写体に係る記録用静止画像(本撮影画像とも称する)を取得する際の基本的動作(すなわち露光の際の動作)は、上記の両方式(すなわちOVF方式およびEVF方式)による構図決めに共通である。
具体的には、露光時には、ミラー機構6は、撮影光路から待避する。詳細には、撮影光学系からの光(被写体像)を遮らないように主ミラー61とサブミラー62とが上方に待避し、撮影レンズユニット3からの光が、主ミラー61で反射されることなく進行して、シャッタ4の開放タイミングに合わせて撮像素子5に到達する。撮像素子5は、光電変換によって、受光した光束に基づいて被写体の画像信号を生成する。このように、被写体からの光が撮影レンズユニット3を介して撮像素子5に導かれることによって、被写体に係る撮影画像(撮影画像データ)が得られる。
<光学ファインダによる構図決め動作(フレーミング動作)>
次に、構図決めの際の上記両方式の各動作についてそれぞれ説明する。
まず、OVF方式の構図決め動作について説明する。
図4に示すように、ミラー機構6の主ミラー61およびサブミラー62が、撮影レンズユニット3からの被写体像の光路上に配置されると、被写体像が主ミラー61とペンタミラー65と接眼レンズ67とを介してファインダ窓10へと導かれる。このように、主ミラー61とペンタミラー65と接眼レンズ67とを含むファインダ光学系は、撮影光学系からの光束であって主ミラー61で反射された光束である観察用光束をファインダ窓10へと導くことが可能である。
詳細には、撮影レンズユニット3からの光は、主ミラー61で反射されて上方に進路を変更し、焦点板63において結像し、焦点板63を通過する。その後、焦点板63を通過した光は、ペンタミラー65でその進路をさらに変更した後に接眼レンズ67を通ってファインダ窓10へ向かう(図4の光路PA参照)。このようにして、ファインダ窓10を通過した被写体像は撮影者(観察者)の眼へ到達して視認される。すなわち、撮影者はファインダ窓10を覗くことによって、被写体像を確認することができる。
ここにおいて、ペンタミラー65は、三角屋根状に形成された2面のミラー(ダハミラー)65a,65bと、当該ダハミラー(ダハ面)65a,65bに対して固定された面65cと、もう1つのミラー(反射面)65eとを有している。また、三角屋根状の2面のミラー65a,65bは、プラスチック成型により一体部品65dとして形成されている。主ミラー61で反射されて上方に進路を変更した光は、ダハミラー65a,65bで反射されて左右反転されて進行し、さらにミラー65eでも反射されることによって上下も反転されて撮影者の眼に到達する。このように、撮影レンズユニット3において左右上下が反転されていた光像は、ペンタミラー65でさらに左右上下が反転される。これにより、撮影者は、光学ファインダにおいて、その上下左右が実際の被写体と同じ状態で被写体像を観察することができる。
また、主ミラー61を透過した光はサブミラー62で反射されて下方に進路を変更しAFモジュール20へと進入する。AFモジュール20およびフォーカス駆動制御部121等は、主ミラー61およびサブミラー62を介して進入してきた光を用いて、AF動作を実現する。
<電子ファインダによる構図決め動作(フレーミング動作)>
次に、EVF方式による構図決め動作について説明する。
この場合にも、図5に示すように、ミラー機構6の主ミラー61およびサブミラー62が、撮影レンズユニット3からの被写体像の光路上に配置される。そして、撮影レンズユニット3からの光は、主ミラー61で反射されて上方に進路を変更し、焦点板63において結像し、焦点板63を通過する。
ただし、このEVF方式による構図決め動作においては、焦点板63を通過した光は、ペンタミラー65でその進路を変更して、ビームスプリッタ71へ向かう。そして、当該光は、ビームスプリッタ71でさらにその進路を変更して結像レンズ69(結像光学系)を通過して撮像素子7の撮像面上で再結像する(図5の光路PB参照)。なお、主ミラー61で反射されて上方に進路を変更した光は、ダハミラー65a,65bで反射されて左右反転されて進行し、さらにミラー65eでも反射されることによって上下も反転され、さらに結像レンズ69で上下左右反転されて撮像素子7に到達する。
より詳細には、図4と比較すると判るように、図5においてはミラー65eの角度(カメラ本体部2に対する設置角度)が変更されている。具体的には、ミラー65eは、図4の状態から、その下端側の軸AX1を中心に矢印AR1の向きに所定角度α回動している。なお、ミラー65eは、操作者による切換ダイヤル(不図示)の操作に応じて回動する。
そして、このミラー65eの角度変更によって、ミラー65eで反射される光(観察用光束)の反射角度が変更され、当該ミラー65eによる反射光の進行経路が変更される。具体的には、図4の状態に比べて、ミラー65eへの入射角度θ1が比較的小さくなり、反射角度θ2も比較的小さくなる。その結果、ミラー65eの反射光は、接眼レンズ67に向かう光路からダハミラー65a,65b寄りの光路へとその進路を上方に変更してビームスプリッタ71に向かう。そして、当該光は、ビームスプリッタ71でさらにその進路を変更して結像レンズ69を通過して撮像素子7に到達する。なお、ビームスプリッタ71、結像レンズ69および撮像素子7は、接眼レンズ67よりも上方に配置されており、且つ、OVFの際にミラー65eから接眼レンズ67へと進行する光束を遮らない位置に配置されている。
撮像素子7は、ミラー65eで反射され結像レンズ69を通過して撮像素子7に到達した被写体像に基づいて、ライブビュー画像を生成する。具体的には、微小時間間隔(例えば、1/60秒)で複数の画像を順次に生成する。そして、取得された時系列の画像は背面モニタ12において順次に表示される。これによって、撮影者は、背面モニタ12に表示される動画像(ライブビュー画像)を視認し、当該動画像を用いて構図決めを行うことが可能になる。
また、この場合も、OVFによる構図決めの際(図4参照)と同様に、主ミラー61とサブミラー62とを介してAFモジュール20に入射した光を用いてAF動作が実現される。
以上のように、ミラー65eで反射された後の観察用光束の進路(詳細には主進路)は、ミラー65eの反射角度の変更によって、光路PA(図4)と光路PB(図5)との間で切り換えられる。具体的には、当該観察用光束の進路は、ミラー65eの反射角度の変更によって、ミラー65eで反射されてファインダ窓10に向かう光路PAと、ミラー65eで反射されて撮像素子7に向かう光路PBとの間で切り換えられる。
<測光処理>
次に、EVFによる構図決め動作時の測光処理とOVFによる構図決め動作時の測光処理とについてそれぞれ説明する。
図5に示すように、光路PB上にはビームスプリッタ71等が設けられている。
ビームスプリッタ71は、光の進行方向(換言すれば光の進行路(光路))を変更する光路変更機能を有している。具体的には、ビームスプリッタ71は、光路PB上に配置されており、光路PB上を進行してきた光(詳細には反射面65eで反射された光)の進路を約90度上方に変更する。当該ビームスプリッタ71による進行方向変更後の光路PB上には、結像レンズ69と撮像素子7とが配置されており、ビームスプリッタ71による進行方向変更後の光束は、結像レンズ69を通過して撮像素子7上に結像する。また、ビームスプリッタ71を通過して直進した光は、結像レンズ72を通過して測光センサ79上に結像する。測光センサ79は、撮像素子7による撮影対象の被写体と略同一の被写体の光像に関する輝度を測定することが可能である。
EVFによる構図決め動作時においては、反射面65eが図5の位置に配置され、観察用光束の進路が光路PBとなる。このとき、光路PB上を進行しビームスプリッタ71および結像レンズ69を介して撮像素子7に結像した被写体像に基づいて、撮影画像が生成される。そして、当該撮影画像を用いてライブビュー表示が実行されるとともに、同じ撮影画像を用いて測光処理も実行される。例えば、撮像素子7による撮影画像GAを複数(例えば、40(横)×30(縦)=1200個)の測光ブロックBLi(図12参照)に区分して、各測光ブロックにおける輝度値を算出する輝度値算出処理が実行される。また、算出された輝度値(すなわち測光結果)に基づいて、適切な明るさを実現する露出パラメータ(シャッタスピードおよびISO感度値等)を決定する処理(自動露光調整処理)が行われる。
また、EVFによる構図決め動作時においては、測光センサ79による測光結果も利用される。詳細には、複数の測光ブロックのうち高輝度ブロックの輝度値が、測光センサ79内の測光セルによる輝度値を用いて修正される。このような修正処理については後に詳述する。
一方、OVFによる構図決め動作時においては、上述したように、反射面65eが図4の位置に移動され、観察用光束の進路が光路PAとなる。このとき、ファインダ窓10を介して被写体像が視認されるとともに、上部空間SU内にて光路PAの近傍に配置された測光センサ(測光素子)79を用いて測光処理が行われる。測光センサ79は、光路PAの近傍に配置されたビームスプリッタ71を透過する光束を、結像レンズ72を介して受光して、測光処理を行う。
ここにおいて、測光センサ79は、光路PAを進行する光束とは若干異なる光束、具体的には、ミラー65eでの反射後において光路PAよりも若干上側に進行する光束を受光する。これにより、測光センサ79は、光路PAを進行する観察用光束の被写体像に類似する被写体像(換言すれば撮影対象となる被写体像と同様の光像)を受光する。換言すれば、測光センサ79は、ファインダ窓10を介して受光される被写体像に関する被写体を若干異なる角度から(若干斜めから)見た光像を受光する。
そして、測光センサ79での受光量に基づく輝度値算出処理(測光処理)が適切に実現される。例えば、測光センサ79内の複数(例えば40個)の測光単位のそれぞれにおける受光量を算出する測光処理が実行される。また、この測光結果に基づいて、適切な明るさを実現する露出パラメータ(シャッタスピードおよびISO感度等)を決定する処理(自動露光調整処理)が行われる。
<1−4.撮像素子7を用いた測光動作等>
<概要>
以下では、EVFモードにおける測光動作、すなわち撮像素子7等を用いた測光動作等について説明する。
ただし、便宜上、撮像素子7による測光動作について説明する前に、まず測光センサ79について説明する。
測光センサ79は、例えばシリコンフォトセル(SPC(Silicon Photo Cell))などの高精度の素子を用いて構成される。より詳細には、測光センサ79は、図6に示すように、複数のシリコンフォトセルで構成される。測光センサ79は、入力光の明るさに応じた電圧を出力し、全体制御部101は、測光センサ79の出力電圧値を所定の変換式等によって、輝度値(絶対輝度値)を示すBV値に変換する。
図6は、測光センサ79の受光部の受光面を入射側から見た平面図である。図6に示すように、測光センサ79は複数(ここでは40個)のエリアに分割されており、当該複数(40個)のエリアのそれぞれに単一のシリコンフォトセル(測光セルとも称する)ELjが配置されている。そして、各測光セルELj(EL0〜EL39)によって、被写体の光像、具体的には各エリア(部分測光領域とも称する)で受光される光像の明るさ(輝度)を、それぞれ測定することが可能である。
また、測光センサ79は、超低輝度域(例えばBV値=−9)から超高輝度域(例えばBV値=17)に至るまで、非常に広い測定レンジを有している。これは、測光センサ79内の複数の測光セルのそれぞれは、撮像素子7における1画素の面積よりも大きな面積を有することなどに基づく。
さて、一方の撮像素子7は、測光センサ79に比べると、測定レンジが狭いという特性を有している。
図7は、撮像素子7による輝度の測定レンジを示す図である。図7の破線L1は、撮像素子7に関する、入力光量(横軸)と出力輝度値(縦軸)との関係を示している。また、図7においては、測光センサ79による輝度の測定レンジも併せて示されている。図7の実線L2は、測光センサ79に関する、入力光量(横軸)と出力輝度値(縦軸)との関係を示している。
図7の破線L1に示すように、入力光量が所定値に到達するまでの範囲内においては、撮像素子7に関する入出力関係は良好な線形性を有している。しかしながら、入力光量が当該所定値を超え測定輝度が値BVthを超えると、破線L1は実線(直線)L2よりも下方にずれていき、撮像素子7による輝度値は、やがて飽和する。すなわち、撮像素子7の画素値を用いる場合には、値BVthよりも大きな輝度値を正確に測定することが困難である。
例えば、図8の輝度分布(輝度値(画素値)に関する度数分布)を有する撮影画像を撮影する状況において、さらに撮影画像を明るくするように露出設定を露出オーバー側に変更すると、輝度分布は図9に示すように変更される。このとき、図9の輝度分布は図8の輝度分布よりも全体的に右側へシフトし、図9における全体的な平均画素値は図9の全体的な平均輝度値よりも大きくなる。ところが、上述のように撮像素子7による測定輝度値は値BVth近傍の値BVsで飽和してしまうため、撮像素子7による輝度としては、値BVth以上の輝度を正確に測定することはできない。特に、図9において、本来飽和値BVsよりも大きな値は、飽和値BVsにまで低減された値としてしか得られない。詳細には、飽和値BVsより大きな輝度値に対応する画素値は、所定値(例えば、255)で飽和する。このように、値BVth(ないし飽和値BVs)よりも大きな輝度値は正確に測定されない。
そこで、この実施形態においては、撮像素子7による測定輝度が所定の閾値BVthよりも大きな輝度値を有する場合には、当該測定輝度を、測光センサ(測光素子)79の輝度値に置換する技術を用いるものとする(図10(後述)参照)。そして、このような置換後の輝度値(修正後の輝度値)に基づいて、露出制御を行うものとする。
以下では、図11〜図17等を参照しながら、このような輝度値の置換技術(修正技術)の概略について説明する。
図11は、或る撮影画像GAを示す図である。図11においては、非常に明るい背景の手前側に逆光状態の人物が存在する様子が示されている。図12は、撮影画像内における各測光ブロックBLiを示す図であり、図13は、測光センサ79の各測光セルELj(図6参照)の撮影画像内での対応位置を示す図である。図12において破線で区切られた微小な各矩形領域が各測光ブロックBLiである。また、図14は、各測光ブロックと各測光セルとの対応位置関係を示す図である。なお、これらの図において、測光ブロックBLiの数は、図示の都合上、上述の値と若干異なっている。
図11においては、背景が非常に明るく、背景領域の測光ブロックの輝度値がBVthを超えている撮影状況を想定する。図15において、複数の測光ブロックのうち、斜線が付された測光ブロックは、その輝度値が閾値BVthを超えている測光ブロック(「高輝度ブロック」)である。このように、図15は、高輝度ブロックを示す図である。
当該斜線が付された測光ブロック(高輝度ブロック)に関しては、上述したように、撮像素子7を用いるだけでは、正確な輝度を測定することができない。
そこで、この実施形態においては、高輝度ブロックの輝度値を、測光センサ79による測定輝度値を用いて修正する。より具体的には、高輝度ブロックの輝度値を、複数の測光セルELjのうち当該高輝度ブロックの対応位置に存在する測光セルにより測定された輝度値に、置換する。なお、この測光セルの輝度値は、高輝度ブロックの輝度に関する推定値であるとも表現される。
ただし、この第1実施形態では、後述するように、高輝度ブロックの対応位置に高輝度測光セルが存在する場合のみ、高輝度ブロックの輝度値を高輝度測光セルの輝度値に置換する技術を例示する。ここで、「高輝度測光セル」とは、複数の測光セルのうち、その輝度値が閾値BVthよりも大きな測光セルである。「高輝度測光セル」は、高輝度部分領域ないし高輝度セルとも称される。ここでは、複数の測光セルEL0〜EL39(図6も参照)のうち、測光セルEL1〜EL18,EL22〜EL27,EL30〜EL32が高輝度測光セルであるとする。逆に言えば、測光セルEL0,EL19〜EL21,EL28,EL29,EL33〜EL39は高輝度測光セルではないものとする。
図16および図17は、このような置換の様子を示す図である。図16は、図15の高輝度ブロックを含む複数の測光ブロックBLiに対して、測光センサ79の測光セルELjを重畳して示す図である。また、図17は、置換対象の測光ブロックを示す図である。図17では、置換対象の測光ブロックにはクロスハッチングが付されている。
図17に示すように、例えば、測光ブロックBLaの輝度値は、測光センサ79内の対応位置に存在する測光セルELaの輝度値によって置換される。測光ブロックBLaに近接する測光ブロックBLdの輝度値も、対応位置に存在する測光セルELaの輝度値によって置換される。ここでは、或る測光ブロックと或る測光セルとが互いにその一部でも重複する場合には、当該測光ブロックと当該測光セルとが対応位置に存在するものとする。
また、測光ブロックBLbの輝度値は、測光センサ79内の対応位置に存在する測光セルELbの輝度値によって置換される。さらに、測光ブロックBLcの輝度値は、測光センサ79内の対応位置に存在する測光セルELcの輝度値によって置換される。
このように、高輝度ブロックの輝度値は、対応位置の測光セル(高輝度測光セル)の輝度値で置換される。これによれば、高輝度ブロックの輝度値をより正確な値として取得することができる。したがって、上記のような問題を解消することが可能である。
<詳細動作>
つぎに、図10を参照しながら、このような動作についてさらに詳細に説明する。図10は、ライブビュー用画像に関する露出動作等を示すフローチャートである。この図10は、微小時間(例えば1/60秒)間隔で撮像素子7により取得される撮影画像のそれぞれに対して実行される一連の動作を示している。
まず、ステップSP21において、撮像素子7内の複数の測光ブロックBLiの輝度値がそれぞれ撮像素子7の画素値に基づいて算出される。より詳細には、各測光ブロックBLi内の複数の画素に関する平均画素値が所定の変換式(ないし変換テーブル)に基づいて輝度値BVに変換される。これによって、各測光ブロックBLiの輝度値が算出される。
つぎに、ステップSP22において、複数の測光ブロックBLiのうち、その輝度値が閾値BVthを超えている測光ブロック(すなわち「高輝度ブロック」)が検出される。具体的には、全ての測光ブロックについて、その輝度値が閾値BVthを超えているか否かが判定され、その輝度値が閾値BVthを超えている測光ブロックが「高輝度ブロック」として検出される(図12および図15参照)。
そして、ステップSP23において、「高輝度ブロック」の輝度値が、その対応位置に存在する測光セルELjの輝度値に置換される(図17参照)。具体的には、図17においてクロスハッチングが付された高輝度ブロックの輝度値が、対応位置の測光セルELの輝度値によって置換される。これにより、高輝度測光ブロックの輝度値が、より正確な値に変更され、各測光ブロックの輝度値が正確化される。
ただし、この第1実施形態では、ステップSP23において、高輝度ブロックの対応位置の測光セルELの輝度値が所定の閾値BVthよりも大きい場合にのみ、当該測光セルELの輝度値で「高輝度ブロック」の輝度値を修正する。すなわち、高輝度ブロックの対応位置に高輝度測光セルが存在する場合にのみ当該修正動作(置換動作)が実行される。詳細には、高輝度ブロックの対応位置の測光セルELの輝度値が所定の閾値BVthよりも小さい場合には、ステップSP21で算出された値が、そのまま当該高輝度ブロックの輝度値として維持される。換言すれば、高輝度ブロックの対応位置に高輝度測光セルが存在しない場合には、当該高輝度ブロックの輝度値が変更されずに維持される。具体的には、図17において、クロスハッチングが付されず斜めのハッチングのみが付されている測光ブロックの輝度値は、変更されずに維持される。例えば、高輝度ブロックBLfの対応位置には高輝度測光セルが存在しないため、当該高輝度ブロックBLfの輝度値は変更されずに維持される。
なお、ステップSP23においては、複数の測光ブロックBLiのうち、高輝度ブロックではない測光ブロック(非高輝度ブロックとも称する)については、上記の置換動作は実行されない。換言すれば、非高輝度ブロック(例えばBLx,BLy,BLz,…)の輝度値は、ステップSP21で算出された値から変更されない。すなわち、ステップSP21で算出された値が、そのまま非高輝度ブロックの輝度値として決定される。ここにおいて、非高輝度ブロックの輝度値は、正確に測定されているため、非高輝度ブロックの輝度値を測光セルの輝度値に置き換えることを要しない。また特に、複数の非高輝度ブロックの輝度値(例えばBLx,BLy,BLz,…)は、当該複数の非高輝度ブック(測光ブロック)に対応する同一の測光セル(例えばEL29)の輝度値(すなわち同一の輝度値)に置換されない(図17参照)。これによれば、測光ブロック単位での正確な輝度値(例えば測光ブロックBLx,BLy,BLzごとの正確な輝度値)を取得することが可能である。換言すれば、輝度の二次元的な分布状況に関する測定単位面積が大きくなる(すなわち粗くなる)ことを最小限に抑制することができる。
その後、ステップSP24において、各測光ブロックBLiの輝度値に基づいて露出データ(露出制御パラメータ)が算出される。例えば、全測光ブロックの平均輝度値に基づいて露出制御パラメータが算出される。あるいは、中央重点測光などの手法によって各測光ブロックの輝度値を加重平均した輝度値に基づいて、露出制御パラメータが算出されるようにしてもよい。
また、ステップSP25では、ステップSP24で算出された露出制御パラメータを用いて露出設定変更動作が行われる。そして、変更後の露出設定値により、次回(たとえば約1/60秒後)の撮影画像における露出動作(露光動作)が実行される。
上記のような動作が繰り返し実行されることによって、主に撮像素子7を用いた露出設定動作がライブビュー画像について実行される。これによれば、暗い被写体と明るい被写体とが混在する撮影状況(特に、非常に明るい被写体が存在する撮影状況)においても、撮像素子内における複数の測光ブロックの輝度値をより正確に求めることが可能である。ひいては、撮像素子7に関する露出動作をより正確に行うことが可能である。
また、本撮影画像の取得時の露出パラメータは、上記のようにして修正された輝度値に基づいて定められる。具体的には、レリーズボタン11が全押し状態S2にまで押下されたことが判定されると、撮像素子7等により取得された最新の修正済み輝度値に基づいて、撮像素子5による本撮影画像取得時の露出パラメータが決定される。詳細には、当該露出パラメータ(シャッタスピード、ISO感度、絞り値等)は、ステップSP23で算出された修正後の各測光ブロックの輝度値に基づいて決定される。これによれば、より正確な輝度値に基づいて、撮像素子5に関する露出動作をより正確に行うことが可能である。
<2.第2実施形態>
上記第1実施形態においては、高輝度ブロックの対応位置に高輝度測光セルが存在しない場合には当該高輝度ブロックの輝度値を変更せずに維持する場合を例示した。
この第2実施形態においては、高輝度ブロックの対応位置に高輝度測光セルが存在しない場合には、当該高輝度ブロックの輝度値を、当該高輝度ブロックに最も近い高輝度測光セルの輝度値に基づいて修正する場合を例示する。端的に言えば、修正処理の対象となる高輝度ブロックの範囲を拡大する場合を例示する。
図18は、第2実施形態に係る動作を示すフローチャートである。図18は、或る測光ブロックの輝度値を決定する動作(ステップSP30)を示している。第2実施形態においては、図10のステップSP23の処理に代えて、複数の測光ブロックのそれぞれに関するステップSP30(図18)の処理が繰り返し実行されるものとする。
図18に示すように、まず、ステップSP31において、処理対象の測光ブロックBLiの輝度値が値BVthを超えているか否かに基づいて、当該測光ブロックBLiが高輝度ブロックであるか否かを判定する。
当該測光ブロックBLiが高輝度ブロックではないと判定されると、ステップSP36に進む。ステップSP36では、当該測光ブロックBLiに属する画素の画素値に基づいてステップSP21で算出された輝度値が、そのまま当該測光ブロックBLiの輝度値として決定される。
一方、ステップSP31で当該測光ブロックBLiが高輝度ブロックであると判定されると、ステップSP32に進む。ステップSP32では、さらに当該測光ブロックBLiに対応する位置に高輝度測光セルが存在するか否かが判定される。
測光ブロックBLiに対応する位置に高輝度測光セルが存在するときには、ステップSP35に進み、当該高輝度測光セルによって計測された輝度値が、当該測光ブロックBLiの輝度値として決定される。ここまでの処理は、第1実施形態と同様である。
これに対して、ステップSP32において、測光ブロックBLiに対応する位置に高輝度測光セルが存在しないと判定されるときには、ステップSP33に進む。
ステップSP33,SP34においては、この測光ブロック(高輝度ブロック)BLiの輝度値を、当該高輝度ブロックBLiに最も近い高輝度測光セルの輝度値に基づいて修正する。
詳細には、まずステップSP33において、測光ブロックBLiに最も近い高輝度測光セルELgが検出され、検出された高輝度測光セルとの距離rが算出される(図19参照)。図19は、修正対象の高輝度ブロックに最も近い高輝度測光セルELg等を示す図である。なお、測光ブロックと測光セルとの距離rは、例えば、測光ブロックの中心位置と測光セルの中心位置との間の距離として算出されればよい。
そして、ステップSP34において、距離rに関する式(1)に基づいて、当該測光ブロックの輝度値が決定される。なお、式(1)の右辺の値は、高輝度ブロックの輝度の推定値である、とも表現される。
図20は、式(1)によって変数rの関数として表現される輝度値bvを示す図である。図20にも示すように、距離rが値R1よりも小さいとき(r<R1、のとき)には、最も近い高輝度測光セルELgの輝度値BVgがそのまま、高輝度測光ブロックの修正後の輝度値として採用される。また、距離rが値R2よりも大きいとき(r>R2、のとき)には、閾値BVthが高輝度測光ブロックの修正後の輝度値として採用される。さらに、距離rが値R1と値R2との間の値であるとき(R1<r<R2、のとき)には、距離rの大きさに応じて、値BVgと値BVthとの間の値が輝度値bvとして決定される。詳細には、距離rが大きくなるにつれて、輝度値bvは徐々に小さくなる。これによれば、比較的遠い高輝度測光セルの影響を低減し、比較的近い高輝度測光セルの影響を増大することができる。
このようにして、各測光ブロックの輝度値が決定される。このような動作によれば、図21において砂地ハッチングが付された各測光ブロック(高輝度ブロック)に関しても、より適切な輝度値が決定される。このように、この第2実施形態においては、高輝度ブロックの輝度値の修正対象範囲(修正対象領域)が、クロスハッチングが付された領域のみならず、砂地ハッチングが付された領域にまで拡張される。
なお、この第2実施形態においては、高輝度ブロックの対応位置に測光セルが存在しない場合には、当該高輝度ブロックの輝度値を、当該高輝度ブロックに最も近い高輝度測光セルの輝度値のみに基づいて修正する技術が例示されている。しかしながら、本発明は、これに限定されない。例えば、高輝度ブロックから最も近い高輝度測光セルの輝度値のみならず、その他の高輝度測光セル(2番目に近い高輝度測光セル等)の輝度値をも用いて、当該高輝度ブロックの輝度値を修正するようにしてもよい。あるいは、高輝度ブロックから所定距離範囲内に存在する複数の測光セルの輝度値に基づいて、当該高輝度ブロックの輝度値を修正するようにしてもよい。より詳細には、当該複数の測光セルの輝度値を、当該高輝度ブロックからの距離に応じて加重平均した値を、当該高輝度ブロックの修正後の輝度値として算出するようにしてもよい。
<3.第3実施形態>
上記第1実施形態および第2実施形態においては、「測光センサ」を測光手段として用い、複数の測光セルのうちの少なくとも1つの「測光セル」を、測光手段の「部分測光領域」として用いる技術を例示した。
この第3実施形態においては、位相差AFセンサの受光素子によって測定された輝度値を用いて、高輝度ブロックの輝度値を修正する技術を例示する。換言すれば、「AFセンサ(測距センサ)」を測光手段として用い、当該AFセンサにおける複数の受光素子のうちの少なくとも1つの「受光素子」を、測光手段の「部分測光領域」として用いる場合を例示する。
図22は、第3実施形態に係る撮像装置1Cの一部の機能ブロックを示す図である。図22においては、露出制御部115(ただし、詳細には115C)に関連する機能ブロックが示されている。
図3と比較すると判るように、第3実施形態においてはAFモジュール(AFセンサモジュール)20からの測光データEBが輝度値修正部153で利用される点で、第1実施形態等と相違する。
位相差方式のAF(オートフォーカス)技術においては、被写体上の同一の点からの2つの光束であり且つ撮影レンズにおける互いに異なる領域を通過した2つの光束(被写体像)のそれぞれが一対の受光素子列(CCDラインセンサ等)で受光される。そして、当該一対の受光素子列で受光された両被写体像の相対的な位置関係を検出することにより、合焦レンズ位置からのずれ量およびずれ方向が検出される。
図23は、或る測距センサの構成例を示す図である。図23においては、上記のような一対の受光素子列RLが示されている。なお、図23には、測距センサの受光素子列RLの他に、撮像素子7における画素PEおよび測光ブロックBLiも併せて示されている。
図23に示すように、測距センサは、所定方向(図23では縦方向)に配列された複数の受光素子LE(受光素子列RL)を有している。当該受光素子列に関する輝度値は、受光素子LEごとに求めることも可能であるが、ここでは、受光素子列RL全体の輝度値(詳細には受光素子列RL内の複数の受光素子LEの画素値の平均値)を、当該受光素子列に関する輝度値として求めるものとする。すなわち、測距センサによる輝度値を、複数の受光素子LEの平均画素値に基づいて算出するものとする。
また、図23に示すように、1つの受光素子LEの面積は、撮像素子7における1つの画素PEよりも大きい。したがって、各受光素子LEの測光レンジは、撮像素子7の測光レンジよりも広い。特に、各受光素子LEの測光レンジにおける上限値は、撮像素子7の測光レンジにおける上限値よりも大きい。そこで、この第3実施形態においては、AFモジュール20の受光素子LEによる測光結果を利用することによって、各測光ブロックBLiにおける輝度値の正確化を図る。
また、図24は、撮影画面内に設けられる複数(ここでは9個)の測距ポイントMPk(MP1〜MP9)を示す図である。図24の複数の測距ポイントMPkに対応する位置に、それぞれ、一対もしくは複数対の測距センサ(図23参照)が設けられている。例えば、いわゆるクロス測距ポイントにおいては、2対の測距センサが互いに直交するように配置される。また、その他の測距ポイントには、一対の測距センサが配置される。このようにして、複数の測距ポイントMPkに複数の測距センサが配置される。特に、互いに異なる測距ポイントMPkに配置された複数の測距センサは、撮影画面(撮像領域)内の互いに異なる位置における被写体距離(各画面内位置に対応する被写体までの距離)を検出する。
この実施形態においては、各測距センサの受光素子列による測定輝度を用いて、高輝度ブロックの輝度値を修正する。特に、ここでは、高輝度ブロックの輝度値を、当該高輝度ブロックに近接する複数の測距ポイントMPkにおける複数の輝度値を用いて修正する。これによれば、高輝度ブロックの対応位置に測距ポイントが存在しない場合であっても、高輝度ブロックの輝度値を比較的良好に修正することが可能である。
なお、或る測距ポイントに複数の測距センサが配置されている場合には、例えば、当該複数の測距センサによる輝度値の平均値を当該測距ポイントの輝度値として採用すればよい。
図25は、図15の撮影状況における高輝度ブロックに対して、図24で示される測距ポイントMPkを重畳して示す図である。
例えば、図25に示すように、或る高輝度ブロックBLiの輝度値は、次のようにして修正される。
まず、当該高輝度ブロックBLi(図25参照)から所定の距離範囲内に存在する複数の測距ポイントにおける各輝度値が取得される。そして、これらの複数の輝度値のうち、閾値BVthを超える1つ又は複数の輝度値が、利用すべき輝度値として決定される。例えば、高輝度ブロックから所定の距離範囲内に存在する2つの測距ポイントMP1,MP2(図24も参照)における各輝度値BV1,BV2が採用される。詳細には、最近傍の測距ポイントMP1における輝度値BV1と、当該高輝度ブロックから次に近い測距ポイントMP2における輝度値BV2とが採用される。ここで、輝度値BV1は、測距ポイントMP1の測距センサ内の複数の受光素子LEの平均画素値に基づいて算出された値であり、輝度値BV2は、測距ポイントMP2の測距センサ内の複数の受光素子LEの平均画素値に基づいて算出された値である。この場合には、2つの輝度値BV1,BV2を用いて、次の式(2)に基づいて高輝度ブロックの輝度値が修正される。なお、式(2)の右辺の値は、高輝度ブロックの輝度の推定値である、とも表現される。
ただし、値βは、高輝度ブロックBLiから測距ポイントMP1までの距離D1と高輝度ブロックから測距ポイントMP2までの距離D2との比に基づいて定められる。例えば、距離D1と距離D2との比が1:2である場合には、β=2/3、として定められる。これによれば、複数の測距ポイントのうち比較的近い測距ポイントにおける輝度値がより大きな影響を与えるように、当該値βが定められる。
このように、高輝度ブロックの修正後の輝度値は、複数の測距ブロックの輝度値を当該高輝度ブロックからの距離の大きさに応じて加重平均した値として定められる。換言すれば、高輝度ブロックの輝度値は、複数の受光素子LEの平均画素値に基づく「推定輝度値」(式(2)の右辺参照)に修正される。
このような修正動作によれば、複数の測光ブロックBLiの輝度値をより正確に求めることが可能である。
<4.変形例等>
以上、この発明の実施の形態について説明したが、この発明は上記説明した内容のものに限定されるものではない。
たとえば、上記第3実施形態では、式(2)において値BV1,BV2をそのまま用いる場合を例示したが、これに限定されない。例えば、式(2)における値BV1および値BV2を、それぞれ、第2実施形態と同様に、距離rに応じた値に変更するようにしてもよい。
また、上記第1実施形態においては、高輝度ブロックの輝度値を、複数の測光セルELjのうち当該高輝度ブロックの対応位置に存在する単一の測光セルの輝度値そのものに置換する場合を例示したが、これに限定されない。例えば、高輝度ブロックの対応位置近傍の測光セルの輝度値をも用いて、当該高輝度ブロックの輝度値を修正するようにしてもよい。より詳細には、高輝度ブロックの対応位置近傍の複数の測光セルの輝度値を所定の重み付け係数で加重平均した値を推定値として算出し、高輝度ブロックの輝度値を当該推定値に置換するようにしてもよい。このように、高輝度ブロックの輝度値を、複数の測光セルELjのうち2以上の測光セルの輝度値を用いて修正するようにしてもよい。
また、上記各実施形態においては、測光ブロックが複数の画素により構成されている場合を例示したが、これに限定されない。例えば、測光ブロックは単一の画素により構成されるものであってもよい。また、上記実施形態においては、各測光ブロックの大きさが同じである場合を例示したが、これに限定されず、各測距ブロックの大きさは互いに異なっていてもよい。また、各測光ブロックの形状は、矩形形状に限定されず、他の様々な形状(例えば六角形等)であってもよい。