以下に、本発明の実施形態としての飲料ディスペンサ1について図1乃至図5を参照して説明する。図1は本発明の実施形態に係る飲料ディスペンサ1の斜視図、図2は図1の飲料ディスペンサ1の正面図、図3は図1の飲料ディスペンサ1の正面から向かって右側の側面図、図4は前面パネル10及びコーヒー抽出装置3の正面図、図5は飲料ディスペンサ1の本体2の内部構成図をそれぞれ示している。
本実施例における飲料ディスペンサ1は、例えばファーストフード店などの厨房やカウンター、レストランなどの飲食店において顧客自らが飲料を取り出す、所謂、フリードリンクサービスに供される装置として設置されるものである。
この飲料ディスペンサ1は、内部にコーヒー原料からコーヒーを抽出するコーヒー抽出装置3と、当該抽出装置3にて抽出されたコーヒーを貯留するコーヒータンク4A、4Bと、当該コーヒータンク4A、4B内のコーヒーを冷却するための冷却装置5とが配設される本体2により構成される。
本実施例におけるコーヒー抽出装置3は、コーヒー原料粉末に湯を散布することで抽出されたコーヒー液である散湯式コーヒー、即ち、ドリップコーヒーを製造するものである。
本体2の前面上部には、このコーヒー抽出装置3を構成する散水器31が設けられており、この散水器31の下側には同じくコーヒー抽出装置3を構成する粉チャンバー6が着脱自在に取り付けられている。更に、この粉チャンバー6の下側には、タンク収容部9が構成されており、当該タンク収容部9の底面には、前後に摺動自在とされるタンク載置台9Aが設けられ、当該載置台9Aには、本体2の前面から納出自在にコーヒータンクが載置される。
本実施例では、当該タンク載置部9に、2台のコーヒータンク4A、4Bを載置可能とされており、これらコーヒータンク4A、4Bは、前面に向かって右左に並置される。そして、このタンク収容部9の下方には、コーヒータンク4A、4Bの取出ノズル23A、23Bの下方に位置してドリップトレイ24が設けられている。このドリップトレイ24は、内部にこぼれ落ちたコーヒー等の液体を外部に廃棄可能としている。
そして、粉チャンバー6の上側に位置する本体2の前面上部には、前面パネル10が設けられており、この前面パネル10には、コーヒーの開始を指示する抽出ボタン11A、12Aと、これら抽出ボタンの操作に基づきコーヒーの抽出中であることを報知するための抽出ランプ11B、12Bが設けられている。
これ以外にも、図4に示すように、当該抽出ボタン11A、12Aによる抽出条件の設定を行うキーボード13と、7セグメントLEDから成る表示部14と、販売可スイッチ15、排水スイッチ16、右タンク適温ランプ17、左タンク適温ランプ18、湯タンク適温ランプ19、電源ランプ20、点検ランプ21が設けられている。上記右タンク適温ランプ17は、右側に設置されたコーヒータンク4A(一方のコーヒータンク)内のコーヒーが適温であることを報知する報知手段であり、左タンク適温ランプ18は、左側に設置されたコーヒータンク4B(他方のコーヒータンク)内のコーヒーが適温であることを報知する報知手段である。湯タンク適温ランプ19は、後述する湯タンク22内の湯温が適温であることを報知する報知手段である。
なお、前記粉チャンバー6は、底面の略中央に、コーヒー抽出孔6Aが形成されている。また、この粉チャンバー6は、図示しない取付部材によって、前面パネル10の下面に着脱自在、且つ、保持された状態にて水平方向、ここでは、左右方向に移動自在に取り付けられている。これによって、任意に粉チャンバー6を移動させることによって、当該コーヒー抽出装置3により抽出されるコーヒーをコーヒータンク4A又は4B上に移動可能とされる。
一方、コーヒータンク4A、4Bは、例えばステンレス製の二重構造とされ、極めて高い保温性能を有する外タンク25と、当該外タンク25の内側に配置され、伝熱性の高い材料にて構成される図示しない内タンクとから構成される。この外タンク25と内タンクとの間は、同じく伝熱性の高い材料にて構成される複数の仕切壁によって水密的に区画されている。
これにより、外タンク25と内タンクとの間には、タンク内循環回路30と、コーヒー通路33が交熱的に配設されている。更に、外部から供給された水道水を流通させる給水回路32が当該コーヒー通路33と交熱的に構成されている。また、これらタンク内循環回路30と、給水回路32は、それぞれ内タンクと交熱的に構成されている。
タンク内循環回路30は、詳細は後述する冷却装置5によって所定の温度に冷却される冷却用の水(以下、冷却水と称す。)を循環する循環回路7の一部を構成するものである。そのため、タンク内循環回路30の一端には、冷却装置5によって冷却された後の冷却水をタンク内に供給する循環配管37が着脱自在に接続され、他端には、当該タンク内循環回路30を経た後の冷却水を冷却水槽70に返送するための循環配管43が接続されている。これにより、コーヒータンク4A又は4Bのタンク内循環回路30は、冷却装置5内の循環回路7と共に、環状の循環回路を構成する。
なお、循環配管43の本体2側の端部には、コーヒータンク4側との接続を検出するためのタンク接続検出スイッチ44が設けられている。なお、コーヒータンク4Aに接続されるタンク接続検出スイッチを44Aとし、コーヒータンク4Bに接続されるタンク接続検出スイッチを44Bとする。
給水回路32の一端には、外部から水道水(水道水に限られるものではなく、単に水であっても良い)を流入させる給水管42の一端が接続されていると共に、他端には、コーヒーと熱交換した後の水道水を湯タンク22に供給する給水管45が接続される。これにより、コーヒータンク4A又は4Bの給水回路32は、給水管42、45と、湯タンク22への一連の給水経路を構成する。
一方、各コーヒータンクの上面には、当該コーヒータンクの上方に配設される粉チャンバー6から抽出されたコーヒーを所定量保持し、抽出直後のコーヒーとその後に抽出されるコーヒーとを混合しつつ、円滑なコーヒータンクへの排出が可能とするトラップ装置50が設けられている。このトラップ装置50は、本実施例では、粉チャンバー6が向かって左側(一方の方向)に移動された抽出状態とされている場合において、当該粉チャンバー6のコーヒー抽出孔6Aの真下に対応する位置に設けられる。なお、粉チャンバー6が向かって右側(他方の方向)に移動された抽出状態とされている場合には、他方のコーヒータンク4Bの上面に設けられるトラップ装置50が当該粉チャンバー6のコーヒー抽出孔6Aの真下に対応することとなる。
そして、このコーヒータンクの前記内タンク底面には、外タンク25、各仕切壁及び内タンクを貫通して取出ノズル23A(コーヒータンク4Bは取出ノズル23B)が設けられる。この取出ノズル23Aには、取出コック23Cが設けられており、当該取出コック23Cを任意に操作することにより、コーヒータンク4A内に貯留されたコーヒーを外部に取り出すことが可能とされる。
なお、この取出ノズル23Aには、コーヒータンク4Aの前面に位置して上下に延在する残量表示部52が接続されており、容易にコーヒータンク4A内のコーヒー貯留量を視認可能としている。同様にコーヒータンク4Bにも残量表示部が設けられている。
次に、図5を参照して飲料ディスペンサ1の内部構成について説明する。本体2内に上述した如く収容されるコーヒー抽出装置3は、上記粉チャンバー6に加えて、湯タンク22と、湯タンク22に接続された給湯管56に介設された給湯用ポンプ(ギアポンプ)57等から構成される。湯タンク22は、二つの給水弁53、54が介設される給水管55を介して外部の水道に接続されており、これら給水弁53、54間には、上述した如きコーヒータンク4A、4B内の給水回路32にそれぞれ接続される給水管42の一端が接続されている。当該給水管42には、コーヒータンク4A又は4B側へ給水を制御するための給水弁58(それぞれ58A、58B)が介設されている。そして、上述したようにコーヒータンク4A及び4Bの給水回路32に接続される給水管45の他端は、当該湯タンク22に接続されている。
本実施例において湯タンク22は、少なくとも前記コーヒータンク4A又は4Bで一杯分のコーヒーを抽出するのに必要とされる量の湯を収容可能とする容量、例えば数リットルの飲料水を貯水可能なタンクである。内部には当該湯タンク22に貯留された水を例えば+93℃〜+95℃に加熱保温(+93℃以上で適温とされ、後述する制御装置Cは、前面パネル10に設けられた湯タンク適温ランプ19を点灯する。)する加熱用の電気ヒータ(ヒータ)60と水位スイッチ61が設けられる。また、図中62は、湯タンク22の温度を検出するサーミスタ、63は空焚き防止用バイメタルサーモスタットである。
制御装置Cは、原則としてサーミスタ62の検出温度に基づき、湯タンク22内の温度が+93℃まで低下すると電気ヒータ60に通電し、+95℃まで上昇したら電気ヒータ60への通電を断つ通電制御を行う。水位スイッチ61は、満水位及び当該満水位から所定の水位だけ下がった位置に低水位が設けられており、制御装置Cは、原則として当該水位スイッチ61が低水位を検出した場合には、給水弁53、54を開放し、満水位を検出した場合に閉鎖する制御を行う。なお、コーヒー抽出動作に伴う湯タンク22への給水動作の詳細は後述する。
また、図5において64は湯タンク22からの蒸気やオーバーフローした湯を前記ドリップトレイ24に排出するための蒸気管であり、この蒸気管64には沸騰防止用バイメタルサーモスタット65が取り付けられている。また、66は、湯タンク22の底面に接続される排水手動弁であり、当該弁66を開放することによって、湯タンク22内の湯をすべて排水することが可能となる。
そして、この湯タンク22の上部には、ポンプ57が介設された給湯管56が接続されると共に、当該給湯管56の他端は、流量計67に接続されている。この流量計67には、抽出用電磁弁68が介設される抽出用供給管69が接続され、当該供給管69の他端は、粉チャンバー6の湯流入口に接続される。流量計67及び抽出用電磁弁68は制御装置Cに接続されており、流量計67の検出に基づき、ポンプ57及び抽出用電磁弁68の制御が行われる。
次に、本体2内に設けられる冷却装置5について詳述する。この冷却装置5は、低温の水を貯留する冷却水槽70と、冷却水槽70内の水を冷却し、一定割合の冷却水を冷却器72に着氷させる冷媒回路71と、冷却水槽70内の水を撹拌する撹拌機26と、冷却水槽70内の冷却水をコーヒータンク4A、4Bを冷却する循環回路7と、当該循環回路7内の冷却水を循環させるための循環ポンプ73とを有する。
冷媒回路71は、周知の冷凍サイクルを構成する冷媒回路であって、図示しない圧縮機と、凝縮器と、減圧手段と、冷却器72等を環状に接続された配管内に所定量の冷媒を封入することにより構成される。
本実施例における冷却水槽70は、約12リットルの冷却水が貯留されており、上面に開口を有すると共に、内部には前記冷却器72が浸漬されている。そして、冷却水槽70内には、撹拌機26を構成する撹拌プロペラ27が設けられており、当該撹拌プロペラ27は、撹拌モータ27Mの駆動により回転駆動され、冷却水槽70内に冷却水の水流を発生させる。撹拌に基づいて発生する水流によって冷却水の温度分布は均一とされる。
また、冷却水槽70内には、冷却器72の内側に位置する二つの電極からなる第1の氷センサ(着氷検出手段)74Aと、同様に、冷却器72の外側に位置して第2の氷センサ(着氷検出手段)74Bが設けられている。これら氷センサは、両電極間の抵抗値の変化から冷却器72周囲の氷層の検出を行う。即ち、電極間が水の場合はその抵抗値は低く、氷の場合は高くなるので、かかる抵抗値変化により氷層(所定の厚さの氷)の生成を検出するものである。
更に、この冷却水槽70内には、当該水槽内の冷却水の温度を検出するための水温センサ(水温検出手段)が設けられている。
また、この冷却水槽70には、所定の満水位及び低水位を検出する水位スイッチ76が設けられ、上部には、オーバーフロー管77が設けられており、冷却水槽70内の水位が満水位を越える場合には、当該オーバーフロー管77を介して溢出された冷却水がドリップトレイ24に排出される構成とされている。なお、図中87は、直接給水管55から冷却水槽70へ給水を制御する弁装置である。
そして、冷却水槽70の底面には、循環回路7を構成する循環配管78の一端が接続されており、当該循環配管78には、排水手動弁79を備えた排水管80が介設されている。そのため、冷却水槽70内のメンテナンス等を行う際には、循環ポンプ73を停止させて、排水手動弁79を開放することにより、冷却水槽70内の冷却水をすべて排水することが可能となる。他端には、循環ポンプ73及び循環電磁弁81が接続されている。なお、当該循環電磁弁81は、一方のコーヒータンク4Aへの流入を制御する循環電磁弁81Aと、他方のコーヒータンク4Bへの流入を制御する循環電磁弁81Bとから構成され、当該電磁弁81A、81Bを開閉制御することで、コーヒータンク4A又は4Bへの冷却水の循環を制御可能とする。
各コーヒータンク4A、4Bのタンク内循環回路30には、それぞれ循環配管43の一端が接続されると共に、これらの他端は、冷却水槽70に接続される。ここで、冷却水槽70の蓋の下面には、内部にある程度の冷却水を貯留可能とする温度検出室83が形成されており、この温度検出室83内にコーヒータンクを冷却した後の冷却水の温度を検出する戻り温度センサ84が配設されている。当該温度センサ84の上方に上記各循環配管43の端部が接続されていると共に、温度検出室83の底面には、排水孔85が形成されている。
係る構成により、戻り温度センサ84は、冷却水槽70内に流入した直後の冷却水の温度を検出することとなり、冷却水の流入が停止されている状態では、内部の空気温度を検出することとなる。
これにより、冷却水が循環される循環回路7は、上記配管接続によって、冷却水槽70と、循環ポンプ73と、各コーヒータンク4A、4B内の循環回路30とが環状に接続されて構成される。
前記制御装置Cは、プログラムやデータを記憶するメモリ、クロック信号を生成するタイマ、前記クロック信号及び前記プログラムに基づいて動作するCPUを備えている。この制御装置Cは、図6の電気ブロック図に示すように、制御装置Cの入力側には、タンク接続検出スイッチ44A、44B、流量計67、サーミスタ62、水温センサ28、戻り温度センサ84、氷センサ74A、74B、水位スイッチ61、76、前面パネル10に設けられる各種ボタンやスイッチなどが接続される。また、制御装置Cの出力側には、コーヒー抽出装置3のポンプ57、電気ヒータ60、抽出用電磁弁68、給水弁53、54、58A、58B、87、冷却装置5の圧縮機等、循環ポンプ73、撹拌機26の撹拌モータ27M、循環用電磁弁81A、81B等が接続され、当該制御装置Cの出力に基づき制御される。ここで、撹拌機26の撹拌モータ27Mは、チョッパ回路などの駆動回路29を介して接続されており、これによって、回転数を任意に、本実施例では、高速回転(H)、中速回転(M)、低速回転(L)に変更可能とされている。
以上の構成により、本実施例の飲料ディスペンサ1の動作について説明する。
(1)給水
電源投入後、制御装置Cは給水弁53、54、87に通電して開放し、湯タンク22、冷却水槽70に給水を行う。なお、この状態で給水弁58(58A、58B)は閉じている。湯タンク22の水位スイッチ61が満水位を検出すると、制御装置Cは、給水弁54を閉じる。そして、冷却水槽70内の水位スイッチ76が満水位を検出すると、制御装置Cは、給水弁87を閉じる。給水弁54、87及び58のすべてが閉じられる場合にのみ給水弁53を閉じる。
その後、制御装置Cは、冷却水槽70内の冷却を開始する。まず、制御装置Cは、冷却装置5の圧縮機等を運転し、冷却器72によって冷却作用を発揮させる。これにより、冷却水槽70内に供給された常温(例えば+15℃〜+20℃)の水は、当該冷却器72により冷却されて冷却水とされる。そして、制御装置Cは、冷却水槽70内に設けられる水温センサ28により検出される温度が所定の第1の冷却温度(本実施例では、+5℃とする)以上の否かを判断する。
冷却水槽70内の水温が第1の冷却温度である+5℃以上である場合には、制御装置Cは、撹拌機26の撹拌モータ27Mを駆動装置29により所定の低速回転数(L)として回転駆動させる。
これにより、冷却水槽70内の冷却水が撹拌機26による撹拌力によって冷却器72への着氷(氷結)が阻害される不都合を効果的に抑止しつつ、冷却水槽70内全体の冷却水の温度を緩慢に均一化することができ、冷却器72への着氷形成を促進させることができる。
その後も、制御装置Cは、水温センサ28により冷却水槽70内の冷却水の温度を検出し、当該冷却水の温度が前記第1の冷却温度(この場合+5℃)より低下したか否かを判断する。上記の状態から冷却が進行していき、冷却水槽70内の冷却水が第1の冷却温度以下とあることを水温センサ28が検出すると、制御装置Cは、撹拌機26の撹拌モータ27Mを駆動装置29により回転速度を上昇させて、所定の中速回転数(M)(若しくは高速回転数(H))として回転駆動させる。
これにより、撹拌機26による冷却水の撹拌力を上げることで、冷却水槽70内の低温の冷却水、更には、シャーベット状とされた冷却水が冷却器72全体に均一に着氷することを促進させることができる。従って、冷却器72全体に均一に着氷させることで、後述する如くコーヒー冷却時において氷が全て融解してしまい、冷却水槽70内の冷却水の温度が上昇し、コーヒーの冷却効率が低下する不都合を抑制することができる。
その後、制御装置Cは、第1の氷センサ74Aにより着氷の有無を検出し、上記の状態から更に冷却が進行して冷却器72に近い位置に設けられる第1の氷センサ74Aが着氷を検出すると、制御装置Cは、撹拌機26の撹拌モータ27Mを駆動装置29により回転速度を低下させて、所定の低速回転数(L)として回転駆動させる。
これにより、冷却器72に着氷している氷に衝撃が加わって、当該着氷を融解してしまう不都合を回避し、当該形成されている着氷を氷核として更なる冷却水の氷結を行う。
その後、冷却器72の周囲の着氷が成長していき、第2の氷センサ74Bが着氷を検出すると、制御装置Cは、冷却水槽70内に十分な着氷が生成されたものと判断し、冷却装置5の運転を停止する。従って、当該冷却制御によって、冷却水槽70内の冷却水は常に0℃付近に維持される。なお、循環配管78が接続されている冷却水槽70内の排水孔が氷によって閉塞されてしまうことを抑制するため、撹拌機26は、継続して所定の低速回転数(L)として回転駆動させる。
(2)湯の生成
次に、制御装置Cは、湯タンク22内にて湯を生成する。制御装置Cは、電気ヒータ60へ通電を開始する。湯タンク22内の湯の温度が前述した+95℃まで上昇したら電気ヒータ60の通電を断つ。なお、サーミスタ62の検出に基づき湯タンク22内の湯の温度が+93℃に低下したら、再び、電気ヒータ60への通電を開始し、+95℃まで上昇した電気ヒータ60の通電を断つ温度制御を実行する。これにより、湯タンク22内には、コーヒー抽出に適した温度の湯が貯留される。なお、湯タンク22内の温度が適温とされた場合には、前面パネル10の湯タンク適温ランプ19を点灯する。
(3)予冷
制御装置Cは、前記湯の生成と同時、若しくは、その前後において、循環回路7内の冷却水の冷却を行う。先ずはじめに、制御装置Cは、前記タンク接続検出スイッチ44A、44Bによりコーヒータンク4A、4Bが接続されているか否かを検出し、何れかのコーヒータンクが接続されている場合にのみ、循環ポンプ73を運転させ、対応する循環用電磁弁81A又は81Bを開放する。両タンク接続検出スイッチ44A、44Bにより接続が検出されている場合には、一方の循環用電磁弁、例えば81Aを開放する。
これによって、冷却水槽70内にて冷却された冷却水は、一方のコーヒータンク4Aからタンク内循環回路30内に流入した後、本体2側の循環配管43に流入する。そして、循環配管43を経た冷却水は、冷却水槽70の温度センサ84に接触した後、冷却水槽70内に帰還する循環が行われる。
なお、冷却水槽70には、予め約12リットル程度の冷却水が貯留されているが、コーヒータンク4Aに冷却水が循環水として供給されることで、冷却水槽70内は、当該循環回路に循環させる分、例えば約4リットルの冷却水が減少することとなる。そのため、制御装置Cは、水位スイッチ76の検出に基づき、給水弁87の開閉制御を行い、不足した分の冷却水を補うものとする。
制御装置Cは、上記循環制御を戻り温度センサ84の検出出力によって制御する。ここで、制御装置Cは、循環ポンプ73を運転してから所定時間経過後、例えばコーヒータンク内循環回路を経由した冷却水が冷却水槽70の戻り温度センサ84に到達するのに十分な時間を経過した後から、戻り温度センサ84による温度検出を実行し、当該温度が所定の冷却温度(第2の冷却温度)、本実施例では+7℃となった場合には、循環ポンプ73を停止し、対応する循環用電磁弁81Aを閉鎖する。ここで、第2の冷却温度は、提供されるアイスコーヒーの温度と同一であり、設定によりアイスコーヒーの提供に適した温度例えば+7℃〜+10℃に設定される。
これにより、当該コーヒータンク4Aは、+7℃に冷却されることとなる。なお、コーヒータンク4A内の温度が適温とされた場合には、前面パネル10の右タンク適温ランプ17を点灯する。
その後、他方のコーヒータンク4Bの接続がタンク接続検出スイッチ44Bによって検出されている場合には、対応する他方の循環用電磁弁81Bを開放し、循環ポンプ73を運転する。これにより、上記と同様にコーヒータンク4B内に冷却水を循環させることにより、第2の冷却温度(+7℃)に冷却する。なお、コーヒータンク4B内の温度が適温とされた場合には、前面パネル10の左タンク適温ランプ18を点灯する。
上述した如きコーヒータンク4A、4Bへの予冷運転において、制御装置Cは、戻り温度センサ84により検出される温度が第2の冷却温度(+7℃)より高い場合には、撹拌機26の撹拌モータ27Mを駆動装置29により回転速度を上昇させて、所定の高速回転数(H)として回転駆動させる。これにより、冷却水槽70内の冷却水の温度を早期に均一化でき、コーヒータンク4A、4Bの冷却効率の向上を図ることができる。
その後、コーヒータンク4A、4Bが冷却されて、戻り温度センサ84により検出される温度が第2の冷却温度(+7℃)以下となると、制御装置Cは、撹拌機26の撹拌モータ27Mを駆動装置29により回転速度を低下させて、所定の低速回転数(L)として回転駆動させる。
これにより、冷却水槽70内の冷却水が撹拌機26による撹拌力によって冷却器72への着氷(氷結)が阻害される不都合を効果的に抑止しつつ、冷却水槽70内全体の冷却水の温度の均一化を図ることができ、早期に冷却器72への着氷を実現することができる。
(4)コーヒーの抽出
次に、コーヒーを抽出する場合には、先ず、粉チャンバー6内に図示しない紙フィルタを介してドリップ用の挽き豆(コーヒー原料粉末)を所定量投入して、前面パネル10下面に保持させる。その後、粉チャンバー6を抽出したコーヒーを受容させるコーヒータンクの上方に移動させ、抽出状態とする。
そして、この抽出状態とされた後、前面パネル10に設けられた抽出ボタン11A又は12Aの何れかを操作する。なお、係る抽出ボタン11A及び12Aは、予めそれぞれコーヒー原料の蒸らし時間、蒸らし湯量、本抽出時間、本抽出湯量、本抽出回数、本抽出間の待機時間等についての抽出プログラムが設定されており、当該設定に基づき抽出が実行される。何れかの抽出ボタン11A又は12Aを操作すると、対応する抽出ランプ11B又は12Bが点灯され、抽出が開始される。
先ず、制御装置Cは、流量計67の出力に基づきポンプ57を運転して湯タンク22から蒸らしに必要な湯量を粉チャンバー6に供給する。そして、所定の蒸らしに必要な湯量を供給した後は、先にポンプ57の停止出力に対し、ポンプ74を停止し、抽出用電磁弁68を閉鎖する。なお、本実施例では、当該蒸らしでは、湯量300ccの供給を行う。このとき、制御装置Cは、湯タンク適温ランプ19を消灯し、給水弁54、58の開放を禁止すると共に、電気ヒータ60への通電を禁止する。また、左右のタンク適温ランプ17、18は、消灯する。
これにより、粉チャンバー6における抽出中は、湯タンク22への給水を禁止することにより、湯タンク22内の湯温が給水によって低下してしまい、コーヒー抽出に適さない温度となってしまう不都合を未然に回避することが可能となる。
そして、上記抽出用電磁弁68を閉鎖してから所定の蒸らし時間経過した後、制御装置Cは、本抽出を開始する。本実施例では、本抽出は、70%のデューティーで500ccを3回に分けて行う。
(5)コーヒーの冷却
上述した如く湯タンク22から粉チャンバー6に湯が供給されることにより、抽出された高温のコーヒーは、コーヒー抽出孔6Aより下方に位置するコーヒータンク4A上のトラップ装置50に抽出される。
トラップ装置50内に流入したコーヒーは、一旦トラップ装置50内に所定量となるまで保持される。所定の水位を越えたコーヒーは、連結配管を介してコーヒータンク4A壁面に構成されるコーヒー通路33内を流下する。
一方、本抽出のための粉チャンバー6への湯の供給が終了した後、若しくは、当該終了から所定時間遅延させて、制御装置Cは、給水弁58Aを開放する。これにより、給水配管42を介して外部からの水道水がコーヒータンク4A内に形成される給水回路32内に流入する。ここで、当該給水回路32内を流通する水道水は、当該流通過程において、当該給水回路32と交熱的に設けられるコーヒー通路33更には、内タンク内の高温のコーヒーと熱交換する。
通常、外部から直接供給される水道水の温度は、+15℃〜+20℃程度である(但し、環境により大きう左右されるが、少なくとも、コーヒータンク内に供給されるコーヒーの温度よりは低い)。他方、コーヒータンク4内に貯留されるコーヒーは、抽出時(+95℃)よりはある程度温度が低下し、例えば、+80℃程度である。従って、これらが流れる経路が交熱的に設けられることで、高温のコーヒーと、外部から供給される水道水とが熱交換し、水道水は、コーヒーにより昇温され、コーヒーはあら熱が取られる。
そして、コーヒータンク内の給水回路32を経た水道水は、給水配管45を介して湯タンク22に貯留される。本実施例において制御装置Cは、水位スイッチ61の検出に基づき、湯タンク22内が所定の満水位に達したことを検出したら、前記給水弁58(ここでは、58A)を閉じる。その後、湯タンク22に設けられる電気ヒータ60を通電制御し、所定の温度にまで加熱保温する。
これにより、湯タンク22に供給される水道水は、コーヒータンク内において高温のコーヒーと熱交換することで昇温されていることから、従来の如く直接水道水が湯タンク22に供給され、水の状態から電気ヒータ60によってコーヒー抽出に適した温度、本実施例では、+93℃〜+95℃にまで加熱させるのと比較して、当該電気ヒータ60に通電されるエネルギーを低減することが可能となる。
そして、制御装置Cは、給水弁58を閉じて湯タンク22への給水を停止した後、当該コーヒータンク4Aに対応する循環電磁弁81Aを開放すると共に、循環ポンプ73を運転し、冷却水槽70内の冷却水によるコーヒータンク4Aの冷却を開始する。
これによって、冷却水槽70内の冷却水は、循環ポンプ73により、コーヒータンク4A内のタンク内循環回路30に循環される。従って、コーヒータンク4Aのコーヒー通路33及び内タンクは、冷却水が循環するタンク内循環回路30と交熱的に配設されているため、当該コーヒータンク4A内のコーヒーは、当該タンク内循環回路30を循環される冷却水と熱交換することで冷却される。他方、コーヒータンク4Aにおいて、コーヒーと熱交換することで冷熱が奪われた冷却水は、循環配管43を介して冷却水槽70に帰還する。
制御装置Cは、冷却水槽70に設けられる戻り温度センサ84の検出温度が所定の冷却温度、本実施例では+7℃に達したか否かを判断し、+7℃に達した時点で、冷却装置5を構成する循環ポンプ73を停止し、循環用電磁弁81Aを閉鎖して冷却運転を終了する。
このとき、冷却水槽70内の冷却水と熱交換するコーヒータンク4A内のコーヒーは、上述したように、はじめに外部から湯タンク22内に供給するための水道水を熱交換したすることで、あら熱が取られている。そのため、循環回路7を流れる冷却水の温度上昇を抑制することができる。
また、上述した如きコーヒータンク4A、4B内のコーヒーの冷却において、制御装置Cは、戻り温度センサ84により検出される温度が第2の冷却温度(+7℃)より高い場合には、撹拌機26の撹拌モータ27Mを駆動装置29により回転速度を上昇させて、所定の高速回転数(H)として回転駆動させる。
これにより、冷却水槽70内の着氷の生成にかかわらず、冷却水槽70内の冷却水の温度を早期に均一化でき、コーヒータンク4A、4B内のコーヒーの冷却効率の向上を図ることができる。
その後、コーヒータンク4A、4B内のコーヒーが冷却されて、戻り温度センサ84により検出される温度が第2の冷却温度(+7℃)以下となると、制御装置Cは、撹拌機26の撹拌モータ27Mを駆動装置29により回転速度を低下させて、所定の低速回転数(L)として回転駆動させる。
これにより、冷却水槽70内の冷却水が撹拌機26による撹拌力によって冷却器72への着氷(氷結)が阻害される不都合を効果的に抑止しつつ、冷却水槽70内全体の冷却水の温度の均一化を図ることができ、早期に冷却器72への着氷を実現することができる。
上述した如きコーヒー抽出に伴うコーヒータンク4A又は4Bが適切な冷却温度に冷却されて循環ポンプ73を停止させた後は、制御装置Cは、当該循環ポンプ73の停止後、所定時間、本実施例では、5分経過した後、他方のコーヒータンク4B又は4Aのタンク接続検出スイッチ44B又は44Aがタンク接続を検出している場合には、当該コーヒータンク4B又は4A側の循環電磁弁81B又は81Aを開放して、循環ポンプ73を運転する。
そして、循環ポンプ73を運転開始してから所定時間(温度検出待機時間)経過(例えば1分)した後に、戻り温度センサ84による温度検出を開始し、当該戻り温度センサ84の検出温度に基づき、コーヒータンク4B又は4Aが所定の冷却温度(+7℃)となるまで、冷却水の循環を行い、当該コーヒータンク4Bの保冷を行う。この後も、新たにコーヒー抽出の操作がなされるまでは、コーヒータンク4A、4Bに交互に冷却水を循環させる冷却運転を実行し、それぞれのコーヒータンク4A、4Bを所定の冷却温度に維持する。
この場合においても、上述した如きコーヒー冷却の場合と同様に、制御装置Cは、戻り温度センサ84により検出される温度が第2の冷却温度(+7℃)より高い場合には、撹拌機26の撹拌モータ27Mを駆動装置29により回転速度を上昇させて、所定の高速回転数(H)として回転駆動させる。
これにより、冷却水槽70内の冷却水の温度を早期に均一化でき、コーヒータンク4A、4B内のコーヒーの冷却効率の向上を図ることができる。
その後、コーヒータンク4A、4B内のコーヒーが冷却されて、戻り温度センサ84により検出される温度が第2の冷却温度(+7℃)以下となると、制御装置Cは、撹拌機26の撹拌モータ27Mを駆動装置29により回転速度を低下させて、所定の低速回転数(L)として回転駆動させる。
これにより、冷却水槽70内の冷却水が撹拌機26による撹拌力によって冷却器72への着氷(氷結)が阻害される不都合を効果的に抑止しつつ、冷却水槽70内全体の冷却水の温度の均一化を図ることができ、早期に冷却器72への着氷を実現することができる。
尚、上述した如き実施例では、第1の氷センサ74Aが着氷を検出していない場合には、冷却水槽70内に設けられる温度センサ28の検出温度に基づいて、撹拌機26の回転数を制御しているが、これに限定されるものではなく、第1の氷センサ74Aが着氷を検出していない場合には、制御装置Cは、温度センサ28により検出される温度にかかわらず、撹拌機26の撹拌モータ27Mを駆動装置29により回転速度を所定の低速回転数(L)として回転駆動させてもよい。
これにより、冷却水槽70内の冷却水が撹拌機26による撹拌力によって冷却器72への着氷(氷結)が阻害される不都合を効果的に抑止しつつ、冷却水槽70内全体の冷却水の温度を緩慢に均一化することができ、冷却器72への着氷形成を促進させることができる。
従って、循環ポンプ73を運転して冷却水槽70内の冷却水をコーヒータンク内のタンク内循環回路30に循環させてコーヒーの冷却を行う際に、冷却水槽70内に適切に氷が存在するため、当該冷却水槽70内の冷却水は、一定の冷却温度が維持され、効率的なコーヒーの冷却を実現することが可能となる。
また、上記実施例では、冷却水槽70内にて冷却された冷却水を循環ポンプ73によって、直接コーヒータンク内のタンク内循環回路30に循環させてコーヒーの冷却を行っているが、これに限定されるものではなく、タンク内循環回路30と共に、循環回路を構成する循環配管78に冷却水槽70内の冷却水と熱交換する冷却コイルを設け、当該冷却コイル及び循環配管78、タンク内循環回路30内に充填される冷却用の水(冷却媒体)によって、間接的にコーヒータンク内のコーヒーを冷却するものとしてもよい。尚、かかる場合には、戻り温度センサ84は、タンク内循環回路30から出て冷却水槽70内に帰還される冷却コイル入り口側の温度を検出する温度センサとする。
これにより、上記実施例と同様に、冷却水槽70内の温度センサ28、氷センサ74A、74B、戻り温度センサの検出に基づいて、撹拌機26の回転速度を制御することで、冷却器72への着氷の促進及びコーヒー、更には、冷却水槽70内の水と熱交換する水(冷却媒体)との熱交換効率の向上を図ることが可能となる。